とりあえずブラボからやってます。隻狼やってからブラボだと、「ジャンプできない!」でストレスを感じそうなんで。
いつになったらクリアできるんだ…。
ようやくレベルアップできるようになったばかりです。
思い返せばこの4年間、実に様々な事がありました。
感想をいただいて励みにしたり、愚痴をこぼしてしまったり、転勤したり、緊急事態宣言が発令されたり、催眠音声や耳舐め音声に嵌ったり、18禁作品として運営さんから注意をいただいたり、事故ったり、対魔忍RPGXを始めたり、鬼滅が異様なくらいにヒートアップしたり、妹が結婚して子供まで生まれたり。
なんのかんのと乗り越えてこられたのは、偏にお付き合いくださいました皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
しかしそれはそれとして、思い返すと反省点も数多くあるSSでした。
誤字脱字に設定矛盾、行き当たりばったりで書いているから食い違う記述。
そもそも長くても中編で終わらせるつもりだったのが、4年も続いてしまった時点でお察しです。
特に討鬼伝編最終ループは反省しまくりです。
ハーレムは好きですが、人数出せばいいってもんじゃありませんね。
ですがおかげで、色々と学ぶことも出来ました。
プロットや初期設定の大切さ、書き分けできる人数制限の重要性、筆が乗っている時とそうでないときの格差。我流で文章を書いていると、どうしてもわかりづらくなる現実。
お付き合いしてくださる皆様のありがたさ。
これらを活かして、次の執筆を……と行きたいところなのですが。
次の作品の当てもなく、時間・ネタ・情熱共に確保できているとは言い辛い為、暫く筆を置かせていただきます。
かつて投稿した幻想砕きの剣、その始まりが…え゛、2005年…? エターになった作品も多いですが、思っていた以上に執筆歴が続いていたようです。
次に投稿できるのがいつになるかは分かりませんが、またいつかお会いできるのを楽しみにしております。
※この話の間、語っている人物の表情や口調は一切全く微塵たりとも変化していません。その辺を気を付けて想像してください。
----Side ペイラー・榊----
やあ、久しぶり。元気そうだね。
あんな剣幕の女性陣に追いかけ回されて、よく生きてたねぇ。これまで戦い続けてきた経験は伊達じゃないって所かな? 女性を怒らせるとアラガミよりも鬼よりもモンスターよりも怖いと言うのは、スターゲイザーの私でさえ逃げられない真理らしいね。
…そうかい、まだ追いかけられてるのかい。ま、アリサ君が君を諦めるとは思えないしね、色々な意味で。
私としては、見ている分には愉快だし、悪い事にもなってないから、好きなだけ仲良く追いかけっこしてくれたまえ。
どうせ君の事だ、ただ追いかけ回され狩られるだけじゃないんだろう。…逆に孤立させてから狩っている(意味深)? そしてアリサ君もそれはそれで問題なしとしているが、追い詰めて殴るのは諦めてない…。 お盛んだね…いや詳しく聞きたくない。いくら私でも、生々しい他人のプレイの話なんか聞いても気分はよくないよ。
ああ、私は窓の外の景色を見ていただけさ。本当に、様変わりしたものだ。
以前は極東近辺こそ、GKNGの尽力で植生が復活していたが、今は外を眺めれば遠くの山さえ色とりどりの木々に覆われている。世界を超えて活動していた君でも、これが私達の世界にとってどれだけ衝撃的な事なのか、理解できるだろう?
三つの世界が融合した事で、恩恵もあったが問題もあった。
その最たるものが食料問題だね。我々の世界と…君が言う『討鬼伝』世界は、人の住める土地すらなくなり、徐々に飢えて死に向かう事が定められていた。終末捕食やオオマガトキとやらが起こらなくても、これを覆す方法は全く見つかっていなかった。
だけど、『MH』世界とやらの食料と土地は、それらを全て補って余りある程だ。
食料、資材、技術、文化、それぞれが交じり合い、新たな形を形成し、失われた形もある程度は取り戻せた。人間に限らず、3つの世界の生物が繁栄するには、十分な下地が整ったと言える。
逆に、問題の最たる物は外敵だね。アラガミは、まだいい。未だ数を減らす傾向が全く見られないが、アラガミ細胞はその役割を終え、変わりつつある。行き詰った世界を全て食い尽し、リセットする為のアラガミは、生命力と可能性に満ちた世界に取り込まれた事により、自らの役割を終えようとしている。
……尤も、ただ消えるつもりはなく、モンスターのように普通の………私達から見ると『普通』とは言えない生態だが、普通の土着生物のようになろうとしているようだね。
モンスターも、徐々に変わり始めているという話を聞いた。この世界の主と言えるのは、ゴッドイーターやモノノフが現れても、人間ではなくモンスターだと言っていい。
強靭な肉体、生命力、火を噴き空を飛び……個体にもよるが、アラガミが赤子に思えてくるようなモンスターさえ居る。彼らは新たな外敵の出現に呼応するように、進化を始めている。
それこそ、アラガミ細胞の進化能力を真似たかのように。
鬼は相変わらずのようだ。尤も、私は鬼達についてそこまで詳しい訳ではないけども。だが、元は全く違った世界で生息していた一個の生態系、という話も納得できる。この世界にやってきても、彼らは自分達のテリトリー…異界を作り出し、そこで生息しようとしている。
尤も、その程度ではモンスターやアラガミの侵入を阻止する事はできないようだけども。
人類の戦力、生活力は倍になったが、外敵の力は3倍以上になったと思っていいだろう。
知っているかね?
