※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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書き溜めが尽きて、展開にも詰まってます。
暫く定期投稿できなくなるかもしれません。
ついでに言えば、エアコンもなくて夏バテ気味…。
4階の部屋なので、窓を全て開けていればそこそこ風は入ってきますが、やはりクーラーは必要かな…。


第566話

 

「む、戻ったか。随分話し込んでいたようだな」

 

 

 ああ。色々と頭の痛い鬼だよ。

 だがとにもかくにも、元凶を確保せにゃならん。あまり絡んでこないからって、放置していたのは大失敗だった。

 

 

「…どういう事だ。結界が効かない鬼が出現した原因を、お前は知っていると?」

 

 

 ありゃ人為的に作られた鬼だよ。どこまで意図してかは分からないが、関わってそうな奴は一人知ってる。

 で、そいつはあの鬼を生み出す為の触媒を隠し持ってる。……恐らくは、2種類…つまり、メガラケルてんてーの破片と、触鬼の触媒。

 

 

「触鬼…聞いた事がない鬼だが…」

 

 

 そっちは後で纏めて説明するよ。

 ともかく、触鬼の触媒については、隠し場所に心当たりがある。移動させていなければ、こっそり回収できる筈だ。見張りの類は居ないからな。

 ただ、首謀者…虚海の居場所については、正直見当がつかん。この前の大戦では近所に居たみたいだが…。

 

 

「人相書きを作れ。密かに捜索しよう」

 

 

 作るまでもなく特徴的だけどな。何せ、顔の半分が鬼になってるんだから。

 

 

「…呪いか?」

 

 

 似たようなもんだ。長い間、随分な目に合い続けてきたらしい。

 だが、そうだとしてもこれは見過ごせん。

 

 

「そうだな。…しかし、本気で疑っていた訳ではないが…彼女ではなかったか」

 

 

 うん? いや、確かに虚海は彼女だった時期も…いや無いわ(今のループでは)。

 

 

「? 虚海とやらは、人の体に乗り移る事でもできるのか?」

 

 

 ? ? そういう術はあるかもしれんが、やらないと思うぞ。

 ? ? ? なんか会話が食い違ってないか?

 

 

「うむ…。俺が言っているのは、先日里を訪れた女の事だ。無論、顔が鬼になっているという事もない。ただ、時期が時期だけにあの鬼と何か関係があるのではないかと勘繰った。何せ、あの餓鬼が骸佐達の元から逃げのびて、その先で襲った女だったのだからな」

 

 

 あー、そういう事か。彼女って、連れ合いって意味じゃなかったのね。

 …ってか、そんな人居たのか。ってか、襲われて無事だったのか?

 

 

「うむ。脳天に一撃入れただけで仕留めたそうだ。だが、夜中の山中を彷徨い歩き、人知れず結界の中に侵入していた女だ。あまつさえ、忘失していると来たものだ。何者かと警戒もしよう」

 

 

 忘失…記憶が無いと? …あ、餓鬼に襲われて、その傷で…。

 

 

「傷一つ無い。忘失に関しては、本人がそう主張しているが、確認のしようが無いからな。疑いたくはないが、身元の確認すら出来ん上、問題になっている鬼に丁度遭遇したとなれば…流石に」

 

 

 積み重なり過ぎてるな、確かに。例えばあの餓鬼を生み出した張本人、ないし関係者が証拠隠滅を計り、それを目撃されたから忘失と言い張る…と考えられなくもない。

 正直、暴論だとは思うが。

 

 

「そうだな。俺としても、本気で疑っている訳ではない。身元を本人も思い出せない以上、予想もしない面倒事が出てくるかもしれん、とは思っているが」

 

 

 じゃあどうすんの。

 …まさか、追い出す?

 

 

「それこそまさか。大戦を超えたとは言え、腕の立つモノノフは一人でも欲しい。そもそも疑わしい、厄介事の規模で言えば、貴様らに比べれば可愛い物よ」

 

 

 人数的にもね。んじゃ、里で暮らしてもらうのか。

 …うちで引き取るか? まだ部屋は空いているぞ。

 

 

「やめておこう。貴様のお手付きとして見られるのが落ちだ。…それに、聞いているかは知らんが、お前達の生活環境に注目が集まっている。非常に快適で羨ましい、自分もあそこに住みたい…とな。新参者というだけでそこに放り込んでは、里に余計な確執の元を作る事になる」

 

 

