うーむ、終盤になると色々と設定がブレたり、強引な展開が多くなってしまう…。
ともあれ、ようやくこのSSも終わりが見えてきました。
決着の付け方だけは考えているので、後はそこにどう持っていくか、です。
エンディングや伏線回収がその後の問題です…。
余談ですが、先日ようやく、北斗が如くのトロフィーコンプリートしました。
敵が落とすアイテムが最大の難関とは…。
普通に戦っても、あんまりドロップしないんですね。
宿星護符(トキ・ラオウ・レイ)で殲滅するとアイテムドロップ率が目に見えて違いました。
次はP5Sのトロコン、これはバンドレベルが93くらいまで来ているので、そう遠くないでしょう。
その次は仁王2、そこからエスコンのDLCかな…。
…い、いえ、遊んでばかりで執筆しないんじゃなくて、執筆が行き詰ってるから気分転換してるだけでですね…。
黄昏月肆拾禄日目
2,3日中にクサレイヅチが襲ってくる、と皆に伝えたところ、「またかよ…」みたいに少々ゲンナリした空気が漂った。うちの子達はタフだけど、やはり大きな戦いが連続で続くのはしんどいらしい。
まー、うちの場合は大きな戦いの後には必ず労い(意味深)をやってたし、それ以外にも個別に希望を出来る限り叶えているから、里に比べれば精神的疲労も少ないだろうけどね。頑張った成果が形になって手に入る、と言うのはいい士気向上になる。
マイクラ能力のおかげで、設備面の強化が非常に簡単なのが有難かった。個人所有のベッドや、道場の建設から露天風呂、マッサージ機、食料を育てるプラントまで手間さえかければどんどん出来上がるんだから。
おかげで屯所は既に、どこぞの旅館のような有様だ。高級旅館と称するには、ごった煮すぎて情緒が無いけど。
ここで活躍してくれたのが、他でもないオビトである。流石モノノフの始祖と言うべきか、言葉巧みに皆を盛り上げる。ちょっとした扇動を見た気分だが、当人にそんなつもりはあるまい。
単純に、イヅチカナタを討伐しないとひどい事になり、更にととさま(俺な)にとっても自分にとっても因縁の相手である事を強調しただけだ。
それだけで士気と言うか殺意が爆上がりになるんだから、オビトの人望が凄いのか、うちの子達が単純なのか。「若様とオビトに舐めた真似をしくさったイヅチカナタを処すぞー!」「「「「おおおお!!!」」」って感じで円陣組んで気合を入れてるし。
「ととさまがそれだけ好かれているんじゃないか? 私の言葉に耳を傾けてくれたのも、『ととさまの娘だから』という部分が大きかったようだし」
…かもしれんが…もう完全に娘になってるのね、オビト…。いやまぁ、いいんだけどさ。本人は満更でもないようだし、ホロウも友人兼娘って形で納得してるようだし。
とは言え、それが通じるのも今回だけ…いや、良くて次の一回までか。
襲ってきた時点で、何とかカタをつけなきゃな。
「ところで、かかさまはどうしたんだ?」
まだ寝てるんじゃないか? 消耗した体を癒す為に、昨晩は遅くまで頑張ってたからな。
…初めてしった肉欲を堪能しているようにも見えたけどね。
…オビトが『どうやってととさまに迫ろうか…』って呟いていた気がするが、俺は何も聞こえなかった。
色々話が逸れまくったが、要するにこれから迎撃の準備を整えようとしていた訳だ。
日頃から里を防衛する為の備えはしているし、何なら大型鬼に襲われる想定だってしているが、クサレイヅチとトキワノオロチは色んな意味で規格外すぎるから、別途準備を整えなければならない。
で、そんなタイミングを見事について襲ってきやがった訳だよ!
また襲ってくるのは分かっていたから、備えはしていたんだが…流石にこの短期間で戻ってくるのは想定外だよ!
あーもう、やだなぁこの急展開な感じ!
