…リッカさんの視点も入れたかった…。
雨宮ツバキ月視点日
今日、シックザール支部長から新人を直で任された。
確かに新人の教育も私の仕事だが、支部長から直と言うのは初めてだな。
しかも新型に適応した新人か…。
どうにも色々と『ワケ有り』の新人のようだが、そんな事は関係ない。
どんな事情があろうと、ゴッドイーターになったからには、戦えるようにしなければならない。
とは言え、全く何も知らされないというのも面白くない。
シックザール支部長については、弟のリンドウも何やら探りを入れているようだし、気にかけておいた方がいいだろう。
奴が何を探っているのかは知らないが、自己責任ではある……それで切り捨てられる程、私も非情にはなってないつもりだ。
さて、肝心の新人だが……何者だコイツは?
肉体の鍛え方に関しては私以上だ。
確かにゴッドイーターになる事で、肉体面では色々と強化される。
元の肉体が強ければ、その強化具合が跳ね上がるのも事実だ。
それにしたってコイツは異常すぎる。
だが、それに反して神機の扱いは一般人レベル。
ただ只管に鍛えただけの男だとでも?
分からん奴だ。
とは言え、大きなアドバンテージである事には違いない。
後は慢心しないよう、性根を徹底的に正しておかんとな。
こういう輩は、それくらいで丁度いい。
そう言えば、私の神機を使う事になった、藤木コウタも同時に教育しなければならんな。
面倒だし、私の神機を持って無様な真似をされるのも癪だ。
二人まとめて、特別コースで鍛えておくか。
訓練自体は上々……すぎる。
元の能力が高い分、実戦投入も早くなった。
…というより、たった一日で特別コースのノルマをクリアされるとは思わなかった。
どうなっているんだ、アイツの体は。
これでは性根の鍛え直しが出来んが、ノルマをクリアされた以上、手元においておく事はできない。
それが出来る程、戦力が足りてないのだ。
警戒の仕方や戦いの基本的な考え方は叩き込んだが、どれ程保つか…。
せめて任務に同伴する人間を選んでおくか。
それと、藤木コウタの訓練度合いは普通と言っていい。
元が一般人であったのだから、上出来な方か。
知人の伝手で入手した、海兵隊式罵り手帳(新兵訓練編)も試してみたが…ふむ、悪くないな。
初日から目のハイライトが消える程度には効果的だ。
今後も活用していくとしよう。
奴が卒業してから数日。
ゴッドイーター達の週報を確認していると、奴の名が出てきた。
どうやら、初戦は無事に達成できたらしい。
だが問題なのはこれからだ。
一緒に行ったゴッドイーターが、教育をしてくれるといいのだが…と思っていたら。
ちょっと待て、何故初任務からたった一人で出撃している。
私は大森タツミが同伴するよう手配しておいたぞ。
……初任務が訓練が終わった当日!?
なるほど間に合わん筈だ。
…ではない、オペレーターは止めなかったのか!?
無事だったからまだ良かったものの、これは厳罰物だ。
オペレーターも、この大馬鹿者もだ。
やはり一日では性根を叩きなおせなかったか。
私もまだまだ甘い。
……特別コース等と生易しい事は言わん。
激辛コースの準備をしておこう。
ただの激辛ではない、かつてこの辺りがまだ無事だった頃に行き付けだった泰山のマーボー豆腐(通常外道マーボー)並みの辛さだ。
今度はノルマを達成しても逃げられんぞ。
新人への教育ではなく、開いた時間を使っての訓練だからな。
さて、奴は今何処だ。
……出撃中?
チッ、間の悪い…。
…何?
本日『3度目』の出撃中?
嫌な予感がしたので、改めて週報に目を通す。
訓練が終わった初日に出撃。
それ以降も大森タツミと組むまで、単身出撃を繰り返す。
二日目には二度出撃するようになり、三日目には三度出撃するようになり、この一週間で非公式な物を含めれば最高7度出撃した。
大森タツミからの評価は良い。
攻撃・防御を確実にこなし、敵を分断して対処する。
新人とは思えないくらいだが、先走りする気があるのが難点。
……あの大馬鹿者、大森タツミには黙って出撃していたな?
