※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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昼頃には投稿しようと思ってたら、二日酔いでダウンしてました。
500mlのアサヒドライを3…いや、4本だったかな?
うーん、肝臓弱くなってきてるな…以前は一日で6本飲んでも余裕だったのに。
なんかサプリメントでも飲もうかな…。


第81話

 

 

 

HR月主人公日

 

 

 商売繁盛で笹もってこい、ってか?

 

 MH世界から持ち込んだ色々な素材が、阿呆のような勢いで売れている。

 珍しさもあるんだろうが、食える物を中心に集めたからな。

 

 何より、この世界の素材と比べると、生命力とかが段違いだってよく分かる。

 育ちやすい、繁殖しやすい、利用しやすい。

 そりゃ注目も集めるだろう。

 しかも、この世界ではもう殆ど見られなくなった、天然のモノだらけ。

 

 この世界の物と並べて比べてみると分かるんだが…ナンと言うか、オーラが違う。

 気のせいと言われればそれまでかもしれんが、溜め込んでるエネルギーが違うって気がするんだよね。

 10万円を貯金してるキャッシュカードと、100万円を貯金しているキャッシュカード並みの違いと言うか………あれ、それって本当に気がするだけで、持ち主でも見分けつかないんじゃね?

 

 

 

 …まぁいいや。

 

 それはそれとして、現在俺が身を寄せているのは、フェンリルの庇護下に無い集落の一つだ。

 前ループでは、リンドウさんやナナが隠れていた村だな。

 そこで農業しながら、コッソリと仮面ライダーアラガミ状態であちこち動き回ったりしている。

 変身に体を慣れさせる為の訓練中だ。

 ちなみに装備している神機ははオウガテイル系。

 仮面ライダーオーガならぬオウガだな。

 時々ゴッドイーターに目撃されているが、とっとと逃げているから問題ないだろ。

 

 

 元々排他的な村だったんで、村人にあまり近寄りすぎなければ、あっちからチョッカイを出してくる事もない。

 最近は俺が作った畑(と言うか簡易農園)に入り込もうとした阿呆も居たが、そっちは闇から闇へ葬った。

 …いや、殺してないけどね、俺は。

 アラガミに食われず逃げられたかは知らんけど。

 

 とにかく、そこでMH世界の植物とか色々と育ててみている訳だが、どうも最近有名になってきたらしい。

 この世界で、対アラガミ防壁の外にあると言うのに、何故かアラガミに食い荒らされる事もなく、見た事も無い植物を育てている謎の農園。

 アラガミが寄って来ないのは、仮面ライダーアラガミ状態の練習も兼ねて、付近の奴らを狩りまくったからなんだけどね。

 元々、人が集団で暮らせる程度にはアラガミの少ない場所だったし。

 

 何故だか知らないが、エリックさんがそれを見せて欲しい、と手紙でアポを入れてきた。

 何故にエリックさん?

 

 まぁ、前ループでは同じ班の仲間だったし、何かと世話になってる人だから、見せて欲しいと言われて断る理由も無いが。

 

 

 

 で、約束の日になって、俺は集落から出て出迎えに向かった。

 俺が居る集落は、ゴッドイーターにいい顔をしないからな…放っておくと揉め事の種になりそうだった。

 

 で、少しは慣れたところからちょっと見てたんだが…ソーマと一緒なのね。

 他に人影は無し。

 エリックさんがスパイの真似事なんかできるとは思えないし、本当に興味があるだけなのかな?

 農園という言葉に華麗さでも見出したんだろうか。

 

 ソーマに至っては、エリックさんに無理矢理連れてこられたのがよく分かる表情だ。

 何やら興奮して語るエリックさんに、辟易している。

 

 …ちょっと距離がありすぎて、唇が読めないな。

 むぅ、アリサとかなら唇どころか、体の動きや雰囲気から何を言っているのか何となく想像できるんだが。

 GE世界の中でも、アリサとの仲(意味深)は特に長いからなぁ。

 

 

 

 それはともかくとして、エリックさん興奮しすぎ。

 この辺、フェンリルの対アラガミ壁の外なのよ?

 人間が何人か暮らしちゃいるが、安全って訳じゃないのよ?

 

 

 つまりな……

 

 

 エリックさんの上方10メートルくらいから、オウガテイルが落下してきているんですが?

