※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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チェックミスでアホそのものの感想書いてしまった…。
酔った勢いで感想かくもんじゃないなぁ…。
それ以前に、こういう流し読み&早とちりが仕事のミスに反映されてんだよなぁ…。


第450話

 

 

堕陽月伍日目

 

 

 さ・て・と。

 

 

 えー、現在、丁度日付が変わった頃でございます。一仕事終わりました。

 

 

 

 

 

 …何を言ってるのか全く分からんと思うが、要するに狙撃事件は解決です。明日には実行犯…つまり死隠が、諸々の証拠付で自首してくる事でしょう。

 ふぅ、面倒事が解決した後の酒は美味いぜ…。そして女を抱きたくなる。いつもの事だが。

 

 と言うか、神夜も明日奈も「今日のオタノシミは、ちょっと遅くなる」って言っておいたし、今か今かと待ってるだろう。

 更に言うなら、『烙印』を付けた直葉も、自慰しながら呼び出されるのを待っている。…これは妄想ではない。『烙印』を通して直葉の状態が伝わってくる。今、彼女は初体験の時の事を思い出して成大にオナッています。

 期待に応えてやらねばにゃー。

 

 

 

 …それはそれとして、何がどうなったのかと言う話だ。

 昨晩、浅黄が目を覚まして協力を確約した後、俺は寝室に引き籠った。とある術を行う為だ。

 

 

 

 オカルト版真言立川流・禁術その弐。

 未完成奥義『第六天』。

 

 

 

 今更ながら、こんな事できる訳ねーだろ、な術を本当に使ってみようとした訳だ。どう考えても寝取り専用な奥義を。

 断じていうが、俺に寝取り趣味は無い。何も感じない訳じゃないが、想い合っている男女に割り込んで人間関係をぶち壊すような真似は後味が悪い。それを他人事のように眺めて嘲笑える程、俺は振り切っていない。

 

 が、何事にも例外というのはあるものだ。ぶち壊しても心が痛まない、女を寝取られて悔しがり嘆く男を見て「ザマァ」とでも笑ってやれるシチュエーションがある。

 つまりは………クズ男と、それに貢ぐ女である。

 ま、本当にこれに当て嵌まるかどうかは、試してみないと分からなかったんだけどね。

 

 

 それにしても、第六天…妙な感覚だったなぁ。自分だけど自分じゃないというか、他人だけど自分と言うか、複数の視点で同時に物事を見つめているような…。

 説明するには、この『第六天』がどういった術なのかから説明した方がいいだろう。

 

 

 

 第六天。

 

 日本人なら、一度は聞いた事があるだろう。具体的な事は知らなくても、某くぎゅヴォイスな超有名戦国大名がその名で呼ばれているのはあまりにも有名だ。

 では、その第六天とは一体どのようなものなのか。

 この天には、魔王の住処があるとされる。魔王には複数の名があり、天魔、波旬、天子魔、第六天魔王など。

 

 そして魔王が座す場所こそが『他化自在天』。

 ここから術の由来が来ていると思われる。

 

 細かい事は省くが、仏教のとある資料には『此の天は他の所化を奪いて自ら娯楽す、故に他化自在と言う。』とある。

 つまり、この天に産まれた者は、他の欲望を自在に受けて楽しむことができる。

 また、他の所化(教えや導き)を自分のものとして快楽を成すと言われる。

 

 

 

 これを当てはめると。

 

 

 

 

 

 

 他人に成り代わって誰かを抱くも、見ず知らずの人間が愛し合う感覚を自分の事のように感じるも、それらの記憶を奪い取るも、自由自在なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 術が発動して、最初に感じたのは他人と交じり合うような違和感だった。

 

 

 

 

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 ふと、誰かに見られているような気がして、足を止めた。

 さりげなく周囲を見回すが、誰も居ない廊下しか目に入らない。尤も、誰かに見咎められたとしても慌てる必要はない。この場所への…霊山の重要人物の住居が集まっている区域だが、ここへの入場許可は正規の手続きを経て持っている。…今すぐ捨ててしまいたいけども。

 

 暗殺に失敗してから、私は禁軍を完全に撒いたと確信できるまで潜伏した。少なくとも、誰かに尾行されている事はない筈だ。

 自分で言うのも何だが、目立つ外見でもない。黒目黒髪、眼鏡をかけた、モノノフでもないただの女。場所が場所なので、少し上等の服を着ているが、ただそれだけだ。…暗殺者が目立ってもいい事はないので、意識的にそういう外見を作っている。

 

 

