※この作品はR-18です。

狩りゲー世界転生輪   作:時守 暦

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最近、ブラストからアサルトに乗り換えました。
ちょっとくらい外しても問題ないから、気楽に撃てるのがいいですね。
それとハンマー大活躍です。
通じる奴が意外と多いんだよなぁ。


第99話

凶星月朝から遠慮なく酒が呑めるのが至上の幸せ日

 

 予想通りというべきか、暦は結構沈み込んでいた。

 この子もウタカタの里の連中の例に漏れず、精神的な揺さぶりに弱いなぁ…。

 暦はウタカタじゃなくてシラヌイの里のモノノフだけど。

 

 …凛音さんは、これを案じてウタカタに寄越した…ってのは考えすぎか?

 ウタカタに来ただけで、精神的な脆さを克服できる訳もないし。

 

 

 それにしても、やっぱこの世界はさりげなく面倒くさいなぁ。

 ホオズキの里が援軍を求めた当時、シラヌイの里で何があったのか聞かされた。

 

 当時も凛音が里長だったらしく、援軍に応じようとしたそうだが…ちょうどその時、シラヌイの里には霊山からの討伐部隊だか懲罰部隊だかが迫っていたとか。

 独立不羈と言えば聞こえはいいが、本来管理する立場にある霊山にしてみれば、反乱を起こされたようにしか見えないだろう。

 …で、当のシラヌイにしてみれば、見捨てておいて管理者面するな、と。

 

 

 本っっっ当に面倒くさいなぁもう!

 

 

 とは言え、これはこの世界特有の話じゃないよな…。

 GE世界だって同じくらいに追い込まれてるし、配給が足りなかったり、居住スペースが足りない人の分はスラムに放り出している状態だ。

 MH世界も、一見すると表立ってないだけで、ハンターが間に合わずに、或いは負けてしまってモンスターに抵抗できなくなった村はあるだろう。

 

 避けて通れる問題じゃないな…。

 

 

 富獄の兄貴も兄貴だが、暦も暦で面倒くさい。

 どんな理由があったにせよ、シラヌイの里はホオズキの里に援軍を出さなかった。

 見捨てた事には変わりない。

 だから当時シラヌイの里に何があったのかは話さないでくれ、富獄殿の怒りを受け止める事が自分に出来る唯一の事だ…と暦は言っている。

 

 

 

 

 

 …でも当の富獄の兄貴の方が、もう怒りをぶつける気がないんだよねぇ。

 自分が弱かったからだって言い切っちゃってるし。

 そこへ「さぁ、思いのたけをぶつけてこい!」なんて言っても「何言ってんだお前」で終わりである。

 

 試合放棄している相手に、当て身技ばっか発動してどうすんだって話だ。

 …どうでもいいけど、格ゲーの当て身技と実際の当身技って正反対だよな。

 格ゲーのはカウンター投げみたいなもんだけど、実際のは逆に打突なんだし。

 

 

 暦は当時の事実を知らせる気はなく、そもそも教えたところで富獄の兄貴は誰かに責を求める気はない。

 …どうしろと?

 

 

 表面的な仲なら、問題はないだろう。

 富獄の兄貴から突っかかっていく気が無いし、暦も形はどうあれ受身の体勢だから、これ以上の揉め事は発生しないと思う。

 ただ、根っこの繋がりというか、信頼を築けるかどうかだ。

 

 別に全員が全員仲良しこよしでなければならない理由もないが……団結する事で産まれる力は大きいからな。

 前回、何だかんだでオオマガドキの現場まで漕ぎつけたのは、千歳を中心として一致団結していたからだ。

 単に一緒に戦っただけで、ああまで戦力は向上しない。

 実際、千歳の号令一つで明らかに戦意が高揚するは、霊力が回復するは、物凄い効果だった。

 あそこまで行けとは流石に言えないが、一個のチームとして動けるくらいにはしたいものだ。

 

 