 

 なんでアンタそんなにオウガテイルに好かれてんのさ…。

 とにかく助けたけども。

 

 

 幾ら俺だって、あの距離を咄嗟に詰められる程素早くない。

 以前から練習していた切り札が、何とか上手く行っただけだ。

 

 

 アラガミ化した時の、まだコントロールしきれていない謎スキルの一つ。

 一瞬だけ超高速で動ける…具体的には1呼吸のうちに3回全く別の行動が出来るくらいのスピードで動ける、その名も安直・アクセラレート。

 アクセラレータ、じゃない。

 某一方通行では断じてない。

 俺はロリコンとちゃうで。

 

 ……パピ嬢を思い出すとちょっと自信がなくなるが。

 

 そのアクセラレートに加えて、ミタマのスキル・韋駄天を使用。

 

 

 とにかく、例によって例の如く上田に改名…いや、戒名を与えられようとしていたところに、超高速で乱入。

 構えていなかったとは言え、ソーマが反応すらできなかった辺り、思った以上に規格外のスピードで動けているようだ。

 

 正にエリックに食いつこうとしているオウガテイルに、銃撃で牽制、ブレードで一撃。

 冷静に、スローモーションの映像を見るように、はっきりと見えた血管(アラガミにもあるのだ)を狙う余裕すらあった。

 

 片手の一撃で両断。

 真っ二つになって地に落ちるオウガテイル。

 …何故か爆発した。

 そして気が付けば、なんかポーズをとっているような体勢に……いや、単に超スピードを止めて勢いを殺す為にこんな格好になっただけだよ!

 

 すぐに距離を取る。

 ソーマが臨戦態勢に入ったのが見えた。

 

 生憎、ソーマとエリックさんを同時に相手にするつもりはないよ。

 なんだかんだで真剣に戦えば強いし上手いし、単独突撃癖のあるソーマをフォローできるエリックさんも侮れる相手じゃない。

 アクセラレートで一気に仕留められれば話は別だが、連発は無理だ。

 このまま戦ったとしても、変身が解けて動けなくなるまで粘られる。

 

 という訳で、近くにあった街頭の残骸の上にジャンプ!

 ついつい両腕を組んで垂直に立つ、所謂ベガ立ち。 

 JOJO立ちしなかっただけ褒めてほしい。

 …いやね、アラガミ化しても間接の稼動範囲は変わらねーのよ。

 関節技が最大の弱点です。

 

 

 ポーズをとっといてなんだが、流石に口を利く訳にはいかない。

 正体を見せるなんて持っての外だ。

 数秒ほど二人と見詰め合った後、大ジャンプ。

 上手いことそこらの廃ビルに入り込み、二人の目が届かない所まで逃げ出した。

 

 

 

 

 

神無月ソーマ視点

 

 …ソーマだ。

 苗字?

 うるせぇ。

 

 なんだったんだ、あのアラガミは?

 いや、本当にアラガミであるかさえ疑わしいくらいだ。

 明確な根拠はないが、どうも…アレはアラガミとも人間とも違う、異質な何かに思えた。

 行動からして明らかに違う…と言ってしまえばそれまでだが。

 

 表情は全く分からないのに、妙に人間臭く感じる奴だった。

 …アラガミに人間味?

 ハッ、バカか俺は…。

 

 エリックの奴は、「助けられた! まるで旧世界の物語にあったヒーローのようだったじゃないか! あの華麗なアラガミは、きっと人間の味方に違いない!」とか騒いでいるが、放っておく。

 相手にしなければ、一週間程度で飽きるだろう。

 

 …そう思っていたのだが、あのアラガミの話は他のゴッドイーター達の間では、最近騒がれている事だったらしい。

 俺は雑談なんか全くしないから、その手の情報には疎い。

 仮に聞いていても、馬鹿馬鹿しいと鼻で笑って終わりだったろうが。

 

 

 それはともかく、エリックが実に騒がしく(率直に表現して鬱陶しく)俺を連行しやがって…。

 名も無い集落から謎の植物その他が輸出されているんだ、とか言っていたが、それが俺に何の関係があるってんだ。

 あんまり騒がしいんで諦めて、子守を押し付けられた気分でその集落について行った。

 

 

 …ああ、まぁ、エリックに少しは感謝してやる気分になったな。

 生野菜か…合成でもなんでもない、土から生えている野菜を初めて見た。

 突然動き出す訳でも襲ってくる訳でもないのに、妙に目が離せなかった。

 

 …農園の一番外側で育てている奴は、引き抜くと叫ぶって言ってたが、冗談……だよな?