 小さく溜息を吐いて、もう一度歩き出した。いっそ、本当に誰かが見咎めてくれればいいのに。

 この先に居る者を思い返すと、一層気分が憂鬱になった。

 

 それと同時に胸が高鳴るのが、どうしようもなく忌々しい。

 自分の思考が塗り潰されて、都合よく変えられていく感覚。

 

 頭を振って、あの男の事を頭から追い出した。少しだけだが、体も落ち着いてくれたように感じる。

 

 

 

----- お前の名は? -----

 

 

「…大丈夫。私は私だ。私になったんだ」

 

 

 

 私はもう、『あやめ』じゃない。例え頭を塗り潰されている無駄な抵抗だとしても、私は私の名前を捨てない。

 私は詩乃。誰にも呼ばれない名前、自分で自分につけた名前だけど、それが私の拠り所。

 滅鬼隊の生き残りで、かつては『あやめ』と名付けられ、今では屑みたいな男にいいように扱われている。霊山では『死隠』と呼ばれる暗殺者。……そんな女だ。

 いつの頃からか、『あやめ』でいる事に嫌悪を感じ初め、私は私で自分の名をつけた。それが、私に出来るたった一つの証明だった。

 

 

 この道を歩くと、いつもあの時の事を思い出す。私が、今から会いに行かなければならない男に連れられ、霊山にやってきた時の事だ。

 当時の私は、目を覚ましたばかりで何も知らない子供だった。…比喩抜きで、年齢的に。

 本来『あやめ』は20歳前後の滅鬼隊員なのだが、私が『あやめ』に変えられた時には素体不足だったらしく、幼い子供を無理矢理『あやめ』に改造したらしい。

 その行為自体も大概外道なものだけど、そこまで強硬した理由もひどいものだ。それは一部の研究者達の、変質的な趣向を満たす為だったのだから。

 

 

 その男は滅鬼隊が封印されるのを察知し、改造した『あやめ』…つまり私だ…を手元に置こうとした。

 他の研究者が保身の為に走り回るどさくさに紛れ、私を密かに盗み出し、犯して起こした。それが自分自身の欲望の為でしかない事は、今の私の状況が証明しているだろう。

 危険な任務に差し向けられ、報酬らしい報酬も無く、都合のいい時にだけ呼び出されて私欲を満たすのに使われる。任務に対する手助けも全く期待できない。

 

 

 ------ なぜそいつに従う? ------

 

 

 そんな事になるとも思わず、当時の私は刷り込まれた好意に疑問一つ持たずに、この道をあの男に連れられて歩いた。自分が何故連れてこられたのか、他の滅鬼隊がどうしているのか、考えもしなかった。

 知識としては知っていたが、見る者聞く物何もかもが初めてで、無暗に楽しかったのを覚えている。

 …その後、奴の私室でいいように弄ばれ、それを私は愛情故だと思って抵抗一つしなかった。

 初めて暗殺の指示をされた時も、『信用されているのだ』と思って素直に従った。…どれだけ盲目だったのか。

 

 

 暗殺は上手く行った。何せ当時の私は2桁にも届かない年齢だったのだ。そんな子供が狙撃手だなんて、一体誰が想像するだろう。

 子供の姿を活かして人目のつかない所に忍び込み、身の丈以上の長さを持った銃を苦労しながら設置し、標的を射抜いたら全力で逃げる。当時、長距離の狙撃が出来る銃の存在は想像すらされていなかったので、居場所を突き止められるまでに逃げる時間は充分にあった。

 初仕事ながら、充分に上手くやれたと言えただろう。後になって知ったが、滅鬼隊の実績を考えれば猶更だ。

 だけど、報告に戻って投げられたのは、おざなりな称賛の言葉だけ。その後、褒美と称して手ひどく犯された。

 

 暫くは、自分の存在を知られないように外に出る事を禁じられ、あの男の家で暮らした。

 何度目かの暗殺に成功した後は、家から出されて自力で生活しろと命じられた。以来、暗殺を任せられる時と、奴の欲望を処理する時に呼び出され、いいように使われている。

 

 

 

 自分の扱いや感情に疑問を覚えたのは、いつからだっただろうか。

 あの男の全てを肯定的に捉える自分。ぞんざいに扱われているのに、怒り一つ覚えない自分。

 いったい自分はどういうものなのか。滅鬼隊とは、霊山君直属の極秘部隊ではなかったのか。自分以外の滅鬼隊は、一体どうなったのか。自分が暗殺した人間は、一体何故殺されたのか。

 

 …いつからか、暗殺の合間を縫って、自分達の事を調べ始めた。

 あの男の部屋にある資料を密かに持ち出し、手掛かりを探し続ける。

 

