※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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発売までに、あと1回くらいは投稿できるかな…。
仕事でミスってテンション落ちなければ多分。

最近、肉肉しい食生活してたから、野菜スープ作ってみました。
作りすぎた。


第46話+外伝3

神無月ネコ(ヴァジュラ)の皮を被る日

 

 経緯はどうあれ、カノンは戦えるようになり(俺が相棒でなければ誤射確定だが)、正式に俺とコンビを組む事になった。

 カノンからの好感度は…まぁ、頼れる先輩という所だろうか?

 俺の施した特訓のおかげで命中率があがったのは事実だし。

 

 救いがあるのは、まだ裏カノン様が明確に出現していない事だ。

 もっと強いストレスや危機感が必要なのか、それとも別に何か切欠があるのか…。

 

 

 何れにせよ、今後裏カノン様がご光臨なされる可能性は非常に高い。

 今は俺ができるだけ庇い、誤射もしないように小細工しつつ動いているけど、永遠にこのコンビが続く訳じゃない。

 異動だってするだろうし、ひょっとしたら誰かが追加されてトリオになるかもしれない。

 そんな時、カノンの誤射癖をそのままにしておくと……。

 

 

 

 うん、ゲーム以上に悲惨な未来が見えるな。

 カノン自身も、組まされた相手の方も。

 

 

 しかしそれをどうにかできる自信は無い。

 いや、出来る限りの事はするし、結果がゲームの通りになると妄信している訳ではないが。

 

 

 

 

 それ以前に俺は俺の保身を優先する。

 つまり、この後何処で誰に誤射しようと、とりあえず俺に誤射させない事が最優先。

 …別に間違った事してないよな?

 方法論の問題だ。

 

 結果的には俺の保身そのものだけど、いきなり誤射を全部治そうとするんじゃなくて、「この人が居たら引き金をひいてはいけない」みたいな特定の条件を刷り込みする方が簡単だろう。

 そして後は、「この人も駄目」「この人も駄目」「この人も駄目」で増やしていけばいい。

 

 上手く行かなかったら、単に俺も誤射の脅威に晒されるだけ。

 そんなに不公平な話でもないと思う。

 

 

 さて、どうやって躾け…ちょうきょ…もとい刷り込みするかな…。

 裏カノン様が出てくる前に種を仕込んでおかないとヤバそうだ。

 

 

 

神無月メゼポルタで逃がしたモンスターをドンドルマで討つ日

 

 カノンが居る為、軽い戦闘を2~3戦して終わり。

 「普通のゴッドイーターは、連戦したりしませんよぅ」とか言ってたが、出来るんだから問題ない。

 カノンだって普通についてこれたじゃないか。

 昨日はちゃんと休みだって取ってるし、疲労も溜まってない。

 

 ……このままコウタやアリサにやったようなブートキャンプいくか?

 レベルアップはしそうだが……いや、止めておこう。

 ストレスを与えすぎて、それこそ裏カノン様が出てくるような気がする。

 まぁ、出てきてしまったら諦めて普通にミッション続けるだけだけども。

 

 

 んー、しかし本当に、どうやって撃ってはいけないという意識を仕込むかな。

 洗脳はできるが方法が非常に限られる。

 ことに、性を絡めた手段に偏っている為、出合って間もない特別な関係でもない相手には使えない。

 

 

 

 となると……?

 

 

 

 

神無月縁の下の回復役日

 

 昨日は連戦したのでカノンは休み。

 俺?

 言うまでも無かろう。

 

 

 さて、神機の慣らしも兼ねて適当にデカブツ狩ってきたんだが(ヒバリさんが唖然としてた)、帰りに食堂でカノンが潰れてるのが見えた。

 いや、別にぺちゃんこになった訳でもタイラナムネになった訳でも、アルコールのニオイに溺れている訳でもないが。

 

 とにかく、どうやら昨日の疲れがドッと押し寄せてきたらしく、ケーキを前に突伏して動かない。

 …ケーキを遠ざけようとすると呻いた。

 甘いものが好きか。

 そういやお菓子作りが趣味だったっけ?

 妙なところだけ女の子している…いや妙な所じゃなくて真っ当な所だけ?

