※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

55 / 611
討鬼伝極のPS4版とな?
うぅむ…大画面で那木さんの谷間とか、鬼ノ眼を使って裾の内側とかを凝視できるのは惹かれるが、追加要素が無いのはな…。

GE2RB、何とかマガツキュウビをクリアしました。
ダミアンさんのリンクサポートと、C.C.ジ・エンド二連発による奇襲が決め手だった。
ブラッドレイジを使えばもうちょっと楽に勝てたと思うけど、すっかり忘れてました。

そしてハガンコンゴウに半壊させられた。
なんだあのエテ公!

…おっ、3月下旬にGE2RBアップデートか。
しかも残された神機のリビルドにソート機能…イイネ!



討鬼伝世界5
第55話+外伝8


凶星月工事間多し日

 

 

 鬼達が妙な力を使ってるのは知ってるし、鬼が元になって作り出した異界は時間空間を無茶苦茶にしているから、時間を操るような鬼が居るんじゃないかってのは、前々から思っていた事だった。

 ループの原因として、一番考えられる連中でもあった。

 だが、少なくとも霊山の記録にはそれらしい能力を持った鬼は確認できなかったし、仮に時間空間を操るにしても3つの世界を転々とする理由にはならない。

 だからあんまり意識してなかったんだが…。

 

 

 千歳から聞かされたイヅチカナタの話は、それらを裏付けするようなものだった。

 曰く、 「イヅチカナタヨリ来タリテイヅチカナタヘ去リシモノ」。

 時の狭間を回遊し、英雄の存在を感知するとそこへ出現。

 他の鬼達を呼び寄せ、時間…というより、あるべき歴史の流れを無茶苦茶にして去っていく。

 

 この鬼、相当に強力な鬼なのだが、それよりも厄介なのが、因果や時間を侵食するという特性。

 因果と言うのは、要するに原因と結果だ。

 過去の原因があり、途中経過があり、結果という今がある。

 これを侵食されると……例えば原因を侵食されると、何が切欠だったのか分からなくなる。

 途中経過を侵食されれば、それまであった流れを認識できなくなる。

 結果を侵食されてしまえば、人は「今」が文字通り見えなくなって、過去の記憶に浸るようになってしまう。

 

 …これがどういう事なのかは、正直言って俺には分からない。

 今書いたのだって、千歳からの受け売りだ。

 

 だが、千歳が言っているような能力・性質を本当に持っているのなら……途中経過を侵食され、気が付けばある日突然、見ず知らずの場所に立っていた、なんて事もあるんじゃないだろうか?

 具体的には、散歩や買い物に出ようとしていたら、突然異世界で大イノシシに追いかけられていた、とか。

 

 ゲームで言うストーリークリアがループから抜け出す方法だと思っていたが、ひょっとしたらコイツを倒す事こそが…?

 

 

 

凶星月モンスター狩るべし。ジヒはアル日

 

 

 色々考えを纏めていたら、何とか異界を抜けられた。

 例によって見覚えの無い場所に出ている。

 

 さぁ、どうやって人里を探そうか…と思ったら、千歳がメルヘンな事を言い出したでござる。

 鳥を呼んで、探してもらう?

 …動物と話ができる?

 

 じゃあその鳥、ヤキトリにアッハイスミマセン

 

 

 

 

 

 まぁ、便利な能力を持ってる事で。

 俺もオウガテイルやランポスなら出来ない事はないが…そういや、その手のスキルを最近あまり使って無いな。

 GE世界じゃ小細工しなくても狩れる相手が殆どだったし、そもそもあの世界には野生の動物とかほぼ残ってないからなー。

 

 それはともかく、今回は幸運にもウタカタの里の近くに出られたようだ。

 近くと言っても、一番近い里がウタカタってだけで、歩いて3日はかかるけど。

 

 とりあえず里に向かうが、千歳が手を握ってきた。

 表情から読み取れるのは、ドキドキしている……というより、単純に恐怖。

 …やっぱり、人が怖いのか。

 だがこのまま野宿を続けて暮らしていく訳にはいかないし(出来ない事もないが)、放っておけばオオマガドキVer.2であの世行き確定。

 

