まぁ、九州だろうと北海道だろうと構わない…いややっぱ北海道はバイクが危険そうだから勘弁。
行けと言われりゃ、貰うもの貰ってる以上行かなきゃならんのがお仕事です。
今回は転勤の準備期間もそれなり…と言うか常識的なくらいにはありますし。
…あれ、準備期間20日程度って、常識的なのか?
それはいいのですが、向こうでの初出勤時期がP5Sの数日前。
当日を公休にしてもらって遊び倒そうと思ってたんですが、スケジュール的に難しいなぁ。
しかし、ダウンロード版にしようかディスクを買おうか迷ってたのがこんな事になるとは。
引越し先でネット環境が整っていなかった場合、ダウンロードできなきゃ当然プレイ不可能。
予約したら14日以降はキャンセルもできないから、下手すると二重に購入しなければいけなくなってたかも…。
追記
イベントガチャが最後のひとつになるまで天音さん来てくれなかった。
若様にしか仕えないのは分かったけど、そーいう事すっから影が薄くなるんだぞ(言いがかり)
…と言う訳で、さっきから轟音が連続している場所へ。聞いた感じじゃ、凍らせてから粉砕してるみたいだな。
その膂力と体力は大したもんだ。うちの子達の中でも、上位に食い込みそう。
…無駄にでかい音を立てているのは、鹿之助達を逃がす為に、鬼の注意を惹こうとしている…んだよな? 故意にやってるんだよな? そうである事を願う。
ともあれ、見つけた時には彼女はかなり消耗していた。やっぱ、後先考えずに飛ばしたらしいなぁ。鹿之助達を助けるなら、適当なところで切り上げて護衛に向かった方がいいだろうに。
呆れ交じりに見て、さっさと伝えるだけ伝えて帰ろう…と思ったんだが、足が止まる。
近寄る鬼達を氷漬けにし、正拳をぶちこんで粉砕しながら、彼女は何かブツブツと呟いていた。正面から目てしまったんで、つい唇を読む。
『仲間は、見捨てない…見捨てない…。私だって、仲間、だから…仲間って、認めて……もっと…鬼を倒せば…手柄を立てれば…』
…なんじゃこりゃ。なんか半分トランス状態になっとらんか? いや、単純な混乱か。マジで昔の記憶やらトラウマやらが蘇ったのかもしれない。
戦い方も、後先考えずに全力を出すというよりは、近付いた鬼を条件反射で攻撃しているといった印象だ。文字通り、心ここに非ず。
…本人としても不本意な状況であるのは間違いないと思う。自分から意識を半ば飛ばすなんて事、する筈がない。
しかしだからこそ、本音が零れているとおも思える訳で。
鹿之助達が聞いた、『仲間は見捨てない、あいつらと同じにはならない』と言う言葉。そして今の呟き。更に男嫌い、元は人間不信。
この二つから予測されるのは………って、あ。
呑気に考察していたら、きららさんが攻撃を受けてしまった。無理ないわな。殆どの鬼の知能はあんまり高くないが、あんな条件反射のみの動きで戦ってりゃ、そりゃ幾らでも隙ができるわ。回避行動すらロクにとらないから、体当たりが迫るまでに氷漬けにできなければ、それだけでアウトだ。
ヒノマガトリの、炎を纏った突進で吹き飛ばされた。
追撃に移ろうとしている鬼が多い。しゃーないなぁ、まだ殆どの奴には見せてないんだけど。
腕だけアラガミモード! 駆け抜けながら叩き斬る!
