※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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最近、なろうでSSを漁るのがマイブーム。
受け付けない奴も多いけど、意外とレベルが高いのが揃ってる。
特に書籍化された奴が。
何だかんだで大御所というべきか…。


第56話

 

 

凶星月呼んでますよ、ラヴィエンテさん日

 

 速鳥の隠形が冴え渡っていた。

 どう考えても、天狐と話が出来る千歳に会って、教えを請いたいからだ。

 ニンジャの癖して、私欲で動いた方が動きが冴えるとは不可解な。

 まぁ俺だって他人の事は言えんが。

 素人DTを卒業した今となっては、良くも悪くも落ち着いてしまって(欲望はむしろ落ち着かなくなっているが)そんな事はなくなったが、かつてはGE世界でサクヤさんの背中を見ただけでテンションが上がり、ほぼ初期装備状態のまま、無意識状態のままにヴァジュラの目玉を潰すなんてマネもやっていたものだ。

 

 …アノコロノジュンスイナオレハドコヘイッタンダロウナ…。

 

 

 まぁ、直接触れて貪る方が好きだからいいけどね。

 

 さて、速鳥に頼み込まれ、千歳と引き合わせる事になった。

 別に問題は無い。

 速鳥は性格的に問題があるような人種じゃないし(駄目ニンジャといわれる程度に天狐が好きなだけで)、千歳にとっても人間関係を構築するのに、難しい相手じゃないだろう。

 動物と話が出来るという、速鳥にしてみれば「ころしてでもうばいとる!」ぐらいの能力を持ってる事だし、むしろ崇拝されるのではなかろうか。

 

 好意を向けてくる相手と関係を築くのは、そう難しくない。

 …千歳の人間恐怖症さえ克服できれば。

 その人間恐怖症も、初穂をお姉ちゃん扱いしている間に大分マシになってきていると思う。

 速鳥も、次のステップに進むには丁度いい練習相手だろう。

 

 

 

 

 ところで、その速鳥だが、ちょっと気になる事を言っていた。

 任務を暗殺・暗殺・ハイドアタック・ダブルアサシンその他で影さえ捉えさせずに終わらせて、里に帰ってきたんだが…妙な動物が居る、と言っていた。

 専ら鳥とかリスとかキツネとかの小動物らしいが、それらは普段、里の奥の方まで入り込んでくる事は少ないのだそうだ。

 言われて思い出してみれば、前回のループでも里の中で天狐以外の獣を見た事は少なかった…別に俺が鍋にしちゃった訳でもないのに。

 主に獣達は、里の外周部で生活していたように思う。

 

 なのに、自分達をジッと見ているような視線を感じる、と。

 

 

 

 

 …千歳が俺を監視してんじゃないよな?

 アイツが動物を操って、俺に何かおかしな事が無いかじっと見続けているとか。

 

 いや幾らなんでもねーよな…でも千歳ってマシになってきてはいるけど、相変わらず俺に依存してる節が多く見られるし…。

 ヤンデレっぽい気配はないけど、とにかく見ていないと不安って考えも無いでは無いし…。

 

 

 

 

凶星月我が体に一本の杭あり日

 

 

 動物についてそれとなく訪ねてみたが、速鳥の弟子入り志願をあしらうのに必死で、それどころじゃなかったようだ。

 …結局押し切られていたが。

 

 後になってボヤいていたが、どうも同様に、誰かに動物との喋り方を教えた事があるっぽいな。

 「ホロウお姉ちゃんと違って、筋が悪すぎる」って。

 まぁ、俺が教えた時も、速鳥の口調は最悪の一言だったが。

 

 ともあれ、一応弟子入りした訳だし、速鳥も千歳グループに組み込めたと見ていいだろう。

 後は那木さんと富獄の兄貴、そして桜花。

 橘花は…まぁ、実働グループに入ってないから、今回は考えない方向で。

 

 

