長かった…待っている時間が特に長かった。
DLCばかりやっていて、最初のマップに戻って来た時に思いましたが…やっぱりアサクリワールドは広いなぁ。
VR対応してくれないかしら。
次はエスコン…と行きたい所だけどトロコンにはどれだけ時間がかかるか分かったものじゃないので、アイスボーンに備えてハンター稼業を営もうかと思っています。
それはそれとして、今年のお盆は久々に連続投稿予定です。
10日から18日まで、普段よりもちょっと短めですが、毎日17時に投稿します。
これで書き溜めが尽きると考えるべきか、それだけ連続投稿しても話が進んでいないと反省するべきか…。
堕陽月拾肆日目
今日も今日とて朝から仕事。いつも俺の近くに居る面々は別の作業があるので、浅黄を呼んで手伝わせている。
執務室に作った机に齧り付いて、慣れない書類仕事を続けている。
実戦に出るかの試験は、申し込み順かつ予約制となった。1日に多くて3人、鬼の襲撃等によるトラブルで試験不可能となった場合、また日を改めて試験を行う。毎日行われるのではなく、隔日とする。
また、試験官は基本的に浅黄だが、別の任がある場合は明日奈達の誰かが代わりを務める事になる。
合格したとしてもすぐに実戦投入されるのではなく、どの部隊に配属されるか決定し、それに必要な教育を受けてから、ウタカタの里のモノノフ達と共に行動する事になる。
まず最初に試験を受ける事になるのは、紅。金髪ツインテールでキリッとしているが、俺と話す時になると…なんだ、その、微妙にポンコツ属性が入ると言うか、慌てて平常心が保てなくなってしまうと言うか。
実際、試験申し込みに来た時も、顔が少し赤かったし、目線があちこち飛んで定まらなかった。
とりあえず可愛い。
次に凛子。えらく自信満々だ。確か、資料でも戦闘に特化させているとあったが……心配なのはそこじゃないんだよなぁ。
最後に沙耶根尾。
面倒くさいことは嫌いだけど、鬼を殺せるから。…この子が一番不安である。
精神が非常に不安定…と言うよりは、気儘で気分屋、更に殺戮を楽しむ傾向があるらしい。
まぁ、どうこう言うのは明日の試験を見てからでもいいだろう。
試験には俺も立ち会うので、明日の分の仕事も終わらせておきたい。…昨日までは、かなーり時間的にハードな仕事量だったのだが。
「失礼します。若様、言付かっていた資料を…………?」
ああ、ありがとう天音。どうした、いきなり部屋の中を見回して。
「いえ…今、何か違和感のような物を感じたのですが…」
ふむ? それより、資料を。
「は、こちらです。…ところで、浅黄はどちらに? 若様の手伝いと言う事で、呼ばれていた筈ですが…………我々を差し置いて…」
あーうん、ちょっと特殊な任務を頼んでいる。…待て落ち着け、お前より浅黄が信頼できるって事じゃない。
任務の性質上、気軽に頼む訳にもいかんのだ。頼めば引き受けてくれるんだろうけど、俺にも拘りと言うか美学みたいなものが……。
「…いえ、若様の采配を疑う理由などございません。ですが、もし(……ジュルルルルル…)…?」
…どうした?
「今、何か妙な音が……刺客か!? 若様には指一本触れさせん!」
落ち着け天音、少なくともそーいうのじゃないから。大体、どこが刺客を送るんだよ。鬼はそういう細かいのは苦手だし、ウタカタの里なら自分の首を絞めるようなものだし。
「霊山なり、滅鬼隊の元関係者なり、そもそも利害に関係なく裏切る者は裏切りま「ンッ、ングッ、ジュルジュポジュポジョレロォ」…………あの、若様」
………うん。横から見てみれば、分かるよ。
まさか、と言いたげな天音に鉄面皮で返事をし、椅子を少し引く。と、逃がさないとでもいうように生暖かく卑猥な感触が股間を追いかけてくる。
流石に気付かれると気まずいから、『待て』をしたのになぁ。おい、命令も守れない程低能な雌豚だったのか?
