※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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どうも、時守です。
お待たせして申し訳ありません。
実家のお犬様が旅立ってから、暫く何をする気にもなれませんでした。
具体的には運動する気にもなれず、休日は日がな一日自棄酒でした。
加えて、執筆も少々行き詰っておりました。
何とか立ち直れてきたようです。
月半ばくらいに帰省するんで、その時は犬の墓の前でちょっと泣こうと思います。


別の意味で落ち込んだこと。

鬱陶しい客と、面倒くさいスタッフと話す⇒職場の先輩にどういう話をしたのか聞かれ、悪かった点を諭される。

…鬱陶しい、面倒くさいというフィルター越しに考えて、耳を貸さなくなってたのは俺か…。
ちゃんと話を聞かずに、こっちの言いたい事だけ押し付けてました…あの客には立場上言えないんで、黙って聞いて余計にイライラしてましたが。
という事は、頼りにしてるけど一方的にアレコレ言ってくるあのスタッフに対する苛立ちは同族嫌悪だろうか?

割と真面目に反省した一件でした。


第92話

 

 

神喰月主人公視点日

 

 

 いい加減、俺の女癖はどうにかならんもんだろうか。

 いや、エッチぃ事は大好きだし、関係を持った相手を俺なりに愛している(噴飯モノかもしれんが)のも事実だ。

 しかし何だかんだで、二股や浮気の常習犯だし(公認も多いけど)、このループに入る前から考えれば、壁ドンどころか山ドン、いやさ星ドンして貫通するくらいイイ目を見ている。

 そーいう意味じゃ直す必要は全く感じないんだが…。

 

 が、何だかんだでそれが大抵死亡フラグに繋がっている気がする。

 浮気がバレたのが原因になって死んだのは、那木に射られて桜花に追われた一回だったと思うけど、MH世界では娘と妻(と言っておこう)を庇って力尽きるは、恋人が古龍の襲撃で死んだと思って突貫かけてくたばるは、憧れの大先輩と関係を持った後にその後輩にオサソイを受けたらそれが死亡フラグだったは。

 GE世界だって、関係を持った相手はアリサ・ちゃん様・ジーナさんとあるけど、結局死ぬ時は一緒に死んでいる…終末捕食でくたばった時は、他の皆も一緒に死んでるだろうけど。

 討鬼伝世界は…まぁ、言うまでもないな。

 那木もそうだし、考えるまでも無く橘花に手を出すと桜花が三角頭の処刑人と化すフラグだし、千歳は…まぁ、死亡フラグじゃないにせよ、結果的にはイヅチカナタとの遭遇フラグになった…のか?

 

 虚海?

 アレはフラグになるほど強力なキャラじゃない。

 むしろギャグキャラチックだった。

 

 巻き添えにしているのか、それとも死亡率の高い世界だからある意味必然というべきなのか。

 

 

 何れにせよ、今回の死因は、痴情の縺れの超上級バージョンだと言っていいだろう。

 別に、関係を持った3人が暴れ始めた訳じゃない。

 そんな事するくらいなら搾り取りにくる連中だ。

 返り討ちにしてるけど。

 それでホクホクしながら(腰をガクガク言わせながら)満足してんだから、別にいいじゃないの。

 デートも……まぁ、農園の中でのデートをデートと言っていいなら、それなりにしている。

 肉体的以外にも、結構イチャついていると思う。

 セクハラ一歩手前だが、相手が嫌がらない限り如何なる行為もセクハラにはならぬ……他人に知られなければな。

 

 

 

 

 でも…加減ってモノをしくじった。

 途中までは順調だったんだ。

 3人とも何だかんだで味を占めてた。

 男女の仲はソレだけじゃないが、多少の事は夜の生活の充実で解消されるってのは事実なんだなぁ。

 

 …ちと話が逸れた。

 問題は、予想はしてるだろうがシオなんだ。

 

