※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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VRが思ったよりも遊び道が少ない件。
スチームVRを使おうとしましたが、なんか繋がらなくてVirtual Desktop購入。
繋がる事は繋がりましたが、今度は処理速度が足りないのか遅延の嵐。
グラボの交換が必要なようです。

とりあえず360度youtubeを楽しもうかな。
あとAVは見放題よりも質だと実感しました。



第464話

 

堕陽月拾弐日目

 

 

 朝一番、欠食児童共が寝惚け眼を抱えながらも、朝食に集まっている。

 飯を逃がしたくないのもあるけど、今は殆どの連中が同じ場所で雑魚寝してるからなぁ。周囲が起きて動き始めると、騒がしくて寝ていられないのもあるだろう。

 ま、早起きはいい習慣だ。

 皆今にも食べ始めようとしているが、その前に。

 

 

 ちゅうもーーーーーっく!

 

 

 大声を出して注意を惹く。…飯の邪魔をするなと言わんばかりに、殺気すら籠った視線も感じる。さっさと終わらせるから、ちゃんと聞いておくれ。

 

 

 今後の生活を送る上で、幾つか伝えておく事がある!

 一つ目、まずは連絡手段について!

 

 何らかの通達がある場合、一人一人を探し出し、或いは呼び出して伝えるのは効率的ではない! その為家の玄関前にそれぞれの名前と番号を振った箱を用意した!

 また、全体への通達事項がある場合、同じ場所に用意した看板にて通達を行う! 朝起きた後、並びに就寝前に伝達が来ていないか、各自確認を行うべし!

 尚、これは個人個人の要件を伝える為、滅鬼隊員同志でのやり取りに使う事も許可される。ただし差出人を偽ったり、陰湿な行為を行った場合、厳重な罰を与えるので心せよ。

 

 

 二つ目! 次に、今後のモノノフのお役目、並びに日常における各々の役割についてである!

 つい先程、ウタカタのモノノフ達から要請があった。

 現在、彼等には全く人手が足りていない。ついては、我々にその不足分を埋めてほしいとの事だ。

 本日より、モノノフとして鬼と戦うお役目を受ける事になる!

 

 だが、すぐに誰にでもと言う訳にはいかん。まずは既に実戦経験を詰んだ者で対処し、その間に班を編成する。戦力を鑑みてこちらで指定するので、好きな相手と組めるとは思わないように。尚、ウタカタからの要請ではなく、個人で任を受ける場合はこの限りではない。

 また、もしもモノノフとしての任務を請け負いたいと思う者がいる場合、まずは試験を受けてもらう。それによって充分と判断された場合のみ、任を受ける事を許す。

 

 日常生活における役割については、一つ目で述べた伝達箱に各々の役割を記し、入れておいた。不明点、不都合があればいつでも構わん、各自確認しに来い!

 

 

 三つ目! 役目を終え、残った時間についてである!

 とある隊員から、日中に時間を持て余していると具申があった。場所や状況さえ弁えれば、鍛錬でも手合わせでも昼寝でも、里の観光でもして構わん。

 が、それもいつまでも続くものではないだろう。

 時間つぶしの一例として、幾つか遊具を用意した。使い方遊び方を書いた説明書も付けている。面白いと感じるかどうかは分からんが、これは全員の共有財産だ。粗末に扱わないように。

 

 

 通達は以上である! 後は各々、伝令箱を確認されたし!

 飯食って良し!

 

 

 

 着席、飯。…うーん、鎮まってたのがざわつき始めたな。あのまま気まずい雰囲気になられても困るが。

 

 

「ねえねえ、その伝令箱って、玄関のところにあった割と大きめの箱?」

 

 

 ん? そうだけど、どうした雪風。

 

 

「沙耶根尾が片っ端から開けて、中身を見てたけど」

 

 

 ……鍵が必要だな。一人一人に持たせるか。中に置いておいた手紙、取ってないだろうな…。

 

 

「紙切れしか無くてつまんなーい、とか言いながら、危うくそのまま壊すところだったわ。神夜にこっぴどく怒られてやめたけど…」

 

 