恐らく、大森タツミは初回に同伴した時だけの評価だ。
色々と言いたい事はあるが、何故こうも出撃ばかりしている?
あの動きからして、ゴッドイーターとしての訓練を受けた事はなかっただろう。
つまり戦いに慣れていない筈なのだ……いや、それにしては妙に貫禄があったが。
どんなに浮かれた馬鹿者であってもアラガミと直に対峙すれば、命の危険を感じ取る。
被捕食者であった頃の本能が刺激されていると言われているが、そのプレッシャーは小型のアラガミであっても相当なものだ。
新人が平然と、しかも一人で耐えられるような代物ではない。
基本的に、ゴッドイーターの出撃は一日に一度だ。
そうでもなければ、ベテランであっても神経が保たないからだ。
こういう奴は…今までにも居たな。
こんなご時勢だ。
アラガミに対する復讐心で動く者も、或いはトラウマを抱えてそれを紛らわせようとする者も、捨て鉢になっている者も珍しくない。
そういう奴は、無理に休ませると逆に不安定になっていたものだが…。
こういう時は逆に考えるのだ。
不安定になってしまってもいいではないか、任務中ではないのだから。
そして何よりも、不安定になっているのなら、徹底的に躾けて安定させればいい、と。
どっちにしろ激辛コースは確定しているのだ。
徹底的にやらせてもらおう。
とにかく、まずは休みを取らせないと話にならん。
今日の夜に直接命令しに行くか。
全く平気だと主張する大馬鹿者に拳を叩きつける事、合計4度。
ここまで懲りない奴も珍しい。
そもそも疲労と言うのは、本人の自覚無しに溜まっていくものだ。
体感できる疲れよりも、そちらの方がよほど恐ろしい。
そもそもからして、コイツの睡眠時間は短すぎる。
充分な休息を得ずに、集中力を発揮する事などできはしない。
そもそもそうでなくても、許可を得ずに出撃する事は明確な規定違反だ。
無理矢理休ませる事にした。
一日休みを取らせて、激辛コースをたらふく叩き込んでやる為に、奴の部屋へ向かう。
訓練に入る前に、少しばかり話をする必要がある。
奴がどんな精神状態になっているか見極めておかないと、生かさず殺さずのラインが維持できないからな。
更に、自分にどれ程疲労が溜まっているのか明確に分からせる為、メディカルチェックも受けさせたのだが……何故平常値しか出ないんだ?
医学的に考えて、平常でいられる筈が無い。
精神的にも肉体的にも、たった2週間とは言え疲労は溜まっている筈だ。
だと言うのに、何故に不調どころか体力気力共に漲っている状態と判断されるのだ?
診断を担当したペイラー博士が突然ヤブになったか、それとも機械の誤作動かと思ったが…………前者は意外とありそうな気がするな…。
メンタルチェックの為、幾つか話題を振ったのだが……とんでもない爆弾が出てきた。
非合法の研究所でのモルモット…か。
成程、ありえない話ではない。
ゴッドイーターという技術が生まれた頃は、そういった例が幾つもあったと聞く。
私の知る限り、その全てはアラガミを制御しきれず内側から崩壊したらしいが、人間と言うのはそれで懲りるようには出来ていない。
まだしぶとく活動を続ける研究所があってもおかしくないし、新しく発足する研究所もあるだろう。
何も、全てを話しているとは思っていない。
話した内容にも矛盾が幾つもあったし、デッチ上げだと本人も言っている。
が、そういった背景があるのであれば、コイツの阿呆みたいに高い身体能力にも説明はつく。
研究所やモルモット云々はともかくとして、体を弄られた事があるのは確かだろう。
普通なら、精神を病んでもおかしくないのだろうが……コイツは本当に気にしていないようだ。
そういう風に精神にも細工をされたのか、それとも生来の気質なのか…。
良くも悪くも、この男はこの状態で安定してしまっている。
例えマインドコントロールを受けているのだとしても、ヘタにそれを解けばどうなるか分からない。
これには迂闊に手が出せん。
もう暫く観察し、見極める必要がある。
観察している事に気付かれないよう、納得したフリはしておく。
だがどっちにしろ休みは定期的に取るように。