 

 

 

 

 そうか、菓子……甘味か…。

 

 

 

 

 

 餌付けするか。

 

 

 

神無月モドリ玉が無ければ、乙って戻ればいいじゃない日

 

 甘いものが正義か。

 ならば辛いものは真理か。

 少なくとも酒は神だ。

 この世知辛い世の中で、僅かに口にするだけでイヤな事を忘れとってもいい気分にさせてくれる。

 神がこの世界で齎す、数少ない物理的な奇跡である。

 

 その後、頭が割れそうに痛もうが吐こうが、溺れて惨めな末路を通ろうが、全く慈悲を与えないのも実に神らしい。

 

 ともかく、甘いものには中毒症状があると言う。

 それがどれくらい強いものなのかは知らないが、美味い物が中毒になるのは元日本人たる俺の身に染みている事だ。

 ことに、この世界のメシはマズい。

 凄腕の料理人が揃っている上、比較的上質な食料が手に入るからフェンリルではそこそこの味を楽しめるが、この荒れ果てた世界でちゃんとした作物はそうそう育たない。

 

 当然、砂糖の類は天上知らずに貴重品になっていく訳だ。

 これがお菓子作りにどれほど影響を与えるか、考えるまでもないだろう。

 恐らくカノンも、菓子作りに携わるなか、日に日に遠い存在になっていく砂糖に何度も何度も歯噛みした事だろう。

 

 

 駄菓子菓子!

 

 俺の場合は違うッ!

 伊達にMH世界・GE世界・討鬼伝世界と転々としていないッ!

 この世界ではもう無いに等しい珍味も!

 カノンが求めてやまない砂糖もッ!

 幻想的な味(ヤバいマッシュルーム的な意味で)がする食材すらッ!

 全てこの手もといふくろの中に収めているのだッ!

 

 今回は榊博士の協力も得られそうにないから、サンプルとして取っておく理由もない。

 これを使ってカノンをスイーツイ……ゲフンゲフン、スイーツジャンキーにしてくれる!

 

 そして俺に誤射する毎に、供給される砂糖その他の量が減っていくのだー!

 

 

 ころしてでもうばいとる?

 

 フハハハ、出来る物なら、止めてくれるがいい!

 いやホントマジで止めて。

 

 だがこれからは裏カノン様の襲撃に備え、色々と防御策を練るからな!

 返り討ちにして抑え付け、見せ付けながらセクハラしつつ目の前でクッキーを貪り食ってやろう!

 

 

 よーし、そうと決まれば話は早い!

 カノンはまだ食堂で突伏しているようだから、鼻先に天然モノ(MH世界産)を突きつけてやろう。

 どんな反応をするか楽しみだ。

 

 

 

 

神無月医者の不養生、鍛冶屋の錆び包丁日

 

 カノンよりも周囲の反応がヤバかった。

 この世界、天然モノの砂糖は思っていた以上に貴重らしい。

 

 カノンの鼻先にブツを突きつけてやったら、「て、ててててて天然の砂糖ですかああああーーー!?」と大絶叫。

 周囲から一気に注目された。

 

 偶然食堂に着ていた、金への執着で有名なカレルさんとか、どう好意的に見ても金塊を狙う強盗の目だった。

 もしも手に入れたなら、彼の場合は食べずに転売していたことだろう。

 

 …特に厨房の方々からの視線がヤバかった。

 冗談抜きで殺してでも奪い取ろうとしている殺気を感じた。

 

 厨房のオバサマ方には優先して幾らか渡す条約を締結した。

 リーダーの方にはお子さんが居て、この子も料理の道を志しているそうなので、きっと喜ぶだろう、との事。

 名前は確か、ムツミちゃんだったか?

 ……GE2で聞いた名前のような気が……でもメインキャラじゃないよな……黒蜘病にかかる子だったっけ?

 よく思い出せない。

 とりあえず、赤い雨には絶対触れないようにと伝えておいたが、何のことだかよく分かっていないようだ。

 俺も分からない。

 

 

 …それはそれとして、「私(俺)にもよこせ」という視線を結構な頻度で感じる。

 特に強い視線を感じて咄嗟に視線を辿ったら、同じく咄嗟に柱の影に隠れた…あの影のヒップラインは雨宮指揮官だな。

 相変わらず悩ましいスタイルをしていらっしゃる。

 

 ううむ、やはり極東だからか?

 ジャパニーズの美味いモン大好き魂が、ここまで根付いているのか?

 

 

 …賄賂に使えそうだ。

 次のアイテムはカレー粉(モドキ)とかどうだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よろず屋に商談を持ちかけられたが逃げた。

 

 

 

 

神無月KENZENな精神は不健全なまでに鍛えられた肉体に宿る日

 

 カノンがスッゴイ真剣な顔で、お菓子を作りたいので今日は任務を休ませてほしいと言い出した。

 …これ、普通の企業とかで言ったら説教通り越してクビものじゃなかろうか…。

 まぁ、俺は別に構わんけど。

 8割以上狙った結果だし、これで上手く行けば裏カノン様が俺に逆らわなくなる第一歩だ。

 

