テルマエ・ロマエのゲームってマジか…。
黄昏月拾漆日目
ホロウに何もせず、話だけで終わらせた事に関して「何か悪いモノでも食べた?」と聞かれたので、一晩SM部屋に招待してお仕置きしました。お仕置きされるのが分かって、後から同じ事を聞きに来た子も居たけどな。色ボケしてるのは俺だけじゃない。
それはそれとして、俺は暫く調査任務に付く。目的は勿論、虚海の発見と拘束だ。
あいつは根っこがお人好しで、ポンコツで自棄入ってる癖に、逃げ隠れと陰陽術の腕は立つ。妙なところで悪知恵も働く。何せ、九葉のおっさんが手間暇かけて捕らえようとしてたくらいだ。捕らえれば終わりとはいかない。下手に捕らえれば、それを切っ掛けに『何か』が発動するように仕組んでいるんだろう。…大方、触鬼の出現だろうけどね。
戦闘能力という意味なら、うちの子達の上位に食い込んでいる子なら問題ないだろうが、そういった搦め手は未だに苦手としている。加えて、何処に隠れているか分からないのに探索しろと言うのも無茶な話だ。
その点、俺であれば虚海の手管はある程度把握しているし、一度捕捉できれば鷹の目なり何なりで追跡するのも容易い。
自分で言うのも何だが、捜索には最適な人材だ。
…と、思っていたのだが。
「若様! 見ていただきたい案件が!」
「若様! いえ旅の間に溜った書類が!」
「若様! 神夜さんが稽古をつけてほしいと!」
「若様! 里の人達からの嘆願が!」
「若様! 任務で張り切り過ぎてえらい事に!」
「若様! 茅場から話を聞かせてほしいと面会の申し込みが届いています!」
「若様! 給料前借りさせてください!」
「代理人を指名せずに居なくなるからこうなるのよ!」
「やっほー! ようやく体の具現化に成功したよ! これで前線で戦って自分の体で同衾できるね!」
「若様! 真鶴が博士の手伝いをさせられて、胃を痛めています!」
「若様! 差し入れです! 食べてください!」
あああああなんじゃこりゃああぁぁぁあああ!!!! どいつもこいつも若様若様と! ノイローゼにする気かい!?
…いやまぁ、休暇明けの仕事なんてこんなもんだろうけどさ。溜っていた案件の確認だけで、丸一日潰れるとかあるあるでしょ。
確かに、これは頭領としての代理人を指名してなかった俺の失策か。秘書執事組を業務分担の為の筆頭として据えたものの、頭領の許可を取らなければいけない案件はどんどん溜まっていく。秘書執事組が怠けたりしたとは考えられないので、どうしようもない案件だけが溜まってこれか。
それ以外にも、久しぶりに俺とのスキンシップをとった事で、気合が入り過ぎたり、何でもいいからちょっとでも構ってほしいとばかりに話しかけてきたりする子もいる。
…って、木綿季じゃねーか! しかも人形じゃなくて人間の体の! いつの間に!?
「一昨日のお楽しみで、色々満ち足りて出来るようになりました! これで十全に戦えるぞー!」
はえー、カラクリの機能をそこまで完全に使いこなしおったか…。こりゃ凄い。
体に触ってみても、本物の人間の体とまるで変わらない。ついでに言えば、鍛え方も物凄い。うちの子達にも引けを取らんぞ、この体…。乳のサイズはともかくとして。…この子は小さい方がエロいから、これでいいと思う。
あれ、でも木綿季って、もっと幼い頃に病で亡くなったって聞いたぞ。何で育った体をここまで創り上げられるの?