ふらふらと立ち上がったきららさんの脳天にチョップを入れて、更に首元を掴んで掻っ攫う。
「おげぅっ!?」
女の子が出すべきではない声が出たけど気にしない。理由と切っ掛けはどうだかわからんが、こんな鉄火場で惚けているのが悪い。
進行方向の鬼を腕から生えたブレードで一閃し、包囲網を脱する。
乱暴に放り出すと、結構な音を立てて尻から落下した。…安産型なデカ尻である。
「あだっ!? ちょっ、あんたねぇ、何を……する…の…」
何故か呆然とする。何がしたいんだこいつ…。
やるべき事もせずに後先考えずに飛び出すし、戦ってると意識が虚ろになるし、今度は怒るかと思ったのに絶句してるし。
もういいや、なんでも。さっさと要件を済ませよう。
鹿之助達は保護された。もうここで戦う理由も益もない。この場は手伝ってやるから、さっさと引き上げるぞ。
「え、あ、うん」
いやに素直だったのが気にかかると言えば気にかかるが、もう何でもいいからさっさと終わらせる。
彼女の目は、俺の腕から生えているブレードに釘付けだった。…そういう趣味か? フェチか? という笑いも誘えないジョークは置いといて。
自画自賛するようでなんだが、アラガミモードの俺の攻撃は、一発一発が鬼千切や、フルパワーの溜め攻撃みたいなものだ。この程度の鬼が相手であれば、近付かれないよう振り回しているだけでも充分すぎる。味方に当たるとヤバいが。
しかし雑な攻撃をするのも何となく狩人の流儀に反する気がするので、近付いた鬼は首を飛ばす。
数体斬って、残った死体を鬼に向かって投げつけてやると、それが障害物となって追撃を防いだ。
更に、正常に戻った(多分)きららさんが死体を凍らせ、消えていくのを防ぐ。
程なくして、鬼の気配は無くなった。俺達を見失ったようだ。
…とは言え、執念深い鬼が追跡してくる可能性はある。一応、攪乱してから戻るぞ。
「……ちょっと」
何だよ。用事があるなら手短にしてくれ。色々と苛立ってるんだよこっちは。
いつもであれば確実に言い返されるというか言いがかりをつけられる言葉だったという自覚はある。しかしそれに構わず、縋るような目で彼女は俺のブレードを見ている。
「いいから答えなさい。その腕……鬼の腕…?」
…まぁ、似たようなもんだ。厳密に言うと違うが、あっちこっち転戦している内に呪いをかけられてな。放っておいたら鬼と言うか鬼神になって死ぬ呪いだったんだが、どういう訳だか制御できるようになった。理由は未だに分からん。
流石にばれると色々面倒な事になりそうだから、普段は使ってない。だが戦力って意味じゃ、現状でこいつを超えるくらいの強化にはまだお目にかかってない…いや、普通の体で出来る強化はこの状態でも大抵できるから、超えようがないんだけどな。
…それで? 結局こいつがどうかしたのか。
問いかけながらも、彼女の反応を予測する。
さっきの考察は中断したが、彼女の行動原理はほぼ理解できた。あくまで推測、だけど。正直な話、それを鑑みても酌量の余地はない。……でも、同情の余地は…あるかな…。
「あの…さ、私、前の事は覚えていないって言ったけど、実は一つだけ…具体的な事じゃないけど、なんとなく思い出した…事が、あるんだ。私は……仲間、と、思っていた人たちに…見捨てられた…って、こと」
つっかえつっかえで話す言葉は、俺の推測を裏付けるものばかり。あまりいい気分ではない。
「覚えてないけど、私は、頑張った。…と、思う。仲間だって認めてもらおうとして、鬼を、沢山倒して。私は、鬼の仲間なんかじゃ、ないって、言おうとした……たぶん。……そこから先は…覚えてない…」
…だろうな。この直情極まりなく、頭が残念な子は、その分身内に対して非常に甘い。理屈や善悪ではなく、心情が全てだ。
例え相手から一方的に縁切りを宣言されたとしても、それであっさり割り切る事などできず、どうにかして元の鞘に収まろうとするだろう。
覚えてないのは、改善される前にこの地に辿り着いて記憶を失ったか、改善どころか改悪されて、思い出すのを拒んでいるかだろう。
しかし、鬼の仲間…ね。そう言われたのか。それを言いだしたのが、きららさんと一緒に居た戦団なのか、行きついた先で関わった現地人なのかは知らないが…それが男だったと思われる。
それを真に受けて、自分を疎外した仲間達への不信感と、その原因となった男性(多分)への不信、もう一度認めてほしいという欲求、また拒絶されるという不安、その為に心身ともに擦り切れてしまった事によるヒステリー。
それが彼女の男嫌いの正体だ。
鹿之助を単身で助けに行ったのも、その身を案じた事もあるが、『仲間』を助けてくれば自分の力が認められ、コミュニティに入れてもらえるかもしれないという承認欲求……いや、孤独から抜け出したいという渇望からだ。そこまで自覚しているかは微妙な所だし、言いがかりと言えなくもない。
どっちにしろ、報せを誰にも知らせず特攻していったのは事実なので、そこんとこは弁護できないが。
…それで。突然そんな事を語りだして、何を考えてる? 俺に何を求める?