 菓子作りに鬼気迫る表情で……いや、なんか違うな……そう、神の領域に踏み込もうとする求道者、聖者の如き澄み切った表情のカノンを放置し、俺は(シバく)狩りへ。

 カノンさんは厨房にお菓子作りに行きました。

 そうするとなんという事でしょう、搬入口から人が入れそうなくらいに大きな桃……いや、ここで桃はあんまり面白くないな…もうちょっと捻りを…。

 

 ……人が入れそうなくらいに大きなアルダーノヴァが…………。

 

 

 捻ってみたけどやっぱり面白くない。

 やはり俺にユーモアは無いようだ。

 

 さて、小粋な駄冗句は置いといて、カノンは割りと計画通りに動いてくれてるようだ。

 討鬼伝世界で速鳥に習った、ワリとエゲツない感じの情報操作や意識誘導の効果もかなりのもの。

 …性行為による洗脳よりも、こっちの方が効率いいな。

 

 

 

 

 

 

 ……上手くやってれば、オオグルマから洗脳によるNTRも可?

 イ○ポになって代償行為として洗脳に手を染めてるんだから、そこから同じ洗脳で奪ってやったら拠り所を無くしてそれはもう愉快な顔に…。

 

 

 …いかん、思考がかなりゲッスい感じに引きこまれた。

 俺はアリサを手駒にして愉悦したいんじゃない、手篭めにして可愛がりたいんだ。

 ここんトコ間違えたらアカンよ。

 

 

 

 ともかく、カノンは俺に多大な恩義を感じているようだ。

 それは大げさにしても、「絶対に隊長(俺だ)に誤射しません!」と勢い込んでいる。

 

 …某グラサンヒゲの司令のように顔の前で手を組んで、「こちらには君に、定期的に砂糖を供給する用意がある。ただし、その量がどれ程になるかは君の誠意次第だ…」とかやってたのが原因か?

 近くに居た人に、「おい、まさか誤射を治すためだけに…?」と聞かれて、こっそりドヤ顔しながら「その為の、砂糖です」とか言ったからか?

 …この辺で、周囲からの圧力がかなり増してたんじゃが…。

 まぁ確かに、一ゴッドイーターの誤射を治すためだけに、江戸時代のコショウより貴重な砂糖を定期的に渡します、なんて聞かされれば無理もないか。

 同じ量の黄金より貴重とか、なんかもうね…。

 

 

 よく考えなくても一攫千金だ。

 これ、討鬼伝世界でも出来るかな?

 

 

 

 

神無月雷光虫を見てジンオウガを見ず日

 

 宣言通り、カノンは俺に誤射をしないように慎重に立ち回っているようだ。

 俺がカノンの邪魔にならないように上手く動いているのもあるが、今のところ誤射はしていない。

 すぐ横を掠めていった事はあるが、むしろカノンの方が顔を青くしていた。

 そんなに砂糖がほしいか。

 

 昨日作ったというお菓子もお裾分けされたんだが、結構なお手前で。

 MH世界の色々な味を食べなれてなかったら、こっちが餌付けされていたかもしれない。

 

 先日は、俺がミッションから帰って来るまで、出撃口の横で待っててくれたんだが…律儀と言うか何と言うか。

 周囲からのお菓子を狙う視線が怖かった、とはカノンの談だ。

 ツバキさんからの視線に屈して、一つ渡してしまったとかナントカ。

 

 

 さて、カノンの誤射抑制はこの路線でいいとして、これから何をすべきかね?

 最近、カノンにかまけていたので、ターゲットにしていた黒爺猫の群れは見失ってしまった。

 群れがどんどん減っていくのに相当な警戒心を持ったらしく、かなりの大移動をしたようだ。

 今から見つけるのは、相当骨が折れる。

 

 それに加えて、新人であるカノンと正式に組んだ為、接触禁忌種の捜索任務から外された。

 まぁ、普通に考えてルーキーを連れて、交戦=死と思われている連中と接触しろなんて言わないよな。

 

 当面、カノンをスキルアップさせながら……そうだな、この際だから整備班や開発者達に少し話を聞いてみるか。

 GE2にあったようなリンクサポートとか、まだ実現されてないアイデアが色々あるだろう。

 リンクサポートにしたって、リッカさんが何年も研究して、ようやく(血の力という不確定要素があって)実現できた筈。

 眼を通しておくだけでも、何かいい拾い物があるかもしれない。

 

 

 

 

 …ん?

 

 血の力って、要するに感応種と同じ力だったよな?

 で、前のループで、その感応種が何故か出てきて、しかも使っているのは霊力で…。

 血の力に必要なのが強い意思という点でも、霊力と血の力は非常に近しい性質を持っていると予測できる。

 

 と言う事は……リンクサポート、俺だけが使う分には問題ないんじゃないか?