 俺とツバキさん、或いはアリサがナニしてると、大抵シオが乱入してくる。

 霊力を嗅ぎつけて暴走状態になっているか、通常モードで気持ちいい事に混ざりにくるかは半々程度だ。

 で、いつぞやツバキさんに語った目論み通り、オカルト版真言立川流の効果か、シオの本能に大分枷をかけられるようになってきていた。

 要するに肉欲>特異点、だ。

 

 ここで重要なのか、『>』である。

 日記だから書ける表現だが、『>超えられない壁>』ではないのである。

 つまりだな…。

 

 

 

 暴走状態でも肉欲に従うようになってたけど、満足しちゃってたらそりゃー、特異点の本能に従うよね、って話である。

 

 

 まだ分からない?

 

 

 乱交で俺、漲るゥァァァアアアア!!!

⇒纏めて可愛がりすぎて全員気絶、俺も寝る(この時シオ、暴走状態)

⇒シオが起きるが暴走状態継続

⇒肉欲は満ちているんで、今度は特異点としての本能に従った。

 

 

 

 

 俺も寝てたんで気付かなかった。

 真っ先に復活したツバキさんがシオの不在に気付いて、力尽くで叩き起こされたよ。

 むしろタマ潰されなかったのがマシな失態だったけど。

 

 

 原因は切腹も許されない程アレな話だったが、事態が一気に動き出してしまった事には変わりない。

 俺としてはシオを探し出して、正気に戻さないといけない。

 アリサとしては、シオを保護して、その後俺を去勢させると吼えている…うん、この際言い訳しないけど、女の子が去勢とかいうんじゃありません、犬猫相手じゃあるまいし…アッハイそっちの方が俺より上等でしたねハイ、

 

 そしてツバキさんは、事ここに至ってしまった以上、終末捕食に対して対策を行わなければならない。

 現在、ただ一つ見出されていたシオの調○という手段が逆効果になってしまった以上、取れる手段はただ一つ。

 

 アーク計画だ。

 

 

 終末捕食が起こるまでに、シオを捕らえられる可能性がどれだけあるか。

 高いか低いかは分からない。

 だが最悪の事態が目の前に迫っている可能性があるなら、手を打つのがあの人の役目だ。

 

 

 最後に軽いキスと、かなり本気のゲンコツを落として穴倉に戻っていった。

 支部長に報告して、アーク計画を超特急で稼動させるんだろう。

 

 最後に「いい夢だったが、オチが悪かったな」と冗談めかした笑い方をしていたのが、心にかなり痛い。

 

 

 …うん、いろんな意味で俺が言えるこっちゃないな。

 ともかく、この責任をどう取るにせよ、行くべき場所は一つだけ。

 

 アーク計画の中心部、即ちエイジス島だ。

 

 シオが正気に戻らず、本能のままに動き続けるのなら、必ずあそこに向かう。

 前回ループだってそうだった。

 あそこには、シオを引き付ける『何か』がある。

 多分……なんだっけ、アルター能力?

 いやアル……アル…今度日記を読み返そう、どっかで名前出てるかもしれん……とにかくGE無印のラスボスの肉体があるんだろう。

 さもなきゃ、終末捕食の際にシオの体を取り込んでいた部分か。

 

 

 ……よー覚えとらんが、イベントシーンの体のデカさに比べて、実際に戦った時の大きさは大した事なかったような気がする…。

 まぁどうでもいいか。

 

 

 ツバキさんの話じゃ、シオ…というか特異点を誘き寄せるための罠を作り出す事も計画されていたらしいが、恐らくまだ実装には至るまい。

 希望的、楽観的観測ではあるが、そうでもしないと探査の手が足りん。

 要するに、シオを捕まえるのに、エイジス島への一点貼りって訳だ。

 

 ツバキさんが支部長に事の次第を(どう報告するのか微妙に興味があるが)告げて、支部長が全速力で動いたとして…猶予があるとするなら、どれだけ見積もっても2日程度か。

 アーク計画の真実を公表するかは微妙なところだが、特異点がエイジス島に入り込もうとしていると伝えれば、ゴッドイーター達の多くは動くだろう。

 表向きの計画であるエイジス計画は、人類の安全地帯を確保する為の重要な計画だし、そうでなくても特異点を捉えられれば一獲千金だ。

 

 …対抗手段として、アーク計画の真実をバラすか?

