※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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GER発売まであと3日。
それまでに討鬼伝のトロフィーコンプができればと思ってましたが、難しそうです。
エアロバイク、1日40分を継続中…。


第97話

 

凶星月もうすぐGER発売日

 

 

 暦さん帰還。

 

 …お子様やん。

 いや、モノノフになるのに年齢制限は無いし、下手な男より…というかヘタすると俺より強い女モノノフだって見慣れてるから、侮るような事はせんが。

 

 C学生…いや、ギリギリ高校生…?

 なんて思っていたら、なんと18歳。

 やったね暦ちゃん、R-18できるよ!

 …いや、するつもりは無いけどさ。

 

 何というか実年齢以上に幼く見えるな。

 そんな事を考えてたら、ムスーっとした顔で睨まれた。

 ああ、そんな無駄に柔らかそうなホッペを膨らませて。

 

 凛音さんにも、「そんな顔をするから子供に見られるんだ」とからかわれていた。

 …弄られ系かな?

 

 薙刀使いで、ミタマのスタイルはウタカタだとあまり見られない「空」。

 結構腕はいいが…ちょいと不安定気味?

 まぁそれも仕方ないな。

 一般人がこんな世界に放り込まれりゃ、アリス・イン・ナイトメアな気分を味わえるだろう。

 本当にこれが現実なのか、実は悪い夢なんじゃないかって意味でも。

 

 だからって、多分誰も何もできなかったんだろう。

 繊細な問題でもあるし、この里に居るのは殆どがモノノフか、それに類する人達のようだ。

 彼らにとって鬼は存在して当然の敵であり、その時点で暦が抱え込んでいる孤独感や隔絶を理解できる筈も無い。

 

 つまるところ、本人がそれを…理不尽で不条理でワケが分からない悲劇な現実を受け入れて、克服するしかない。

 

 

 

 俺はそれと同じくらい意味不明な状況を、至極アッサリと受け入れて今に至るワケだが。

 …うむ、正直、暦さんと悩みを共有できる気がしない。

 

 まぁ、それでも会うけどな。

 それがシラヌイの里に滞在する条件だったし、俺も興味あるし。

 もしかしたら、凛音さんの暦さんに対する情けなのかもしれん。

 ついて来れない弱者は切り捨てるのみ、みたいな迫力を漂わせた人だが、情が無い訳じゃなかろう。

 それに、多少なりともこれで暦さんが立ち直れば、シラヌイの里にも収支黒字になるかもしれないからね。

 

 

 

 

 

 

 さて、帰還した暦…呼び捨てでいいと言われた…達の部隊の評定やら報告やらも終わり、実際に話してきましたよ。

 

 うん、予想通り話が合わねぇ。

 JKが好きそうな話なんてサッパリ分からん。

 そもそも暦がこの里に来たのは8年近く前…つまりオオマガドキが起こってそれ程経ってない頃なので、当時10歳の暦がどんな生活をしていたかなんて、想像もつかん。

 精々家に帰ったら宿題、テレビゲーム、庭付きの家に住んでいたなら砂遊び?

 

 盛り上がれたのは、強いて言うならメシの話くらいか。

 和食ばっかで飽きが来る、とか。

 オムレツが好物だそうな。

 

 あとよくわからない長ったらしい名前のパフェを、こんな世界になる前に食べてみたかった…とか。

 

 

 一応言っておくが、暦の食い意地が張ってる訳じゃない。

 一緒にメシ食ったが、まぁ普通の食事量だ。

 鍛えている分、一飯的な婦女子よりは多いと思うが。

 単に盛り上がれる話題が、これくらいしかなかったってだけだ…。

 

 …俺、これでも結構女性との付き合いがあるのになぁ…。

 まぁ、真っ当なお付き合いをしてないから、と言い切られればそれまでだけど…。

 

 

 そんな色気の無い話ばかりしていたが、それでも結構な気晴らしになったようだ。

 「カタカナ混じりで話したのは久しぶりだ」って冗談めかしてたが、ああ、それは結構面倒だよね。

 俺もこの世界で話す時は、なるべく英語とか使わないようにしているし。

 

 

 ちょいとゲームの話も振ってみたが、そっちはサッパリだった。

 どうやら放課後の情熱を部活に全フリした、今時珍しいくらいの健全な小学生だったらしい。

 

 小学生ってモンハンとかゴッドイーターとかしないのかなぁ…。

 そもそも存在しないのか、それとも暦が知らないだけなのかは分からんが。

 

 家族とかについては話さなかった。

 里心がつくっていうか、ヘタに緊張の糸を斬ってしまうとそれこそ再起不能になる可能性がある。

 

 …酒を飲ませてみようかと思ったが、嫌がられた。

 ん?

