※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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Ninja Simulatorか…。
Samurai Simulatorも興味はあり。
Steamは全く手を出してなかったけど、この機会に触れてみようかな?
そう言えば、買おうか迷っていたGunGrave VRもあったなぁ。
でも、VRに関しては設定が今一つ上手く行かなかった覚えが…。
デスクトップの画面を移すやり方でどうにかなったけど、遅かったような気がする。
しかし今の環境だと、VR機器の動作もそんなにモッサリはしてないし…。

とりあえずエスコンの続きやろう。


第549話

 

黄昏月溌日目

 

 

 一晩明けて、露出狂飛脚と別れる。朝日を浴びて、再び素っ裸になりながら走り去っていった。…服を脱ぐの以外は、割と常識人だったのが腹が立つ。

 追い抜こうと思えば追い抜ける速度だったが、何となく何度も追いつかれて顔を合わせそうになる気がして、俺が速度を落として先に行かせる事にした。

 

 さて、霊山についたら何をするべきか。

 九葉のおっさんに顔見せくらいはしておくべきか。大和のお頭は、何も伝える必要はないと言っていたが、それを差し引いてもこっちは支援してもらった身だ。取引の結果とは言え、礼を尽くしておいて損はない。

 霊山の状況を知るにも、自分で調べるより専門家に聞いた方が手っ取り早いだろうしな。

 

 状況の専門家と言えば、美麻と美柚はどうしているだろう。文美さんと仲直りはできたんだろうか。

 それに、美柚は自覚は無いが、滅鬼隊の生き残りの一人だった。それを嗅ぎつける奴が居ないとも限らない。

 

 桐人君の女性恐怖症は克服できただろうか? 惚れた女の子とは進展があっただろうか。

 …一応、夜伽で召喚した直葉から色々話は聞いてるんだけどなぁ。「お兄ちゃんの事なんか話す暇があったら、おちんぽ様と体でお話ししたいんです」と言い切っちゃう子になったからなぁ。

 

 雷蔵はどうしているだろうか。滅鬼隊の騒ぎで結構な大捕り物を演じたようだし、出世ルートに乗っているかもしれない。

 

 …ま、この辺は時間が余ったら顔を見せておけばいいか。

 最優先事項は、当然直葉だ。出立の前夜、召喚した直葉に、もうすぐ霊山に向かうと伝えておいた。物凄い嬉しそうな顔してたっけな。おめかしして出迎えてくれそう。

 夜毎に召喚して可愛がってやっていたものの、直接抱いた事は一度だけ、その後はドタバタしてすぐに離れてしまった。流石に俺も申し訳ないと思うわ。

 だから霊山に居る間は、なるべくあの子と一緒に居ようと思う。…別に、泊めてもらって宿代の節約をしようとしている訳ではない。

 

 

 後は…そうだなぁ、霊山君ってのを一度見てみたいもんだ。神垣の巫女のトップらしいし、美人なんだろうなぁ。…或いは、巫女は巫女でも年が…ゲフンゲフン

 流石に無理だわな。日本で言えば(ここも日本ではあるんだけど)、天皇陛下みたいなもんだ。一故人がそうそう会いに行ける相手じゃない。と言うか、下手な事したら色んな所が敵に回る。

 

 うん、留まるとしても精々一泊、シノノメの里からの帰りに一泊程度だろうし、出来る事はそのくらいかな。と言うか、それ以上の時間があっても、直葉と過ごすと思う。

 直葉かぁ…なーにして遊ぼうかなぁ。

 

 

 

 …色々妄想しながら走っていたら、ついつい素っ裸飛脚に追いついて、汚いケツを見てしまった。テンションが下がった。

 

 

 

 夕方になって、ようやく霊山に到着。追いついたのに気付かれて、露出狂飛脚と並んで走る羽目になってしまった。色んなものが萎えていくのも無理はないと思う。早く直葉の乱れる姿を見て、気分を立ち直らせたい。

 なお、露出狂飛脚は霊山が近づくとまた服を着た。たったそれだけで、一皮むけば脱ぎたがりの裸族の面影がすっかり消え去ってしまう。

 霊山の入り口に立っている門番にも顔パス、しかもかなり親し気で信頼されている模様。……俺もこの外面のおかげで、全然気付かなかったんだよなぁ…。自分がアレな事を自覚しているから、それを隠す術も覚えている、か。面倒くさい奴だ。