「いやぁ、おひんひんなめるのほぉ……あさぎは、おちんぽらいすきなめすふたれふぅ…」
机の下、俺の股間に必死でしゃぶりつくのは、目隠しの上からでも理性や尊厳を丸投げしていると分かる滅鬼隊元指揮官、浅黄。ちなみに服は着ているので分かりづらいが、亀甲縛りで手が使えない状態。…着衣状態なのは俺の趣味もあるけど、風邪をひかないようにという囁かすぎる心配りです。
書類仕事する俺のイチモツに縋りつき、ただ精を浴びる為に媚び続ける姿は、とてもではないが人に見せられるようなものではない。
しかし当の浅黄は天音に発見された事にも気付いてないのか、ジュポジュポとひょっとこ顔でフェラを続けている。実を言うと、もう2度ほど浅黄の口の中に、1度は膣に思いっきり注ぎ込んでいた。うむ、性欲処理の為にも調整されているだけあって、中々具合が良い。
「なっ、ななななっ、あ、浅黄貴様ッ、何をやっている! 若様にしゃぶりつくなど、破廉恥な! そ、そこはっ、若様のとても大事なところだぞ! ましてや子種をせがもうなどと、何と身の程を知らぬ真似を!」
「んぁ~……きもひいいれふは…?」
あっという間に赤面して慌てる天音の声もなんのその。
今の浅黄は、完全に主に奉仕する雌になりきっていた。…いや、マジで俺何もしてないんだけどなぁ。そりゃ確かに、こういう事をさせようと思ったのは俺だよ。『明日奈達にはできない事でも受け止めてあげる』なんて言ってたし、じゃあ遠慮なくって事で要請したよ。
でも目隠しも縄も浅黄の提案だし、オカルト版真言立川流とか使わなくても、机の下に入れてちんこを目の前に突き出したら、あっという間にこの有様だ。流石にこれは予想外。
内面観察術を軽く使って見てみたが、演技は無い。どうやら状況が思いっきり趣味嗜好に直撃してしまったらしい。それが元々の性癖なのか、設定されたものなのかは微妙なところだが…。
「………天音」
「時子…貴様というものがありながら、何をやっている! それでも若様の秘書か!? まさか、若様に求められたのを拒否したのではないだろうな!?」
隣の部屋から出てきたのは、なんかちょっと焼き魚定食に乗ってるサンマを連想させるよーな目をした時子。時々足を擦り合わせるような動作をしているのを見ると、なんのかんの言って浅黄の痴態に反応はしているようだ。
ちなみに時子にバレた時も、似たような状況で浅黄が暴走しました。もうこの子には我慢とか辛抱とか待ては期待しないよ。
まぁ落ち着け、時子にだってこんな事は頼んでない。いや頼めばゲンコツ付きで引き受けてくれる気はするけど、頭領という立場を笠に着るような真似は好かんのだ。
「いやそういう問題ではなく…若様の行動に異論がある訳でもなく………そ、そもそも何故このような事を…。職務中ではないですか! どう考えても邪魔でしょう」
「落ち着きなさい、天音。言いたい事はよぉ~~~~く分かります。分かりますが、これには理由があるのです。まず窓の外を見てみなさい」
「外に何があるというのだ」
苛立ちと疑問と好奇心に襲われながらも、しっかり外に目を向ける天音は素直ないい子だと思います。
ただ外と言われただけじゃ分かりにくいだろうから…そうだな、その辺の草木を見てみろ。朝露が落下するのが見えるか?