 

 

 

 

 

神無月ゴッドイーター、オラクル溜め易くエイムし難し日

 

 無理だった。

 リンクサポート自体はアイデアとして認められているし、その雛形の設計図も一応出来てはいる。

 が、まだ実際に作った訳ではないし、何よりも俺が勘違いしていたようだ。

 

 リンクサポートの理論上、使用不能なのは「リンクサポートをしながら、神機を武器として使う」事。

 神機を単なるリンクサポート要因とする分には、血の力だの霊力だのは必要ないみたいだ。

 まぁ、血の力にせよ霊力にせよ、まだこの世界では認められていない力だ。

 そんなのを使う前提で設計する筈が無い。

 

 

 とは言え、収穫が無かった訳ではない。

 「あのとんでもない神機の使い手」という事でリッカさんを初めとした整備班・開発者達には顔を覚えてもらえたようだし、アイデアとして暖めている幾つかの案件も見せてもらえた。

 まだ理論上の話でしかないものが殆どだったが…。

 

 ちょっと気になる物があった。

 何でも、神機には基本的に、幾つも拘束具が付けられているそうなのだ。

 何故?と言われれば、神機と言えどもアラガミだから。

 アラガミしか食わない偏食に調整してあるとは言え、極限の飢餓に追い込まれれば、何でも食べるようになってしまうかもしれない。

 そうでなくとも、神機は無機物ではない。

 意思を持っているかはともかくとして、生物なのだ。

 生物が何もせず、一生を不動で動くとは考えにくい。

 なので、暴走に備えて拘束具を何重にもつけている。

 

 拘束を解いたらどうなるのか?

 神機の状態にもよるが、まず考えられるのが暴走だ。

 特にアラガミが目の前に居たら、食欲を満たす為に使い手の意思を無視して…或いは使い手をアラガミ化させてでも、それに飛び掛っていく事が考えられる。

 この点については、神機が出来上がって間もない頃、幾つか事例があったそうだ。

 

 

 だが、この暴走を抑え込めたら、どうだろう?

 拘束具で抑え込むのではなく、神機を暴走させ、しかしそれをコントロールできたら?

 …理論上は、暴走して色々な出力が上がった神機を自在にコントロールできたなら、リンクバースト以上のパワーアップになるのではないだろうか。

 

 

 

 …まぁ、机上の空論もいいところだろうが…どうにも気になる。

 

 神機がアラガミ、或いは動物的な本能に基づいて行動(捕食)するのであれば、それを抑える方法も同じ事。

 動物と同じように、俺が主だと認めさせればいい。

 暴走しようとするバカ犬を、忠犬に変える訳だ。

 

 

 ここで思い浮かんだのは、MH世界のレジェンドラスタ・キースさんだ。

 彼が使っている武器は神機ではないが、単なる太刀だった。

 しかしその太刀を、武士独特の異様なまでの丁重な取り扱いをする事で、2~3度斬るだけで錬気ゲージマックスというアホみたいな能力を実現していた。

 …あれは…今考えると、それだけの精神力・集中力を持っているだけでなく、太刀の方がキースさんに力を貸していたのではないか?

 霊力も無ければ妖怪や神も居ないMH世界であっても、あれだけの精神力を持った人に、アレほど大切に扱われ続けていれば、微弱ながらも九十九神の類になってもおかしくない。

 

 …想像と言うよりは妄想の領域だが、要はそれと同じ理屈だろう。

 恩義、忠誠、恐怖、欲望……何でもいいから神機に自分を認めさせる。

 そうすれば神機は拘束具を外しても暴走…はするが、使い手のコントロールに従ってくれる、と。

 

 

 霊力や九十九神云々はぼかしてこの案を話してみると、数名がなんか興奮していた。

 まだアイデアだけで、具体的な方法は全く思い浮かんでいなかったらしい。

 「神機に自分を認めさせる」というアイデアが天啓だったとか。

 研究して、成果があれば教えてくれると約束してくれた。

 

 

 

 

神無月今のは通常弾ではない。メテオだ日

 

 またカノンを連れて連続ミッション。

 最近では3~4回の連戦でも文句を言わなくなってきた。

 誤射は…まだ完全に治ってはいない。

 

 今日は2回食らった。

 「砂糖が減っちゃう!」とカノンは顔を青ざめていたが、まぁ上出来な方だろう。

 供給量はしっかり減らすが。

 そろそろ他のチームとの合同任務を試してみてもいい頃か…。

 

 幸い、カノンの誤射癖はまだそんなに広まっていない。

 俺との訓練をこなすまで、そもそも敵に真っ直ぐ弾を飛ばす事すら困難だったんだから、それも当然か。

 うーん、何処と組んでみるかな。

 まだ他のチームに対する誤射がどうなるか分からないんで、後々面倒になりそうな人達は御免蒙る。

 

 となると……リンドウさんとかサクヤさんかな。

 ジーナさんでもいけそうだが、なんか妙な反応起こしてとんでもないモノが目覚めそうな気がする。

 誤射姫様が生と死の交流とか言い出したら洒落にならん。

 死を担当するのが主に味方になってしまう。

 

 

神無月神機の歯を、60歳までに20本残そう日

 

 今後の繋がりの事も考えて、リンドウさんに協力を打診した。

 二つ返事でOKを貰えたが、リンドウさんも丁度新人の付き添いに出るところだったらしい。

 …って、新人ってコウタ?

