事前にプレイ動画見てよかった…。
さて、7月末には仁王2DLCですが…Ghost Of Tsuhimaに興味が沸いてきました。
隻狼は見送って、暫くはエスコン7のトロフィー集めするつもりだから、次の購入はこいつかな。
黄昏月玖日目
朝。兼一君と桐人君が起きてくるよりも早く起床。隣りで眠っていた直葉も起きて、イチャイチャしながら朝飯の準備。
もしも桐人君が見たら、居心地が悪くなってこの家から出て行ってしまいそうだなぁ…。
二人が(二日酔の頭を抱えて)目を覚ます頃には、いつもの直葉に戻っていた。
蜆の味噌汁が美味いのぅ。
「うー、体が重い…。直葉ちゃん、本当にありがと…」
「調子に乗り過ぎたな…」
調子に乗ったというか、現実逃避したというか。やっぱり手合わせはやめとくか?
「いえ、それは絶対に受けます。兄貴が戦ってるところ、見た事ないですし」
そう言えばそうだったな。詩乃の弾を切り落とした時くらいか。俺も桐人君の戦いは見た事なかったっけ。
兼一君は?
「桐人がやるって言ってるのに、僕だけ逃げたら格好悪いというか、角が立つじゃないですか…。幸か不幸か、二日酔いもすぐ治りそうです。前とは違うってところを見せてやりますよ」
おう、よく言った。期待してるぞ。
ところで、兼一君はシノノメの里から、モノノフ達と来たんだよな。その人達は? 俺の知ってる奴か?
「練武戦で手合わせした事はあった筈ですけど、瞬殺されましたからね…僕も人の事は言えませんが、多分覚えてないかと。その後、特に話をした訳じゃないそうですし。あの3人は、他所に遠征にでかけてます」
遠征? 異界巡りでもやってんのか?
「いえ、道場巡りです。『外の流派を教わる事で、白浜でさえ強くなってるんだから、俺達だって外の流派で強くなれる筈!』って言って。霊山のめぼしい道場は廻ったんで、別の里まで足を延ばしたんですよ。僕も本当は行く予定だったんですが、師匠が来ると言う事で今回は抜けました」
そりゃ悪い事を…俺は別にしてないけど、なんかすまんな。半日にも満たない間だが、その分みっちり鍛えてやらねば。
しかし、外の流派を学べば強くなれるって、随分短絡的だなぁ。
他流派との交流は悪いことじゃないが、練度を上げないと意味がないだろうに。
「どっちかと言うと、自分に足りないものを埋めてくれる技術を探している、って感じですね。皆、こっちに来る前は武器の扱いばかり学んでいたんですけど、柔術を取り入れて相手の体勢を崩すようになったり、手甲の攻撃を強化する為に新しい技を探したり…」
「俺も何度か付き合ったんですけど、やっぱり所変われば品変わるというか、霊山じゃ伝わってない技とかが結構ありましたね。一見使い辛い技でも、意外な使い道があったり」
なるほど、ただ一日体験するだけじゃなくて、それなりに考えてやってる訳か。ある程度強くなったら、そこから先は自力で自分を伸ばしていくしかないからなぁ。
そういう腹積もりなら、無駄にはならんか。
実際、シノノメの里の武術は統一され過ぎている。使い手毎に多少の特徴はあるが、使える技は似たり寄ったり。手の内も知れ渡っている。
なので、意表を突くような戦い方を一つ身に付けただけでも、里内での強者番付に大きな変動が起きるだろう。
…一番大きな変動は、万年最下位だった兼一君がメキメキと実力を伸ばしている事だろうが。
そう言えば、シノノメの里で練武戦には参加したのか? 時期的に、一回は開催されてるだろ。
「生憎、僕がこっちに戻ってくる時には、情勢が落ち着いてないからって延期になってしまって。実際、霊山との取引の為に皆大忙しだったから、仕方ないんですけどね」
それでも全敗の汚名は返上したかった、と愚痴る兼一君。ま、気持ちは分かる。今なら結構な順位に食い込めるだろうからな。
ただ、平時の貢献度と今までの練武戦での成績で残機変動する仕組みだから、一回でも負けたらそれまでなのは変わらんだろうな。初っ端から泥高丸とカチ合ったら、まず間違いなくそこでジ・エンドだ。