世界が融合した後、多少の混乱はあったが、人には大きな被害が出ていない。見知らぬ隣人との諍いは、全くと言っていい程発生しなかったんだ。突然蘇った、覚えのない記憶に混乱したり、つっかかって行こうにも武器も道具も無く、誰もが動くに動けない状態で膠着状態に陥っている間に、各世界の穏健かつ理性的な指導者達が接触・協定を結んだ事により、見知らぬ隣人だった者達は、見知らぬが有用な隣人となり、人々の諍いは抑え込まれた。
恐らくは、3つの世界の生物達にも、物理的な被害は出ていなかっただろう。点々と交じり合った世界だったが、例えば融合した時に建物同志がぶつかりあって破損したり、混乱が起きて人的被害が出た数は、0に等しい。
まるで、誰かが長い時間をかけて、世界と言うパズルのピースを、ピタリと嵌るように加工したかの如く、ね。
そう、世界規模で…単純計算して、星三つ分の規模で融合しながら、天変地異一つ起きていない。例えば海だ。三つの世界が融合した結果、潮流は複雑に絡み合い、突如として容量を増した海水、星の重力等。異変が起こる下地は幾らでもあった。しかし、海は相変わらず薙ぎ、時に荒れ狂うままだ。
こんな事が起こる確率が、どれ程低いと思う? 天文学的、という表現でさえまだ足りない。
誰か…『何か』が全てを計算して、摩擦さえ起らない完璧なスマートさで、意図して配置したとしか、思えないんだ。
ここに関しては、ある程度説明はつくんだけどね。元々、君も『ひょっとしたら』と思っていたんだろう?
君が飛び回っていた三つの世界……それらはかつて、一つの世界だった。これはほぼ間違いないだろう。大陸ではなく、文字通り世界によるパンゲアとは、随分スケールの大きな話だね。元々一つの物だったから、くっつけるのにそう無理はなかった……とは、少し暴論がすぎるかな。地形でさえ、100年も経てば様変わりする。それらをくっつけ合わせて全く被害が出ないのは、やはりおかしい。…となると、やはり何らかの見えざる手の介入を思い浮かべずにはいられないよ。
だが、融合の方法はともかくとして、世界がかつて一つだったのは確かだ。各地から取り寄せられた資料がそれを証明している。
MH世界の『塔』や、残された古代文明の痕跡。不自然なまでに断絶して欠損していたそれらが、世界融合の後には欠損が埋められている。…調べてみれば、各世界に謎の遺跡として残っていたそうじゃないか。我々の世界で分かりやすい例をあげれば、ナスカの地上絵だね。製法も役割も謎のままだったけど、世界融合の後には関連があると思われる別の遺跡が、すぐ近くに出現していた。…その関連性は、まだ調査できていないけども。
もしかしたら、世界はこうやって存続してきたのかもしれないね。
自分だけが存在している状態では、いつか力尽きてしまう。そうなった時に、誰も助けてくれない。
だから幾つかに自分を分けて、それぞれで生き延びようとする。もしも何れかの世界が力尽きそうになっ時には、無事な世界と融合する事で命を保つんだ。
そう的外れな推測ではないと思うよ。どれ程のスパンで、分離・融合を繰り返してきたのかは想像もつかないし、ひょっとしたら時には人為的に分離・融合を行う事さえあったのかもしれないがね。。
それはそれとして、君、最近どうやら悩んでいるようだね。……その内容を当ててみせようか?
何、考えて推理する程の事でもないさ。
「自分は本当に、繰り返しから解放されたのか?」
そんな不安が、透けて見えるよ。
こればかりは試せないからねぇ…。もしも本当に繰り返しから解放されていれば、試した次の瞬間には全てを失う事になる。君なら、案外幽霊になって存続できるんじゃないかとは思うけどね。
…そうだね、確かに君はイヅチカナタ…という鬼を討った。その鬼を討った途端、君を含めた何人もの…君さえ覚えていなかった繰り返しの中で、君と粘膜的接触を一度でも持っていた相手の記憶が蘇った。
同時に、イヅチカナタに喰われていたシオや千歳君も解放され、更には君が言う、三つ以上の世界が融合した。
ハッピーエンドと言っていいだろう。君にとっては、今までの行為全てを清算しなければならない、どんなミッションよりも困難な修羅場の始まりだったようだがね。そこら辺はどうしようもなく、自業自得だと割り切り給え。……(女)狩りを楽しんでいるから困難ではあって辛くはない? あ、そう。
だが、そのハッピーエンドの中に、君が繰り返しから脱したという証拠は、何一つ現れていない。
イヅチカナタと君の因縁を聞いてはいるが、イヅチカナタが君を繰り返しに閉じ込めていたという証明は何一つされていない。
ただ、その鬼は君が繰り返す直前に現れ、そして記憶を奪って消えて行った。その中で、君を過去に飛ばすような事をしたとは、誰も証言できてない。
まぁ、全くの無関係ではないと思うけどね。世界全てが、君が死ぬ度に特定時点まで巻き戻されていた訳だけど、君と因縁があったイヅチカナタだけはその影響を受けていなかったんだから。
その上、そのイヅチカナタを討伐したタイミングで世界融合だ。ただの偶然にしては、出来すぎている。
…イヅチカナタの役割にも、疑問が多いしね。
イヅチカナタは複数体居たそうだが、君と因縁のあったイヅチカナタは明らかに例外個体と言える。高い知能もそうだし、行動原理だってそうだ。
君は、おかしいと思った事はないかい? どうして千歳君は、イヅチカナタに取り込まれていたのか。千歳君だけではない。シオもそうだ。…ああ、ややこしい言い方だったね。
君を伴侶と見做している方のシオだよ。そう、ソーマと一緒に居るシオではない。君が討伐したムスヒホトキの中から現れて、君を袋叩きにしたシオだ。
ややこしいねぇ、シオが二人いると言うのは。ふふ、特異点が二人か。そう考えると訳の分からない状況になっているものだ。まぁ一番訳の分からない存在は、今正に私の目の前にいるんだがね。
ソーマも苦い顔をしていたよ。シオ同志は、あっさりと友と呼べる関係になっていたが……どうにも、複雑な思いも抱えているようだ。それでも、千歳君と虚海君の関係よりはシンプルだが。
無理もないね。シオはあれで感受性豊かな子だ。突然、双子以上に似通った姉妹が現れて、それが自分とは別の相手を伴侶としている…。文字通りの姉妹なら当然の事だが、あのシオ達は同一人物に限りなく近い。
君も、ソーマに張り倒されたんだろう? 繰り返しの中で、君がシオに『さっさとソーマを押し倒してしまえ』と嗾けたから、と言っていたが…それ以外の感情も絶対にあるね。
