これが蟲の報せ…?
それとも将来に対する不安?(独り身低収入)
…よし、飲んで忘れよう!
最近、第三のビールで悪酔いするのに懲りて、別のアルコールに変えました。
ソーダ水メーカーが家にあるので、レモンサワーの素とか割って飲んでます。
1本500円ちょっとで、あまり濃いめにしなければ2日くらいは余裕。
…あれ、普通にコストパフォーマンス優秀じゃね?
黄昏月弐拾漆日目
うん、やっぱり競わせるというのは重要だね。仲良く協力して、と言うのもいいもんだが、やはりライバルとの張り合いは人の成長を加速させるものだ。
普段、仲がいい親友や相棒と言える相手だからこそ、負けたくないという気持ちがより高みを目指す原動力となる。
何の話かって、そりゃ凛子と凜花ですよ。
跪いて、自分の方がより優れた…つまりは淫猥な…雌だと言わんばかりに、自らより淫らな姿を曝していく。
一人一人じっくり味わうのもいいが、より痴態を楽しもうと思ったら、こういうエッセンスは外せない。
エッセンスと言えば、玖利亜も凄かったな。
自分がぶち込んでもらえる筈だったちんぽを横取りされたのが相当頭に来たらしく、目を覚まして状況を把握するなり、二人に向かって飛び掛かった。
単に、自分にはない豊満な乳にイラッと来ただけかもしれないが。二人だけじゃなく、俺に対しても抗議するように甘噛みしてきたりもした。
勿論、最終的には玖利亜にも中出ししまくって満足させたのは言うまでもないが、それまでの玖利亜は結構ゾクッと来たなぁ。無表情のまま、怒りと蔑みをミックスさせたような雰囲気で、淡々と大人の女二人を責め立てて踏みにじる…。ロリコンなドM豚さんには涎物のシチュエーションだった。
昨晩のお遊びの事はともかくとして…俺達は今、受付所でホロウと博士を囲んでいる。
二人から「話がある」と呼び出された為だ。俺はある程度、話の内容の予想はついていたが、やはり詳細を聞かなければならない。
「ホロウの記憶が戻った!?」
「はい、一部ですが」
相変わらず無表情のまま、ホロウは告げる。
…一部?
「それは目出度い事…でいいんだな?」
「祝う程の事であると思うなら、奢ってください」
「破産するから嫌だ」
せやな。
で、ホロウ。記憶が戻ったって事は、以前に話した事は思い出したって事でいいんだな?
やはり、遺跡の機能を使ったという事か?
「…はい。あの遺跡は、どうやら私の故郷に連なる技術で作られているようです。博士が言うように、私の記憶障害にも効果がありました」
「ただの記憶障害であれば、完全に治る筈なのだがな。遺跡の稼働が完全ではなかったか…」
ブツブツと呟く博士は不満顔だ。自分の予測通りに事が運ばなかったのが、気に入らないのだろうか。
ちなみに、記憶を失った原因については?
「覚えている限りでは、着地に失敗した事による頭部強打です。鬼を追ってこの世界に転移してきた私は…」
「いや待て待て待て。お前達はどうやら以前からの顔見知りのようだが、我々は知らない事ばかりだ。もう少し前から説明しろ」
む、すまん…。先走ったか。
ホロウ、俺は暫く口を挟まない。そっちで説明してくれ。
…いや、その前に一つだけ。
ホロウ、俺の事を覚えているのか?
「…はい。あなたがどれ程私の事を覚えているのかは知りませんが」
…? なんか引っ掛かる言い回しだな。
まぁ、後で詳しく話を聞こうか。邪魔をした、続けてくれ。
「…私はホロウ。遥か遠い世界の遠い国から、時空を超えてある鬼を追い続けています」
「…は? 時空を超え…?」
「………」
秋水の目がギラリと光る。が、ちょっと黙ってなさい。
お前の目的が過去改変で、それに繋がる手掛かりになるのは分かるが、今は置いておけ。
[その鬼の名はイヅチカナタ。時空を回遊し、因果を喰らう鬼です。…そっちのそれから、既に聞かされているかもしれませんが」
それ呼ばわりは酷いなぁ。…ホロウの態度、やっぱり冷たいな。
何かやったっけか。女関係にホロウがどうこう言うとは思わんし、前のループで何かやらかしたっけか…?