 年齢的にアカン?

 今この世界にそんなルールは無い。

 

 が、暦はそれでも嫌がった。

 以前に飲まされたことがあるらしいが、単純に不味かったそうな。

 お子様舌よのー。

 機会があれば、カルーアミルクでも作ってやろうかな。

 

 

 

 さて、それはそれとしてこれからどうするか。

 正直な話、暦について興味はあるが、ウタカタの里に行かねばならないのも事実。

 暦は千歳と違って異界の外に暮らしているから、次のループに入ったとしても、シラヌイの里にさえ来られればまた会う事ができるだろう。

 

 …うん、やっぱり出発するか。

 今回のループの目的は、ミタマやら俺の体やらの謎の解明を主題としている。

 これをどうにかしとかんと、気になって昼寝もできやしない。

 夜は寝れるし二度寝も出来るが。

 

 明日、凛音さんと暦に話を通して出発するか。

 

 

 

 

凶星月その2週間後にはアサシンクリード新作日

 

 

 出発の意思を伝えたところ、凛音さんを初めとした何人かのモノノフが惜しんでくれた。

 短い間だったが、実力はそれなりに認められていたらしい。

 …それともアレか?

 雪降ってて食料がロクに育たないこの場所で、鬼を食う方法を広めたのが良かったのか?

 とりあえず餓死は避けられるし。

 

 …しかし、ウタカタで食ったと言ったらドン引きされたんだが、平然と受け入れるなぁ、この里…。

 独立不羈を掲げているだけあって、こういう神経の太さが必須なのかもしれんね。

 

 

 

 

 

 

 で、何故に暦を連れて行けと?

 本人もメッチャ驚いてるんですが。

 

 別に里にとって足手纏いって訳でもないでしょう。

 未熟は未熟でしょうが、充分戦えるくらいの力量はある。

 里の食料とかの備蓄は…充分とは言えないが、それこそ鬼でも食えばいい。

 

 暦を里から離す理由が見当たらない。

 首を傾げていると、暦だけが凛音さんに呼び出されていった。

 

 

 

 …着いてくるってんなら、俺としては否は無い。

 むしろ好都合なくらいだ。

 ウタカタで俺の体に関する研究もできるし、主人公かもしれない暦の観察もできる。

 

 問題は暦の方だな。

 それなりに馴染んだこのシラヌイの里から、訳の分からない内にウタカタの里へ向かわされる。

 疑心暗鬼や後ろ向き思考に嵌ってたら、「捨てられた」と思い込む可能性がある。

 

 …そうなったら、傷心に漬け込んで手懐ける事もできそうだが…仮に暦が主人公だった場合、あまり妙な意識を刷り込むのもな…。

 今のところ、複数のミタマを宿す兆候は無いが、まだ分からん。

 そもそもミタマ自体、そうそう転がってるものじゃないからね。

 

 

 

 それはともかく、暫くしてから顔を合わせた暦は、何だか妙に張り切っていた。

 むん、と言わんばかりに控えめな胸を張っている。

 

 …これ、明らかに何か吹き込まれたよな。

 密命か、何か重大な役目を任すとか言われて張り切ってる顔だ。

 会って数日の俺にこうまで見透かされるんだから、とにかくウソのつけない奴…。

 

 で、凛音さんの事だから、俺がそれに気付くのだって見越しているだろう。

 と言うか、俺じゃなくても気付かない方がおかしいわ。

 …しかし、そうなると凛音さんの狙いが分からん。

 

 暦をウタカタに潜り込ませて、何を狙う?

