※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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あれ、減ってる?と思ってみてみたら…感想って1,000件までしか保存されないのね…。
今更気付きました。

それはともかく、祝GER発売!
マッタリプレイ中です。
ちょっと風邪気味だから辛いけど…元気な時は、エアロバイクを漕ぎつつプレイしています。
よく動く相手だとキツい。

うーむ、まだ序盤だからか、パッとする攻撃方法が無いな…。
ブラッドアーツに比べると、どうしても決め手に欠ける印象があるし。
むしろ頻繁にプレデターフォームで捕食して、バーストを維持しつつ特殊効果を繰り返し発動させるのがキモかな?




第98話

凶星月バレットエディット難しい日

 

 実働部隊長である桜花は、まだ暫く帰ってこれないそうな。

 掃討戦に手間がかかっているらしい。

 手伝いを申し出たものの、里にも守りの戦力は必要だからと却下されてしまった。

 

 里の防衛任務についていると、襲撃が無い限り基本的に退屈だ。

 見回りはするけど、里の中に突然鬼が出てくる訳でもないし、世界観を忘れるくらいに穏やかな里なので、悪さをする奴も居ない。

 …ま、ウロウロして里の人達と親睦を深めるのは重要だよな。

 依頼って形で何か仕事を受ける事もあるし、里の人の困り事を解決するのもモノノフの役目…なんだろう、多分…千歳曰くね。

 

 

 さて、そんな訳で村人との一通りの面通しが終わった訳だが(神垣の巫女は除く)、問題はここからだ。

 

 本名不詳、正体不明、預貯金に余念が無くてミステリアス極まりない、あと肩とおっぱいと目元のホクロが実に妖艶な樒さん。

 

 今回はこの人と関わっていく事になる。

 別に色欲云々じゃなくて、ミタマの研究の為にね。

 今までのループだと、この人と関わった経験は極端に少ない。

 と言うのも、どうも避けられているようだからだ。

 別に俺が何かしたとかじゃなくて、単にのっぺらミタマ達がうるさいからだと思う。

 

 そんな樒さんにどうやってお話するべきかね?

 のっぺら共の声を抑えられりゃいいんだが、そもそも俺にはこいつらが発している声が聞こえない。

 …霊気が漏れないようにすれば、声も止まるだろうか?

 試行錯誤してみるしかないか。

 

 

 とりあえず、試しに会いにいってみたんだが、初対面で顔を顰められた。 

 ちょっと傷つく。

 霊気を漏らさないようにしてもダメか…。

 と言うか、今までだと出会い頭に顔を顰められるほど、酷くはなかったと思うんだけど。

 

 耳を塞ぎながら話をした(ちなみに俺は筆談だった)樒さん曰く、「耳元で爆弾が幾つも破裂し続けているような喧しさ」だそうな。

 …前に聞いた時は、山の中で蝉の声に囲まれているような喧しさじゃなかったっけ?

 ひょっとしてパワーアップしている?

 

 …そういえば、最近のっぺらミタマ達のパワーアップとか、気にしてなかったな。

 後でちょっと様子を見てみよう。

 

 それはそれとして、意外というか何と言うか、樒さんは自分からのっぺらミタマ達の調査の手伝いを申し出てくれた。

 このままだと、うるさ過ぎて日常生活に支障が出そうらしい。

 ウチの馬鹿共が迷惑かけてごめんなさい。

 

 ただ、勿論無料で協力してくれる訳ではない。

 代償としてお金は勿論のこと、色々な鬼の素材を取ってくるように要求された。

 差し当たって最初に持ってくるのは、ミタマが食べたがっているという鬼の素材と、特性の耳栓を作る為の素材だった。

 

 …え、ミタマってメシ食うの?

 

 まぁ、いいけどさ…。

 ちなみにMH世界の耳栓スキルが発動するピアスを持っているのだが、渡しても拒否された。

 耳に穴を開けるとかどんな拷問だ、って。

 まぁ、俺も着けるまではそう思ってたよ…。

 スキルが付かなきゃ、今でもピアスなんぞする気にならない。

 

 さて、次の任務の時に、ちょっと素材を探してみますかね。

 

 

凶星月とりあえず自前で脳天直撃弾を作ってみよう日

 

 

 雑魚狩り続行中。

 素材集めはそこそこ順調。

 

 息吹の様子は、頼れる先輩ポジ…かな?