 時期を考えると、そろそろ那木さんとのグループに異動になる筈だ。

 ひょっとしたら初穂が付いていきたがるかもしれんが、それはどうでもいい。

 次に遭遇するのは、前回と同じ流れなら…カゼキリか。

 ひよっこには辛い相手だが、千歳は結構戦いなれてる感じがするんだよな。

 

 最初こそえらく不安定だったが、最近では慢心もなく、的確なバックアップに勤めているようだ。

 息吹から聞いた評価なんでちょいと甘口かもしれないが、事実怪我は無いようだし、こっそり覗きに行った時にはちゃんと周囲への警戒も怠らない優等生っぷりだった。

 接近戦に難があるので単独行動は難しいが、ヘタをすると初穂より上に居るんじゃなかろうか?

 

 曲りなりにも最前線のウタカタで半人前とは言えモノノフやってる初穂と並ぶくらい。

 …霊山のヘタなベテランより強いかもしれん。

 一体何処で何と戦ってたんだろうか?

 あれか、前に言ってたイヅチカナタか。

 

 

 そうそう、そのイヅチカナタについて聞いてみたかったんだ。

 あんまり思い出したくないようなら無理強いはしないが、千歳が帰ってきたら聞いてみるか。

 

 

 

凶星月「獲物の名を言ってみろぉ!」日

 

 イヅチカナタについて聞くつもりだったが、ビックリ。

 もう那木さん・富獄の兄貴と組んで、もうカゼキリと遭遇したそうだ。 

 流石に苦戦したらしく、怪我…は那木さんがミタマで直してくれたようだ。

 帰って来るなり、メシも食わずにバッタリ眠ってしまった。

 

 それはそれとして、里に帰ってきた千歳を迎えにいった(那木さんと富獄の兄貴にはこの時初対面だった。「始めまして」と頭を下げた那木さんの谷間を見て、色々思い出してしまった)んだが……何か知らんが、秋水がえらい驚いていた。

 アイツが表情を隠せない程驚くって何事だ?

 しかも千歳を見て。

 …そういやあいつ、全滅した北の生き残りで、過去に戻ってそれを覆す手段を探してるんだよな。

 何か関係があるのか?

 いやしかし、千歳は50年前くらいから異界に迷い込んで、初穂同様に時間を飛ばされてきたみたいだし…北の地に関係があったとは思えんが。

 

 

凶星月「初めて狩りの相手ではモンスターではない! この俺うわ何をする本当に狩らないでぇぇ!」日

 

 秋水が千歳に探りを入れているっぽい。

 あからさまではないが…アイツが積極的に人に関わりに行っている時点で、何か意図があるのは明白だ。

 しかし、何を探ってんのかねぇ?

 

 アイツの目的は過去に戻る事な訳だが、千歳がそれに何か関係あるのか?

 確かに時を超えたようだが、過去に戻ったのではなく未来に飛んだ。

 そもそも千歳が初穂同様時を越えた事は誰にも話してない。

 千歳が話したのかもしれんが、少なくとも秋水にその情報が届くとは思えん。

 ウタカタの人達は律儀で口が固いからな。

 

 今だって、千歳を「頑張ってくれてるのに、里の外れに住まわせてすまねえ」なんて言いつつ、大根とか肉とか色々持ってきてくれるくらいだ。

 …俺との関係が、夫婦と認識されているのか、兄妹と認識されているのか、非常に微妙な所である。

 

 

 …里人に親切にされて、対応に戸惑っている千歳にホッコリするのはともかくとして。

 秋水が何を気にしているのか、イマイチ分からん。

 最近安定してきたとは言え、悪意に触れればすぐにひっくり返ってしまう可能性は高い。

 橘花にしようとしているように、千歳を唆そうとしているのかもしれない。

 

 …こっちから踏み込むか。 

 前に確か、過去に戻ったと思われる現象をエサにして、秋水と繋がりを作った事があったな。

 今回も同じ手で行くか。

 

 

凶星月「ファイナルアンサー? ……………………………………………………………残念! 討伐ゥゥゥゥゥ!」日

 