「は、見えま…………???」
違和感に気付いた天音が、目を見開く。そりゃそうだろう、特に集中してもいないのに『見えたッ! 水の一滴ッ!』状態になったんだもの。
もっと言えば、見えたのは水の一滴だけではない。木々の枝がそよぐ様、近くに居た滅鬼隊が暇潰しに投げた石、それを避けて飛び上がった隊員がゆっくりと降りてくる姿。
時間が…外の時間が、ゆっくりと流れている。
と思わせて、実は逆。この部屋に居る者の体感時間が、非常に早く流れているのだ。
はい、賢明な(その割にはこんな駄文を読むのに時間を使っていただける)皆さまにはもうお分かりかと思います。
そう、オカルト版真言立川流秘術、体感時間操作です。
この術は、俺と卑猥な行為を行っている者に効果がある。具体例をあげれば、俺と明日奈が結合しながら体感時間操作を使ったとして、その横で見ている神夜にはどう見えるか? 超高速でズッコンバッコンイクッフゥ…しているように見えるのか? 否。直接触れていない神夜も、同じ体感時間を過ごし、普通の速度でネチャグチョしているように見える。
ついでに言えば、GE世界でフミカに情事を見られた時もそうだった。俺とアリサはフミカの事を認識してない状態だったにも関わらず、偶然俺達の情事を覗き見たフミカは同じ体感時間を過ごしていた。
つまり、俺の認識が及ぶ一定範囲内、或いは情事を行っている姿を見ているのであれば、複数人を同時に、接触する事なく体感時間操作に巻き込むことができるのだよ!
…この場合、浅黄の羞恥プレイの為に観客として参加させてる、って設定だけどね。
ともかく、卑猥な行為は浅黄に任せ、俺は適度に快楽に浸りながら各種処理を行う。一度は我慢ができなくなって直に浅黄を犯したが、その時間を差し引いても大幅に作業時間が確保できた訳だ。
欠点としては、生活リズムが狂いそうな事かな…。あと、一般常識的にどうかと。
実際、時子の正気が大分削れてるもんな…。今の俺達の状態では、非常に有難い効果だと分かるから、猶更否定もできない。
天音はと言うと、激昂しながらも気になってチラチラ。嫉妬の視線も混じっている。…こりゃムッツリスケベだな。
「有用なのは分かりますが……その、もう少し、何とかならなかったのかと…」
「…こればかりは、若様の采配であってもちょっと…」
んー…いや俺としても幾つか方法は考えてたんだよ。例えば、こうやって机の下に潜ませるんじゃなくて、張り型でも突っ込んだまま、飾りとしてその辺に吊るしておこうかな、って。
でもそれだと隠しようがないし、誰かが入ってきたら要らん影響を与えそうでなぁ…。
「それに比べれば…うーん…いや比較の問題では…」
「時間が足りてないのも事実………いえ、我々の力不足こそが問題だ! 若様が些事にまで手を取られているから、このような事をしてまで時間を確保しなければならないのだ! 我々が執事として! 執事として! あと秘書として充分な補助ができていれば、このような事をする必要は!」
なくなるかもしれんが、多分趣味でするだろうなぁ…。黙っておくけど。
浅黄自身も満更ではない…どころかノリノリだというのがまた救いにならない。
何ともやるせない二人と、その視線を受けながらも書類にカリカリ書き込んでいる俺、そして何も知りませんとばかりにちんこにしゃぶり付き続ける浅黄。何とも気まずい時間だった。
…おい浅黄、テメェ冷や汗垂れてるぞ。実は面倒事から逃げようと雌豚になり切ってないか?
ともあれ、何と言われようと作業時間の確保は大事だ。1日は24時間しかないのである。物理的に人も人材も時間も足りていないのである。
それが書類仕事の作業時間が1割程度で済みます、なんて言われれば誰だって飛びつきたくなるだろう。疑うという選択肢が無ければ。
そして術者である俺に疑うという選択肢はなく、俺を心底信頼…なのか心酔なのかよう分からんが、とにかく俺第一主義的な考えを持っている秘書執事組も同じである。
災禍も最初に説明された時、かなり筆舌に尽くしがたい表情をしていたが、それは置いといて。
ありがたい事に、これでかなり自由に動ける時間が出来た。さて、どうするか。
作りたかった施設を作るのもいいが、あまり仕事ばかりでも面白くない。滅鬼隊員達に生活を楽しんでほしいと思っている俺が、仕事ばかりじゃ範が示せない。
いや模範となる為に遊ぶってのもなんかおかしいが、とにかくそーいう事だ。
しかし、遊ぶと言っても何をするやら。真昼間から夜の遊びするのもいいんだけど、皆それぞれ仕事中だし…。
隊員達は思い思いのグループで遊ぶようになったし、混ざるべきか?
