※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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第458話

 

 

「で、とりあえずついて来たけど………ここ?」

 

「道と森しかないわね」

 

 

 雪風と詩乃が、宛がわれた土地を見て呟いた。

 

 ゾロゾロと連れだって里の中を移動し、軽い挨拶もして到着。相変わらず、俺には神木の霊は見えないままだ。単純にそういう才が全くないのか、それともそもそも存在しないのか…。

 ウタカタの里は、大体の滅鬼隊員のお気に召したようだった。実際、いい里だものな。

 自然が豊かで水も豊富、食料は自給されている、里人はお人好し揃いで田舎によくある排他感も無い。実際に見ていなければ、「そんな都合のいい場所ある訳ないだろ」と思っちゃうような里だ。

 

 中身がお子様同然の滅鬼隊の情操教育には丁度いい。

 

 

 ともあれ、今いるのはモノノフ達が任務に向かう時に通る道と、その広場。

 ぶっちゃけ、何もない場所だ。

 

 

「家を作る当てはあると言っていましたが…いい加減、何を考えてるか教えてくださいよ」

 

「そうよそうよ。ここまで来て無理でした、は流石に勘弁してほしいわ。個室が無いのはまぁ、我慢するけど」

 

 

 それは俺が我慢できない。夜遊びするのに支障が出る。

 何を考えてるかってなぁ……言っても理解できんよ。俺だって、細かい原理を説明しろって言われても無理だし。クラフターの事を説明しようとしても、何をどう言えばいいのか分からない。

 

 まーなんだ、滅鬼隊の『特別なタマフリ』みたいなものを利用するんだと思ってくれ。

 

 

「…土遁でも使って、土木工事でもする気? 確か、昨日発作を起こしたまりが使えた筈だけど。でも、穴を掘っただけじゃ住居はできないわよ」

 

 

 取り敢えず間取りは………ここからあそこまであれば、全員が寝るには充分かな。高さは…2階は後で考えればいいや。身長が大きい子も居るから、ちょっと天井は高めにして。

 資材は……床、壁、天井………………計算するのメンドクセ。その辺の土、使えるだけ使えばいいや。

 

 まり、それに権佐! 土遁使えたよな? 悪いけど、その辺の……ああいや、あっちの川から水を引くような感じで、土を掘り起こしてくれ。で、ここの所にはちょっと深めの穴。

 

 

 

 二人と、どうせ暇だからと手伝ってくれる子達に助けられ、材料は確保できた。穴掘って積み上げられた土を、俺がポンポン叩くだけで消えていき、次の瞬間には綺麗な真四角になって出現するのに目を丸くしていた。

 更にそれを置いただけで、押そうが引こうが蹴っ飛ばそうが全く動かなくなるのに驚かれた。殴ると壊れるから、乱暴に扱っちゃダメよ~。

 

 

「…こんな特技持ってたの…。これを使ってれば、シノノメから霊山への道中も色々快適だったんじゃない?」

 

 

 いやー、あの時は諸事情あって出来なかったというか、まだ身に付けてなかったというか。

 ちゃんとした技術じゃなくて、夢から覚めたら何故か出来るようになってるんだよなぁ…。

 

 

「全く意味が分かりませんが、とりあえず便利だし不思議なので考えるのは止めました。で、つまりこれを使って家を作るって事なんですね。……空中にも固定ができるって、どうなってるんでしょこれ。天井を作るのには便利そうですけど」

 

 

 そういう事。水路がこう来て―、間取りがこうだからー、こっちが台所で、こっちが厠。風呂は別途作らないとな。

 これは土遁組と水遁組で協力して作ってもらおうか。沸かすのには火遁が必要かな…。

 

 

「皆って料理できるのかしら…。とりあえず、暫くは私が担当するわ」

 

「では、私は皆さんがゆっくり眠れるように、寝具の作成を。即席なので、下に敷く布くらいしか準備できませんが」

 

「ねえ、この家って今後の間取りとか考えてる?」

 

 

 今はあまり考えてない。ただ寝られるところ、としか。

 個人個人の部屋…は広さ的に難しいし、家の真ん中付近に日光が入らなくなるから、少し離れた場所に他の家を作って一部移ってもらい、その間に改築…かな。

 俺が言うのもなんだけど、男女が同じ場所で雑魚寝してるのってあまり良くないだろうし。

 