 すっかり忘れていたが、イヅチカナタについて聞いてみた。

 あまりいい顔はしなかったが、改めて千歳は語ってくれた…んだが。

 

 何故か、何時何処で戦ったのかについては言葉を濁している。

 別に疑ってる訳じゃないし、後ろめたい事があるとは思わんが、ウタカタのモノノフ達の例に漏れず千歳にはまだ他に秘密にしている事がありそうだ。

 

 で、千歳がイヅチカナタと戦った時の話だが、何でも当時の戦力を結集した一大決戦だったらしい。

 中心となったのは、「オビト」「ホロウ」という二人の人物。

 

 ホロウについては、千歳はあまり知らなかった。

 えらく懐き、姉として慕っていた相手のようなのだが、何処で生まれたとか、個人プロフィールが全く分からない。

 と言うか、聞いた事はあるのだが、イマイチ理解できなかったとか。

 ただ言える事はイヅチカナタを長年追っていて、当時のモノノフ達にその存在を伝えたのも彼女らしい。

 

 オビトは当時のモノノフの中心人物とも言える人で、死者と語らう能力を持っていたそうだ。

 …あれ、それってミタマを使えるモノノフなら、人によるけど普通に出来るんじゃ……ああ、別にミタマに限らないのね。

 趣味は友達を増やす事。

 ……「俺はこのモノノフ全員と友達になる男だ!」とか言ってたんだろうか?

 フォーゼ乙。

 

 

 しかし、そんな一大決戦があったんだったら、記録が残っててもよさそうな物だが…。

 そう思って調べようかと思っていたら、「イヅチカナタに因果を食われて、記録に残ってないかもしれない」だと?

 面倒な鬼だな…。

 だが俺にとっても重要なファクターになりそうな鬼でもある。

 是が非でも情報は欲しい。

 特に次のループに入るとまた千歳に会えるか分からないから、何処で調べられるかの取っ掛かりだけでも掴んでおきたい。

 

 

 

凶星月「君は準備してもいいし、せずに狩りに行ってもいい」日

 

 本日も速鳥と任務…の筈だったのだが、予定が変わった。

 天狐と遭遇した。

 

 そして橘花とも遭遇した。

 

 

 おおう、今更になって罪悪感が……それ以上にまたヤバイ欲望も沸いてきたが。

 今度こそあの尻を…二股かけなきゃ多分イケなくはな…ゲフンゲフン。

 

 とにかく、今回も天狐は俺に懐いてくれた。

 受付所に行こうとしたら天狐がチョコチョコ後ろをついてきて、それを目撃した速鳥の覆面が赤く染まっていた。

 天狐見ただけで吐血すんなし。

 

 そして「師匠に通訳してもらうでござろおじゃ!」とか語尾を崩壊させつつ目を血走らせていた。

 そんなに天狐と話したいか。

 ちなみに相変わらず滑舌が最悪なので、速鳥の天狐語は殆ど通じなかった。

 俺はまぁ、簡単な意思疎通なら相変わらずできるし。

 

 そういう訳なんで、速鳥は天狐を連れて千歳の所に行かせた。

 あのまま任務やらせても、なんかやらかすのがオチである。

 

 

 さて、そういう訳で一人の任務。

 と言ってもミフチ1体の討伐だけなんで、ウタカタで一人前扱いされてりゃ、一人でも普通にこなせる内容である。

 そこへ来て、3つの世界のパワーを持つ俺である。

 神機を使っていた事もあり、文字通り瞬殺だったと言えよう。

 

 

 

 

 まぁ直後にカゼキリ2体が襲ってきたけどさ。

 

 丁度いいと言えば丁度良かった。

 前から試そうと思っていた、変身!した状態でのスペックを試しておきたかったんだ。

 速鳥を千歳の所に行かせたのも、変身を見せない為だったし。

 ついついやりすぎて、試すヒマもなくミフチを潰しちゃったし。

 

 初実験を実戦でやるべきではないと分かっちゃいるが、これがロマンとお約束だ。

 

 

 で、実験結果ですが……マジパネェ。

 洒落にならんですよアラガミ化。

 パワースピード生命力に反射神経、全体的に滅茶苦茶跳ね上がる。

 しかも感覚もそれに適応するのか、普段の何倍ものスピードで動いているのに、普段通りの感覚で動ける。

 …と言ってもまだ完全に動けてる訳じゃないし、なんか慣れれば…一時的に更に3倍くらいの速度で動けないか?

