※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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家計簿アプリ使い始めました。
このところ、ルンバやら炭酸メーカーやらで、出費が激しすぎたもので。
そもそも貯金が段々減ってきてるからなぁ…。

でもゲームは欲しい。
来年2月にペルソナ5スクランブル。
3月に仁王2。
うー、待ち遠しい。
12月と1月はモンハンとペルソナ5Rのトロコンを目指して、ちょっとずつ進めていくつもりです。

さて、それはそれとして、年末年始の連日投稿、できるかなぁ…。


第502話

堕陽月肆拾弐日目

 

 初穂は鬼の手を、戦闘よりも移動手段と割り切って使用し始めたようだ。生身では鎖分銅を使ってもまだ届かないような場所に、一緒に行動していた速鳥を抱えて一瞬で飛び上がる事が出来る。

 この有効さは、初穂以上に速鳥がよく分かっただろう。一応言っておくと、見えない壁なんかないぞ。

 鬼すら注意を向けないような岩場、木の上、崖の上等に軽いジャンプ気分で移動できる。直線的にしか移動できない問題はあるが、それは鎖分銅使い特有の空中移動や、速鳥のNINJA体術を組み合わせる事でアクロバティックな軌道を可能とする。飛んで行った先によっては、バランスを取るのが大変な場所もあったようだが。

 

 ともあれ、見事斥候の任を果たしてきた初穂と速鳥による報告が行われた。

 尚、鬼の手は取り外しても爆発はしなかったものの、外す時に妙な電撃っぽいものが流れて初穂が涙目になったそうな。

 

 約半分が消失した雅の異界だが、今のところ大きな変動は無いそうだ。

 予想外だが、浅い部分から消滅していったからな…。消滅した辺りには、強い鬼は居なかったって事か。弱く小さな鬼であれば、異界消失の影響もそう強くは受けないのかもしれない。

 鬼同志の縄張り争いによる消耗を期待・予言していた身としては少々肩身が狭いが、そういう事であれば引き続き瘴気の元を探し回ればいいだろう。縄張り争いが起きそうなのは、それからだ。

 

 鬼の手の使用者として、暫くは初穂を中心とした探索が行われる。速鳥は別件…別の領域で、鬼達が作り上げようとしている塔探しだ。

 初穂は移動、戦闘、探索と、見事鬼の手を使いこなして見せた。本人は今一つ違和感があると言うが、博士も及第点を出すレベルだ。どうも、鎖分銅の延長線として扱ったのが良かったらしい。

 

 ……それとも、自分で使う時は『鬼の手』じゃなくて『姉の手』と呼ばせたのが鍵だったんだろうか? だったら、速鳥には天狐の手と…いやダメだ、逆に動かせなくなりそうだ。

 

 

 何にせよ、探すべき場所は瘴気がひどく濃い場所で、そうであれば鬼の手によってその流れを明確に視認できる。二つ目の瘴気の元は、遠からず見つかるだろう。

 そんじゃ、その間に何をすべきだろうか。

 やる事なんざ山ほどあるが、幸運にもこの里にはそれを分担して行ってくれる人達が居る。俺しかできない事、俺がやるべき事はそう多くない。

 

 …暫く大人しくしてたし、久々に狩り放題に行っちゃ駄目かな…。異界を浄化させるんじゃなくて、消失させる鬼が居るって事になったし、そいつの仕業って事にしとけばバレへんよな…。

 

 

「失礼します、那木です。大和のお頭から、『そろそろ余計な事考えてそうだから、監視を再開しろ』と言われてきました」

 

 

 Holy Shit!

 

 

「何がまずいので?」

 

 

 あ、那木さん表情が怖いです美人なんだから落ち着いて。あと横文字分かるんすか。

 

 

「異国の言葉も、多少は学んでおります。もっとも、その言葉については明日奈様から先日教えていただいたばかりですが。それで、何を考えておいででしたか?」

 

 

 いやそのあのな…。えっと、そう、前々から考えていたイベントというか祭りについてだな!

 那木はあの時居なかったっけ。そのうち落ち着いたら、うちの子達とウタカタのモノノフで、練武戦でもやろうって大和のお頭と話してたんだよ。

 ただ、普通に向かい合って殴り合うだけじゃ面白味がないし、なーんかこう、仕込でもできないかなーって。

 

 

「……………」

 

 

 視線が痛い。過去のループで、那木からこれ程に猜疑の視線を向けられたことは無かった。

 

 

「…まぁ、よいでしょう。練武戦の計画の事は、私も聞き及んでおります。ですが、正面から戦うからこその練武戦では?」

 

 

 そうなんだけど、ただ正面から工夫もせずに戦われてもなぁ…。強弱や得手不得手がはっきり出るのは利点だが、実際の戦いってそういうものじゃないだろ?

 自分より強い敵を相手にした時にこそ、戦い方や真価を問われる。

 切り札として道具を持ち込む、地形を利用する、周囲にある小石だって投擲すれば武器になる。何よりも仲間と協力する。

 弱者はそうやって強者に挑むし、それをあしらえないようなら強者ではない。

 

 何より、鬼を相手にして鍛錬を積むのであれば、一人で戦う理由なんぞ無いに等しい。そうしなければいけない状況ってのはあるけどさ。

 

 

「仰る事は分かりますが…私の弓とタマフリとて、個人では真価を発揮しにくいので、自然と練武戦では振るわぬ成績となってしまいますし。ですが、それならばどうすると?」

 

 

 んー………班を組む…得点制にする…芸術点を競う…装備を限定する…罠を仕掛ける…鬼を捕まえてきて、倒す速さを競わせる…。

 

 

「……(弓を手に取るべきか迷っているようだ)」

 

 

 突き詰めると、闘技場になるんだよなぁ…。しかし、そんな施設何処にあるんだって話だし…。

 

 

「は? …あの、この建物のようにご自分で作れるのでは? 骸佐様が愚痴を零しておられましたが、すたんだっぷほぉむ号なる巨大カラクリに変化する機構まで組み込んだとか」

 

 

 

 

 

 

 

 その手があったか! 素で思いつかんかったわ!

