※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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第588話

 

 

黄昏月惨拾弐日目

 

 

 久しぶりに野獣になりました。

 最近じゃ、ご奉仕される王様ムーブや、少ない人数を(一人だけを相手にする事の方が少ない)丁寧にしゃぶり尽くす…もとい可愛がるばっかだったからなー。滾りに任せて片っ端から食い散らかしたのは久しぶりだ。

 どれくらい食い散らかしたかって、参加者全員ダウン、完全防音にしておいたのに翌日には男3人から「「「夜は静かにしろ!」」」ってド突かれるくらいだ。相当うるさかったらしい。嫉妬も入っていたようだが。

 

 とりあえず女連中は精神的に安定したようだし、次は男3人の様子見かな。女性陣に比べて安定している傾向が強い男組だが、戦場のストレスってのは一見しただけじゃ分からないものだ。

 特に鹿之助なんか、ギャーギャー泣き言を喚き散らしながら戦ってたらしいし。途中から泣き喚く余裕すら無くなったのか、急に静かになって能面のような顔で鬼に攻撃をし続けてたんだと。…プッツンいっちゃったのね。

 男組にも何くれとフォローしてきたつもりだが、やっぱり人数が多い女性の方にかまけていたのは否定できない。…その女性の方のフォローやケアも、主にRー18なお楽しみばっかりだったけど。

 デカい戦いの後だし、いい酒でも持って男子会すっかね。

 

 良い酒は流石にすぐには手に入らない。MH世界産の酒は美味いんだけど、骸佐達の舌には合わないらしいしな。生まれ育った土地の酒が一番なんだろう。

 里の商人に頼み込んで、近日中にいい酒を仕入れてもらう事になりました。

 他にも、いい武器防具…は自前で作った奴に愛着があるらしいので、それを強化する為の珍しい素材を幾つか。

 後は……話の種に、この前里の人から貰った宝の地図(?)を。里の一般人が自宅の掃除をしていた時に隠し棚を見つけて、そこに入っていたのだそうな。ウタカタから少し離れた場所の地図で、いかにもそれらしい×点が付けられている。

 確かめに行こうにも一般人では異界に入らない場所でも危険なため、自分で行くのは諦めて通りかかった俺に押し付けた、という訳だ。

 俺もこの手の宝探しは嫌いじゃないんだが、正直言って大したものが期待できないのも確かだからな。

 骸佐と権佐はあまり興味を持ってなかったようだが、逆に鹿之助が飛びついた。どうやら里の双子と一緒に一獲千金を夢見る内に、宝探しの楽しさに目覚めてしまったようだ。…異界に近い場所だから、行くなら戦力になる奴を連れて行けよ。

 

 鹿之助は、早速いつもの二人を誘ってくると飛び出していった。戦の直後だってのに元気な奴やなー。

 

 

 

 さてそれはそれとして、本題に入ろう。

 今現在の最大の問題は、ホロウの真意だ。ついこの前思い出したばかりだが、今まで完全に忘れ去っていたループでも、ホロウの目的は一つだけ。俺と同じでクサレイヅチの討伐だった。当然、会うと大抵は共闘していた。例外は、俺の心が圧し折れて、酒か女に溺れていた時くらいか。

 だが、共に戦っていた時には、問題なく付き合えていた筈だ。……どの記憶も、ループの途中までしか思い出せておらず、知らない部分で何かあったと言われれば反論できないが…。

 

 そのホロウが、俺をクサレイヅチとの闘いから除外しようとしている、と言う。戦力的に考えて、クサレイヅチではなくトキワノオロチの方に当たらせようとしても不自然ではないんだが、どうも大和のお頭の言い方からして、とにかく俺をクサレイヅチに関わらせない、という方を重要視しているようだ。

 別にホロウが裏切るとは思っていない。何せ敵が敵だし、内応とかしたところで意味がある筈もない。

 

 じゃあ何で?

 

 

 

 その真意を確かめるべく、俺はホロウを飯屋に誘った。…財布が軽くなった。

 飯で釣ったら速攻でついてきやがったな…。俺を戦線から外そうと謀略(って程でもないが)を張り巡らせようとしていたのに、どんだけ面の皮が厚いのかと。

 

 そんだけ面の皮が厚いなら、普通に聞いても素直に答えるんじゃないか?と思ったら。

 

 

 

「はい、あなたをイヅチカナタに関わらせるべきではありません。大和のお頭にも進言しました」

 

 

 堂々と開き直ってんじゃないよコンチクショウが!

 おま、おまえアレだ、一応俺とあいつの関係知ってんだろ!? 繰り返しに閉じ込めた挙句、延々と人を食い物にし続けやがって! 千歳も、まだ生まれてない俺の娘(息子かもしれないが)もあいつに取り込まれてるって言っただろ!

