※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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MH編があと2~3話続きそうです。
えらく長くなったなぁ…。

戦国BASARA、予想はしてたけどそこまで大きな違いは無いようです。
最初から全キャラ開放状態だったのは驚きましたが。
まぁ、まだ島津のじっちゃんしかプレイしてないんで、そうそう違いが無いのは当然かもしれませんが。


第77話

 

NTD3DS月『理由をつけては暴飲暴食』日

 

 

 エシャロットと友人勢が、物凄く楽しそうだった。 

 実に晴れやかな笑顔で、新聞(ご当地新聞。住民の一人が趣味で作っている)を渡された。

 

 

 ギルドマスターを巡る、レジェンドラスタと新人ハンター(♂)の骨肉の争い?

 

 

 

 

 処す。

 

 

 ある意味間違ってないから、余計に処す。

 くそ、書き手が♂だったらそれこそA.BEEさんへの贄確定だというのに!

 

 ええい、村総出で煽りにきてやがるな。

 昨日の大騒ぎは村中に聞こえていたらしく、皆が単なるデマではないと判断している。

 

 例外はパピ嬢くらいだが、物言いたげな目でコッチを見るな。

 美人(ただしマナ板)になるとは思うが、これがなくともパピ嬢をそーいう目で見るには幼すぎる。

 

 

 A.BEEさんはというと、流石に昨日の今日では動く事もできない程ブン殴られたらしく、隔離されて療養している。

 隔離されているのは、性癖云々ではなく変異した狂竜ウィルスの影響があるかもしれないからだ。

 このまま再度兆候が見られなければ、長くても一週間くらいで解放されてしまうだろう。

 

 ナターシャさんはというと……同じく隔離状態だ。

 と言うか、この場合は自分の意思で引きこもっていると言った方が正しいと思う。

 二次感染した危険もあるから隔離常態なのは間違いないんだが、近くまで行って部屋の中の気配を探ってみると、なんか身悶えする声がよく聞こえてくる。

 …とりあえず、新聞を部屋に放り込んでおいた。

 もっと身悶えするか激怒するかは神のみぞ知る。

 

 

 さて、村に来たハンター達に、暫くはあの近辺の狩場は使わないように指示を出したら、俺も隔離されないとな。

 その間に流言飛語が治まってくれるといいんだが…。

 

 

 

NTD3DS月『ピザにはビールかコーラか』日

 

 隔離されている状態でも、同じ隔離病患者に会えない事はないんだよな。

 それはそれでどうかと思うが、医学的にあまり発展してないからね、この世界。

 

 そういう訳で、お隣さんのナターシャさんの所へ行ってみる。

 A.BEEさんは……流石にダメージが大きかったのか、日がな一日寝息を立てているようだった。

 部屋の外から気配を探っただけなんで、正確な所は分からんけども。

 

 で、ナターシャさんは……1日経って落ち着いたのか、部屋に快く入れてくれた。

 どうやら弓と髪の手入れ中だったようだ。

 …なんか落ち着いてるな。

 ひょっとして隔離にも慣れてる?

 

 

 そう聞いたら、レジェンドラスタたる者、未知の相手と戦う事は珍しくないらしい。

 そういう手合いと戦い、何らかの感染が疑われる事もよくあると言う。

 なる程、慣れている訳だ。

 

 

 何はともあれ、まずは礼を言う。

 A.BEEさんに掘られなかったのは、ナターシャさんのおかげです。

 

 …微妙に嬉しくない礼の言われ方だ、との事。

 まぁ、内容が内容だからね……ちょっと視点を変えてみれば(TSしてみれば)、ならず者(♀)に抑え込まれてセクハラされていた少女を、美形ハンターが助け出した、と言えなくもないんだが。

  

 よくよく考えてみれば、ひょっとしたらナターシャさんも狂竜ウィルスに影響されていた可能性はあるんじゃないだろうか。

 こう言っちゃなんだけど、あの夜のナターシャさんの攻撃性は普段よりもずっと強かった。

 俺もナターシャさんもA.BEEさんと同じ場所をウロウロしていたんだし、ウィルスに多少なりとも影響されてないとは言い切れない。

 だから、A.BEEさんがあれ程ダメージを受けるくらいに延々と殴り続けたのでは?