 こいつ露出狂だぞって暴露してやりたくなったが、信じられんだろうな…。

 

 

 まま、ええわ。取り敢えず、この露出狂飛脚とは一旦お別れ。霊山からウタカタへの帰り道でまた出会うかもしれないが、その時はその時だ。

 誰も居ない場所で、素っ裸で(エレクチオンさせながら)走っている事を除けば、誰にも実害は無い筈だからね! うん、俺もよく外で裸になったり、局部を露出させたり結合させたりしてるもんな! 青姦は気持ちいい。故に問題なし、うん。

 

 

 それはそれとして、流石に俺は顔パスでは霊山に入れない。以前に来た時はここまで検閲は厳しくなかったと思うが、滅鬼隊に関する醜聞で色々あったんだろう。霊山から逃げ出そうとした関係者も、それを逃がす為にやってきた奴らも多かったらしいしな。

 一応、検閲担当者をこっそりと観察していたが、俺の検閲をした後も不自然な行動を行った様子はない。滅鬼隊の面々を連れ去った男として、陰で指名手配でもされてるかと思っていたが、大丈夫そうだ。

 

 えーっと、直葉はどこに居るかな。『烙印』でつけた淫紋をキュンキュンさせてやれば、ご主人様が来たのを理解して迎えに来てくれそうだが…流石にそれは悪いかなぁ。

 と言うか、直葉を性欲一直線に調教しまくったから、下手すると再会するなり下半身に飛び疲れて、衆人環視の中でおっぱじめてしまいかねない。

 

 やっぱりこっちから会いに行こう。この時間帯なら……多分、管理している道場を閉めて片付けの最中かな。そこなら他人も居ないだろうから、即おっぱじめても大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 少しばかり道を間違えながらも、道場に到着。この時間なら、直葉以外には誰も居ないだろうと思っていたが…なんだ、数人の気配があるな。

 何やら動き回っているが…不審者ではなさそうだ。でも直葉は…いや、居るには居るが、普段誰も居ない道場の外れに居るな。誰かと一緒のようだが…。

 

 道場を覗き込んでみると、そこに居たのは若いモノノフと、モノノフ志望らしき数人の少年たち。どうやら、道場の掃除をしているようだ。

 …大掃除でもしてんのかな? 確かに道場は使った者が掃除する決まりになってるけど、こんな時間まで使用者が残ってる事は無かったし、普段なら直葉が引き受けていた細々とした作業までやってるようだが…。

 

 首を傾げていると、一人の少年モノノフが俺に気が付いた。

 

 

「あー、悪いけど、今日はもう店仕舞いしてるんだ。用事があるなら、明後日か明々後日に頼む。明日は、道場の持ち主が用事で出かけるんだ」

 

 

 道場の持ち主って、直葉の事だよな? 用事があって会いに来たんだが…。

 そう告げると、少年モノノフの顔付が少し険しくなった。

 

 

「またか…。言っておいてやるが、はっきり言って無駄だぞ。皆、玉砕してるんだからな。大体、会った事もない人間から交際を迫られても、承諾する訳がないだろう。将来有望なこの俺でさえ…」

 

 

 待て待て待て。何か勘違いしてないか? 俺は直葉の知己だ。見ず知らずの人間でもないし、予め今日会いに来ると言うのは伝えておいたし、本人も承諾しているぞ。

 

 …反論すると、更に目付きが厳しくなった。…この感情は……嫉妬や猜疑?

 周囲を見回せば、似たような視線がちらほら飛んでくる。聞き耳立てていた少年たちが多いようだ。

 

 そして『玉砕』ね…。直葉を召喚して遊んでる時に、何度か言ってたっけな、『知らない人に告白された事があった』って。

 つまり、こいつらはその一人か、これからそうしようとしているって事か。

 まー無理もないよなー。元々、『こんなC学生が居るか!』ってくらいに男好きのする体だったのに、毎晩の調教でセックスアピール超特盛、女の悦びを骨の髄まで叩き込まれた事で無意識な色気を振りまきまくる、青少年の股間に悪すぎる犯罪染みた女の子になっちゃったんだもの。どんなに真面目な青年少年のモノノフだって、下心が湧いてしまっても無理はない。