 …話が逸れたが、暦と富獄の兄貴には、正直干渉のしようが無い。

 なるべく一緒の任務に行くように仕向け、実績を元に個人と個人の信頼を積み重ねるしかないだろう。

 富獄の兄貴も暦も、誠実さという点においては疑いようも無い。

 自然と信頼は作られる。

 何もしないって結論に落ち着く訳だが…うーん、事なかれ主義。

 

 

 まぁ、間に入っての仲介くらいはするけどさ…最初は多分ハリのムシロだろうな…。

 

 

 

凶星月酒のツマミを何にしようか考えるのが、永遠の課題日

 

 

 なんか、俺の知らない所でトントン拍子にストーリーが進んでいくなぁ、今回は。

 ひょっとして、と思って聞いてみると、暦は何時の間にやら天狐を拾っていた。

 という事は、橘花にも遭遇したか。

 

 初穂との仲も悪くないようだ。

 里に着いて最初に大型鬼…といっても蜘蛛だが…とやりあうイベントも普通にこなし、暦の実力に危機感(?)を持った初穂が、先輩の威厳を保つ為に頑張っているとか…。

 実際、里の広場で稽古をしていた所を見かけたが、随分動きが良くなっている。

 

 那木さんや息吹との仲もいい。

 カタブツのお子様、とも評されているようだが。

 

 富獄の兄貴とも、少なくとも表面上は上手くやっているようだ。

 速鳥とはまだ未遭遇。

 秋水は…よく分からん。

 積極的に話すような間柄ではないようだが。

 

 

 それはともかく、大和のお頭から囮作戦と、倒した鬼の部位を持って帰ってくる様に指令が来た。

 と言っても、俺に任されてるのは主に巡回系だから、デカブツと遭遇しないとな…。

 と言うか、何で俺今回に限って妙に大人しいんだ、自分で言うのもなんだけど。

 相手がまだ雑魚ばっかりだから、狩りたい相手も居ないといえば居ないが…。

 

 

 で、鬼の部位だが、確か橘花に千里眼で探らせるんだっけか。

 とりあえず、その辺の大物を適当に狩っておくかな。

 

 

 

凶星月酒呑んで風呂入って時々エロする日

 

 囮任務と嘯きつつ、普通に寄ってくる鬼を片っ端から狩ってしまった件。

 囮⇒遭遇⇒援軍が来るまでに殲滅、を3回くらいやったら、一人で大丈夫なんじゃないか?と真顔で言われました。

 まぁ、大丈夫だけどさ。

 

 が、なんか…怪しまれてる?

 しかも暦に。

 

 「私と同じ外様で、新米のモノノフの筈なのに、随分手馴れたものだな」って言われたよ。

 富獄の兄貴に「あん? てめぇも外様なのかよ」って意外そうに言われた。

 鬼を狩るのも手馴れているようだし、武器の扱いや鬼払いなども、長年モノノフを続けていたかのように堂に入っている。

 少なくとも、新米ではないと思われていたようだ。

 

 …まぁ、そりゃ曲りなりにも最前線で戦ってましたからねぇ。

 前にもあったが、実力と肩書きの差で怪しまれてしまったか。

 

 怪しまれるのは別にいいんだが…なんか、暦の様子がおかしい。

 留守中の俺の家に上がり込んで勝手に罠にかかってたり、里の巡回中も隠れ(たつもり)つつ俺の後ろを着いて回るようになった。

 何がしたいんだろうか?

 別におかしな物は家に置いてはいない。

 この世界や時期には無いモノは、全て手元のふくろの中にしまってあるから、いくら家捜しされてもな…。

 

 …暫く見物してみるか。

 ゲームの知識にも前ループにも無い人物なんで、どう動くのか、何の為に動いているのか、興味もあるし。

 

 

 それはともかく、持って帰って来た鬼の素材からは、やはり指揮官…ゴウエンマの居場所は探れなかったようだ。

 探る時、俺も橘花と顔合わせした。

 …相変わらずと言うか何と言うか…この時期だと、色々溜め込んだツラしてるなぁ。

 前の時はイマイチ分からなかったが、今なら内面もある程度透けて見える。

 何せ、文字通り尻の穴の皺の数…どころか味…まで知ってる仲だし……今は一方的に、だけど。

 

