堕陽月肆拾玖日目
任務に出掛ける凛花を見送る時、ちょっとした頼み事をした。
安全第一だし、無理に武勲を求めるのは禁じていたが、もしも封じられている子達が着ているような服…体にぴっちり吸い付き、露出度が非常に多いあのスーツ…を見つけたら、優先的に持ち帰ってほしい。
言われた凛花は不思議そうな顔をしていた。まぁ、彼女達にしてみれば、奇異すぎてエロさを全く感じない恰好だろうからな。
コスチュームプレイの為に持ってきてくれ、と言われても首を傾げるだろう。そんな事の為に、ではなく、あんな恰好の何処がいいのか?という意味で。
敏感な部分を指先でなぞりながら頼めば、頬を赤らめながらも頷いてくれた。もしも発見して持ってきてくれたら、真っ先に衣装の効果を実感させてやらねばなるまい。
ちなみに、背後で凛子が凄い表情をしてた。後でガムシャラに刀を振って訓練していたが、あの分だと今日の試験も不合格だな。半分以上俺のせいか。流石に悪い気がした。
それはそれとして、アサギがもう復活してきた。決して体が治った訳ではない。今でもカノジョノカラダハボドボドダ! いや冗談抜きで。特に胃腸関係が。
それでも、無理に寝かせておく方が心労が溜まると言う事で行動を許可された。…先日もそうだったけど、それでいいのか医療班。俺としても、あの魂の叫びを聞いてるから、反論できない…。
もういっそ完全に安心できるまで、好きにさせてやるべきかと半ば本気で思いながらも話を聞くと、きららさんの様子を見に来たとの事。そう言えば、起きた事は伝えたけど、どういう様子だとかは伝えてなかったな。
記憶を失っているんだが…。
「構わないわ。むしろ好都合よ。以前のあの子のまま動き回られたら、絶対にろくでもない事になる」
…それ程か。
「男嫌いなのよ、あの子。あまり接点が無かったから詳しく知らないけど、とにかく衝動的で、嫌いな者への態度を隠そうともしない。流石に助けてくれた人に対してまで無条件に突っかかるとは思いたくないけど、『助けてくれたのは女の人で、男になんか助けられてない』とか言いかねないわ」
子供でもそこまで意地を張らんぞ…。それだけ男を嫌う理由は知ってるのか?
「いいえ。記憶が消えているなら、思い出させるのも不可能に近いでしょう。でも、理由が分からないというだけで我慢するような子じゃないわ。どこまでも直情的で、我慢とか待つとかいう事を知らない。そんな子なのに、宿す力だけは異常に強い。ゴウエンマを一瞬で氷漬けにした事もあると聞いたわ」
…成程、力を持った子供そのものか。確かに厄介だな…。
とは言え、「あまり接点が無かった」と言う割には、悪評だけがポンポン飛び出てくる辺り、アサギの経験に基づいたフィルター…偏見が入っている可能性も否定できない。こんなになるまで胃壁と精神を削られているのだから、悪感情が増幅されていてもおかしくないものな。
さて、どうしたものか。仮にアサギが言うような超問題児であれば、外の世界に放流しても危険が及ぶ。彼女自身だけでなく、俺達にもだ。
滅鬼隊の一件は、未だ霊山を混乱に陥れたままだ。九葉のおっさんが上手くやり、ウタカタの人達が快く受け入れてくれたから安穏としていられるが、問題を起こせばそれも露と消える。得体の知れない力を持った異端のモノノフが、いつ自分達に牙を向けるか分からなくなるのだ。うちの子達も同類扱いされ、疑いの目を向けられてもおかしくない。
…説得の材料もあるにはあるが、本人も見ない内に考えても空想にしかならないな。まぁ、覚悟を決めて行ってみますか。
世話を任せている那木に伝言を頼み、アポを取る。案の定、あまりにいい顔はされなかったようだ。那木自身、まだ嫌っている男性を近付けるのには賛同しかねるのだろう。
だが、アサギの心労とどちらを取るかと聞かれた場合、苦渋の判断ながらアサギを取る。…心労一つでここまで譲歩されるのだから、彼女の以前の職場については推して知るべし。もう本当にどんだけ酷かったのやら。
扉を開けて部屋に入ると、上半身を起こしているきららさんと目が合った。
あからさまに嫌悪で顔が歪んだ…まるでGを見つけた時のように…が、仮にも自分を封印から解放した人間だというのは聞いているらしく、即座に罵声が飛んでくる事は無かった。
俺に続いて入って来たアサギを見ても、表情に変化は無し。…少なくとも、以前に付き合いがあった記憶はなさそうだ。
病状のところに失礼する。ここの子達の纏め役をやっている者だ。
こっちのアサギは…きららさんと呼んでも?