 だが誰が信用する?

 いや、信用されなくても、エイジス島に乗り込んでしまえば、それに関連する事を目にする事もあるだろう。

 そこでゴッドイーター達が疑心暗鬼になってくれれば、付け入る隙もできるかもしれない。

 …暴動にまで発展するかもしれんけど。

 

 ……考えてみりゃ、アーク計画を完全な形で成功させようと思ったら、真実をバラすのは必須事項なんだよな。

 このご時勢に「宇宙船あるよ、ちょっと旅行行かない?」みたいな事を言われたって、誰がホイホイ来れるというのか。

 終末捕食による世界の危機を明かし、選定されたごく一部の人間が宇宙船に乗り込むまで、それなりに時間が必要だ。

 

 …そういう意味では、まだ時間に余裕はあるか。

 例えシオがゴッドイーター達に捕まって支部長に差し出されたのだとしても、終末捕食はすぐには起こらない。

 シオを殺すのを是とするような言い方でなんだが、例えシオが終末捕食の起点に取り込まれたとしても、そこから挽回する時間はある。

 

 …ゲームの結果を思い出すと、一度取り込まれたらシオを助ける方法は無いように思えるけどな…。

 

 

 考えるのはここまでだ。

 あれやこれやと仮定を並べても仕方ない。

 今全力を注ぐべきは、支部長達、ゴッドイーター達に捕らえられるまえにシオを確保する事。

 そして、どっちにしろ支部長へはツバキさんが報告してしまうだろうから、シオの確保後に身を隠す事だ。

 

 うう、さらば、我が農園…いい人の元に渡ってくれよ…具体的にはカレルさんとか、それなりに付き合いがあったから…。

 でも誰に渡ってもノウハウが殆ど無いんだよなぁ。

 ノウハウを本にしておくような余裕もないし…。

 

 

 

 

 

神変月アリサ視点日

 

 

 流石に今回はどうかと思います、マスター…リアルにシオの命と人類の存続が…。

 エッチで世界を滅ぼした男とか語り継がれますよ、アナタ…。

 …ええ、わかってますよ私だってその一因ですよ、でももしそーなったら私とツバキさんとシオは鬼畜に弄ばれたって言いますからね。

 あんまり間違ってないですし。

 

 

 それはともかく、時間との勝負…正にチキンレース状態でした。

 雨宮指揮官がマスターと袂を分かち(というほど大げさでもなかった気がしますが)アナグラへ戻った後、すぐに私達はエイジス島に向かいました。

 ちなみに足は、私が乗って来た車です。

 レンタル車…というかフェンリルの社用車なんですが……思いっきり私物化してしまいました。

 

 はぁ…この騒動が終わったら、どうなるにせよゴッドイーターとしての復帰は絶望でしょうね。

 前回のリンドウさん誤射事件も合わせ、特異点の隠蔽、しかもそれを確保する為に超重要機密でもあるエイジス島への潜入。

 

 と言うか、今更アーク計画とか聞かされても困るんですけどホント。

 私に黙ってた事、恨みますからね。

 搾り取る…のは無理っぽいから、その内他の事で埋め合わせさせます。

 

 ええ、愛想を尽かす事なんてありませんとも。

 たった数回のアレで、散々躾けられた『忠犬』ですので。

 しっかり可愛がってくださいね、三食オヤツ昼寝にサンポにブラッシング付きで。

 …子供も生んで、専業主婦してあげますから。

 ツバキさんとシオは……まぁ、全部終わったら女の戦いでケリを付けます。

 シオはお子様だし、ツバキさんは理由はどうあれ一度分かれた身の上なんで、私が一番有利!

