※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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仁王2、体験版クリア。
いやー死にまくった死にまくった。
常闇がキツすぎる。
特技での気力削りを理解できないとどうにもならなかった。

さて、次はクライマックスだったP5Sだな。
次の休みに博物館でも行こうかと思ってたのですが、このご時世ですしね。
家でダラダラするとしましょう。

…書き溜め、どうすべぇ…。


第528話

 

 塔が逃げ去った足跡を辿り、異界の中を歩き回る事丸一日。

 鬼疾風という、現在の長距離最速移動手段を以てしても、塔を追いかけるのは至難の業だった。ただ真っ直ぐ追うだけならまだしも、塔の痕跡はあっちにフラフラこっちにフラフラ、何処で向きを変えているのか分かったものではない。

 周囲にそれらしい痕跡が無いか探知しながら高速で走るのは、かなり神経を使う。

 暫く痕跡が無いと思ったら、いつの間にか方向転換されており、それを探すのに時間を食った事もあった。

 

 たった一日での成果としては上々な方だが、流石に数が足りない。

 夜になると持ち帰った痕跡の記録(主に抜け落ちた脛毛)を並べ、3人で頭を突き合わせる。

 

 

 痕跡が発見されたのは、ここ、ここ、ここ、ここ、ここここここここ…

 

 

「鶏ですか貴方は」

 

 

 都合の悪い事や失敗は3歩で忘れる鳥頭でございます。一回死んだら、因果を奪われたことは全て忘れます。

 冗談はともかくとして、あの塔が移動した道は、直線にすると大体こんな感じだと思う。

 

 野を超え山超え谷超え川越え、よくぞここまで走ったもんだ。俺が一日かけて付け回した距離も、あの塔なら半日とかからず走り抜けたろうよ。

 

 

「…痕跡があったのは、足跡と脛毛のみにございますか?」

 

 

 いや、橘花が千里眼の術で見た所以外でもこけていたらしくてな。あっちこっちにのた打ち回った跡があった。

 こけた後は、大なり小なり方向を変えて走り出しているようだな。

 

 

「速鳥さん達が見た情報の通りなら、方角どころか行き先を確認する能力すらないのでしょう。七転八倒して起き上がった後は、当ても無く、それこそ勘に任せて走っているものだと思われます」

 

「起きている限り、走り続けるだけ…休息を挟む様子すらない、ですか。鬼とて体力は有限の筈。つくづく、真っ当な鬼ではないようですね。…自発的に止まるのを期待する事は出来ません。罠を張る為、まずは行動傾向の分析です」

 

 

 そうだな。で、まずは現地調査した俺の意見を言わせてもらう。

 知っての通り、こいつは川とか谷とかの地形は基本的に飛び越えていく。だけど、全ての場所でそうできている訳じゃない。何度か引っ掛かって、転げまわった跡があった。

 

 

「地形を察知するのには、条件が必要と言う事ですね」

 

 

 その通り。そして、地形を感知できたら、そっちに走り出しているように思う。

 目暗状態で走ってるからか、こいつの進路は基本的にふらふらしている。だけど、飛び越えた地形のもう少し手前まで来ると、明かにその地形の方に方向転換してるんだ。

 

 

「どうなっているのか全く分からない道を進むよりは、短い間でも先が見えている道を進んだ方がいい…と言う事でしょうか」

 

「人の思考に当てはめれば、それに近いかもしれませんね。それならば、安全な場所を探して足を止めるべきでしょうが…そこはこの塔…いえ、鬼の特性でしょうか」

 

 

 鬼の生態は意外と生物的だけど、あの塔はそもそも生物なのかも怪しいからな…。

 そもそも、何で走り続けてんだろーな。

 

 

「あなた達から聞いた話を強引に繋ぎ合わせると…倒れた鬼達の体から、何らかの力が塔に吸収されたのですよね。であれば、その力の…そう、方向性とでもいうべきものが、『走れ』だったのではないでしょうか」

 

「塔に向かって走れと言うのもおかしなお話ですが…。ですが筋は通ります。塔を守らなければならない、守れないというのなら遠ざけなければならない。その意思が力と共に流れ込み………その、足が生えるというのは、少々予想外だったと思われますが」