…いや、もっと優先する事があったな。半ば仕事になっちまうが、別に問題はなかろ。
と言う訳で、ウタカタの里にやってきました。いや今まで居た滅鬼隊の居住区もウタカタの里なんだけど、里の結界の中心、本来の人里、ついでに言えばゲームのステージ的な。
いやぁ、何だかんだで懐かしいね~。大体一年ぶりくらいかな? MH世界、GE世界、討鬼伝世界…具体的な日数はもうサッパリだが、少なくとも最後にここで過ごしてから、半年以上は経っている。…体感で。
見覚えのある…初対面の人達。歩いているだけで注目される。好奇、警戒、物珍しさ、その他諸々。ウタカタの人達はお人好し揃いではあるが、その分こういった感情を隠す事をあまりしない。良くも悪くもストレートだ。
それすら懐かしく感じるよ。
特に、今は余所者の集団が移り住んできたばっかりだからな。見慣れない人間が居れば、そりゃ注目される。しかも、揃いも揃って美男美女なんだから。
さて、やってきたのはいいが、どうするか。単に懐かしむのもいいけど、この際だからまだ会ってない人と伝手を作っておきたい。
大和のお頭に挨拶しとくのは当然として、鍛冶師のたたらさんは真っ先に繋がりを作っておかなければいけない。ミタマ関係のあれこれを行ってくれる祭祀堂の樒さんも、同じくらい重要だ。
これから肩を並べて戦う事になる…当面は、俺自身じゃなくて隊員達が、だろうけど…モノノフとも顔を合わせておくに越した事はない。
更に言うなら、橘花と親しくしておく事も必要。個人的な感情を抜きにしても、これから橘花は秋水からの精神的揺さぶりを受ける事になる。心の拠り所、せめて愚痴を吐き出せる相手が必要だ。
おっと、秋水自身とも接触しておかなければ。陰陽寮所属と言うのも問題だが、あいつ、九葉のおっさんと確執があるからな…。その九葉のおっさんに遣わされた部隊だ。どういう反応をするのか、予測がつかん。
何よりも、里人に受け入れてもらう為の地固め、挨拶周りなんかも……。
…って、待て待て待て結局これって全部じゃねーか。そりゃ確かに重要極まりない事ばっかりだけど、一気にできるもんじゃない。
出来る分だけやって行こう。最悪、一通りの相手に顔を見せるだけでもいい。「ウチの連中をよろしくお願いします」とでも言っておくか。
とりあえず、大和のお頭に顔を見せてこようと思って受付所に来たんだが。
「すみません、父は今、秋水さんと一緒に所用で出かけていまして…」
「いつもなら、そこで腕組みして仁王立ちしてるのにね。あの眼鏡は自分の席から動かないし」
…初めまして木綿さん。大和のお頭の娘さんですか。
雪風と仲良くしてくれてるようで、お世話になってます。
「いえ、こちらこそ。人手不足で、里のモノノフの皆が段々疲れていくところを見ていましたから…味方が増えて心強いです」
うん、でも実際は戦いの経験は殆ど無い連中ばっかりだからね。暫くは、あまり厳しいお勤めは勘弁してほしい。
もしあいつらが、もっと強い相手と戦わせろとか言い出したら、俺に言い付けるって言ってやってくれ。
「今正に、雪風さんが相手が弱くてつまらないと愚痴を零していましたが」
「ちょっ、木綿! いきなり告げ口なんてそれでも友達!?