 

 

 

 

 話が逸れました。

  

 あの後エイジス島に急行し、車は乗り捨てにして忍び込みました。

 流石に警備が半端じゃありません。

 人間相手ならマスター仕込みの隠密術で素通りできるんですが、相手が機械だとね…。

 監視カメラの位置などは、マスターが凡そ予想できるそうなのですが、全てではありません。

 何より、予想できたところで死角を通り抜けられなければ無意味。

 

 もっと怖いのが、所謂ブービートラップです。

 赤外線センサーは、流石にゴッドイーターの目でも感知できません。

 重要な場所には間違いなく付けられているでしょう。

 

 今はまだ、普通の職員達がウロチョロしている所までしか入り込んでいませんが…中枢部に行くとなると、それらを突破しなければいけません。

 

 

 …ですが、今はまだ必要ない…かな?

 シオがここに来ているなら、もっとここは騒々しくなっている筈。

 入り込んできたアラガミを、特異点とは知らずとも捕らえるか排除しようとしたり、或いは捕らえた特異点をどうやって『保管』しておくか、アーク計画を始動させる準備をしたり。

 

 それが無いという事は、まだシオはここに来て居ないという事?

 シオが暴走状態になっているにせよ、通常通りになっているにせよ、エイジス島の防壁を見つからずに擦り抜ける事ができるとは思えません。

 となると、探すべきはエイジス島内部ではなく、その周辺。

 入り込む場所を探して、ウロウロしているんじゃないでしょうか。

 扉を開けて欲しいワンコみたいに。

 

 …ちょっと想像して鼻血が出そうになりましたが……オタノシミの後に暴走状態だったから、多分服を着てないですよね。

 それどころか、ヘタをするとツルツルのおマタ(触って確認しました)から【ブローバック!】が……。

 

 早急に見つけなければ、私の世間体もヤバいかもしれません。

 

 

 

 

 さて、そんな実に保身的な焦りを抱えつつ、エイジス島付近を探索していたのですが…流石にすぐには見つかりません。

 範囲も広いし、何より外壁部分にもカメラその他はあるのです。

 しかも外壁の上の方に取り付けられているので、死角を通ろうと思ったら相当苦労します。

 ご丁寧にも魚眼レンズなので、やたら撮影範囲が広いし…。

 もういっそ海の中でも通った方がいい気がしてきました。

 

 水着?

 持って来てないですよ、そんなモン。

 ゴッドイーターの身体能力でも、服を着たまま泳ぐって結構辛いんですけど…しかも神機持ったまま…。

 

 それに、水に濡れると色々張り付いて透けるんですよね…まぁそれはマスターしか居ないからいいんですが、単純に冷えます。

 ゴッドイーターの体でも、風邪だけは防げません。

 

 しかしシオの為ならエンヤコーロです。

 …コーラだったかもしれません。

 ファンタ……スプラッシュ……サカキ博士が何か開発しようとしていたヤバそうなジュース…ペプシではない。

 

 

 

 

 暫く…半日くらいでしょうか…すると、エイジス島が騒がしくなってきました。

 防壁の外に居ても、案外分かるものですね。

 

 …何かを捕まえようとする気配ではありません。

 まだ探索の段階、ですか…。

 

 本当にシオがここにきているのか、不安になってきました。

 ひょっとして、途中で我に帰って農園に帰ってるんじゃないでしょうか?

 

 もしそうだったら…あれ、これ結構ヤバくありません?

 今、農園には誰も居ません。

 例えシオが戻ってきたとしても、世話する人も居なければ、フェンリルの手から匿う人も居ない。

 

 シオに、自分が追われている自覚なんてある筈もないです。

 もしも入れ違いで戻ってきていたとしたら…そして雨宮指揮官の報告により、農園に憲兵でも来ていたら…?

 

 

 

 

 はい?