 備え付けの耳栓があったのは何か別の用途の為だと思う。

 と言うか、本当に叫ぶような野菜だったら、何で育ててるんだ。

 

 …鳴子代わり?

 何も言う気はしないが…こんな所で育てた野菜を食って、大丈夫なんだろうか?

 

 エリックが試しに一つ食わせてもらって狂喜乱舞していたが、矢張り何か妙な成分でも入っているんだろうか…。

 

 

 …どうでもいい事か。

 俺が関わるような事じゃない。

 あの妙なアラガミと生野菜でテンションがおかしくなっているだけだろうし、放っておくか。

 

 

 …ただ、アナグラへの帰り道で、エリックが夢を見るように語っていたのが印象に残った。

 ゴッドイーターの戦いに迫っている限界。

 食糧供給の限度。

 それらを、ひょっとしたら覆せるかもしれない可能性だと。

 

 コイツは普段は間の抜けた事ばかり言っている癖に、妙に視野が広いからな…。

 アラガミを狩り尽くす事だけ考えている俺とは違う。

 

 …ひょっとしたら、こういう奴がアラガミを滅ぼすのではなく、人間に希望を齎すんじゃないか…そんな妄想染みた考えが過ぎったのは否定しない。

 仮にそうだとしても、この華麗なる阿呆本人ではない事は断言できるが。

 

 

 

 しかし、あの生野菜…特にトマトが美味かった…はいいな。

 ……あそこはアラガミに襲われる事もあるかもしれないし、時々様子を見に行ってみるのはアリか。

 どうしてあの一帯だけ、妙にアラガミが少ないのかも気になるし、何よりあの妙なアラガミがあの辺りに根付いているかもしれないのだ。

 

 今度は逃がさねえ。

 とは言え、最初に現れた時のスピードは脅威だな。

 …ムカつくが、一人じゃ対処しきれんかもしれん。

 

 だが知ったことか。

 …誰の手も借りない。

 俺の傍に居たら、また死ぬから。

 

 

 

神無月ソーマ視点2日

 

 

 意気込んだものの、遭遇しない事にはどうしようもない。

 毎日のようにあの農園に行きたがるエリックに連れられ、あの一帯を歩き回ってみたが、それらしい痕跡すら見つからなかった。

 

 強力なアラガミが居る地域では、「食い遺し」が結構転がっているものなのだが、小型のアラガミが居る形跡くらいしか見つけられない。

 そもそも、見つけても戦わずに逃げようとする可能性もあるか。

 あの機動力だと、逃げを打たれたら追跡するのも難しいな。

 発見されずにこっちが一方的に見つけて、奇襲でカタをつける必要がある。

 

 

 農園をやっている男に、あのアラガミの事を知らないかと聞いてみた。

 しかしまともな情報は無い。

 ゴッドイーターの間での通称、「マスク・ド・オウガ」という名を聞いた時に、何故か顔を引き攣らせてエリックを見ていたが…。

 

 そういえば、あの男も怪しいと言えば怪しい。

 何度か顔を合わせて気が付いたが、明らかに一般人じゃねえな。

 体付きも鍛えこまれているし、何より命の遣り取りを日常としている人間特有の空気を持っている。

 只者じゃないな…仮に戦ったとすると、かなり梃子摺りそうだ。

 

 

 しかし、ゴッドイーターでもないようだ。

 腕輪もしてないし、当然アラガミ化の兆候も無い。

 もしも腕輪が壊れているのだとしたら、こんなところでのんびり野菜を育てていられる筈がない。

 

 所謂、裏世界とか暗部の人間か?

 フェンリル庇護下にない集落に身を寄せるだけあって、脛に傷があるのかもしれんが………どうも、アイツとはややこしい付き合いになる気がした。 

 

 

 それからエリック、油断するな、浮かれるなと何度言わせれば分かる…!