話が逸れたけど、君が死んだら…いう所の、『デスワープ』ってやつだね…全てが特定の時点にまで引き戻された。この辺の原理については見当もつかないけど、イヅチカナタが『因果』を奪って行ったのは間違いないだろうね。そう、因果だ。間違っても、物質を奪っていくのではなかった。
にも関わらず、どうしてシオと千歳君はその体ごと取り込まれていたのだと思う? 繰り返しの中では、虚海君もイヅチカナタに何度も遭遇していただろうに、彼女は因果を奪われるのみで、体は囚われにはならなかった。
…私は、こう考えているんだ。君にとってイヅチカナタは、憎んでも憎み足りない怨敵だったかもしれない。
だけど、その実態は君の為の存在だったんじゃないか、ってね。
そんな顔をしないでくれたまえ。根拠のない話じゃないんだからさ。
私の考えは…科学者としては運命論、或いは『神』…高位次元の第三者が前提の考えになるから、噴飯物もいいところだが…。この世界融合を目論んだ者がいるとすれば、それにとって君は『道具』になるだろう。
そうだね、一つ一つの世界を彫刻に例えよう。元は同じ木や石から削り出された、全く違った形に掘られた彫像だ。
勿論、これらを一つの彫刻に合体させる事なんか、そのままでは出来ない。雰囲気もコンセプトも違うし、調和が取れない。それ以上に、互いの装飾が邪魔になって、並んで立てる事さえできはしない。
この彫刻を一纏めの作品にしてしまうには、どうすればいいか? 簡単な事さ。邪魔になっている部分を切り落としていけばいい。そうすれば、並べて一つの作品に出来る。やり方によっては、部位を絡ませて合一させる事さえ出来るだろう。
…その、無駄な部分を切り落とす為の彫刻刀が…君だ。君は繰り返しの中で、世界が互いを受け入れるのに邪魔になる部分を排除させられていたのさ。その邪魔になる部分が、どういう理由でどんな風に邪魔になっていたのかまでは、類推する事しかできないが…。
そして、どんな切れ味の鋭い彫刻刀も、使い続ければ木屑だらけになっては鈍る。その木屑を取り除くのが、イヅチカナタの役割だ。
君も自覚はあるんだろう? イヅチカナタによって因果、記憶を簒奪されていなければ、数えるのも億劫な程に繰り返されたループを乗り切る事はできなかった。肉体は復元されても、精神が確実に壊れていただろう。
さて、そう考えると、イヅチカナタの行動にも別の意味が見えてくる。
もしも本当にイヅチカナタが君の為の存在ならば……取り込んだシオや千歳君、そしてもうすぐ産まれそうになっている君の赤子達は、どうして消化されていなかったんだろうね。
イヅチカナタは、因果を食料、ないし燃料として奪っていく。因果と言えども消耗品である事には違いないだろう。…千歳君が取り込まれてからも、何度も何度も繰り返しは続いた筈だ。それこそ、女遊びにかまけなければ、君であろうとも壊れてしまう…と、イヅチカナタの中で見ていた千歳君が悟るくらいには。それ程に長い間、どうして彼女達は『消化』されずに残っていたのか。
まして、イヅチカナタの最後はムスヒホトキと化して、因果を燃やして力を得ていたんだよね? ますます無事である理由が分からない。
君を相手にする為の人質としてとっておいた…という考えもできなくはないが、私の考えは逆だ。
イヅチカナタは、君にとって重要な物をとっておく為の、保管庫だったのさ。基準については……こう言ってはなんだが、希少度ではないかな。
言っている意味が分からない? 文字通りさ。
どれだけの回数を繰り返したのだとしても、滅多に起こらない事と言うのはあるものだ。
例えば、時代を超えて流された直後の千歳君が、君の前に現れる事。
例えば、君が言う『ゲームシナリオ』を無視して、シオを君が掻っ攫う事。
例えば、避妊を行わずに交わって、子を成す事。
どれも、確率的に考えれば非常に低く、そして君にとっては手放しづらい事だろう?
千歳君の例に関しては、時空流離にあって君の目の前に現れる可能性は、ほぼ0に近い。
シオに関しては、君の意識次第だろうが…ソーマとシオのカップリング、という固定観念が根付いているだろう。君、いわゆる『寝取り』の趣味はないだろ?
子を成す事に関しては言わずもがな。君はどれだけ女性を虜にしようと、避妊だけは続けてきた。遠からず死んで、無かった事にされてしまう…とずっと忌避してきたんだろう。充分な力を付けたと確信した、ただ一度のループを除いて。
それらがイヅチカナタに奪い取られれば…成程、君が激怒するのも当然の事だ。
しかし、逆に考えてみよう。イヅチカナタが、それらを奪い取らなければ、一体どうなっていたのか。
君が死ねば、全ては巻き戻されてなかった事にされる。意志や思い出を継ぐ者も無く、父無し子という形でさえ残らない。何もかもが、文字通り『何も無かった』となる。
最初は、覚悟していたんだろう? どこかの世界でイヅチカナタを討伐し、因果を解放したら…他の世界の人達とは、もう会えなくなるだろう、と。『デスワープ』が出来なくなるなら、それこそ永遠の別れとなっただろうね。
でも、結果的にはどうだい? イヅチカナタがそれらを『保管』していたおかげで、討伐したら全てが帰って来た。三つの世界の融合というおまけ付きでね。
…そんな状況に追い込んだのがイヅチカナタなのだから、感謝する理由はない? 辻褄が合わない?
おいおい、忘れたのかい?
イヅチカナタが本当にデスワープ、繰り返しの原因だったのか…と疑っているのは、君自身だよ?
感謝云々に関しては、まぁ、そうかもね。イヅチカナタにそんな意識があったのかと言われれば、まず間違いなく否だろう。君が意図せずして、世界融合に邪魔な要素を排除していたように。
ま、この推測が的を得ているとしたら、これらの流れを意図したのは世界融合を目論んだ高位存在だろうね。単に珍しいから残したのか、利用した君に対する褒章や贖罪なのか、もっと別の動機…例えば、今後必要になってくるから…なのかは分からないが。
…今後? …うん、そうだね。まだ何かあると思っているよ。世界融合のような大きな出来事かは分からないけども。
さっき、世界を彫刻に例えただろう。その例でいくと、最後の調整が残ってるんじゃないかな。作品と作品をくっつける事は、確かに出来た。ではそれで終わりかと言うと、そんな筈はない。全体のバランスを見ながら、不要な部分を削ったり、付け足したりして形を整えていくだろう。
そして、その道具に使われるのは、恐らく君という彫刻刀だ。…君が適さない作業、という可能性もあるが。
…うん? 自分でどれくらい、その仮説を信じているかって?