 どっちにしろウタカタに行かなきゃならん。

 同じお陀仏するにしても、それまでの暮らしを向上させたいしね…何より、野宿じゃ酒が確保できん。

 

 

凶星月千里の道も狂走薬でカッ飛ばす日

 

 

 歩き続ける事3日、食料確保の為に獲物を狩ろうとしたら泣く千歳に止められる事8度。

 食物繊維ばっかりで腹に溜まらん。

 健康的ではあるが、オーガだって健康的な物ばかり食うのが健康な訳ではないと言っている。

 …あんな鬼が出てきたら、俺は逃げるぞ。

 

 とにもかくにも、ウタカタが見えてきた。

 ここから先は、狩って知ったる…もとい、勝手知ったる他人の庭。

 かつてこの辺を罠だらけにした挙句、鬼の大群が押し寄せた時に盛大に「汚ねぇ花火だぜ」したのは伊達ではない。

 …あの爆破の恍惚を思い出すと、つい顔がニヤけそうになるが、我慢我慢。

 

 

 とりあえず、何でもない普通のモノノフのフリをして進む。

 ふくろから取り出した、モノノフの武装を見て千歳が首を傾げていた。

 …そういや、他人の前であからさまにふくろを使ったのは初めてだな。

 明らかに入る大きさじゃないのに、平然と取り出してれば疑問も沸くか。

 だが無視。

 

 

 

凶星月ネタバレすると仏の顔が三つ全部消える日

 

 

 ウタカタに到着。

 到着と同時に、任務に向かおうとしていた桜花と息吹にバッタリ会った。

 丁度、門から出てくる所だった。

 

 桜花には「何者だ?」って凄まれた。

 まぁ、あっちにしてみれば、見慣れないモノノフ…しかも誰かが異動してくるという話なんか通ってないからな。

 怪しむのも、無理は無い。

 

 そして息吹だが……半分鬼の外見もなんのその、千歳をナンパしていた。 

 前回がアレだったから、微妙に腑抜けと言うか三枚目なイメージがあったが、そこまで落ち込んでない状態だとコレか。

 千歳の境遇を想像して、あまり過度に接近しなかったのもポイントが高い。

 落ちぶれ……いや、精神的に失調してなければいい兄貴分だったんだな。

 

 

 ま、とにもかくにも、大和の頭の所に案内された。

 俺の着任の話が通ってないかの確認だったようだが、当然の如くそんな話は無い。

 が、俺が取り出した指令書には、確かにウタカタに向かえと書いてある。

 

 「大方、霊山の連中の不手際だろう」で片付けられてしまった。

 信用ねーな、霊山…。

 現場と上層部の関係はこういうのがお約束だが、これで上手く回る訳ないんだけどな。

 それに付け込ませてもらってるんだから、文句は無いが。

 

 

 さて、俺の方は問題ない。

 何だかんだで戦力が足りてないので、モノノフが一人でも増えるのは大歓迎だそうだ。

 

 問題だったのは千歳の方である。

 千歳はモノノフ…ではあるんだが、それを証明する物が何も無い。

 モノノフは普通、何処に所属するモノノフなのかを刻んだ認識札を持ち、それを身分証とするのだが、千歳はそれを持っていなかった。

 

 それに加えて、半分鬼に浸食されたような体。

 

 怪しまれるのも無理は無い。

 

 

 無理は無いんだが、そこは器のデカい大和の頭と、最前線だというのに陽気に生きるウタカタの人々だった。

 元モノノフに、呪いを受けたと思われる体、そして人に怯えている…。

 同情的にならない筈がなかった。

 

 

「大変だったろう。 まずはゆっくり休め」と、暖かい言葉を投げてくれました。

 道行く時にすれ違った里の人達も、最初はギョッとするものの、明確な嫌悪や敵意は飛んでこなかった。

 代わりに戸惑いの視線を集めていたが。

 

 まぁ、だからと言って疑われていない訳ではない。

 世話、案内という名目で桜花が監視についているし、宛がわれた家はゲームのような里の中の家ではなく、里の外れの小さな小屋だ。

 ちなみに俺も同居する事になりました。

 

 ま、こればっかりは仕方ない。

 千歳が敵だとか味方だとか以前に、里の内部に鬼の体を持った千歳を長居させる訳にはいかないのだ。

 