 ああ、もうそんな時期か。

 

 既に2~3度任務についているらしいが、動きは…まぁ、やはり新人と言った評価らしい。

 「姉上の教導を受けて心が折れてないのは、素直に評価する」だそうだが…そんなに辛かったか?

 …一般人には辛かったかもしれんな。

 俺はどうって事なかったが。

 

 任務に先んじてコウタと顔合わせしておこうかと思ったが、今日は休みの日で、家族に顔を見せに行っていたようだ。

 …フラグとしては低レベルなものだが、相変わらず死亡フラグをナチュラルに立てるヤツ…。

 ゲームの初プレイ時は、きっと殆どのプレイヤーが「コイツそろそろ死ぬんだろうなぁ」と思っていたんだろうな。

 その強運を、上田に分けてやってくれ。

 

 

 

 

 すっかり忘れてた。

 上田はどうした。

 

 

 

神無月尻を蹴飛ばすのもガーグァの縁日

 

 

 出撃前に調べたが、上田さんはまだ生きているようだ。

 危ない危ない…流石に見殺しは後味が悪い。

 一応、毎回アナグラまで連れて行ってくれる恩人だ。

 できるだけ助けるとしよう。

 …運よく例のシーンにブチ当たったらな。

 今回は何が悪かったのか、「上田」の名前が広まってないから、上を警戒する癖もついてないっぽいし。

 

 

 さて、肝心のミッションについてだが……うんまぁ、コウタは予想通りだな。

 リンドウさんも言ってたが、まだまだ新人。

 一人での討伐は難しいし、ちょっと慌てるとすぐに弾が明後日の方向に飛んでいく。

 これからに期待、だな。

 

 リンドウさんも、同じガンナーかつほぼ同期のカノンと会わせる事で、成長と言うか刺激を期待したらしいし。

 ……刺激ねぇ…。

 

 

 

 

 そして我らがカノンの方だが……なんというかその……リンドウさんが「なにごとだ」と平仮名で呟くくらいに豹変した。

 そう、満を持しての裏カノン様ご光臨である。

 …予想はしてたんだが、正直あのタイミングは予想外でした。

 

 何があったって?

 

 討伐開始⇒発見⇒即降臨、以上。

 

 いやぁ見事な早撃ちだった。

 前衛後衛に分かれてとは言え一塊になって進んでいたんだが、先頭のリンドウさんがザイゴートを発見して、「いたぞ」と声をかけたと思ったら、「ぞ」が終わる前に既に発砲。

 リンドウさんを掠めて弾が飛んでいった。

 当のカノンは「風穴開けてあげる!」といつの間にやら裏ヴァージョンにチェンジ済み。

 そして唖然としている俺達を残し、どんどん前に出てバンバン撃ち込んでいた。

 

 …一応ね、誤射は無かったよ?

 最初のリンドウさんを掠めた一発も、当たってはいなかった。

 リンドウさんが冷や汗流すくらいに、至近距離を掠めたが…。

 

 その後は、コウタは唖然としていて殆ど動けなかったし、俺は誤射に巻き込まれそうだったからガンナーモードでやってたし、リンドウさんは「俺の出番はないなぁ」なんて言いつつ周囲を警戒していたし。

 そしてカノンはガンナーなのに先頭で暴れてたし。

 

 

 

 …裏が出てきてしまった事はしゃーない。

 因果律的に考えて決まっていたレベルだ。

 しかし、あの突撃癖はいただけんな。

 

 裏をどーにかするのはもう諦めて、そっち系に行くか。

 いや、誤射しないって事を考えると、いっそ接近戦させるか?

 …威力は高そうだが、旧型神機じゃ盾が使えない。

 新人に勧める戦術じゃないな。

 

 

 

 

 

 裏カノンさんについて?

 リンドウさんとコウタに色々言われたけど、俺だって見たのは初めてだよ。(棒)

 

 

 

 

神無月金の切れ目がガンナーの切れ目日

 

 色々聞いてみたが、カノンは裏バージョンだった時の記憶が殆ど残っていなかった。

 最初、リンドウさんがザイゴートを発見して、「攻撃しないと!」と思ったところまでは記憶がハッキリしているらしい。

 そして構えて、照準を合わせて、引き金に指を……かけた辺りから記憶がない。

 やっぱり、文字通り引き金を引くのがトリガーか。

 

 ん? 