そうだね、精々1割ってところかな。だって、この説は見えない誰かさんが、君やイヅチカナタを完璧に操っていないと成立しないんだよ。しかも全く気付かせずに。
…それでも、どうにもこの仮説が頭から離れなくてね。丁度いいから、君にちょっと語ってみただけさ。
話は変わるけど、君、今まで世話になった人達に会いに行っているんだよね。
ラケル君はもう尋ねたのかい? …まだ会っていない。君にしては迂闊だね。君にとって、ラケル君は最高級の警戒対象だったろうに。
…ふぅん、確かにレア博士にとっては複雑だろうね。私も、まさか彼女があんな風になるとは思ってもみなかった。
うん? それも知らされてないのかい。これは余計な事を言ったかな。
調べればわかる事だし、もう素直に告げてしまうが……あの世界融合の日の事だ。彼女は突然、意識を失って倒れたのさ。そして翌日に目を覚ますと同時に、悲鳴を挙げて閉じこもった。
…ああ、間違いないよ。介護したジュリウス君もそう証言したし、監視カメラや、倒れた彼女のメディカルチェックを行っていた機材にも記録が残っている。彼女お得意の隠蔽や捏造ではない。
今もなお、彼女は自室に閉じこもり、職務の一切も、ジュリウス君からの接触すら拒んでいる。人が変わった、としか言いようがない。
このため、フライアの運用は一時凍結、ブラッド隊も一時的に別のチームに組み込まれている。
まぁ、これまでの世界の地形と様変わりしたから、フライアはどちらにせよ運用が難しくなっているがね。あんな巨体で今の世界を進んでいては、環境破壊問題待ったなしだ。そこから誘発される、アラガミやモンスター、鬼達のスタンピードもね。
レア君が君に知らせなかったのは、君がラケル君を一切信じていないからだろう。それだけ虚偽と策謀に塗れた人間…うん、人間だ。……いやいや、私は陰謀も策謀も使わないよ。ただ、ちょっと先の事を見越しているだけさ。
まぁ、何にせよ、ラケル君が突然そんな様になったと言われても、君なら『絶対に何か企んでいるだけ』と一蹴するだろう。実のところ、私も最初はそう思っていた。
今は違うのかって? うん、ひょっとしたら…と言うより、思い当たる節はあるんだよね。
彼女は以前の世界では、彼女はアラガミの意思…それが的確な表現なのかはともかくとして…に取り憑かれて策謀を張り巡らせていたんだよね。何処に居てもアラガミの意思に囁かれ、何をすればいいのか指示されていたんだ。終末捕食を起こす為に。
でも、今の世界ではどうだい? 終末捕食は、行き詰った生命を全て取り込み、再分配する為のシステムだが……この世界に、そんなものは必要かな?
現に、アラガミ達は徐々にその生態や役割を変えて行っている。まるで、現地の生物……この場合は主にモンスターを指す……に溶け込もうとしているかのように。まぁ、あの進化速度をそのままに、モンスター達のような強大な生命力を得たらと思うと、とてつもない怖気が走るが…それは置いておこう。
ともかく、私はこう考えている。
ラケル博士は、自分を導いていた保護者、導き手から放り出されたのではないか…と。
アラガミの意思が消失したのか、世界が変わったから終末捕食計画は不要と放り出されたのか、ラケル博士の脳内チャンネル的な何かが変わって受信できなくなったのか…そこら辺は不明だが、とにかく彼女を常に肯定し、ただ一つの目的だけを示し続けてきた導が突然無くなった。
そうなると、残ったのは何か? 支えを失い、人を同族として見る事が出来ず、何を肯定していいのか分からない子供が一人だけだ。
絶対としていた支配者が突然消えたらどうなるか、という例だね。
とは言え、あくまでこれは仮説にすぎない。レア君も一度だけ会いに行ったそうだが、だんまりを決め込んでいたようだよ。それも含めて演技と言われればそれまでだが……一度、確かめてみた方がいいのではないかね?
なんなら、君がアラガミの意思の代わりに収まる事だって出来るだろうさ。うん、いつもの手段でね。
…と言うより、君は繰り返しの中でラケル君には何もしてなかったのかい? 厄介な相手だからこそ、最も信頼を置ける手段で無力化しようとしても不思議はないんだが。
………ほう、異種であっても相手の外見が女の子っぽければいけるが、中身が完全に人形にしか見えなかったから、そういう対象と思えなかったと。…ちなみにその異種というのは、例えば最近接触があった『もん娘』と言う奴かね? …いや、私は別に興味はないんだがね、種族的な好奇心があるだけでね。
ふむ……予測はしていたが、やはり……うん?
ああ、いや、以前から一つ疑問に思っていたんだが、ループの記憶を持っている人と持ってない人の違いは何なのか…不思議に思っていたものでね。
世界が融合してから、繰り返しの記憶を持つ人はあちこちに現れた。それが真実なのか捏造された記憶なのかは不明だし、その内容も千差万別。ただ、9割以上が女性だね。
ちなみに、私も少しはあるよ。君とヨハンの3人で、血の力や霊力に関する実験を行っていたね。…覚えてるかな?