 前回や今回は俺とあのアラガミのお蔭で助かったからいいものの……。

 

 

 

 あと、キュウリの塩漬けが美味かった。

 

 

 

 

 帰ってからもエリックの語りは続く。

 相変わらずウルサイ奴だ。

 やかましいのももう慣れたと思っていたんだが、ここ暫くは前にも増してヒートアップしてやがる。

 農園についても語るが、それ以上にマスク・ド・オウガについての語りが酷い。

 

 先日、ゴッドイーターに片っ端からあの話をして……いや、アレはもう布教と表現した方が……いたところを、雨宮に首根っこを掴まれて張り倒されたからな。

 出会い頭にアイアンクローして気絶まで持って行くとは、俺でも中々できそうにないぞ。

 

 とにかく、他に語れる相手が居ないから俺に捲くし立ててるんだろう。

 俺としても蹴り飛ばしたいが、その程度では効かなくなってきているんだよな…。

 まぁ、俺としても奴の情報が入るのは好都合ではある。

 エリックが自主的に情報を集めてくるおかげで、奴の能力をある程度知る事ができた。

 

 …まぁ、「節操が無い」の一言なんだが。

 桁外れのスピードで動けるのは知っていたが、炎氷雷による遠距離攻撃、二本のブレードと盾、しかも小道具を使ってゴッドイーターの裏を掻くとか。

 どこまで事実か分からんが(何せ情報源が噂話な上、語っていたのが『あの』エリックだ)、何か妙な力でアラガミの動きを止める事ができるとか、ゴッドイーターが攻撃を当てたと思ったら擦り抜けて、実はそれは残像だったとか…。

 

 しかし、ブレード・盾と、遠距離攻撃をする時は体が変身…いや、変形するという話もあった。

 最近では、戦ったアラガミを捕食する姿すら目撃され、しかもその後は明らかにパワーアップしていたとか。

 

 …捕食の時に変形しているのかは分からないが、もしもそうだとすると……まるでゴッドイーターのようだ。

 ブレードは文字通り剣、盾、遠距離攻撃する姿を銃、そして捕食する為の姿がプレデターフォーム。

 話に聞いた新型の神機がそんな機能を持っていた筈だ。

 

 だが、新型神機の使い手は、極東ではまだ一人も出ていない。

 世界規模で見ても、数人程度しか確認されていなかったように思うが……考えすぎか?

 それとも、イカれた科学者共がまたバケモノでも作り出したか?

 俺のようなバケモノを。

 

 いや、実験で作った新型神機を、スサノオのようなアラガミが取り込んだだけなのかもしれん。

 ………どうでもいい事か。

 あのアラガミを殺す為の情報ならともかく、どうやって産まれたかなど考えても意味の無い事だ。

 

 この際なので、エリックに「どの辺りで目撃情報が多いのか探って来い」と言っておいた。

 

 

 

神無月コウタ視点日

 

 

 

 えー、藤木コウタです。

 

 のっけからもえつきたぜ・・・・・・まっしろによ・・・・・・・・。

 

 

 

 いやもう冗談抜きでキツかった。

 雨宮教官のシゴキが容赦ないのなんのって…。

 思わずゴッドイーターになった事を後悔しちゃったくらいだ。

 

 ま、後悔しても止めるって選択肢はなかったけどね。

 俺がゴッドイーターとして働いてれば、家族に優先的に食料とかが行き渡る。

 ノゾミを飢えさせる訳にはいかないし、母さんにだって育ててもらったお返しをしないと。

 

 …初出撃が終わったら、お土産持って帰ろう。

 元気な所を見せておかないとな!

 シゴキで燃え尽きた感があるから、ちょっと休みたいって思わないでもないし。

 

 

 さて、明日は初出撃な訳だけど、バガラリーのイサムみたいに、一丁格好いいトコ見せないとな!

 …なーんて思ってはみるけど、やっぱり怖いや。

 雨宮教官程にはアラガミも怖くないと思いたいけど、その雨宮教官直々にアラガミの脅威を叩き込まれたからなぁ。

 アラガミが怖いのか教官を思い出して震えてるのか、自分でも分からなくなってきた。

 

 初任務は、教官の弟の雨宮リンドウさんと一緒の出撃だ。

 極東ではトップクラスの生還率を誇る部隊らしいんで、初戦で死んでしまう事はないと思う。

 いきなりそんな任務に当てるなんて無茶はないだろうし…。

 

 それにしても…アラガミとはいえ、生き物を撃つんだよなぁ。

 訓練でダミーを撃ちはしたけど、実物は……躊躇わずにやれるかな?