 なら、どうして俺と二人で出撃した時は発動してなかったんだ?

 …この辺にカギがありそうだな。

 何とか裏バージョンと話ができればいいんだが…。

 

 となると、他の誰かと組んでもう一度出撃か。

 俺以外に誤射をするかどうかも確かめたいから、前衛(と言う名の生贄)が要るな。

 …そういや、裏バージョンの状態で俺に誤射するかも確かめないといかんのか。

 まぁそれはミタマの力でどうとでもなるが。

 

 …誰を生贄にするかなぁ…。

 こっちに来たばかりのアリサとかならあんまり心が痛みそうにない。

 むしろカノンを、逆らってはいけない相手と認識させるのも手か。

 

 でも来日するのはもう少し先だ。

 …小川シュン?

 色々とつっかかってくる面倒なタイプだった気が………ああ、そうか。

 

 

 

 

 上田さんにすればいいんだ。

 同じチームに組み込めば、上田するのも防げそうだし、誤射実験もできる。

 正に一石二鳥。

 当の上田さんは自分が上田するなんて分かる筈もないから、当人にしてみりゃ災難以外の何者でもないけどね!

 

 この世界で最初に会った時は、俺を回収してくれるチーム。

 ループ内で何度か会った時には、ソーマと組んでいたり、或いは名前も知らないゴッドイーター達と組んでいたりと、厳格な所属は無さそうだ。

 このチームに組み込むのは、そう難しくないだろう。

 

 

 

 いざとなったら、雨宮指揮官に砂糖の賄賂も辞さない。

 

 




外伝
 続・アサシンクリード編



 なんか最近、教団内でアルノの地位と言うか立場がヤバいらしい。
 何やってんだ、アイツ。

 この前、教団に美人のねーちゃんを拘束プレイしつつ連れてきたのは参考にさせてもらおうと思ったが、やっぱりアレか?
 神聖なアサシン教団で、猥褻物陳列罪でもしたのか?
 それともセクハラか?

 庇ってやりたいところだが、俺はあくまで技術提供者に過ぎない。
 霊力・忍者ムーブの火付け役としてそれなりに影響力はあるようだが、部外者にすぎないしな。

 最近会ってないし、何やってんのかも分からない。
 …というか、俺は日々の糧を得るのに集中しててそれどころじゃない。
 教団への技術提供の恩恵でそこそこ資金はあるが、ずーっと暮らしていける程じゃないからな。



 技術提供の見返りは、資金だけではなかった。
 こちらにもアサシンの技術を幾つか教えてもらったのだ。
 今更覚えても、あんまり意味が無いと思っていたイーグルダイヴ…よく考えてみれば、どんな所から飛び降りても、狙った場所にピンポイントで降りられる。
 その他、ステルス技術…人ごみの中に入り込んで姿を隠したり、草むらの中で座り込んで隠れたり。
 この辺は要練習だが、極めて行けばモンスターにも通じるかもしれない。
 大型ならともかく、小~中型ならカバーアサシンとかで一撃必殺できるかもしれん。



 …というか、マジでこの夢はいつまで続くのやら。
 単なる夢じゃないのは確かだが、いきなり3つの世界とは関係ない世界に放り出されてもな…。



 それはともかく、今のフランスは色々と追い詰められていて、革命一歩手前らしい。
 難しい事はよく分からんが、治安的にも経済的にも超荒れていると言うのは分かる。

 革命ねぇ…関わってもロクな事にならない未来しか見えんな。
 そもそも部外者の俺が土地の問題に首を突っ込んでもロクな事はなかろう。

 と言う訳で、いっその事日本を目指して旅に出ようかと思う。
 元の世界とは違う世界だろうし、そもそも年代も違うが、それでも故郷は故郷だ。
 と言うか味噌汁飲みたい、米食いたい。
 この時代の日本で、豪族やら商人やらでもない俺が白いめしを食えるとは思ってないが。


 うん、そうと決まれば、思い立ったが吉日だ。
 このままシルクロードを通って日本まで行ってやるか!
 旅に必要な物は、大体揃ってる。
 食料は砂漠でもなければ現地調達も出来るし、問題は足だな…。
 馬やラクダでも買うか。

 ああ、そう言えば、教団で世話になった人達に挨拶しておかなきゃ。
 シルクロード近辺にも教団は居るだろうし、そっちの方にも霊力ムーブを吹き込むのも面白いかもしれない。
 結果がどうなるかなんぞ知ったこっちゃないがね!