「確かに、その鬼の名は以前に聞かされた事がある。こいつの因縁の鬼だと聞いているが…」
「この時代に来たのも、イヅチカナタを追っての事です。ですが、転移前の戦闘で正常な移動が出来ず、空中に投げ出されました。受け身を取ったのですが、運悪く石が…」
「ああ…そう言えば最初に来た時、随分なたん瘤が出来ていたと…」
コントじゃあるまいし…いや、放り出された先が山や森なのであれば、充分起き得る事であるが。…記憶喪失になるより、頭が割れて死ぬ方がよっぽど有り得そうではあるが。
「それだけで記憶障害になったのであれば、遺跡の機能で治る筈なのだがな。…やはり経年劣化で、完全にとはいかなかったか」
そう言いながらも、博士自身は何やら納得していないようだ。
「…尋ねるが、逆に思い出せていない事はどのような事だ?」
「思い出せてない事を述べよ、と言うのも難しい話だが、どのあたりの事が思い出せない、という傾向などは?」
「…記憶の中が虫食いになっているような感覚で、まだ把握しきれていません。ですが、時空転移を行う直前についての物忘れが多いような気がします。後は……旅の途中、各地で食べた物について全く思い出せません!」
「ホロウが…食事の事を覚えていない…!?」
思い出せません!じゃねーよ…。
以前はこいつ、ここまで飯に執着してなかったからだろ。クサレイヅチを追う為の特別製人間だからって、完全記憶能力まで持ってる訳じゃなし、当時興味のない事を忘れたっておかしくないよ。
少なくとも俺が知ってるこいつは、食事は補給程度にしか考えてなったぞ。重要ではあるが、生き甲斐にしてる訳じゃなかった。
「そ、そうだったのか…。今日一番の衝撃的な報せだぜ…」
そこまでか。まー確かに、俺もあのホロウがどうしてこうなったって常々思ってたけど。
「昔の私の方がおかしいのです。食事ほど、戦うのにも生きるのにも重要な事はありません。美味しい食事は精神的な活力源にもなります。これまでの私は、その活力の元を無作為に処理していたような物。これでは勝てる戦も勝てません」
「…間違っちゃいねぇが、言うべき時を間違ってんじゃねぇかって気がするぜ」
同感だよ、富獄の兄貴。
「話が逸れているな。それでホロウ、俺達に知らせておきたい事とは何だ? 確かに記憶回復の件も重要だが、それだけではないように見える」
「遺跡の起動に伴い、強力な鬼が接近しつつあります。これもイヅチカナタ動揺、時空を超える力がある為に周辺の警戒はほぼ無意味でしょう。いつ出現してもおかしくありません」
「…ああ、聞いている。だが博士によると、すぐに、という訳ではないようだが?」
「遺跡にはその鬼を呼び寄せる機能があり、それは停止させましたから。ですが、恐らく位置を覚えられました」
「だが、それならそれこそすぐに…その機能を停止させる前に現れるのでは?」
ホロウは博士に目を向けた。
何やら考え事をしていたようだが、気だるげに博士は口を開く。
「時空を回遊する鬼には、特殊な性質を持つ物がおおいらしい。他の鬼はどうか知らんが、遺跡が呼び寄せようとしていた鬼には心当たりがあるのでな。その性質により、今しばらくの出現は無いと判断した」
「その性質とやらを説明してほしいんだが…」
「…一言で言えば、時空回遊という能力であっても、文字通り何処にでも行ける訳ではないという事だ。人が地面を歩くのに、障害物を避けたり乗り越えたりしなければならないように、奴らにも行けない時、場所があるんだ」
成程ね。
時空の流れが川のような物て、奴らは船に乗っているようなものだとすれば、川が分岐していない所に進める筈もないし、川が続いていたとしても水深が浅かったり、幅が船より狭いようであれば、進んで行ける筈がないと。
「大体そんなところだな。とは言え、別の方向から進んできたり、或いは船を降りて歩き、泳ぎでやってくる可能性はある。今すぐではないにしろ、遠からず襲来すると思っておけ」
「…その鬼の名は?」
「遺跡に残っていた記録を調べた限りでは……『トキワノオロチ』と呼ばれる鬼のようです。これについては、博士の方が詳しいようですが」
