もしもマジアベーゼ様が悪堕ち性癖に目覚めていたら 作:詠符音黎
「ベーゼ様ぁ……」
マジアアズールが。
あの気高くクールだったはずのマジアアズールが。
媚びた顔をしてマジアベーゼの足を今舐めようとしている。
それはベーゼに取って信じられないほどの衝撃を与えた。魔法少女とはどんなに追い詰められても悪に立ち向かい、折れない存在。それがベーゼにとって、柊うてなにとっての魔法少女の姿だった。
だがしかし今の彼女はどうか。ベーゼの与える苦痛と快楽に支配され、安易にそちらに流れようとしている。
まるで矜持のないその姿。本来なら今すぐにでも足蹴にして唾棄すべきものであろう。
だが、どうしてか、ベーゼは体を動かすことができず、アズールから目を逸らすことができなかった。
それどころか、心臓が早鐘を打つ。血が沸騰しそうなほど沸き立つ。体感した程のないほどの興奮が彼女を支配する。それは未知の感覚。未知の感情。説明のできない、異様な体験――
「――あぁ……れろ」
そして、ついにアズールがベーゼの足を舐めたとき、ベーゼの体に電流が走る。
今まで味わったことのないほどの快楽が、彼女を襲ったのだ。それは、絶頂だった。ベーゼは、足を舐められただけで、イってしまったのだ。
同時にベーゼは知る。理解する。今の感情の正体を。
――ああ、これはつまり、そういうことなんですね……。
「っ!?」
ベーゼはレロレロとベーゼの足を舐めるアズールの髪を掴み、持ち上げる。
その顔は、笑っていた。
「マジアアズール……あなた、ひどい顔をしていますねぇ……快楽だけを欲した浅ましい獣の姿……いいえ、獣ということすらおこがましい……今のあなたは家畜……皿に乗せられた餌をただ貪る豚に過ぎませんねぇ……」
「ああ、ベーゼ様……そんな、私は……」
不安と興奮が入り混じったようなアズールの顔。そんなアズールの耳元で、ベーゼは囁く。
「でも、あなたはそれでいいんですよ……豚になってしまったあなたを、私が飼育してあげます……」
その言葉を受けて、アズールは笑みを浮かべる。心からの、卑しい笑みを。
「ああ、ベーゼ様……!」
「さあ、連れて行ってあげますよ。あなたの飼育小屋に……」
――マジアベーゼは、悪堕ち性癖に目覚めた。
◇◆◇◆◇
――ナハトベース。
悪の秘密結社エノルミータの拠点であるそこに、アズールは連れてこられていた。
だが、ただ連れてこられた訳では無い。今の彼女には目隠しがされ、首輪が巻かれ、四つん這いで歩いている。
到底人とは思えない扱い。だが、それでもアズールは興奮しているようだった。
「ふーっ……ふーっ……」
荒い鼻息を立てるアズール。そんなアズールを、ベーゼは蹴り飛ばす。
「あっ……!」
「まったく躾のなってない豚ですね……散歩程度で興奮するなんて、私の家畜の自覚があるんですか?」
「す、すいません! ベーゼ様……!」
必死に謝るアズール。ベーゼはそんなアズールの目隠しを取ると、彼女の眼前で言った。
「まあ、駄目な家畜を躾けるのも飼い主の役目……マジアアズール、これからあなたをたくさん躾けてあげますね……あなたという存在が完全にすり潰されるぐらいに、たっぷりと……」
「は、はいぃ! 私を、私を躾けてください! ベーゼ様ぁ!」
「いい返事です」
その言葉の直後に、ベーゼは彼女が持つ武器、
すると次の瞬間、這いつくばっていたアズールの手足を触手が縛り上げ、空中に釣り上げる。
ベーゼが叩きたのは近くに置いてあった植木鉢であった。ベーゼの能力で、植えてあった花が魔物と化したのである。
「ああ、これぇ……これ好きぃ……」
アズールは歓喜の表情を見せる。それはこれまで何度もアズールを縛り上げてきた魔物の触手である。
これからどんな事をされるのだろうと、アズールは心震わせた。
「嬉しそうな顔をしてますねぇ。でも、今回はちょっと趣向が違いますよ?」
「……?」
ベーゼの言う意味をいまいち理解できていないアズール。
その次の瞬間だった。
アズールの下を這いずっていた触手が、突如ものすごいスピードで伸びてきたかと思うと、彼女の陰部を貫いたのだ。
「っ!?!?」
その衝撃に、アズールは目を白黒させる。訪れた破瓜の痛み。あまりにも女性の事を考えていない乱暴な仕打ち。不意をついたそれは、アズールに衝撃を与えるには十分だった。
「か……は……!?」
「あら、驚いてますかぁ? 当然ですよねぇ。突然処女を奪われるなんて、思ってもいませんでしたよねぇ。でもこれは、あなたへの躾の一環なんですよ? だって、家畜が処女守ってるなんて馬鹿らしい話、嫌ですから。それに――」
直後、アズールはまた困惑する。アズールの女性器へと繋がっている触手がドクドクと脈打ち始めたのだ。まるで、何かをアズールの中に吐き出そうとしているかのような――