「お勤めの受付ですから、報告する事は報告しないと」
「愚痴! 単なる愚痴だから! 別に戦わせろなんて迫ってないから!」
分かった分かった。別にその程度で怒りはしないから。
敵が弱いのは、状況が比較的悪くないって事だぞ。異界の奥に入れば入る程、強力な瘴気を放つ鬼が出るんだから。
と言うか、二人は友達だったのか。
「うん、里に来て最初の襲撃があったでしょ。あれが終わって帰って来た時にね」
「同年代の女の人は、里では珍しかったんで…話しかけてみたら、意気投合したんです」
ふぅん、意外と言えば意外な組み合わせ。色々と心配とか心労とか苦労とかかけるだろうけど、よろしくしてやってほしい。
さて、大和のお頭も秋水も留守なんじゃ仕方ない。他の方々に顔見せしてきますかね。
…むぅ、一通り回ったが…何だかなぁ、避けられてるのかなぁ?
たたらさんとは会えたが、仕事中で忙しいようだったし、俺もその後会っておきたい人が何人も居たから、数分話しただけでお暇させてもらった。
モノノフの主力部隊は任務で不在。鬼の討伐、必要になりそうな薬草・素材の採取。速鳥に至っては、長期任務でここ暫く里に戻ってすらいなかった。
樒さんは昼寝中。隣の茶屋の主人曰く、『何だか妙なミタマを持っている人が近くに居るらしくて、それに刺激された他のミタマが五月蠅くて眠れない』だそうな。…ひょっとしなくても俺のせいですねゴメンナサイ。しかし、里に来ただけで他の人達のミタマが騒ぎ出すとか、そんな事は今までなかったように思うんだが。
橘花に至っては、会う事すらできなかった。神垣の巫女だもんなぁ。そりゃ本来はそうなるよなぁ。しかも、今の俺は武力集団を率いている、外様の身。橘花を攫って自分達の為に結界を張らせようとする…なんて疑いだってあるかもしれない。
斥候部隊や準主力級部隊には会う事が出来たが、全員ではない。交代制で休みになってるからね。ウチの連中をくれぐれもよろしく…とは言っておいたけど、援軍として送り込まれた俺達の方が世話になるってのもおかしな話だ…。
神木の主は相変わらず見えないし、虚海と繋がりがありそうな動物も見当たらない。
なんちゅーか、綺麗に空振りした一日だった。折角自由時間ができたのに…。
これなら、隊員の為の施設増設をやっていた方がマシだったな。
ま、こういう日もあるか。懐かしい気分に浸れただけよかったと思っておこう。
そのまま一日が終わるかと思ったのだが、一つ問題が発覚した。
夕食の後、災禍に報告・相談があると言われて執務室に向かったのだが…その時、浅黄が期待した目で目隠しと縄を準備していたが、それは置いておこう。
曰く、何人かの隊員に、情緒不安定な傾向が認められたと言う。
例えば、沙耶根尾。元々安定しているとは言えない子だったが、感情の起伏が妙に激しかったり、不安そうな顔で動かなくなったりと、挙動不審らしい。
例えば、まり。ウタカタに来る時の逃避行でも、発作を起こした子だな。あの時は、俺が声をかける事によって落ち着いたが…。
例えば、不知火。何を考えているのかよく分からないと思っていたが、輪をかけておかしい。…と言うより、その時その時で言う事が全然違っていたり、昨日会った事を覚えていなかったり。…ボケでも入ってるんだろうか?
明日奈達を呼び出し、それについて聞いてみた所、丁度彼女達もそれについて相談しようと思っていたのだと言う。
「まぁ、原因はあからさまなんだけど」
「どういう事ですか、詩乃さん?」
「私も一時期、ああいう状態だったからね…忌々しい…」
忌々しいって……ああ、滅鬼隊の安全装置!
