外せない仕事が入ったおかげで、帰省が来月になっちまった!
しかも3DSのルーンファクトリー買ってるし、余計な出費がかさんでしまった!
切符と土産を買ってなかったのが、唯一の救いです…。
ううううう、なんかもう先月から色々な意味で悪い流れが…。
ショックなので投稿します。
神喰月主人公視点日
アリサにヤバいもの目撃されてしまった。
一悶着あったが、何とか納得してくれたようで結構だ。
まだ疑われているみたいだが。
デカくなってた理由?
人間の体ってな、その気やケが無くても、刺激を与え続けりゃ反応するように出来てるんだよ。
別に直接刺激された訳でもないけどさ。
パピのおかげで、そのケが全く無いと胸張っていえなくなってるけども。
さて、あの時のシーンだが、前述したように非常にヤバい。
官憲のお世話になるのも仕方ないくらいヤバいシーンだったが、本当のヤバさはそこではなかった。
思い返せば数日前。
シオを風呂に入れてやり(心頭滅却無念無想、心頭滅却無念無想…)、サッパリしたところで二人で寛いでいた時だった。
その日はアラガミのコアのストックもあったので狩りにも出ず、シオがウトウトし始めていた。
そのまま布団に放り込んでやろうと抱き上げた時に…シオが変わった。
最初は単に寝惚けているんだと思った。
抱き上げた俺に頭を擦りつけ、フンフンとニオイを嗅いでいた。
chiotなのにネコみたいだな、と思っていたら…首筋をべろんと舐められた。
この辺でおかしいとは思ったんだ。
シオは基本的にアラガミしか食べない。
ニオイを嗅げば、ある程度味の想像はつくだろう。
だというのに、偏食のアラガミが俺を舐める?
疑問に思った次の瞬間には、シオの歯が俺の肩に食い込んでいた。
突き飛ばしはしなかったものの、咄嗟に後頭部を掴んで引き剥がした。
引き剥がされたシオは、今度は手を伸ばして俺の肩から流れる血を少しだけ拭って、自分で舐めた。
…そして次の瞬間には我に返って、「ぺっ! ぺっ!」とマズイものを食ったと言わんばかりに吐き捨て、口直しにストックしていたアラガミのコアを食い始めてしまった。
……なんかさ、こう……被害者の筈なのに、敗北感って言うか…別に処女に血を吸った吸血鬼みたいな反応しろとは言わんけどさ…。
一晩ほど黄昏て(夜中から明け方なのにな)、ようやく立ち直って、なんだったのかと思った。
たった一度であれば、寝惚けていたで済ませられるかもしれない。
しかし、その後もシオは何度も同じように意識を失い、また俺に齧りついてきた。
幸いというべきか、やはり人間は食べられないのか、文字通り捕食されないのが救いだ。
が、その分舐めまわしを多用し始めた。
肩から始まり、指先、腹、足(爪先じゃねーぞ)、背中…。
とにかく体中に触れ、味わおうとする。
男のアレについては、なんか噛みつかれそうな気がするから許してないが。
これは一体どういう事だ?
シオがこうなる原因と言えば、やはり特異点の本能の筈。
だが、それならシオは真っ先にイージスに向かっていく筈。
それに、時期としても速すぎる。
ゲーム及び前ループを基準として考えれば、あと一ヶ月くらいの猶予はある筈なんだ。
リンドウさんと出会わなかった事に関係があるんだろうか?
シオがリンドウさんにこんな事をしていたようには見えなかったが…。
と、最初はシオが性欲(食欲?)に目覚めた事も疑っていたんだが、暫くして更に事態は発展した。
アラガミ以外は食わない筈のシオが、農園の野菜をツマミ食いしていたのだ。
…危うくガチ切れするところだった。
何とか冷静になって、感想を聞いてみたが……首を傾げられるだけだった。
その後も何度かツマミ食いは続いた。
正直言えば吊るし上げたい衝動に駆られたが、食料になっているのは事実らしく、夜の狩りで食べる量が明らかに減った。
俺の神機も元はアラガミしか食わなかったのに、色々と無理矢理突っ込んでたら雑食になってきたしな…案外、文字通り偏食なだけで、食えない事はないのかもしれない。
それとも、アラガミ化で神機を取り込んだから、俺に影響されたんだろうか……いや、雑食になり始めたのは、仮面ライダーアラガミになる前だったな。
まぁ、無駄になっているのでないなら、我慢できない事もない。
最近じゃ、本格的に近所のアラガミが少なくなってきてるもんな。
ただ、出来のいい生命力に溢れた奴…デカいだけじゃなくて、艶とかもいい奴から取っていくのは勘弁してほしいが。
本能で選んでるようだが、いい審美眼だ。
さて、毎度毎度唐突な展開で悪いが、この「生命力」ってトコに注目だ。
コイツがシオの異変のキーワードだった……俺の考察が正しければ、だけどな。
このGE世界において、生命力がある植物なんぞ、無いに等しい。
皆無とは言わんが、殆どが人工のモノであり、養殖されたモノ。
また数も少なく、残っているものは何者か(主にアラガミやドロボウ)に危害を加えられないよう、厳重に管理されている事が多い。
しかし、俺が育てているこいつらは違う。
養殖ではあるが、別世界の生命力に満ち溢れまくった、手の加えられてない植物、生態系。
明らかに、この世界には…この地球には無い代物だ。
そう、ありえる筈のない、異物。
地球に意思があるとしたら、その異物をどう感じただろうか?