疲労を貯めないに越した事はないし、周囲のゴッドイーターに妙な影響を与えかねない。
自主訓練中でも給料が出るので、人件費がヤバイと嘘を吹き込んでおいた。
部屋から出る時、尻を凝視されているのを感じたが………ふむ、私もまだまだイケるらしいな。
指揮官としての私はともかく、雨宮ツバキ個人としては悪い気はしない。
翌日の任務では、ソーマ・シックザールと組むように手配した。
私も詳しい所までは知らないが、ソーマに生まれつき『何か』があるのは、殆どの人間が薄々気付いている。
それ故に孤立し、自身でもそうしようとしていたが…同じような境遇(と思われる)の大馬鹿者と行動させれば、多少の改善は望めるかもしれん。
その次は愚弟と組ませる。
愚弟には、大馬鹿者の様子を観察しておくように厳命した。
シックザール支部長と何らかの協力関係にあるのでは?という疑念もあったが、それ以上に精神的に大丈夫なのかが問題だ。
愚弟からの報告では、特に問題は無い。
向上心はあるが強すぎるものではないし、大馬鹿者なりに自分のペースと言う奴を守ってやっているようだ。
…うーむ、マインドコントロールではなく、素であの性格なような気がしてきた。
続いてサクヤと組ませる。
…帰ってきたら即、自分の部屋に突撃していた。
あの切羽詰った顔付きと、少し走りづらそうなのは………………ふっ、若いな。
などと考えていたら、ヴァジュラと遭遇した挙句に、目を潰して逃げてきたという報告。
ひっくり返るかと思った。
その後も、暫く観察を続けた。
精神的なことに関する心配は、既にあまり持っていなかったが、この大馬鹿者には別種の心配をせねばならない。
他のゴッドイーター達から、奴の奇行の報告がぞくぞくと上がってくる。
「回復錠を使った後、謎のポーズをとっていた」
「コンゴウを一撃で部位崩壊させた」
「アラガミが破棄された建物に逃げ込んだら、何処からか取り出した爆薬で建物ごと粉砕した」
「どんなケガを負っても、5分くらい休んだら殆ど治っている」
「リンクバーストの時間がやたら長い。しかもスピードがつき過ぎて、壁に人型の穴を開けた」
「整備士を相手に盾使いづらい説を語り、あっさり論破されていた」
「休みは取るようになったが、相変わらず日に4回は出撃している」
「オウガテイルを鳴き真似で挑発した挙句、マジ泣きさせて退散させた」
もはやワケが分からんな…。
と言うか、盾は生命線だからあれ程訓練させたと言うのに(一日だけだったが)。
やはり躾けが必要か。
そうでなくとも、ノルマを達成したとは言え、たった一日で充分な訓練が出来る筈がない。
暫く盾の使い方を叩き込んでやるとしよう。
あの大馬鹿者は任務が終わった後にも延々と訓練しているし、休めさせる意味でも、食事くらいは一緒にしてみるか。
…普通、上司が一緒の席だと尚更休まらないだろうが、アレにそんな神経は無い。
暫くそうしていたら、愚弟から「やっと身を固める気になったか」と言われた。
阿呆が。
お互いそういう気は無かったと思うし、仮にあったとしても、私は指揮官だ。
一ゴッドイーターと過剰に近付く訳にはいかん。
………頻繁に一緒に食事をしている時点で、今更のような気がしてきたな。
それに、何時ぞや尻を見られていた事を思い出す。
……………む、むずがゆいな…。
こんな感覚は、当の昔に捨て去ったつもりだったが……人間の機能として当然のものではあるし、そうそう捨てられるものでもないか。
寝苦しい夜(意味深)が増えそうだ。
オマケ月他の人の視点日
ソーマ・シックザール
いきなり名指しでコンビを組まされた。
1~2日だけの事だし、名前を覚える必要もねぇだろう。
しかし、何だって俺と新人を組ませる?
しかも、奴が在野で見出してゴッドイーターにしたらしいが…まさか、コイツも奴の息がかかっているのか?
…気にいらねぇ。
動き自体は特筆するような事はなかった。
新人にしちゃ筋はいいと思うが、それだけだ。
あっちも俺にどうこう言う気はないようだったし、気楽と言えば気楽なものだ。
…死なない程度にフォローくらいはしてやるかと思っていたが、それも不要。
だが、俺には一つ気になる事があった。
奴のリンクバースト、あれは何だ?