「そういう事よ。尤も、それだけじゃないでしょうけど……ちょっと浅黄を呼んでくるわ」
…詩乃に呼ばれてやってきた浅黄。だから縄も目隠しもいらないって。
「いえ、それは後で使いましょう。私達がお仕事中だったのに、ずーっとおしゃぶりさせてたなんて……羨ましい…」
「神夜、そういう事は言わぬが華よ。一応仕事の為だったんだし。…私達が休みの時は、替ってもらうけど」
色ボケた会話はともかくとして。
「…ああ、そういう事。そうね、私達は主からの声をかけてもらわないと、段々不安になってくるように調整されているから…」
それは分かるが、一応全員に声かけて回るようにしてたんだが…。
それじゃ足りなかったのか? それに、まりはもう2度目の発作だ。他の皆に比べて、発作が起きる頻度が高いのは何でだ。
「その辺は個体差と言うか…調整が上手く行く場合行かなかった場合の違いもあるし、本来の気質も関係しているんでしょう。例えば今の鹿之助は臆病とすら言える性格だけど、以前の別の『鹿之助』は慎重ではあって卑屈ではなかったわ。自分のタマフリにも自信を持っていたし」
あー、成程…。それで一人一人、発作が起きる頻度が違ってくるのか…。
頻繁に声をかければいいのか?
「それだけでは足りないでしょうね。…多分、より深い繋がりを感じさせないと、また短期間で発作が起きるわよ」
「つまり、あの子を抱いてぐっちゃんぐっちゃんのどろっどろにして、惚れ直させればいい訳ね。なんだ、もう解決したも同然じゃない」
…まぁ、そうなんだけどさ。明日奈、いきなり交合の話じゃなくて、スキンシップ…手をつなぐとか口付けとか、そういう段階を踏んでだな…。
「それこそ時間が足りるの? 発作を起こす危険性があるのは、あの子だけじゃない。沙耶根尾…も危険だけど、もっと深刻なのは恐らく不知火よ。恐らく、生来の性格や倫理観と、植え付けられた人格が相当に合わなかったんでしょう。前にも一度、それらしいのを見た事があるわ。失敗作として『処理』されたのをね…」
その場その場で性格がころころ変わる、その時の事を覚えてない…。
多重人格、精神分裂症の類か。
多大な精神的負荷を感じた時、それから逃げる為に『これは他人に起きている事だ』と思い込んだりして、結果別人のように振る舞い始める…だったかな。
「…正にそんな感じよ。代々の『不知火』がそうだった訳ではないけど、特に『不知火』にはそういった症状が多いと聞いたわ。…この話は、アスカの方が詳しいかもしれないわね。私の前の指揮官だったようだし」
それが本当だとすると、確かに放っておけないな…。いつ精神崩壊するか分からない。最低でも、これ以上の負荷をかけないようにしないと。
「つまり、交合ね」
…あのな、詩乃。精神的な拠り所にもなってやらなきゃならんのだから、ただ抱いただけじゃ…。いや確かに抱いて安心させて依存させるんだけど。
「では、沙耶根尾さんは? 確か、試験を受けるとも聞いていますが」
「安全装置もそうだけど、この子の場合欲求不満が怖いわね。殺戮を楽しむように調整されているから…。でも、あの子が不安定だったのは………そう、確か……戦った後こそが、最も不安定よ。強い力を振るえば振るう程、安全装置の発動が早くなる。血に酔って暴走したり反逆しない為の処置だったわ」
妙な所で用心深い設定してやがる…。
と言うか、そんな設定になってるんなら、迂闊に戦いに出せないな。暴れるだけ暴れて安全装置が発動した途端、大型鬼の奇襲なんか受けたら…。
「それを防ぐには、前もって安定させるしかないわ。戦った後、勝手な事をさせないように手綱を握る必要もある」
「戦いの前に応援の逢瀬、いい子にしていたら終わった後にも逢瀬をするとご褒美で釣る事極まりないです!」
…てかさ神夜、散々働かせて報酬が逢瀬だけって、それってヒモとかジゴロとか言わないか…?