「…馴れ馴れしいわ。男なんかに呼ばれる事自体、虫唾が走る」
…うちの子達が聞いてなくてよかったわ。下手しなくてもその場で敵対確定だ。
俺も嫌っている相手と積極的に関わろうとは思わんが、状況が状況なんで呼ばざるを得ない。他に呼び方も知らないんで、きららさんと呼ばせてもらう。
こっちのアサギは、きららさんの元同僚らしいんだが…記憶はあるか?
「ご紹介に預かったアサギよ。…相変わらずのようね、あなた」
血を吐きそうな顔色で、冷たい視線を送るアサギ。それを見たきららさんは、何かを思い出そうとじっと顔を見つめていたが、やがて首を横に振った。心当たりは全く無いようだ。
非友好的な視線を送りつけられても、俺に対するよりも態度は柔らかい。
「あまりいい関係とは言えなかったけど、私とあなたは同じ場所で戦っていたわ。その頃とは、あらゆる意味で状況が変わった。世界全体がね。今までの常識は……どれくらい頭に残っているのか知らないけど、どっちにしろ殆ど通用しないわ。あなた、これからどうするのか当てもないでしょう。悪いことは言わないから、せめて状況を把握できるまでは、ここで世話になりなさい」
「…嫌よ。その男が頭領なんでしょ? 立場を笠に着て、何を要求するか分かったもんじゃない…いえ、分かり切ってるわ。男なんて、どいつもこいつも獣よ」
「…あなた達がそんな連中ばかりだから、私が苦労していたのよ…。その言い分で確信したわ。あなたをそのまま放り出せば、巡り巡って私達に災いを運んでくる。男だ女だ、好きだ嫌いだで行動していられるような世じゃないのよ。以前もそうだったけど、今は猶更」
「何よ、私が全ての元凶みたいな言い方して。私が何をしたって言うのよ。そもそもあなた誰? 全然記憶にないと言うか何一つ覚えてないけど、あなた私の何なの」
『黙りなさい』
「…っ!」
…おや? 今の発声は…。ちょっと強い力と意思が籠った声だった。
あれは、浅黄と同じような滅鬼隊を統率する為の声なのか、それとも素で怨念が籠り過ぎた為の声なのか…。
いや、もう暫く静観するか。
「何をしたかと言うなら、今のあなたの態度そのものがその答えよ。状況を全く把握できないとは言え、相手が男性だと言うだけで攻撃的になり、助けられた事実を無視して、呼び名を確認しただけなのに馴れ馴れしい? 虫唾が走る? 心の中で思うだけなら、まだ良かった。だけど、そうやって関わる男性一人一人に毒を吐いていくつもり? あなたの行動は、自覚の有無に関わらず私達の評価にも繋がる。困るのよ、また以前みたいに無駄に仲間内でいがみ合ったり、協力者を怒らせて約定を反故にされたり、敵でも味方でもなかった一般人を凍り付かせて雪女だと騒がれたり、隠密任務だって言ってるのにどいつもこいつもお構いなしに障害物を全て叩き壊しながら突撃した挙句に隠蔽も後始末も報告も処罰も全部私に押し付けたり、『なんとなく』で真夏に湖を凍り付かせて意味も無く噂話になったり、触るなと言ってるのに封印の注連縄に触って鬼を解放したり、よく分からない装置を適当に弄って鬼の大群を召喚したり、裏も取れてない情報を鵜呑みにしてゲフオォ!?」
首筋に手刀。喋るな。もうそれ以上喋るな。
説得じゃなくて鬱憤を吐き出すだけになってる。しかもすっきりするどころか、思い出して自分でダメージ受けてるし。
うん、さっきの声は素の声だな。
崩れ落ちたアサギを那木に任せ、きららさんにふり返る。
アサギの剣幕に恐れをなした訳ではないだろうが、なんか微妙な顔をしている。…これはアレだな、『え、昔の私ったそんなお馬鹿さんだったの? 冗談よね? でもあの剣幕は…』って顔だな。
確かに、自分がそれをやったのだと言われると、否定したくもなるだろう。…それ以上にアホな事を、思い返すと散々やってきた俺だけども。
あー、とりあえず話を進めよう。さっきの話が本当なのかは、また後で考えるとして。
「あ、うん」
呆然とした状態であっさり返事が返ってくる辺り、根は素直な子らしい。よくも悪くも。
何にせよ、話を進めるなら今の内だ。頭が回ってない、男嫌いの意識が先に出てないうちに終わらせる。
俺としては、君がどっか行くならそれはそれで構わんと思っている。何なら支度金とか弁当とか持たせてもいいくらいだ。
ただ、アサギが言ったように、君は滅鬼隊の一員として考えられているだろう。詳細は省くが、君が居た状況からして、そう的外れな推測でもないと思っている。
その君が外に出て、いくら俺達と無関係だと口にしたとしても、あちこちで揉め事を起こして悪評を立てれば、こっちにまでその影響を受ける。
…何かやらかすのを前提にしているのが不満そうだな。
だったら聞くが、今の人間がどういう状況にあるか理解しているか_
オオマガトキから何年経った?
