黄昏月拾参日目
今日でシノノメの里を出立する事になる。
正直、何が出来たって訳じゃない。強いて言うなら、既にお手付きだった3人に『烙印』を施したくらいだ。これでいつでも何処でも呼び出して犯せる、都合のいいオナホになったも同然だ。
尤も、当の本人達は『離れた所から召喚できるのだから、近くに居ても出来る筈。と言う事は、自分で自分の体を好きにできるのでは?』なんて事を言い出す始末だ。その発想は無かったわ。
昨晩は、発案者の練の姉御を中心に乱交しました。女陰に俺のモノを受け入れながら、召喚された自分自身で自分の尻穴を抉るなんて高度な事までやってしまった。回数で言えば、練の姉御は数えるくらいしか抱いてないんだけどな…。やっぱこの人、精神的にどっか壊れてるわ。
寒雷の旦那とかは、折角やってきたのにもう帰ってしまうのか、もう少し雪華達を構ってやれ…みたいな事を言われたんだけど、当の雪華が大丈夫と言い切るものだから、何も言えなくなっていた。
いや本当に、悪いとは思ってるのよ。いくら召喚して可愛がってやれるようになったとはいえ、やはり生身で触れ合うに越したことはないし、もっと他愛のない話でも何でもして、二人の時間を作ってやりたかった。
…でも、うちの連中も心配でね…。戻った時に何やらかしてるか…。
その言葉に頷いてくれるのは両さんだった。
「おう、俺も色々と伝手を辿って調べてみたんだけどな…。俺が言うのも何だが、相当なじゃじゃ馬だぞ、お前の所の連中。扱いが悪かったから、ってのもあるだろうが、色々やらかして、それで扱いが悪くなっていったのもあるらしい」
それを調べられるって、どんな伝手持ってんだか。滅鬼隊は仮にも極秘事項だった筈。
と言うか、この人がじゃじゃ馬扱いするって…。
「それはそうと、昨日の鬼の事が分かったぞ。出立の前に、聞くだけ聞いて行け」
泥高丸?
昨日の鬼って、あの鎧を持ってた鬼の事か。えらく早いな…。
たった一日で調べ上げるって、お前の副官、どんだけ優秀なんだよ。
「ああ、これに関しちゃ調べたというより、お頭が知ってた鬼でな。そこから当たったそうだ。過去の文献も幾つか残ってる」
…ふむ、聞いておこうか。ウタカタの里でも、なんつったか……名前の無い鬼、みたいなのが出てきたし、何かの前兆かな…。
「ナナキキの事か? あいつらだったら、里が異界に囲まれた頃にはよく出たぞ。疑心暗鬼や先が見えない不安に誘われて現れる鬼、と言われているからな。状況が安定してきたら、徐々に消えていった」
あの鬼にそんな裏設定が。
確かに、目撃されたのは俺達が里に移り住んで間もない頃。うちの子達も、右左がようやく分かりかけてきた頃だ。
時期的には、そういう心境になってもおかしくない。
…いや、それも興味深いが、例の鬼は?
「『ヨブコキ』と呼ばれる鬼だ。交戦した例は非常に少ないが、全国各地で…ああ、オオマガトキ前はな…目撃例がある」
ヨブコキ…キは鬼のキとして、ヨブコって何だ。呼ぶ子?
それに、戦った例は少ないのに、何度も発見されているって何でまた。
鬼を発見したら、モノノフだったら即斬りかかるだろうに。
「名前はお察しの通り、呼ぶ子、だ。呼子鳥という鳥を知っているか? ああ、実在の鳥ではなく、伝承の鳥だ。山彦の声を返す鳥」
鳴き声が人を呼ぶように聞こえる鳥、って意味ならウグイスとかホトトギスが当てはまるけど…伝承の方は知らんな。
そこから名前を取ったと?
「ああ。山中、或いは異界の中でずっと人を見つめ、その行動を真似る鬼。モノノフ達が行ってきた事を、遅れて返してくるから、山彦のような鬼、呼子鳥ならぬ呼子鬼…ヨブコキ、って訳だ」
え、えらい強引な名付け方やな…。まぁ鬼の名付け方も、モンスターやアラガミの名付け方も似たようなもんだけど。
で、行動を真似る…?
「おう。と言っても、猿真似もいいところだがな。モノノフの戦い方を真似たって話もあれば、山から農民を見つめた挙句、異界を耕していたなんて話もある。適当に棒を振り回したり、地面を延々と叩いてるだけだったんだけど」
…いやそれ道具を使う鬼より洒落にならないんじゃね? 鬼が人間を観察してるって事よ?