 ウタカタは最前線という意味では重要な位置にあるが、逆を言えばそれだけだ。

 現時点では、二度目のオオマガドキだって情報すら出てないだろう。

 

 シラヌイの里は霊山から独立している(少なくとも本人達は本気でそのつもりだ)から、霊山に対して密偵を出すならまだ分かるんだが…。

 

 

 

 

凶星月更に月末にはMHX発売日

 

 暦を連れて旅立ってから4日目。

 既に雪が降る地域を抜け、森に入り込んでいる。

 暦も野宿には慣れている為、困っているような事は無い。(メシは壊滅的ではないにせよヘタの一言だが)

 本人に言わせると、「雪が降ってないだけマシ」という話だが。

 

 まぁ、森に入れば食うものには不自由しないからな。

 代わりに時々襲われるけど、返り討ちにして肉にしてるし。

 

 駄弁りながら進んでいたんだが、やはり暦はこの世界を受け入れられた訳ではないようだ。

 過去を懐かしむ…というより過去を過去と思えていないような節が多々見られる。

 在る日目を覚ましたら、元の世界に戻ってるんじゃないか…そんな他愛も無い空想を捨てられないらしい。

 

 精神が不安定になるほど強烈な物ではないようだが、ナニカの切欠で隙が出来そうではあるな。

 秋水辺りが唆したら、本人の性格もあって乗ってしまいそうだ。

 

 …一番唆しそうなのは、俺な訳だが…。

 

 今だって、特に口説こうとか思っている訳じゃないのに、同じ外様出身で前の世界について会話ができるってだけで、好感度がダダ上がりになっているのがよく分かる。

 チョロい。

 いや、それだけ今まで気を張ってたって事なんだろうけど。

 それに、恋愛的な好感度じゃなくて、友人的な好感度だ…多分。

 

 恋愛的であっても別に困りはしないと思うが…死亡フラグの切欠にはなりそうだな。

 と言うか、今回のソッチ系欲求はどうやって発散しよう?

 前ループの時に探してみたんだが、ウタカタの里にお水関係の店って無いんだよな。

 真面目な話、どうやって発散してるんだろうか…。

 

 

 …誰かに聞いてみるか?

 男同士のワイ談も、何だかんだでやってみた事無いし。

 

 

 ………いや、まさか…実はハッテン場とかが………そういや何かの本で、マッチョは意外と受けが多いと……つまり富獄の兄貴が『ぬふぅ』…………考えるの止めた。

 

 

 と言うか、いい加減女癖を本気でどうにかせにゃならんなぁ。

 矯正するとは言わないまでも、付き合い方を覚えないと…でも毎回そう考えておいて、欲望に流されるんだよな…。

 

 …欲望との付き合い方、オカルト版真言立川流に乗ってなかったよなぁ…。

 

 

 

 それはそれとして、今回の討鬼伝世界のストーリーはどう進めるか。

 第一目的がのっぺらミタマの研究・究明なのは変わらないが、最前線かつゲームのステージだけあって、放っておいてもバカスカ揉め事が沸いてくるしな。

 

 もしも暦が主人公役だとするなら、前回のように俺は裏方に徹し、物語の中心として動いてもらうのもいいだろう。

 それこそ、千歳と同じようにプロデュースしてみるのもいい。

 気になるのは、暦のバックホーン…ゲームの主人公には無かった、シラヌイの里とのしがらみと、凛音からの密命(多分)。

 その辺を上手く折り合いをつけて、里の中心になれるかどうか、だ。

 

 贔屓目になるかもしれないが、暦に比べ、千歳はその辺が非常に適任だったように思う。

 体を鬼に変えられた、健気な悲劇の少女。

 他人の為に走り回る事を苦にせず、保護欲を掻きたて、マスコット(動物達)と言葉を交わし、自覚があるかはともかくとして天性のアイドルのような素質を持っていた…と思う、多分。

 きっと某アイドル育成ゲームに出演すれば、トップクラスの性能を叩き出すに違いない。

 プレイした事ないけど。

 

 …話が逸れた。

 とにかく、千歳は初心者プロデューサー向けの高い能力値、高い意欲を持って自分から動いていたが、暦は違うだろう。

 別の方向でのアイドルの素質はあるかもしれんが、残念ながら今の俺には暦をプロデュースしても上手く行くイメージを思い浮かべられない。

 …相手が初穂だけなら、おねーちゃんなり先輩なりの呼び名でどうとでもできそうだが。

 

 

 

 うーむ、プロデュースはともかくとして、単純な戦力だけで考えてみてはどうか?

