※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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暫く隊員達視点で日常を描いていくつもりでしたが、短編を複数書くのは下手な長編より難しいのだと言う事をすっかり忘れていました。
要するにネタ切れです。
なので、そろそろお話を進めつつ、いいネタを思いついて書きあがったら余談として話に突っ込んでいこうかと思います。


第593話

 

 

SIDE 六穂

 

 

 毒使い・六穂の朝は基本的に遅い。基本的にテンションが低く、ダウナーなのだ。

 目を覚ましても布団の中でゴロゴロしている事が多く、腹の虫が鳴くか厠に行きたくなるまでまず動かない。

 

 今日も今日とてそういう目覚めを迎えたが、動きたくない理由は少し違った。

 

 

(……若だ…。そう言えば、昨晩は僕の部屋に泊まったんだっけ)

 

 

 泊まって何をしていたかは言うまでもない。この性欲の塊が大人しくしている訳もないし、六穂だって気持ちいい事は大好きだ。つい最近まで、自分には縁のない事だと思っていたから猶更。

 

 目を覚ました六穂の前には、鍛え抜かれた男の体が横たわっている。寄り添って眠っていた為に、互いの体温が体によく馴染んでいた。

 女の…特に毒を宿した女である自分とは違う体臭と、据えた匂いを吸い込んだら頭が痺れるような感覚を味わう。

 

 

(あー…やっぱ好きになってるんだなぁ…。僕の体を変えられる人だから、じゃなくて僕自身がこの人とくっついていたいんだ…)

 

 

 自分がこんな感情を持つなんて、想像すらしていなかった。いや、想像した事はあったが、自分に無いものを当たり前のように持っている普通の人達に嫉妬するだけだった。

 とは言え、全く不満が無い訳でもない。

 

 

(人の部屋に、他の女を連れ込んで好き勝手するところとかね…)

 

 

 顔を上げて左右を見れば、そこには昨晩は居なかった女性が4人。当然のように情事の痕跡を残しており、自分とは別の方向から若に抱き着いている。

 ふと自分の体を見ると、痕跡こそあれ、白濁は体に残っていない。

 

 

(昨晩は、体中が真っ白に染まるくらいぶっかけられまくったんだけど…この感触からすると、ふき取ったんじゃなくて舐めとられたかな。人が貰った精液を横取りしやがって…)

 

 

 唾液の匂いが残る肌を、匂いを上書きしようとするように男の体に擦りつける。

 

 …まぁ、こういう所が不満点な訳だ。

 2ケタの女性と肉体関係を持っているのは、自分達の体質のせいだと考えるとしても、人の部屋に勝手に他人を呼び込むのはどうなのだ。

 ついでに言えば、今日のこれはまだいい方。二人きりの夜を過ごしたとしても、ヤり足りなければ相手を置いて、更なる獲物を喰らいにフラフラと他の女の元へ行く始末。下手をすると、後始末さえせずに放置していくのだ。

 完全に、女を食い物や玩具にしているのがよく分かる。

 

 しかし、そんな人として駄目な男に参ってしまっているのだ。六穂だって、他の女の部屋に連れ込まれて抱かれた事はあるし、ヤり足りないと彷徨っていた時に自ら喰われに行った事もある。

 彼の態度ややり方に怒るどころか、率先して助長しているのだから救いようがない。

 ついでに言えば、六穂自身も気絶させられた他の女の部屋に連れ込まれ、ヤってる途中に小腹が空いたので部屋にあったお菓子をつまみ食いした事がある。多分、今日は自分のが餌食になっている事だろう。

 そうなるのを見越して、媚毒を仕込んでおいたが……結果は同じなのだから、あまり意味がなかっただろう。

 

 

 窓から差し込んでくる光を見ると、もう少し眠っていられるだけの時間はありそうだ。

 しかし中途半端に頭を動かした為に眠気は消えてしまっており、布団の中もいい加減暑くなってきた。6人も同じ布団の中で密着していれば、そりゃ暑くなるのも当たり前だ。

 起きるのも面倒だし、起きたところで時間が中途半端すぎてやる事がない。

 

 

(やる事がない、と言えば…若は隙あらば女の子と絡んでるけど、他に趣味とかないのかな。僕はわざわざどこかに遊びに行こうとも思わないけど、逢引で遊びに行くとかしないのかな)

