※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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最近ちょっとスランプ気味です。
もんくえばっかりやってるからかもしれませんが。
そういや4月末くらいにバージョンアップするみたいですね。 
周回プレイも可能っぽい。

久々にゲームサイトを巡ってきましたが、興味はあるけど発売まで時間がかかるのが多いなぁ。
スターオーシャンにモンハンRPG(画像はあんなもんだろうな…)デビルメイクライのスペシャルエディションその他諸々…。


第61話

 

 

 

堕陽月「狩人なんかに、絶対に負けない!」日

 

 

 影のモノノフこと虚海は、また姿を消した。

 どーも里の近くに居るっぽいんだが、中々捕まえられない。

 差し当たり、手を貸してくれていた礼くらいはしたいんだが。

 

 まぁ、積極的に敵対も味方もしない(味方しているが)ってスタンスのようだし、無理に距離を詰めるのも悪いか。

 何処かその辺に、礼の文でも付けて食料とか置いていけば持っていってくれるかな。

 その前に動物達に食われる可能性の方が高いけど。

 

 

 さて、もう一つの問題の方に移ろう。

 橘花が早くも好奇心に負けて試してみたらしい……いや、こっちの問題じゃなかった。

 

 息吹のキャラエピソードの事だ。

 とりあえず、虚海の影の手助けもあって、物見隊に死者は出なかった。

 重症で寝たきりになっていた者も居るが、とりあえず命に別状はないとの事だ。

 

 おかげで息吹も、里人から罵声を浴びせられる事もなく、命だけは助かった、と胸を撫で下ろしていたようだ。

 …命に別状がないだけで、後遺症は残るかもしれんのだが…正直、それを言い出したらキリがない。

 後遺症が無くても重症を負った、重傷じゃなくても軽症を負った、軽症が無くても危険に晒された……より良い結果を求めれば、延々と自分の不足を見せ付けられるだけだ。

 

 ともかく、息吹の精神状態が酷い事になってないというのはいい事だ。

 いい事なんだがな……。

 

 精神的な鬱屈を抱えたまま放置していると、必ずそれが吹き出てくるのがこの世界のパターンだ。

 根本的な解決、という奴をしないと意味がない。

 

 ただなぁ……それをどうやって解決するか、なんだよな。

 前回は力尽くで、表面的にだけ立ち直らせた。

 ゲームだと…どうだったかな。

 初穂のキャラエピソードと絡んで……そうだ、百日夢にかからずに更に落ち込んで……どん底状態だった時に、里人から「あの時は御免なさい」と言われて?

 そんで何かの任務…確かもう一回タケイクサが出てきたと思うんだが…で再起したんだっけか。

 

 極端な見方をすれば、色々な物が信じられなくなって精神的にボロボロになり、それでも「誰かが危ない」と聞くと反射的に立ち上がろうとする自分を発見して?

 もう一回やってみよう、って気になったんだっけ。

 

 …精神的な再起と言うかトラウマ克服に、ドンゾコまで落ち込まないといけない、という法則はないと思う。

 ただ、自分が抱えている鬱屈を直視してしまえば、そりゃ落ち込みもする、というだけで。

 そして、抱え込んでいる鬱屈を理解せずに、精神的トラウマを乗り越えるのは難しい。

 …結局、まず間違いなく落ち込むのは変わりない。

 

 …百日夢に対する息吹の反応が、どう出るか…だな。

 前回やゲームほど落ち込んでいないから、「どうして俺は夢にかからない」となるか、それすら分からない。

 

 

 ああ、全く以てどうしたものやら。

 

 

堕陽月「そのモンスターをブッ壊す!」日

 

 千歳と橘花の間で、微妙に火花が散ってる気がする。

 相変わらず仲はいいんだけどね?

 

 ちなみに桜花はと言うと、妹に同年代の友人が出来た事を素直に喜んでいる。

 俺の時と違って、特に嫉妬はしていないようだ。

 理由としては、姉妹間での確執が出来るようなイベントが起きてない事と、性別の差だろうか。

 あと千歳の人徳。

 

 それに加えて、前回も嫉妬されるようになったのは、「お遊び」の事について積極的に聞いてくるようになった頃だったしなぁ…。

 

 