 そういや、今回の橘花はどうするかな。

 別に一回ヤれちゃったからどうでもいい、なんて思わないけど、前回のように絶対!ってレベルの動機が無いのも事実。

 何らかの遊びを教えるのは、息抜きの為にも必須だろうが…まぁ、成り行き次第でいいか。

 口説けるチャンスがあるとは限らないんだし。

 

 

 ま、もう暫くはストーリーの流れに沿うとしますかね。

 正直、現状だと何もできんし。

 

 

 

 

 

 と言う訳で、のっぺらミタマの研究中。

 と言っても、樒さんの診察を受けて、それによって判明した事を元に仮説を立てているだけなんだけど。

 

 やはり、のっぺらミタマは英雄の魂である普通のミタマとは根本的に別物だ。

 となると、俺がモノノフかどうかも定義が怪しくなってくるが、その辺はどうでもいい。

 肩書きは大事だが、元々真っ当な手段で得た物じゃないしな。

 

 さて、今回の診察で分かった事だが……のっぺら一体一体に、「糸」がついている……らしい。

 勿論比喩表現であり、言ったのは樒さんだ。

 長い糸もあれば短い糸もあり、共通しているのは一体に1本だけである事と、明らかに何処かで引きちぎられている形跡がある…らしい。

 …つまり、のっぺらは元々、何処かに繋がれていた?

 それが切られてしまった事で、どういうルートを辿ってか、漂い続けた挙句に俺の中に流れ込んでくる?

 

 

 …本当にワケが分からんな。

 とは言え今まではワケが分からない、ワケが分からないの連発で、そこで思考が止まってた。

 今回は無理矢理にでもこじつけてみよう。

 

 ミタマ達が通ってきてるルートは、恐らくGE世界で見たあの変な空間。

 所謂電脳空間かと思っていたんだが、それだとGE世界以外でも俺にのっぺらが流れ込んでくる説明がつかない。

 …いや、あの空間自体は電脳空間で、そこに入り込む事によって、のっぺら達が視認できるようになった、と考えた方がいいか。

 

 電脳空間でなくても、常に俺と何かしらの繋がりがある場所から、のっぺら達が流れ込んでくる。

 しかし、電脳空間に入ることによって見えるようになった理由はなんだ?

 偶然そういう性質を持っていたから?

 

 …いや、それだとそもそも俺があの空間に入れた理由が分からない。

 やはりのっぺら達か、或いは俺自身のどちらかに、電脳空間との何らかの関係があるのだろう。

 

 そういえば、俺の体はどうやらのっぺらミタマの集まりで出来ているらしいんだよな。

 色々な意味で普通ではない俺の体が電脳空間に入り込めたのは、その辺に理由がある気がする。

 

 つまり、元々のっぺら達は電脳空間に入り込める性質を持っていて、その集合体である俺の体も、自然とそのようになった…と。

 

 

 仮にこの推論が正しいとすると、のっぺら達は電脳空間か、それに近い場所で生まれ、俺の元に流されてきている事になる。

 

 

 …電脳空間、ねぇ。

 SFチックで漠然とした表現だが、他に丁度いい呼び方が見つからないから仕方ないか。

 

 

 

 さて、ここで、樒さんに教えてもらったのっぺらの性質を考えてみる。

 ①実は中身が空ッケツというか、人格や思考は無いに等しい。

 ②それぞれに糸(?)がついており、何処かと繋がっていた形跡がある。

 

 

 …②についてだが……糸とやらが何処かとの繋がり、接続を示すモノであるなら、それが千切られている理由には心当たりがある。

 我が怨敵、イヅチカナタだ。

 因果、つまりは物事の繋がりを食べる鬼なのだから、のっぺらと『何か』の繋がりを食ってもおかしくない。

 

 人格や思考は、その時に剥ぎ取られたのか?

 うーん……まぁ、その可能性もあるか。

 

 

 結局、のっぺらの正体を解き明かすには、「糸」の繋がっていた先が何処なのかを考えなければならないようだ。

 のっぺら達が繋がっていそうな所……異界?