 

 

 彼は見た目以上に多芸な人物で、屋外での釣りから裁縫の類まで器用にこなし、やたらと芸達者だ。

 しかしそれを楽しんでいるかと言うと、そうでもない。大抵は、必要な作業の一環として行っているだけだ。

 

 趣味が女を虐める事…なのはまぁ、男性の普遍的な欲望であるから許容範囲としても、他に楽しみや時間の潰し方を知らないと言うのは人としてどうかと思う。面倒くさがりの六穂でさえ、趣味があると言うのに。

 

 

(そう言えば、前に一度そんな話してたのを聞いた事があったっけ。娯楽といえば『てれび』や『ぴーしー』らしいけど、聞いた事ないや。何だろ)

 

 

 一応、それらしい物は大広間…エントランスに、それっぽい四角い箱が据え付けられているのだが、誰も使い方を知らない。

 一時期、若がそれにかかりっきりで何とか動かそうとしていたようだが、結局どうにもならなかったようだ。『ほぉそぉきょく』や『鯖』が無いとかなんとか。

 よく分からないが、若の事だから卑猥な遊び方をするのだろう。公衆の面前に、そんな物を据え付けるのはどうかと思ったが、それ以上に卑猥な事をあっちこちっちでやっているので、今更その程度では騒ぎにすらならない。

 

 

 とりあえず言える事は、この中途半端な時間では起きた所で趣味に使う事すらできない、と言う事だ。となれば…。

 

 

 下に視線を向けると、昨晩散々大放出して女体を弄んだ暴れん坊が、疲れなど知らぬとばかりに布団を大きく押し上げている。

 

 

(朝の一番搾り…競争率が高くて、中々ありつけないんだよね。役得♪)

 

 

 さて、昨晩は散々虐めてくれたこの暴君を、どうやって可愛がってあげようか。

 本番をする程体を動かしたい訳ではないし、そもそも他の女が抱き着きまくっているので跨る空間を確保できない。家主権限で蹴っ飛ばして退けてもいいのだが、相当可愛がられたらしくて全く目を覚ます気配がない。ひょっとしたら、ついさっきまで遊ばれていたのかもしれない。

 

 

(うーん…胸か、足か、手か…やろうと思えば何処ででも受け入れられるから、迷うなぁ…)

 

 

 さしあたり、そそり立つ棒の先端を片手で撫で回しながら、丁度目の前にあった乳首に吸い付く六穂。結局のところ、彼女もまぐわい以上に楽しい趣味は見つけていなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

SIDE アサギ

 

 普段、アサギは任務に関わるような事から一歩引いた立場を取っている。意見を求められる事があれば述べるが、戦場に出る事は無い。

 先日の大戦の時も、背後で援護というやり方で戦っており、少なくとも前線に出はしなかった。

 浅黄という、全く同じ姿形を持っている者がいるが、こちらは普段は任務は引き受けずに稽古相手を務めている。…少なくとも、それで上位の者と認められるだけの腕が立つし、大戦でも相応の力を示した。

 前線には一度として出なかったアサギとは正反対に、だ。そんな二人が並び立てば、比較されて劣った方に負の視線が向かうのが人のサガ。

 

 そのアサギが、改善されてきたとは言え武力や武功を偏重する気風のある滅鬼隊の中で軽視・問題視されないのは、『それも仕方ない』と思われる程の事情があるからだ。

 その一つが、医者…那木による診断結果である。

 

 率直に言って、戦いに耐えられないほどボロボロなのだ。長年、悲惨な戦いと激しい不摂生を続けてきたかのように、芯から崩れかかっている。

 一見するとしなやかに鍛え抜かれた美しい体なのだが、血を吐くなど日常茶飯事、過去の事を思い出せば胃が痛んで頭痛が起き、ストレスを感じれば吐き気に眩暈に食欲不振に睡眠不足と、繊細を通り越して貧弱極まりない体に成り果ててしまっている。

 それでも大抵の鬼なら一瞬で相打ちにまで持ち込める(鬼を狩っても、アサギ自身が自爆する)だけの実力はあるのだが、流石にその状態で戦えという鬼畜は居ない。いざとなったら、覚悟を決めるつもりではあるようだが。