 千歳はやはり辛そうだったが、一応納得はしているようだった。

 今までのように石を投げつけられないだけマシだと思っているのか、それとも同類の俺が居るからまだ耐えられるだけなのか。

 視線を集めている時も、ビクビクしているのが伝わってきた。

 手を繋いでなかったら、逃げ去っていたかもしれない。

 

 

 手を繋いでいる俺達を、生暖かい目で見ていた桜花だった。

 

 

 

凶星月人はパンのみに生きるに非ず。ちゃんとお肉も野菜も食べなさい日

 

 さて、とにもかくにもウタカタに潜り込む事はできた。

 後は鬼を倒しつつ、オオマガドキ阻止に向かって動いていく訳だが…実際、どうしたものかね?

 

 前回は鬼を倒してストーリーを進める事と、巨乳手付かず未亡人モノノフに色々仕込む事と、橘花の尻を開発する事にかまけていたら、良い船な結果を迎えてしまった。

 色恋沙汰はともかくとして、鬼を倒すだけではオオマガドキは防げそうにない。

 

 ゲームであったように、多くのミタマを結び、その力を持ってオオマガドキの「門」を閉じる。

 それに必要なのは、多くのミタマを宿す力…なんだが、望んで手に入るような物ではない。

 別の手段を探さなければならない。

 

 真っ先に思いつく手法としては、オオマガドキが開く場所を特定し、それを行う鬼・或いは基点となる物…確か、何かの塔だったか?…を破壊してしまう事。

 やってやれない事はないと思うが、これには俺がもっと強くならねばならないだろう。

 前回は…足の引っ張り合いがあったにせよ、下位ボス程度に負けてしまったんだから。

 

 

 まぁ、そういう即物的な方法で行くにせよ、ウタカタのモノノフ達との精神的な触れ合いは必須だろう。

 信頼関係を築き、それぞれが抱えている鬱屈を晴らさなければならない。

 

 ウタカタの守りと結束は固いように見えて、そうでもない。

 純粋な戦力なら非常に高いが、医者役の那木はトラウマから手術などが出来ず、初穂と息吹は精神的揺さぶりに弱く、富獄のアニキは仇討ちに目が向いていて、桜花が守りたいのは橘花だけ。

 橘花は橘花で、気丈に振舞ってはいるが、自分の運命を呪っている。

 秋水に至ってはスパイである。

 

 安定していると言えるのが、大和の頭と速鳥くらいなのだ。

 謀略をしかけられれば、あっという間に空中分解しかねない。

 

 

 …人間関係が致命的にヘタ…というか、まともな関係を築いてこなかった俺が、それをどうにかせにゃならん訳だ。

 

 

 ムリポ…と投げ出したいところだが、一応策はあるにはある。

 何も、俺が中心にならなくてもいいのだ。

 何の因果か、今のウタカタには千歳というイレギュラーが居る。

 しかも、心に傷を負った、悲劇のヒロインと言ってもいい子。

 

 

 俺ではなく、この子がウタカタの中心になればいい。

 脛に傷を持つモノノフ達と、鬼に蝕まれたモノノフの少女。

 少女はモノノフ達と暮らし、時に共闘していくうちに徐々に希望を取り戻し、そんな少女の必死の頑張りに当てられ、ウタカタのモノノフ達は自分の過去の傷と向き合うようになる。

 

 

 なんとも心温まるお話で。

 脚本・演出が俺な時点で、お寒いストーリーにしかならないと思うが、やってみる価値はあるだろう。

 少なくとも、俺のようなイカレたヒトデナシを中心にするより目はある。

 

 よし、今回の俺は裏方・一戦力に徹するか。

 初めての試みだから、どこまでやれるか分からんが…。

 ちゅーか、トラウマ抱えた少女を社会復帰させるとか、どんだけ苦労するか分かったもんじゃないけどな。

 

 

 

凶星月「ご存知、ないのですか!? 超時空モノノフ☆千歳ちゃんです!」日

 

 さて、手始めにまずは千歳をモノノフデビューさせたいと思う。

 本人も、初めてあった時に「自分は正義のモノノフ」みたいな事を言ってたし、 人間恐怖症になりつつあっても、多分まだモノノフでいたいんだろう。

 比較的穏やかかつお人よしが多いウタカタの里でも、基本的には働かざる者食うべからず、みたいな風潮があるしな。

 