この記憶に気付くまでは、君と肉体関係を持った女性のみが記憶を宿していて、ごく一部の男性は虚偽情報か妄想の類かと考えていた。
が、当然ながら私は男性で、君は死んでも同性には手を出さないだろう。性転換したら別かもしれないが、そんな記憶も技術も残ってない。
となると…次点で浮かび上がってくるのが、君と別の接点があるのではないか、と言う事だ。
おかしな話ではないだろう? 繰り返しの中、イヅチカナタは君と、君の周囲の因果を延々と貯め込んでいた。それを解放して、その因果が元に戻れば…それらをループの記憶として取り戻す。
自然と、君と接点のあった者だけが、その頃の記憶だけを宿す事になる。
君と強い結びつきを持つ者程、その記憶が多くなる訳だ。
とは言え、肉体関係を持つ…というのは、条件としてはそう的外れではないと思うよ。君が行う性交渉は、相手の中に君の霊力を強く送り込む事になるのだろう。それを目印として、イヅチカナタは因果を奪っていたんじゃないかな。
事実、男性であっても記憶を宿している者は、多少なりとも君に霊力の訓練を受けたと証言しているようだ。君がフロンティアで率いていた猟団や、直接鍛えたロミオ君のように。
私自身も、訓練ではないが調査の一環として君の霊力を受けた事はあるしね。
以前のラケル君なら、調査と称して君の力を取り込んだりしていてもおかしくないが……もしそれをやったら、『手駒』を懐柔されてしまうと考えたのかもしれないね、彼女の背後で囁いていたアラガミの意思が。
或いは、どの繰り返しでも、徹底して君が忌避してきたのかな? 一言で言えば…食指が動かなかった、と言う事なのかね。
何にせよ、一度は会いに行くべきだと思うよ。レア君と一緒に。
彼女が行ってきた行為は裁かれてしかるべきものだが、同時に証拠隠滅はほぼ完璧であり、証言者となり得るのは彼女の行為を把握していたレア君以外には居ない。
逆にこれから行う事…終末捕食を起こす為の本格的な策謀は、世界が変わってしまった故に全く実行してない有様だ。
極端な話でも何でもなく、君達の行動一つで、彼女の行く先は決まるのさ。
…目の前で銃殺刑にされても安心できない? 今までの事を考えると、死んだ後も幽霊とか遅延プログラムとかで何か仕掛けてきそう?
そう思うなら、猶更確かめる事だね。彼女の本質が全く変わっていないのか、それとも本当に親を亡くした幼子に成り果てたのかを。
…うん? お土産?
ああ、これはありがとう。見慣れない植物だね。確かに、一見して竹のように見えるが…ふぅむ、かつて我々の世界に育っていた植物とも、異界の中で育つ植物かどうかも怪しい植生とも、巨大生物が闊歩する大地に生い茂っている珍妙な動植物とも違う。
収斂進化の形跡はあるけど、これは私達が全く知らない、未知の物だと言っていい。
また知らない土地を発見したようだね。
まったく、この世界は一体どこまで広くなったのやら…。軌道衛星から見ても正確な数値が測定できないんだから、異界のように、どこかしら物理法則が狂っている場所があるのは確かだろう。
そもそも君の島からして、明かに真っ当な島じゃないからね。
なんだい、何処にあるのかもわからないのに、君と契約したらどこからでも歩いて入れる島って。ああうん、君もいつの間にか使えるようになってた能力で、理屈なんて知らないって言われるのは分かってたよ。理屈を述べられても、科学的な物じゃないのも。
その島があるからこそ、君は未開の地にも大した備蓄も無く踏み込んで行けるのだし、島を経由して遠方に物資やら何やらを届ける事もできるから、世界的に見ても物凄く助かっているんだけどね。
運送業界が大変な事になるかとも思ったけど、そこも狙ったように影響がない状況に落とし込まれていたし。
元々は、艦娘の皆が暮らす為に開拓した島だったけど、世界融合の際に規模が大きくなり、更には『アーティファクト』と化して、君が認めた相手ならどこからでも出入りできるようになった…か。
どーも君は、その島をお手付きにした子達を囲うマンションか、家賃や土地代の要らない自宅くらいにしか思ってないようだけど、どう考えても大事なんだよなぁ…。つつくとトンデモない事になるのが目に見えてるから、有力者は全員見て見ぬふりをしているだけで。
藪をつつくのは辞めておいて、今度の土地はどんなところだい?
……へぇ、大きな壁の中に閉じこもっている人達が居て、その壁の周りには頭の悪そうな巨人が沢山居た? そしてそこにイビルジョーが入り込んでいて大惨事…。
違う? 巨人の相手が面倒くさくなったんで、捕獲したイビルジョーを連れてきて放牧した? …君、ハンターだろ? 自分から積極的に生態系を崩してるじゃないか…。
それ以外にも、伝え聞いた話だけでも中々に救いの無い場所だったようだね。
国交と言うには遠すぎ、現在では行き来できるのは君とその一派くらいだけど、この世界に組み込まれたと言う事は、何かしら救いがあるのかもしれないが……そこはこれから次第か。
少なくとも、食料関係は改善されるだろう。
…これも、君の島を通じて持ってきた訳だね。
私も一度訪れたが……いや、正直もう一度行きたいとは思わないかな。興味深い場所であるのは確かだけど、何と言うか、アウェイが過ぎる。
そりゃ、あそこは君とその周辺の人の為の場所だから、そうは思わないだろうが………いや、それを加味しても君、疎外感とか肩身の狭さとかを感じる事はないのかい?
右を向いても左を向いても、前にも後ろにも何処で何をしていても、君に向かって秋波を送る女性ばかりだったじゃないか。何処に行っても女性の気配…君流にいうなら、雌の残滓かな…が充満している。
こう言ってはなんだけど、島に一歩踏み込んだ時点で、『あ、ここ私の、と言うよりオスの居場所ないな』と確信したよ?