 とにかくあのクサレイヅチにお礼参りすんだよ!

 俺の仇討ち云々はさておいても、何だって俺を戦力外通告するんだよ!

 

 

「あなたが居ると負けるからです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたが居ると、イヅチカナタには勝てません。少なくとも逃げられます。仕留める事は不可能です。故に貴方を関わらせるべきではないと大和のお頭に進言しました。理由までは説明していませんが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 おい…オイィ、そりゃどういう事ですかねぇ?

 俺が? 足手纏いだって言ってんのか? この俺が?

 そりゃ確かに数々の揉め事を煽りまくって噴出させ、ある地区ではMr.いらん事しいとまで言われた事のあるこの俺だが、邪魔と言われるほど弱くは無いぞ。と言うか揉め事を引き起こす事にかけては、お前もそう大して変わらんからな、常識知らず。

 

 

「常識云々はどうでもいいです。揉め事に関しても、殆どは元からあった問題が噴出してきているだけなので、私がとやかく言う筋合いはありません。周囲に合わせて連携もできますし、武力については私が知る中では間違いなく最上。戦わせない手はありません」

 

 

 だったらどうしてだ!? クサレイヅチを見たらその場で理性が飛ぶからか!?

 そう言われたら反論できないが、とりあえずこの前の戦では割と理性的に行動してたぞ!

 

 

「いかなる理由も理屈も関係ありません。あなたがどれだけ強くても、貴方が居ればそれだけで負けます」

 

 

 なんだテメェ……因縁つけてんのか? 何が何でも、負けるのは俺のせいだって言いたいのか?

 確かに今まで散々仕留め損なったり、会う事もなく死んで来たが、それは毎度毎度とんでもない横槍が入ったからで…

 

 

「はい、正にそれです。それこそが、あなたを関わらせてはならない理由です」

 

 

 何?

 

 

「あなたは、先日イヅチカナタから多くの因果を奪い返し、忘れていた『繰り返し』を思い出しました。ですが、その中で最後まで思い出せる繰り返しは、幾つありますか」

 

 

 そんなもん、分からんよ。どれが本当の記憶で、どれが妄想で、どんな修正が掛かってるか分かったもんじゃない。

 幾つかはそれっぽい記憶もあるが…。

 

 

「私はあなたよりも多くの事を思い出しています。その中の何れの記憶も、イヅチカナタと遭遇するか、それに備えて準備をしたのに遭遇前に終わりを迎えるかの結果に終わっています。そして、遭遇した時への備えが大きくなればなるだけ、強烈な横槍が入ってくるのです」

 

 

 それは……まぁ、確かに心当たりがあるが。前GE世界のループなんて、宇宙規模のミラバルカンが唐突に出現するとか訳がわからなかった。

 

 

「では、これにも心当たりはありますか? 貴方の言う『前回』以前の因果が、ずっと持ちこされてきている事に。先日の2度の大戦で確信を得ました。あれだけ大規模で、強力な鬼を相手にした戦いだったというのに、2度とも死者が出る事は無かった。喜ばしい事ではありますが、あまりに出来すぎている。…ですが、説明はつきます。あなたは今までの繰り返しで、死者を減らそうと努めた。その因果が積もり積もって、あなたの周囲に漂っている」

 

 

 …心当たりと言うか、それは以前から気付いていた。好感度上昇が早すぎる、というのはループの初期の頃に抱いた疑問だ。

 ループの度に女を口説きやすくなるのなんか、その典型だ。『前回』で仲が良かった人達とは好感度があがるのが凄く早い。MH世界のフラウなんか、がその最たる例。フロンティアの時なんか、誰にも靡かないアイドルが、一目見たルーキー(フロンティア基準)に秒殺でゾッコンだぞ。普通に考えれば無いよ。

 ループを重ねる毎に侍らせる女の数が増えるし、物事がスムーズに進むようになり、逆に巻き込まれるトラブルの数が増え、活動の規模も大きくなっていった。

 全てが全てとは言わないが、それは繰り返しによる因果が残り、それによって加速され…………?