 いや、異界に居たからって電脳空間に入れるとは思えない………ん…?

 

 

 

 

 

 

 もしものっぺら達が、元々電脳空間に居たとしたら、どうだ?

 

 実も蓋もない考えだが、それなら俺の体が電脳空間に入り込み、適応できたのも頷ける。

 電脳空間から、何故俺の体に入り込むのかは分からないが。

 

 電脳空間に居る、無数の存在。

 何処かと繋がっていた形跡。

 そして何より、顔が分からず、煽るのが異様に上手い。

 

 

 

 

 ………居る。

 というか在る。

 

 ここまでの考えが全て正しいとしたら、という仮定の元にだが…。

 

 

 のっぺら=プレイヤー。

 或いはアカウント。

 

 のっぺらに付いている「糸」の先は、恐らくゲーム機か何か。

 糸が切れているのは……アカウントを削除されたか、それともイツヂカナタが喰らってしまったのか。

 

 …これが正解…かな?

 

 

 

 

凶星月ゲームもしたいしニコ動も見たい日

 

 

 鬼の素材集めもそこそこに、今日も樒さんとのっぺらミタマの正体について議論中。

 なのはいいんですが……樒さん、近い近い近い!

 ああ、なんかお香に紛れて樒さんのニオイが!

 と言うか肩から上が丸出しで、その格好だと谷間が!

 

 またも性欲を持て余す!

 

 俺の体がのっぺらの塊で出来ている、という事を話したところ、「…見せて…」と言って間近で観察されています。

 どれくらい間近かって、鼻息がこそばゆいくらいの距離ですよ。

 「おさわりは…厳禁…」ってそんだけ近けりゃ当たりもしますわ!

 と言うかふにょんとした感触が!

 

 …後になって冷静になると、今までやってきたコトに比べりゃどうって事ないんだけど…そーいう雰囲気じゃないからか?

 一方的に見られるだけってのは経験が無かったな…これが羞恥プレイ、いや視姦される感覚か。

 

 

 …そんな事言ったら、樒さんに大麻で殴られた。

 真面目に考察してるのに茶化されたのが気に入らなかったらしい。

 それでも俺を間近から見るのを止めない辺り、樒さんものっぺらミタマの正体が結構気になっているようだ。

 

 

 …でもさぁ、直接体を見た方がいいってのはわかるよ?

 上半身裸で、文字通り鼻息がかかる距離で凝視されてみろよ。

 時々フェザータッチで触ってくるし、乳首にも触られそうになるし。

 ヘンな気分にもなってくるわ。

 

 でも樒さんの方は平然としてるし、相変わらず眠そうな目付きで殆ど表情が変わらんし…。

 アレだな、S役とか女王様が意外と似合う人かもしれん。

 あの表情のまま足で弄って来られたら、なんか新しい世界の扉を開いてしまうような予感がした。

 

 

 …妄想はこの辺にしておかないと、下半身に呪いをかけられそうだから、一端ストップ。

 

 

 診察結果だが、やはり俺の体は数えるのも面倒なくらいののっぺらミタマで構成されているらしい。

 物理的な肉体はどうなってんだ?と思ったところだが、どーものっぺらが細胞代わりになっているとか。

 …まぁ、60兆も居る訳じゃないみたいだけど。

 

 理由や原理はイマイチ分からんし、最初からこうだったのかも不明。

 多分、ループが始まった辺りか、最初に死んだ辺りでそうなったんじゃないかなー、と漠然と思っています。

 

 

 今日の診察結果はこれだけだけど、樒さんはなにやら気になる事があるらしく、暫く診察(というか触診)を続ける事になったよ。

 

 

 

 

 

 ところで、樒さんに触診されていた時、物陰から暦と初穂と橘花が覗いてたみたいなんだが。

 

 

 

凶星月嗚呼、時間が足りない日

 

 なんか暦が今までとは別の意味で挙動不審になってるんだが、まぁいいか。

 大方、昨日見ていた俺と樒さんの診察シーンを濡れ場か何かと間違ってるんだろう。

 