 ナイスだ神夜。寝具に限らず、家具関係はそのまま任せようかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 さて、飯を終えた後、滅鬼隊員達はわらわらと伝令箱に群がっていた。自分宛ての手紙をその場で開ける者、何処かに持っていこうとする者、他人の物を覗き込もうとする者。

 色々居たが、放置したりその場で破り捨てたりはしないようだった。俺の目があったからと言うのもあるようだが、基本的にサボるとか任を拒否するとかの考えがないように思える。

 これは調整の結果なのか、それとも経験の足りなさ故か。まぁ、構わない。真面目一辺倒の人間になるべきとは思わないが、力の抜き所や考え方の違いは、これから徐々に現れてくるだろう。俺に出来るのは、それまで彼女達の生活を支える事。

 

 

 さて、任を受けた彼女達…彼等もだ…の行動は様々だ。

 それぞれ仕事を割り振りはしたが、それは今すぐ始める物とは限らない。準備が必要な任もあれば、別の者の準備が整わなければ始められない物もある。

 仲良くなったらしい数名のグループで相談しあっている者も居る。

 

 さて、俺も飯を食い終えたら、すぐに動くとしますか。一服と行きたいところだが、最優先事項があるのだから仕方ない。

 

 

 

 

 

 まず最初に向かったのは、結界の端も端、鬼の侵入すら珍しくない場所だった。結界の内側と言うよりは、結界の気配が辛うじて届く場所…と表現した方が正しいだろうか。小さく弱い鬼なら、その気配を嫌ってあまり近付こうとしないが、無視して入ってくる事もできる。…要するに蚊取り線香を焚いてるような場所だな。

 指定した時間まで、まだ少し余裕がある。少しばかり歩き回って、地図を作り上げていく。川、森、土、木、辛うじて残っている街路、風の通り道、その他諸々。

 

 …実のところ、この近辺は前のループで詳しく調査した事がある。しかしそれは今の時期ではなかったし、何より調べる際の目的が違った。改めて、利用できそうな物を片っ端から見繕っていく。

 ………思ったより、利用できる物は多そうだ。あの時、もう少し詳しく調査していれば…いや、変わりないか。目的が違い過ぎるし、何よりも利用できそうだと判断したのは、マイクラ能力必須な物が多い。あの時に調べていても、利用できなかっただろう。

 

 指定した時間の少し前に、指定した位置に戻ると、呼び出した滅鬼隊が待っていた。

 若干緊張しているように見えるが…まぁ、初仕事として呼び出したんだから、無理もない。

 

 そこに居るのは不知火を初めとして、幻影・幻惑のタマフリを得意とする隊員達だ。中には静流の植物操作のようなタマフリ持ちも居るが、多くは幻惑系。

 

 

「若、お待ちしていました」

 

 

 不知火が頭を下げた。…先日の夜の事は、一切表に出さないな…。本当に何を考えているのやら。

 まぁ、何でもいいか。本気でバカな事をやらかそうとしているならともかく、子供(未亡人っぽいが)の考えに一々口を挟んでいてはキリがない。それが躾けというものではあるが。

 

 

「若様、伝達書には私達に任務があると書かれていましたが、一体何を? ここで鬼と戦うのでしょうか?」

 

 

 いいや静流、そういうのとはちょっと違うんだ。鬼に関係しているのは確かだけどな。

 ま、色々疑問はあると思うが、説明するからまずは聞いてくれ。

 

 まず、任の内容は結界の作成と維持だ。

 ああ、結界と言っても、神垣の巫女が張ってるような奴じゃない。侵入者を惑わせ、追い返し、逃げ場を断って死地以外に進ませない、そういう土着の罠の群れだ。

 何でそんな物がここに必要かって言うと、ここが一番襲われる危険性が高く、また戦闘になった時に最も被害が少なくなる…と思われる場所だからだ。

 

 この道は、モノノフが任を受けて里を出る道だ。そして帰ってくる道でもある。鬼達にしてみれば、一番注目すべき場所だな。そこから誰か出てくれば、自分達を狩る外敵が暴れ出す。反撃しようと思えば、外敵の巣に通じる道から侵入する必要だってあるだろう。事実、昨日のミフチの襲来は、この道を通って帰って来た和穂を尾行してきた奴である可能性が高い。