「ベ、ベーゼ様? 一体何を――」
アズールが聞く前に、それは触手から吐き出された。
「がっ!?!?」
そのあまりの量と勢いに、アズールは一瞬呼吸が止まる。それはどんどんと体の中を満たしていき、ついには、アズールの陰部と口から、溢れ出してきた。
「がっはっ……!?」
それは黒く濁った粘液だった。言うなればタールが近いだろうか。だがタールと比べると粘度はなく、臭いはない。
「おえええええええっ!」
その黒い粘液を吐き出すアズール。彼女の腹部は、まるで妊婦のようにぼってりと膨らんでいた。
「苦しいですか? 苦しいですよね? だってそれは私の魔力なんですから当たり前ですよ。あなたを躾けると決めてから、なぜだか魔力が無尽蔵に湧いてきて……それを、今あなたに注ぎ込んでるんですよ」
ベーゼは見下した笑みを浮かべながらアズールに言う。アズールは答えない。意識はあるが、とても喋られる状態ではなかった。
「その黒く淀んだ魔力はあなたを犯していきます……一人の魔法少女から、悪の組織の下僕たる魔物へと体を変えていくんですよ。嬉しいですか? 嬉しいですよね? だってあなたは、私の家畜なんですから……!」
触手から解放され、床に打ち付けられるアズール。
「ごほっ! ごほっ!」
アズールは喉に残った魔力の粘液を吐き続ける。そしてある程度吐くと、すっかり重たくなった腹を垂らしながらベーゼを見上げ、言う。
「……はい、嬉しいですぅ」
だらしなく媚びた笑みで。
「ベーゼ様のモノになれるなら……ベーゼ様にずっと快楽を貰えるなら私……人間なんて辞めますぅ……!」
「……良く言えました」
アズールの回答にベーゼは、これまで浮かべたことのないようなおどろおどろしい笑みを浮かべる。そして、そっと股間部に手を当てると、そこに魔力を込める。
すると、ベーゼの股間部から黒い肉棒がそそり勃ったのだ。
「さあ、まだ完全には魔力が定着していないようですから、しっかりと馴染ませてあげますよ。私、自らの手でね」
「ああ……! お願いします! ベーゼ様! 私を! 私を犯してくださいぃ!」
アズールはそう言ってベーゼに尻を向ける。ベーゼはそんなアズールの腰を掴み、ゆっくりとアズールの陰部に黒い肉棒を挿入する。
「あひいいいいいいっ!?」
嬌声を上げるアズール。目は見開かれ、よだれを垂らしながら笑うその顔は、とても理性ある人間の顔ではなかった。
「さあ、いきますよ……!」
ベーゼもまたそんな彼女の姿に興奮しながら腰を振り始める。
パンパンと、腰を打ち付ける音がナハトベースに響く。
「あっ! あっ! あっ! あっ! あっ!」
打ち付けられるたびに声を上げるアズール。
それに合わせてベーゼも腰をより激しく動かしてく。
「ほらほら! どうしたんですか! もっと腰を振りなさい! こんなことでへばるようでは私の家畜失格ですよ!」
「はいいいいいいいいっ! しゅいましぇん! べーじぇ様ぁ! あじゅーるは! あじゅーるはもっと無様に腰を振りますぅ!」
あくまで快楽をねだるのはアズールから。
それが二人の関係を表していた。
「おっ!? おっ! おっ! おっ!」
「まったく猿みたいですねぇ! まあ当然ですか! あなたはこれから畜生以下の存在になるんですからっ!」
「はいっ! 私はベーゼ様の家畜ぅ! ただ快楽のために生きる哀れな雌豚ですぅ!」
「……よく言えましたっ!」
ベーゼはそう言うと、アズールの臀部を勢いよく叩く。
「――――っ!!!!」
パァン! と音が響き渡ると共に、アズールは快楽で顔を更に歪める。
ベーゼはそんなアズールに構うことなく、間髪いれずにアズールの臀部を叩き続ける。
「ひぃん!? あひぃ!?」
「ふふふっ! いいですよ……とてもいい顔をしてますよアズール……!」
ベーゼもまた、彼女につられ昂ぶっていく。そうしてある程度叩くと、その手を止め、再びがっしりとアズールの腰を掴む。
「ああ、ベーゼ様……?」
「ふふふ、光栄に思いなさいアズール……これから、私の魔力を私自らあなたの中に注いであげますよ……!」
それは、人としての終焉を意味する言葉。
アズールが魔法少女ではなくなるという宣告。
到底受け入れられるはずのない布告。
だが、アズールは、
「……はい、お願いしますぅ! 私をあなたのものにして! アズールを、めちゃくちゃにしてぇっ!」
自らを、悪魔に売り飛ばした。
「うっ!!」
直後、ベーゼの肉棒から魔力の粘液が放たれる。それは既に膨らんでいたアズールの腹、腟内を更に占領していく。
「あひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」
