※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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おそまきながら明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

元旦は鼻風邪気味なので寝正月、2日の出勤でめっさしんどい思いをした時守です。
やっぱ繁忙期はキツいわ…。
スタッフが集まらなかった日は特に…。

それはそれとして、P5Rクリア&トロコンしました。
うーん、出てきたタイミング的にアウトっぽいなぁ、でもワンチャンあるかなぁ、P5Sには登場人物に無いしなぁと思っていたあの人、やっぱりでしたか…。
まぁワンチャンを漂わせるような描写はありましたが。

それはそれとして、これからどーしようか悩み中です。
アワード取りに行くかなぁ…。


第512話

 さて、ダイマエンと接触、無事勝利した訳だが…うーん、人間の底力を垣間見たなぁ。まだまだ俺も、人の力を甘く見ていたって事か。

 毎度毎度、来た見た勝った形式のお話になってて申し訳ないが、狩りをしながら日記をつける訳にもいかんのでご容赦願いたい。まぁ、俺の日記は思った事が勝手に記される自動書記なんだけども。

 

 手早く割れる結界だけを消しながら進んでいた訳だが、それはつまり俺達の居場所を敵に知られる事にも繋がる。

 待ち伏せからの奇襲を受ける事も考えていたんだが……いやはや凄いもの見たわ。

 

 ダイマエンは逃げようとしていた。空高く飛び上がり、痕跡も残さず飛んで行ってしまえば、流石に鬼の手を使っても追いすがる事は難しい。

 だが、それをさせなかった者が居た。……富獄の兄貴が言っていたように、ダイマエンの腹の中に残っていた『ちび助』である。

 

 いや、明確に話をして肯定されたんじゃないんだけど、状況的にそうとしか思えなくてね…。

 とにかく、俺達がダイマエンを発見した時、ダイマエンは空を飛ぼうとしていた。が、結界に阻まれて飛び上がれなかったのだ。…自分が張った結界に阻まれて。

 

 何を言っているのか分からないと思うが、俺も最初に見た時は訳がわからなかった。飛び上がったと思えば頭上に結界が展開され、頭をぶつけて落下してくる。方向を変えてもう一回飛び上がったら、今度はそっちにも結界が展開され、また頭をぶつけて落下する。

 …コント? 頭突きの練習? それとも自分で自分を痛めつけて快感を得る、伝説の一人SM?

 で、試しに手近にあった結界を一つ壊してみると、ビックリした猫のように跳ね上がり、また頭上に出現した結界に頭をぶつけて落下する始末。

 …あれって、飛び上がった先に出現した結界を頭突きで壊せたとしても、その衝撃で体勢を崩して落っこちるんじゃないかなぁ…。

 

 

「…行くぞ。悪いが、お前らはその辺の結界を破りまくっておいてくれ。それだけでも、奴の行動を大幅に制限できる」

 

「…………ま、仕方ないわね。結界を破るなら、私達が適役だもの。馬鹿な意地を張ってる訳でもないし」

 

 …自分の拳でやりたいって魂胆が見え見えだぞ。ま、確かに下手に囲んで攻撃するより、そっちの方が効率は良さそうだが。何せそこらの結界を破るだけで、何処に居てもダイマエンの動きを止められる、消耗を与えられるのだ。

 ダイマエンにとっては、クソゲーなんてレベルじゃないだろうな。使えば回避不可能、大ダメージを受ける上に行動不能になるステージギミックが無数にあるんだから。負けイベだってここまで一方的じゃねーよ。

 

 そういう訳で、俺と初穂は直接戦闘を富獄に任せ、無心にその辺の結界をガンガン叩き割っていた。

 当然、その衝撃はダイマエンにフィードバックされ、七転八倒もいいところだった。羽は禿げ上がり、嘴には罅が入り、爪は砕け…正直、こうやって結界壊すだけでもストレスで死んでいくんじゃないかと思ったくらいだ。

 