強化パーツを使っている訳でもないのに俺よりも長く続き、しかもあの破壊力。
チャージクラッシュでもないのに、一撃でコンゴウの顔面を粉砕した。
…勢い余って壁にぶつかってたのは、どうでもいい。
…まさか、コイツも俺と同じバケモノか?
クソッタレ共が、俺という前例を見て同じモノを作ろうとしてもおかしくはない。
……ムナクソ悪い話だ。
という事は、俺とコイツを組ませたのも、『同類』だから、か。
余計な世話だ。
……少し探りを入れるか?
もしもコイツが俺と同類だったら………俺はどうする。
竹田ヒバリ
ええその、何ていうか苦手な人です…。
いえ、悪い人ではないんです。
私が何かされた訳でもありませんし。
ただその、止められないというか、恐れ多くて止めちゃいけない気がするというか…。
彼と初めて話したのは、ミッションの受付の時です。
雨宮指揮官が、新しく入った人の教導を終えたと聞いていたので、多分翌日くらいに誰かと一緒に出撃するんだろう、と思っていたんです。
でも、まさかの当日出撃。
しかも先輩方の誰も一緒じゃないって……。
勿論止めました。
初めての出撃なんですよ、そもそも何処に行けばいいのか分からないんじゃないですか?
いくら教導が終わっても、ちゃんと戦えるようになるまで危険な真似をしちゃいけません。
他にも色々、言葉を尽くして止めましたとも。
ミッションだって、私が受諾しないと受けた事にはならないんですから。
…だから、私さえ頷かなければ、単身出撃で初ミッションなんて、ムチャな事にはならないと……そう思っていました。
何故に出撃しているのですか!?
しかもログを見ると、確かに受付した記録がありますし!
私、記憶にないんですけど!?
と言うか、説得している途中から記憶が飛んでいるのですが!
監視カメラに残った映像を見てみると、暫く抵抗した後に確かに受付しています。
でもやっぱり記憶にありません。
意味不明です。
…後日、雨宮指揮官からお叱りをいただきました。
当然の事ではあるんですが、何故か理不尽な気がします。
それ以降も、同じような事が続きました。
ムチャをするなと説得しても、気がついたらミッションを受理してしまっています。
例外はタツミさんと一緒に出撃した一回だけ…これは純粋に私が止めなかったからですね。
一人での出撃も難なくこなしていたので、そこは目を瞑るとしても。
日に二度も三度も出撃を繰り替えすようになり、その受付をする度に記憶が飛びます。
ええそうです、頭の中でずっと「受けたらいけない受けたらいけない」と繰り返していても、止めようとしている内に、ふと目を合わせてしまった時に……何となく止めてはいけないような気がしてきて、その辺りからスーッと意識が遠くなって…。
まるで何かに取り憑かれているようで……。
取り憑かれていると言えば、気のせいか、一昨日あの人の後ろに、軍服を着た誰かが見えたような…。
……………お祓いって、何処でできるんでしょう。
監視カメラで一昨日の画像を見てみたら、軍服を着ていた誰かは百田ゲンさんでした。
もう引退している筈ですが、何故に軍服を…?
アリサ・イリ(略)
見れば見るほどおかしな人です。
体はこれ以上無い程鍛え上げられているのが見ただけで分かりますが、それだけでは説明がつかない能力の数々。
なんですか、あのオウガテイルと会話するように鳴き真似を交わしていたのは。
オウガテイルが泣いたなんて、話にも聞いた事がありませんよ。
私と同じ新型機に適応したゴッドイーターが居ると聞いていたので、密かに対抗意識を燃やしていたのですが……何というか、妙な方向に突っ走っています。
これに対抗しようとは思いません。
ドン引きもいい所です。
アレはゴッドイーターではありません。
もっと恐ろしくて混沌とした何かです、きっと。
初めて彼の実力を見たのは、ミッションに行った時です。
リンドウさんとバカな話をしているのを聞いて、私は苛立っていました。
これから任務だと言うのに。
アラガミを前にして、何故そうも気楽にしているのか。
…苛立ちに任せて色々言いましたが、全て受け流されました。
挙句、心を落ち着かせる為に動物に似ている雲を探せと言われる始末。
ワケがわかりません。
…隊長命令なので、一応従いましたが………その間に一人でターゲットを半死半生にされてしまいました。
遠めに見ましたが、不意打ち・罠・スタングレネードの、卑怯を通り越していっそ芸術的な戦術とさえいえるコンボでした。
…正面から戦って強さを見せなさいよ!