 軽口を叩くのは相変わらずで、暦としては苦手なタイプらしい。

 まぁ、暦ってクソ真面目だからねぇ。

 別段嫌っている様子が無いのが救いかな。

 

 暦が不満に思っている事があるとすれば、やっぱり敵が雑魚ばかりって事かな?

 別にバトルマニアのケがある訳じゃないが、建前上は修行の為に里に来ている訳だし、多分シラヌイの里では大物ともそれなりにやりあっていたんだろう。

 つまり一人前に近い扱いをされていたって事だ。

 それが唐突に別の里に移された上、一からやり直しじゃ不満にも思うだろう。

 

 …で、その上にちっちゃい先輩までできればね…。

 

 という訳で初穂が里に帰ってきました。

 全く聞いていなかった新たなモノノフに驚かれたが、すぐに俺達に向かって「初穂よ。 私の方が先輩なんだからね!」と胸張って言い放った。

 別に先輩風吹かせてどうこうしてる訳じゃないが、なんだかなぁ…。

 

 前は「私の方がお姉さんなんだからね!」って言ってたような気がするが……まぁ、暦ってこれでも18歳だしな。

 初穂15歳。

 身長差もお察し。(両方ともちっちゃいが)

 

 …これでお姉さんを自称するのは、さすがの初穂も気が引けたか…。

 と言うか、先輩…先輩、なのか?

 俺は何だかんだでモノノフ暦トータル一年ちょっとくらいだから分かるが、暦ってどうなんだろ。

 8年前のオオマガドキを生き延びてシラヌイの里に拾われて…いつからモノノフやってんのかな。

 ま、ウタカタの先輩って意味では間違ってないか。

 

 

 で、暦が律儀にも初穂を「先輩」と呼ぶもんだから、舞いがっちゃってまぁ…。

 千歳の時もそうだったが、ちっとチョロすぎないかい?

 

 …まぁ、俺が先輩って呼んだら、「何か違和感があるっていうか態とらしい…」って言ってたが。

 俺にとってはどっちかと言うと…弟子?

 いつぞやのループで、初穂を鍛えてたからなぁ。

 中途半端な所で終わってしまったが。

 

 「なんか馬鹿にされてる気分になる」とまで言われて、先輩呼びは無しになってしまった。

 そこまで言わんでもええやんけ。

 それともアレか、口元ニヨニヨさせながら物理的上から目線で、見下ろしながら先輩と呼んだのがアカンかったか。

 

 …アカンだろうなぁ、どう見ても小バカにしているようにしか見えないよ。

 

 まぁ、とりあえず暦を後輩扱いしてご満悦のようだから大丈夫だろう。

 実力的には……うーん…ほぼ同等?

 だが、実績がな…暦は曲りなりにもシラヌイでデカブツとやりあっていたのに対し、初穂はまだ。

 先輩後輩の拗れが出来なければいいが。

 …まぁ、そうなりそうだったら、また初穂の特訓に付き合ってやるか。

 前回の千歳の時、お姉ちゃんパワーを発揮して結構な勢いで強くなっていった。

 上手いこと煽ってやれば、一人前の壁なんぞすぐ突破できるだろう。

 …上手いことやれば、ね。

 

 

 

凶星月連射が好きだし、ブラストから乗り換えてみようかな日

 

 相変わらずの雑魚狩り中。

 ヒマだ。

 

 最近は暦と初穂のタッグが出撃している事が多い。

 初穂が一方的に構おうとしているのかと思いきや、暦も結構乗り気なようだ。

 雑魚ばかりが相手な為、欲求不満なんだろうか?

 

 …それとも、初穂を近所のオシャマな妹分のように見ているんだろうか。

 

 どっちでもいいが、時期的に考えるとそろそろ初穂とミフチがカチ会う頃だ。

 カチ会うといっても、跡をつけてこられるんだが…今回はどうだろう。

 初穂と新米モノノフ一人ならともかく、曲りなりにも大型との交戦経験がある暦もいる。

 存外、その場で気付いて戦う事になるんじゃなかろうか。

 

 …別に問題はないな。

 ミフチ一体くらいなら、二人係でどうにかなるだろ。

 初穂がまだ半人前だという事を差し引いても。

 

 

 そういえば、主人公疑惑がかかっていた暦だが、未だに新たなミタマを宿した様子は無い。

 別人なんだろうか?