 しかし問題は、千歳自身がどこまで戦えるのかだ。

 なんかよく分からんが、動物と話ができるという速鳥垂涎の能力を持っているとは言え、異界の中ではまともな動物なんぞ殆ど居ない。

 

 武芸の方はイマイチで、どっちかと言うと術寄りだ。

 こっちはかなり使えるらしく、ミタマの力を借りなくても鬼に有効打を与えたり、動きを制限したりできるらしい。

 治癒の術…も使えるには使えるらしいが、鬼に浸食された体で人の体内に干渉するような術は避けたいとの事。

 まぁ、術に瘴気が混じりかねんからな。

 

 

 とにもかくにも、千歳としてもモノノフとして活動する事に異は無いようだ。

 鬼に浸食された体になってからテノヒラクルーされた事もあり、思うところはあるようだが、この里に受け入れられるなら…と、ちょっと頑張ってみるつもりらしい。

 里を案内されて回った時、ワリと暖かな対応をされたのが効いているようだ。

 

 

 俺も適度に出張って、鬼を討たなきゃな。

 …その「適度に」が一番難しいんだが。

 自惚れでも何でもなく、今の俺は制限無しでやればゴウエンマまでならほぼ確実に狩れる。

 ウタカタ到着直後の鬼達…クモや虎っぽいのなんぞ、それこそミタマも鬼祓いも無しにフルボッコにできる自信がある。

 ミタマ在りなら、ストーリーであった大攻勢もデカブツを片っ端から討ち取れるだろう。

 アサシンのステルス技術とゴッドイーターのスピードで敵陣深くに一気に入り込み、攻撃力を徹底強化してハイドアタック。

 これだけで、少なくとも敵の体の部位は半分以上破壊できる。

 後は敵を霍乱しながら逃げ隠れし、再び真正面からハイドアタック。

 注意事項は、足を止めない事かな。

 

 

 

凶星月「我々の業界 でも ゴホウビです」日

 

 

 武器防具を適当に弱めのやつを選び、ザコ狩りへ。

 今回出るのは、息吹、俺、千歳の3人だ。

 今までだと桜花が最初の教育係、見極め役を任されていた筈だが、どういう変化だろうか?

 単に、人に怯えている千歳には、ノリの軽い息吹の方が接しやすいとか、そういう理由かもしれんが。

 

 狩りの成果は、まぁ上々と言っていいだろう。

 俺は今更小型鬼なんぞ片手間でも倒せるし、千歳は術士タイプなので接近せずに戦う。

 息吹はベテランのモノノフ。

 油断さえしなければ、遠距離攻撃を持ってない小型鬼を相手に怪我をする要素は無かった。

 

 

 「その歳で、大したもんだねぇ」と関心する息吹に団子を奢ってもらい…千歳はおはぎだった…、本日は終了。

 

 

 終了なのだが……ぬぅ、物足りん。

 何も毎日毎日狩りしなければ生きていけないという、泳ぐのを止めたら死ぬマグロやカツオみたいな生態してる訳じゃないが、中~大型ばっかり相手にしてたからな。

 餓鬼じゃイマイチ…。

 

 また勝手に抜け出して、クエヤマでも探すか?

 ああ、しかし今は千歳と同居してるから、確実に気付かれる。

 そうでなくても、俺を精神安定剤代わりにしている千歳は、何かと俺と一緒に行動したがるからなぁ…人里に居る時は特に。

 ヘタに姿を消すと、狂乱…とまでは行かないが、そのタイミングで人に会ったりすると拒絶反応が起こるかもしれない。

 

 千歳をプロデュースすると決めた訳だし、暫くは我慢我慢。

 

 

 

凶星月「神は死んだ。カニは食える」日

 

 息吹について何度か雑魚狩り。

 既に「使える」奴らだと認定されたらしく、狩りのレベルがトントン拍子に上がっていっている。

 と言っても初戦下位だが。

 

 ただ、俺に向けて微妙に警戒の視線が飛んでいるような気がする。

 そりゃ、不法な手段で潜り込んだのは確かだが…そんなに警戒するか?