…この密かな対抗意識(←本人は密かなつもり)は何処にぶつければッ!?
同じ新型神機使いでも、私の方が優秀だと見せ付けるつもりだったのに。
肩透かしもいい所です。
ですが、僅かな時間で、一人で、無傷でターゲットを追い詰めたのも事実。
それだけの実力はあるのでしょう。
そんな事を考えていたら、リンドウさんに「アナグラに帰った後のあいつの様子を見てみろ」と言われました。
笑いながら…でしたが、どう見ても引き攣った笑顔です。
…彼が気になったのではなく、飄々としたリンドウさんにあんな顔をさせる理由が気になって、彼を探していました。
訓練場で神機を振るっているのを見つけたのですが……最初は特に見るべき所は無いように思えました。
何故なら、彼が行っているトレーニングは、基礎も基礎、ゴッドイーターとなって、誰もがすぐにこなす訓練だったんです。
「今更こんな事を?」と疑問に思いましたが……疑問は更に膨れ上がりました。
何故なら、彼はその基礎を延々と繰り返していたのです。
それこそ、何時間も何時間も。
幾つか種類はありましたが、それも同じ基礎。
普通、ゴッドイーターなら(私が知っているゴッドイーターはロシアの人ばかりですが)、ルーキーどころかトレイニーでもないと、こんな事はしません。
意味が分かりませんでした。
目が合ってしまったので、思い切って「いつもこんな事をしているのですか?」と聞いたところ、
「いつもはまた出撃してる時間だから、こんなに長くやってないな。
まぁ、出撃終わってからまたトレーニングする訳ですが。」
…つまり、いつもは二度も三度も出撃している、と?
しかも帰ってから、単調なのにキツすぎて体力よりも精神が磨耗すると言われているこの訓練を延々と?
と言うか。
「…ひょっとして、一日に5回も6回も出撃するって…」
「事実です」
……ドン引きしました、生涯でこれ以上は無いと確信する程。
そりゃリンドウさんの顔も引き攣るワケです。
やっぱりこの人、ゴッドイーターを超越した何かです…少なくともその卵です。
つい、必死で距離を取ろうと練習した事もないムーンウォークで逃げ去ってしまいました。
この一件から、淀みなく後退しつつ銃を放つ技法を会得してしまったのですが……あまり嬉しくありません。
とにかく、リンドウさんが見せたかったのは、多分コレです。
私の対抗意識に気付いていて、それを打ち消そうとしたのでしょうか?
彼は努力しています。
アラガミに復讐する為に死に物狂いだった私でも、彼に比べれば…。
彼はゴッドイーターとして…………訂正、ゴッドイーターではない何かだと思うので言い方を変えて…………アラガミを狩る者として、私よりも数段先に居ます。
昨日までの私なら意地を張って認めなかったでしょうが、これ程のものを見せ付けられては対抗意識すら消えてしまいます。
ですが、疑問も一つ。
何故に基礎の基礎である訓練ばかりなのでしょうか?
返ってくる返答で頭痛が起こる事を覚悟し、問いかけました。
そして教えられたのは、一つの奥技。
彼が目指す…いえ、そんなつもりは無いのかもしれませんが、彼が進む道の先の先にあるであろう、神業。
誰もが通り過ぎた筈の最初の一を徹底的に磨き上げる事で、何者にも勝る絶技を得る。
そのものではありませんが、同じような境地を目指しているようです。
確か………ヒャクシキカンノン、と言っていましたか。
いつかきっと、彼は辿りつくのでしょう。
私達では、想像すらできない何処かへと。
……それに比べ、私は……何を………?
…やめましょう。
私の意志は一つだけです。
あのアラガミを、いつかこの手で……。
藤木コウタ
「ゴメン、出演拒否。
思い出すだけで色々と削れる」
ガーデルマンさんの領域は遠い。