 

 

 そう言うと、ナターシャさんは否定した。

 たとえウィルスが影響していたとしても、明確に自分の意思だった、と。

 ウィルスに影響された事を認めないプライドなのか、それともウィルスを言い訳に使っていないのか。

 どっちと取るかは微妙な所だったが…。

 

 仮に前者だった場合、変異ウィルスにハンターの理性を狂わす効果があると認める事になるのだが、それはまぁ置いといて。

 

 

 

 …踏み込むべきなのか非常に迷った。

 あの時に聞こえた、「私が目をつけてたのに、醜いバラなんかに渡すものですか!」という言葉について。

 目を付ける…というかバラ?

 バラっつーとアレだよね?

 百合の対義語みたいな意味でのバラだよね?

 

 この世界に薔薇族なんて言葉があるのかは分からないが、ナターシャさんが花を指して醜いと言っている時点で通常の意味じゃあるまい。

 植物的な意味でのバラが美しいかどうかには賛否あるだろうが、ハンターとしての考え方だと食えるか使えるかの視点が先に立つ。

 美的な意味ではあまり語られないし、ナターシャさんは……植物の美しさよりは弓についての美しさを語る人だし。

 

 

 ともかく、あの時理性が無くなっておらず、明確な意思の元に叫ばれた言葉だとするなら、その真意は?

 夜襲…というかもう率直に夜這い表現するが、A.BEEさんが俺に夜這いをかけた事に何故そんなに怒ったのか?

 

 無いとは思うが、無いとは思うが。

 

 

 

 ま さ か ナ タ ー シ ャ さ ん も 俺 の ケ ツ を 狙 っ て い る の で は 。

 

 

 

 

 久々に連射で射抜かれた。

 だが、阿呆な事を言った甲斐はあった。

 怒ったナターシャさんから失言を引き出せたからだ。

 

 「狙ってたのは「前」の方よ!」と。

 

 直後に失敗したと気が付いて、何事も無かったかのように紅茶を飲んでたが、顔が赤いし手が震えていた。

 だがここで手心を加えるようではハンターとは言えぬ。

 

 わざとらしく「前?」と聞き返し、「忘れなさい」と毅然と言い切るナターシャさんに「下ではなく?」「しっ…わ、忘れなさい!」顔が赤い。

 調子に乗る。

 ああ、久々に性欲を暴走させつつあるな。

 

 

「ナターシャさんが相手なら、前なんぞ幾らでもOKですが。

 レディと違って、野郎のは初物でもない限り減る物じゃありませんし」

 

「ふぁ!?

 は、はつ…じゃなくて!?」

 

「ええまぁ、ギルドマスターになる前に色々ありまして。

 あ、一応言っておきますけど、今はそういう事する相手は居ませんよ。

 村の皆と関係を持つのも、立場上まずいですし。

 ですので、欲しければお気軽にどうぞ」

 

「き、気軽にするものではなくてよ!

 例えアナタが初ではなくても、その…そういう事には慎みを持ちなさい。

 例え規模は小さくてもアナタはギルドマスターよ。

 所謂ハニートラップを仕掛けられる可能性はあるわ」

 

「今まで何度も返り討ちにしてきましたが「か、返り…!?」気をつけます。(ウソだけど)

 そうでなくとも、男と違って女性のそーいう事は減りますからね」

 

「なにが…何が減るの?」

 

「希少価値とかじゃないすかね。

 あと破れる部分もありますし。

 少なくともファーストキスは、いい思い出にしたいでしょう」

 

「………」

 

 

 む、黙った。

 動揺しているのを自覚したか?

 だが揺さぶる。

 

 格上のセクシーハンターにセクハラする…この愉悦から逃げられない!

 いかん、暴走しているッ!