 それとも、ゲームの方がシステムの都合で複数のミタマを宿すようになっていただけで、実際は…って事だろうか。

 何れにせよ、オオマガドキを防ぐ為の方法を別に探さなければならないようだ。

 オオマガドキどころか、あのクソッタレのイヅチカナタが出てくる可能性すらあるが。

 

 

 さて、一方俺はというと、息吹と組んで異界の浅い部分の巡回がメイン。

 色気がねぇな、とは俺と息吹の共通コメントである。

 俺としては素材集めを主な目的としており、別段不満は無い。

 古銭とかも落ちてるんで、小遣い稼ぎになるし。

 

 

 後は…特筆すべき事と言えば、秋水だろうか?

 暦と時折何かを話し込んでいる姿を目にする。

 そういや、秋水って北から逃げ延びてきたんだっけ…北、つまりシラヌイの里と何か関係があるのか?

 ひょっとして暦とも面識があったのか…と思ったが、里を巡っていた時に「はじめまして」って言ってたな。

 演技…じゃないな、少なくとも暦は。

 

 そうだとしても、秋水が素直に「やぁ奇遇だね」なんて声をかけるとは思えない。

 が……暦の経歴と秋水の目的を考えると、どうにも嫌な予感がする。

 

 秋水の目的は、過去に戻って北の仲間を救うこと。

 悲劇をなくす事、とも言える。

 不条理に奪われ、見捨てられた過去に納得してない、受け入れられてない、そして何より諦められていないのだ。

 

 その是非はともかくとして、その心情は暦にも通じるものがある。

 平穏で、鬼やモノノフなんて物語の中にしか居なかった筈なのに、突然家族や友人も居なくなり、訳もわからず生き延びたと思ったら、今度はバケモノ相手に戦い続ける日々。

 シラヌイの里で話した時、「疑問を感じた事はないか。このモノノフの世界について」みたいな事を言われたっけ。

 

 その時は確か、「疑問があっても、目の前の敵は敵。負けるのは嫌いだから敵を狩る」みたいな事言ったなぁ…。

 

 それが暦にどう受け止められたかはともかく、出来る事なら平穏だった世界に戻りたい、この世界が夢だと言って欲しい…みたいな本心はあるだろう。

 そこへ、秋水が「戻りたくないか」「無かった事にできるかもしれない」「「全てを取り戻したくないか」と吹き込んだら……どうなる?

 

 すぐに飛びつくような事はしないだろう。

 過去に戻るなんて眉唾物(俺の境遇で言うのもなんだけど)だし、そもそも方法だって確立されてない。

 更にその方法を探るのが、人類を丸ごと危機においやるような、オオマガドキを利用しようって寸法だ。

 どんな阿呆でも、信じるような真似はしないだろう。

 

 

 

 だが揺らぐ。

 確実に。

 誰にも知られてない(つもりの)本心を見透かされ、か細くても在り得るかもしれない希望を吊るされて。

 

 

 …秋水に協力する事自体は、好きにすればいい。

 過去だろうが未来だろうが、行けるのなら行けばいい。

 過去だ未来だと呼称したところで、その場所に立って自分が動いているなら、それは須らく現在の今この瞬間。

 今この瞬間を生きている人間が、その瞬間に何かを成して未来を変えようとする事に、何の不都合があるものか。

 

 やれる物ならやってみりゃいいが、それで現在及び未来に支障が出そうなのはな…。

 未来や過去を変えるのはいいが、それで俺達が全滅の危険に晒されるのは許容できん。

 ま、この辺はリスクとメリット、難易度との鬩ぎ合いだな。

 明確な正解なんてありゃしない。

 

 

 …話が逸れたが、暦と秋水の関係は非常に危うい物だと覚えておこう。

 時期的に、すぐに行動する訳ではないだろうが、神垣の巫女に揺さぶりをかける前後辺りが危険かな…。

 

 

 

 

 

凶星月考えつつ弄っていたら、いつの間にか何もせずに仕事の時間日

 

 

 ようやく桜花が戻ってきた。

 随分長い出張だったが、何処に行っていたのやら。

 

 面通しは特におかしな事なく進んだ。

 うーむ、暦は普通に里に受け入れられていると思っていいんだろうか?