 …ああー…。特に何も考えずに作って使わせてたが、確かに知られたらそうなるか…。

 うーん……そっちにある程度提供するのは構わないが、流出しないかが問題だな。それに、現状じゃ俺以外に作れる人間も直せる人間も居ないだろ。うちの設備が当たり前のように広まった後、俺が居ない時にぶっ壊れたらと思うと…。

 

 

「俺としても、得体の知れんものを生活環境の基盤にしたいとは思わん。無償で寄越せと言えるような関係でもない。とは言え…」

 

 

 あまり無碍にするばかりでも反発の元となる、か。

 …何か簡単なもの、考えてみっかなぁ…。要するに、俺以外でも再現できる人が居ればいい訳だし。

 何だったら、遊び場作って提供するって事もできるし。

 そうだな、プールなんかが簡単か? あー、でも衛生管理…いや川遊びみたいなもんだと思えば…。

 

 

 …話が逸れた。作るにしても、ちゃんと周囲と相談せにゃならん。

 作るだけ作って、俺達を無下にできないよう価値を上げる事も考えてたが、そればっかりでもイカンな。最悪、俺が修理工扱いされる事になってしまう。毎度毎度、俺も後先考えずに行動してるもんだ。

 治そうったって治せるもんじゃないね。俺自身は考えて、相談もして行動してるつもりなんだから。…これでもそうなんだよ…。

 

 

 ところで、結局その忘失した人はどうするんだ。腕がいいらしいが、忘失してるって事は心身に異常があると思われるのも事実。

 医者は何て言ってるんだ? 本人の希望は?

 

 

「検査した限りでは、異常は見受けられんとの事だ。だが、頭は神仏の領域だからな…。医者にも断言は出来ん。本人は至って健康と主張し、モノノフとして任を受ける事を望んでいる。記憶は無くても、鬼が敵だというのは忘れていないようだ。…後は、腹いっぱい食う為の生活費が必要、とも言っていた」

 

 

 既に生活の心配か。現実的な人だな…。暫く里の好意に甘えるのもありだと思うが。

 そういや、名前は?

 

 

 

「ああ、ホロウと名乗っている」

 

 

 

 

 

 

 

 

      は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄昏月拾禄日目

 

 

 えー、昨日は大騒ぎになりました。いや、いつものエロ的な意味なんだけどね。

 みんなの精子安定の為、という建前の元、既にお手付きの女衆を大部屋に集めて大乱交しました。一人一人をじっくり味わうのもいいけど、やっぱ俺はコッチの方が好きだな。何人もの美女を侍らせて王様気分に浸れる。

 数が多ければ多い程いい、阿保な中学生みたいな発想だが、実際人数が多ければ多い程、出来る事は増えるしなぁ。

 互いの肌を合わせ、あられもない姿を見たり見られたり、お互いを弄り合う事で、絆が深まる…と言うのも馬鹿にできない。実際、これで連携が上手くなった子は何人もいる。

 

 …それに感覚共有があるから、複数人の快感が混ざって頭の血管がキレそうなくらいの悦楽を産む事が出来る。この感覚の上限がどこにあるのか、俺にも未だに分からない。

 ともかく、「五月蠅くなりそうだから、里の友人のところに泊めてもらうわ」と言って屯所から出て行った男衆には悪いが、とにかく愉しい一夜になりました。

 勿論、足腰砕けて動けませーん、なんて有様にはしていない。むしろ腰回りが充実して、霊力的にも感情的にも張り切っている子達ばっかりです。

 

 

 

 …それはともかくとして。

 俺は今、女に会いに行くのに、柄にもなく緊張しています。本人には女という意識があるのかすら怪しいが。

 

 そう、言うまでもなく、ホロウに会いに行くのだ。護衛と称して離れない雪風を伴ったまま、ホロウが居ると聞かされた茶屋へ向かう。

 …あいつ、そんなに腹ペコキャラだったっけか? クール系の見た目とは裏腹に、意外とすっとぼけたというか、不思議ちゃん、真顔で突拍子もない事を言い出す奴ではあったが…境遇を考えれば、無理もないよな。人との関わりは殆ど無く、あってもクサレイヅチを追いかける度に強制的な別れとなり、新たな地では常識から何からまるで違う環境を強いられる。これで常識的な行動が出来る奴なんて居る筈がない。

 

 

「…ねぇ、どしたのよ? さっきから表情が硬いわよ、若。お腹でも壊した? 物陰でする?」

 

 

 おっぱい揉む、の上位版みたいな言い方してきやがったな、雪風。流石に俺も、パコッて腹痛が治りは…するな。

 何でもいいが、今はそういう事をしに行くんじゃないの。

 

 

「よく分からないけど、行くならさっさと行きましょうよ。少なくとも、ここで渋い顔してたって何も変わらないわよ。危険な事でもあるって言うなら、私も手伝ってあげるから片付けましょ」

 

 

 …昔の女の知り合いに会いに来た、って言ったら?