今は徒党を組んで人里を狙うくらいの事しかやってないけど、人間の事を学習・分析でもされた日にゃ、分断されて各個撃破されるぞ。
「確かにその危険はあるが、人間の事をすぐに理解できるほど、価値観は似通ってないだろう。それに、観察されているというなら、もっとずっと前からだ。今から心配しても仕方ない」
それは…まぁ、そうかもしれんが…。
「それに、この鬼はどうやら他の鬼と折り合いが悪いらしくてな。他の鬼とは同行しないらしい。普通の鬼にしてみれば、餌の動きを観察するくらいなら、さっさと襲い掛かるって事だろうな」
なるほど。
…で、そのヨブコキが真似したのは…。
「武器、防具の製造と使用…だな。幸い、武器防具の製造する役割の鬼が居る、という訳じゃない。同じ事がいつか起きないとも限らんが、差し当たり倒した一体以外には出ていない。……が、一つ疑問があるな」
うん?
「あの鬼、どこで武器防具作りなんか見たんだろうな? 異界から出てくる鬼も居るが、武器防具作り…つまり鍛冶ってのは設備が整った場所でしかできんだろ。異界から出る鬼も居るとは言え、里の外から鍛冶仕事を観察できるとは思えんのだよなぁ……」
………異界近辺で鍛冶。ろくな設備もない状況で作品を仕上げる手腕。ついでに遠方からの放浪癖。
おう、誰を観察したのか予想がついたわ。
今度会ったら張り倒しておく。
清麿…やっぱあいつは柱に括り付けておくべきだ…!
今は面識のない、何時か出会った放浪の鍛冶屋を襲撃しようと心に決めて。…いや、別に清麿が悪いって訳じゃないんだけどな。鍛冶仕事を鬼に見て盗まれるなんて、誰も考えやしないだろうし。
幾つかの土産を持たされ、大勢に見送られながら里を出た。…わざわざ集まってくれるあたり、本当に有難いなぁ。何があったって訳じゃないが、感謝されてるようで結構気分がいい。
欲を言うなら、里に流れ着いたという異国のモノノフに会ってみたかったもんだが。どういう訳だか、会える気がしない。何と言うか、何処に行ってもどれだけ追いかけても擦れ違いになりそうで。
一応、帰り道も周囲を索敵しながら進む。のっぺらが残ってる可能性もあるからな。野宿はしない。奴らが出現する機会を与えないよう、全力で駆け抜ける。
徹夜で走り抜ける事になるので、今日は日記をつけるのも、雪華達を召喚して楽しむのも出来そうにない。
…いや、いっそ繋がったまま鬼疾風で走ってみようかな? 疾走感セックス…人目もないけど青姦にもなるな。誰かが居れば、のっぺら共も沸いて出ないだろうし。
うし、一丁やってみるか。
追記
流石に人間一人を抱えて真っ直ぐ走るのは、重さよりも持ち方的に考えて厳しかった。なのでお試しの結果、召喚できる中で最も体躯の小さい風華をちんぽケース代わりにして走る事になった。
人間離れしたスピードと、不規則な震動や開放感が相まって、中々好評でした。
-----------------------Side 滅鬼隊(まり)--------------------------
えっと…こんにちは。まり です。使えるタマフリは、筋力の増強と、土の操作。戦うのは得意ではないんですけど、書類仕事が丁寧と言う事で、若様には目をかけてもらってます。
趣味は読書なんですけど、最近では建築に興味が出てきました。若様みたいにぽんぽん作れると思ってる訳じゃありませんが、私のタマフリを凄く活用できるんです。
自分では『地味かな…』って思ってた弾振りですけど、若様にその使い方を教えられて、見る目が完全に変わりました。建築補助とは、即ち地形の変更。ただそれだけでも、出来る事は山のようにあります。塹壕を作って敵の侵入を阻むも、そこに水を引き込んで水路を作るも、自由自在。平野を砦に変える事だって出来ます。
実際、一度異界の中で大型鬼の群れと遭遇した時、簡易の砦を作り出して応戦した事がありました。自画自賛になりますが、あの時は物凄く貢献できたと思います。最終的には、作り上げた砦を一気に崩落させて生き埋めにしましたね。
それはともかく、最近の私は主に、夜中の哨戒を任されています。
緩みかけている空気の中、誰も見てない状況でも腐らず真面目に仕事をしてくれそうだ、という理由です。…実際、最近は鬼の襲撃もありませんし、自分でも油断しているかな…と自覚する事が何度かあったので、複雑な気分ですけども。
むしろ、最近では里との関係の方が問題になりつつあるそうです。何でも、強いものではありませんが、多くの要望を寄せられているとか。
…里の方々が、道理を無視した要求を行うとは考えにくいですが、すぐに許可も拒絶もしないという事は、何かしら判断に迷う理由があるのでしょうか…。
やっぱり、私達には若様が居ないと駄目なんでしょうか。こういった判断は、今までずっと若様が下してきていました。私達は、それについて行けばよかった。
あからさまではありませんが、普段と違う様子の人もちょくちょく見受けられるようになってきました。