 とは言え、ゲームでもクソ面倒くさい鬼として有名だったのは伊達ではない。

 途中から何故か内股になりながらも富獄に襲い掛かり始めた。やはり巫女の力をある程度使えるのは確からしく、富獄の動きを結界で阻もうとしたり、純粋に守りに使ったりと、このまま長じれば本気で厄介な鬼となっていただろう。

 尤も、結界破りの衝撃を連発され、自力で展開した結界は非常に貧相なものだったが。

 

 その代わりに厄介だったのが、何とこちらのミタマに干渉する能力。強化したミタマの力が弱体化されるのだ。

 封印ではなく弱体化。しかも、恐らくは永続的に。

 そういや、ゲームでもそんな機能あったよな。鎮魂…だったか? ミタマのレベルを下げて、再度強化する事でスキルを習得しなおす、と言う。

 これは時間がかかる術らしく、弱体化させられたのは微々たるものだったようだが、それでも戦いが長期化していたらと思うと…。

 実装されていたらクソ鬼ってレベルではない。

 

 とは言え結界との同時行使は相当な負担がかかるらしく、フラフラになりながら術を使っていたが。

 

 

 そんな状態で富獄の拳に耐えられる筈も無く、あっさりとKO。倒れたダイマエンに圧し掛かり、見事な打ち下ろしの一発で顔面をぶち抜いて仕留めた。

 

 

 

 …ダイマエンから解放され、成仏していく魂達を見ながら考えた。

 常識的に考えれば、いくら神垣の巫女と言っても、鬼に呑み込まれた状態でミタマと化し、内側から鬼に対して何かをするというのは考えられない。

 

 ダイマエンの不利になるような形で結界が幾つも展開したのは、得た能力を制御しきれなくなった為だろう。

 人間の術者にだって、ちょくちょくある事だ。突如目覚めた力や跳ね上がった能力にキャパシティがついて行かず、無意識に術を使ってしまったり、威力の強弱を誤ってしまったり。

 今回の例で言えば、あちこちに結界が張られていたのは狙った場所に上手く発動させる事ができず、数うちゃ当たるで発動させたため。移動しようとした先に結界が展開されたのは、そちらに行こうと意識を向けた先が結界の発動先となってしまったため。

 

 しかしそれにしてはタイミングが良過ぎた。移動を妨害し、割りやすい位置に弱体化の為の結界を配置される。更には、富獄が最近何度も見ていた夢。何者かの意図が介入していた、と思った方が余程納得がいく。

 

 

 …どう思う、富獄?

 

 

「言っただろ。あいつらが大人しく食われたままでいる筈がないってな。あの夢も、ちび助が俺を呼んでたんだろうよ。助けを求めるんじゃなくて、『手伝ってやるからこいつをぶっとばせ』ってな。…だから気に入ってたんだよ」

 

 

 随分と逞しいというか、ガンギマリした里だったようで。鬼の利益になるくらいなら自決を選ぶ、木綿季の同類であったか。

 …富獄といつ巡り合えるかも分からなかっただろうに…人間の意地を見た気分だわ。英霊のミタマになれた訳でもないのに、鬼の腹の中で何年も反撃の機会を伺い続けていたとは。結界の展開が偶然じゃないとするなら、何年もかけて腹の中から徐々に干渉し、術を使う為の機能を侵食していったんだろう。執念としか言いようがない。

 

 

「さて…あの腐れ鬼もぶっ飛ばしたが、お前らに借りが出来ちまったな」

 

「別にこんなんで貸しだの借りだの言うつもりないわよ。洒落にならない鬼が里の近くで生まれる所だったんだし、むしろ今の内に倒せてお手柄じゃない」

 

 

 んだんだ。

 ま、どーしても借りが出来た気分になるんだったら、その分戦果と……大和のお頭のお説教肩代わりで返してくれや。

 

 

「俺が3倍説教されたとしても、お前らの分を引っ込める奴じゃねーだろ。…ま、口裏くらいは合わせてやるよ。お前らが追いついた時には、もう俺とダイマエンがやりあってたって事で」

 

「ここに来るまでに結界を破った跡は?」

 