例え王様みたいに好き勝手できるとしても、普通は居心地の悪さくらい感じると思うんだけどな。…そういう感性が擦り切れているからこそ、そんな事になってるんだろうけども。
とはいえ、気を付ける事だね。
君の島では、君が関わったあらゆる文化や技術がごちゃ混ぜになっている。それこそ、私達の把握してない技術体系があると、容易に想像がつく。
それに虎視眈々と目を光らせている者は、あちこちに居る。
君の身内に手を出してでも…と考える者がまだ現れてないのが不思議なくらいさ。関係者の殆どが普段は君の島で暮らしている為、或いは下手なアラガミよりもずっと強力な戦力を持っているから、という理由があっても。
そもそもからして、嫉妬で何でもいいからやってやろう、という男が結構な数でいるみたいだ。…君の島に行きつけないから、何もできないようだけど。
それにしてもなんだね、行きたいとは思わないけど、やはり君の島は興味深いよ。
3つの世界の繋がりが、次々に見つかるからね。他の土地でも文化や技術の交流は盛んに行われているが、君の島は密度も数も段違いだ。
この前分かったのは、歌姫、アイドル達の血の力、神垣の巫女の関係性だったっけ。
歌姫の力はモンスター…特に古龍を操り、アイドル達は歌と血の力で黒蛛病に犯された大地を豊穣の地に変えた。
そして神垣の巫女の扱う術に、正にその力があった。
歌姫の力は、古代文明によって人為的に組み込まれた力が、先祖返りによって発現したものらしいが…それが神垣の巫女が使う術の一つと瓜二つ。
聞けば、神垣の巫女の術も、遥か古来より伝えられ続けた術で、その発祥は謎の包まれていたと言う。
それらを繋ぐミッシングリンクが、それぞれの世界に痕跡として散らばっている。
トキワノオロチによって滅びた超古代文明の技術の一端が垣間見えるね。
そうやって調べて行けば、失われた古代文明の技術の再現も有り得る。或いは、それぞれの技術を組み合わせ、古代のものとも従来のものとも違う、新たな『何か』を生み出す事だってあるだろう。
実に夢とロマンが広がる話じゃないか。
それだけに、取り扱いには気を付けないとね。
現に超古代文明は、それらの技術の扱いを間違えて滅んだのだから。
先程の仮説…世界融合の為に、影で蠢いていた神のような存在が実在するとしたら、猶更だ。何がその存在の怒りを誘発するか、分かったものじゃない。
その怒りに触れれば、気付かず操られていた君のように、何かが誘導されて襲ってくるかもしれない。
……例えば、話に聞くシュレイド王国…伝説の黒竜とやらに、一夜で滅ぼされたとされる国のように。
いや、もっと言えば、君がアイドル達のプロデューサーもどきになっていた時のように、超巨大な龍でいきなり世界を薙ぎ払う…みたいに、かな。
まぁ、仮定に仮定を重ねた話だからね。気にするだけ仕方ないとも言える。
本当にそんな上位存在が存在するなら、人間の尺度や感性で図ろうとするのは間違いだろう。それを恐れて足踏みしていては、何もできやしない。
あるかどうかも分からない天罰を恐れていくくらいなら、自分達の行いで世界に害を与えないよう気を配った方が余程前向きというものさ。
それに、少なくとも今のところは、それぞれの文化が混じりあっても上位存在の怒りを買う事はないだろう。何せ、わざわざ世界を融合させてくらいだからね。
だけどね、私は本当に恐ろしいのは、アラガミでも鬼でもモンスターでも、上位存在でも。人ですらない、と思っている。
君だ。
君の存在そのものが、今の私の最大の懸念なのだ。
恐らく、君が思っている以上に、私は君を危険視している。
鬼? モンスター? アラガミ? いやいや、そんな程度ではない。君の戦闘力は、私の知るそれらよりも尚高いが、それでも私が最大の懸念と言う程ではない。
だってそうだろう? 君はどこまで行っても、一人でしかないんだから。君に縁がある者全てを総動員したとしても、千人に満たないだろう。軍事力、組織力、人脈という点で考えても、懸念という程ではない。……一応、君の人格というか性格も信用してはいるんだよ?
総括するが、君が他人の力を含めた全力を奮ったとしても、精々が小国一つを焼野原にするのが関の山だろう。それは大きな被害だが、歴史的に見れば前例がある程度の被害にすぎない。
私が君を危険だと思っているのはね。
その繰り返しだよ。君が感じている不安そのものだよ。
君が今までずっと囚われてきた、繰り返しだよ。時代の枷とでも呼ぼうか。
君が死ぬ度に…或いは、意識が二度と戻らない状態になる度に、君は同じ時間軸にまで引き戻される。世界も同じだ。
同じ時、同じ場所、同じ状況から、何度も何度も繰り返された。
今までは、外的な要因からの死だった。肉体的な損傷による死だった。
だけども、もしそれ以外による死であれば?
精神的な死ならどうかな?
人間の精神は、あまりに長い時間に耐えられるようにはできてない。君が生きる事に飽き、或いは生に倦んで、考える事すら放棄してしまった時…世界はどうなると思う?
君が言う、デスワープが行われた直後に、君の精神が自壊したら?
君がデスワープしても、精神が回復しなかったら?
デスワープした1秒後に、またデスワープしたら? それが終わりなく延々と続いたら、どうなるかね?
君に巻き込まれて、世界が戻される。まるで鎖に繋がれた囚人のように、君が戻される時間から一定距離しか進めない。
これの尤も恐ろしい所は、寿命によっても同じ事が起こるかもしれないという点だ。君が百年…いや二百年生きたとして、死んだ瞬間に二百年前に戻される。世界も戻る。
この後、人が滅ぶにせよ栄えるにせよ、悠久の時間が横たわっていた筈なのに、そこに世界が辿り付く事は無い。君の寿命が、世界が行ける範囲になる。
君は、いつ爆発するかも分からない、解体する事さえできない、有史最も危険な歴史破壊弾頭だ。もしも君が精神的な死を迎えれば、問答無用で世界は引き戻され、そして永遠にその瞬間から動かなくなる。…君の繰り返しが消えていなければ、の話だけどね。
物理的な排除は論外。それは君が言うデスワープに直結する。コールドスリープも不可能だ。君の意識が戻らなくなった時点で、やはり結果は同じ。
地球の外に放り出す、という手段も考えたが、最低でも銀河の外までもっていかなければ、その効力は怪しいだろう。君の言うデスワープは、惑星の並びすらも元の通りに戻してしまっていたのだから。
もう少し言わせてもらうとね、イヅチカナタという鬼の最大の役割は、これに対する対抗策だったんじゃないかと思うのさ。
君も、全ての繰り返しを覚えていては心が保たなかった自覚はあるだろう。
君が全てに絶望し、疲れ果て、廃人になってしまったらどうなると思う?