いや、オオマガトキが起きる前に封じられたようだから、それ自体知らないか。
人間がどれだけ追い詰められてるか理解してるか?
霊山を中心として、どれだけの土地と人間が残ってると思ってる?
その中で互いが争わないように、互いに距離を置き、食い扶持を確保して人が住める土地を守る為の決まり事が作られた。それをどれだけ理解できてる?
皆が食い扶持を確保する為に、どれだけ必死になってるか見た事があるか?
男相手に突っかかるとか、そんな問題じゃない。単純に、知らない以上はいつ何処でやらかしてもおかしくないんだよ。
…と、一方的な話だけをしてしまったが、拘束する事しか考えてない訳じゃない。
状況や世間の事を把握するまでここに留まってもらえるのであれば、相応の見返りを用意できる。
まず衣食住。一応言っておくが、飯担当者はほぼ女性だ。
次に、君のお仲間と対面できる。…まだ封印されてる状態で、受け入れる準備が整ってないからすぐには解放できないが、一人くらいは見覚えのある相手がいるかもしれない。その子と話してみれば、過去の記憶が蘇るかもしれない。
「…………それだけ?」
いや、まだあるぞ。…さっきから目が揺れてるな。メリットは惜しいが、それでも男性の下に着くのが嫌でたまらないって事か?
であれば、次の交換条件は猶更突き刺さるだろう。
これは衣食住の住とも被る事だが…住む場所の条件の問題だ。
君が今すぐ何処かに旅立ったとして、当然の事ながら、どこに行っても男性は居る。当然だな、人類の半分は男性だ。それが嫌なら、女だけ集めて山賊団とか結成して、人里から離れて暮らすしかない。当然、結界もなく、鬼に襲われ、食べ物も手に入る保証は無く、まともな生活は送れない。
が、ここは例外だ。うちの子達は、事情があって9割以上が女性でな。このアパート…あー、長屋みたいなもんだが…の中で生活してれば、男と関わる機会なんぞ数える程しかないぞ。俺は屋上の部屋を使ってるし、男連中は基本的に絡んで行動する事が多いし、女ばっかの所は居心地が悪いからってあんまり入ってこないからな。
まぁ、任務なり何なりで里と関わるようになれば、流石に女ばかりとは言えないが、私生活ではほぼ関わり合いが無くなるのは確かだ。
「そういう事なら、話に乗ってあげるわ。あんたの顔を見ないように気を付ければいい訳ね」
そうなるな。俺も、自分を嫌っている人間に必要以上に関わろうとは思わん。何か用事ができたなら、秘書・執事連中を間に挟めばいいだろう。ただし、あんまり悪し様に言わないように。仮にも上司を貶されて、いい気がする奴は…………山のように居るけど…社交辞令の範疇で済むようにな。
「私があんたを何と言おうと、関係ないでしょ。…でも、確かにさっきの人が言ってたように助けられはしたみたいだから、その分は考えてあげるわ」
やれやれ…。アサギが胃を痛めるのがよく分かるな。
他の連中もこんな感じなんだろうか? 解放するのが嫌になってきた。
さて、それじゃあ後の事は那木に任せる。看病だけじゃなくて、知りたい事があったら質問するといい。
懇切丁寧に、『説明』してくれるから。アサギはまた宛がった部屋に寝かせておくよ。
「お任せください! あと、アサギ様への薬は後でお届けします」