地球意思の代理である特異点、シオの行動がその答えだ。
生命力に満ちた野菜を取り込んでみる。
生命力…つまり霊力に満ちた俺に引っ付き、血を舐めたりニオイを嗅いだりして調べているのだ。
無論、シオ本人には自覚も無ければ記憶も無いだろう。
ただ特異点としての本能で、「なんとなく」野菜を食べてみたり、本能に流されて俺に飛び掛ってきているだけだ。
何故にそんな解答に行き着いたかというと、切欠は夜中の狩りの最中だった。
基本的に好き勝手に行動するシオだが、俺がアラガミ化している為なのか、それとも自分のご飯の為だと理解しているからなのか、狩りの最中は一応指示に従ってくれる。
が、何の変哲も無いグボロ・グボロを狩った時、変化があった。
ちょっと遠くに居たから面倒になって、連昇で仕留めたんだが……その途端にシオの雰囲気が変わった。
グボロ・グボロに猛烈な勢いで食いつくし、その辺に四つんばいになって地面と睨めっこ始めるし、ついには俺にまで噛み付いてくるし。
一発ド突いたら元に戻ったけど。
それでピンと来たんで、試しに霊気を圧縮してみた。
予想通り…というべきか、シオはそれに超反応した。
またしても暴走(?)状態になり、放出した霊気に掴みかかって、何とか手を触れようとしていた。
暫くバタバタやってたら、霊気が散って、シオが元に戻る。
これでほぼ確定だろう。
シオ…というより特異点の本能は、この世界に存在しない筈の霊力と、異なる生態系を調べようとしている。
まぁ、そりゃそうだよな。
終末捕食ってのは、要するに地球の意思で行われる、地球上の生命を一度混ぜこぜにして完全にリセットさせ、そこからもう一度始めようって現象…らしい。
そこに、明らかに入っちゃいけない異物があれば、終末捕食したって上手くいくかどうかわからない。
もしも異物が致命的な毒であるとするなら、混ぜたはいいが復元できなかった、ってな事にだってなりかねない。
…MH世界の素材が満ちたまま終末捕食して再分配されたら、新しく出来上がった世界はMH世界でした…なんて事になるかな?
流石に其れは無いだろうか。
試してみたくはあるが…いや、真面目にその可能性を考えてみると、どうだ?
実はGE世界で再分配され、そこから何千年も経った結果がMH世界だった、とか。
そして俺は3つの世界を転移しているのではなくて、実はタイムスリップをして、遠く離れたた3つの時代を何度も行き来しているとか?
そう考えると、何度も同じ時間・状況からスタートするのも説明がつく。
…検証のしようがないから、妄想以上にはならないな。
さて、それはともかく一体どうしたものか。
正直な話、シオの前で霊力を使うのは避けた方が良さそうだ。
また特異点モード(仮名)になってしまうだろうし、何度も繰り返していると戻れなくなってしまう可能性だってある。
それに、シオを通じて地球意思に霊力の存在を知られてしまったら……ヘタをすると、前ループ時のように霊力を使うアラガミが、世界各地に現れる可能性だってある。
GE2のメンバーも揃っていないのに、感応種が出てきちゃ手に負えない。
上記の事が発覚してから暫く様子を見ていたが、普段から徹底して霊気を漏らさないようにしていれば、シオも特異点モードにはならないようだ。
垂れ流し状態にはなってないとは言え、やっぱ霊気が僅かに漏れてたからな…。
それに反応してたみたいだ。
これにさえ気をつけていれば、恐らくリンドウさんが訪ねてきたとしても、特異点モードになって乱入してくる事は無いと思う。
言葉の問題も……このご時勢だし、言っちゃ何だが何らかの切欠で気が触れてしまった人だって珍しくはないから、何とか押し切れると思う。
やっぱり問題は服だ。
これも、気が触れてしまった為に…と主張できない事もないが…。
やっぱり、アリサについて外出させるしかないかな…。
神喰月リンドウ視点日
数日前からの予定通り、俺は今農園にやってきている。
相変わらず、アラガミに襲われた形跡もなく、見事なもんだ。
今更なんだが、何でここはアラガミに襲われてないんだろうな?