君が何度も繰り返した始まりの瞬間から、世界は5分と経たずに延々と繰り返される。それを防ぐ為、君には耐えきれない…或いは将来的にそうなる要因となりそうな記憶を、どんどん奪っていったんだろう。
結果、君は何百何千は下らないであろう繰り返しを、人の寿命と精神の限界を遥かに超えるであろう体験を忘れ、精神を崩壊させる事なく繰り返しを乗り切った。
結果論で語るなら、君と関係を持ったシオ君や千歳君も独立した一つの存在として現れた訳だが…まぁ、ここは置いておこうか。
君に残っていた記憶は、イヅチカナタが食い損ねた記憶ばかりだった。君が生き延びた期間…時間にして平均3か月から、イヅチカナタの処理能力を超え、その残滓が君に残った。2か月以下なら、ほぼ全てがイヅチカナタの腹の中と言う訳だ。
君の記憶に残っている事、或いは君がずーっと書いていた日記に残っている記録は、この辺りじゃないかな?
2か月以下でも、特に強固な因果であれば、残っていたものもあるかもしれないが……実際、ホロウ君の事は討鬼伝世界の記録に僅かに残っていたんだろう? 生憎と、因果の強弱に関して判断できる程、博識ではなくてね。推測程度なら出来るが、検証できない推測なんて幼児の落書きみたいなもんさ。
もう少し語るとしよう。君にとっては、想像するだにおぞましい事だろうけどね。
…今となっては確かめようもない事だが…君はね、イヅチカナタの「種」…予備でもあったんだろう。
そんな顔をしないで、話を最後まで聞きたまえよ。
いいかい、さっきも話したが、3つの世界は最も被害のない形での融合を望んでいた…と思われる。
君とイヅチカナタはその為の鑿と槌だ。何度も同じ時間を繰り返し、その間に君が世界の形を変え、イヅチカナタがそれを整える。それについての是非は語らないよ。
でもね、考えてもみたまえ。そこまで緻密な計算と計画を企てた意思が…神だか世界の心だかは不明だが、そのための道具を一つだけしか用意しなかったと思うかい?
イヅチカナタは、君や世界から奪った因果を溜め込み、食料、あるいはその力としていた。君がイヅチカナタを討った事で、それらの因果が解放されたのがその証拠だ。因果が世界中に戻され、いくつもの繰り返しの記憶が、君と関係を持った者だけに復活した。
だけどね、考えてみたまえ。君から奪った因果が君に帰ったとして……君は、それに耐えられると思うかい? 実際耐えた? まぁ、そうだね。
つまり…君はいくつもの因果の集合体、と言える訳だ。
何かに似ていると思わないかね? いくつもの因果を身に宿して、それを存在の証明とし、そして力に変える。
…イヅチカナタにそっくりだろう。
これは悪辣な想像、勘繰りではあるが…本来、イヅチカナタが討たれた際、その因果は全て君に収束する筈だった。それに耐えられない君は、因果に逆に蝕まれ、人でない何かに姿を変える。…そう、「次」のイヅチカナタに。
そうしてイヅチカナタになった君は、自分の食料を確保する為、獲物を探す。君と同じように、繰り返しに放り込める誰かを探す。
先ほどの例えで言うと、君は鑿だったが、槌が壊れた為にその代理となり、新たな鑿が用意された、ということさ。
ひょっとしたら、君が倒したイヅチカナタも、そうやって生まれてきたのかもしれない。繰り返しの先達ともいえる誰かが、君の怨敵たるイヅチカナタだったのかもしれない。
ああ、そう言えば一度、千歳君を人質にとった事があるんだって? …それも案外、人間だった頃の悪知恵の残り香なのかもしれないね。
うん? じゃあ、どうして君は無事なのかって?
それは簡単さ。もう槌も鑿も必要ないからだよ。偶然なのか必然なのか、或いは別の何かの条件を満たしたからなのか、3つの世界を無理なく融合させる為の準備が整ったんだ。…多分、何かしらの要素で融合の邪魔になっていた『因果』が全て削り取られたからだと思うけど。
だから、世界は君をイヅチカナタにする必要がなくなった。
まだ準備が整っていなかったのだとしたら、世界は君をイヅチカナタとしたろうね。
本当に、気分の悪い話さ。君が必死に討ったイヅチカナタは最初から倒される事も想定済みで、折角勝っても姿すら見せない第三者の横槍で、君の勝利は最悪の形で…君自身が怨敵になってしまうという形で破壊される。
君が無事なのは、すでに用済みと判断されたからに過ぎない。
…いや、ひょっとしたら、後始末さえされずに放り出された事さえ考えられる。もしも君の繰り返しが終わってなかったら、いつか…膨れ上がった因果に耐え切れず、君はイヅチカナタになってしまうかもしれない。使われなくなった道具が、経年劣化で勝手に壊れてしまうかのように。
まぁ、正直な話、最悪の可能性だとは思ってないけどね。
うん? ああ、最悪ではない。君を切り捨てるような言い方になってしまうが…最初に言った、君を最大の脅威として考えている、という話を覚えているかい?
君がイヅチカナタになって、世界の外に行ってしまえば…君の精神の死による、世界の停滞は避けられるかもしれないからね。
不自然な事なら、まだまだ…と言うより、数えるのも億劫な程にある。
そもそも、君の境遇について明確な答えと言えるものは、何一つ現れていないんだ。これは君以外の人間についても同じ事だろうけど、君の場合は少し意味が異なるね。
何故、君は同じ時を繰り返していたのか。何故、君はイヅチカナタに目をつけられたのか。何故、君は三つの…或いはそれ以上の世界を渡り歩いていたのか。
君の体は一体何なのか? 君の過去の記憶はどこまで本当なのか?
全てがはっきりしないまま、君はイヅチカナタを討ち、その旅の終わりを迎えた…ように見える。まだ繰り返しは続いているかもしれないからね。
君の活躍で…と言っていいのかは疑問だが、とにかく君がイヅチカナタを討った時と同じくして、3つの世界は融合した。
三つ以上の世界、というべきか。君が今まで夢という形で記憶していた、主だった三つの世界以外の世界も、いくつも見つかっている。
だが、おかしいと思わないかい?
これまで10以上の、不確定のモノも含めれば3桁以上の世界が交わった事が確認されていると言うのに、私達が創作の存在として語られている世界は、片鱗すら見つかっていないのだよ?