デスワープの予兆をひしひしと感じる。思えば、今までのループでもこうやって、想定外のところで襲われて一気にhageる展開が何度あった事か。禿げてないが。
準備がまるで整ってなかった。橘花達も、まだ回復しきってないのだ。
先日の戦いで宝玉はほぼ使い果たし、補充もできてない。クサレイヅチの因果簒奪を防ぐ結界を張るのは難しい。残り少ない霊力を振り絞って咄嗟に結界を張ってくれたが、長くは保たない。
『覚醒』した以後の橘花にしては珍しく、本気で苦しそうな表情で結界を維持している。そんな橘花を見て桜花が暴走しかかったものの、止める前に自制していた。…色々とイベントを端折ったけど、それでも皆成長しているもんだな。
そんな感慨はともかくとして、里の住人とうちの子達は、可能な限り橘花の住処…神垣の巫女の神殿近くに集められた。
クサレイヅチ出現の影響で、空に穴が開き、朝っぱらから黄昏色に染まっている空を見上げながら、住人達は不安げに声を交わしている。
その中で大和のお頭が壇上に立った。
「急な呼びかけだったが、集まってくれた事に感謝する。見て分かると思うが、緊急事態だ。特殊な力を持つ鬼が襲来している。橘花がその力を防ぐ結界を張っているが、里全体を覆う結界は維持できん」
いつも通りの仁王立ち腕組ポーズで、集まった者達に状況を説明していく。
……大和のお頭、無表情を取り繕っているが、内心で物凄く苦い顔…いや、今にも反吐を吐きそうな顔をしている。それだけ不本意な決断を迫られていると言う事だ。
そりゃそうだろうな…。頭領として、非常な決断を迫られている。
大和のお頭なら、必要であれば下せる決断だ。俺だって、多分同じ決断を下すだろう。
「このまま座して待っても、一刻と経たずに橘花が力尽きて結界が消え、そして俺達も全滅するだけだ。故に……結界を縮小し、最低限の守りだけを残す。その中でかの鬼を討つ準備を整え、挑む」
「……あ、あの、大和のお頭…結界の縮小とはどれ程に…」
恐る恐る声を上げたのは、一般里人の小太郎君。うちの子達とも割と仲良くしてくれる(ちょっと下心あり)ナイスボーイだ。
それはともかく。
「…橘花が結界を張っている、この祈祷場だけだ」
大和のお頭の答えに、静まり返る。
橘花が居る祈祷場は、ちょっとした屋敷になってはいるが、それでも大きな屋敷とは言い辛い。10人も入れば手狭、20人が入れれば身動きすら難しくなるくらい。調度品などを撤去すれば、30人行けるか?
そして、この場に集まっている者は軽く3桁。里の一般人に、主力から見習いまでのモノノフに、偶然訪れていただけの商人や旅人…。
どう考えても、祈祷場の中に入り切る人数ではない。
つまり、大和のお頭の決断は……襲ってきた鬼を殺す為に、里の殆どの者を見殺しにする、という意味になる。
当然ながら、これを告げられた里の人達は恐慌一歩手前だった。むしろその場で暴動が起きなかっただけ理性的と言えるだろう。
大和のお頭が、如何に里人からの信頼を得ていたとしても、「このままじゃ勝てないから、お前ら命諦めて」なんて言われれば、その場で反乱祭りが起こってもおかしくない。
実際、爆発寸前まで狂熱は高まった。裏切者、鬼を倒す為に私達を生贄にする気か、という罵声を浴びても大和のお頭は動じない…掌は血が滴る程握りしめられていたが。
ここだけ聞けば、そう罵られても仕方ない決断ではある。
モノノフが鬼を倒すのは、人を守る為、人の世を続かせる為だ。それが出来なければ、いくら鬼を狩っても意味がない。
クサレイヅチやトキワノオロチの能力や強大さを考えれば、自分達を犠牲にしてでも討ち果たす事は選択肢に入るだろう。それ程に、人の世にとって脅威で厄介な鬼なのだ。
だが生贄にされる方は知った事ではない。