 霊山に従わないシラヌイの里の出という事で、警戒する人が一人くらい居てもおかしくないと思うんだが。

 まぁ、ウタカタの連中はやたら人がいいからな…。

 

 しかしなんだな、桜花が居ない間に橘花に言い寄っておけばよかったか?

 別に口説き落とせるとは思ってないが(秋水に揺さぶられている状態なら、付け込めない事もないけど)、信頼を向けさせる事くらいはできたと思う。

 …仕方ないか。

 橘花にはまだ会ってない。

 神垣の巫女の部屋に押しかけようとすると護衛に捕縛される(実力的にはともかく)んで、初対面時は偶然を装うしかない。

 

 …代わりに、木綿ちゃんと話す機会が多かった。

 今までのループであまり係わり合いになってなかった、所謂受付嬢だが…ニンジンのレシピの事で盛り上がりました。

 近くに居た大和のお頭の視線が、二重の意味で圧し掛かってきていたよ…。

 余計な事(好き嫌い的に)をするな、と妙なちょっかいだしたらわかってんだろうな、的な意味で。

 

 余計な事?

 勿論全力でやってやりましたよ。

 俺が知る限りのニンジン利用法をお伝えしています(現在進行形)。

 味だけではなく、気付かれずにコッソリ食わせる為のアレコレも仕込みましょうとも。

 

 ちなみに新発見。

 ニンジンのレシピについて話していると、大和のお頭は寄ってこない。

 そんなにニンジンが嫌いか。

 

 

 

 暦と初穂にニンジン料理を食わせてみた。

 …普通に食えるな。

 初穂は大和のお頭がニンジン嫌いなのを知って、「まだ人参が嫌いなの? 相変わらずねぇ、大和は」とボヤいていた。

 それを聞いて、暦が初穂と大和のお頭の関係を疑問に思っていたな。

 確かに、里長に対して一モノノフ、年下、家柄…というか家族も随分前に……と、大上段に出られるような要素は何も無いよな。

 実際、規律で言えば問題ありな訳だし。

 初穂が大和のお頭にタメ口たたけるのは、ウタカタ自体がその手のルールに緩い事と、大和のお頭がショタ時代もとい少年時代に初穂を姉とみていたからだ。

 …今じゃ娘でもおかしくないくらいに年齢差が逆転して開いてしまっているけど。

 

 別にバラしても問題はないんじゃないかねー。

 と思ったが、初穂の心情的には問題ありか。

 自分が抱えた複雑な事情をホイホイバラ撒く人間は、大体が構ってちゃんだからな。

 そういう意味じゃ、初穂は違うだろう。

 

 …初穂自身は鎌ってちゃんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かいてこうかいしたしのう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凶星月まぁ、じっくり進めよか…日

 

 

 余計なバカ考えて、シオの死に匹敵するレベルのダメージを受けた気分になった。

 

 あれから1週間ほど、日記書く気にもなれなかった。

 割とマジで餓死を狙ったんだが、やっぱ食欲には勝てなかったよ…。

 それはともかく、問題が幾つか発生した。

 

 ミタマの事と…里の人間関係で。

 

 のっぺらミタマの事はアレだ、まぁ元々問題しかないような連中だったが、それに輪をかけてエライ事になってしまった。

 まず、最近全然気にしてなかったパワーアップ。

 何時の間にやら、2つずつスキルを覚えてやがった。

 

 まぁ、それはいいんだよ。

 例によって3つの世界のスキルをそれぞれ覚えて、まぁピーキーではあるけど使い方さえ間違えなければ間違いなく戦力アップしているし。

 いつパワーアップしたのか、イマイチ分からないけど。

 

 何が問題かってーと、のっぺらトリオの性質が一部判明したんだわ。

 ただ、それがまた妙なもんで…本当にミタマなのかも怪しくなってきた。

 元々怪しかったけど、それに輪をかけて。

 

 

 そもそもだ、ミタマっつーのは英雄の魂だ。

 魂の定義が正しいかは追いとくとして、要するに元が生物の肉体に宿っていたものが、それが人格や記憶を維持して(或いは一部欠落があるかもしれないが)、不定形かつ物理的に視認できないエネルギーとして漂っている訳だ。

 しかし、ウチののっぺらミタマは一部、これに当てはまらない部分があるようだった。

 

 まず、そもそも生物に宿っていた物ではないらしい。

 この辺は樒さんの考察や調査の結果で、俺にはサッパリ分からないんだが…なんかこう、のっぺらの構造と言うか感触というか、そういうのが普通のミタマと全く違うらしい。

 エネルギーの絶対量も極端に少なく、恐らく人格・記憶も無いに等しいとか。

 

 

 …あの事在る毎に煽ってくる、時々大騒ぎもしているのっぺらトリオに、記憶はともかく人格が無いって在り得るの?