 暦はそれなりに強い。

 俺もそれなり…少なくともこの世界では、それなり以上と呼べる程度には強いつもりだ。

 

 まぁ、途中までは問題ないだろう。

 瘴気の濃さにもよるが、序盤のミフチなら軽い。

 カゼキリもまぁ余裕。

 クエヤマは残念な子。

 ツチカヅキは手持ちの武器の相性にもよるが、遠距離系を使えるならほぼ確実に勝てる。

 タケイクサはちょいと手間取るが、負ける気はしない。

 ミズチメは特殊能力を警戒する必要があるが、勝てる事は勝てる。

 ヒノマガトリとダイマエンは、飛行能力を封じる事ができれば勝てる…飛び回られるとちょっと手が出せんが。

 

 ゴウエンマは……うんまぁなんだその、仲間内に不和が無ければ勝てるんじゃないかな。

 

 ストーリー上での戦いに問題があるとすれば、やはり味方内での不和、精神的な揺さぶりによる不調、そして物量差。

 物量差は暦も居るし、人手は何とか足りる…とは思うが、油断は禁物。

 誰か一人でもしくじったら、そこからウタカタに攻め込まれるんだからな。

 

 また火薬無双するかな…。

 

 

 

凶星月嬉しいタイトル目白押し日

 

 見覚えのある場所まで出てきた。

 ウタカタの里まで、あと少しだ。

 

 念のために周囲を警戒し続けていたが、不自然な動きを見せる動物は居ない。

 …千歳が居ないのは分かるが、虚海も居ないのだろうか?

 まぁ、前回の虚海がウタカタに留まっていたのは、若い自分こと千歳の様子を見るためだったろうからな…。

 それに、千歳の事を知ったのだって、多分秋水からの何らかの情報が行ってからだろうし、今はまだ居なくて当然かな。

 

 

 道中、暦にさりげなく探りを入れてみたんだが、やはり凛音から何かの命令を受けているようだ。

 反応を見るに、どーも内通者を探せとか、そーいった類のもんだと思うが…内通者…秋水くらいしか思いつかないな。

 でもシラヌイの里がウタカタの内通者を探して、何の得があるんだ?

 残り少ない人間の陣地が奪われれば、その分負担が押し寄せてくるって理屈は分かるが。

 

 しかし、仮に秋水が標的だったとして、どうするかな…。

 人情を切り捨てて考えれば、正直、助けるメリットはあまり無い気がする。

 最終的にはどうなるにせよ、今の秋水は獅子身中の虫だ。

 橘花の押し込めている恐怖や不満を炙りだし、里の結束に皹を入れようとする。

 それが返って、橘花の精神を強くする結果になってしまったとしても、それは結果論にすぎない。

 

 人の心は複雑怪奇、素手で弄り回すには繊細すぎる。

 同じような状況で同じような言葉を投げたとして、同じ結果になるとは限らない。

 

 んじゃ排除?

 汚ッサンと同列に並べるつもりはないが、やってる事はそれと同じだ。

 ストーリー展開上において、秋水が必須の行動をしていた覚えは無い。

 精々が、結界石を砕いて増やし、里の結界を強める提案をしたくらいだ。

 

 が、流石にウタカタの里内で誰にもバレずに秋水を始末できる自信は無い。

 開放的ではあるが、里は狭いし、密室状態であるのは事実だからな。

 もしもそこで唐突に殺人事件なんぞ発生したら、間違いなく新入りの俺達に疑いが向くだろう。

 

 …やはり様子見か。

 正直、討鬼伝のストーリー詳細はそこまで覚えていない。

 オオマガドキを防いだ後、また何か重要な役割があるかもしれんし、排除までする事は無いか。

 

 

 これ以上考えても進展は無さそうだ。

 後はウタカタ到着後に考えよう。

 

 

 

凶星月積みゲーが増える日

 

 ウタカタに到着。

 で、前回同様に「新人モノノフ着任しました」「ん、聞いてないぞ?」「どうせ霊山だろ」「ああ、災難だったな」のコンボが入りましたー。

 が、ここで暦が「ん? 異界で戦っている内に流された、と言ってなかったか?」と余計な事を。

 

 …口止めしてなかった俺が悪いのか?