 …率直に言えば、出入りする道に何の隠蔽もしてないってのは、危機管理的にどうかと思うが…それは置いといて。

 この道を通って侵入されれば、ウタカタの里中心部に到着するまでに、どうやったって俺達の住処を通る。そしてその危険は朝昼晩いつでも有り得る。

 つまるところ、ここからの侵入を防がない限り、いつ鬼の脅威が襲ってくるか分からない訳だ。

 

 さて、そういう訳で、鬼をここから追い返す、或いは侵入経路を塞ぐ罠をここに作る。

 ただし、ウタカタのモノノフ達の通行を邪魔する訳にもいかん。鬼が相手の時のみ作動するような罠だな。

 

 

「…無茶を言ってくれるわね。確かに鬼、人を惑わす術は使えるけど、それだっていつまでも保つ訳じゃないのに」

 

「ああ、成程。だから『任』な訳ですね。作って終わりじゃなくて、日々手入れして保たせろと…」

 

「その点、静流のタマフリは私よりも向いているわね。幻覚作用のある花でも大量に植えておけば…」

 

「鬼に作用するくらい強力な植物なんて、そうそう無いんだけど…」

 

 

 それだと通行モノノフにも被害が及ぶから、植えるにしても色々工夫しなけりゃならんのだけどね。

 まぁ、静流の言う通りだ。モノノフとして鬼と戦い、報酬を得る任も別途にあるが、今は環境を整える事が先決。朝飯の時に話していた、試験を突破している訳でもないしな。

 ああ、試験突破して鬼との闘いに出るようになれば、こっちの手入れはある程度免除しよう。この場にいる面々だけじゃなくて、最終的には全員にできるようになってもらいたいしな。

 

 さて、そういう訳でここに結界モドキを作る必要性は理解できたな?

 ここら辺を歩き回って、既に草案は書き上げた。これに対する意見、並びに可能不可能の検証が本日の作業だ。

 遠慮はいらない、俺に間違いがあったら正してくれ。疑問があればいくらでも出せ。より良い案があれば、報酬も出そう。具体的にはお菓子。

 

 さぁ、始めるぞ!

 

 

 

 

 

 

 お菓子に釣られたのか、積極的にああでもないこうでもないと意見を言い合う彼女達を見ながら、思う。

 

 

 

 ……前に調べた時は、大攻勢を凌ぐために爆薬仕掛けまくったんだよなぁ…あれでこの辺一帯が更地になったっけ…。今やったら流石にヤベーしなぁ…寝床も滅鬼隊も吹っ飛ぶしなぁ…。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、即席で出来上がったのは大型鬼の動きを阻害するように乱立させた塀と、人間の重さでは作動しない落とし穴。塀にはそこそこ頑丈な扉が幾つかついていて、人であれば開けるのは容易いが、大型鬼では潜る事ができず、小型鬼だとノブを掴む事ができない。そこそこ効果的な物が出来たと自負している。

 落とし穴はMH世界の物を参考にしました。設置3秒で大穴を開けるような物じゃなくて、その頑丈さと、人が載っても作動しない仕組みだけだ。……タマフリとか、鬼の素材で何となく再現できただけなんで、理屈は聞かないでくれると助かる。

 

 幻覚については、鬼にどれくらい効力があるのかから検証する必要があるので、とりあえずこれは保留。

 鬼除けの仕掛けを作った事を報告に行かせ、ついでに鬼に効く薬草等があるか聞いて来るように静流に命じておいた。薬に詳しいモノノフとして那木の事を教えておいたし、これで伝手を作ってくれるといいな。

 

 

 

 

 既に昼を過ぎており、結構な時間を食ったが…まぁ、成果としては悪くなかったか。

 次に根回ししておくのは、戦闘部隊の選抜についてだ。

 近い内にウタカタとの親善試合も予定されている。勝ちにこだわっている訳じゃないが…いや負けたくはないけどさ…少なくとも同じくらいの土俵に立てる程度にはなっておきたい。