アラガミが極端に少ない地域だって確かにあるが、ここだって極東には違いない。
他の地区からは地獄と称されるこの極東で、アラガミに襲われないというのはそれだけで望外どころじゃない幸運だ。
…なんて事を考えてたら、隣で「奴に協力するモノが居るんだろう…人とは限らんが、な」なんて意味深な事を言うオネーサマ。
本当は一人で来るつもりだったんだが、何故か農園に行こうとしているのを知った姉上殿が、仕事を一時停止させてまでついてきた。
…珍しいな?
仮にも弟の俺が言うのもなんだが、私情を挟まない鉄の女みたいな姉上殿が、役目を放り出してまでついてくるなんて。
勿論、本人が言うには公私混同や仕事を放り出したりしている訳ではなく、ここに重要な用事があるらしいが…それが何かまでは口にしなかった。
姉上殿も、ここに「何か」があると思っているんだろうか?
俺の場合は、単なる行き当たりバッタリというか、他に手掛かりが無いからとりあえず来てみたってだけなんだが。
姉上殿に協力を求めるって選択肢もあるにはあるんだが、姉上殿の立ち居地というかスタンスが今ひとつ分からないのが問題だ。
俺が探っている、支部長の裏の計画に全面協力しているとは思わないが、逆に全く関与していないとは思わない。
姉上殿は、仕事の立場上、支部長と話す機会も多いしな…ヘタな事を教えると、姉上殿経由で支部長に気取られてしまう可能性が高い。
そもそも、俺が探りを入れているのに気付かれたのも、その辺からの可能性があるしな…。
姉上殿が俺の行動に何も言ってこないのも、信じてくれているのもあるが、支部長とのクッション役を買って出てくれたからだ。
とにかく、今は姉弟の間と言っても、何でも話せる仲じゃないって事だ。
さて、そんな微妙な距離を保ちつつ、農園の主と話しこんでいた。
…姉上殿が、妙に意味ありげな言葉を投げかけている。
この人に何か不審な点でもあったんだろうか?
いや、こんなご時勢で唐突に農園開ける時点で不審極まりないんだが。
そういや、アリサが居ないな?
何か知らんけど、俺が出発するよりも前に大急ぎで農園に向かったんだが。
外出許可を求められて、フェンリルの車を使って、何も無い荒野でも交通ルールを守れといいたくなるようなスピードでカッ飛んでいったのを目撃した。
車自体は農園の外にあったから、少なくとも来ている筈だが…。
ん?
ちょっと預かってる子が居るから、その子を連れて外に出ている?
そうか…ちっと羨ましいな。
預かっているって事は、三食この農園で採れたものを食べられるんだろう。
それにしても…気のせいか?
お前さん、その預かってる子供の世話で疲れてない?
なんか、前に会った時よりも雰囲気が薄いというか、存在感が無いと言うか…生命力を感じられないような…。
まぁ、慣れない子供の世話なんかやってれば、疲れもするか。
大変だな。
そんな事を考えていると、姉上殿が「一度フェンリルに来ないか?」と誘いをかけていた。
…ん、デートのお誘いか?
と思ったら、なんと支部長からの直々のご招待らしい。
何でまた…と思ったが、考えてみればそう不思議は無いか。
この農園は、文字通り金の成る木みたいなもんだ。
手に入れられなくても、ツテくらいは作っておきたいんだろう。
ひょっとしたら、アナグラに小さな畑を作らせるくらいの事は考えているかもしれない。
うーん…俺としては、アナグラに来るのはあんまり勧められないなぁ…。
直接どうこうされたり、拘束されたりはしないと思うが、相手はあの支部長だ。
どんな搦め手を使ってくるか、分かったもんじゃない。
しかし、それを承知で誘っているという事は、やはり姉上殿は支部長側なんだろうか?
いや、あまり熱烈に誘っている様子ではないし、単に支部長からの招待を伝えただけか。
…だが、なんだってそれを受けてしまうかね…。
はぁ…結局、特異点に関する情報も無し。
ほぼ無駄足だったか…。
あったよ、特異点が!