 それはともかく、二人で一緒に居る時は、相変わらず冗談を言い合ったり、一緒にお茶を啜ったりして長閑なものだ。

 しかし一人一人になると、千歳は以前より積極的にくっついて来るし、日中でも「スキンシップ」のお誘いがあるし。

 橘花は橘花で、もっと色々な「遊び(健全なのも不健全なのも)」を知りたいと、アレコレ聞いてきたり、そのお礼と称して手でナニしてくれたり。

 

 そして俺と3人一緒に居る時は、こう…微妙な距離感がな…。

 二人とも俺に近付こうとしているんだけど、牽制しあっているようないないような…。

 特に、どっちか一人と一緒に居た時に、もう一人が合流すると、その傾向が強くなる。

 

 千歳は「これは私の」とでも言いたげにくっつこうとすれば、橘花は「アナタにはできない事をしてるんですよ」みたいな僅かな優越感を見せる。

 それでいて、決して険悪にはなってないんだが……ここで油断するのは自殺行為だよな。

 精神的な問題を先送りにすれば、一番厄介なタイミングで爆発する。

 この法則が当てはまるのは、俺自身だって例外ではない。

 

 このまま放置していた日にゃ、どんだけ派手な修羅場に発展するか分かったものではない。

 最低限で考えても、千歳+橘花+桜花+里の皆様+虚海という、物凄いメンツからのお怒りを受けるだろう。

 

 だからと言って、今更二人との関係を切るのも不可能。

 千歳は随分安定してきたとは言え、相変わらず俺に依存している節が見られるし、いきなりスキンシップをしなくなったらどうなる事か。

 橘花にも色々教え込んでいる挙句、手で処理までしてもらったのに、「ハイサヨナラ」なんて事になったら…精神的にどんだけダメージが出る事か

 少なくとも、里の結界に影響が出るのは確実だろう。

 

 

 一時の欲望に従った結果がコレか…。

 切る事も出来ず、無かった事にする事も出来ず。

 これが責任とか業という奴だろうか。

 

 

 

 これを八方丸く治める(こういう考えをしている時点で、責任を取ろうと思ってはいない気がする)方法は、俺には一つしか思いつかない。

 

 

 やってやれない事はないと思う。

 GE世界だって、何だかんだで3人で仲良くヤッてたんだし。

 

 

 つまるところ、「3人公認ならナントカなるんじゃね?」って事だが。

 

 

 

 こんな事を考えつつ散歩してたら、空を飛んでる鳥がフンを落としてきた。

 …どうやら虚海に監視されているらしい。

 

 

 

 

堕陽月「全裸プレイは廃ゲーマーの証」日

 

 

 色々考えてみたんだが、ふと気が付いた。

 俺って、ウタカタの里にとって明らかに毒じゃね? 癌じゃね?

 

 なんだかんだで、ループ初期時から数え、ウタカタの里に辿りついてモノノフとして戦う事、3度目。(それ以前はウタカタに来れなかったり、モノノフじゃなかったり)

 初回は攻勢を受けた時、ミフチその他に勝てずにバッドエンド。

 2度目は那木さんと懇ろになったのはいいが、橘花にまで手を出そうとし、挙句各キャラエピソードを中途半端な形で終わらせて、ゴウエンマ戦で仲間割れ。

 そして今度の3度目は、またもや欲望に流され、橘花と千歳を手篭めにしようとして、二人の間に微妙な空気を構築させてしまっている。

 

 本来の主人公役の姿も見えないし、放っておいたら確実にオオガマドキVer.2でデスワープ確定だと思っていたから、ずっと関わってきていたが…いっそ、完全に放置した方がよかったのだろうか?

 それとも、虚海のように影のモノノフに徹するか。

 

 

 

 ま、やるとしてもあくまで次回以降。

 今回のループは、千歳と橘花をナントカ丸め込まなければ。

 責任とって、ちゃんと公認にさせなければ。

 

 とは言え、具体的にはどうしたものかな。

 要は二人で俺を共有するのに、抵抗がない状態にするか。

 エロい事に夢中にさせて、文句を言う気が無くするか?