「俺を誘い込んだ後、退路を断って増援を防ぐ為に張られた結界だった。つまり俺が来た時にはまだ張られてなく、後から来たお前らが破った。これでいいだろ」

 

 

 ま、そんなトコでいいでしょ。

 …ところで、手柄がもう一つ立ったみたいだぞ。 

 

 安の領域の瘴気の源、見つけた。どうもあのダイマエン、ここの守りを任されていたっぽいな。結界の能力の事を知って任されたのかは分からんが。

 

 

「え、うそ、どこどこ? 鬼の手使って見まわしても、何にも見つからないんだけど」

 

 

 真上。霧に紛れて分かりにくいが、あそこから瘴気が落ちてきてる。

 さて、どうすっかな…どうやらここは地形の流動も無い、安定した場所のようだ。いきなり浄化はやめた方がいいか。

 

 

「まどろっこしいが、これ以上勝手に行動すると説教じゃすみそうにねえな。いつでもやれるなら、今無理にやらなくても……ん?」

 

 

 どうし…ん、声? これは……鹿之助の声か。あの馬鹿なにやってんだ。異界の中で大声あげるとか、鬼を呼び寄せるようなもんだろうに。

 

 

「お前を呼んでるみたいだな。…いや、俺と初穂もか」

 

「増援に来てくれたって事でしょ。はやく行ってあげましょうよ」

 

 

 そうだな。鬼に居場所が知られるなら、猶更さったと行かなきゃな。そんじゃ、異界浄化はまた今度って事で。

 

 

 

 

 

 

 

 駆け足で来た道を引き返すと、半泣きの鹿之助、神夜、明日奈、詩乃に遭遇した。おいおい、現状の最高戦力揃えて来たな。

 今にもガチ泣きになりそうな鹿之助とは裏腹に、他の3人は大して危険も感じて無さそうだし、ついでに心配もしていないようだ。どっちかと言うと、鹿之助が大騒ぎするから落ち着ける為についてきたって感じだ。

 

 

「若ぁぁぁ~~~!! 富獄さん、初穂さーーん!! よく無事でえええ!!!」

 

「ああはいはい、落ち着きなさい。お姉ちゃんが負ける筈ないでしょ」

 

「いつ姉になった…と言いたい所だが、見た目的に違和感ねえな」

 

 

 姉妹と言われても納得できるな。

 皆すまん、心配をかけた。富獄は連れ戻したし、狙っていた鬼も倒した。ついでに異界の元も見つけたから、安の領域浄化も可能になった。

 そして全員無事だ。怪我らしい怪我もない。

 

 

「そうそう負ける事はないと思ってたから、そこは心配してなかったわ」

 

 

 あ、そう。

 

 

「ま、それでも安心はしたけどね。詳しい話は戻ってから聞くわ。この瘴気の濃い場所の中で長話してもね。とにかく里に戻りましょう」

 

 

 せやな。…しかし、よく鹿之助がこの瘴気の中に飛び込んできたもんだ。しかも先頭。

 泣き喚きながらも、俺達を探してレーダー役として走ってきた。…探知役であれば、先頭じゃなくて中心に居させて被弾の危険を下げるべきなんだが…鹿之助の暴走かな。

 責任感と心配のあまりに突っ走ったか。意外な一面を見たな。

 

 

「? 若、どうかした?」

 

 

 いや、根性あるなと思っただけだ。度胸が無いだけで。

 

 

「褒められたのか貶されたのか…。だって富獄さんを案内しちゃったのは俺だしさ…。万一の事があったらと思うと、居ても立ってもいられなくて。若からだって、増援の人達の案内を頼まれたし…」

 

 

 こいつもビビりではあるが、いざとなったら腹を括れるタイプだったらしい。それで無謀に瘴気の中に突っ込んできたのは減点だけど、収支黒字で評価上昇って事にしておこう。戦う者としては失格でも、人として、男としてと考えればね。

 さ、とにもかくにも帰ろうか。富獄が、心配したんだと泣き喚く鹿之助を宥めているのを眺めながら、帰路に就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 3人揃ってかなり怒られたが、状況が状況だったので仕方ないと恩赦を貰えました。

 

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