 …それは別にいいんだが、橘花と初穂も居たんだよな。

 橘花は性的知識がロクにないからな…ひょっとして暦か初穂に直接「あれは何をしてるんですか?」とか尋ねたんだろうか。

 二人が大慌てする光景が目に浮かぶ。

 

 …いや、そっち系の知識が無いなら、それこそ単に診察していただけと思うかな。

 どっちでもいいけど。

 

 さて、そんなこんなしている内に、ストーリーがちょっと進んだっぽい。

 息吹と異界を巡回している時に、桜花にバッタリ会った。

 ちょうどクエヤマと遭遇したところだったようだ。

 

 …うーん、扱いも悪けりゃ運も悪いな、クエヤマって…。

 囮作戦(笑)を逆手にとって奇襲をかけたつもりだったんだろうが、丁度俺達が居合わせるとか…。

 まぁ、桜花の行動限界が近かったんで、先に帰らせたけどね。

 俺と息吹だけでも楽勝だったし。

 

 さて、確かゲームではこいつを倒したらミタマゲットして、素材から鬼の指揮官の居場所が………分からなかったな、そう言えば。

 前回ループでも情報が得られず、鬼の側でもクエヤマが下っ端だって分かったんだっけ…。

 

 なんだかなー、上級の更に上とかに行けばバケるんだろうか?

 このループが始まった時は、討鬼伝の続編はまだ発売されてなかったが…続編であるからには、多分更に上の難易度が用意されてただろうし。

 クエヤマのパワーアップ版ねぇ…。

 更に巨大化するくらいしか思いつかないな。

 クエヤマ改め、ダイダラボッチとか?

 そこまでデカくなると流石に勝てる気がしないな。

 或いはジブリの人面鹿みたいになったりしたら。

 

 

 さて、戯言はともかくとして、この次のストーリーについてだ。

 順序が狂う事もあったが、確か順番的には速鳥との邂逅に…そうだ、もうすぐツイナの日か。

 ぶっちゃけ単なる節分だが、モノノフ的には重要と言えば重要なんだろうな。

 少なくとも、貴重な休日だ……鬼が襲ってこなければ、だが。

 

 そして今回は大規模な襲撃がほぼ確定してんだよなぁ。

 ああ、休みが潰れるって本当に憂鬱だ…。

 

 

凶星月結局GERはPsvitaでしかプレイしてない件日

 

 

 速鳥が挨拶に来た。

 既に暦とは面通ししたようだ。

 

 …なんかな…別にいいんだけどさ、速鳥…暦に気を許しすぎじゃないか?

 曲りなりにも、暦はシラヌイの里…霊山と不仲な里から来たんだし、警戒くらいするだろうなー、と思ってたんだが。

 

 

 ……ああ、コイツ、暦の家に住み着いた天狐に負けたな?

 分かりやすい奴…。

 風貌も合間って、コイツ絶対裏切るタイプのニンジャだ…とゲームの初見じゃ思ったもんだが、天狐狂いを見てそんな警戒心が吹っ飛んだよなぁ…。

 まぁ、それでも裏切る奴は裏切るが。

 実際、子供を斬るのが忍びないから、ってかつての仲間全部斬って逃げたし。

 

 機会があったら、天狐と話す方法を教えてやるか。

 千歳程じゃないが、俺も割りと上達した。

 …その千歳から、「筋は最悪」と太鼓判を押されている速鳥だけど…。

 

 

 それはともかく、初穂が例の「鬼は内」の話で自爆しかけた。

 落ち込まなかったのは、暦の手前で暗い顔を見せたくないのと…俺が援護?で言った、「俺のトコもそうだったぞ」が多少は効いたかな?