 まぁ、結局霊山のせいにして誤魔化したけどさ。

 新人が研修中に行方不明になるとか、そりゃ不祥事以外の何物でもないだろう、命がけが当たり前のこの職種でも。

 大方、ウタカタに出発する寸前のモノノフがMIA状態になってしまい、それを隠蔽する為にウタカタ行きの書状やらなにやらを握りつぶしたんだろう。

 

 …という話になった。

 実際の霊山は、そこまで腐っちゃいなかったけどな。

 一部にアカン奴も居た事は居たが、大体は一本筋が入った人だった。

 小悪党や汚れ仕事役だって居たけどね。

 組織の規模の割には、統率取れてて浄化作用も機能してるんだよな、あそこ…。

 それでも現場から離れた事による鈍りはどうしようもないようだが。

 

 とりあえず、二人揃ってウタカタの里に入った。

 話に聞いてなかったモノノフが二人も着任したってんでちょっとドタバタしたが、それだけと言えばそれだけだ。

 モノノフ達は全員出払った直後だったので、大和のお頭直々のお出迎え。

 VIP待遇と言えなくもないだろう。

 …一見すると、ね?

 

 俺についてはまぁ良かったんだよ。

 でも、暦への反応がな…。

 あからさまではなかったにせよ、明らかに「ん?」ってカンジの反応があった。

 

 暦がシラヌイの里から来た、って聞いた時だ。

 考えてみりゃ、シラヌイの里は独立不羈を謡って、霊山に従ってないんだよな。

 それを大和のお頭が知らない筈が無い。

 何故ここに来た?と思われるのも仕方ないだろう。

 実際、何故来たのか俺もわかってない。

 

 暦本人は俺の道案内と護衛、そして修行の為と言っているが、少なくとも最初の2つは明らかに建前だ。

 だって全然道をわかってなかったし。

 野宿にしたって、お世辞にも手際がいいとは言えなかった。

 素人ではない、という程度だ。

 護衛に関してだって、異界にも入らない野山で何から護衛すると言うのか。

 確かに野生動物はある意味脅威だが、俺にとっては食料だ。

 そもそも強弱で言えば、俺の方が暦を護衛する側だ…俺のアラガミ化みたいに、トンデモ世界観の切り札があるなら別だが。

 

 修行については……うーん、建前兼本音?

 シラヌイの里だけでは得られない経験だってあるだろう。

 激戦区という意味では、ウタカタもシラヌイも大差無さそうだけど。

 

 

 ともあれ、霊山の指令があって来た(という事になっている)俺と違い、暦は正式な客人ではない。

 しかも曲りなりにも霊山の指揮下にあるウタカタと、霊山と反目しているシラヌイだ。

 受け入れられるか?という不安はあったし、大和の頭も「そうか…しかし、この里にも余人を置くような余裕が無くてな」と洒落になってない冗談を言うし。

 ちょっと慌て気味に、暦が懐から書状を取り出して渡した。

 …凛音さんからか?

 というか書状があるなら先に渡せよ。

 

 書状を読んだ大和の頭の眉間に少し皺がよった。

 その後、「ふふ…北の女狼め、相変わらずか」なんて言ってたが、知り合いだろうか?

 

 ま、とにもかくにも、俺達は里に迎え入れられた。

 他のモノノフ達とはまだ顔を合わせていない。

 だもんで、里長直々に里を案内されるという、割と胃が痛くなるようなイベントがおきてしまったが、それはまぁいいだろう。

 

 暦と俺の住居は別々だ。

 俺は前回、千歳と一緒に住んでいた里の外れの小屋。

 暦はその更に前のループで住んでいた、ゲームの主人公の家。

 …やっぱ、暦が主人公なんだろうか?