 

 

「手籠めにしちゃえば終わりじゃない、若の場合」

 

 

 ぐうの音も出ねぇ。俺だって、美人さんだとしても無理な相手は居るんだぞ。

 そもそもあいつとは、そういう関係になるとは思ってないし…。

 

 ええい、確かにこれ以上悩んでも時間の無駄だ。雪風の言う通り、当たって砕けるか。

 

 

 

 茶屋につくと、里の中では見ない顔が、マイペースに団子を頬張っていた。既に何本か平らげているらしく、その脇には皿と串が積み上げられている。

 そしてメニューに目を通す…まだ食う気か。

 

 傍らには使い込んでいる銃、頭に付けている赤い華の装飾…うん、間違いなくホロウだな。

 

 

 …失礼、相席いいか?

 

 

「どうぞ」

 

 

 こちらに大した興味もないらしく、メニューから目を離さずにあっさりと一言。…まぁ、偶然相席になっただけの相手をジロジロ見ていたら、それはそれで問題だが。

 そして俺と雪風は、意図的に相席になったホロウをジロジロと見ている訳だが。

 

 

「…うぐいす団子…いえ、ここは締めの三食団子…いえ、王道の白玉善哉…」

 

 

 …鬼を相手にしている時でも、こうまで真剣な目にならなかったぞ、こいつ…。俺らに見られている事に気付いてないのか、気付いてても団子を優先しているだけなのか。

 まぁいい、丁度いいからもうちょっと観察しよう。

 

 体に関しては正直、俺の知ってるホロウと全く同じにしか見えない。実際本人なんだしな。

 性格……かなり違うように…いや、やっぱそのまま…? 忘失が本当だとしたら、クサレイヅチを追う使命や、重い境遇の事も綺麗サッパリ忘れ去り、お気楽な部分が前面に出てきている可能性もある。

 

 うぅむ、本人なのは間違いないと思うが、以前のループの記憶を持っていたのかは分からんな…。

 …そうだ、こいつの持ち物はどうだろう? あのループの時と違う事……。

 

 まず真っ先に思い浮かぶのは、ホロウが使っていた鬼の手の制御装置…手袋だ。あれを持ってれば、俺と一緒だったループから色々受け継いでいると確信できる筈。…でも、それらしい物はない。

 外しているか、途中で置いてきたという可能性も…。

 

 …ああ、いや無いわ。

 あの時、クサレイヅチの視界を遮る為、ホロウが外してブン投げたんだった。結果、手袋は博士が言っていたようにマジで大爆発を起こし、クサレイヅチを追い込んだものの…人質とされていた千歳を見て動揺し、俺は逆に仕留められてしまった。

 鬼の手の制御装置は、あれで粉微塵になっている。そりゃ着けてる筈もないわ。

 銃に傷…目立った物はない。あの戦いの時でも特に無かった。特徴になるようなもの、無し。

 

 

 

 結論、マジわかんねぇ。

 と言うか、よくよく考えりゃ、覚えてたとしても意味ないんだよな。なんたって忘失してるんだから。無くなった事になっているのか、それとも忘れただけかという違いは大きいが、ホロウにとって俺が見ず知らずの他人でしかない、という点には変わりない。

 今後、記憶が戻った時が怖いと言えば怖いが…。先の事は考えても仕方ない。

 

 …ただ、確信を持った。やっぱコイツ、ゲームストーリー追加版の登場キャラだ。

 このタイミングで里を訪れて、凄腕モノノフ、ゲームでは登場してなかった銃使い、更に記憶喪失なんて香ばしいキャラが通りすがりの一般ピープルな筈がない。

 …と言う事は、クサレイヅチも追加版のボス鬼って事か。思う所はあるが……いや、少なくともゲームストーリーには、MH世界とGE世界を飛び回ってるなんて設定は無いだろう。全てがゲームと同じになってる訳じゃない。だが、このままいけば間違いなくクサレイヅチに遭遇できるだろう。そこだけは有難い事だ。

 

 

(ちょっと、いつまで観察してんのよ。暇なんだけど。知り合いじゃなかったの)

 

 