神喰月アリサ視点日
えー、最悪です、いろんな意味で。
ドン引きです。
いや、誰が悪いかと言えば、強いて言うならハシャぐシオを止められずに、リンドウさん達の帰還ルートに近寄ってしまった私なんでしょうけど。
流石にそれは予想できません。
ちょっと寄り道、なんて気紛れまで誰が予想できますかね…。
えー、要するにですね。
リンドウさんと雨宮指揮官に、シオの存在がバレました。
一見すると、普通の女の子にしか見えないんですけどね、服装以外は。
お二人には一発で見抜かれました……アラガミ独特の気配がある、って。
何で気付いちゃいますかね…そりゃ、シオはマスク・ド・オウガみたいなブレードをブンブン振り回して遊んでましたよ?
でもそれって特異点じゃなくて、単にお転婆な女の子にしか見えないじゃないですか。
…いや、刃物振り回す幼女って時点で、いやでも注目しますよね……そして注目から見抜かれるに至る、と………あははは、一緒に暮らしてるウチに見慣れちゃってましたよ私ってほんとおバカさん…。
しかも私と一緒に居る所を見られたおかげで、住処が農園だって事まで見抜かれちゃいました。
ううう、マスター、本当に申し訳ありません…。
しかし、結果的には良かった…のでしょうか?
リンドウさんは何故か、巷で特異点といわれているマスク・ド・オウガがそうではないと知っていて、本当の特異点を探していたそうです。
…以前の対応ミスで気付かれたんでしょうか…。
リンドウさんは、シオをどうこうする気は無いようです。
何やら支部長に対抗する為に、特異点を探していたそうですが…支部長と何か確執でもあるんでしょうか?
…あの、マスター?
何故に雨宮指揮官とアイコンタクトを?
「言っていいのかコレ?」みたいな事考えてません?
とにかく、リンドウさんはシオを匿う事に賛成してくれました。
特異点を見つけても支部長から隠す場所が無いし、ここに居てくれるならその方が安全だと。
問題なのは雨宮指揮官です。
こんな事を言うのは失礼かもしれませんが、雨宮指揮官は半端じゃない女傑です。
鉄の女、という表現がこれ程似合う人には会った事がありません。
勿論、頑固なだけの頭でっかちな指揮官ではありません。
聞けば、仮にもゴッドイーターである私をこの農園に預ける決定をしたのもこの人だとか。
そういう意味では、私の恩人とも言える人なのですけど……。
そういった、通常では考えられない決定を柔軟に行える方なのはいいんです。
実際に成果も出ていますし、後から聞けばちゃんとした根拠があって行動している人ですから。
ですが、裏を返せば雨宮指揮官に意見するなら、明確な根拠と証拠を元に訴えなければならないのです。
そう、人類の安全圏を確保する、エイジス計画の中枢である特異点…シオの存在を隠蔽する、という事を容認させる為に、相応の理由と根拠を示さなければならないのです。
ですが、一体どんな事を言えというのでしょう。
少なくとも、私が示せる事は、シオが非常にいい子だという事だけです。
アラガミなんて関係なく、ちっこくてよく食べて好奇心旺盛でナデナデすると笑って、お風呂に入れると大騒ぎ……あれ、マスターシオのお風呂どうしてたんです?
………まぁ、年齢的にギリギリ犯罪ではない…かな?
合意の上なら。
と言うか子供の世話をしただけ、と考えるのなら普通にOKですが、以前にシオに襲われていた時の事を思い返すと…。
と、とにかく、シオはいい子なんです。
…でも、シオ一人と人間の安全領域、どちらを取るかと言われると……。
私なら、多分悩みに悩んだ末、シオを取る事ができると思います。
後で死ぬほど葛藤するでしょうけど…。
ですが、それはシオと個人的な交友を持っているからこそ言える事。
この世界の人間の誰もが、一度は経験しているでしょう…全く見ず知らずの他人一人と、友人や家族のどちらを助けるか、という選択は。
時には他人の数が多かったり、或いは無意識の内に後者を選ぶ事もありますが…。
私だって、もしもシオの事を知らなかったら、名も無いアラガミ…特異点と呼ばれていたとしても…一匹を生贄にして人類の安全圏を築く、なんて言われたら反対なんかしないでしょう。
そして、雨宮指揮官、そしてリンドウさんにとっての状況が正にそれです。
リンドウさんなら、明確な根拠が無くてもまだこちらの意見に耳を傾けてくれそうですが…雨宮指揮官は…。
シオを匿うのに充分な理由、そんな物があるのでしょうか?
口を封じる事もできない、説得もできない、従う事もできない。
できる事があるとするなら、意味があるかすら分からない、ヤブレカブレのKAMIKAZETOKKO…。
…マスター、どうします?