 …俺の存在も、先駆者達にとっては既知の範囲内なんだろうか?
 まぁ、会う事なんか無いだろうからどうでもいいけど。


 そういう訳で、なんか教団でエラそうな地位に居る人の屋敷にやってきたのだ。
 どうもこの人、テンプル騎士団との和平と言うか一時的な停戦?を考えて色々やってる人らしい。
 そんな人だから、俺の巻き起こした霊力ムーブも忌々しく思っている節がある。

 何故かって?
 そりゃ、アサシンだろうと新しいオモチャを手に入れれば使ってみたくなるさ。
 「新しい力を得た今なら、テンプル騎士団を一気に駆逐できるんじゃないか?」という意識が徐々に広がり始めているらしい。
 アサシンも結局は人間って事だね。
 信条には、そーいう事すんなって解釈できる文があるみたいだが、文章一つで人の意識を抑え込めるんなら犯罪も革命もありゃしない。
 
 

「ちわーっす。
 ミラボーさん居ますかー?」

「む、君か。
 …呼び鈴を使いたまえ。
 どうかしたのかね?
 これから客人を迎える予定があるのだが」

「これはどうも。
 唐突に悪いんですが、そろそろ故郷に帰ろうかと思いまして」

「ほう?
 随分と急だな。
 そういう事なら、上がっていくといい。
 この後、ベレックも来るのだ。
 一言告げてやってくれ」

「それじゃお言葉に甘えて。
 …あのオッサンも俺を嫌ってるっぽいし、居なくなると聞いたら喜びますかね」

「別に君を嫌っている訳ではないさ。
 苦々しく思っているのは、君が齎した霊力に浮かれる教団の意識だ」

「余計な事しやがって、て訳ですな。
 …ところで、アルノにも顔を見せておきたいんですが、何処に居るかご存知ない?」

「さて、具体的な居場所までは。
 …最近のアルノは独断が過ぎる。
 正直な話、このままではアルノを教団から破門しなければならん」


 …ブラックフラッグの海賊も、船沈めるは略奪するはで好き放題やってたのに、破門なんて話は出なかったがなぁ。
 時代の問題もあるだろうが、アサシン教団の判断基準はよう分からんわ。


「ところで、帰路の目途はたっているのか?」

「いや、観光しながらフラフラ行きますよ」

「無計画だな…まぁ、君がそれで言いと言うなら何も言うまい。
 だが気をつけろ。
 テンプル騎士団が君に目をつけている」

「…騎士団が?」

「まぁ当然だろうな。
 アサシンが突然、妙な技術を使うようになった。
 それを齎したのは君だ。
 対抗する為に自分達も、と思ってもおかしくない」

「ミラボーさんで抑えてくれんかね」

「難しいな。
 私は橋渡しをしようとしているが、騎士団に直接的な影響力がある訳ではない。
 それに、教団にせよ騎士団にせよ、フランスならともかく他の土地まで命令をいきわたらせるのは難しい。
 何より、一時的な停戦にせよ、ある程度の戦力均衡は必要だ……ああ、別に君を騎士団に差し出すという意味ではないぞ」


 電話もない時代だし、無理もないか。
 とは言え、そうなると帰路の間もあんまり気を抜かない方が良さそうだな。
 テンプル騎士団に付けねらわれるって可能性は考えてなかった。
 うーん、他の土地のアサシンへの紹介状でも書いてもらって、そっちを頼るか?
 でも、そうなると教団と騎士団の泥沼の戦いにドップリ浸かってしまいそうだしな…。

 色々世話になっといてなんだが、教団にも騎士団にも入る気はしない。
 小難しい理屈や、ややこしい信条を説かれても、どんなに高尚な理念を聞かされても、それを受け止めるだけの器は俺には無い。
 小さなコップにタライの湯を注ぐように、溢れて毀れて、ついでにコップの底の穴から流れ出て終わりである。


「…部外者が無礼な事言いますが、アルノに限らず、皆が信条を受け止め切れてないような気がしますね」

「ほう?
 確かに無礼だが、興味深い見識だな」

「む、ベレックか」


 おおう、背後に立たれて気付かなかったよ。
 これがあるから、ミタマは常に堅のガードゲージマックス状態にしている。


「で、その意味は?」

「大した根拠がある訳じゃないですが……確か、『許されない事など無い』でしたっけ?
 アレだけとっても、多分皆別々の解釈をしてると思う。
 実際、最初に信条を聞かされた時は、手段を選ばなくていいって事だと思ったし」

「そのような意味ではない。
 大体、その一文だけを抜き取っても、我々の信条は」

「いや待った待った、勘弁してくれ。
 そういうややこしい信念みたいなの聞いても、俺は賛同できない。
 悪いけど、俺の受け止められるスケールじゃないよ。
 問題にしてるのは、ベレックさんがそう考えてても、他の人達まで同じ考えとは限らないって事だ。
 信条の意味をちゃんと解説している訳でもないんだろう?」