 そう疑問を持ったんだが、『無い』のではなく『無いに等しい』らしい。

 

 樒さんの言葉を俺なりに翻訳して言うと、人格が『無い』のは単なる人形。

 『無いに等しい』のは、NPC…いや、AI?

 幾つかの行動原理があり、それに従って動いているだけと思われる…だそうだ。

 確かに、最初の頃…俺に宿ったばかりの頃は、何を呼びかけてもフラフラ歩いて、時折立ち止まってボーッとしてるだけだったな。

 

 

 

 

 それが何時の間にやら、あんなに煽り上手になった挙句、空を飛ぶは組み体操するは、他人の夢の中にまで出張するようになっちまって…。

 

 

 

 それについては「学習したんでしょう」というのが樒さんの見解。

 とにかく、のっぺらミタマはエネルギー的にも情報量的にも絶対量が圧倒的に少ないらしい。

 詳しい説明は省くが、AIにしろNPCにしろ、複雑な判断をさせようと思ったら、それだけ思考の為の容量が必要になるって事だ。

 それが、一人の人間(今は疑問を挟むまい)の思考や記憶を持っているにしては、どう考えても少なすぎる…と。 

 

 

 

 それに加えて、更にワケが分からないのは……こののっぺらミタマ、どーも外から俺に憑依したんじゃなくて、俺の「内側」から沸いて出ているっぽい…って事だ。

 いやまぁ、確かに心当たりはあるよ?

 前ループで幾つか判明していた事実…妙な空間で、俺に向かって大量ののっぺらが流れ込んできているとか、俺がのっぺらで構成されているとか。

 

 俺の体がのっぺらで、ミタマものっぺら。

 だったら、のっぺらミタマは実は元々自分の一部だった…って話になっても、そんなにおかしくはないだろう。

 …いや、前提というか根源からしておかしい事だらけではあるんだけども。

 

 

 のっぺらはミタマではなく、俺の一部だった…か。

 GE世界での妙な空間で、俺に流れ込んできていたのっぺら達の事を考えると…ひょっとしてトコロテン方式?

 俺の体に入りきらなくなったのっぺらがミタマという形で俺に取り憑いて、更に後から入ってきたのっぺらに押されて、古いのっぺらが飛び出し、それがミタマに入り込んでパワーアップ。

 

 

 …ぬぅ、なんか妙な気分だ。

 

 ミタマについては、これくらいにしておこう。

 まだまだ気になる事はあるが、調査を始めて間もない時点でここまで判明したんだ。

 そう焦る事はないだろう。

 

 

 

 問題なのは人間関係の方だ。

 言うまでも無く、俺が一番苦手とする分野である。

 

 しかも当事者じゃねーんだよな…。

 ヘタに首突っ込めん…。

 

 何があったかというとだな…なんかよく分からんが、富獄の兄貴と暦が揉めた。

 

 俺は今回ループでは里の巡回がメイン業務だったが、どうやらストーリーは着々と進んでいたらしい。

 突然の新モノノフ着任という事で受け入れ手順に狂いが出ていたようだが、まぁその辺は問題なかろう。

 何時の間にやら那木さんと禊をしていたと言うのは許し難いが、まぁ女同士だから良し。

 

 …そういや、何時の間にやら禊場ができてたな…まぁいいけど。

 

 

 とにかく、初顔合わせの時に発覚した事だが、富獄の兄貴と暦の間に、何かしら因縁があったっぽい。

 那木さんに聞けば分かるかな…いやしかし、俺と那木さんも今回はまだ顔を合わせてないし、ややこしい揉め事を相談してくれるような立場かな?

 結構プライベートと言うか、繊細な部分に関する話のようだし…。

 

 とりあえず、那木パイと富獄の兄貴の顔を拝みに行くか。

 

 

 

 しかし、暦と富獄の兄貴の間にねぇ…。

 余計な因縁があるって事は、やっぱり暦は主人公ことムスヒノキミではないのだろうか?