 オカルト版真言立川流の秘術を尽くしても、その体を完治させるには長い時間がかかるだろう。

 

 それ以上に、本人が治りたくないと思っている節もある。

 体が治ってしまえば、また過去のように悲惨な扱いに逆戻りするのではないか、という疑念がぬぐえないらしい。

 つまり「学校に行きたくないから、病気を治しません」と言ってるようなものだが…。

 

 

 そしてそれらは周知の事実である。にも関わらず、アサギに対して不満を述べる者は居ない。

 みな、聞いているのだ。

 覚えているのだ。

 そして誓ったのだ、暖かく、長い目で見守ろうと。

 

 …と言うか、「まともな上役と、指示に従う同僚なんて恵まれた職場に、私達が巡り合える筈がないッ!!!!!」と叫ばせる程に追い詰めてしまったのがかつての自分達なのだとすれば、記憶がないとしても罪悪感が募ろう。

 覚えていない過去の所業が枷となって、アサギに向かって文句も言えない状態となっているのだ。

 

 アサギ自身も、そういう状態に甘んじているばかりではない。

 戦力復帰するくらいなら体を治したくないと思っているのも事実だが、この職場は過去とは色々違うと言う事も実感し、認識を改めようとしている。

 以前は、『かつて自分を苛んだ問題児達に囲まれている』という、人間不信ならぬ元部下不審に苛まれていたが、それは大分マシになってきた。行き届いているとまでは言わないが、しっかりと教育されて暴走の兆候もない。過去の自分と比べて涙し、また勝手にストレスを感じるが、まぁそこはいい。

 『自分を扱う上司なんて糞野郎ばかり』という上司不審にも苛まれていたが、むしろこっちは、何でもするので捨てないでくださいと、全裸土下座からの足舐め尻舐めも躊躇わない程に忠誠を誓った。元問題児達を引き受けた上に更生までさせてるとか、仏様かな?

 

 …前置きが長くなったが、そのアサギが密かにストレスを感じている事が一つある。

 それが、これである。

 

 

「と言う訳で、改名を提案したいの」

 

「はぁ、改名…ですか」

 

「…改名、ねぇ」

 

 

 そこはかとなく情事の痕跡が残る、若、神夜、詩乃。

 若の部屋に相談にきたところ、この3人が何やら話し込んでいた。

 

 アサギの提案を受け、若と神夜は首をかしげ、詩乃は深く頷いていた。

 

 

「その改名とは、何についての改名かしら。あなたの名前? アサギと呼ばれる子は、うちだけでもあなたを含めて3人も居るから、ややこしいのよね」

 

「ああ、そう言えば詩乃さんも元は『あやめ』と呼ばれていたのでしたか。扱いに反発して、自分は違うと自らの名を名乗り始めたとか」

 

「そっちにも思う所はないではないけど、今は別問題よ。私は、この隊の名前を変えたいの」

 

 

 ふむ、と腕を組んだ。どうやら聞く体勢にはいったようだ。

 どのようにして許可を取りつけるか、纏めてきた説得材料を頭の中で見直して読み上げる。

 

 

「そもそも『滅鬼隊』と言うのは、一般的には霊山に伝わる御伽噺。霊山君直属の、影の精鋭部隊の事よ。その実態はともかくね。だけど、滅鬼隊は壊滅した。他ならぬ、その統治者達の目論見で、様々な表に出せない要素と一緒に、纏めてね。殆どの隊員達の記憶まで抹消してるんだから、手が込んでるわ」

 

「…今思うと、わざわざ封印前に記憶を消す処理を施すって…意味ないわよね。あいつら、ほとぼりが醒めたら回収してまた使い倒すつもりだったわね…」

 

「でしょうね。それでも、消えてない記憶はあるものよ。私以外にも、浅黄や紫とか、記憶が残ったままの者も居る。記憶は無いけど、体が覚えている事だってある。そういう中に、誰かが消したい過去を持っている者が居たとすれば…」

 

「持っていなかったとしても、そこから漏れるのではないか…と妄想した時点で、黒になるでしょうね」

 

「そういう事よ。だいたい、今のこの隊自体、正式には『滅鬼隊』じゃない。その残党を拾ったあなたが面倒を見ているだけの、言わば流れの傭兵集団。何と無しに流れで滅鬼隊みたいな扱いされているけど………滅鬼隊の名前、継ぎたいと思う?」