…いい笑顔だね。別に、彼女の態度にイラッと来たから憂さ晴らし…ではないぞ。何も覚えてない状態なら、しっかり説明した方が分かりやすいだろうしね。…長い話を理解できるだけの頭があるかは疑問だが。
しかし、さっきのアサギの声…いや声質も気になるけど、あの内容…。
滅鬼隊の言動や戦果が残念なのは、運営主がアレな連中だったからだと思ってたんだが…元々だったのかなぁ…。いやでもあの子は、博士の推測によると滅鬼隊の元、つまり恐らくはホロウと同類なんだろうし…待て、考えてみればホロウも割と残念な奴だったか。
アサギを部屋に運んで寝かせようとした時、丁度目を覚ました。
視線だけで周囲を確認し、状況を把握。…自分がやった事を思い出したようだった。
おう、起きたか。
「…醜態を曝したわね。随分優しく気絶させてくれたこと」
これ以上心身ともに負担をかける訳にはいきません。
と言うか、どうすれば休めるんだアサギは…。何もしてなきゃ勝手に不安になって心労が溜まるし、好きにさせてると過去の厄介事を思い出して崩れ落ちるし、冗談抜きで昏睡にでもしておいた方が回復するんじゃないかと思えてきた。
「そうなったら、多分魘され続けるわね。もういっそ忘失でも……いえ、やっぱり形の無い不安に襲われ続ける気が…」
………アサギ、とりあえず飯食って酒飲んで、ゆっくり寝ろ。
親しい友人は出来たか?
「友人? ……考えた事ないわね。もう一人の私とは仕事相手という印象が強いし、目を覚ましてからは不安を紛らわす為にあれこれ動き回ってただけだったもの」
そうか…。んじゃ、俺と一緒に飯食おう。
仕事の話でも、他愛ない話でも、何でもいいから人と話ながら食おう。
もしも誰かに対して殺意を持ったなら、まず定時で仕事を終えて、帰宅したら私服に着替え、散歩の後に友人と飯を食い、ゆったり風呂に浸かって、恋人と二人きりで語らい、ほろ酔いになる程度に酒を飲み、残った時間を趣味に注げ。夜は暖かく柔らかい布団でぐっすりと眠り、朝日と共に目を覚ませ。ほんの少しばかり二度寝して、消化のいい朝飯を食って、軽く体を動かしてから理想の一日を思い浮かべる。
それでも尚殺意が消えてないのであれば、すぐに家を出て殺しに行け…てな。誰が言った言葉だったか忘れたし、大分変ってると思うけども。
「…それが出来るような環境であれば、私はああまで擦り減らなかったわ…」
……なんだ、その…すまん…。
「…友人も恋人も居ないんだけど」
だから俺が一緒に行こうって言ってんの。ほれ、過去の事ばかりじゃなくて前を向いて行こう、前を。
幸い、俺のやる事は大体終わってるし、急ぎの案件も無い。
幸か不幸か、今アサギがやるべき事も無いだろう。将来の懸念に対策するにも、そう有効な手段は残ってない。だったら、今は体を休める時だ。それで納得できないなら、体調を万全に戻す仕事と考えな。
「仕事から離れろ、と言いたいんじゃないの?」
世の中には、仕事してた方が気が安らぐ人だって居るからな。無理に力を抜こうとするのも、逆に疲れるもんだ。自分にとって一番楽な状態でいればいい。
今はその仕事もできないような体だから、二番目に安らぐ状態を見つけようって話だ。
さ、行こうか。今日の飯は秘蔵の一品を引っ張り出すぞ。明日奈に力作を頼まなくちゃな。
肉、魚、野菜、果物、何が好きだ?