 

「「「どの口が」」」

 

 

 この口だよ。棚上げしてんだようるせーな。

 というか俺だから言うんだよ。このままじゃ、教育によろしくない遊びができん。

 

 …まぁ、それはともかくとして、とりあえず俺と土遁組はこのまま豆腐ハウス作っていくから、他の面々は明日奈について飯の準備と……神夜と詩乃は、残った連中を連れて一緒に必要な雑貨の買い出しを頼む。里への顔見世にもなるし、社会見学も兼ねてくれ。

 

 

「了解! 今からこれだけの人数のご飯を作るなら…煮物ね。雪風、教えてあげるから手伝ってちょうだい」

 

「わかったー! 今度お婆ちゃんに会ったら作ってあげるわ!」

 

「またきっつい役割ですねぇ…。この子達、ちゃんと言う事は聞いてくれるんですけど、衝動のままに走り出すんですよね…」

 

「見た目が大きくても、中身が子供なんだから仕方ない。…浅黄、元指揮官として何か一言助言を…」

 

「昔からこうだったわ。それで何度作戦が滅茶苦茶になった事か…」

 

 

 …おい浅黄、俺に全面協力するとか、お頭扱いし始めたのはお前だが…まさか問題児達の扱いを俺に押し付けて、自分は気楽な一戦力に戻ろう、なんてつもりじゃなかっただろーな…。

 

 

「……私の謀り事も、偶には上手くいくものね」

 

 

 

 後日のお仕置きが決定した。体を使っていいって言ってたし、じっくり気晴らしさせてもらう。

 

 

 

 

 そんなこんなで、取り敢えず寝床は確保できた。即席ながら複数あってトイレは水洗(和式)、炊事場も簡易のモノを作り、木材をマイクラ的に加工して作った荷物置き場も人数分ある。

 床は木張りで統一し、 扉は木製の引き戸。窓にも戸を付け、換気が必要ない時には虫の侵入を防ぐ事が出来る。

 

 即席で作ったにしては、上出来かな。

 

 

「上出来って言うか、凄すぎだと思いますけど…」

 

「何にせよ、暮らしが快適なのはありがたい事ですな」

 

 

 土遁コンビのコメントは対照的だ。性格が出ている。

 材料の調達、お疲れさん。

 

 

「生まれつき…生まれつき? 使える術で土を積み上げるだけでしたから、大した苦労はありませんな。しかし、お頭も妙な術を持っているようで。この手のタマフリとは違う術は、滅鬼隊の専売特許だと思っていましたが」

 

 

 妙な力を持ってる奴なんて、ちょいと探せば案外転がってるもんさ。

 さて、改築と増設は明日から考えるとして、他の連中はどうしてる?

 

 

「飯の匂いが漂ってきますんで、明日奈嬢の方は大丈夫そうです。雪風の嬢ちゃんが居ても、惨事にはならんかったようで」

 

「雪風さんも無茶はしませんよ…多分」

 

「買い出しに行った面子は、まだ帰っていていませんが…まぁ、大丈夫でしょう。神夜嬢が引率しているのに、逆らう阿呆はそうそう居ません」

 

 

 すっかり手綱握ってるなぁ…。ウタカタまでの道程で怒られたのが、そんなにキツかったのか、滅鬼隊。

 いや、怒られた事もない子供が初めて刀持って脅されたと思えば、無理もない…のかな? 初めてでなくても刀で脅されるのは、怖いってレベルじゃないか。

 

 

 そんじゃ、飯と帰りを待つ間は休憩してよっか。

 

 

「…お頭もですか?」

 

 

 お頭って俺だよな…。別に文句はないけど、大和のお頭と被るのはよくないな。

 

 

「そんなら……若、とか?」

 

 

 それだと、俺が大和のお頭の子供って事になりゃせんか?