 

 

 

 あれ、でも、それって……と言う事は…。

 

 

 

 

 

 

「ええ、そうです。同様に、あなたは『イヅチカナタを付け狙うが、仕留め損ねる』という因果を積み上げ続けてきました。或いは、それを狙ってイヅチカナタが食い残したという可能性すらあります。近くに居ても逃げられる。確実に仕留められるだけの準備を積み上げても、その因果が邪魔をして全てを無に帰すような横槍を引き起こす。準備の規模が大きければ大きいほど、大きな横槍を」

 

 

「断言します。イヅチカナタ討伐において、あなたが出来る最大の役割は『何もしない事』です。千歳やあなたの子を解放したいのであれば、手を引いてあなた以外の者に任せなさい」

 

 

 

 

 

 

 ふざけるな、と叫んだ。…そのつもりだった。

 クサレイヅチへの報復と、千歳や俺の子達の解放、失われた記憶の奪還…どれが最も重要かと問われれば、正直言って俺にも分からない。理性は解放を願っているが、胎の底にそれらを溶かしつくすようなドロドロとした感情を貯め込んでいるのも事実。それでも、解放が最も重要だと考えているのには違いない。

 そう、解放だけなら…ホロウのいう通りでも構わない筈。俺の手で解放してやりたいとは思うが、とにかく解放されてくれればそれでもいいとも思う。誰かの手で引っ張り上げられるのに、自分の手が届くまで鬼の腹の中に沈んでいろなどと、どの口で言えるものか。

 

 

 だが、一回のハンター、モノノフ、ゴッドイーターとして考えるなら論外だ。ずっとずっと追いかけてきた獲物を前に黙ってみているなど、どうして許容できようか。

 追い回した先で、知らない誰かに仕留められていたのであれば、『先を越された自分が間抜け』というだけだ。

 共に戦ってトドメを持っていかれたなら、『俺達で仕留めた』と思える。

 力及ばず標的を目の前にしても足手纏いだからすっこんでいろと言われるなら、『必要な事すらできていない自分が無能なだけ』と割り切る事もできよう。

 

 しかし、充分以上に戦う力を持ち、目の前に標的が居て、今正にそいつと戦おうとしているのに、手を出すななどと承諾できるものか!

 

 

 

 …そう叫べなかったのは、ホロウの言葉が事実だと、一瞬以上に考えてしまったからだ。

 繰り返しによる因果の蓄積があるのは、経験で理解している。

 女絡みの因果ばかりに目が行っていたが、クサレイヅチを取り逃がす、会えないという因果が積み重なっていても、おかしくはない。

 事実、今までのデスワープの原因で、とても常識や確率論では考えられない理不尽な横槍が何度入った事か。忘れていた記憶も含め、勝てる筈の戦いに、何度しくじった事か。

 

 …説明は、つく。辻褄が合う。仕留められないのも、度々とんでもない事件が起きるのも。

 一度や二度であれば不運や油断もあろう。だが何百と繰り返して、一度として仕留める事ができていないのだ。

 負けたと思いたくないから言い訳と言われそうだが、実力以外に何かあると考えるのは当然だろう。…今までろくに考えてなかったけど。

 

 

 

 反論の言葉が消える程、ホロウの理論は俺の中で腑に落ちてしまった。

 知った事かとも、その因果を覆すとも、気炎を吐く事すらできない。

 

 …無駄だったのか。あれやこれや今までやってきたけど、逆効果だったとでも?

 

 

「さぁ、そこまでは私にも。因果だけでどこまで物事が決まるのか、私にもわかりかねます。ひょっとしたら、努力ややり方でひっくり返せるものかもしれませんし、どんな事をしても結末が決まり切っているものかもしれません。…知った事かと開き直って乱入されると私が困るので、慰めはかけません。ですが、代替案を用意しました」

 

 

 …代替案?

 

 

「はい。私としても、あなたをただ隔離して終わりと言うのは、不安で勿体なくて不吉で危険で自殺行為不憫哀れ不足死兆自爆準備鬼門でおやつも喉を通らなくなりそうなので、余計な心配を消し去る為にも、おやつの為にも考えてみました」

 

 

 どんだけを俺を警戒してんだよ!? はっきり言うけど、お前も同類だからな!

 と言うか、おやつの為が主じゃあるまいな…。今までだったらそれは無いと断言できるが、記憶を失って腹ペコキャラになってから、記憶戻ってもどっか壊れたまま……いや、やっぱ元々だったわ。

 

 それはともかく、どんな代替案を? 俺に出来る事なら、なんでもしません!

 …何でもはする筈なかろ。どういう案かも聞いてないし、因果の為に勝てないってのも後から色々穴を見つけられそうだからな。

 

 

「……まぁ、いいでしょう。乗るかどうかはあなた次第です。ですが、否とした場合、イヅチカナタとの闘いに一切首を突っ込まない事を要請します」

 

 

 (口先だけ)誓おう。(後で抜け道探そう)

 

 

「即答した時点で信頼が一切なくなりましたが…協力が必要なのは私も同じ事。いいでしょう、その方法を教えます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『あなたのミタマを、私に差し出しなさい』

 

 

 

 

 

 

 

 ……え、死ねって言ってない? 死んでもループするだけよ? むしろクサレイヅチに逃げられるんじゃね?

 

 

 

 

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