「…魚。あとは…蕎麦かしら。食べやすいし」
ふむ、麺類か。MH世界で各地を回っていた時に買ったのが幾つかあったな。GE世界では…ああ、パスタならあったっけ。小麦はまだ辛うじて栽培されてたからな。
魚介出汁の蕎麦をメインに、小ぶりな鉢でおかわり自由。立食パーティ…には汁物は向かないが、バリエーションを揃えてみよう。
蕎麦、うどん、ラーメン、パスタ。調味料や汁、具を工夫すれば幾らでも。
幾ら明日奈でも、初めてみた物を完成された味まで持っていくのは難しいだろうが、レシピはあるからちゃんとした物は出来る筈。
無茶振りしてしまう事になるが、信頼の証としてゴリ押ししよう。未知の素材を扱うのは楽しいって、本人も言ってたしな。
「まだ行くとは言ってないんだけどね…。はぁ、まぁいいわ。確かに、これ以上無理に動いても効率はよくなさそうだし、折角封印から目覚めて、あの子達の世話からも解き放たれたのに、今までと同じ事しかしてないんじゃ意味が無いわ」
そういう事。新しい趣味でも見つけようか。
俺も、ちゃんとしたデートは久しぶりだな。アサギにそういう意識は無いかもしれないが、エスコートするって意味では的外れでもないだろう。…メンタルケアの為の、路上介護のような気がしなくもないが。
この後、気晴らしの一日を楽しんだ。
ウタカタの里を散策しては橘花に意味深な含み笑いを向けられ。
晩飯まで時間があったので、趣味の開拓として釣り(MH世界で作った太公望を使用)をしながらボーッとして。
飯時には二人で特別席(と言ってもちょっと離れた場所にあるだけ)で、珍しい夕飯の奪い合いを肴に、漫才を眺める気分で飯を食い。
半ば露天風呂と化している大浴場(男女別)で、星を見ながら湯当たり寸前まで温まり。
恋人ではないものの、あの飯が上手かった、あの時逃した魚は絶対大物だった、などと他愛も無い話をして。
秘蔵の酒を嗅ぎつけて来た子達に一升瓶ごと渡して追い払い、ウタカタで作った酒からGE世界の配給ビール、MH世界の地酒までチャンポンして晩飯の残りをツマミにして。
考えてみれば、そこまで酔っぱらってる時点で、翌日は二日酔確定だから、気晴らしは半ば失敗したようなものだったけど。
いい気分で布団に潜り込み。
その後朝までセックスした。
ちゃうねん(震え声)
いやマジでちゃうねん(震え声)
手ぇ出すつもりなかったねん。
布団に入ったのも別々と言うか、酒が回ってフラフラしているアサギを部屋まで送り届けて、ちゃんと寝付かせて出てきたねん。
すっごい気持ちよさそうに酔っぱらって、歯磨きだけさせて布団に放り込んだら、のび太並みの寝付きの良さで眠ってくれたねん。
でもその後、目を覚ましたアサギに逆夜這い喰らったねん。
「何で襲わないのよ」なんて言ってたんだよ。ただし目がぐらぐらしてたので、正常な判断力は微塵も残っていなかったと思われる。むしろ、起きて動き出した後、その辺で眠り込んだり、全然違う子を間違えて逆夜這いしなかっただけマシなレベルだ。
何で襲わないって言われても、流石にリハビリ中の病人を襲うほど腐れた人間になった覚えは………覚えは……まぁ、あると言うか、むしろ俺の場合抱いた方が体力回復に繋がるといいますかね? オカルト版真言立川流で、体の中から癒します。
でも疲れ切っているアサギを連れ出しておいて、送り狼は流石に無い。と言うか、アサギはどうして俺に襲われると思っていたんだろうか? 少なくとも、今日のデートの間にそういう事を仄めかしたり、そんな気分にさせるような事をした覚えはないのだけども。
まぁ、何にせよ。酔っぱらっているとは言え、真夜中に男の部屋に来るってそう言う事だし。女からの申し出を袖にして、恥をかかせるのも忍びないし。
そのまま朝までしっぽりしました。
いつものヒィヒィ言わせて悦ばせるやり方じゃなくて、どっちかと言うとマッサージに近いけどね。アルコール前後のマッサージはあんまりよくないが、そこはそれ、これもオカルト版真言立川流でどうとでもなる。エロなら大抵の事はできるのだ。未だに理屈は把握できてないが。
追記 アサギは処女じゃなかった。「こんなに優しく達せられたのは初めて」だそうな。…やっぱり、この子も他の滅鬼隊同様、オナホ扱いされていたんだろうか。でももう俺専用だ。過去の事なんか路傍の石にしか思わないくらいに、魂から染め上げて行こう。