問いかけると、きららさんは黙って……不安を隠しきれない表情で……頭に手をやった。大きめのリボンで結んでいた、ツインテールが解かれる。
髪の毛が落ちて、牛のような角が現れた。
「………………」
……………。
「………………」
………………いや何か言えよ。っていうか髪を解かれても、何を見せたいんだお前は。
「え。この角を見て、何か思わないの!? こう、同じ鬼っぽい姿を隠している者同志の共感と言うか、そもそもどうして角が生えているんだとか! 私、多分この角のせいで迫害されてたんだけど!?」
んーな事言われても、俺は別にばれても構わない…いや今は大和のお頭に張り倒されそうだし、別の場所に居た時も確かに隠してたけど。
角が生えてるって今更言われてもなぁ…。
……ひょっとして、気付いてなかったのか? 俺や那木に限らず、うちの子達は大体知ってるぞ。
「 何 故 ! ? 」
お前を『舟』から引っ張り出して連れてきたのは誰だと思ってる。封じられていた時にも角は丸見えだったし、那木は診察した時に全身を確認した。
そもそもお前、大浴場で湯に浸かってる時に髪の毛が濡れて、角の形が丸見えだったらしいぞ。
どうも、あんたがその角について触れられるのを嫌ってるみたいだったから、皆で気付かないフリをしようって事になってたんだが…。
「あああああああ!!!!!」
…何と言うか、あるゆる意味でポンコツだなぁ…。
頭、と言うか角を抑えて座り込んでしまった。
「じゃ、じゃあみんなが冷たかったのは!?」
自分で言うのもなんだけど、仮にも頭領の事を悪し様に言って和を乱し続けてりゃ、嫌われもするだろ。上や他人の悪口は一時的には円滑な交流材料だけど、やりすぎたり長期的に見れば好感度は下がる一方だぞ。
要するに空気読めてないって事だ。
自分の角が気付かれている事すら気付かなかったきららさんは、反論も出来ずに黙り込んだ。見事なopz。…rではなくpなのは、言うまでも無く円やかな部分の為である。
ほれ、何でもいいからさっさと帰るぞ。鹿之助を助けてくれたし、礼って訳じゃないが治療はしてやる。
崩れ落ちたまま動かなかったので、首根っこ引っ掴んで歩き出した。
さて、実際の所、落としどころをどうしたものか。
ここで自分の秘密(にしていたつもりの事)を晒したのは、今まで悪かった、仲良くしたいって意思表示みたいなもんだろう。
男嫌い、人間嫌いよりも、初めて出会った同類と和解したいって気持ちが優先された。
正直な話、彼女のやった事は重罪どころの話ではない。重要な連絡を伝達せず、自分で勝手に対処しようとした。一歩間違えれば、鹿之助達が鬼に喰われただけでなく、押し寄せてくる鬼達に気付かず奇襲を受けていた可能性さえある。
しかもその理由は、「力を示して認めてもらいたいから」。…力を誇示するのが目的ではなく、仲間に入れてほしい、が真意だったとはいえ、自己顕示欲により仲間を蔑ろにし、抜け駆けした事には変わりない。
そういった行動をした者は、これまでにどれだけ功績をあげていたとしても、縁切りの上追放と処す。
これはうちの子達に常々言い聞かせている、暴走防止の為の鉄則だ。
が、彼女の暴走も危険な状態にある仲間を見捨てられないという思いから来たもので…率直に言えば、判断ミスと言う事も出来なくはない。子供だって対処できる問題に対する判断ミスだが。
加えて、彼女はうちの子達と違って教育を受けてないし、上記の掟だって聞いていたかすら怪しい。