 

 …ああ、まぁ確かにそうですね。

 相手が熟練のゴッドイーターならともかく、普通の人だと銃を持っててもシオを捕まえるのは不可能です。

 あれでも肉体的にはアラガミなんですから。

 

 

 …ただし、熟睡していなければ、の話ですね。

 

 

 あ、では途中で我に帰ったはいいものの、迷子になっている場合は?

 

 …子犬でも帰巣本能はある…ですか。

 まぁ、そうなって戻れなくなっていたら、後は私達とフェンリルとどっちが先に見つけるかの可能性の問題ですし、今からできる事はありませんか。

 ですが、真面目な話、一度戻った方がいいかもしれませんね。

 これだけ探して痕跡一つ見つからないとなると、本格的に入れ違いの可能性が出てきました。

 

 

 …は?

 私一人だけ、先に戻れ…ですか?

 マスターはこのまま探すんですか?

 

 それもあるけど、陽動も兼ねる?

 陽動…?

 

 詳しい事は秘密って、それいい加減やめません?

 事態がここまでややこしくなった原因、間違いなくその秘密主義が大きいですよ。

 …後は、何だかんだで盲従してしまう私も、ですかね…。

 

 ええ、地獄の底まで付き合いますよ、忠犬として。

 血の池と針の山を開墾してあげましょう。

 ここまで来たら一蓮托生です。

 

 それじゃ、一度戻ってシオが居ないかを確認したら、すぐに戻ります。

 落ち合う場所と時間を決めておきましょう。

 もしもそこに来れなかったら、フェンリルに捕まったと仮定して行動するって事で。

 

 無線の類も、今となっては迂闊に使えませんからね。

 では、健闘を祈ります。

 

 ん?

 なんですか、この玉?

 …対人用秘密兵器?

 

 

 

 

神変月主人公視点日

 

 

 アリサを見送って10分程。

 もう気配が完全に感じ取れないくらい離れていったようだ。

 

 …ふぅ、もうこれくらいでいいかな?

 

 アリサの提案に乗ったのは、大した企みがあったからじゃない。

 実際、シオと入れ違いという可能性は確かにあったし、農園に戻ってくる可能性だってある。

 フェンリルからのガサ入れが入っているのはほぼ確実なので、そこにシオが居たら……まぁ、考えるまでもないな。

 

 さて、そうなってしまう前に、ここで一つやっておける事がある。

 アリサに言った通り、【陽動】だ。

 

 ただし、アリサにそれを見られる訳にはいかない。

 

 もうお察しだと思うが、マスク・ド・オウガこと、仮面ライダーアラガミ状態での陽動作戦である。

 支部長がシオについてどう聞いているかは分からないが、少なくともゴッドイーター達の間で特異点=マスク・ド・オウガ説はまだまだ根付いている筈。

 マスク・ド・オウガが姿を見せれば、ゴッドイーター達はそっちに注力する筈だ。

 もしもシオが上手く逃げおおせてくれてれば、時間稼ぎになるだろう。

 

 …なるといいなっ。

 

 

 では、カメラの届かない位置に移動して……マスク・ド・オウガ改め、仮面ライダーアラガミ!

 行きます!

 

 

 

神変月ソーマ視点日

 

 

 アイツから極東のゴッドイーターに対して指令が出された。

 ここの所、例の特異点とやらを探して他所から来たゴッドイーター達が増えていたが、その連中に対しても、だ。

 何でも、特異点の住処が見つかったらしい。

 

 …ここの所、例の農園に行ってはメシ食って、腑抜けていたが……あの人型のアラガミは俺の獲物だ。

 別にこの手で倒す事に拘っている訳じゃないが、一度仕留め損ねて放置していたからな。

 キッチリ潰しておかないと、気分が悪い。

 

 それに、アイツが特異点とやらだって事もある。

 エイジス計画にも、その裏で何かやってるらしい計画にも賛同する気はない。

 成功するならそれでいいし、失敗したならどうでもいい事だ。

 