 考えてみりゃ、一対一での普通の闘技場、高低差が多い立体闘技場、まず舞台に辿り着までに全滅する超人専用通路だらけの闘技場(と言うかアサシンの墓所)、カラクリ満載の特殊闘技場まで作り放題じゃねーか! 不具合は出るけど!

 

 

「…私、ひょっとして余計な事を言ってしまったでしょうか…。あ、あの、お作りになるのは構いませんが、せめてお頭の許可を得てくださいまし。そもそも、これからは異界浄化の方法も見つかり、鬼達に邪悪な企みがある事がわかり、より一層戦いが厳しくなっていきます。言っては何ですが、練武戦の舞台づくりの為にモノノフとしての責務が滞るようでは…」

 

 

 心配ない、そろそろ俺抜きでも部隊運営が出来るようになってきたしな!

 とは言え、確かにお頭の許可は必要か…。後で揉めたりしないよう、場所や管理責任、使用時の注意事項まで書面で纏めておかないとな。

 

 

「ほっ…」

 

 

 …………素面で言っても断られるだろうから、泥酔させて一筆書かせよう。

 ハンターでも数杯で酔い潰れる、異国って言うかMH世界の酒を味わうが好い。強すぎてハンター以外飲酒禁止な代物もあるけどな。

 

 

 

 

 …よし、何とか誤魔化せたな。那木は頭はいいけど人が良過ぎて、疑うのに向いてない。…あれ、それを監視役にするって、大和のお頭何考えてんだ? 裏…と言うか、別の目的があったりしない? まぁいいか。何か考えてるにしても、俺らを害する前提で行動する人じゃないし。下手に真意を探るより、信頼してますよアピールした方がええやろ。

 

 そうそう、話は変わるけど、連れ帰って来た子達はどんな感じ?

 

 

「あの、浅黄様に瓜二つの女性と、頭に角が生えている子ですね。何事もなければ、数日中に目を覚ますと思われます。大きな怪我も、呪いの類の痕跡もありません。ただ…」

 

 

 那木はいい淀むと、痛まし気に目を伏せた。

 …那木がこうまで沈痛な表情をするとは、何事だろうか。手術…の話じゃないな。それだったら、多分まだ手が震えて動けなくなる。トラウマを乗り越えるようなイベントは、まだ起こっていない。……時系列的に、起きてないとヤバい気がするが。

 

 

「ただ、お二人とも…特に浅黄様似の方は、極度の疲労状態にあるようです。肉体だけでなく、精神的にも」

 

 

 …目も覚ましてないのに、精神的に疲弊しているってよく分かるな。心の疲弊が体調に影響する事は、確かに珍しくないが。

 

 

「その極致でございます。私も、あれ程の心労の兆候は初めて見ました…。博士様のお言葉によれば、彼女達が封じられていた円柱は、中に入れられた者の時の流れを遅くし、その上でゆっくりと治癒していく効力があるそうです。どのような仕組みなのか、真実なのか、疑問の尽きぬところではありますが…。それが事実だとすると、封じられる前は…間違いなく、疲労で一歩も動けない状態であったでしょう」

 

 

 一歩でも動ける状態なら、封じられると分かってりゃ死力を尽くして逃げようとするわな…。

 それができない程、二人とも疲弊していたのか…。

 具体的な症状は? 外相は無かったんだよな?

 

 

「重度の栄養失調を初め、神経の乱れ、臓器の疲弊、その他諸々…。髪質一つ、肌の色一つでも分かる事は多いものです。…彼女達が自分の意思で封じられたのでないのなら、恐らく以前の彼女達は、奴婢の立場すら極楽かと思う程に酷使され、精根尽き果てたのでしょう。そして気を失ったまま、封じ込められた」

 

 

 封じられろって言われて、素直に従う訳ないわな。そして敵に回すと厄介なくらいの実力がある相手。搦め手で戦力を削るのも、道理っちゃ道理だが…。

 そうであるなら、何故そこまで酷使されて従ったんだろうか。彼女達には、今目を覚ましている浅黄や滅鬼隊のような暗示は無かったと思われるのに。

 

 

「その他、気になる事と言えば、浅黄様似でないお方に、角が生えている事ですが…。少なくとも、外側から縫い付ける等の手術によってつけられたものではないようです。角の根本にも不自然な傷跡は無い…。生来のものでしょう」

 

 

 鬼の角が生えた女の子、か。呪いで半身を鬼に変えられた女を知ってる身としては…正直何も思わんなぁ。今更その程度じゃ。

 うちの子達だって、鬼の成分を混ぜ込んで妙なタマフリを使えるようにした、って子達だから。

 

 近い内に目を覚ますと言うなら、それを待つとしよう。何か覚えているかすら、現状では推測しかできない。

 ……浅黄の語る、以前の労働環境からして、疲弊しきった原因には予想がつく。目を覚ましたら、本人が拒否したとしても休養させようと、心に誓った。

 

 

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