 

「鬼としても、少々どころではなかったのではないですかね。何にせよ、塔に与えられた指令は『走る事』のみだったのでしょう。何処に行けとか、行って何をしろとか、そういったものがない。なので、ただ只管に走るだけとなっているのです」

 

 

 なんつーか、ぜんまい仕掛けのカラクリみたいだな。そういう機能しか持ってない。

 …いや待て、仮にそうだったとしても、奴には自分にとって走りやすそうな道を感知して、そっちを選ぶという傾向がある。自意識とまでは言わなくても、判断を下す精神みたいなものはあるんじゃないか?

 

 

「必要なのは精神云々ではなく、塔にとっての「走りやすそうな道」の基準だけです。…ですが、精神らしきものがあるとすれば、時間と共に成長する恐れはありますね」

 

「塔の精神…そこまで行くと、どのような行動をとるか予測できなくなりそうです。それ以前に、そこまで時間をかけるとオオマガトキが起こっている可能性もありますが」

 

 

 話を戻そう。こいつにとって走りやすい道…遮蔽物のない平原?

 

 

「それは違うと思われます。あなたが痕跡を集めてくださった場所と道を鑑みるに、むしろ山、川と言った場所を選んで走っているようです」

 

「それに遮蔽物が無いと言っても、どうやってそれを確かめるのか。何も無いところでも頻繁にこけている事からして、感覚器は左程鋭くないのでしょう。下手をすると、本当に足の触覚しかない可能性すらあります」

 

 

 触覚…触覚か。やっぱそれで判断してるのかな…。

 だとすると……足元の感覚と、風が判断基準か。水辺や山川からは、強くて冷たい風が多いからな。風が吹きつけてくるって事は、その前は基本的に空間が空いてるって事だし、そういう場所を「走りやすい場所」としているのか。

 

 

「それなら誘導は簡単そうですね。地面も走りにくい、小石…と言っても塔にとってなので、相応の大きさになりますが…をちりばめておけば、撒き菱代わりにもなるでしょう」

 

「それを準備するのは、結構な大仕事になると思われますが…」

 

 

 大丈夫、うちにはその手の作業に強い子が結構いる。俺も出来るし。

 とは言え、誘導するならそれなりに場所を選ばんとな。

 

 今いる場所を予測して、そこからの移動経路を予測ないし誘導して、そこに到着するまでに充分な準備期間を確保でき、なおかつ決戦に適した土地…。

 

 

「…そんな都合のいい場所、ある筈がありませんね。特に準備期間の部分が」

 

 

 せやな。妥協は重要だ。

 でも、もうちょっとだけ考えてみよか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 3人でああでもないこうでもないと知恵を出し合い、何とか幾つかの案を形にする事ができた。

 と言っても、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる作戦でしかない。

 予め何か所かに大規模なトラップゾーンを作っておき、交代でそこを見張る。塔が近付いてきたら増援を呼び、誘い込んで足止め、そのまま撃破が基本的な流れだ。

 暫くは異界の中で罠作りだな。

 

 第二案として、異界の浄化を提案されもした。あの塔は鬼達の意思を受けて異界の中を走り回っているが、異界の外はどうなのか?

 獲物を追いかけるなどの理由が無ければ、鬼達は基本的に異界から出てこない。あの塔も同じなのではないか?

 だとすると、残っている異界を浄化して異界を無くしてやれば奴の行動範囲も自然と狭まるのではないか?

 

 …その異界を浄化するのに、異界の元となっている場所を探さなきゃならんので、これまた時間が足りないって事で却下となったけども。

 どっちにしろ異界浄化は進めなきゃならんから、異界の元を見つけたら実行してもいいかな。

 

 報告は秋水に任せ、俺と那木は屯所に戻る。那木は相変わらず俺達の監視役という立場なので、こっちで寝起きしていた。ちなみに私室も割り当てている。

 

 

「それにしても、よくご無事で…。皆さま、非常に心配していらっしゃいました」

 

 