 おかしいと思って、千歳がザコを遠距離からBANGBANGやってる間に尋ねてみた。

 

 すまんな、と一言謝られて、俺の実力が分からないから、と言われた。

 着任の指示書には、俺は新米モノノフとして書かれていた。

 が、いざ戦わせてみれば、小型鬼とは言え一撃で、それこそ片手間に、あまつさえ殆ど音を立てずに片付ける。

 ミタマも既に宿しているし、樒さんに聞いてみたら「強い力を感じるわ。 …そしてうるさいミタマ…」とコメントされた。

 

 肩書きと実力が噛み合ってない。

 別人が入れ替わっている可能性も考えられたが、識別札に記録されているのは間違いなく俺。

 ならば、肩書きを偽っているのか?

 何故?

 そもそも偽っても、実力を隠す様子が全く見られない。

 

 

 

 

 …まぁ、そりゃ確かに怪しまれるか。

 特に深い考えがあった訳じゃないしなぁ…。

 なぁなぁで済ませて、実績で信頼を作る、くらいにしか思ってなかったわ。

 

 しかし、どーすっかな。

 息吹は「ま、そんなに深く疑ってる訳じゃないけどな」って言ってたが、疑われているのは事実。

 俺が疑われると、千歳にも余波が行くかもしれん。

 あまり好ましい展開ではないな…どうしたものか

 

 

 

凶星月「竜退治も鬼退治もまだまだ飽きない」日

 

 今日は4人で任務だった。

 千歳、桜花、初穂(今回は初対面)、俺。

 

 初穂は相変わらず「私の方がお姉さんなんだからね!」といった調子で、千歳の外見にも特に触れなかった。

 むしろ握手までしていた。

 多少表情を作っている節はあったが、今まで会った里の人達の中でも一番友好的だったと言えるだろう。

 

 千歳はドンドン踏み込んでくる初穂に戸惑っていたようだったが、悪い気はしてないようだった。

 むしろ初穂を「おねえ…ちゃん」と、躊躇いがち&恥ずかしそうに呼んで感激させていた。

 うむ、あれはカワイイ。

 顔が半分鬼でもカワイイ。

 

 今となっては初穂を素直に「お姉ちゃん」と呼ぶ里人なんぞ居ないからなー、初穂も感無量だった事だろう。

 橘花に姉さまと呼ばれている桜花を、ちょっと羨ましそうに見ていた事もあったっけ。

 

 しかし、千歳が何かを思い出したように遠くを眺めていたが、何だったんだ?

 故郷に姉でも居るんだろうか。

 ……ああ、でも千歳の故郷に居るって事は多分、変化した千歳を見て…?

 

 

 この考えはまたにしよう。

 

 

 さて、一方狩りだが、相変わらずザコばっかり。

 性欲ならぬ、狩欲を持て余す。

 いや本当に、ガチで退屈だ。

 鬼に侵略されている側としては、小物を間引くのも重要だと言うのはわかるんだけどね。

 

 妹分が出来て張り切っている初穂とは裏腹に、俺は半ば惰性で狩っていたようなものだ。

 桜花に注意されてしまった。

 

 

凶星月「昨夜は……楽しめなかったようで残念ですね」日

 

 

 昨日と同じ、4人組で任務。

 困った事に、俺は初穂に受けが悪いようだ。

 桜花にだって良くはないが、桜花は任務だと割り切ってくれる。

 

 初穂にしてみれば、ようやくできた妹分が懐いている(と言うか依存している?)相手な上、明らかに手を抜いていてやる気無しに見えるのに、腕自体は自分より遥か上。

 そりゃ気に入らないだろうよ。

 

 …俺自身としては、俺に対する好感度が低いのは…ちょいと辛いが、今回は割り切る。

 それよりも千歳に好感度を集中させたい。

 今回の俺は影でいい。

 

 

 

 ところで、任務の帰りがけにミフチの気配を感じたんで、フルボッコにしたんじゃが…衝動的にやっちまったが、初穂の見せ場を奪ってしまった形になるな。

 思い出してみれば、前回も同じようにミフチを一人で潰してしまったおかげで、初穂がいつまでも一人前と認められずに焦るようになってしまっていた。

 