「それよりベレック。
 彼は故郷に帰る事にしたそうだ」

「何?」


 ベレックの視線が向けられる。
 …やはり、あまり好意的ではない気がする。
 特に今日は。


「ま、色々と教団には世話になったから、顔見世に回ってるんだよ。
 後で教団本部にも行っていいかい?」

「…ああ、いいだろう。
 ところでミラボー。
 悪いが急用が出来た。
 少しばかり話をしたかったのだが、また今度にしよう」

「そうか?
 私も無理をして予定を空けたのだが」

「だったら休んでれば?
 ミラボーさん、忙しいんだろ」

「そういう訳にもいかんのが、責務ある立場というものだ」


 …なんだこの、妙な感じ。
 急用が出来た?
 今の今まで、普通にミラボーさんを訪ねてきたのに?

 …確か、ベレックさんは鷹の目は使えても、霊力は使えなかったな。
 顔も視線もこっちに向いてない。





 鬼ノ眼!











 何も言わず、そのまま今日はお暇した。 








 翌日、俺は急いでアルノを探し出した。
 緊縛プレイしてた赤毛のねーちゃんも一緒で、何やら急いでいるようだったが、「ミラボーさんがヤバい」と言うと足を止めた。
 
 ベレックさんが、ミラボーさんを殺そうとしている。
 ただし証拠は何も無い。

 流石に信じられなかったようだ。
 ただ、アルノと同じように鷹の目で読み取った、と言うと、少しばかり説得力が出たらしい。



 最近、俺の鬼ノ眼が進化してきている。
 鷹の目になって微妙にランクダウンするかと思ったら、訳の分からん進化をしやがったようだ。

 鬼ノ眼で見えていた霊力はそのままに、鷹の目のように重要な『何か』が光って見えたり、調子がいい(悪い?)時には過去視やら、(アルノの鷹の目もそうらしいが)人の記憶まで読み取ってしまう。
 流石に透視や未来視はできないが、なんかもう普通の目じゃなくてワケの分からん魔眼になりつつあるんじゃなかろうか。
 直死とか車輪眼とかになっても俺は驚かない。


 それはともかく、流石にミラボーさんが殺されそうになっているのを放置して行っちゃ寝覚めが悪い。
 あの人には色々と世話になったのだ。
 アサシンの教義がどうの、テンプル騎士団との関係がどうのは俺は知らん。


 
 アルノとねーちゃんと、3人で行動開始。
 ねーちゃんはテンプル騎士団所属らしいんだが(なんか色々ややこしい事情があるみたいだが、聞き流した)、まぁいいか。
 組織レベルじゃ不倶戴天でも、個人レベルなら上手くやれるんだろう。


 アルノは教団本部へ何やら工作。
 ねーちゃんはミラボーさんに何やら用事があるらしい。


 そして俺はと言うと………影ながらミラボーさんの護衛だ。
 ミラボーさんはあんまりアサシン系統の技術は強くないらしい。
 政務畑の人みたいだしね。









 そしてカバーアサシン食らいました。
 ガードゲージが無ければ即死だった…。
 名前も知らないアサシンだったが、暗殺される側に回るとコレか。
 恐れられるワケだ。

 どうやらベレックさんの仕業…かどうかは分からないが、俺の暗殺命令が出ているっぽい。
 護衛に回っているのを発見されたかな?

 ぬぅ、まさかアサシンに狩られる側に回るとは。
 気配を探ろうにも、街中だから雑多すぎて殆ど分からない。
 仕留めにかかってくる直前くらいにしか、敵意も見せない。
 常に鬼の眼タカの目を使い続けなければいけないから、かなり疲れる。


 厄介な…。










 そうこうしている内に、アルノの教団での工作が終わったらしい。
 具体的に何をしたのかは聞かない。

 すまんが、流石にこれ以上首をつっこめない。
 アサシンマジ怖い。
 ミラボーさんも現段階では何とか無事だったし、俺はもう旅立とうと思う。

 不義理ですまない、と頭を下げたが、アルノは「元は教団での不始末さ。遠い隣人とは言え、元々手伝ってもらう義理さえなかったんだ。気にするな」と言ってくれた。
 


 ミラボーさんの無事を祈りつつ、東へ向かって出発する。
 もういい加減、夢も覚めそうにない……。









 と思っていたら、パリを出た辺りで意識が遠く…。
 と言うかこの視界の歪みはアレだ、シンクロ解除のような………。

 アレか、ゲームで言う決められたストーリーの場所から離れたからか?
 夢が覚める…。





外伝:アサシンクリードユニティ編
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