 こいつらが本気で直葉を好いているのか、それとも体に惹かれただけなのかは微妙なところだが…玉砕した後も虎視眈々と機会を伺い、邪魔者を排除しようとしている訳か。

 

 

「あっ!」

 

 

 まぁ、当然の如く無駄な努力だった訳ですが。

 喜びが滲む声が響き、次の瞬間には俺の懐にいつもの温もりがすっ飛んでくる。それを見た少年モノノフ達は、目を見開いて絶句していた。

 俺の腕にすっぽり抱きしめられて、直葉は俺の胸板にぐりぐり顔を押し付ける。ブンブン振られる犬の尻尾を幻視した。

 

 

「おかえりなさい! ごめんなさい、お迎えしようと思っていたのに…」

 

 

 いいよいいよ、道場の仕事を放り出す訳にはいかんだろ。そういう真面目な所も(ギャップの要因になって)魅力だって。

 頭を撫でてやると、嬉しそうに喉を鳴らす。盛りに盛られた双丘が押し付けられて、ぐにぐに形を変えるが、これは意識してやってますね…。

 

 一頻抱擁を愉しむと、直葉は周囲の少年たちに向かって頭を下げた。

 

 

「ごめんなさい、今日の用事と言うのは、この人の事なんです。お兄ちゃんや雷蔵おじさんにも会わせてあげたいから、皆さんのご厚意に甘えて、今日は帰らせていただきます」

 

 

 丁寧な言い方で、しかし有無を言わせず断定する。唖然とした視線もお構いなしだ。

 言うだけ言って、『行きましょう』とばかりに腕を組まれた。何時になく強引に腕を惹かれて歩き出す。

 

 少し歩いた所で、道場から阿鼻叫喚の声があがるのが聞こえた。

 …よかったのか? あんな対応で。色々手伝ってくれてたんだろう? 普段の真面目で礼儀正しい態度を放り投げちゃって…。

 と言うか、さっき道場の外れにいたけど、告白されてたんじゃないのか。その次の瞬間にあんな態度を見せ付けられたら、心が折れるな。

 

 

「いいんです。みんな、いやらしい顔で私の胸ばっかり見て…。道場の管理を手伝ってくれるから我慢してましたけど、何度も告白されて時間を取られますし。道場を閉める時間になっても何かと理由を付けて長居するから、『こすぷれ』もしにくくなっちゃいました。諦めてくれるなら、そっちの方がすっきりします」

 

 

 おおう、取り巻きを便利に使ってたのか。しかも邪魔になったらポイ捨て上等とか、悪い女になったな…。道場に長居しようとしたのは、直葉へのアピール、好感度稼ぎの為だろうか。それを知ってて一刀両断…。

 まぁ、俺以外の男は目に入らないくらいに躾けたからな。ある意味俺のせいか。

 それに、いやらしい視線で見られるのは嫌か。

 

 

「好きな人から見られるのと、そうでない人とは全然別物ですもん。…それに、あなたは見るだけじゃないでしょ?」

 

 

 ぴったり付けた体から、興奮で上がった体温が伝わってくる。下腹部に目をやれば、既に淫紋が浮かび上がっているのが服の切れ目から見えた。

 引っ張られている方向は、桐人君と直葉の家でも、雷蔵のおっさんの職場でもなく、連れ込み宿が立ち並ぶ方向。

 やれやれ、再会して即ホテル行とは…欲望に素直になったもんよのー。いや、最初からそうだったっけ? 命を助けられた直後に、明日奈と神夜に相談して睦言に混ぜてもらったくらいだもんな?

 

 

「だって、直接抱いてくれるなんて久しぶりですから…。夜毎に呼び出してくれるけど、やっぱりこの体で抱いてほしい…」

 

 

 分かってる分かってる。今まで遠隔でしか可愛がってやれなかった分、今日はたっぷりナマで、ぶっ壊れるくらいに可愛がってやるよ。

 道場の童貞連中が想像してシコって妄想してる内容なんて目じゃない、もっと変態みたいで、もっと取り返しがつかないところまで堕ちるような、すっごい事してやるよ。

 