自分達は確かに鬼とは戦えないが、皆が生き延びる為に里の一因として、あれこれ尽力してきたのだ。それを「結界に入りきらないから」という理由で切り捨てられそうになれば、謀反の一つも起こすだろう。
うちの子達の反応は……反発が半分、最後まで話を聞こうとしているのが半分…かな。十分すぎるほどな反応と言っていいだろう。真っ先に声を荒げなかったのは、本気で褒めてやりたい。
何せ、俺達の立場を考えると、縮小された結界の中に入れてもらえる可能性は限りなく低いのだから。
「ただし!」
爆発の兆候を牽制するように、大和のお頭は声に強い圧を籠めて続ける。
「これは皆を見捨てると言う事では決してない。確かに死の危険は、モノノフに限らずこの場に居る全員に降りかかる。だが、皆が生き延びる最大の可能性である事は確信している。これは……里の、いや、人間の総力戦であると心得よ! 老いも若きも、男も女も、この死地を切り抜ける為に死力を尽くさねばならん! 力なくとも、抗わなければならない時がある…それが今だ!」
…カリスマ、かなぁ。
こういうところ、本当に適わんわ…。理屈も何もありゃしない、非戦闘員に武器も持たずに鬼と戦えと言っているのは変わりないのに、昂っていた不満の狂熱は一先ず矛を収めた。
話だけでも聞いてみよう、という状況だろうが…。
「襲ってきている鬼の力は、因果簒奪。直接危害を加えに来るのではなく、その力によって無力化し、その状態から魂を奪うというものだ。逆を言えば、結界の外でその力の脅威に晒されても、即座に死に至る訳ではない。その間に標的の鬼を仕留め、能力を解除させる。そうすれば結界も従来の大きさに戻す事が出来る」
要するに、準備を整えて敵をブン殴ってくるまで囮になれ、と言っている訳だ。
実際、それ以外に手の打ちようがないのも確かだが、普通に暴論である。ついでに言えば、確かにクサレイヅチの因果簒奪には即効性の死の危険は少ないが、トキワノオロチという存在については言及していない。
…いや、襲ってきているのが託宣の通り一匹だけだとしたら、トキワノオロチじゃなくてクサレイヅチの方だな。じゃなければ、因果簒奪が起こっている筈も無し。
囮になれと言われた皆は、ざわざわと小声で囁き合っている。納得できない話だろう。だが大和のお頭の信用や実績を考えると、戯言とも言い切れない。
本当にそれしかないなら、やるしかない。でも恐ろしい。
こういう時の為のモノノフではないのか。どうして自分達が。いっそ力尽くで。いやそうしたところで結界が消えてしまえば同じ事。
「…若、いいか?」
骸佐か。ああ、言ってみろ。
「あの大将の言ってる事は、どうなんだ? 好き好んで打つ手じゃねえのは確かだし、俺もあの大将の事は信用している。俺達は…戦う術があるんだから、結界の外で囮役だろう」
…ああ。皆には厄介な戦いを任せてしまう事になるが、この状況を被害最小限で切り抜けるとしたらこれしかない。
「…若が…お前がやれって言うなら、どんな結果になろうと死力を尽くすさ。元より、腕っぷしで生きてるんだしな。…賭ける価値は、あるんだな」
間違いなく。これだけ絶望的な状況に追い込まれても、自棄にもならず、理想に溺れもせず、それでも最善の結果に向かって走り続ける。それが出来るから、俺は大和のお頭を信頼してんのさ。
そら、連中も腹を括ったみたいたぞ。流石は最前線の里、鬼の脅威に日々晒されながら生活しているのは伊達ではない。最初は動揺したようだが、これも「いつか来るかもしれなかった未来」でしかなかったらしい。
ざわめきが治まるにつれ、誰を結界内に残すか、外に出る時にどうやって鬼に抗うか、真剣に話し合い始めていた。
…この場で暴動を起こしても勝ち目はないし、同じ人間に刃を向けるくらいなら、鬼に一矢報いるまで…と、そういう論調のようである。