 抑えに回ってくれたと聞いた。本当にありがとう。あの子達が大挙して参戦してたら、話がもっとややこしくなる所だった。

 いや、決して足手纏いとか考えてる訳じゃないんだけど、向き不向きがあるし。

 

 

「分かっています。不備や異論はあるでしょうが、結果的には必要な処置でしたのは間違いありません。…ですが、それでも心配は重なるものです。特にあの方々は、あなたを中心として纏まって…いえ、生きていますから。それが手の届かない所に行くかもしれないと思えば、心労はいかばかりか…」

 

 

 …大分安定してきてると思ってたんだけどな…。やっぱ、俺が居ない状況にも慣れさせなきゃならんかなぁ…。

 

 

「それ以前に、あの方々は力を振るえば、その分精神的に不安定になると聞きました。戻ったら労ってあげてください。…見ているだけで、落ち着きが無くなっているのがよくわかりました」

 

 

 それ程か。大分安定してきた、なんて考えてた俺が節穴だったか…。

 しかし労う、ねぇ…流石に人数が多いな。一番手っ取り早く安定させる方法は、言うまでも無く例のアレだが。つまり那木公認でズコバコしてくれと言われている…のかな?

 

 戯言はともかく、大きな戦いを乗り越えた後だし、何かしら褒章なり生活の改善なりが出来なければ、士気にかかわる。

 労いの言葉一つやハクで済ませるのも味気ないし、何かしら考えてみるか。

 

 

 

 

 

 

 屯所に戻ってうちの子達の様子を見てみると、那木の言っていた事は誇張でも何でもない事がよく分かった。

 皆、どこか気もそぞろで、落ち着きが無い。集中して稽古しているように見える子も、ふとした拍子に気が緩むし、昼寝している子は微妙に魘されているし、座禅を組んで瞑想している子もそわそわと体を動かしている。

 

 …大規模だったとはいえ、たった一度の戦いを経ただけでこれか…。個人にかかる負担という意味では、休みながら戦えたんだし、普通の任務よりもむしろ軽いくらいだと思うんだが。

 逃亡防止の為の暗示もかけ直してないから、効力は徐々に薄れている筈。

 うーん、不安定になる条件が、イマイチ分からん。

 

 いつものヤり方は希望者のみにするとして、とにかく皆と話をしに行くか。

 怪我の治療や、症状が比較的重い者の対応を那木に頼み、目につく相手に片っ端から声をかけていく。

 

 

 話の内容は…まぁ、戦ってた時の事を褒めるのが主。こんだけ女性と関係を持ってて何だが、あまり俺の話題は多くないのだ。

 まぁ40人以上の人を相手に、それぞれ全く違う話をしろって方が無茶振りだと思うが。

 

 

 それはそれとして、改めて問題を発見した。いや分かってた事だったんだけど、最近はそれを感じていなかった。

 一人一人と充分な会話をしようと思うと、どうやったって時間が足りん。

 何を今更、って言われればそれまでだけど、物理的に足りないのだ。

 

 不安定になってる子達は、ただ一言二言声をかけただけで安定する訳じゃない。それだけでも大分違うらしくはあるが、やはり充分に安定させるには相応の遣り取りが必要になってくる。

 今までだとご褒美・お仕置きと称して交合し、体感時間操作で時間を捻出できていたが、無しだとね…。

 会話は交合よりも効果が薄いし、言葉を交わせば交わすだけ時間がかかる。必要な時間は数倍以上だ。それを40人以上。時間も足りんが、会話のネタも足りん。

 

 …労いの会話でまで、体感時間操作の為にセクハラするのはどうかと思うしなぁ…。いや悦ばれそうではあるんだけど。

 

 さっさと抱いて安定させろ、という御尤もかついつも通りな意見もあるが、それだっていつでも使える手段とは限らない。俺はオールオッケーだとしても、彼女達から離れて別の場所に居る事も考えられる。

 例えそれが頭領だとしても、個人が居なくなっただけで回らなくなる組織は健全ではない。何かしらの手段を用意しないと。

 

 

 ま、差し当り今回は、夜のスマッシュシスターズ(竿姉妹的な意味で)で希望者は安定させて、残りは会話でどうにかするとしますかね。

 

 

 

 

 

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