 忘失してる知り合いとか、こっちから一方的に知ってるだけの他人じゃねーか。

 おやつ食べていいから、静かにしてなさい。

 

 …確かに、観察して得られる情報なんぞこれくらいか。

 なぁ、少しいいか。

 

 

「お待たせしました。栗きんとんです」

 

「…………」

 

 

 話しかけた瞬間、マジの殺気を当てられました。飯の邪魔をするなって事ですね分かります。隣に居た雪風が咄嗟に反応しそうになるも、構えに移る前にホロウは栗きんとんに箸をを伸ばしていた。

 グルメ漫画よろしく、静かに、だが真剣に味わっているのがよく分かる。…ああ、グルメ漫画っつっても、孤独な方ね。ミスターとか、食ったら脱げる方のグルメ漫画じゃありません。

 …仕方ない。食事が終わるまで待つか。俺も甘い物食べたくなってきた。

 

 

 

 

 さっきの注文では締めと言いつつ、追加の注文を続ける事4度。ようやくホロウは食事を終えた。代金は…現代日本で言えば、一人で5桁到達に該当、かな。

 これ、どう考えても財布の中のハクを丸ごと使い切ってるだろ。

 

 

「…御馳走様でした。では、稼いで夜も来ます」

 

「ご、ごひいきに…」

 

 

 店主さんの頬と腕が引きつっているように見える…。明日奈に言って、誰かを手伝いに来させた方がいいだろうか。

 どうやらホロウ、任務を受けて、その報酬を当日の飯に使い切る、という生活パターンを構築しているようだ。まだ訪れて数日しか経ってないが…ああ、そういや前のループで会った時にも言ってたな。路銀は大切だとか、転移したらそれまで浸かっていた通貨がとっくに廃れていて、何度も素寒貧になったとか。いつ使えなくなるか分からないなら、貯蓄せずにそのまま散財するのも分からんではない。多少は貯蓄すべきだとは思うけど。

 

 あー、そろそろいいかな?

 

 

「? どなたでしょうか。私はこれから任を受けに行くのですが」

 

 

 …さっきから待ってたんだが、全然気づいてなかったんかい。

 いやそれよりも、一人で任務に行く気か?

 

 

「はい。他人との連携は苦手のようですし、報酬の取り分が減ります」

 

 

 報酬に関しては、複数の任を受ければいいだろ。その分、1件に対する労力と危険度が減るから、総合的に見ればそっちの方が稼げる筈だ。

 連携が苦手だというなら、無理に息を合わせようとしなくてもいい。鬼から狙われる確率が半分に下がるだけでも、随分やりやすくなるんだぞ。

 何で報酬独占の為に、一人で突っ込んでいこうとしとるねん。

 

 

「なるほど。では協力を要請します。これよりモノイワ20体の討伐に向かいます。受付所で落ち合いましょう」

 

 

 ……うん?

 首を傾げる俺を他所に、ホロウはすたすたと歩いて行ってしまった。

 

 

「…ちょっと、どうすんのよ。普通に巻き込まれたわよ、私達。まさか行くの?」

 

 

 …行くしかないだろ。小型鬼討伐とは言え、いつ何が出てくるか分からんのだ。放っておく訳にもいかん。

 うちの子達が同じ事をしたら、即罰則・再教育・最悪追放の行動だが、あいつはうちの子って訳でもないからな…。

 

 

「そうよね、戦功に目がくらんで突撃、援護や連携を蔑ろにして、自信過剰になって突貫。やったらいけない、って徹底的に教えられてきた事だもの。だから猶更、何かあっても自業自得だし放っておけば?って気持ちになるんだけど…」

 

 

 あいつも一人で戦ってた時期が長かったからな…。他人に合わせるのが苦手なのは分からんでもないが、あの強引で我が道な性格は素なのか…?

 正直、俺も一人で突っ込んで破滅する馬鹿なら切り捨てたいんだが、相手に用事や価値があるならそうも言っていられん。

 こっちから提案した助け合いを放棄するようじゃ他者からの信頼も損なわれるし、理解し合おうというならこっちからの歩み寄りは大前提だ。多少の傷を被ってもな。

 

 とにかく、俺の知ってるホロウなら、独特の理屈と行動原理で動くが、話が分からん奴でもない。流されてる自覚はあるが、もう少し付き合ってくれ。本格的に駄目だと思ったら、あいつが相手でも縁を斬る。

 

 

「…仕方ないわね。それじゃ、ちゃっちゃと済ませましょ」

 

 

 

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