勿論、未だ人知が及ばない、超次元的な理屈が関与している可能性はある。観測者仮説にあるように、我々が認識できる事象の外にその世界があったり、何かの壁に阻まれているだけかもしれない。だけどね、私は君の話を聞いていると、どうにもそうは思えないんだ。
何度考えて、どう矛盾を修正しても、『君の記憶の元となった世界は、存在しない』という結論に達してしまう。
君の記憶にある元の世界では、私達は物語という形で存在したと言う。それについてどうこう言うつもりはないよ。今こうしている私達だって、何処かの世界で物語とされているかもしれない。
でもね、君の記憶にある世界には、とある違和感が付いて回っている。
成程、確かに誰かが想像した世界や歴史が、別の次元でそっくりそのまま再現される可能性はあるかもしれない。逆に、何処かの誰かが、他所の世界の現象を何かしらの形で覗き見てしまい、それを創作という形で作り出したりする事もあるかもしれない。
この時点で、先程言ったような『壁』は存在が否定されるか、少なくとも穴がある事になるね。
だけど、その可能性はどれくらいのモノだと思う?
宇宙で、人間と同レベルの知的生命体が存在している星を探し当てるのと同じくらいには、低い可能性さ。
だけども、その天文学的に低い可能性に見事に当てはまる物語が、君の世界に幾つ存在した?
君が把握しているだけでも、『モンスターハンター』の各種シリーズ、『ゴッドイーター』とその続編、『討鬼伝』…は続編が出ると言う事だったけど、この分だとその話も実際に起こった可能性が高いね。
他にも『アサシンクリード』、『大神』、『戦国BASARA』、『アーマードコア』、君も今一名前を憶えていないものを上げればキリがない。世界が融合してからも、心当たりがある世界は見つかっているんだろう?
天文学的に低い筈の可能性が、君が居た世界に何故こうも揃っていると思う?
考えられる結論は、大雑把に分けて2つだ。
その世界が、そういった事象や…いわゆる電波、天啓が幾つも交錯する場所であった可能性。事象のクロスロード、とでも呼ぼうかね。
そしてもう一つは…君なら既に予想しているだろうが、君の記憶が全て虚構である可能性、だ。幾つもの世界から零れ落ちた景色や出来事の情報が降り積もり、君と言う人格と、虚構の記憶が作り上げられた。これは君も自覚している。
ああ、君が言う「のっぺら」がこの情報に当たるんだろうね。
ある意味、夢を見ているようなものだね。それこそ、天文学的な量の情報が積み重なり、その中で相性のいいものだけが繋ぎ合わされた結果、過去が捏造され、君の人格がシミュレートされている。
もしもこの説が正しい場合、君が過去として記憶しているものは全てまやかしだ。
…まぁ、繰り返していうが、これは検証もできない、考えられる限りで最悪の想像、というだけだ。こうだとは限らないし、仮にそうだったとしても、何かを諦める必要はない。
相手が世界の意思だろうと神だろうと、人の力を信じている。君の力もね。君が先程話したような存在だったとしても、こうして私と話している君の存在はどうやったって否定できない。君は間違いなく、人と、一つの命と名乗っていい。君の意思と人格がある限りは…我思う故に我あり、という奴さ。
すぐに、とも絶対にとも言えないが、乗り越えていけると確信して………おや?
どうしたんだい、顔が青いよ? まるで、死んだと思ったら、生き返ったみたいに。
後書き
以上で狩りゲー世界転生輪、終了です。
予想はしてましたが、途中から何書いてるか分からなくなってしまいました。
総括すると、次のような感じです。
・世界は融合と分裂を繰り返していたんだよ!(多分)
・世界融合しましたが、人間達はうまく付き合っています。
・でも外敵も混ざり合ったり進化したりでえらい事になっています。
・ソーマとくっついたシオと、イヅチカナタに捕まっていたシオは別々に存在します。虚海と千歳も別々に居ます。
・イヅチカナタの本当の役割は、デスワープでなかった事にされない為の保管庫だったんだよ!
。ラケルてんてー、心が折れて引き籠り。
。色惚け、ドラエモソ染みた秘密道具により、島一つを専用ハーレム化。探索のサポートとしても使いながら、未開の地を冒険中。
・もしもループ解放が叶ってなかったとしたら、色惚けの寿命以上には世界が続いていかないんとちゃう?
・……今、ループして戻ってこなかった?
…箇条書きにして感じますが、詰め込みすぎですね。
書いていなかったループの事や、今後の事も沢山あります。
……GE世界で、ブリカスムーブして色惚けをいいように操ろうとしたダージリン(仮名)のお仕置きックスとか。
それに巻き込まれて調教され、気を引く為に娘を差し出すちよきち(仮名)とか。
虎視眈々と近親〇姦を狙うオビト(女性化)とか。
滅鬼隊にはループ中に何度か関わり、その時は話の分かる上司として、浅木に死ぬほどありがたがられていたとか。
封印から一人一人(ちんぽで)解放している滅鬼隊とか。
まだまだ書いておきたい事はあったのですが、まとまり切らないのでここまでとさせていただきます。
執筆200話目くらいで終わり方とオチを決めて、その後はちょくちょく書き足していました。
ちなみに、他のオチ候補と言うか最後の一言候補は次の2つでした。
①行くぞ、もっと友達を増やしに!(討鬼伝・オビトのミタマ入手時の台詞。繋がった世界で新しい友達を作りに行く)
②…俺の名前? …………「ああああ」でいいんじゃない?
それにしても、設定が加わる度に話が捻じれる捻じれる。
プロットやメモ書きの重要性を、再認識しています。
そして何より、文章が装飾過剰で読みにくい、伝わり辛くなっている事を自覚しました。
書きたい題材が見つかるまで、筆を置かせていただくつもりですが、その間にスッキリした文章を書けるよう勉強します。
また、次回作を執筆するにあたり、次の通りを課題をとしていきます。
・プロットを作っておく。
・主人公を強化しすぎない。
・音読で推敲してから投稿する。
・無理に定期投稿しない。
・何でもかんでもブッ込まない。特に登場人物の人数制限を作る。
・予定以上に長く続けない。
こんなところでしょうか。
ハーレム禁止も追加しようかと思いましたが、モチベーションや展開に関わりそうな気がしたので撤廃。
どんなお話になるかは分かりませんが、いつか創作サイドとして戻って来たいと思います。
後書きが長くなりましたが、この辺りで失礼させていただきます。
長い間お付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。