 

 

「後はまぁ、下世話な話ながら『初体験』もそうでしょう」

 

「ッ…!?」

 

「ハンターやってると、こう言っちゃなんですがいつ死ぬか分かりませんしね。

 まぁ、男でも女でも一度は体験しておきたいってのはあるでしょうね…。

 酒と違って、相手が居ないとできませんし。

 だからと言って、適当な相手は御免蒙る。

 これは!と思う相手を見つけても、帰って来ない事だってあるかもしれない…」

 

「……アナタ…私で遊んでいるでしょう?」

 

「いいえ、これは愛でているんです」

 

「それは可愛らしい物を眺める時の表現であって、美しい物を鑑賞する時の表現ではないわね」

 

「知ってますか?

 セクシー&ビューティ担当が顔を赤くして取り乱している時の……ギャップ萌えを」

 

 

 

 

 そんな按配で、ええもう堪能しまくっていましたよ。

 この世界に来てから、やっぱ色々と溜め込んでいたんですなぁ。

 顔を赤くしながらプルプル震えるナターシャさんは実に可愛かった。

 たわわな一部も震えて眼福だった。

 

 

 そんな風に楽しみすぎていたからかなぁ。

 まーたブレーキ掛け損なっちゃったよ。

 

 

 何が原因だったんだろうか……レジェンドラスタには出会いが無いのかと聞いた事?

 それともナターシャさんから滲み出る、残念美人の気配について触れた事?

 『経験済み』の人からは、ナターシャさんには無い美しさや色気が見えると嘯いた事?

 

 …どれをとってもほぼセクハラだが、兎に角俺は引き際を誤った。

 ナターシャさんの目が据わっていた事に気付かなかった。

 

 

 

 気が抜けていたのは否定できない。

 反応を楽しんで愉悦しまくって、動きに反応が遅れた。

 いや、反応どころか視認すらできなかった。

 

 

 ほんの一瞬…それこそ瞬きした後には、もう捉えられていた。

 正面でワタワタしていた筈のナターシャさんに、ガッシと肩を両手で掴まれた。

 

 

「いい度胸ね。

 気に入ったわ。

 奪うのはこの場でしてあげる。

 …腹をくくった女に怖いものなんて無いのよ」

 

 

 …あの、そこは最後にしてあげる、では?

 いやそれだと俺がフラれる意味合いになりそうですけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズキュウウゥン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NTD3DS月『SSから性欲が…(作者に)逆流するッ!』日

 

 隔離中に暇を持て余していたら、パピ嬢が訪ねてきた。

 仮にも隔離状態なんで、直接顔を合わせて話す事はできない。

 なので扉越しの話になった訳だが……あの、なんと言うかパピ嬢、正気か?

 相談を持ちかけてくるのはいい。

 同じギルドの仲間だし、発足当時から二人三脚だったし、一緒の狩場にも連れて行った仲だ。

 相談くらい受け付けるさ。

 

 

 だがなんだって俺に恋愛沙汰なんぞ持ち込んでくる。

 しかも、パピ嬢が好いてるのって俺だよね?……自惚れでなければ。

 

 「マスターなら、どうしても他人に渡したくないものが、知らない人に取られそうになったらどうしますか?」

 

 これはアレか、遠回しな告白とかのつもりなのか?

 渡したくないものって俺?

 …仮にムルカ君辺りだったら、ちゃぶ台返しが炸裂するが。

 知らない人ってナターシャさんの事か?

 …意図が読めなかったんで、とりあえず付き合う。

 

 まぁ、これが恋愛沙汰の相談なら、俺にマトモな返答はできんよな…。

 肉欲ばかりの付き合いだったし。

 いや、それなり以上に情はあったけどね。

 

 と言うか、俺の事を俺に相談するのってどうなん? 