 フォローが要るな…よし、千歳に行かせよう。

 上手く行けば千歳の好感度アップだ。

 認められずに焦るのではなく、妹分の前で格好付ける為に奮起してくれるといいんだが。

 

 

 今回の初穂は、シスコン成分強めで何となくギャグキャラルートに進みそうな気がするし、千歳に「頑張って!」って言われりゃ鼻血吹いてハッスルしてくれるだろう。

 …ヒロインルートは、今回も無しかな…。

 おませさんだけど、懐いてきたら結構カワイイと思うんだけどなぁ…。

 

 

 

凶星月「それはひょっとしてギャグで狩ってるのか!?」日

 

 息吹が前衛、初穂がヒットアンドウェイ、千歳がバックアップ。

 結構バランスよく回っている。

 

 ちなみに俺は暗殺&奇襲。

 デカブツが近くに居る時は、率先してこっそり狩っています。

 息吹はその辺に気が付いているみたいだが、何も言わない。

 まぁ、デカブツって言ってもまだミフチくらいしか居ないからね。

 

 

 とりあえず、俺が居なくても回るといえば回るし、初穂の悪感情が溜まっていく事になるので、俺は一端別の班に組み込まれる事になった。

 千歳は不満そうだったが、俺にばかり懐いて依存されても困るし、一緒ではないのは任務の間だけだ。

 家は相変わらず里の外れの小屋なんだから、帰れば会える。

 

 

 で、俺の新しい所属は那木…さんと一緒か?

 と思ったら、何故か速鳥と同行する事に。

 

 まぁ、別にいいけどね?

 まだ疑いが晴れた訳じゃないのかね。

 大和のお頭は、単純に俺の戦闘スタイルが速鳥と似通った所があるから、って言ってたが。

 確かに速鳥の隠形はモノノフの中ではちょっとマネできないくらいのレベルで、その為に単独行動を任せられていた。

 ヘタに同行者をつけると、持ち味や機動力が激減するからな。

 でも俺なら大丈夫、と。

 

 うーん、別に不満は無いけどさぁ。

 やっぱり那木さんと一緒の方が、心に潤いが…具体的には資格的な癒しが……。

 でも前回あれだけイチャネチョしたとは言え、浮気した上にそれが原因でガメオベラしたし、ちょっとどんな顔して会えばいいやら。

 

 

 ま、とにかく速鳥だが、相変わらず素っ気無いと言うか、余計な事を喋らない。

 最初はこんなもんだったな…。

 そうだ、確か前の時は、天狐とコミュニケーションをとる方法の代わりに、洗脳やら誘導やらの手法を教えてもらったんだっけか。

 

 ま、速鳥の攻略方法は非常に単純だ。

 お仕事モードにさせなければ、意外と気のいい話せる奴なのだ…口下手の癖して。

 そしてお仕事モードにさせない為には、天狐を見せてやるだけでいい。

 鬼の討伐の最中にさえ、視界の端に常に天狐を捉えているのだから、その執念はいっそ見事と言えるだろう。

 

 

 という訳で、ウチの天狐を………あ、そういえばまだウチには天狐は居なかったな。

 確か、橘花と初めて会う時に天狐に会って、懐かれたり怯えられたりするんだっけ。

 

 天狐はどうするべきかなぁ。

 ストーリーの中心を千歳にする計画を立ててはいるが、天狐までそこに加える必要も無いように思う。

 天狐は単なるマスコット扱い(任務や素材集めを助ける役割もあったが)で、ストーリーには関わらなかったと思うし……未プレイの討鬼伝続編じゃ分からないが。

 

 …よし、やっぱ千歳に付かせよう。

 千歳なら天狐と明確に会話できる。

 鳴き声による大体の意思疎通しかできなかった俺と違って、もっと細かい所まで分かるだろう。

 俺じゃ精々イエスノー、非常に大雑把な形を現す単語しか分からないんで、天狐が普段ナニを言っているのか非常に興味がある。

 

 もしも俺に懐いてきたら、家に連れ帰って千歳と一緒に世話すればいいか。

 

 

 速鳥に、「貴殿と共に来たモノノフとは、どのような少女か」と聞かれたんで、「ちょっと人間恐怖症。代わりに動物と話ができるらしい」と答えた。

 文字通り目の色が変わる光景を初めてみた気がする。

 