更に鹿之助の窮地に助力となった功績もある。
何より、この子をこのまま放り出す事はできない。
俺の心情的にも、独りぼっちで友達が欲しいと泣いている、根が善良な子(根『は』善良、の方が正確か?)を放り出すのは気分が悪いし、初めてであった同族…鬼との混ざり物…から拒絶されて放り出されれば、彼女がどんなヤケを起こすか分からない。
しかしここでお咎めなしとしてしまえば、後に響くのが目に見えている。
…うん、何かペナルティを設けて、それを落としどころとするか。
ここで妥協したら組織として成り立たないと言われても、組織人としての自分よりも私人としての自分を優先するのが俺の生き方だ。
両立できずに破綻するならそれまでの事。どの道、人が集まった組織で捻じれの無い構造なんて期待できないんだ。うん、自己正当化完了。
さーて、どんな罰ゲー…もといペナルティにするかな。 勉強漬けはペナルティには含まれないな。うちに所属させる以上、絶対に受けさせる。自分がやらかした事の馬鹿さ加減は、そこで学んでもらうとしよう。
他の皆が『仕方ない』『ここまでやるなら』と思えて、尚且つ見ている俺が愉悦できるようなもの…。
まず皆のパシリ役は当然。度重なる不和とやらかしのお陰でヒエラルキー最下位だから仕方ないね。
性的な意味で俺の玩具になる…これは却下。男性不審が激化しかねないし、そもそもうちの子達の価値観からしたら罰どころかご褒美みたいなもんだ。
じゃあ護衛という名目で、橘花の玩具にさせるのは? きっと、尻の気持ちよさや背徳感を嬉々として布教し、開発する事だろう。きららさんが嫌がったとしても、立場を嵩にムリヤリ調教まであるかもしれない。…でもやっぱり駄目だな、今度は女性不審になりかねないし、それ以上にまともな状況判断もできない人間を神垣の巫女の護衛になんて付けられる筈がない。
ちょっと趣向を変えて、ミスした分は戦果で取り返せと言うのは? …取り返すよりも教育が先だ。
じゃあ、皆の書類を代行するのはどうだろう。……おお、これは割と有りじゃないか? 教育の為の予習にもつながるし、皆の作業軽減にもなる。その分、苦手な作業を強いられるきららさんは堪ったものじゃないだろうが、だからこそ贖罪しているアピールにもなる。でもこれじゃ俺が楽しくないなぁ…。プラスアルファで何か考えっか。
しかしまだ弱い感じもする。
ううむ、匙加減が難しいな…。本来許すべきではない事を行った人を許そうとしているんだから、当たり前だが。
真面目な罰を与えるか、何とか矛先を逸らしてお茶を濁すか…。
いっそ皆に処罰を決めさせれば…いかん、鹿之助に絆されたごく少数以外は、追放とか処刑とか洒落にならん処罰を主張しそうだ。
極端な罰は無し…と言った時点で、彼女達は納得すまい。うーん…あいつらが納得しそうで、致命的ではないもの…。
…ああ、そうか。一度で済まそうとするから、罰が大きく重くなる。でも小さな罰で続けてもなぁ…。
小さすぎず、大きすぎず…………あ、いや待てよ?
どっちもあって、どっちもない…。つまり………うん、こうすれば程よい匙加減も……不可能ではない? 上手い事、引くのをコントロールするなり、入れた物をすり替えれば……誰の案とは分からないように細工して…。
そして面白そうなのがあれば、それを……。
うん、処罰決まり。
引き摺られたままのきららさんが、何かを察したようにブルリと震えた。