 出任せだけど、「鬼は内、福は外」がまだ伝わってる地域は実際にあった…筈。

 

 まぁ、初穂にとってショックなのは、自分が居た場所…ウタカタの里での名残が変わっていた事だろうから、別の場所がそうなってるよ、と言ったところでどれくらい効果があったかは怪しいが。

 

 神木の下で、初穂の境遇の話を聞いた。

 浦島太郎なんだ、と言ってたが…そういや初穂のミタマって浦島太郎なんだよな。

 酷い皮肉だこと。

 ミタマを宿した時、どんな気分だったやら……当り散らしても仕方ないレベルだぞ。

 

 

 …考えてみりゃ、この話は暦に聞かせるべきだっただろうか?

 打算尽くしで考えるのもなんだが、初穂と暦は同じような境遇だ。

 暦は外様の世界から鬼やモノノフが実在している世界へ、初穂は40年後の両親も居ない世界へ、不条理な形で迷い込んできてしまったんだし。

 傷の舐めあいと言うべきなのか、同病相哀れむと言うべきか、それとも意気投合しすぎて舐めあい(百合)となるかは分からんけど、お互いに似たような境遇の愚痴り相手が居れば、色々気も紛れると思う。

 

 とは言え、そうそう話していい事じゃないんだよな。

 暦が外様だって事は知ってるはずだが、今この世界に対する違和感までは知られてない。

 …と、思う。

 

 いや、だって暦って分かりやすいしさぁ…まぁ外様独特の感覚だから、生来のモノノフ関係者が集まるこの里では分かりにくいのかもしれない。

 

 

 

 さて、それはともかくとして、間もなく節分である。

 オヤスミの日の為の鬼の掃討も順調。

 …でもな、休日というのはトラブルが発生するまでの事なんですよ(社畜感…といいたい所だが、この程度ならまだ軽いか?)

 と言うか、俺的には鬼が押し寄せてくるのを知っているので、あんまり休みな気分じゃなかったりする。

 メンドクセェ…が、ぞ雑魚ばかりとは言え存分に狩りの欲求を満たせる貴重な機会だ。

 精々活用させてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 適当に狩りやって帰ってきたら、非常に怪しい場面に遭遇した。

 橘花と秋水が逢引…もとい密談している。

 時期的に考えて、結界子…だっけ?を砕いて、結界を強化させようって相談だろう。

 おーおー、思いつめた顔しちゃってまぁ。

 

 誰か呼んで台無しにしてやろうかと思ったが、話は既に終盤だったようなので意味が無い。

 

 しかし、こうして見ると秋水の悪役っぽさ、パネェな…。

 大悪党じゃなくて、小悪党…というにはちょっとキレすぎるから、狡猾な参謀タイプかな。

 

 

 

 ふむ…いい機会だし、橘花にちょいと気晴らし仕込んでやるか。

 エロ系じゃなくて、外で遊ぶ系統のを。

 

 顔が暗いぞ、と言って強引に連れ出したんだが…うーん、流石に戸惑ってるかな。

 まぁ、元々殆ど顔合わせてなかったしね。

 よく知らない男に強引に連れ出されりゃ警戒もするわ。

 

 …橘花の場合、危機感が殆ど無いから困惑してるだけだけど。

 

 

 

 

凶星月ところで、初穂をヒロインにしようと思ったんだけどどんどんズレていくんだが日

 

 

 昨日は中々スリリングだったな。

 と言っても、ちょっと桜花に斬られかけただけだが。

 今更、ただ斬られた程度じゃ死ねる気がしないなぁ…急所を一突きとか、真っ二つとかそれくらいならともかく。

 

 別に、橘花に不埒な事をしていた訳じゃない。 

 前ループと前々ループで、橘花の尻穴を散々弄り倒した俺が言っても説得力が無いとは思うが、今回は普通に外の遊びを教えていただけだ。

 前回も特にお気に入りだった木登りとかね。

 

 それが問題っちゃ問題かもしれんが、この里の場合は問題ない。

 本来の神垣の巫女はあらゆる危険から遠ざけられる為に、屋敷の中で軟禁状態で日々を過ごすと言う。

 そんな神垣の巫女に、落下死の危険がある木登りなんぞ教えた日には……だが、この里だと自由に出歩けるんだよな。

 大和のお頭の判断らしいが、英断である。

 