 

 …後者は難しいな。

 何度も似たような事をやってるが、アレはオカルト版真言立川流があってこそ。

 素の状態の俺のテクは、そこまで高くない…と思う。

 比較対象が居ないんでよく分からない。

 

 で、オカルト版真言立川流は千歳には効きにくいし、橘花には使いにくい。

 千歳は鬼の体に阻まれて霊力が通りづらいし、神垣の巫女である橘花にヘタな事をすれば結界に影響が出る。

 反則技は使えないって訳だ。

 

 とは言え、アドバンテージがない訳ではない。

 オカルト版真言立川流を使い続けていたからか、エロい事した相手の事は、ある程度感情を把握できるようになっている。

 房中術の基本は相手を観察する事、と何かで聞いた事があるが、これがその成果だろうか。

 

 

 ともかく、和解ルートがない訳ではない。

 そこに至るまで、どうすればいいのかもある程度は見えている。

 ただ、暫くの間は下準備の為、手を打つ事が出来ない。

 その下準備の間に、修羅場爆発しない事を祈るしかない。

 

 

 

 

 

 成功したら成功したで、別の意味での修羅場が出来上がるのが目に見えてんだけどな。

 

 

 

堕陽月「人生とは重き卵を背負うてリオレウスに追われるが如し」日

 

 橘花と千歳に仕込みを続けて暫く。

 幸いと言っていいのかは分からんが、最近の里は平和なものだ。

 

 順番通りに来るなら、次は初穂のイベントだ。

 順番通りなら、な。

 

 これまでの鬼の出現を考えると、今回のループは従来の鬼達とは違うパターンで出現している。

 仮に、今回出現するのがミズチメではなかった場合、どうなる?

 …夢を操るのは、ミズチメの固有能力の筈だ。

 仮に、これでミズチメではなくゴウエンマ辺りが来たら?

 

 とりあえず前回のリベンジをするのは確定として、百日夢にはかからないだろう。

 ミズチメの亜種であるカガチメ辺りなら、同じ能力を持ってるかもしれんが…。

 

 

 

 

 

 よく考えてみりゃ、ミズチメが狙うのは初穂だけじゃなかった。

 初穂が倒れる前から、何人か百日夢を患う人が居た筈だ。

 

 少しばかり調べてみるか。

 と言うか、次回からはウタカタについたら真っ先に調べよう。

 

 

 

 

 

堕陽月「チャットは狩りの潤滑油」日

 

 結論から言うと、矢張りミズチメが居るっぽい。

 既に何人か百日夢らしき症状が出ている…一ヶ月以上前から。

 

 

 

 

 

 原因探せよ。

 

 

 

 

 

 百日夢って、この里のじーさんでも知ってたぞ。

 そりゃ医者にしてみりゃ珍しい奇病なのかもしれんが、ちゃんと資料だってあるんだし。

 

 …ともかく、ミズチメが居るなら、前回同様地下水脈を辿った先に居る可能性が高い。

 いきなり言っても根拠が無くては相手にされそうにないので、秋水に頼んで資料を作ってもらった。

 

 …あの様子は、俺が本当に未来から戻ってきた(実際はループだが)のかの試金石になる、とか考えてるツラだな。

 これで本当にミズチメないし夢を操るような鬼が居れば、先日俺が言った事にも信憑性が出る、と。

 

 

 で。

 30分くらいで秋水が作ってきた資料を持って、大和のお頭の所へ行ってきた。

 大和のお頭も、百日夢については手を討とうとしていたようだった。

 だが、里の守りやら何やらで中々手が出せなかったとか。

 …うん、まぁ、防御を削るのは確かに命取りだけどな。

 何だかんだで最近、大規模な攻勢が2度もあったし、迂闊なタイミングで調査に出れば、カウンターを食らって里が壊滅しかねなかったのは事実だし。

 

 

 しかし、ミズチメの居場所は見当がついた。

 物見隊を向かわせるそうだ。

 

 …実のところ、ヤマトの頭は相当にこの百日夢が気になっていたらしい。

 鬼の搦め手が里に侵入してきている事も気になるが、この病は、戻りたい過去がある者が非常にかかりやすい。

 そりゃ人間誰しも色々後悔を抱えているから、誰だって過去に戻りたいと思いはするだろうが……そういうレベルじゃない奴が一人居る。

 

 言うまでも無く初穂だ。

 そういえば、初穂の事情を聞くのは今回は初めてだな。

 何せ文字通りタイムスリップして、色々な物を一度に失ってしまった身の上だ。

 そりゃ過去に帰りたいと思わない方がおかしかろう。

 

 そしてそんな初穂は、最近メキメキと腕をあげて一人前扱いされるようになってきた、里の重要戦力だ。

 ただでさえ人数ギリギリのこの里で、初穂が百日夢にでもかかってしまったら…。

 

 また大きな攻勢をしかけられてしまったら、初穂が欠けた分だけ守りが薄くなる。

 今度はまず間違いなく防げないだろう。

 

 だから、早めに百日夢をどうにかしたがっていたみたいなんだが……。

 

 

 

 ニヒルな顔で「フッ」と笑って、「だが、要らぬ心配だったかもしれんな」と付け加えた。

 

 

 …どういう意味?