 パピ嬢の事だから、「マスターの事はマスターに聞くのが手っ取り早いのですよ」と、一理あるような無いような事を言い出す気がする。

 

 まぁ、俺の事を聞きたいというなら話すのはヤブサカではない。

 が、迂闊な事を言うとヤバい気がする。

 俺の遍歴は色々とアレだからな……公にされたら、お天道様の下を歩けなくなるよーな類のものだし。

 流石にパピ嬢から軽蔑の視線は受けたくない。

 

 と言うか教育に悪い。

 万が一、妙な部分をパピ嬢が真に受けてしまった日には……行き着くところまで行くと、パピ嬢がコトノハサマのようになるとは……なるとは……デフォルメ調にはなるかもしれんな。

 しかし妙に静かな目で鉈持ってるイメージは簡単に想像できた。

 いや、村を開拓する途中で持ってる所を見たからなんだけどね。

 

 

 どうにも判断がつきかねたし、俺に出来るのはパピ嬢の言葉に極力真摯に答える事だけだった。

 コレで良かったのかねぇ。

 途中で何か閃いたようで、元気になったようではあるんだが……俺の体験談や考え方を元に、パピ嬢が閃いたって時点でヤバい予感がする。

 あれでパピ嬢、結構無茶な所があるからな。

 開拓の始めの頃だって、ルール違反とわかっていながら地主の嬢ちゃんと一緒に狩場に出てたくらいだし。

 

 むぅ……リアルでロリを相手にする気にはならないと思うが、ど~~も妙な予感が…。

 

 

 

 

 ……隣で寝起きにニヤけているナターシャさんのせいか?

 

 昨日?

 いくらレジェンドラスタが腹括ってズキュウウゥンしたからって、色事の経験無しで俺に勝てるとでも?

 パピ嬢が訪ねてきたちょっと前まで、意識朦朧とした状態でもサカってましたとも。

 流石にレジェンドラスタの体力は違うね。

 何度でも出来るよ!

 普通なら腰が抜けてビクビクしながら気絶するような事しても、そのまま続行できるからね!

 

 まぁ終始こっちが優勢なんで、ずっと好き放題に弄んでるだけだけども。

 まだ奉仕も仕込んでないしね。

 

 

 

 それはともかく、ナターシャさんは俺とパピ嬢の話を聞いて面白がっているのが2割、念願の初体験をそれなりに満足できる形に出来た満足感が3割、残りの5割は…思い出して悦ってるな、コレは。

 

 いやぁそれにしても……セクシーだったなぁ…。

 

 

 

NTD3DS月『最近、眠気が取れない』日

 

 エロいだけじゃなくて、妖艶っつーのかね。

 乱れている状態でも、自分を美しく魅せる為の動きが体に染み付いているっぽいな。

 それを突き崩すのが実に楽しいんだが、好きなようにさせて芸術品を独占して鑑賞しているような気分になるのもいいものだ。

 

 と言うかこの人、見られて悦ぶ露出のケがある気がする。

 

 しかし、予想はしてたし、そういう風に仕込もしたんだが……ハマってるね、ナターシャさん。

 口ではなんのかんの言いつつも、隔離中でヒマを持て余しているから、と言って何度も何度も絡んでくる。

 

 しかしナターシャさんの中では恋人みたいな意識は薄いらしい。

 何と言うか……好感度は高いみたいなんだが、行きずりの男、とも違うし……セフレ?でもない。

 相棒と言うには俺の格が足りないし、ナターシャさんもそのつもりは無いっぽい。

 

 体を預けてもいい程度には認めている、と表現すればいいんだろうか?

 お互い束縛しない程度と言うか、さん付けを止めない距離感と言うか。。

 

 

 

 …それはそれとして、ちょっと今日はヤバかった………またしてもA.BEEさんの命が。 

 別に何かやらかした訳じゃなくて、タイミングが最悪だったんだよ。

 ナターシャさんが俺の部屋に来て、いざこれからってタイミングで…動けるようになったA.BEEさんが謝罪に来た。 

 

 一緒に居る時を狙ってきた訳ではないようなんだが、ナターシャさんの機嫌が急降下したのは言うまでもないだろう。

 殺気をものともせずに入ってきたA.BEEさんが最初にした事は、見事なDOGEZAだった。

 さすがイイ男、謝罪にも全力だ。

 

 ナターシャさんも流石に一発目から躊躇い無くコレは予想してなかったようで、毒気を削がれた。

 好きなように罰を与えてくれ、と言われたんだが…その前に、結局あの時理性は正常だったのか?という疑問が残る。

 