 やらなきゃ死ぬんだけどさ…。

 

 

 

 あー、やめやめ!

 これ以上考えてもドツボに嵌るしかなさそうだ。

 今日はもう寝よう。

 初任務に寝不足だなんて、話にならないや。

 

 

 

 

 

 

 

 雨宮さん…いや、リンドウさんから目にクマができてるぞって笑われた。

 ま、よくある事らしいけどさ…。

 初出撃に緊張して眠れなくなかった新人って、珍しくないらしい。

 

 「そんなに緊張してたら疲れちまうぞ。姉上殿に知られたら再教育コースかもな」って勘弁してくださいよリンドウさん。

 あのシゴキは二度も三度も受けたくないですって。

 ああ、せめて同期で一緒に訓練を受ける奴でもいれば、愚痴も零せるのにさ…。

 

 

 それはともかく、最初の任務はオウガテイル1体。

 群れから逸れたのかな?

 それともボッチだろうか。

 

 生き残るのに大切な事は、相手を観察する事だ。

 アラガミの予備動作をキッチリ見極め、攻撃を避ける事…雨宮教官からの受け売りだけど。

 

 オウガテイルを俯瞰できる位置を陣取れたんで、リンドウさんの許可を得て暫く観察してみた。

 

 なんていうか……やっぱりアラガミも生き物なんだな、って思ったよ。

 その辺に落ちてる石だか草だか食べて、美味しかったんだろうか?

 心なしか尻尾がよく振られているようだった。

 犬の尻尾みたいだな。

 

 食事が終わったら、キョロキョロと周囲を見回しながらフラフラと歩き出していた。

 リンドウさんから教わったんだけど、オウガテイルの視界は意外と広いらしい。

 旧世界で居た動物達にも共通する事らしいんだけど、目が顔の左右についているのは、左右を警戒して捕食者を警戒する為だとか。

 まぁ、旧世界のウサギとかとは違って、360度全方位を視認できる訳じゃないらしいけども。

 これが、大型アラガミの代表格のヴァジュラとかになると、目が顔の前の方についていて、獲物との距離を正確に測る為のつくりになっているんだそうだ。

 

 とにかく、オウガテイルと戦う時には、「後ろから接近しているから大丈夫だろう」なんて思わないようにって事だ。

 それと、オウガテイルは上下への動きを追うのが苦手らしい。

 人間にも共通する事って言ってたけど、頭上というのは大体の生物にとっては死角なんだって。

 

 …本当に……生き物なんだなぁ。

 このまま観察したり、リンドウさんの豆知識を聞いていると、撃つのを躊躇ってしまいそうだった。

 

 

 

 初の実戦。

 正直言って、簡単だった。

 簡単だった筈なのに、無我夢中だったよ。

 

 何度引き金を引いたかも覚えてない。

 リンドウさんに止められて、ようやくオウガテイルの死体に何度も弾を撃ち込んでいた事に気が付いた。

 生き物を殺したっていうショックは、不思議と無かった。

 相手がアラガミだからだろうか。

 

 気が付かない間に終わっていた戦いだったけど、リンドウさんに「速く帰るぞ」って手を引かれて我に返った。

 それから後は、特別な事は何もなかった。

 メシ食ってシャワー浴びて、バガラリー見て。

 

 横になったら、あっという間に寝落ちした。

 

 …実戦だったのに。

 アラガミを一匹倒したのに。

 そんな事、誰も知らないかのように。

 いや、知ってたって何も変わらなかっただろう。

 ここの人達にとって、オウガテイルを一匹討伐するなんて、騒ぐ事でもないんだから。

 

 ただ、俺が初出撃だって知ってたヒバリさんが労ってくれたのが嬉しかった。

 

 

 

 

 

 それからは、暫くリンドウさんと出撃して、時々別の人と組まされた。

 何と言うか………うん、ゴッドイーターになってよかったなぁ。

 目の保養目の保養。

 

 …まぁ、1回出撃した後は、そんな事言ってられなくなるんだけどね。

 例外はサクヤさんくらいだった…あの人以外、皆クセがありすぎ…。

 

 

 