「勘弁してくださいよ、こういう時に限らず悪い予感とか当たるんですから」
だったら、猶更勝てるように鍛錬しとかんとな。兼一君に何を教えるべきか…。
武術の才能、からっきしだもんな、この子…。
朝飯を終え、二人の二日酔も治まって。
二人を伴って、適当な異界に向かった。流石に直葉は連れてきていない。日中の道場の仕事もあるし、モノノフでもない子を異界に連れて行ける訳がない。
「わざわざ本当に異界でやるんですか? 時間制限ができてしまいますけど…」
「そこらの山でも良かったんじゃ?」
別にそれでもよかったんだが、やっぱりモノノフの戦いは異界が基本だしな。瘴気の有無で、動きはかなり変わってくる。
体に瘴気を取り込まないような戦い方を覚えなきゃならんし、逆に鬼纏みたいに瘴気があるからこそ使える技だってあるだろ。
「鬼纏…って、兼一が時々使う、急に動きが早くなる技だよな」
「そうだよ。あれ、やり方教えなかったっけ? 桐人、使えないの?」
「どーも、瘴気を自分から取り込むってのに抵抗があって、今一つ上手くできなくてさぁ」
ま、普通のモノノフならそうだわな。毒を自分から飲み干すようなもんだ。
…そうだな、桐人君に教える技は、その辺にしとくか。瘴気や毒を自力で無効化できる技。それがあれば、瘴気の取り込みをするにしても多少は気が楽になるだろ。
「ありがとうございます! …できれば攻撃技が良かったけど…」
そっちは手合わせの結果次第だな。必要で、使いこなせそうな技があるなら、教えるのも吝かではない。
勿論、兼一君もだ。
「…その場合、僕らの鍛錬の辛さは加速度的に跳ね上がるでしょうね」
よく分かっているではないか。
ま、技を教えるったって、たった一日で体得できるものでもない。やり方と理論を教えて、見本を見せて、後は自分で練習しろ。
無理だと思ったら、或いは覚えても意味が無さそうだと思ったら、辞めてしまっても構わん。何を覚えて何を手放すのか、それも自分で選ぶこった。
「…やってやりますよ! 強くなりたいって望んだのは僕なんですからね! ここで逃げたら、死んだ家族に胸を張れない!」
おう、よく言った。シノノメの里に行ったら、お前さんの家族の墓にも手を合わせておくか。
人のムズ湖に何やらしてんだって祟られるような気もするけど。
さて…話をするのもいいが、そればかりでは稽古の時間が短くなるばかりだ。そろそろ始めるとしようか。
俺を鬼だと思ってかかってこい。
具体的には、鍛錬と言う名の拷問を押し付ける鬼として。
「うらぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
その一言で、キレた兼一君が襲い掛かって来た。…そんなに辛かったのかな…。それでも続ける根性は、間違いなくシノノメでも随一だと思うんだけど。
キレた状態でも、意外と兼一君の戦い方は落ち着いていた。と言うより、他にやり方を知らないから、一番馴染んでいるやり方を体が勝手に選んでるんだろうな。どっかで聞いた極意のよーだ。
兼一君の戦い方は、以前に教えていた時と変わらない。だが、その練度は確かに以前より一回り二回り高くなっていた。
基本に忠実で、自分に出来る事と出来ない事を見誤らない。相手がどんなトリッキーな動きを仕掛けても、決められた動きの中で対処する。
一見地味で、「それしかできないのか」と言われそうなやり方だが、これをこなせるだけでどれだけの修練を積んだか分かるだろう。
千招あるをおそれず、一招熟するをおそれよ。
その境地にはまだ遠いが、間違いなくそれに通じていく戦い方だ。
とは言え、やっぱり冷静とは程遠い状態な事は変わりなく。
ほれ、突きを絡めとって投げ飛ばし、追撃の…って、
「御免!」
おっと。桐人君が、踏み込もうとした足を狙って斬りかかって来た。逆に下がって避けるが、兼一君は体勢を立て直してしまった。頭も冷えたのか、さっきまでの狂乱した様子は全く見られない。
「ありがとう桐人、助かった」
「いいって事よ」
いい割り込みじゃないか。慣れてるのか?