 俺とナターシャさんは、自覚できるような狂いは無かったと思っている…ナターシャさんをからかいまくってヤッちゃったのは、まぁいつもの事だし…が、あの時のA.BEEさんは明らかにおかしかった。

 医者の診断はあったが、あの変異ウィルスがどういう物なのか分からず、発病者も1人…多く見積もっても、俺達を含めて3人だけ。

 前例が無いので、狂っていたかどうかは自己申告で判断するしかない。

 

 …何を言っても疑わしく思えるけどね。

 イイ男たるもの言い訳しない、とか言ってウィルスによる狂化の事を黙っていてもおかしくないし、逆に狂化に耐えられたのに建前にして襲ってきたという事も考えられる。

 だからと言って聞かない訳にもいかない。

 仮にもギルドマスターが、酌量の余地がある者の声に一切耳を傾けないような事はできないし、何よりウィルスはまだ狩場付近に残っている可能性があるのだ。

 二次災害、三次災害に備える為にも、情報は必要だ。

 

 

 …処罰は後回しとして、イイ男ではなくハンターとしてのA.BEEさんに問う。

 仮に他のハンター達が同様の症状にかかった場合、どのような被害が予想されるか?

 暫く考え込んだA.BEEさんの答えは、次のような物だった。

 

 

「長期的な被害は、恐らくないだろう。

 俺も狂竜ウィルスについては詳しくないが、発症していたのは確かだ。

 だが、それもボコボコにされて寝ている間に治っちまった。

 感染したとしても、ハンター式睡眠法なら暫く寝ていれば治るだろうな。

 それにしたって、話に聞いたウィルスと比べると、長い時間が必要だが…。

 

 ああ、ハンターじゃない一般人がどうなるかは、俺には保証しかねるな。

 

 行動にどんな影響がでるのかは俺にも断言できないが……正直、あの時は夢見心地だったような気分なのは確かだ。

 現実感が無い、と言ったら分かりやすいか…言い訳に聞こえるのを承知で言うが、あの時は本当に夢を見ている気分だった。

 あんたら、夢の中の自分をコントロールできるかい?

 できる夢だってあるかもしれないが、基本的には夢の中の自分が勝手に動いてるだろ?

 おかしい、と思う事はあっても、夢の中でそんな事を追求したりしない。

 夢の中の自分が勝手に考え、勝手に動く。

 

 …それと同じだ。

 ギルドマスターの部屋に近付いた時には、もっと酷い事になってたしな……幻覚が見えてたんだよ。

 視界にヘンな服を着た、顔のない……ああ、なんといったか………そうだ、ベラベラボー? …違うな。

 うん?

 

 そうそう、そいつだ、ノッペラボウ。

 東の方に伝わるバケモノの名前だが、博識だな、ギルドマスター。

 そいつが何体も視界に湧き出ていて、こっちへこいといいケツを見せて手招きするんだ。

 誰だって夢だと思うだろうさ。

 

 ……?

 どうしたんだギルドマスター?

 

 

 …まぁ、夢だと思っちまったら、あとは欲求と良心の問題だろう。

 夢でなら好きにやっていいと思うか、それとも夢の中でも心が痛くなるような行為をしたくないと思うか…。

 俺は前者だったって訳だ。

  

 ま、何発もブン殴られて、ようやく夢じゃないって気が付いた……ああ、考えてみれば痛覚とかも麻痺気味だったような気がする。

 これは狂竜症にかかったモンスターを見ると、特に不思議はない事だが」

 

 

 

 ……まぁ、ウソは言ってなさそうだ。

 と言うか、のっぺら連中がやらかしているっぽい。

 

 A.BEEさんがのっぺらミタマの事を知ってる筈もないし、特徴を聞いた限りではどう聞いてものっぺらミタマ。

 偶然の一致という事は無さそうだ。

 という事は、狂竜ウィルスには霊的なナニカがあるのだろうか?

 それとも腐ったのっぺらミタマが、妙な情熱を発揮して物理…いや霊的法則を無視して出現したのだろうか?