 

 同時に来たというのに、住む家にえらい格差が出来てしまい、暦が申し訳ないと謝っていたが、里外れの小屋に関しては大和のお頭に俺が頼んだ。

 千歳との思い出がある(時期的にまだ無いけど)というのもあるが、何かをする際に誰にも見られない場所が良かった。

 今回ループではのっぺらミタマの謎を追求するつもりだし、その際に変身しないといけない事だってありそうだ。

 人目が無いに越した事は無い。

 

 

 

凶星月執筆の為にGER・MHX優先かな日

 

 暦と一緒に里を巡るつもりだった。

 桜花を初めとしたモノノフ達の帰還は、早くて今日の夕方。

 それまで暦を連れ回し、神木の所にでも連れて行って、声が聞こえないか試してみるつもりだった。

 

 うん、つもりだった。

 …すっかり忘れてたネー、あの家って誰も住まないから物置状態になってたんだよネー。

 

 暦は一晩かけて、家の中の整理をしていたらしい。

 朝方に訪れてみたら、埃塗れで眠っていた。

 …埃を吸いすぎたら喉が腫れるぞ。

 

 と言うか、手伝ってくれと素直に言えばよかろうに…。

 気付かなかった俺達も俺達だけど。

 

 とりあえず、お隣さんのおばさんに、暦を洗っておいてくれと任せ、掃除の続きにとりかかった。

 本当だったらこんな面倒な事を進んでやる気はしないんだが、流石に罪悪感が…。

 俺の時も掃除は桜花と一緒にやってたからな…。

 

 と言うか、確かここの倉庫にオーディオとか外の世界の物が幾つかあった記憶がある。

 使い物にならないからあの時はさっさと捨ててしまったが、暦はどうしただろう。

 郷愁を引き起こすかもしれない物を前にして、どう対処したのか。

 …できればまだ発見してない状態がいい。

 暦が戻ってくる前に始末してしまいたい。

 

 

 

 

 幸い、外のモノだと思われる品はまだ発掘されていなかった。

 捨てるところにも困るんで、とりあえずふくろに入れてポッケナイナイします。

 

 昼頃には暦も起きてきて、一緒に掃除していた。

 手をとらせてしまって済まない、なんて謝ってたが、この家を一人でどうにかしようとするほうが間違いだろ…。

 

 掃除が終わった頃には既に夕方。

 早ければ、そろそろモノノフの誰かが戻ってくる頃だ。

 本部に直行してもよかったんだが、腹が減っていたので茶屋で団子を食っていく。

 腹ごしらえは大事だ。

 今までのパターンからして、先輩モノノフと顔合わせして間もなく、襲撃があるだろうからな…。

 

 

 実際その通りになった。

 任務から帰ってきて、初顔合わせした………何故に息吹?………と一緒に、親睦を深める間もなく出撃である。

 幸いと言うべきか、相手は雑魚だけだった。

 襲撃と言うより、結界の隙間や弱い場所から紛れ込んだんだろう。

 

 息吹は今までパッとしないイメージがあったが、流石にウタカタでエースやるだけの実力はある。

 雑魚を相手に遅れを取る筈も無い。

 

 暦も一人前なのかどうか微妙なところだが、独立不羈のシラヌイの里…しかもあの凛音の下で働いてきたんだ。

 ガキやササガニなんぞに梃子摺る筈も無かった。

 

 俺に至っては言うまでも無し。

 息吹から「本当に新人か?」という疑問の声までいただいたくらいだ。

 ウタカタに来る前は、大型鬼とも何度か戦っています。(という事になっています)

 仕留めた事はありますが、一回しくじって異界に流され、その先でシラヌイの里に出ました。(という事になっています)

 つまりある程度は経験ありです。

 

 ま、要するに楽勝って事だ。

 まだこの程度ならね。

 精神的な揺さぶりも無いし。

 

 

 暫くは、息吹の下について、雑魚狩りをしてもらう事になるそうだ。

 「最前線だと言うのに、雑魚ばかり?」と暦が不思議そうにしていたが、力量も把握できてないのに無茶をさせる気はないって事だろう。

 

 …それに加えて、この近辺の大型鬼は先日一掃したばかりだそうだ。

 「新人が来るって分かってりゃ、丁度いいところで切り上げて出迎えの準備をしたんだけどな」だそうだ。

 

 成程、今までのループでは、大型鬼掃討の人員が途中で居なくなってたから、ミフチを殲滅しきれていなかったのか。

 そんで、残ったやつがゲームストーリーで言う、初穂と二人で倒す奴、と。

 ちなみに前回、千歳と一緒に来た時は、ウタカタの里まで到着するのに時間がかからなかったから、掃討しきれてなかったんだろう。

 

 

 ま、平和なのはいい事だ。

 狩りができないのは退屈だが。

 

 

 

 

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