 昨日話して実感したが、やはり鬼との闘いの為に調整された為か、何だかんだで血気盛んな者が非常に多い。

 

 死地を好む者、退屈を嫌う者、殺りくに悦る者、義務と割り切る者、武を振るう事に興じる者、他者が戦っているのに自分だけ安穏としていられないと言う者…。

 鬼との闘いに恐怖を感じていない訳ではないだろうが(感じてない奴も沢山いるが)、とにかく彼女達の戦いへの忌避感は薄い。また、実際に奮った事など無いであろうに、己の力にそれなり以上の自信を持つ者が非常に多かった。

 悪い事だとは言わない。胆力はともかくとして、相応の力が宿っているのは確かだ。失敗した経験も成功した経験もないから、生来の気質…いや、そう調整された気質が強く出る。その結果、「やった事がないから自信がない」より、「やった事がないけど、きっと大丈夫」と思っているだけだ。

 ポジティブ思考もネガティブ志向も、この場合大差ないな。

 

 まぁともかく、戦闘に出る部隊に選抜される条件として、一つの課題を作る。それが。

 

 

 

「………それを、私にやれ…と言う事ね」

 

 

 浅黄との闘いだ。無論、人間相手と鬼の相手は勝手が大きく違う。

 だが、滅鬼隊の中で一番経験豊富なのは、間違いなく浅黄である。先日初陣をこなした雪風と骸佐なんて、鼻で笑うくらい…には戦いの経験もあるだろう。

 その浅黄から見て、「こいつらは任務に出していい」と思えるようなら合格だ。勿論、一人で任務に出すって事じゃなくて、ウタカタのモノノフ達の世話になりながら、だけど。

 

 

「問題はそこじゃないわね。確かに、それなりに判定はできると思うわ。百戦百勝とは言わないまでも、今のあの子達ならそうそう負ける気はしない。私も体が鈍ってるし、いい運動になりそうだけど…私の立場を忘れた? 滅鬼隊を封印する一助になった裏切者みたいなものよ」

 

 

 当時の事を覚えてる奴は殆ど居ないし、それを聞いた時も『そうなの?』くらいの反応しかなかっただろーが。指揮官の座を降りるよう要請したのも、反感や憎悪じゃなくて『それだったら、続けさせてると自分達が危なくない?』くらいしか考えてなかったっぽい。

 確かに多少は複雑な感情を持っているかもしれないが、今回任せるのは戦闘能力の検定に過ぎない。異界に出てからの警戒や動きに関しては、実際に現場で学んだ方が早いしな。勿論、その前に研修はするけど。

 

 

「私に、それだけの判断を任せても問題ないと? …あまりいい手段とは思えないけど…全面協力すると言ったのは私だし、そうしろと言うなら従いましょう」

 

 

 なら、今のうちに準備をしておいてくれ。必要な物はあるか? この前渡した双刀は…預けたままだったな。

 得物はあれでいいか?

 

 

「全力戦闘ともなると、多分刀身が耐えられないわね。でも模擬戦だし、そこまでする必要も無いでしょう。もしも必要に駆られるのなら、その時点で戦闘力は合格判定してもいいわ。ところで、どういう形式でやるつもり?」

 

 

 あまりに希望者が多い場合だと、まず一次試験として希望者同志で模擬戦。勝った奴が浅黄と手合わせ、だな。

 タマフリも在りだが、寸止め前提……いや、竹刀みたいなものがあれば、実際に打ち合っても構わんか? 怪我に関しては、これから実戦に出ようって奴がギャアギャア言うような事じゃないし。

 しかし、太刀と双刀、薙刀は竹光でいいとして、槍は布や綿を巻き付けて緩衝材にする。手甲や金砕棒も似たような感じでいいだろう。問題は鎖鎌、弓、銃の類だな…。滅鬼隊には独特の武器を使う事を想定している者も居るし、そのあたりの対応をどうするか…。

 

 

「その辺は後回しでいいでしょう。それとも、もう試験を受けたいという希望者が居るの?」

 

 