 囁いて耳に舌を這わせると、直葉はそれだけで体を痙攣させ、小さな絶頂を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 体感時間操作とオカルト版真言立川流を駆使して、直葉を体力の限界まで…いや、それを回復して更に体力の限界を超えさせる、を繰り返す事……えーと、少なくとも8回くらい。

 欲求不満を解消してなお余りある、それこそ直葉が本気で「死んじゃう」なんて言いだすくらいに可愛がった後。

 腰回りが充実した感じになった直葉に連れられ、彼女の家にやってきた。

 

 

「ただいま! お兄ちゃん、白浜さん、お待たせ~」

 

「兄貴! お久しぶりっす!」

 

「師匠~! 僕の事忘れてないですよね!?」

 

 

 おう、桐人君と…え、兼一君? いや忘れちゃいないけど…何で直葉の家に?

 

 

「やっぱり忘れてるぅ! シノノメに戻った後、もう一度こっちに来て滅鬼隊事件の手伝いをするって言ったじゃないですかぁ!」

 

 

 いやそれは覚えてるけど、まさかもう往復してきたのか? あの道程を、一人で?

 

 

「流石に一人じゃ無理でしたけど、『もう』って言ったって月が変わるくらい経ってるじゃないですか。それだけ時間があって、里のモノノフとも力を合わせれば、充分往復できますよ」

 

 

 ………言われてみれば、もうそんなに経ってるんだっけ。ウタカタでの日々が濃すぎて、全然実感なかったぜ。

 それで、霊山に来てからは雷蔵…禁軍の手伝いか。

 

 

「ええ。警備隊の下っ端扱いですけどね。目をかけてもらってます」

 

「宿舎に空きがないから、うちに下宿させてるんですよ。俺としても、競い合える相手がすぐ近くにいるのはありがたいんで」

 

 

 そういやお前ら、仲が良かったもんな。

 庭に立ち会いの後があると思ったら、そういう事か。道場でやれよ。

 

 

「この二人が手合わせすると、他の人達の手が止まっちゃうんですよ。それは別にいいし、憧れて道場の使用希望者が増えるからいいんですけど」

 

「憧れ…られてるのかなぁ。偶に女の子に声を掛けられるのが怖い…」

 

「師匠から教わった鍛錬をしていたら、全力で距離を取られたんですが」

 

 

 才能無し素質無し腹括った時しか根性出さないのお前が強く成ろうと思ったら、まともなやり方で行ける訳ねーべ。ま、大分成長したとは思うけども。

 ま、久しぶりに会ったんだ。最近の活躍でも聞かせておくれ。戦い以外にも、二人とも気になる子だって居たよな。

 

 

「兄貴の活躍も聞かせてください! 聞きましたよ、ウタカタの里で物凄い戦いが頻発してるって」

 

「異界が一つ、浄化どころか消し飛んだって聞いたんですが……事実だとしたら、確実に師匠の仕業ですよね、これ。何やらかしたんですか」

 

 

 キメツケ、イクナイ。

 オレ、ムザイ。

 ワルイノ、オニ。

 

 

「こっち見て言いましょうね~。立ち話も何ですし、ご飯の用意しますね。奮発して、お鍋の準備してるんです! いいお酒も買ってきました!」

 

「気が利くな、スグ! そのまま兄貴の嫁になって、俺と兄貴を文字通り義兄弟にしてくれ」

 

「師匠と兄弟になる為に、妹を差し出すのはどうかと思うよ桐人。それはそれとして上等なお鍋! 直葉ちゃんのご飯は美味しいから楽しみです!」

 

 

 

 

 この後、4人で酒飲みながら盛り上がった。

 話題は専ら、兼一君と桐人君の最近の活躍だ。直葉はあまり話題に入らず、甲斐甲斐しく世話をしてくれてたけども。

 二人はメキメキと力を伸ばしており、『自分で言うのもなんだけど』と前置きするものの、結構な戦果を挙げたようだ。

 戦いにおける自信もつき、気になっている子とも徐々に距離が近くなっており、公私ともに充実した日々を送っている。先日など、『友人と遊びに行く』という名目で、Wデートまで行ってきたらしい。尤も、お泊りは勿論、二人きりになる時間さえ殆ど無い、本当に集団で遊びに行っただけだったようだが。

 

 うーむ、青春しとるのぅ。

 