 

 ----- その資料はどこにある  -----

 

 

 資料は奴の部屋に乱雑に保管されていた。他の誰にも見られないと、高を括っているんだろう。

 

 

 そして、真実に辿り着くまでそう時間はかからなかった。丁度、私が『死隠』の名で呼ばれ始めた頃だった。

 違法な実験によって作り出された滅鬼隊。顔も見た事のない同僚達は、保身の為に異界に沈められた。

 あの男は道具として扱う為に私を連れ出した。私に対する認識は精々、思ったよりも使える消耗品か、肉壺程度なんだろう。

 

 最初は、まさかと思って否定した。一縷の望みに縋った。

 だけど、弾薬の補充にすら協力せず、私を弄んだ後の薄笑いを見て、嫌と言う程理解した。私に対して、愛着すらももっていないと。

 都合が悪く成れば、躊躇わずに私を捨てる。それどころか口封じの為に始末すら行うだろう。

 

 

 

 それでもこうやって従うしかないのは、こうしないと気が狂ってしまいそうだからだ。あの男に触れないと、私は不安で眠る事すらできなくなる。

 部屋で見つけた資料にあったが、滅鬼隊に施された安全装置なんだろう。

 自分達の扱いに気付いたり、反発したりする隊員を逃がさない為、逆らわないようにする為の枷でしかない。

 …最初は、例えそうであっても自分の感情には間違いないのではないか、と悩んだりもした。

 

 だけど違う。断じて違う。

 これは『私』を塗り潰すものでしかない。奴にとっても、自分の保身の為のものでしかない。

 

 こんなものが自分に取り憑いているなんて、今すぐにでも首を掻き斬ってしまいたい衝動に駆られる。

 だけど、まだだ。まだやらなければいけない事がある。

 

 封印された滅鬼隊を解放して、奴らに報いを受けさせる。今の私は、それだけ考えていればいい。

 屈辱も憎悪も、全てはその糧だ。

 

 

 

 ----- 何故、直葉を狙った -----

 

 

 あの道場の子を狙った訳じゃない。元々、故意に失敗するつもりの任務だった。

 …危うく無関係な一般人を撃ち抜くところだった。弾を弾いたあの男に感謝するべきか。

 

 あの男の命令は、目を覚ました滅鬼隊の隊員を始末しろ、というものだった。

 命じられた時は『私』が塗り潰されていたので反抗一つしなかったが、それから逃れられれば多少は抗う事はできる。

 

 我に返った時は、命じたあの男にも、平然と受け入れた自分自身にも、腸が煮えくり返った。

 私が自滅覚悟で奴を始末しないのは、封じられている滅鬼隊を解放しなければならないからだ。私が狂い死んでしまえば、皆はずっと異界に封じられたままだ。

 直接会った事は一度もない同僚だが、それでも滅鬼隊の同胞だ。

 

 だというのに、解放された同胞を本当に撃つと思っていたんだろうか。

 

 

 

 …本当は、適当な場所に撃ち込んで、暗殺にしくじった事にしようと思っていたんだけど…。動揺して、つい引き金を…。

 あの『雪風』を見た時は、ひとりでも解放されてくれたのだと、胸の奥から熱いものがこみ上げてきた。例え自分の手で助けられなかったのでも構わない。

 あの子を見た時、奇妙な感覚を感じた。あの子は、同じ滅鬼隊の一員なのだと、すぐに分かった。…多分、これも私に刷り込まれた『何か』によるものなんだろう。

 頭の中を弄られているのは言葉に言い表せない程不快だが、便利と言えば便利なものだ。

 

 暫く、狙撃銃についている拡大鏡越しに雪風を見ていた。

 

 

 

 

 そして、滅鬼隊をもう一人見つけた。

 

 

 『雪風』については、居ると聞いていたので動揺はしなかった。目を覚ましたのはつい最近らしいので、滅鬼隊の事を何も知らなかったとしても不思議はない。

 だが不意に見つけたあの子…どう見ても、私と同じくらいの年月を生きていた。

 動揺のあまり体が硬直し、気が付けば狙いもつけずに引き金が引かれていた。

 

 …誤射で死にそうになってしまったあの子にはすまないと思うけど、それ以上に彼女の事が気にかかる。

 もう一人のあの子は、本当に滅鬼隊なのか。滅鬼隊ならば、誰なのか。

 何故解放されているのか。私と同じように、誰かに連れ出されていいように使われたりしていないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 …おかしいな。この道を通る時、確かによく昔の事を思い出すけど、今日は輪をかけてそれが強い。それに、思考が妙に乱れているような気がする。

 さっきの視線の錯覚といい、暗殺に失敗した事で気分が落ち込んでいるんだろうか?