 

 

「じゃあ……御館様?」

 

 

 ゆぅきむるぁ!って叫びたくなった。まぁいいか。

 俺は休憩がてら、何処に何を増設するのか考えてみるよ。

 

 男女比が偏りまくってるからなぁ…。男女で分かれて寝床を作るとして、大きさだけで考えても掘っ立て小屋と武家屋敷くらいに扱いに差が出てしまう…。

 必要な空間と人数が違うって事で納得してくれるとしても、目に見える扱いの差を作るのは望ましくない。対立の原因になりかねないし、何より俺が情婦を作る為に贅沢させてるんだと言われると反論できん…。

 それに、ただでさえ人数比の関係で、男性組は肩身が狭くなってるんだ。女性組の圧力に呑まれてしまわないよう、適度に距離をおいておきたい。

 例え男性組が女性組以上の戦果を挙げても、私生活の力関係は全く別の話だしなぁ…。

 

 

「休憩できてませんよぅ。ええっと……な、何か緊張を解せる事……」

 

「男を休ませるなら、膝枕がお勧めだぞ、まり嬢ちゃん」

 

 

 是非。あ゛あ゛~、気弱な真面目眼鏡っ子のむちむちフトモモに癒されるんじゃあ~。

 …にしても権佐、お前って封印前に活動してたんだっけ? こっちにくるまでに話した時は、前の事は全く覚えてないって言ってたが。

 

 

「ええ、今でも全く思い出せません。ですが、何となく『こうだろう』という意識と言うか印象があってですね…。まぁ、『権佐』になる前の名残なんじゃないでしょうか」

 

 

 サラッと闇の深い話が出てくるが…そうだな、そういや今呼んでる名前も、本名じゃなくて型番名みたいなものなんだよな。

 詩乃も自分で自分に名前つけてたし、やっぱりそういうのは大事だよな…。今からでも名前、つけるべきか…。

 浅黄が言ってた事が事実なら、今後別の保管場所に居る滅鬼隊を起こす事になるかもしれない。同じ型番の人間が二人いては、話がややこしくなりそうだ。

 

 

「気にしなくてもいいんじゃないですか? 少なくとも、今の俺にとって名前は『権佐』です。今から別の名を名乗れと言われても困りますよ」

 

「わ、私も…です。それに、一人一人に全く別の名前をつけるのって、大変じゃないでしょうか。つけるのもそうですけど、覚える方も大変です」

 

 

 ……それも否定できんな…。

 それに、今までの名を突然奪われて、別の名を名乗らせるのは洗脳と大差ないか。

 ま、その時になったら考えればいい。「タヒねレプリカ!」なんて事にでもならない限り、問題は無い。

 今はまりの膝枕でゆっくりしよう。

 

 

「あっ、ちょっ、うつ伏せにならないでっ、頬擦りしないでっ、お、お尻揉むの駄目ぇ!」

 

「はっはっは、犯罪っぽい絵面ですなぁ~」

 

 

 男に膝枕させるってこういう事よ~。触られてるのに膝を崩そうとしないのは何故だね?

 嫌がって無さそうだったら、どんどん過激になっていくのだ。

 

 

「~~~!

 

 

 抗議するように、頭を上から抑えつけられた。が、その行為はむちむちフトモモに顔を押し付けるだけですな。ああフローラル…。

 

 

 

 ……………次に作るのは風呂だな、決定。

 いや別に臭いとかじゃないんだけど、霊山からウタカタまで急行してきたから、やっぱ身綺麗とはいかないわ。汗拭く程度しかできなかったもんな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 飯の準備が着々と進み、神夜達が里から戻って来た頃。

 俺と土遁組は、次の作業を行っていた。さっき決めた通り、風呂……は流石に沸かすのに手間がかかるし、大がかりになってしまいそうなので、小さなシャワー室を作る。

 座って寛げる程ではないが、体を洗うには充分なスペースと脱衣所、不法侵入や覗きができないようにつっかえ棒を用意し、窓は無し。換気の為、天上に小さく穴を空けた程度。

 

 問題はシャワーについて。地面から頭の上まで水をどうやって持ってくるか。そして加熱はどうするか。

 だったんだが、意外と何とかなってしまった。半分はマイクラ的加工のおかげだが、半分は滅鬼隊員の協力によるものだ。

 