 気のせいかな…。

 

 あまつさえ、オートヒーリング機能まであるらしく、ちょっとくらいダメージ受けてもあっという間に治ってしまう。

 

 更に、使っていた神機を取り込んだのか、その特徴を反映した技まで使える。

 つまり捕食、盾、銃、剣の形態に右腕を変化させる事ができた。

 しかも攻撃には、神機の性質…要するに属性攻撃が乗るっぽい。

 更に捕食したら、アラガミ相手でもないのにリンクバースト・アラガミ弾(アラガミ相手じゃないから仮称だが)まで使える。

 

 …あれでリンクバーストできるって事は……ひょっとして受け渡し弾を出して、それに追いつく事ができれば自分で自分をリンクバースト3にまで持っていけるんじゃないか?

 

 

 

 ちなみに左腕は、帯刀していた武器…つまりモノノフの太刀に変化させられるようだ。

 複数の攻撃属性を同時に持っていける事になるな。

 素で二刀流状態だからか、モンハン式鬼人化だって普通にできてしまった。

 しかもスタミナ消耗が殆ど無い。

 

 それと、これは今回試してないんだが、左腕からはエネルギー弾とか出せるっぽい。

 エネルギー弾と言うか、属性攻撃のエネルギー波?

 ファイアウェイブとかそんな感じの何か。

 

 そして体全体だが、どうも纏っていたモノノフ用の鎧に影響を受けているらしい。

 全体的に耐性・硬度が上がり、しなやかさも備えていた。

 

 

 無論、ミタマの使用も可能。

 これも全体的に効力が跳ね上がっていた。

 今回は魂スタイルで出撃してたんだが、全開溜めしてないと言うのに連昇が阿呆みたいな威力になっていた。

 

 …なんかのっぺらトリオがえらいハシャいでいるんだが。

 この分だと、またスキルが増えてるかもしれないな。

 と言うか、変身中にのみ使えるスキルとかあるかもしれないが…流石に今回はそこまで調べられなかった。

 

 

 更に言うなら、まだ把握してない能力が幾つかあるっぽい。

 体感だが、体の中に幾つかスイッチがあるような感覚がある。

 

 

 うーむ、どんなバケモンだよコレ。

 MH世界の上位中盤くらいならやっていけそうな気がしてきたぞ。

 ぼくがかんがえたさいきょうのあらがみじゃないか。

 

 

 ただ、やはり長時間の運用は難しいらしい。

 カゼキリ2体は軽々屠れたんだが、元に戻った時の体力消耗がスゴイし、多分一定時間が過ぎると問答無用で戻ってしまうようだ。 

 その後、どれくらいの期間かは分からないが、暫く変身できない。

 

 それに、これだけ強力な力を、『夢で見た』なんて理由だけで使えるようになってるんだ。

 絶対何かある。

 確実に、何処かに隠れたデメリットがある。

 具体的には…そうだな、使う度に寿命が縮むとか(ループの中で考えても仕方ないが)、使い続けると偏食因子がゴッドイーターの腕輪でも抑えきれなくなってくるとか?