 

 




 さて、例によって夢を見ているようだ。
 ここは一体どこだろう……とは、今回は思わない。
 何せ俺が居る所は、マイホームだからだ。

 マイホーム。
 しかも一軒家。
 風呂もトイレも完備、エアコン…は無いけど暖炉はあるし、窓を開ければ風通しも良い。
 庭付き。
 家賃も要らない。

 別の意味で夢見たいな物件である。

 俺はここで、日々(夢の中だが)のんびりとした生活を送っている。
 庭にはデカい木があって、そこからは奇抜な形の野菜や果物が取れる…時々肉も取れるような気がするが、あれは実際に肉なのか、肉によく似た野菜類なのかは疑問が尽きない。
 食ってみれば中々に美味かった。

 野生の獣も幾らか居て、そいつらを仕留めて食料にしたり、毛皮を衣服その他に利用する事もある。
 モンスターに比べれば、貧弱だし殺意は弱いし、本当に楽なものだ。
 仕留めず捉えて、農場に入れる事もある。
 つい先日も、黄色くて耳がデカイ……和名『ウサギ?』なるナマモノを捉えて突っ込んだ次第だ。
 

 そんな生活を…刺激の無い、だが穏やかな生活を、どれだけの間一人で続けているだろうか。
 たった一晩の夢の中とは思えない程、長くこの家で暮らしている気がする。



 とは言え、ずっと一人だった訳ではない。
 家族が一人居て、俺はその弟…の筈だ。
 夢のシチュエーションに突っ込みいれても無駄だが、どんな人だったか、兄だったか姉だったかさえ覚えてない。

 とにかく、以前は同居人が居て、ある日突然そいつは旅に出たのだ。
 じーっと郵便ポストを眺めていたら、「何処か他の土地が見たくなった」とか言って、この家を俺に任せて旅立ってしまった。
 少しばかり寂しさを感じもしたが、数日もすれば何をするにも他人に合わせなくていいという環境にあっさりと馴染んでしまった俺だった。

 さて、旅に出た俺の同居人は、別に死んでいる訳でも、音沙汰無しになっている訳でもない。
 時折妙な土産を持って帰って来る事はあるし、旅している先から手紙が届く事もある。
 …「ポストとは、他の人が居て初めて意味があるものだな」と旅立つ前に言っていたが、結局使っているのは自分じゃないか。


 ともあれ、俺は時折…そしていつの間にか…ポストに挟まれている元同居人の手紙を楽しみにしつつ、毎日農業したり酪農したりして日々を過ごしている。 
 …実際、これが農業だって主張したら、本業の方々が激怒しそうなくらいに楽々でユルユルスローペースな毎日だが、まぁ人に怒られるような環境でも無し、別にいいだろう。
 何せご近所さんといわれて真っ先に思い浮かぶのが、デカい木とその辺の動物オンリーだ。
 北海道やアメリカのド田舎だって、物理的な意味でもうちょっと人付き合いがあると思うぞ。


 そうそう、時折訪れる生活のアクセントとしては、元同居人の知人だという客人が挙げられる。
 これがまた、姿形から性格、元同居人との関係まで様々だ。
 モッフモフーのケモッケモーの獣人も居れば、何処からどう見ても人間にしか見えないのに、なにやら宝石的な種族だという人も訪れる。
 この前なんか、デカい老亀が訪ねてきた。
 幸い、腹は満ちていたので鍋にはしなかった。

 あまつさえ、「生前」に世話になり、「死後」に再会し、「蘇生後」に色々教わっている、なんてわけがわからないよ!な人まで居た。

 その客人を持て成して、旅先であの阿呆が何をしているのか聞くのが、最近の専らの楽しみだ。
 あの阿呆は行く先々で揉め事に首を突っ込んでいるらしく、最近では一部の人達から『英雄』なんて呼ばれだしているらしい。
 世界を滅ぼそうとした悪魔退治に、年経たドラゴンの悪巧みを阻止し、最近では滅んだ筈の宝石的な一族を纏めて蘇…っと、これは秘密だった。
 帰ってきたらからかい倒してやろう。
 …アイツがこれだけの事に関わってるんだから、やった事が言葉通りだけの筈がない。
 裏でもっと面倒くさい何かと関わっている筈だ。
 精々茶化して、余計な力を抜いてやるとしよう。