 ところで、組まされたうちの一班なんだけど、なんとも対照的な二人が居た。

 エリック先輩と、ソーマ。

 ソーマだけ呼び捨てなのは…うん、まぁあの態度だしね。

 強いし、助けられはしたんだけど。

 

 あとエリック先輩にも助けられたけど、代わりに「華麗なるエリック先輩」と呼ぶように言われてしまった。

 呼ばないけど。

 

 殆ど喋らないソーマに代わって、エリック先輩が過剰なくらいに話してくれた。

 ソーマのフォローの為なのかもしれないけど、あれはきっと素だ。

 

 それで、最近話題になってる「マスク・ド・オウガ」ってのも教えてくれた。

 と言うか語られた。

 …エリック先輩の相手をソーマから押し付けられた、と気づいたのは帰ってからだった。

 

 まぁ、興味はあるけどさ。

 

 

 帰ってからヒバリさんに聞いてみたら、マスク・ド・オウガは結構有名らしい。

 ただし、所謂デマとか怪談……いや、与太話とかとして?

 

 最近何度も目撃される、人型のアラガミ。

 その存在が正式に確認されれば接触禁忌種指定確定と言われる程の強さなのに、どういう訳かゴッドイーターに対して積極的に攻撃せず、逆に追い詰められたゴッドイーターを助けるような行動を取る。

 アラガミ同士の共食いは珍しい事じゃないが、それは外敵の排除か、或いは食べる為の行為の筈だ。

 だけどマスク・ド・オウガは自分を狙っていないアラガミに攻撃をかけるし、倒したアラガミを食べるでもなく放置する。

 

 そして、まるで幽霊のように記録を残さない。

 

 『これは秘密なんですけど』とヒバリさんが小声で教えてくれた…息が耳にかかって、ちょっとドキドキしたけど。

 

 実は、ヒバリさんもオペレート中にマスク・ド・オウガに遭遇した事があるらしい。 

 と言っても、ヒバリさんの場合はあくまで通信機越しにだ。

 

 俺がまだあった事のない、防衛班部隊のオペレーターを務めていた時、「見た事の無いアラガミが居る」って言われたんだって。

 それで慌てて確認してみたんだけど、レーダーには全く感無し。

 だけど逆に、捕捉していたアラガミの反応が次々と消え、何かが起こっている…と判断して、ゴッドイーター達が現場に急行した。

 

 そこで見たのは、蹴散らされたアラガミ達と……ほんの一瞬だけ見えた、人型。

 当然慎重に追いかけはしたものの、その先に居たのは単なるシユウだったらしい。

 

 映像に残っていないか?と記録を調べてもみたんだけど、どういう訳だか写っていそうなタイミングでノイズが走り、人型の何かが居た!って事は確認できても、詳細までは分からなかった。

 機材の故障を疑われて、メンテナンスもしたんだけど…謎が深まるばかりだった。

 確かに機材は不調だったけど、その原因が分からない。

 部品も故障していたとは思えない状態だったし、制御プログラムとかにも異常は無し。

 

 新種のアラガミ出現、と断定するには根拠が無さすぎたので、純粋にノイズの問題としてその一件は終わってしまった。

 

 

 う~ん……なんだな、アレだ。

 旧世界に似たような話があったような……アッシーだったかヨッシーだったか、ジュラ紀に居た恐竜が秘境で生き残ってるんじゃないかって話だ。

 結局、それが本当だったのかは分からず終いだったらしいけど、これもその手の話かなぁ?

 

 

 ま、いいか。

 話に聞いた事が本当だとすると、ゴッドイーターに対して害は無いっぽいし。

 話の種に覚えておくくらいでいいだろう。

 ノゾミに話してみようかな……いやでもアラガミに対して妙な親近感を持っちゃったら、厄介な事になりそうだし…。

 

 それよりも、無様な姿を見せたら雨宮教官の再教育って方が重要だ。

 もう何度か出撃したら、そろそろ一人でコンゴウを相手にするらしい。

 一人前の試験が、一人で討伐ってところが極東を表している……らしい。

 他の支部から出張で来た人が戦慄してたけど、他の支部ではもっと簡単なんだろうか?

 

 俺もソッチが良かった、と零したら、「露出度は極東がダントツだぞ」って言われた。

 ………うん、ノゾミの為にも極東で頑張ろう。

 

 

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