 

 

 

堕陽月「あまりモンスターを理解できるとは思わない。わかるのは、狩りやすいか面倒くさいかだけだ」日

 

 ミズチメ発見。

 秋水の作った資料通り(半分以上、俺が喋った内容通りだったが)に、地下水脈の先に居たそうだ。

 秋水が「ふむ」と俺を見ていたがそれは置いといて。

 

 

 早速討伐に出る事になった。

 参加するのは、言いだしっぺの俺、千歳。

 そして千歳が行くなら、と名乗りを上げた初穂と、何故か息吹も。

 

 …何だかよく分からんが、息吹は「千歳には随分元気付けてもらったからな」と笑っていた。

 俺の知らないところで何があったのかは知らないが、先日の一件の時に色々励ましでもしていたんだろうか?

 

 と言うか、よくよく考えてみれば大丈夫か?

 息吹は……まぁ、精神的に安定した状態だからいいとして。

 初穂はゲームでも百日夢にかかっていたし。

 千歳に至っては、よく考えてみりゃ初穂同様、タイムスリップしてこの時代に飛ばされてるんだった。

 おまけに、鬼の体という忌まわしい(特に穢れたバベルの塔が)体。

 

 過去に戻りたいと思っているのは、初穂よりも千歳じゃないのか?

 

 …場合によっては、行動不能になった千歳を抱えて一時撤退も視野に入れるべきかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 が、そんな心配は全く無かったようだ。

 

 ミズチメ速攻撃破。

 今回のループに入ったすぐ後、千歳と出会う前にも微塵切りにしたっけな。

 あの時は神機を使っていたが、もう下位のミズチメなら通常武器だけでも圧倒できるようになっていたらしい。

 油断は禁物だが。

 

 で、任務帰りに、「こんな心配をしてたんだよ」みたいな話をポロッと零したのだ。

 そしたら揃って呆れられた。

 

 

 初穂曰く、「昔に戻ったんじゃ、千歳と離れ離れになっちゃうじゃない」。

 

 

 …シスコン魂で、既に心の問題を振り切っていたらしい。

 ………千歳を里のアイドルにしようとしてたのは、確かにこういう効果を期待しての事だったんだが…なんか納得いかんな。

 

 息吹も息吹で、「ま、確かに戻りたくない訳じゃないが、今にも守りたい奴や、手を貸してやりたい奴らは居るんでな」。

 …やっぱ千歳か?

 

 そして千歳は千歳で、「一緒に戻ってくれるなら、それもいいかも」。

 …この子の場合だけは、多分俺だよな。

 

 要するに3人とも、過去は大事だが、現在居る「誰か」を失ってまで戻りたいとは思えない…という事か。

 大和のお頭も、こういう人間関係を把握していたから心配してなかったんだろうか。

 

 初穂に「アンタ人間関係に鈍いわね」とか言われてしまったが、全く反論できん。

 特に、千歳が俺から離れようとするところなんて想像もできないわ、と(裾を噛みながら)言われてしまった。

 ぬぅ、確かに説得力がある。

 

 

 うーむ、やっぱ他の誰かを主人公役に押し上げた方がいいんだろうか。

 いや、これは千歳が可愛くて頑張っているからの結果なのか?

 

 

 

 ともあれ、息吹と初穂のキャラエピソードはこれで終わりかな。

 今ひとつ盛り上がりに欠ける気もするが、スムーズに解決すりゃどんなトラブルもそんなものだろう。

 

 

 

 さて、そうなると……前回の流れに沿えば、富獄の兄貴のエピソードなんだが、もう先日の大攻勢の際に終わっちゃってるんだよね。

 ならば、次はいよいよゴウエンマに前回のリベンジか……或いは、またストーリーの順番が狂って、速鳥か桜花のエピソードが来るか。

 

 

 

 どっちにしろ、千歳と橘花の修羅場回避が優先だった。

 

 

 

 

堕陽月「天は狩人の上にモンスターを作らず」日

 