 どっちにしろタダじゃおかねえ。

 

 だが有効な攻撃方法は……うむむ。

 

 

 

 取り合えず、ギルドマスターの名において、酌量の余地在りと認める。

 ナターシャさんは納得行ってなかったようだが、仮にも組織のトップである俺の判断に口出しすべきではないと、矛を収めてくれた。

 それでもA.BEEさんが俺に近付こうとすると威嚇してたが。

 

 

 

 

NTD3DS月『ようやく布団が干せる』日

 

 隔離終了。

 俺もナターシャさんもA.BEEさんも、特に後遺症・感染・再発などの疑いなしという事で、正式に放免となりました。

 

 ナターシャさんは、なんか妙に意気揚々と…かすかに覚えている記憶にある表現によれば、「キラキラ状態」って言うのかね……「今期のノルマを速攻で終わらす」と言って、村を離れた。

 一週間くらいで戻ってくるから、浮気しないように…と冗談めかして(背後から矢を付き付けられて)キスをして去っていった。

 

 A.BEEさんは、同じくノルマを達成する為、狩りに行ったり迷惑をかけた皆に顔を見せて回っている。

 

 そして俺はというと、一週間分溜まりに溜まった、復興その他に関する書類の処理……を、する予定だったんだが。

 なんちゅーか、ちょっと今恐ろしいモノを見ている気分になる。

 

 いや、別段変わった事が発生している訳じゃないんだ。

 むしろ、起きている事自体は本当に普段と変わらない。

 

 パピ嬢が、ギルドマスターの仕事をしてない俺よりもずっと率先して書類仕事をしていると言う、正常な神経持ってりゃ土下座したくなるような状況なだけで。

 そう、いつも通りなんだ。

 

 

 いつも通り以上に、パピ嬢があれやこれやと世話を焼いてくれる事を除けば。

 

 

 俺だって仕事はしようとしたんだよ?

 ギルドマスターでないと対処できない、判断できないような仕事だって幾つかあるんだから。

 だがそれをパピ嬢に尋ねてみると、「それなら、もう確認して判子を押すだけなのですよ。 それよりもお茶をどうぞ」って言われて。

 実際確認してみたら、特に不備は無い、どころか……俺が却下を出した場合に備えて、腹案を最低でも3つは確保している。

 それも、準備だけしてゴーサインは出してないので、越権行為を行っている訳でもない。

 

 それだけでも相当な仕事量があった筈なのに平然としており、「お腹はすいてないのですか? バナナをどうぞ。 林檎もあるですよ」「お昼寝すると、仕事の効率がよくなるのですよ。 15分くらい横になってください、膝枕してあげるのです」「マスター、こっちの書類ちょっとおかしいのです。訂正しておいたので、確認してほしいのですよ」「ポイクリお爺ちゃん、黙ってください」「マスター、汗が滲んでます。ちょっと暑い日ですから、扇いであげるのです」「目の乾燥はよくないですよ。蒸しタオルがあるからどうぞ」

 

 ………世話焼きな母親か?

 でも、これだけアレコレ言われているのに押し付けがましい感触は全く無く、それどころかふと気が付けば懐に入り込まれているような気分。

 近くに居てもプレッシャーは無く、プライベートスペースに居るのに全く苦にならない。

 …なんちゅうか、もしもパピ嬢がアサシンだったら、何時でも仕留められる状態だ。

 

 幼女に世話される事に居た堪れなくなって、こっちから何かして欲しいことが無いかと聞いても、返ってくるのは精々「頭を撫でてほしい」とか「膝枕して耳かきしてほしい」とか、その程度の事ばかり。

 

 

 何だ?

 一体何が起きている?

 悪い事じゃない筈なんだが、なんだか知らんが悪寒がする。

 エシャロット達に聞いてみようとすると、及び腰になって全力ダッシュで逃げるし。

 パピ嬢の様子をそれとなく伺っていたら、「お見通しなのですよ?」と言わんばかりににっこり微笑まれたし。

 

 

 何かが……何かが起きている…!

 真綿で喉を締め付けるような何かが!

 

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