「この場合は言わないんじゃない? 封印されていた私達を目覚めさせて、生活基盤を作って、今後の居場所も作り始めて…ここまで世話になっておきながら、これ以上要請するのは強欲を通り越して恥知らずよ。と言うか、嫉妬が切っ掛けになって安全装置が発動する事もあったし…」
40人以上の嫉妬ゲージ処理とか、初代恋愛遊戯よりも厳しくありませんかねぇ…。
「そうでもないわ。抱けば大分軽減されるんだし。一人一人を相手にしていると、その間に発作が起こるでしょうから、ある程度まとめて相手にするか、発作が起こりそうだと判断したら自分で訪れるように促すかね」
どうやってもソッチ系に結び付くのか…。
「…最初はともかく、最後の方は完全にそれ目的で運営されてたから…。何でもいいから自分から抱いてほしいと言い出させると言うか…」
「優越感を満たしたかった訳ですね。酷い話です」
傍から見れば、俺も同類なんだろうなぁ…。滅鬼隊の事だけじゃなくて、他の女関係で。
なんかもう色々と、馬鹿らしさを通り越して低能さとか下劣さとかを感じて来たけど、実害が出ている以上対処しない訳にもいかない。
とにかく、最悪の場合全員を抱く事も考えておかなきゃならんか。
「嫌なの?」
……………。
「勃たせて語らず…。愚問でしたね」
うん。むしろ、合法的に交わる理由が出来て万々歳だったりする。
今の皆で足りないって訳じゃないんだけど、まぁ綺麗所が目の前に居れば手を伸ばしたくなるのが俺なもんで…。
あと、実を言うと戦力強化にもなったりする。と言うより、俺の房中術の本来の使い方はそっち……の筈だ。
「私と明日奈さんを軽くあしらえる実力があって、切り札をまだ隠していて、更に強く…ですか。見習うべきこと極まりないですけど、あなたが追っている鬼と言うのは、それ程に強力なのですか?」
「追っている鬼? それは初耳ね…。と言うより、私達滅鬼隊は、あなたについて来るままにここに来ただけで、前後の事情もよく知らないわね」
んー…まぁ、正面切って向き合えれば、仕留めるだけならそう難しくないと思う。
あいつの能力で厄介なのは、戦う前に無力化される点だから。前にやり合った時も…最後の最後で人質を盾にされなければ、真っ二つにできた。やられた時点で言い訳にもならんがな…。
ただ、奴にも妙な異変がおこってるっぽんだよなぁ…。シノノメの里の石像もそうだし、考えてみれば3つの世界のモンスター達が妙な進化をしてるのも、奴が因果を零したからじゃないか?
いや、でも各地で見つかる遺跡の類までは…因果を零したとしても、建物がいきなり出てくるとは…。
「その辺の事に興味はあるけど、今は置いておきましょう。突然、『調子が悪くなったら抱かれに来い』なんて言っても、流石に受け入れられないでしょう。何より、ウタカタの里に聞かれたら面倒な事になるわ。ここの人達はお人好し揃いだから余計に」
「そうね。頭領が立場を笠に着て、部下を手籠めにしていると思われる。隊員達は保護と言う事で受け入れられるかもしれないけど、肝心の貴方が村八分になりかねないわ」
…そうだな。あまりおおっぴらに出来る事じゃないか。
いやでも黙っている事も出来んな。戦闘中に発作が起きたらと思うと…。
「事情がある集団なのは一目瞭然だし、特殊なタマフリの代償と言う事にしておけば? あながち嘘でもないし、強力な戦力と人手を得る対価とすれば…」
「一度安心させておけば、戦っても流石にすぐに発作はでないから、長期任務に行かせなければ大丈夫でしょう。発作が起こりそうな子が居たら、あなたの所に向かうよう密かに誘導しておくわ」
「ま、それしかないでしょうね。何れ秘密が漏れるとしても、それまでに半数以上を誑し込んでおけば、多少の問題は数の力で封殺できるんじゃない?」
集団での問題だからな…そういう手法も必要か。
了解。これについては、大和のお頭にも話を通しておく。
「災禍さん、これについては時子さんと天音さんと共有して、兆候がある人を見つけたらすぐに報告してください」
「かしこまりました。若様には負担をかける事になりますが…」
さて…そうと決まれば、まずは不知火の対処だな。この場で手を出すかどうかはさておいて、詳細を確認しなければ。
一応『母娘』なんだから、雪風も呼んでおくべきかなぁ…。