 

 

 (#-△-)ないわー

 

 (ノ´・ω・)ノ⌒*

 

 (ヾノ・ω・`)ナイナイ

 

 

「ええ全く以て同感よ」

 

 

 御伽噺の精製部隊、なら畏れ多くも憧れもしよう。

 だがその実態は、使い捨てどころか失敗させて嬲り者にする為の国営オナホール集団。わざわざ敵地に向かわせて捕縛されるのを期待するという、手の込んだ強制デリヘル嬢扱い。

 実力を過信し、油断・慢心・脳筋が座右の銘、準備不足に命令無視に反省もできない猿以下の集まり。武力と外見だけは突出しているのだから猶更手におえない。そして、扱い手が意図してそのようになるよう仕向け、学習した事すら忘れさせるのだから救いようがない。

 

 そんな汚名や、アサギ達のような少数派のまだまともな隊員達が死に物狂いで築き上げた数少ない実績が、滅鬼隊の名を継いだものに降りかかってくる。

 借金の方がまだ有難味を感じる負債である。

 

 

「…長くなったけど、つまりはそういう事よ。元が縁起の悪い名前と化しているし、後ろ暗い連中が嗅ぎつけてくるような背景は、可能な限り遠ざけるべきでしょう。更に言うなら、ここの子達も滅鬼隊の名前を不満に感じる者は結構多いようよ」

 

「そうなのですか? うーん…確かに、名前を変えるだけで負担が生じる訳ではないですし、九葉さんの隠蔽工作の一助になるなら、吝かではない事極まりないですが」

 

「私も実のところ、滅鬼隊と呼ばれたいかと言われるとね…。正直、呼ばれるだけで思い出したくもない過去に殺意が募ってくる…」

 

 

 めらめらと静かな殺気を滾らせる詩乃。そんなに嫌だったのなら、もっと早くに言えばいいのに…と思いながら、更に根本的な問題へ。

 で、改名するとして、どのような名前にする?

 

 

 4人で腕を組んで考え込む。

 

 

「……滅鬼隊…滅鬼隊………鬼滅隊?」

 

 

 新しい戦い方に開眼できそうだが、ラスボス…最後の敵の頭が無残になりそうだ。それなりのドラマがあった上でラストバトルがアッサリ終わるならまだ分かるが、最後の敵が小物過ぎると萎えるから却下。

 …てか、あれは滅じゃなくて殺か。考えてみりゃ物騒な名前だこと。

 

 

「珍しいですね、敵の無能は歓迎起べきとか、獲物の中身が狡猾だろうが残念だろうが狩るのには変わりないとか言いそうなのに」

 

「それ以前に、漢字を前後に入れ替えただけじゃない。過去との決別の為なら、全く違った名前にした方がいいわ。……蟹蒲隊」

 

「微妙に最初のと縁を感じると言うか、何の集団か分からない」

 

「…そもそも何の集団? この人の後宮集団とすると、男性陣が蚊帳の外扱い、或いは衆道要因扱いされるし」

 

「こう言ってはなんだけど、実態を考えるとよく言ってもこの人専属の娼婦の集団、悪く言えば身内で乱交しまくる痴女の集団…」

 

「色事を連想させる名前は、本格的にそういう集団扱いされそうだから忌避するとして…例えば、『アサギと愉快な仲間達』?」

 

「何で私が中心なのか知らないけど、もしそれにするなら愉快の前に『不』を付けるわ」

 

「突撃一番隊、などいかがでしょう?」

 

「突撃するしか能のないお馬鹿さんの集団になりそうだからやめましょう。そもそも何を基準に一番なのか」

 

「前に寝物語に話していた、異国の英雄集団の名前はどう? なんて言ったかしら…あ……あ…アヘるんだーず?」

 

 

 アベンジャーズな。怒られるぞ…アヘらせてるのは主に俺だけど。外国語は覚えられにくいし、呼びにくいんじゃないか? 事実、詩乃だって間違って覚えてた訳だし。

 そうだなー、鬼に限らず人に仇成す存在と戦うって言うなら……対魔「その名前にしたら、若を殺して私も死ぬ」………うん、この名前にしたら何もかもがお釈迦になると運命が言っている気がする。

 