「…他とは一線を画す力はあるが、単なる鬼にすぎん。背景やら生態やらをわざわざ気に掛ける程ではない。鬼は斬るものだ。モノノフなのだからな」
そうだろう、と言外に説明を拒む博士。面倒だから、というのではない。本人も言っていたが、何かしら因縁があるんだろう。
能力その他については、もうちょっと説明が欲しい所だな。クサレイヅチと同じような力を持っていて、いざ目の前に出現しても戦う事すらできない…なんてのは御免被る。
「調べた限りでは、そういう能力は無いな。時空回遊以外、目だった力は無い…と思われる。ただ、世…もとい、国を一つ二つ単騎で滅ぼすと言われる鬼だ。単なる暴力以外にも、何かあると思った方がいいだろうな」
「…危険な鬼の話は真偽問わず多々あるが、単体で国を亡ぼすまで言われるのは中々ないな…」
国を亡ぼす鬼、ねぇ…ミラボレアスみたいだな。…強い事は強いが、国を亡ぼせるかっていうと疑問が残るな。単純に、手数とリーチ的に考えて。
しかし参ったな、出現時期から戦い方まで、ろくに情報が揃わない。こりゃ、出たとこ勝負でやるしかないか?
「…逆に呼び寄せるなら、出来るぞ。あの遺跡の誘因機能を動かしていれば、遠からずやってくる。時期は…半日前程度になら分かるな。場所はの候補は何か所かになるが」
「へーぇ、流石天才。それもトキワノオロチの習性とやらを知ってるからかい?」
「そんなところだ。後で地図を渡してやろう」
待ち構えるにしても、準備は必要だな。
そんなとんでもない鬼なら、監視させていた人間が連絡する間もなく吹き飛ばされるって事も考えておかなきゃならん。
安全策を徹底させても、まだ足りるかどうか…。
「もう一つ、告げておかねばならない事がある。トキワノオロチと同じくらいには厄介な話だ」
「まだ何かあるの? いい加減お腹いっぱいなんだけど」
「初穂、話を聞いてお腹が膨れるとはどういう事ですか。話とはどんな味がするのでしょうか」
「少なくとも美味しい味じゃないわね…」
まぁ、美味い話ならいくら聞いてももう御免って事にゃならんからな。
で、その話ってなんぞ。
「トキワノオロチに呼応して、イヅチカナタが出現する可能性が極めて高い」
……………。
「イヅチカナタ…って、ホロウとこいつが追いかけてる鬼よね。そいつが……ぅぁ」
ん? どした、初穂。…みんなも何で構えてんの?
「お前がとんでもない殺気…いや鬼気だすからだよ! 心臓止まるかと思ったわ!」
「笑ってるのが逆に怖いぞ! 顔を戻せ顔を!」
「ちょっ、木綿! 木綿が気絶してる!」
「木綿ーーー!!!!」
「失礼…大丈夫です、気を失っているだけでございます」
「周りに気当たりで気絶した奴が居ないか探すぞ! 話は後回しだ!」
…いかん、余計な感情が漏れ出しとったか。えらい騒ぎになってるのを冷や汗流して眺めている。
自分で顔を触ってみると、俺ってこんな顔できたんだな、と自分でドン引きするくらいのオリジナル笑顔になっているようだった。鏡が無いのが助かるような残念なような。
暫く後、大和のお頭からかなりガチの説教を受け、俺は橘花が張った結界の中でぐるぐる巻き・正座・足の上に獄門用の石のコンボで座り込んでいた。
木綿ちゃんにまで余波が行ったんだから、親として激怒するのはよく分かるが、ここまでやりますかね。
「この程度では全く足りん。この際だから、今まで溜った鬱憤を晴らして、やらかしも徹底的に反省させたいくらいだ」
大和のお頭の隻眼が、思いっきり座っている。これは比喩抜きで拷問も考えている目だ。
木綿ちゃんに、直接的で意図的でないとは言え危害を加えてしまったからな…この場でザクザクされないだけでも有情だね。
……あ、やべ、マジで間合い計ってやがる。ここにいる面子が止めずに、殺れると判断したら抜刀する気だ。
まぁ、この状態でも俺を殺るなんて無理ですけどね。少なくとも那木は止めてくれるし、仮に斬られたとしても死なないし。冗談抜きでヤバイ傷を受けたら、勝手にアラガミ化して再生するもんね。…その場合、また説教されるネタがどーんと増えるけど。
で、どういう事よ。クサレイヅチが出現するって。
あいつが俺に纏わりついてるらしい、って事は聞いた事あるが、トキワノオロチに呼応してってのは何ぞ?