 元に戻れなくなるってのは、割とありそうな話だよね。

 

 

 

 それとなぁ……なんか、変身中に緑色の粒子がばら撒かれてたんだが。

 ……まさかとは思うが、アレ、前に夢に見て試したらできそうだったアサルトアーマーが思い起こされる。

 

 …コジマは…まずい…。

 

 

 

 とりあえず、一度自分が持っている能力の一覧を作って整理した方が良さそうだ。

 はぁ、面倒臭いなぁ…。

 とりあえず疲れたんで、今日はもう帰って寝る。

 

 

 

凶星月「コロンビア」日

 

 アラガミ化の研究・練習は必要だが、普段の狩りでは使用を禁止する事にした。

 下位が相手じゃ圧倒的すぎて、慢心の元にしかならん。

 

 それはそれとして、千歳と那木さん・富獄の兄貴のチームは上手く稼動しているようだ。

 先日のカゼキリにしても、再戦した時はもっと余裕を持って勝てたらしいし、穏やかな那木さん・ぶっきらぼうに見えてもお気遣いの紳士な兄貴のおかげで、人間恐怖症も完治しつつあるようだ。

 帰ってきてから、楽しげに今日はああだった、こうだったと色々語ってくれる。

 

 俺の方はどうだったか、と聞かれる事もあるが…どうって言われてもなぁ。

 この程度のレベルじゃ、正直何を相手にしても大差ないわ。

 小型の鬼ばっかりだし…。

 

 

 しかし、そうも言っていられんか。

 そろそろ大和の頭が、囮を出してからの反撃作戦を提案する頃だ。

 囮になるのは、俺か、桜花か、それとも速鳥かの誰か一人になると思われる。

 

 今までと同じなら、そこで遭遇するのはクエヤマか…。

 そこそこ慣れたモノノフなら、一人でも退治するのは難しくない。

 今までどおり、「作戦を逆手に取られた!」なんて言われても、慌てて救出に向かう必要だって無い筈だ。

 「こっちはいいから、そのまま里の守りを固めてくれ」ってやった方が余程効率がいい。

 

 …俺一人が囮ならね。

 となると…囮に志願するか。

 いや、いっそ作戦をこっちから提案するか

 大和の頭だって、反撃の時期を待っているだろうし、このままだとジリ貧だというのはとっくに理解しているだろう。

 

 

 

凶星月(モンスターの口が)「くぱぁ」日

 

 

 作戦自体は受け入れられた。

 だが俺が囮役なのは却下された。

 

 何故に?

 こう言っちゃなんだが、こなせるだけの力量はあるし、隠密や単独行動も速鳥と同程度には出来る。

 更に、普通のモノノフに比べると、瘴気の中で長時間活動可能と、囮に一番向いてると思うんだが。

 

 

 そう言うと、大和の頭は「それは否定しない。だが、お前が囮役になると、それを覆す不利益が出かねん」との事。

 え、何?

 まだ不審人物って疑われてんの?

 

 と思ったら、もっと別の理由だった。

 千歳だ。

 

 俺はもう充分安定してきていると思っていたが、それは俺が居る時だけだったらしい。

 他者に接する事に慣れてきているのも事実だが、俺が居ない時は根本的な部分が不安定になっているとか。

 なのに俺が、危険と分かりきっている囮役なんぞやっていたら…。

 

 不安になるくらいならいい。

 ヘタをすると、自分も行くとウタカタを飛び出して追いかけかねない。

 

 …それ程かよ…どんだけ俺に依存してるんだ。

 誘導した訳でもエロい事で刷り込みした訳でもないのに、こうまで懐かれるのは初めての経験だ。

 ちょっと理由が分からない。

 

 

 人徳?

 

 

 ハハッ、このループが始まって以来一番面白くないジョークだな!

 まぁ、追い詰められてた所に(形はどうあれ)頼れる同類を見つけりゃ、そうなっちまうのも仕方ないのかねぇ。

 

 

 しかし、そういう事なら仕方ない。

 千歳も俺と同じで、普通の人より瘴気に耐性はあるが、敵に囲まれるような状況になるとあっという間に追い詰められるタイプだ。

 精神的にじゃなくて、戦闘スタイル的に。

 千歳を連れて囮役は務まりそうにない。

 

 となると、次に準備すべきは次善の策だ。

 俺からしてみれば、囮作戦を逆手に取られる事はほぼ予測されている事なのだから、こっちが本命の策だが。

 

 どうするかな…。

 桜花にありったけの爆薬を持たせて、囮に食いついた鬼を諸共にドカーーーン!!!