 虚海に用事があったんで、一人で任務に出た。

 連絡方法が無いんで、誰も居ない異界近くで大声で呼ぶくらいしかできない。

 まぁ、近くに不自然な動きをしている動物が居れば、多分それが虚海の使役する動物なんだが……ひょっとしたら千歳が使役してるんじゃないか、とも思えるんだよな。

 

 とにかく、さっさと一仕事終えて、大声で呼んだのだが…出てきてくれない。

 近くに動物も居たし、伝わってるのは間違いないと思うんだが。

 

 むぅ、確かに積極的に交流を持つ気は無いような事を言ってたが…。

 

 

 仕方ない、ちょっと強引に呼び出すか。

 

 

 

 

 

 

 という訳で、都合よく里をフラついていた橘花と神木にシケ込みました。

 ほほぅ…計画通り、しっかりと自習を進めているようですな。

 と言うかもうかなりハマッていると見た。

 

 まぁ、ただでさえ色々と抑圧される立場に居る上、ヤりたい盛りの年齢だもんねー。

 女の子だって、一度知ってしまえば逃げられませんわ。

 

 さて、橘花に色々吹き込みつつ、しっかり俺も処理してもらいまして。

 

 

 こうすりゃ怒った虚海が自分から姿を現す筈。

 

 

 

 

 尻でそーいう事する人も居るんだぞ、その場合こーいう準備が必要なんだぞ…という所まで教えて解散。

 流石に絶句していた。

 前回同様、色々と誘導しておいたから、暫くしたら試し始めるんじゃないかな。

 道具はちゃんと揃えてるぞ。

 

 

 

 そしてまた里の外に出て、虚海を呼ぶ………前にドロップキックを喰らった。

 ビンタを23…2、3発ではなく二十三発…発叩き込まれたところまでは覚えているが、そこから先は数えてない。

 鬼側の手を握って拘束し、蹴り上げようとしてきたので股間を死守、残った一方の手でパンチパンチパンチだったが、その程度の筋力で俺をどうこうしようとは脇痛し。

 

 まぁ、怒り疲れて話を聞いてくれるようになるまで、かなりかかったけどね。

 俺の顔より、千歳の拳の方が心配になるくらい殴られた。

 俺?

 ダメージ大目に見積もって10くらいかな。

 

 で、まぁ話をする前にも、色々と(至極真っ当な)文句を言われたんだが……いたいけな少女に楽しみを教えるのはいいが、如何わしい道に誘い込むなとか。

 千歳という者がありながら、浮気するなら不能にする呪いをかけるとか。(限りなくマジな顔だった)

 そして虚海を呼び出すためだけに、純真な少女を弄ぶとか外道もいい所だと。

 

 

 

 うん、言いたい事は痛いほど分かる。 

 

 

 

 

 でもな、それだって元はと言えば千歳がスンドメばッかするからなんだよぉぉぉぉぉ!(逆ギレ)

 

 千歳より性的な知識があるみたいだから、筋違いだと分かっててもブチ撒けるけどな!

 俺は毎晩、千歳とあーいう事をしてるんだよ!

 でも下半身にはお互いノータッチ!

 出すに出せないこのもどかしい感覚、虚海に分かるか!?

 分かるまい!

 

 

 

 

 

 

 いや、分かるんだよな?

 

 

「は?」

 

「分かるよな、お前なら。ご立派様を持ってるお前なら!」

 

「な、何を言って…・・・いやちょっと待ておんしまさか」

 

「元はと言えば千歳のせいだしなぁ!」

 

「………………!!!!(反論より先に逃げようとする)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっちまった。

 挿入まではしてない。

 

 

 

 

 そして千歳に真言立川流を通用させる術を見つけた。

 

 

 

 まぁなんだ、ご立派様を通して霊力とか送ってやれば、充分効くみたいでね?

 

 

 

 

 

堕陽月「狩りに失敗が無いと、人生に失敗する」日

 

 

 昨日は帰ったら、スキンシップの時に千歳が首を傾げていた。

 「何か、知ってるけど知らないようなニオイがする」だって。

 

 …やっぱ、ヘタな相手とヤッてたらハイライトが消えた目フラグだったな。

 

 

 さて、虚海を腰砕けにさせたお蔭で少しは発散され、冷静になったけどどーしたもんか。

 欲望抜き…いや、ちょっとだけ込みで判断するが、千歳にせよ橘花にせよ虚海にせよ、関係を切る事は不可能だと言っていい。

 