 特異点…マスク・ド・オウガも、俺にとっては単なるバケモノ以上のものじゃない。

 …エリックを助けられた借りは覚えているけどな…。

 

 

 

 とにかく、見つけた以上は狩るまでだ。

 他のゴッドイーター達は、自分が捕まえて賞金を手にしようとしているみたいだが……まず無理だろうな。

 自画自賛する訳じゃないが、俺でも正面から戦えば、勝てるかどうか分からん。

 退くって選択肢はないがな。

 

 一度会った時のあのスピードに対応できるよう、色々と策を練ってはいるが……正直心許ない。

 功に焦った連中でも、慎重にしとめようとする連中でも、あの程度じゃな…。

 他の地域ではエース級なのかもしれんが、極東に来た時点で「お察し」って奴だ。

 まぁ、それで折れずに強くなろうとしている奴しか残ってないけどな。

 

 

 ともかく、特異点は現在暴走状態とやらにあり、エイジス島に一直線に向かってくるか、暴走が止まって住処に戻るかの2択が考えられるらしい。

 胡散臭い奴だが、多分紛い物の情報ではない…と思う。

 特異点とやらを捕らえなければならないのは事実だろうし、居場所を誤魔化してもメリットがないだろう。

 

 極東のゴッドイーターは二手に分かれる事になった。

 一方はエイジス島の警備となり、防衛及び特異点がやってきた場合に確保する役割。

 もう一方は、特異点の住処と思われる場所に急行し確保、居なかった場合は手掛かりを探す。

 そして俺は、住処への急行に組み込まれた。

 

 …のはいいんだが………何でその先がいつもの農園なんだ?

 

 俺もエリックも、これには首を傾げた。

 他のゴッドイーター達も、場所を告げられて困惑しているようだ。

 あの農園の事は有名だったからな…極東の人間なら、一度は訪れようとしただろうし、生活に余裕のある人間なら現に一度は訪れている。

 

 あそこへ踏み込め、と?

 あの農園の主はどうした。

 そう言えば、あそこには……殆ど顔を合わせてなかったから名前が『野菜』としか思い出せんが、あのロシアから来た新型使いも居た筈だが…アイツを通して食材が運び込まれてきたのは嬉しかったな。

 …曲がりになりにも新型使いだし、最近は充分戦えるようになったと聞いていたが…このグループの中には居ない。

 エイジス島の防衛組みに組み込まれたのか?

 しかし、土地勘があるという点では奴以上のゴッドイーターは居ないと思うが。

 

 

 考えている間にも、出撃の準備は進む。

 俺も考えるのを止めた。

 行けば分かる事だ。

 

 

 出撃用の車だけではゴッドイーターを運びきれず、トラックに乗って行く事になった。

 かなりの鮨詰めだ。

 

 ……以前までなら、俺と一緒の荷台だと死にそうだ、と陰口を叩かれていたと思うんだが……なんか最近、妙に生暖かい目で見られているような気がして気分が悪い。

 しかし口にするのも何だかな…。

 

 とりあえず、隣には何だかんだといいつつコンビが長くなったエリックと、その反対側にリンドウが乗っている。

 …リンドウの様子がおかしいな。

 妙に気もそぞろと言うか、何か迷っているような雰囲気がある。

 仮にも隊長のコイツが、慣れた人間なら一目で分かる程に困惑した空気を出すのも珍しい。

 何かあるのか?

 ミッションの場所があの農園だという事以外に、何か…。

 

 

 

 

 農園に着いた。

 もぬけの空だ。

 農園の主も居ないし、『野菜』もとい新型使いのアリサ…エリックから名前を聞かされて思い出した…も居ない。

 周辺を探してみたが、アラガミさえ居なかった。

 勿論、特異点もだ。

 

 命令では、ここに人型アラガミが居る可能性があるので、マスク・ド・オウガでなくても確保しろ、という事だったが…可能性は可能性、という事か?