 個人的に興味があったのは、兼一君の活躍話。面白いとかじゃなくて、情報収集的にな。

 禁軍の手伝いをしているだけあって、手に入りにくい情報も結構持っていた。話せない情報も多いようだが、何が話せて何が話せないのかだけでも、結構な情報源になる。

 

 とりあえず言える事は、霊山での滅鬼隊騒動は、一段落ついているという事だ。ただ、滅鬼隊が解放された事を切っ掛けにして逮捕された連中の余罪が、多いこと多いこと。その分関係者も芋蔓式に引きずり出され、そっちの処理に苦労している。

 …それは、一段落したと言えるのか…?という疑問もあるにはあったが、今調べているのは別件扱いされているらしいし、『滅鬼隊関連は』片付いた、と言う事なんだろう。

 

 それでも、霊山で都市伝説扱いされていた実力者集団・滅鬼隊(なお実態…)を欲する者は多いが、今その手を伸ばそうとする間抜けは居ない。

 北の地を見捨てた鬼こと、九葉のおっさんが目を光らせているし、下手に動けば野心を持っている事を暴露するも同じ。

 更に、ここ最近は滅鬼隊の居場所となったウタカタで、とても捨て置けないような戦いが頻発している。送られてくる報告を全て鵜呑みにしている訳ではないが、下手にウタカタから戦力を引き剥がせば、それこそ中ツ国滅亡の危機に直結する。

 それが分かる程度には、『使える』人材が残っているようだ。

 

 つまるところ、『使えない』人材については、『掃除』されたという事っぽいが。いや、掃除と言うのよりは膿を出された、って事かな?

 これも九葉のおっさんの仕業だろうか。陰謀や暗躍を全部あのおっさんのせいにするのもどうかと思うが、今や逆らうのも難しい程の権力やら何やらを握ってるらしいからな…。普通の人なら、権力の味を占めて暴君になってそうなくらい。

 

 

 そうそう、九葉のおっさんと言えば、それ繋がりで兼一君と桐人君が周囲から注目されているらしい。

 俺を通して間接的にとは言え、北の地を見捨てた鬼と関わりを持ってしまったからな。昨日だって、二人に向けて九葉のおっさんから「こちらに顔など見せる必要はない。貴様が居ると色々騒がしくなるからさっさと行け」と伝言が届いたそうな。

 …らしいと言えばらしいけど、冷たいよなぁ。

 まぁ、確かに滅鬼隊の頭領の上、異界を浄化させる術を持った人間が居るとなれば、よからぬ事を考える者が出てもおかしくない。状況を読めない『使えない』人材は始末されていても、良くも悪くも状況を読んだ上でリスクとリターンを天秤にかけられる人材は残っているかもしれない。温厚な人間にも、魔が差す事はあるだろうしな。

 

 …もしもそれで成功したとして、後悔するのは目に見えてるけどな。俺が大人しく従う筈もないし、うちの子達がそのまま使い物になるかっつーとね…。反発、反逆、反骨、過信、油断、慢心。うちの子対が成長していない訳じゃないんだが、どーしてもそれらと切っても切れない関係にあると確信があるんだよなぁ…。

 そもそも、うちの子達を纏められているのは、人徳やシステム云々よりも、濃厚で意味深なスキンシップがあってこそ。それを無くせば、自然とうちの子達の仲も険悪になっていくだろう。スキンシップが足りない子は、段々不安定になっていくから猶更だ。

 …こうして考えると、体感時間操作の術の貢献度は桁外れだなぁ…。

 

 

 それはそれとして、うまい酒と鍋、可愛い子の酌、尽きない話題で話が弾む弾む。二人とも、明日は任務も無い為か、二日酔い上等で呑みまくる。

 …直葉が二人を酔い潰そうとしているようにも見えるが、まぁいいか。二人が潰れようが潰れまいが、夜のお楽しみに変わりはない。

 

 ん? なに? 部屋で寝たフリしてるから、夜這いをかけてほしい? 了承。

 

 

 

 にしても…話を聞く限りじゃ、こいつらかなり腕を上げたな。単に誇張しているだけじゃない。体付も一回り鍛え上げられているのがよく分かる。

 実力が近い者同志が近くで暮らした事で、ミックスアップでも起きているのか。…結構な修羅場をくぐったようだが、話には出てきてないなぁ。言えない事でもあるのかね。

 