 

 …落ち込みもする。これから向かう先で、私は罰と称してまた嬲られるのだろう。

 性行為を受ける事自体は、もう慣れた。どうでもいい事だ。滅鬼隊の女である以上、色仕掛けが任務になる事もある。上手くやれる気はしないが。

 本当に嫌なのは、その行為を喜んでしまう自分だ。どんなに嫌だと思っていても、私に植え付けられた安全装置がそれを受け入れてしまう。

 

 

 …何も考えるな。

 感じるな。無になれ。

 全てを諦めたように振る舞って、ただ時間が早くすぎるのを待てばいい。 

 

 

 

 

 

 …到着した。

 表札には『新川』と書かれている。ここに住んでいるのは、男が一人だけだ。つまり、そいつが私を呼び出し、いいように使っている張本人。

 他に出入りする者が居ないのは、私がここで暮らした時期から変わっていない。

 

 …その筈だ。

 

 

 

 ほんの少しだけ、違和感を感じた。どこがどう、とは言えない。

 ただ、普段は居ない誰かが居るような…そんな気がした。

 

 中に入って観察してみるが、それらしい形跡はない。草鞋は一つしかないし、誰かが侵入している様子も発見できない。家の中にある気配は一つだけだ。

 だけど油断はできない。

 もしもこれが気のせいではなく、奴が誰かを呼び込んでいたのだとしたら……とうとう私を切り捨てようと、始末する準備を整えているのかもしれないのだから。

 

 

 

 奴の私室の扉を開ける。…何も感じまいとしていたのに、少しだけ動揺した。

 

 

 ……こいつ、誰…? 本当にあの男?

 

 

 そこに居るのは、見慣れた…見たくもない…いつもの憎い男。

 だけど、普段と様子が違う。

 私が来た事にも構わず、本棚を漁っている。いつものこいつなら、私を見るなり欲望に満ちた視線を投げてくるのに。

 いや、そもそも本棚を漁るなんて事、一度だって見た事はない。だからこそ、私がここから資料を持ち出しても気付かれずに済んだ。

 

 …普段と様子が違う。翻意に気付かれた?

 背中に伝う汗を、努めて無視する。

 

 資料を元にに戻して振り返ると、違和感が増した。何処がどうとは言えないけど、何かが違う。

 容姿はいつも通り。外面を適当に整え、霊山の幹部のみが扱う事を許された衣服。腐臭を連想させる目付き。鍛錬など全く行っていないのが分かる、だらしない貧弱な体。…あの首に手を添えて、思い切り力を入れてしまえば、それだけで終わるだろう。何度それを実行しようと思った事か。

 

 だけど、今はそれに加えて、得体の知れない『何か』を感じる。首を圧し折るどころか、触れられる気さえしない。

 まるで、こいつの背後に何かが取り憑いているような。

 鬼に魅入られたのかと思ったけど、鬼の目では何も発見できない。…私の気のせいなんだろうか?

 

 

「…ああ、来たか」

 

 

 妙に穏やかな声。こいつの事だから、暗殺に失敗した事に逆上し、最初から気が済むまで怒鳴りつけてくるだろうと思っていたのだけど。

 それどころか、妙に静かに私を見ている。…いえ、観察している? 初めて会った人間を見定めるような、心の底を覗き込もうとするような視線。

 …初対面のような態度もそうだけど、こいつにこんな目が出来る筈がない。

 あれは、自分の世界に没頭して、上手く行かなければ癇癪を起す子供のまま、年を喰ってきた人間だ。

 

 

 

 じゃあ、この目の前に居るのは一体何?

 

 

 …いつもの胸糞悪い展開になりそうになくて良かったと思うべきか、想定外の事が発生して厄介なと思うべきか。

 上手く行けば、滅鬼隊を解放できるかもしれない手段が見つかったというのに。

 

 あの、私の銃弾を弾いたモノノフ…『雪風』を連れているあのモノノフ集団。奴らの協力を得られれば、滅鬼隊の解放は叶う。

 少なくとも、異界に封じられている『雪風』を引っ張り出して、目を覚まさせたのは確かだ。あの異界に潜る方法を知るだけでも、大きな前進になる。

 

 そこへ来て、目の前の男の異様な雰囲気。

 …屈辱的な立場に耐え続けてきて、ようやく運が向いてきた、と思いたい。

 もしそうであれば、この異変も私の追い風として働く筈。……眠っている滅鬼隊の皆。どうか力を貸してほしい。…別にミタマになれという意味ではない。

 

 

 

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