 

 

 …いや流石に非人道的すぎるだろう。

 桜花を囮どころか、文字通り鉄砲玉にしている…いや大砲玉?

 

 それに非効率的にも程がある。

 仮に上手くいったとしても、大量の物資(火薬)を消費し、釣れるのは恐らくクエヤマ、しかも下位。

 ウタカタのモノノフなら、2~3人居れば安定して狩れる相手である。

 

 

 冗談はともかくとして、囮はブラフ、攻めてくる鬼達をトラップで撃墜…が妥当な所か。

 あれ、それ前ループ時にもやったぞ?

 しかも火薬をあるだけ詰め込んで大爆発させて、恍惚としてた思い出が………。

 

 

 

 

 

 

 思い出したら滾ってきた。

 今回も派手にブッ飛ばそう。

 

 

 

 

凶星月「ぅゎマガティガっょぃ」日

 

 ウタカタ周囲に罠をしかける事は、囮作戦にトラブルがあった時の備えになるだけでなく、里の守りを固める事にも繋がる。

 という建前で、罠を仕掛ける許可をヤマトのお頭からもらった。

 建前と言っても、あながちウソじゃないけどね。

 特に今回は、千歳と一緒に里の結界ギリギリの場所に居るから、襲撃があったら真っ先に被害を蒙るのは、俺達の住居だ。

 千歳も自分でちゃんと結界張ってるが、あまり多くの力を注げないから、そこそこ程度の効果しか期待できない。

 

 粗末なボロ屋だが、里の人達が率先して直してくれたし、今では結構居心地のいい空間になってるからなー。

 壊されるのは腹立たしい。

 

 という訳で、トラップトラップ。

 

 

 

 ……さて、ここに里で売っている塩と、タタラさんが鍛冶に使っている硝酸があります。

 この二つを両手に持ちます。

 MH世界式調合とはちょっと違う感じで、二つを合わせて「カンパーウンド」……「硝酸塩」が出来ました。

 更にこの硝酸塩を、里で流通している「和紙」と合わせて「カンパーウンド」……「ニトロ剤」が出来ました。

 そしてこのニトロ剤を、里で普通に使っている「酢」と合わせて「カンパーウンド」……「ニトロマイト」が出来ました。

 

 ……いや、最後のは単に使い切った酢の壷(瓶より壷が主流なのだ、この世界)の中にニトロ剤入れただけなんだけどね。

 

 他にも、サンマの塩焼きとかと壷をカンパーウンドすると、何故か異常に強力な退魔効果を持った破邪爆弾になる。

 尚、ネーミングセンスに異論は受け付けぬ。

 なんか知らんがカンパーウンドが聞こえた瞬間に、この名前だと決まってしまった。

 …例の夢のせいだろうけどな…。

 

 しかし鬼にメッチャ有効だった。

 ダメージは流石に与えられないが、嫌がって逃げる素振りがある。

 

 つまり、相手を誘導する爆弾と、大爆発する爆弾が揃った訳だ。

 そして俺には、モンハン世界のシビレ罠・落とし穴といったトラップや、GE世界の挑発フェロモンがある。

 アラガミ用に調整された挑発フェロモンが鬼にも効くかは分からんが、効かなければ肉か何かで代用しよう。

 

 つまるところ、これはアレだ。

 

 ピタゴラ爆破スイッチだ。

 アルゴリズム体操ー!

 

 

 一人でやっても虚しいので止めた。

 とにかく、突っ込んでくる敵を誘導し、集め、纏めて爆破できる訳だ。

 無論、最後の爆破スイッチは鬼に押させる方向で。

 映像記録を取れないのが残念で仕方ない。

 

 




次の外伝は無双モノ…と思っていたのですが、イマイチ上手く書けない…どうしよう。
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