 頭の上まで水を持っていくのに関しては、手動式だがポンプを作る事が出来た。イメージとしては、アレだ、こう…一斗缶とかから液体を移す時に使うような、アレだ。

 これの大きなものを使って、シャワー部屋の上に設置したタンクに水を満たす。そこから配管を伸ばして、部屋の中へ。後は必要な時に、手元のスイッチなり取っ手なりを弄れば、水が出てくるって寸法だ。…ちょっと勢いが強かったけど…。

 材料? マイクラ的加工と、ふくろ の中を漁って出てきたモンスターの素材を使ったんだよ。鬼の素材でも出来そうだったけど、あれは動きがイマイチよく分からん。使うなら、たたらさんに性質について教えを請うた方がいいだろう。

 

 

 

 加熱については、案外簡単だった。頭の上まで水を運ぶ事が出来たなら、そこで溜めて加熱すればいいだけだ。火加減を誤ると、熱湯を頭から被る事になるけども。

 「俺の炎は、鬼を焼くのに使うものなんだぞ…」とブツブツ言いながら協力してくれたのは、炎を操るタマフリを持つ舞華。

 大柄でぶっきらぼう、ヤンキーっぽい口調で、その実可愛い物が大好きらしい彼女は、何故か木の枝を口に咥えながら、あっという間にタンクの水を温めてくれた。湯加減火加減まで完璧だ。

 

 

「そうだろ? 俺の炎は普通の炎とは一味違うぜ。俺にとっては、体の一部みたいなもんだしな」

 

 

 よし、じゃあ舞華は風呂係に決定って事で。

 

 

「…はぁ!? ざっけんな! 何で俺がそんな事を!?」

 

 

 そう怒るなよ、一番風呂使っていいし、他の日常生活での作業はある程度軽減するから。

 いつまでも風呂ばっかり焚いてろって事でもない。他の担当を探すなり、人力に頼らなくても温度を維持する方法とか考えるから。

 

 

「む……他の面倒くせぇ事をしなくていいのはでかいな…。一番風呂は俺も気分がいいし…。…………まぁ、頭からの命令じゃ仕方ねえな…」

 

 

 よし。風呂焚き要員確保。これなら、シャワーだけじゃなくて浴槽も出来そうだ。

 他にも、ちょっと考えれば日常に応用が効きそうなタマフリ持ちが沢山居る。人材頼りではあるが、思っていたより快適な暮らしを送れそうだ。

 

 

「よっしゃ、じゃあ早速一浴びして」

 

「ただいま戻りましたー!」

 

 

 

 おーう、おかえりー。

 舞華がシャワー室に入って行こうとした時、神夜の声と、大勢の足音がした。買い出し組のお帰りである。

 

 

「どうやったのか知らんが、本当に家が出来ているな…。この素材は何だ? 単なる土ではなさそうだが。家を一つ作るのに使った材料はどれくらいだ?」

 

 

 あら、大和のお頭いらっしゃい。…ああ、舞華、そのまま入って構わない。まりと権佐も、後は好きにしてくれ。

 

 壁の素材は土だよ。あんまり頑丈じゃないから、叩いたりしないでくれ。崩落はしないが穴は開く。

 

 

「ふむ…確かにあまり頑丈ではないようだ。しかし、それでも小型鬼の道を阻むくらいはできそうだな。半日もかからずこれだけの規模の家を作った辺り、時間も必要なさそうだし…」

 

 

 侵入を阻む仕切りみたいなのを作るのは構わないけど、その分モノノフの行動も制限されるぞ。

 やるならやるで、場所を精査しないと。

 特にこの辺りに乱立させてしまうと、モノノフの出撃時に不便極まりない。むしろ鬼の方が出口で待ち構えるかもな。

 

 

「分かっている。鬼が大群で押し寄せてきた時の対策は、昔から頭を痛めていたのでな。手札が増えるだけでもありがたい」

 

 

 ところで、そっちに行ってたウチの連中、何かやらかしたりしませんでした?