 いや、今のところは誰も来てない。でも時間の問題だな。

 そういや、さっき紫が自分の得物を作りたいとか言ってたっけな。里に向かって行ったから、多分鍛冶師のたたらさんに頼むんだろう。

 

 

「紫の武器と言えば、特大の戦斧ね。あれを縦横無尽に振り回していたものよ。模擬戦するとしたら……武器、どうしようかしら」

 

 

 戦斧……なら、刃を包むか。ぶん殴られるだけでも充分驚異的な威力が出るだろうけども。

 ともあれ、試験をするならいきなり試合を始めるんじゃなく、互いに準備を整えてから、という形式にする。じゃないと不意打ちから薬まで何でもありになっちまう。

 そうだな…もし申し込みがあれば、今日の夕方には始める事にしたいが、どうだ? 特別な理由が無いなら、皆の前で戦う事になるが。

 

 

「構わないわよ。私も、少し体を動かしておこうかしら」

 

 

 よし、任せる。

 さて、何人くらいが来るかね。戦えるのならすぐにでも、と威勢のいい事を言ってたのも何人か居るが…朝の様子を見る限りだと、どうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 浅黄と別れ、寝床となっている家まで戻って来た。

 中を覗き込んでみると、何組かに分かれて3~5人くらいの集団が固まっている。何やらワイワイと楽し気に騒いでいる集団も居れば、難しい顔で思案している者も居る。

 

 玄関横を見てみれば、空っぽになった箱。乱暴に扱われた形跡はない。

 

 

「ああ~~~また負けたぁぁぁぁ!!!」

 

「ちょっと無茶しないでよ、ちゃんと全部集めるのも以外と手間なんだから」

 

「災禍さんや神夜さんに怒られますよ。『若の折角の温情を粗末に扱うとは』って」

 

「怒られる程度で済めばいいけどね。と言うか、あんた顔に出過ぎるわ」

 

 

 …こういう理由でバラ撒かれたりしてるようだが。

 彼女達が何をやっているかと言えば、遊びとしか言いようがない。ふくろ に収納しておいたトランプ、ウノ、将棋、麻雀(牌じゃなくてカードだけど)その他諸々。

 昨日、災禍が話していた暇を持て余している時に使う遊び道具だ。

 

 さっき叫んだグループがやっていたのはウノのようだ。その横のグループはババ抜き中で、難しい顔している集団は麻雀。ルールブックと睨めっこしている。…ちなみにこの麻雀カードとルールブック、MH世界で猟団員達から貰ったものだ。当然MH世界の言葉で書いてあるので、一々翻訳するのが面倒だった…。

 ふむ、暇潰しは充分成功しているようだ。

 こればかりやっていても飽きるだろうが、『遊び』という行為を覚えるには丁度いいだろう。

 

 …何人か見たらないのが居るな。その半数は、割り振っておいた作業をしているんだろうけど、残りは…。

 

 

 外から、わーっと歓声が聞こえた。子供の声…に混じって、大人の声も混じってるな。

 滅鬼隊に子供は…居るには居るけど、こんなに多くはなかったと思うが。

 遊んでいる者達を見ると、特に気にかけた様子も無い。勝負に熱中しているから、という訳でもないようだが。

 

 

 

 

 …気になったので声の元に行ってみると、日照りの下で汗を流している隊員と、里の子供達が居た。

 皆揃って、ボールを投げて取って追いかけてと大騒ぎだ。地面に書かれたラインからすると、どうやらドッジボールの模様。

 遊んでいるのは雪風、鹿之助、なんと権佐まで参加している。どうやらさっきの声は、権佐がアウトになった歓声のようだ。してやったりと雪風と鹿之助がハイタッチしてる。…はっはっはと笑っている権佐だが、しっかりリベンジするつもりのようだ。

 

 少し離れた所では、これまた数人がボウリングに興じている。…あ、骸佐はこっちか。

 ボウリングと言っても、整備されたコースなど無いので、野山のデコボコを乗り越えてビンを倒すという、かなり難易度の高い競技に変化していた。直接投擲禁止、あくまで地面を転がしてビンを倒すのだ。