 それから、アクセント…というにしてはちょっと微妙だが、二階の鉢植えのサボテン。
 …どーもコイツ、俺が見てない間に二足歩行しているような……気がするんだが、流石に気のせいだよなぁ?
 でも動いているのは確かっぽい…。
 何せ、俺以外は誰も居ない筈の家の中、ちょっと目を話した隙にサボテンの近くのノートに書き込みがされてるんだから。

 なんか知らんが、元同居人が旅先でやらかしたアレコレについて色々コメントがついている。
 しかも俺が聞くより先に。
 俺が手紙を受け取るよりも先に。
 ……これは命の危機を感じるべきなんだろうか?

 しかし、このスローペースな生活に慣れてしまった為か、どうにも危機感が沸かない。
 むしろ次のコメントを楽しみにしている始末だ。
 サボテン以外の誰かがマイホームに入り込んでいるとしたらそれはソレで問題だが、何となく大丈夫のような気がしなくもない。



 さて、そんな長閑な生活を送っている俺だが、流石に退屈になる時もある。
 何だか満たされた気分で、食うか寝るか編み物とかするか、そんな日々を送っているんだけどね…やっぱり狩りしてた現実に比べると、どうにも刺激に欠けるというか。
 それが良い日々ではあるんだけど…まぁなんだ。


 俺も、終わりと出口が見えないループに、やっぱり疲れていたんだろう。
 異性の肌の温もりもない、本能を満たす狩場も無い、こんな生活に妙に心が安らぐのがその証拠。


 そんなスローペースな毎日に、時々だが妙に焦りを覚えてしまう時がある。
 何だろうな、この…「こんな事をしている場合じゃないんじゃないか」って焦燥感は。



 そんな時は、家に飾られているオモチャの庭を眺めて心を落ち着かせる。
 別にこれに特別な思い入れがあるって訳じゃないんだけど、何となく落ち着くんだよねー。
 元同居人が持ってきた土産が殆どなんだけど、大きなボードの上に家や船や森のオブジェクトが配置してある。
 それを机の上に置いて、じーっと見ていると何となく心が安らぐ…というか、眠くなってくる。
 そのまま眠気に身を任せれば、夢の中(既に夢の中だが、その中で更に夢をみている)でオブジェクトの中に入って、大冒険の始まりだ。
 半ば以上は、元同居人の話を元に作られた夢だろうけどね。
 アイツから聞いた話と被るところが多くてなぁ…。

 …ん?
 思い返すと、アイツから話を聞いた時、「お前から聞いた夢の内容と、展開が殆ど一緒だったぞ」と言われた事が何度かあったような…。
 予知夢?
 
 まぁ、今更そんなもん出来ても、あんまり驚きはしないが。
 


 そんな訳で、超スローペースの日常と、微妙に大冒険している夢の夢で、満ち足りた日常を送っています。
 最近では、何をどうやったのかあの元同居人が鍛冶の工房まで作りやがったので、包丁とか作ってみるのもいいかもしれない。









 ところで、マイホームの背後に つい先日までは明らかに存在してなかった、文字通り雲を突くような大木が出来ているんじゃが、アレは一体何事だろうか?
 しかも元同居人が、アレに昇ると息巻いてるし…。








 その後、暫く生活していたら、普通に目が覚めた。

 よもやと思って確認してみたら、やはりふくろの中にMH世界でさえ見られないような奇抜な(メルヒェェェンと称せ無くも無い)野菜果物が幾つか入っていた。



 あと、なんか疲れたナー、と思った時に、マイホームの夢をいつでも見られるようになったっぽい。
 これがナニカの能力なのかはイマイチよく分からんが、まぁ和むし回復が早まるみたいだからいいか。





 え、なに?
 アーティファクト使いの能力でマイホームを具現化させている?
 ………あの夢の中で、終ぞきいた覚えは無いんじゃが…アーティファクトって何ぞ?
 ああいや、そういやゴミ山で人形がそんな事言って襲ってきた…夢を見たような気がしなくも…。





外伝:聖剣伝説~Legend of Mana~ Side:Home編
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