 しかし農園に誰も居ないのも気にかかる…。

 ここが無くなったらメシが…。

 

 

 

 そんな事を考えていたら、エリックがリンドウと話し込んでいるのを見つけた。

 足元には車の轍がある。

 農園の主は、この車で何処かに行ったんだろうか?

 

 …リンドウが言うには、この轍からして、恐らくフェンリルの社用車だそうだが…何でそんな物に乗っている?

 アリサがここに来るのによく車を使っていたのは知っているが、農園から明らかにアナグラではない方向に向かっている。

 

 …追ってみるか。

 元々アイツ自身、正体不明で怪しい奴ではあったんだ。

 

 それより何より怪しいのは、リンドウの態度の方だがな。

 口も回るし飄々とした態度で真意を隠す奴だが、何を焦っているのか、一人で車の後を追おうとしているのが丸分かりだ。

 何か知っている、この先に何かあると言っているようなもんだ。

 それも、コイツがこうまで焦る何かが。

 

 

 四の五の言うのを無視して、車の後を追ってみる。

 エリックからは行くなら連れて行け、と抗議が来たが、単独行動も文句を言いつつ追いかけてくるのもいつもの事だ。

 リンドウの奴も、結局俺達を止める事を諦めたようだった。

 

 

 

 

 

 暫く車の跡を辿り、人が居ない場所を走る。

 まず最初に見つけたのは、倒されたまま放置されているオウガテイルだ。

 誰がやったのか知らんが、体の半分以上が無くなっている。

 チャージクラッシュはオラクルパレットで吹き飛ばされたんだろうか?

 

 もう暫く追うと、今度はシユウが倒れていた。

 コイツも体の一部だけが消えている。

 倒されてから、あまり時間は経っていないようだ。

 

 

 更に進んで……ソイツを見つけた。

 最初は単なる人間のガキかと思った。

 だが、こんな所に子供一人が居る筈が無い。

 それ以前に、一目見ただけで分かった。

 

 そいつはアラガミだと。

 

 

 

 と言うかアラガミ食ってるシーンに遭遇するとは思わなかった。

 倒したアラガミに、文字通り食いつくシーンに……旧世界の映画みたいだな、とボンヤリ思った事を覚えている。

 

 しかも、そのあとソイツが「あ、りんどうー」なんて言いながら走り寄ってくるんだ。

 もう訳がわからねぇ。

 

 リンドウはリンドウで、そいつの無事を確認してホッとしたのか、大きく溜息を吐いていた。

 …顔見知りか。

 という事はコイツ、特異点の事を知ってて黙ってやがったな?

 何のつもりだ…。

 親父や博士のような腹黒い奴じゃないから、何か企んでいる訳じゃないだろう。

 

 

 …関係ないか。

 バケモノはぶっ殺すだけだ。

 相手が人間にそっくりでも。

 

 リンドウの知人であっても。

 特異点だからどうだって話だ。

 親父の命令にだって、従う気は無い。

 

 

 そんな俺の殺気に気付いたのか、リンドウとエリックが俺に向かって何か声をかけようとした。

 俺は構わず、白い特異点のガキを仕留めようと神機を握る手に力を篭めた。

 

 

 

 その瞬間だった。

 意識を集中させた為に、周囲への警戒が疎かになった。

 

 

「マスター直伝、煙玉!」

 

 

 声が聞こえた。

 咄嗟に振り返ったら、何故か逆に背後から爆風と煙が起きた。

 あのアラガミとの間に何か投げ入れられた、と気付いた時にはもう遅い。

 

 足音もなく走る『誰か』が居て、気がつけばあの人間のようなアラガミも居なくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 何故かリンドウも居なくなっていた。

 エリックは居た。

 

 

 …騒々しかったんで、ちょっと『一緒に居なくなってれば』と思った。

 

 

 

 

 

 




ルーンファクトリー4、微妙に肌に合わない…。
第一章はクリアしましたが、暫し放置になりそうな気がします。
10月2日にゴッドイーターリザレクションの体験版も出るしね!
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