「想像しまくった! それに、そのまま育てば自分がどんな姿形になるかなんて、大体わかるじゃん」
普通はわからねーよそんなもん。
その言いぐさだと内臓まで自分で想像したんだな。明日奈も言ってたが、冗談抜きで鬼才だな、こいつ…。
「まぁねー。それより…ちょっと忙しそうだね。いつもの、仕事中の傍仕え…今日は僕にしてみない? 体を作る時に、色々小細工してみたから…ちょっと自信あるよ?」
君も欲望に素直だねぇ…。
元々傍仕え担当が居るから、その子と一緒にな。
はぁ、溜まっていた案件が一段落するまで、俺が直接探索に出るのは無理だな。
虚海の行動を予測して、その辺りを重点的に探させるしかないか。うちの子達で探し出せるか、正直言って不安だ。
例のアラガミと触鬼の混合状態の鬼だって、どこに出てくるか分からない。
雑魚が相手でも油断禁物。ウタカタのモノノフ達と組ませて、迂闊な事をしないか互いに監視させ合うくらいのつもりでいた方がいいかもしれない。
結局、この日は溜まっていた案件の確認だけで終わってしまった。
それでも、新種の鬼についての通達と、首謀者と思われる人物(虚海)の捜索については伝達できたので、これはこれで良かったかもしれない。
俺が探せば、近くにいる虚海を探し出せる確率は高くなるが、そもそも近くにいるかどうかさえ分からない。うちの子達の人海戦術で探せば、近くに居ても分からないかもしれないが、残された手掛かりを見つけられる可能性は高くなる。
どっちがいいと言えたものじゃないが、全員の意識合わせが出来たと思えば悪い事じゃないか。
問題は、虚海が敵視されないかって事かな。
やらかした事が事だから、敵対者として扱われるのは仕方ない。だが、曲がりなりにも前ループで肉体関係まで持っていた(半ば無理矢理犯したようなもんだったけど)俺としては、切り捨てて終わりにするのに正直抵抗がある。
一度抱いた女を手放したがらない、コレクションみたいに手元に置こうとし続ける、俺の悪癖だなぁ…。
それを差し引いても、虚海を斬り捨てて終わりにするのは、ちょいと酷が過ぎると思う。
虚海、もとい千歳。皮肉なもので、その名の通り1,000年の時を超えた女。元々は善良で素直そのもの。誰かの為に働く事に疑問も躊躇いも持たず、かつては人々を守る正義の味方の組織として、モノノフを結成した女。
いわば、始まりのモノノフの一人。
その功績の大きさは、今なお続く鬼との闘いを顧みれば、自然と分かるだろう。
もしも千歳がモノノフを立ち上げなかったとしても、同じような流れで誰かが似た組織を作り上げていたかもしれないが…それにしたって、千歳の功績である事には違いない。
極論、彼女がモノノフを発足させなかったとしたら、オオマガトキで溢れた鬼に抵抗できず、人は全て滅んでいた可能性さえあるのだ。
友を増やし、仲間と一緒に戦い、鬼の脅威に対抗を続ける中、イヅチカナタとの決戦を迎える。
その中で力及ばず敗れ、彼女はイヅチカナタの巣の中へ落ちた。時空のねじ曲がった空間の中を漂い、流れ着いた見知らぬ地。
あまつさえ、その半身は我がものとは思えない程に変わり果ててしまった。
異形の身で、人に受け入れられる筈もなく、石を投げられ追われる日々。
…あのお人好しの千歳の事だ。いつかは分かってくれると信じ、酷い罵声や冤罪を甘んじて受けた事や、恐怖の目で見られるのを承知で力を振るった事も、一度や二度じゃないだろう。
報われた事が全く無かったのかまでは分からないが、ああまで摩耗し、ねじくれてしまったのだから、報われた事があったとしても微々たるものでしかなかった筈だ。
そして絶望し、最後に縋るのはかつての時代に戻る事。それが無理なら、もうすべて終わりにしたい、とさえ考えている。
…こんな報われない話、あっていいもんかよ。探せばそこら中にある悲劇だとしても、いやだからこそ、目につくところに転がってるならぶっ壊してしまいたい。
本人が死を望んでいるならそうしてやるのが慈悲だったとしても、虚海にはせめて『生きていて良かった』と思わせてやりたいんだ。そこから生きる希望が再燃してくれれば最高だ。
…幸いな事に、今のところはうちの子達にとって、虚海は見ず知らずの他人で、陰謀を企んでいる危険人物でしかない。危険視はしていても、個人的な怨恨は無いのだ。
ならば、和解して身内認定してしまえば、この里は虚海にとっても第二の故郷になり得るだろう。
ぶっちゃけ、うちの子達の中に入ってしまえば、あの外見もあんまり気にされないだろうしね。精々、夜中に厠に行く時にバッタリ会ったら漏らしそうになるくらいだろ。
和解の手段? そりゃーいつものアレですわ。ちょっと犯罪っぽくなるが、前ループの時だってそれで有耶無耶の内にこっちの陣営に引っ張り込めたからな!
処女かつ童貞なままだろーし、少なくとも雌の幸せって奴を強制的に嘗め尽くさせて懐柔します。
少なくとも、『人肌の温もりなど、もうこの身に縁が無いと思っていた』なんて言わせません。…いや、過去形にさせるんだから、むしろ言わせなきゃいかんのか。
ともかくそう言う訳で、当面は虚海の確保を優先して動く。
…ちなみに、これに関する通達を行った時、きららから「それってつまり、抱きたいから探して連れてこいって事?」と言われました。…間違っていないから困る。
かなり本気でブン殴られたけど、流石に無理もないわ。
追記 木綿季の体はエロくてギミック満載だった。