 それはともかく、なんだってまた桜花に斬られかけたかってーと…橘花と手を繋いでるところを見られまして。

 

 

 いや逢引してたワケじゃねーよ。

 戸惑ってるのを強引に連れ出したから、その時に手を繋いだだけだよ。

 傍から見たら強引なナンパに見えたかもしれんけど…。

 

 …桜花が斬ろうとした理由って、手を繋いでたのと強引なナンパに見えたの、どっちだろうな…。

 

 

 まぁ、何とか桜花の誤解を(真剣白刃『噛み』で)乗り切って、桜花も巻き込んで橘花と外で遊んだ。

 まー橘花の顔色も多少は明るくなって何よりだ。

 最終的には木の上から夕日を眺めてたな…何処の青春漫画(演出過剰)か。

 

 でもさぁ、桜花…橘花が「姉さまと一緒に遊ぶのなんて久しぶりです」とか言ってるけど、もーちょっとこう…姉妹間でのコミュニケーションを取ったらどうだ?

 モノノフの勤めで忙しいのは分かるけど、精神的なケアとか家族の温もりとかマジ大事だぞ?

 

 と言うか、こいつらやっぱり姉妹だなぁ。

 クソ真面目で、色々と溜め込むところが不必要に似てやがる。

 桜花自身も、メッチャストレス溜め込んでやがった。

 少なくとも、ちょっと一緒に遊んだだけで表情が明らかに変わるのが分かるくらいには。

 

 今までずっとあの表情だったから気付かなかったけど、桜花って基本が仏頂面だったんだな。

 橘花を守らないと、モノノフとしての勤めを果たさないと、って力が入りまくってたようだ。

 それを辛いとは思ってないだろうが、積もりに積もって…かな。

 

 まぁ、ちょっと遊んだだけで全部晴れるほど、軽いストレスじゃないだろうが…むしろ、今までよく潰れなかったもんだ。

 

 そう言ったら、(何故そんな話を橘花の前でする…!)のよーな目をしつつ、「私だって、息抜きや趣味の一つくらい心得ているさ」だそうな。

 それで間に合わないから、そんな顔になってるんだと思うが。

 

 あと、橘花の前でこの話をしたのは、無論聞かせる為だ。

 という訳で橘花、この不必要に真面目なおねーさんの気晴らしの為、もう少し姉妹の時間を作ってあげてください。

 これは立派な精神的医療行為です。

 わがままではありません。

 ウタカタのモノノフ部隊隊長の体調管理の為でもあるので、神垣の巫女としての発言力を存分に使うがよろしい。

 

 と言うか、橘花も溜め込んでるみたいだし、一日で最低1時間は何でもいいから話すようにしろ。

 例え仲違いしてケンカしてる時であっても、だ。

 はいこれ決定!

 

 

 

 

 …と、大体こんな感じだった。

 ふぅ…勢いと成り行きに任せて突っ走ったが、案外落ち着くところに落ち着くもんだ。

 

 確か、今後は桜花の意思に反して、橘花の負担を増して結界を強化する展開になっちまうからな。

 それで気マズい雰囲気になるが…それでも1日1時間の話し合いは続けさせるつもりだ。

 …吉と出るか凶と出るかは分からんけどな…。

 話し合う時間が長ければ解決する、とは限らないのが人間関係の面倒なところだ。

 まぁ、二人きりで話し合うように、とは言ってないんで、間に誰か入るのはアリかな。

 

 

 …本当は、結界強化なんぞさせる間もなく一気に終わらせるのが最上なんだろうが、今後の事を考えるとな…。

 鬼の攻勢はどんどん強くなるから、今の結界だと心許ないのは事実だし、イベントを潰すとどうなるか…。

 いつぞや、那木さんと色欲に溺れていたループでは、イベントをこなす事だけ考えて、その根っこにある問題を放置していた結果がアレだよ。

 …いや、浮気で射られるのと、信頼関係の構築は別物だとは思うけどさ。

 

 やれやれ…余計な事考えずに狩りライフしてられるMH世界が恋しいよ。

 

 

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