 

「むぅ……法則と言うか、規則を決めましょう。まず、呼びにくくなるから外来語は無し。名前に籠める意味、次に……そう、例えば~~隊にするとか、〇〇団にするとか、何とか族とか…ああ、社って考えもありますね。皆で営む傭兵会社」

 

「族…一族、か。それはいいかもしれないわね。団や隊も同じ目的の元に集まっているという意味では同じだけど、一族と考えればより強い結びつきを作り出せる」

 

「文字通りの家族になる、って事ですね。なんなら女性陣はみんな姉妹になってるけども」

 

「そういう意味なら、××一家、なんてのもいいかも」

 

「いいとは思いますが、きりがありませんね。そもそも、私達だけで決めていい問題かどうか…」

 

「決定権は若にある…とは言え、確かに他の人に意見を募るのも重要だし…」

 

 

 あんまり硬く考えてもいかんな。急ぎの問題って訳でもないし、今のところはたたき台だけ考えて、それで皆に聞いてみないか?

 

 

「それがいいわね。流石に『名前が格好悪いから抜けます』って子は出ないと思うけど」

 

「それやるくらいなら、改名を阻止しようとするでしょう、常識的に考えて」

 

「それじゃ、ちょっと頭を柔らかくする為に、いつもの遊び……は色事に考えが寄ってしまうので……これでどうでしょう?」

 

 

 神夜が何処からともなく取り出して見せたのは、えらく大きな酒樽だった。何処に持っていたという疑問に対しては、ハンターと大樽爆弾に対してもその疑問を持てるのかと返させてもらう。

 そして表面には『桜』と書かれた和紙。

 

 

「…酒樽?」

 

「しかも滅多にお目にかかれない上物と見たけど…どこからこんなの持ってきたのよ」

 

「先日、稽古仲間の里のモノノフさんと賭けをして勝ちまして。『樽一つ分』が取り分だったのですが、折角勝ったのだからと、ごっそりいただいてきました」

 

「ちょっ…それ恨まれてないかしら? 樽って普通、もっとこう…少なくともすぐに用意できる樽なんて、そんな大きな物じゃないわよ」

 

「こっちもそれ相応の物を賭けての結果ですから。まぁ恨みがましい目はされましたけど」

 

 

 充分に怨恨の元になっている気がするが、貰ってきてしまったものは仕方ない。正式に賭けて手に入れた物を返して来いと言うのも道理に合わない。

 今日の執務は一通り終わってるし、有事の際の当番も戦力・気力共に申し分ない。酔っぱらってしまっても構わないだろう、とアサギまでもが結論付けた。

 

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 

 夜。具体的には夕食の後。

 予想以上の美酒に、ついつい樽を空にしてしまったが、それはいい。

 意識や記憶が怪しくなっているが、全員起きている。揉め事や襲撃も発生しなかった。

 珍しい事に、本当にエロい事にも突入しなかった。下ネタは話に出たが。

 

 問題は、コレだ。

 4人は部屋の壁に貼り付けられている、数枚の紙に目が釘付けになっている。

 それはアサギが持ち込んだ問題に対する回答。つまりは新たな隊の名前案だ。

 

 

 

・鼻で落花生を食べる族

 

・耳で口噛み酒を造る会

 

・しっと(される)団

 

・手札遊戯で思いを伝え隊

 

・名前ェ!それは我々にとって新たな光だぁ!

 

 その他諸々…。

 

 

 これはひどい。

 ついでに、決でも取ったのか、それぞれの横に正の字でカウントが書いてある。ただし、どう見てもここに居る人数より多い。一人複数票だとしても計算が合わない。

 ……記憶や意識は怪しくなっていたが、途絶えてはいない。いなかった、筈だ。

 

 

「…誰かこれに賛成した覚えのある人…」

 

「「「……………」」」

 

「じゃ、じゃあこれを提案したような気がする人は…?」

 

「「「…………………………」」」

  

 

 

 ……夏(作中時間)の夜長の、ミステリー…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一晩あけて、まぁ折角話し合ったんだから、と言う事で……一番マシと思われる名前に決まった。

 

 

 

 結論!

 らぶらびっつ団! テーマソングまで書き込まれてたぞ!

 

 

 

 なお、受け入れられるかどうかは定かではない。

 

 

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