 …何でストライクとれんの? 俺でもきついよ? 俺の場合は、超高速回転で障害物を根こそぎ削り取るとか、某聖人ボウリングみたいにダンテモーセ復活、障害物を踏み台にしてダンクシュートする降臨、ハンターとゴッドイーターとモノノフの力を結集して叩きつけるマルハゲ丼(パッパラ隊仕様。周辺一帯がマルハゲとなる)くらいしかできないけど。

 

 まぁ、楽しんでくれているようで何よりだ。里の子供達と交流ができれば、その親達も無下にはできまい。

 やはりカードとボールは最高の遊具だ。遊び方がいくらでもある。…破裂させなければね。

 

 

 さて、あいつらが遊んでる間に、俺は俺の仕事をするとしますかね。

 従業員が気持ちよく働ける環境を整えるのが、お頭である俺の仕事だ。最初が踏ん張りどころだぜ。

 従業員が遊んでるのに、トップだけ仕事っておかしくね?とも思うが、現状じゃこれは俺しかできない事だし、あいつらは従業員じゃなくて子供とか孫とかそんな感じの奴だから。これは投資(元手ゼロ)だから。

 

 さぁ、早い所家を作っちまいますか。全員分は流石にきついから、4人部屋くらいでいいよな。

 

 

 

 

 

 

 と言う訳で、日が堕ちてくる頃には、ちょっと大きめの小屋がズラッと並んでおりました。大きいのに小屋ってどれくらいの大きさだよと言われれば、4人の大人が窮屈な思いをせず寝られる程度の大きさだ。ただし、中にはトイレを含めて何もないが。いや、箪笥を4つずつ取り付けたっけ。

 

 

「…あの、若様? 朝にはこんなのなかったですよね?」

 

 

 そりゃ、突貫工事で半日で作ったからね。それより鹿之助、こんなのとかゆーな。これからお前らが寝泊まりする家だぞ。

 

 

「やっぱりですか!? 小屋って半日で立つものなんですか!? 手抜き工事じゃないですよね!?」

 

 

 世間一般的に見れば、手抜き工事もいいところだが…鹿之助が知ってる大工と言うのは、壊した土木を真四角にして空中に固定させられるかね?

 

 

「それを言われると…。と言うか若様一人で建てたんですか、これ…」

 

 

 いや、作業してるのに気付いた何人かは手伝ってくれたよ。

 確かに、そんなに難しい建物じゃなかったけどさ。…あの夢の中で作ってた施設は、これとは比べ物にならない程大規模で複雑だったからなぁ…。余裕があれば、ああいうのも再現してみようかな。便利で楽しい物であれば、多少奇異でも受け入れられるだろう。

 

 ともあれ、あっちの大きな家で雑魚寝するのは終わり。希望するなら止めはしないが、私物は据え付けられた箪笥で管理するように。

 本当は一人一人個別に部屋を用意できればよかったんだが、流石に間に合わなかった。何よりも土地が足りないし。二階建とか三階建ては、まだちょっと不安があるからね。

 

 ああ、男組の部屋は左端の小屋な。今のところ3人しか居ないから、ちょっと広めに使えるぞ。

 

 

「3人って…俺と骸佐と権佐さん……若様はどうするんです?」

 

 

 仮にも上司と、同じ部屋で寝泊まりしたいか? 少なくとも俺は嫌だ。気が休まらん。 

 …言うまでもないが、理由はそれだけではない。エロい事がしにくくなるから、ヤリ部屋もとい執務室の隣に寝室を追加した。どっちにしろヤリ部屋になるのが目に見えているが。

 

 それぞれ布団は自分で部屋に運び込むよう、看板に書き込んで……そうだな、後は各担当からの報告を確認して、本日のお仕事は終了。

 

 

 …ふーむ、あまり隊員達の生活に踏み入るべきではないかもしれないが、日記と言うか日報みたいなものを出させるべきだろうか?

 一日中遊んでました、なんてのがずーっと続いているようだと、注意せざるを得ないしなぁ。しかしそれだけじゃ反発もあるだろうから、要望とかも書いていいことにして…いや、このご時世だと紙も意外と貴重品なんだよなぁ…。

 

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