「ええ、助けられるのにも。…任務中に、女の子が近くに居て動きが鈍った事もあるんで…」
そこを逆に、兼一君に助けられてる訳な。
やれやれ、二人とも精神面はまだまだか。…俺も人の事は言えないが。
じゃ、仕切り直しと行こうかね。
「今度は俺が! せぇいっ!」
桐人が、両手に持った刀で攻勢に出る。
袈裟、唐竹、逆風、刺突。
そしてそれらの隙を埋めるように振るわれる、もう一本の太刀。
片手で振るわれる太刀筋に、乱れと言えるようなものはない。
…そう、片手。片手なのだ。これまた、モノノフとしては特異な戦い方と言える。
双刀ではない。普通の双刀なら、太刀に比べて半分くらいの長さにして、両手に逆手で持つのがモノノフの一般的な戦い方だ。その際の動きも、敵の体を足場にして駆け上がったりと立体的な戦い方をする。
それに対して、桐人君の戦い方は違う。一本一本が普通の太刀と同じくらいの大きさであり、飛び上がるような事はせず、無暗に動き回らない。2本の太刀を、純粋に攻撃用として使っている。
ふむ…随分と鍛え上げたな、その腕…特に手首。
「前から、考えてた戦い方なんですけどね! どうしても力が足りなくて、片手で斬り付けたら太刀を落としてたんですよ!」
そらそーだ。幾ら鍛えた人間だって、真剣を片手でまともに振れる奴はそうそう居ない。増して、鬼という大質量を相手に、刃筋を立てて接触させるのは難しい。下手に叩き付ければ、刀が折れる前に手のひらからすっぽ抜けるに決まってる。
そこで目を付けたのが、兼一君のやってる訓練って訳か。
「そうです! 聞けば、殆ど筋力もついてなかった兼一が! 一月もしない内に、鬼の体に素手で後を残すくらい鍛え上げられたと聞いて! 後悔しましたけどね!」
成程な。確かに、有効な戦い方だ。
二刀流はむしろ防御に優れているのが鉄板だが、桐人君の一撃一撃は、一般的なモノノフが両手で斬り付けるのと同じくらいの威力と鋭さがある。
また、積極的に前に出て、敵を追い詰めようとする戦い方…兼一君とは良くも悪くも真逆だな。二人で稽古しあっているのに、よくもこうまで正反対に育ったものだ。
とは言え…。
「くっ! そこっ! てぇい!」
甘いわ! 一撃目の影を縫うようにして抉り込まれた刺突。体を反らし、両肘の内側に裏拳を打ち付ける。
肘を強制的に曲げられ、がら空きになった腹へ直蹴りのカウンター。
「ごぉ!?」
「桐人!」
割り込んできた兼一君……違う、狙いは桐人を庇うんじゃなくて、俺への攻撃!
至近距離からの体当たりを受け止め、更に足腰を連動させた突き上げを顔を逸らして避ける。
今のはちょいと危なかった。攻撃の連携も、庇うか隙を突くかの判断も含めて、上々だな。
とは言え、さっきの桐人は焦り過ぎだ。まだ使い始めて間もないから、攻撃の連携が少ないな?
これが通じなかったから別の攻撃で、それも通じないからまた別の…ってなってるのが見え見えだったぞ。決まった動きが連携の要になってるのが分かったし、何より焦りで攻撃が単調になってた。
いくら途切れの無い連携が特色でも、起点を抑えられ、単調になっちゃ返し技のいい的だ。
「いてて…そこをたったあれだけの遣り取りで見つけ出して突ける人なんて、そうそう居ないと思うんですけどね…」
「そこはほら、まぁ、師匠だし。僕なんか、それを理解してもまだ追いつかないし…」
俺に限った事じゃねーよ。気づきそうな奴、出来そうな奴、両手に余るくらい思いつくぞ。
見破れないとしても、結果的に同じ行動をとってきそうな状況もある。鬼ってのは頑丈な上に脳筋が多いからな。連撃を受けきる事を覚悟で、強引に体を捻じ込んでくるぞ。
「う…た、確かに、何度か危なかった事が…」
何にせよ、練度の問題もあるが、その戦い方に固執しない事だ。折角、1本でも使える太刀を使ってるんだ。行動が読まれてきたと感じたり、手数よりも一撃の重さが必要になったら、一本収めて普通の太刀で戦えばいい。
二刀流は強力だし、もっと応用が利きそうだが、慣れと練度って意味じゃ今までの戦い方の方が高いだろ。
「な、成程…。二刀連撃の途中で太刀を収めて追撃したり、逆に居合みたいにして二本目を抜いて、そこから繋げたり…。一気に連携の種類が膨れ上がる!」
「ちょっ、師匠! 僕にも! 僕にも何かないですか!? 桐人にようやく追いついてきたのに、また勝ち越される!」
兼一君は、そうさな…。穿龍棍の応用でも教えてみるか。武器を使わない無手なのには変わりないが、蹴り技とか、龍気穿撃を疑似的に再現したものとか、色々あるし。
さて、その辺りを踏まえて、もうちょっと手合わせを続けてみるか。
二人が思っていた以上に成長していたから、中々楽しくなってきた。
その後、行動限界ギリギリまで手合わせを続けた。異界から出て、今後の鍛錬について説明したら、二人は何故か力尽きてしまった。…うん、まぁ、気持ちは分かるよ。
繰り返すが、やるかどうかは自分達で決めていい。まともに面倒も見てないんだ。正直、師匠面出来る立場だとも思わんしな。
…それじゃ、悪いが俺はそろそろ出立しなけりゃならん。何時頃になるかは分からんが、霊山からの帰りにまた寄るよ。
直葉達によろしくな。