勝機の有無は関係ありません。
一戦交えてでもシオを守るなら、死力を尽くします。
そう、覚悟を決めたのですが、
雨宮指揮官の表情は、思っていたのとは全く違っていました。
何か、深く深く考え込んでいました。
暫く後、雨宮指揮官とマスターは、二人で話す事がある、と私とシオとリンドウさんを追い出しました。
…うーん、嵐の前の静けさ?
婚前交渉ならぬ、戦前交渉でしょうか。
とりあえず、シオから目を離さないようにしておきます。
リンドウさんがシオを餌付けしてみようとしてますが、まぁ、万が一の為にね。
暫くして、マスターと雨宮指揮官との交渉は終わりました。
どんな手品を使ったのかは知りませんが、シオの存在をすぐに報告する事はしないでいてくれるそうです。
ただし、無条件ではありません。
一定期間を置いて、エイジス計画に代わる代替案を提示できなければ、特異点としてシオを強引にでも連れて行く、と言われました。
代替案…無茶な事を条件にしてきたものです。
一介のNOUKAとその見習いに、どうやってそんな物を作り上げろと言うのやら…。
マスター、一体どうするつもりなんです?
神喰月ツバキ視点日
……うん、うん、大丈夫。
前に農園の主にドヤ顔して語った推論だが、大筋は間違っていなかったから大丈夫。
私の心は、その程度で傷が付く程ヤワではない。
さて、ちょっと自分を誤魔化しつつも、農園の主と情報交換を行っている訳だが…さて、どうしたものだろうか。
どうやらアリサもコイツも、あのシオと呼んでいる特異点に情が移っているようだが、それは私を止める理由にはならない。
薄情な言い方になるが、こいつらにとってどれだけ大事な存在であっても、見ず知らずの私にしてみれば、エイジス計画を成功させる為のファクターとしか見られない。
例え顔見知りの仲だったとしても、指揮官としての私は同じ判断をせざるを得ないがな…。
しかし、そこに待ったをかけている懸念がある。
愚弟が調べようとしている、エイジス計画の裏にある『何か』だ。
これでも愚弟の、特に厄介事に対する嗅覚には、それなり以上の信頼をもっているつもりだ。
その愚弟がわざわざ危険を犯して調べようとするからには、とてつもない厄ネタが潜んでいる可能性が高い。
それこそ、エイジス計画の要である特異点を見つけても、すぐに報告するのを躊躇うようなネタが。
とは言え、やはりそれだけでは報告しないという選択肢は取れない。
石頭と言われても仕方ないかもしれんが、それだけ重要な案件だ。
…なのだが…毎度毎度、この男は何処から情報を持ってくるのやら。
愚弟が調べようとしているエイジス計画の裏…つまりアーク計画の概要まで知っていた。
愚弟の命を賭けた尽力が無に帰した瞬間である。
ちと同情する…。
例によって情報全てを信用している訳ではない。
が、以前から考えていた「エイジス計画に特異点が必要なのか?」という疑問にも合致する。
他にも色々と、否定できない材料が揃ってしまっている。
終末捕食とやらにはまだ時間的な余裕はあるようだし、裏付けを取る必要がある。
だが、仮にそのアーク計画が真実だったとしても、それが終末捕食を生き延びる現実的な手段である事は変わりない。
例え、助けられる人間が本当に一部だけだったとしてもだ。
終末捕食が終わって地球に人類が帰ってきた後、アラガミが消えていると言うのなら、恐らく種の存続と言う意味ではこのまま戦い続けるよりも余程目があるだろう。
故に、アーク計画…世間的にはエイジス計画に代わる『何か』が無いのなら、私はシオを引き渡さざるを得ない。
そう告げると、「まだ話せないが、心当たりはある」と返してきた。
…ハッタリではない事を望んでおこう。
それはそれとして、シオの事を黙っている代わりと言っては何だが、一度アナグラまで来い。
先日も言ったが、支部長がお前と話をしたいと言っていた。
アーク計画で生き延びさせるのが一部の優れた人材のみだと言うなら、恐らくお前はそれに含まれる…いや、それを直接会って判断しようとしているのかもしれん。
出切ればその時の会話を聞きたいが………。
おい、盗聴器とか何故持っている。
一体誰に使っていた、誰に使うつもりだった、答えろ。
確かに私も使って支部長との会話を盗み聞きする事も考えたが、何故準備もせずに現物が今ここにある。
……ああうん、確かに。
盗聴器だけあっても、受信機が無ければ単なるガラクタだな…。
尚更なんで持っているのか理解できんが…。