 …とりあえず、揉め事を仲裁する方が先か。

 

 カゼキリ?

 普通にぶっ飛ばして帰って来たみたいだよ。

 

 

 

 

凶星月ハンマーが意外と有効日

 

 

 できれば那木さんの方に会いたかったけど、先にバッタリ会ったのが富獄の兄貴だった。

 しかも朝っぱらから、汗だくになって武術の練習やってたし…。

 ガチムチ的な意味ではナイスバディですが、超テンション下がります。

 汗臭いし…いや、ニオイ的な意味ではそんなに臭くはないんだけど、イメージ的にね。

 

 「おう、てめぇが新しく来たモノノフの男の方か」って相変わらずのワイルドな笑顔でした。

 オリジナル笑顔で迫ってきたら、俺は逃げるぞ。

 

 挨拶もそこそこに、折角会ったんだから、と一緒に任務に行く事になった。

 残念ながら那木さんは別の任務らしいんで、俺・息吹・富獄の兄貴の華のないメンバーになった。

 

 言うまでもないが、特に問題なく任務は終了。

 まだ1度目の大攻勢の時期も来ていないから、大型鬼もミフチ程度しか出てきてないんだよな。

 

 それはともかく、躊躇いながらも富獄の兄貴に、暦と揉めた事について聞いてみた。

 

 …なんつぅか、思ったよりヘヴィな話だったな…。

 富獄の兄貴が、以前に居た里を護り切れなかったのは知ってたが、救援を出していたとは…。

 考えてみれば、確かに負けそうになれば助けを求めるのは当たり前か。

 

 …それで、都合よく援軍が来てくれるとは限らないのも、当たり前と言えば当たり前…か。

 シラヌイの里は、結局救援には動かなかったらしい。

 理屈ではそうであっても、見捨てられた方が納得しないのも…当たり前、ね。

 頭イテェ…。

 

 

 しかも、富獄の兄貴はなんか一人で勝手に完結しちまってるし。

 ホオズキの里の神垣の巫女こと『ちびすけ』とかの話はされなかったけど、「里を護り切れなかったのは、俺自身が弱かったからだ。それを他人のせいにしちまうとは…人間ってのは本当にしょうもねぇ」…と。

 しょうもないかはともかくとして、富獄の兄貴は暦、及びシラヌイの里に非は無いと考えているようだ。

 それでも揉めたのは…多分、暦が意図せずして地雷を踏んでしまったのか。

 

 あの時は助けに来なかったのに、非常時でもないウタカタに何故ノコノコやってきてるのか…、とでも考えたんだろうか?

 そりゃ頭にも来るよな…例え自分の弱さが悪い、と割り切ってても。

 

 と言うか、割り切ってるからこそタチが悪い。

 富獄の兄貴にしてみれば、この話はそこで終わり。

 余計な事を言って八つ当たりをした自分が悪い、で終了してしまっている。

 八つ当たりした事を詫びる事があっても、逆に暦やシラヌイを責める言葉は、もう二度と出てこないだろう。

 

 これ以上何を言っても、蛇足でしかない。

 例えば暦が頭を垂れて、悪かったと告げても、シラヌイが滅びの危機に瀕して助けを求めてきたとしても、それらは全て別件でしかない。

 

 

 対して、暦はどうだろうか?

 あのクソ真面目な暦だしな…。

 「私の判断じゃない、里長に言え」くらいの逃避ができればいいんだが、そうもいくまい。

 

 実際、その時の暦はシラヌイの里について間もないだろう。

 里長の判断に物申すどころか、居場所さえあるか怪しいくらいだ。 

 

 

 

 …とにかく、富獄の兄貴はもうこの件については終わりだと思っている。

 後引こうとする様子も無い。

 悪かったと思っているから、機会があれば頭を下げる事だってあるかもしれない。

 

 となると、問題なのは暦の様子だ。

 問題を解決しようとする場合、一方からの言い分ばかり聞いてちゃ、話がややこしくなるだけだもんな。

 両方の話を聞いて、意見や証言の食い違いを纏めて、解決案を表示する…。

 

 

 ……アカン、狩れない問題には太刀打ちできる気がしない…。

 

 

 

 

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