部屋に籠りっきりになったり、ふとした拍子に涙が零れたり、激昂しそうになったり、逆に何事にもやる気が無くなって空を見上げてぼーっとしていたり…。
これが、話に聞いていた、私達にかけられた暗示…。私も一度、霊山から里に来る間に狂乱しそうになりましたが、聞いていた以上に酷いものです。こんな扱いをされて、以前の私達はどうしていたのでしょうか……いえ、どうしようもなかったから、封じられて、今の私達が居るのですね。
…これ、放っておくと若様の足を引っ張る原因になりますよね…。寵愛をいただける理由が増えるのはいいんですけど、これは何とかしておかないと…。
…話は変わりますが、今日の夜警は里の周囲の巡回です。本当は物見櫓で、遠くから鬼が接近しないかの警戒だったんですけど…凛子さんにお願いして、代わってもらいました。その為、本来の担当だった凛花さんと一緒に夜回りをしています。
油断こそしていない…つもりですが、実際に特に何かがあった訳でもなく、決められた哨戒の路を進み、時々擦れ違う他の夜警担当者と会釈をする程度です。
そんな中、ふと凛花さんが切り出しました。
「…ねぇ、まり。そろそろ教えてくれないかしら」
「は? 何を、でしょう?」
「どうして今日に限って、場所を代わり違ったの? 真面目なあなたの事だから、気分で…と言う訳じゃないでしょう」
「それは…その、少し気になる事があったからで…」
「懸念事項があるのなら大小問わず共有する、と言うのが若様の教えの基本よ。忘れた訳じゃないでしょう」
「そうなんですけど、言う機会を逃したと言いますか……昨日の夜警の後、目を覚ましたらもう夕方だったんで」
「報告書には? 出発前に確認した記録では、それらしい情報は書かれてなかったけど」
「書きました。ですけど、情報量が少なすぎたので…不要、或いはそれだけの情報では邪魔になると判断されて添削されたのかもしれません」
必要な情報は伝えるべきですが、それ以外の情報を渡せば混乱させるだけ。この見極めは難しいですね。その一時は正しかったとしても、後々から見れば間違いとなる事もある。
私自身、見間違いかとも思うような事だったので、強くも言えません。
「それで? どんな事が気になってるのかしら。少なくとも、それで担当交代を申し出るくらいには、何かあるんじゃないかと疑っているんでしょう」
「あそこの担当がきついのも確かですけどね…」
暇潰しもなく、景色に代わり映えもしない物見櫓の上で、一人で一晩明かすのはかなり辛い。時期が時期だから暑苦しいし、何よりも暇すぎて眠くなる。担当時間の変更を提案したいです。一人二人で丸一晩じゃなくて、5人くらいで交代しましょうよ。
それはともかく、私が気にしているのは、何というか……景色が歪んだような気がしたんです。
あれは、昨日の夜警中の事。私一人で物見櫓に立ち、眠気を堪えながら四方を順に確認していました。
一方は里、その反対には異界に至る道。左右には山が立ち並んでいます。勿論、山の中には灯りなんてものはありません。危険すぎる獣などは間引いているとは言え、基本的に動物の領域です。
ですので、夜中、しかも新月に近い夜なんかは目を凝らしてもただただ闇しか見えません。
そっちを見ても、あまり意味が無いと言われればそれまでなのですが…。
「そこで何かが見えた、と言う事?」
「…見えた…と言うよりは…眩暈とか覚えた時に、景色が歪む事ってありません? あんな感じに、こう、山の輪郭がぶれたような気がしたんです。そのまま何が起きるでもなく、すぐに元に戻ったのですけど…」
「山の輪郭が…と言う事は、何かあったとしたら、結構な空間に対して何らかの干渉があった、と言う事よね。…念のために聞いておくけど、本当に疲れや眠気による立ち眩みの可能性は?」
「…ない、とも言えません。私、他の皆に比べて暗示の効力が出やすいみたいですから…。若様が居なくなって、気付かない内に心労が溜まっているという事も考えられます」
「自分で言うのもどうかと思う理屈だけど、冷静に自分を顧みれるのはいい事ね」
「本当なら、担当を代わってもらうだけでなく、大事を取って検査するなり、休むなりするべきだったんですけど…代わりの人を探す時間もなくて」
「……従来の役割分担以外にも、待機組を作るべきかしら。もしも誰かが動けなくなった時に、すぐに代わりに入れるように」
それは…皆嫌がりそうですね。必要な役割だとは思いますが、特に作業も割り当てられず、ただただ部屋の中で時間を潰すだけになりそうです。
それに、その人たちを当てにして、気分で役割を押し付ける…なんて事も発生しそうですし。
「ま、それは後で考えましょう。まりちゃんは、今日の夜警が終わったら、すぐに休むこと。報告や相談は、私がやっておくわ。明日も夜警?」
「いえ、一日完全にお休みです。美味しい物でも食べて、一日ゆっくりしますよ」
「………心労がかさんだ時の為に、若様の体液が染み込んだ布団とか確保してたんだけど………要る?」
…………………相手をしてもらった時の、自前のがあるから大丈夫です…。