 

 

「騒がしかったが、問題がある程ではなかったぞ。神夜と言ったか、あの引率役からお前に迷惑がかかる、と言われるとすぐに大人しくなった。慕われているな」

 

 

 …慕う、でいいんですかねぇ。どんな経緯だろうと、その場で感じた感情と衝動は本物、と言い切る事もできますが。

 

 

「構わんだろう。人が不相応な地位について、人の上に立って振る舞えば、1日2日程度でも強い反感を持たれるものだ。少なくとも、お前は彼女達の頭領として認められているのは間違いない。尤も、俺に言わせればまだまだ足りないものだらけの若造だがな」

 

 

 そりゃ、元は一介のハンター…いやモノノフでしかないからね。…それが人材育成やらギルド運営やらプロデューサー紛いの竿師やら、色々やったもんだ。

 ところで、明日からのモノノフとしての任務はどうなってます? 働かざる者食うべからずが基本だし、任務に当たらせるのはいいんだが、その前に一人一人適正や練度を見極めていきたいんだけど…。

 

 

「それ自体は構わん。任務も今のところ、そう急を要するものはない。しかし、お前はそうやって全員を自分で見極める気か?」

 

 

 ? そりゃ、そうしないと把握できないし。特に今のところ、個人の練度を現す段位みたいなものも無い。

 班分けするにしても、得意な武器、苦手な状況、考え方の傾向とか、色々把握しなきゃならんでしょう。適当に組ませて仲違いしている間に全滅しました、じゃ話にならん。

 

 

「一番最初の大変な時期だから、というのは分かるが、無理に自分でやろうとするな、馬鹿者。お前以外にも、相応の実力者が居るだろう」

 

 

 ってーと…神夜、明日奈、詩乃、浅黄…かな。

 しかし、浅黄をその手の役職に据えると、妙な事を考える奴が出かねない。中身が子供だから、『気に入らない』の一言で行動したとしても意外ではない。それ防ぐ、或いは黙らせるのを考えるくらいなら、一人分人手を削ってでも…。

 

 

「まだ視野が狭い。これから滅鬼隊は、誰と共に戦う事になる? 滅鬼隊だけで戦わせるというのなら止めはせんが、その場合奴らが知る世界は身内だけの狭い物になるだろう。今後、お前が隊を纏め続けるにせよ、独立していくにせよ、まず学ぶべきは何だ?」

 

 

 ! …他者との関わり方、その中で自分達はどのような立ち位置に居るのか。

 つまり……そっちのモノノフ達と戦わせて、力量を計ればいい…と?

 

 

「その通り。こちらとしても、若造共に喝を入れたいと思っていたところだ。主力級部隊との力量が隔絶している為、鍛錬は行っていても追いつける気がしないと、諦めが見えてきていてな…。後輩が追い上げてきていると思えば、素振りにも身が入ろう」

 

 

 成程なぁ…。じゃあ、実際にどうやって戦わせるか、だけど…。

 

 

「くじ引きで代表者を決める。5,6人程度でいいだろう」

 

 

 …マジすか。

 

 

「と言うのは建前だ。一組くらいは本当にくじでも構わないが、基本的にはほぼ同格程度の組み合わせとする。訓練兵、新兵、熟練兵、準主力、主力級…。どっちが勝っても構わんから、そこまで深く考える必要はない。違いの力量を確認し、そちらの人員が鬼との闘いに出られるかを確認するのが目的だ」

 

 

 で、その戦いを見て、俺も滅鬼隊員の傾向を把握しろ、と。

 催し物としてはそこそこ面白そうだし、一人一人対峙して観察するよりは楽そうだな。

 

 

「今後も定期的に行い、その度に人員は変える。充分と判断したものから、戦場に出せばいいだろう」

 

 

 …要するに、シノノメの里でやってた練武戦みたいなもんだな。

 さて、どうするか…。

 正直、提案はありがたい。俺一人で全員見るよりも楽だし、滅鬼隊員は自分達のグループ以外との交流が極端に少ない。慣らすなら、少しでも早い方がいいだろう。

 

 

 

 

 

 それはそれとして、負けるのは嫌だな。

 

 

 

 

 

 あと、そろそろ神夜が戦いたいって暴れ出す頃合いだし。

 

 

 

 

 

 うし、一丁やるか。

 

 

 

 が、やっぱり生活基盤の安定が最優先なんだよなぁ…。舞華みたいに日常に使えるタマフリ持ちも居た事だし、他にも……いや、逆か。便利な物ほど戦いに応用できるって言うし、それ用に作り込まれたタマフリなら、使いどころを見極めれば何か出来るだろ。

 

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