 千歳も橘花も、もしも今の関係を切ってしまえば、精神的に不安定になって自滅するのが目に見えている。

 虚海に至っては、最悪の手段を使ってしまった形になるからな……しかも泣き寝入りするような性格じゃない。

 繰り返し行為を続けて、暗示やら何やらで縛り付けないと、確実に反乱(支配下においている訳じゃないんで、この表現もおかしいが)を起こす。

 

 結局、スッキリしたのはいいが、状況をややこしくしただけだった。

 いい加減学習しろよ俺、と思うが……学習したところで欲望に流されるのは目に見えてるなぁ。

 

 

 

 それはともかく、虚海にイヅチカナタの事について詳しく聞いてみた。

 

 あまり話したくない様子だったが、そこはそれ、まぁ押し倒して色々やってる状態で聞き出したから。

 話さないなら、このままヤッちまうぞ、とか普通に脅迫というか犯罪である。

 まぁ今更だが。

 

 と言うか、マジで全くそーいう経験が無かったようで、色々弄り回したらアッサリと喋ってくれた。

 頭が朦朧としてたようだが……。

 まぁ、50年以上経験無しの喪……もとい処女がいきなりオカルト版真言立川流、しかも本来なら女性には存在しない部分から叩き込まれれば、正気を保つほうが難しいか。

 

 

 

 実際のところ、虚海もイヅチカナタについて詳しい訳ではなかった。

 この50年以上、色々と資料を探ってみたが、因果を食われた為なのかロクなデータが残っていなかったらしい。

 

 ただ、イヅチカナタが現れる場所には、「翡翠の乙女」というのが現れるらしい。

 「ホロウ」という名らしきその少女は、何でも時間を飛び越える能力を持っており、それを使ってイヅチカナタを追いかけ続けているそうな。

 歴史の変わり目に英雄が現れ、英雄に釣られてイヅチカナタが寄ってきて、それを追いかけてきたホロウが、現地の人達と協力してイヅチカナタを追い返す。

 しかし追い返した時には、既に因果の多くを食われ、誰もホロウの事を覚えていない。

 例外は、人ではなく書物に残された数行の文章と、因果を食われる前に未来に飛ばされた千歳と虚海のみ。

 

 

 ホロウ、ねぇ…。

 そういや千歳が前に、「ホロウお姉ちゃん」とか言ってたな。

 

 

 そして虚海の目的は、そのホロウに会う事だった。

 時間を飛び越える力を持っているなら、虚海を元居た時代に戻す事も出来るかもしれない。

 それを使って、元の居場所に戻る。

 

 

 

 

 その為に、これからウタカタ付近で起こるであろう、オオマガドキを利用しようとしていた、とな?

 

 

 

 それはちょっと聞き捨てならんな…。

 

 

 

 

 と思ったが、そう大それた事を考えていたのではないらしい。

 オオマガドキが起こるなら、それを防ごうとするモノノフ……英雄も出現するかもしれない。

 なら、それに釣られてイヅチカナタが現れ、それを追って翡翠の乙女…ホロウとやらが現れるかもしれない。

 

 自分から特に手を出すような事はせず、状況に任せるだけのつもりだったようだ。

 本当かよ?とは思うが、千歳という存在一つで計画を取り止めにする辺り、確かにそう大した執念は持っていなかったのだろう。

 或いは、ホロウが本当に来るとは思っていないのか…。

 

 オカルト版真言立川流で色々弄りまくった為か、虚海の精神状態もある程度把握できるようになっている。

 ハッキリ言えば、絶望……というより、諦念に満ちていた。

 既に生きているのも惰性に近い。

 元の時代に帰りたい、という唯一残った願いに引きずられるように動き続けているだけだ。

 それも、本当は時間を遡って帰る方法があるとは思えていない。

 万が一にもホロウに本当に出会えたら、万が一にも本当に時間を遡る力を持っていたら…。

 その万が一の望みを捨てられず、ただ生きている。

 

 …キッツいなぁ。

 

 

 何がキツいって、虚海の境遇もそうだが、俺もいつか同じ事になるかもしれないってのが。

 このままループから抜けられず、何をやっても、何を成し遂げても、デスワープするたびに全てがリセット。

 親しかった相手から見ず知らずの他人を見る目を向けられ、ただ機械のように狩りを続けて…。

 

 他人事じゃないんだよな。

 

 

 

 まぁ、いつかはそうなるかもしれないってだけだから、今から考えても仕方ないね。

 余計な事を考えると、尚更そんな風になっちまいそうだし。

 

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