「詳しい理屈は私も知らん。だが、遺跡に残っていた記録を読み漁ったところ、イヅチカナタとトキワノオロチが度々接触していたという情報があった。前後の記録も確認したが、まず間違いはない。トキワノオロチと戦っている間に横槍を入れられた事が、何度もあったようだ」
…トキワノオロチが、クサレイヅチを呼び寄せている…と?
ホロウ、何か心当たりはあるか?
「いいえ。少なくとも、私の知る限りではトキワノオロチという鬼とは遭遇した事も、名前を聞いた事さえありません。…ですが、私も活動できるのは通常の空間でのみです。もしも『舟』が進むような時空の狭間の中でのみ、トキワノオロチとイヅチカナタが接触していたのだとしたら、認識のしようもありません」
「そういう貴様こそ、心当たりはないのか。鬼ですらない化け物共と顔見知りのようじゃないか。この前のでかい金髪の女とか」
あれは関係ないと思うなー。…でも、あいつも時空の狭間で漂ってたみたいだし、案外どっかで接触してるかもしれん。
…全く別の方面からの話になるが、実を言うと心当たりが一つ、無いでもない。
知人から聞いた話で、根拠も何もありゃしないんだが…クサレイヅチは、因果を奪うのではなく、運ぶ役割を持っているらしい。
「運ぶ…? 何処にだ? 鬼なんだから、捕らえた魂は喰うんじゃないのか?」
俺にも分からん。そこまで詳しい話を聞けた訳じゃないしな。
ただまぁ、似たような習性を持つ生物は結構いるな。冬に備えて、巣穴に食い物を沢山貯え込むようなもんだろう。
で、そいつの話によると、クサレイヅチは特定の状況で、貯め込んだ因果を吐き出すんだと。
クサレイヅチが働き蜂、トキワノオロチとやらが巣だと考えれば…辻褄は合う、かな。
結局は、そこで食われるのかも知らんが。
「…興味深い話だな。話の内容よりも、その出所が。…しかし、今はそうも言っていられんか。トキワノオロチだけなら、結果はともかく戦いは成立する。だがイヅチカナタまで居るとなると、奴の能力を防ぐ強力な結界を張りながら、その中のみでトキワノオロチを相手にしなくてはならなくなる。無論、結界が破られれば遠からず因果簒奪の餌食だ」
やってられねーな、そりゃ。
トキワノオロチがどんだけの力を持ってるのか知らないが、クサレイヅチの影響を抑えるだけでも手一杯だろうよ。
因果簒奪を防げて、更に簡単に壊されない結界…雪華でも厳しそうだな。
「それでもやるしかあるまい。結界は橘花と樒でどうにかする。シノノメの里との取引も始まって、宝玉がいくらか手に入ったからな。そう無謀でもないだろう」
「そうですね…。宝玉があれば、かなり強力な結界が貼れます。持久力も大きく高まるでしょう。…ですが、相手が相手です。もう一押ししましょう」
「もう一押し? 橘花、何かいい考えでもあるのか?」
「はい。…虚海さんに手伝ってもらうんです。ホロウさん、彼女についての記憶は戻っているのでしょう?」