 …ふむ。

 

 

「ん? なんすか兄貴。 白滝啜りながら考えこんじゃって。酒…はまだ残ってますね」

 

「…あ、なんか僕嫌な予感が…」

 

 

 いや、どうせだから二人と手合わせしていこうかなと。兼一君にやらせてる鍛錬だって、初心者用をちょっと強引に鍛え上げる為の鍛錬だ。今の実力に合わせた鍛錬を見繕ってやりたい。

 桐人だって、兼一君に付き合っちゃいるが、やっぱり白打と二刀流じゃ求められるものが違う。どうせなら、ちゃんとした訓練方法(ハンター基準)を教えてやりたい。

 技の一つ二つくらい、教えておいても悪い事にはならんだろうし。

 

 

「兄貴の技! 訓練! 是非とも「早まっちゃ駄目だ桐人ー! お前、初めて鍛錬に付き合った時の事を…いや、今でもどんだけ悲鳴を挙げてるか分かってるのか!? あれがもっと…あれだ、口にするのも憚られるような事になるんだぞ!」……………で、できらぁ! 兼一! お前もやるよな!? 俺が強くなるんだから、お前もなるよな!? 「ぼ、僕を巻き込むなぁあぁぁぁぁ畜生ぉぉぉぉ!!!」」」

 

「お兄ちゃんも兼一さんも頑張って~」

 

 

 反応が対照的だなー。まぁ兼一君が悲鳴を挙げるのも分からんではないが。そして直葉は完全に他人事である。

 俺だって、かつてハンターとして叩き上げられた時は散々な思いをしたもんだ。…後になると、『なんであんな程度の辛さで音を上げていたんだろう』って思えてくるけども。

 

 ちょっとどころではなく葛藤したらしき桐人だが、それでも受けると言い切った。

 兼一を巻き込んだのは、地獄への道連れが欲しかっただけなのか、それとも好敵手に強くあってほしいからか。

 いずれにせよ、泣き喚き逃げ出そうとしながらも、自分と共にのた打ち回る事を選ぶと、桐人は確信していたようだ。

 

 うむ、では二人そろってしっかり訓練メニューを考えてやりますか。それはもう、「何をしている」と聞かれたら「後悔している」と即答するくらいに。

 

 

 ま、手合わせするのは明日の朝だな。今日は結構酒が入っちまったし、もう時間も時間だ。近所迷惑になる。

 どこでやるかな…。その辺の異界で…。

 

 

「いや異界は駄目でしょ!? いつ何処で鬼に襲われるか分からないし、時間制限ができちゃうし。やるなら、道場でやった方がまだ…安全…かな…」

 

「うちの道場でやってもらえれば、3人の戦いに憧れて利用者が増えるかも…」

 

「俺も道場がいいと思うよ、兄貴。いくら俺と兼一が、ちょくちょく朝から組手とか不審な鍛錬してるからって、近所迷惑で怒られるのが目に見えてるし」

 

 

 既に怒られた事あんのね。んー、しかし一応お忍びなんだよな。あんまり大っぴらに人目につくのは好ましくない。

 道場でやるとなると、早朝でも人が居そうだしなぁ。

 

 

「じゃあその辺の山か異界ですね!」

 

「掌返すの早いぞ直葉」

 

「優先順位に従っただけだもん」

 

「女って…」

 

 

 兼一君、女を極端だと感じるな。直葉が極端な性格してたんじゃなくて、俺が極端に変えちゃっただけだから。

 …いや、やっぱ女は全体的に極端だわ。女じゃなくても極端なのが同じくらいいるだけで。

 

 まーえーわえーわ、とにかく今は飲め飲め。二日酔いで動けなくなるくらいになってたら、俺を倒す好機もあるやもしれんぞ。

 

 

「むしろ兼一が、二日酔いで動けなくなって手合わせから逃げそうな気が」

 

「ににに逃げるもんか! ここまで来たらやってやる! …でもとりあえずはお酒と鍋だね」

 

 

 うむ全くだ。

 その後、二人は翌日から始まる新境地の訓練の事を忘れようとするかのように、食って飲んで騒いで寝た。

 そして兄とその友人を酔い潰れさせた直葉は、自室に俺を招いてしっぽり楽しんだとさ。

 

 

 

 

 

 

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