そのあまりの快楽に、アズールは悲鳴にも似た嬌声を上げ、絶頂した。
「…………あ」
アズールは、そうして意識を手放す。ベーゼはそんなアズールの陰部から肉棒を抜く。
「……ふぅ。つい興奮しちゃった」
艷やかな、しかしおぞましい笑みを浮かべながら言うベーゼ。
ベーゼは床に倒れたアズールを一瞥すると、近くにあったビーカーを支配の鞭で叩く。
するとビーカーは巨大化する。そしてそのビーカーの中に触手がアズールを運び入れる。
「さてじゃあ、“完成”させちゃおうか……」
ベーゼはそう言って床に鞭を叩きつける。すると、アズールの入ったビーカーに触手が黒い粘液を注いでいく。
それはどんどんとビーカーを満たしていき、アズールを沈めていく。
「じゃあね、マジアアズール……魔法少女じゃなくなっちゃうけど、今度はもっと素敵で、もっと醜い姿になって会おうね……」
口角を釣り上げたベーゼに見守られなが、アズールは黒液に消えていった……。
◇◆◇◆◇
「小夜ちゃん、どこ行っちゃったんだろ……」
花菱はるか――マジアマゼンタである彼女は暗い顔でそう呟きながら下校していた。
魔法少女トレスマジアの仲間である水神小夜が突然いなくなった。学校に登校せず、自宅からも消えた。
マスコット的存在のヴァーツも彼女の行方が分からないらしい。
はるかはそんな小夜の事が心配で気が気でなくなっていた。
「はるかにこんなに心配させよってからに、あのバカどこをほっつき歩いとるねん……!」
一方でイライラしたように言うのは天川薫子――マジアサルファだ。
「これでひょっこり出てきたらしばいたるで……!」
「だ、だめだよ薫子ちゃん! それに、最近の小夜ちゃんなんかおかしかったし、私達がもっと気にかけてあげれば……」
「それはそうなんやけど……でも話さなかったのも向こうやし……」
バツが悪そうにする薫子。
「ああああああああイライラする! ほんとどこ行ったんねん!」
空に叫ぶ薫子。
そんなときだった。
「……ん?」
二人の視界の先の道路に、ふらふらと歩いてくる人影があったのだ。はるかはその影がきになって目を凝らす。
すると、なんと歩いてくるのは小夜ではないか。
「っ!? 小夜ちゃん!」
はるかは思わず駆け出す。
しかし、一方で薫子は感じていた。直感的な、悪寒を。
「ちょ、ちょっと待てはるか! なんかおかし――」
「――
同時に、小夜が唱える。
瞬間、はるかと薫子は足が動かなくなる。紫色の氷が二人の足を氷結させていたのだ。
「なっ!?」
「えっ!? 一体どういう事……!?」
混乱する二人。しかし、小夜の姿を見て二人はさらに驚愕する事になる。
そこにいたのは、小夜であって小夜でなかった。
彼女の姿は黒い巫女服だった。血のように紅い袴と黒い衣は見るものにおぞましい印象を与える。そして、胸元は大きくはだけており、そこから覗く死人のように白い肌は黒とのコントラストを嫌というほどに感じさせる。
だが二人が異様さを感じたのはそんな服装ではない。
彼女の顔に、無数の
そして、そんな彼女の表情は、到底彼女がするはずのない、歪な笑みを浮かべていた。
「……小夜ちゃん……アズール……なの?」
はるかは冷や汗をダラダラと垂らしながら、恐怖を露わにした顔で言う。
すると、彼女は答えた。
「そうよはるか……私はアズール……あのお方の忠実なる家畜、私の名は、スレイブアズール……」
「スレイブ……アズール? 家畜? あんた、何言って……」
薫子もまた信じられない、信じたくないと言った表情で聞く。するとアズールは――
「……キヒ」
笑った。
「キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」
両手で顔を抱えながら、狂気の笑いを、響かせた。
「アア……はるかぁ……! 薫子ぉ……! 気持ちいいよぉ、気持ちいいよぉ! 快感が、常にほとばしって、渦巻いて! イっちゃうのおおお!」
とても人間とは思えない笑顔で言うアズール。その姿に、怯えた様子で二人は言葉を失った。
「ア……アズール……」
「だから、この気持ちを……ご主人様の家畜になる幸せを、二人にも教えてあげるわね……だって、友達なんだもの……」
すると、二人の足を凍らせていた氷がどんどんと上へ上へと侵食してくる。二人を氷漬けにしようとするのだ。
「あ、あかん!? はるか! 変身や!」
「う、うんっ!」
さすがの自体に危機を覚えた二人は変身しようとする。だが――
「だめよ……?」
二人が構えたトランスアイテムは弾き飛ばされた。アズールの飛ばした紫のつららによって。
「なっ!?」
「大人しく、氷漬けになって……? 大丈夫、ちょっと自由じゃなくなるだけで、死んだりしないから……」
「そ、そんなの誰が……がっ……!?」
反論しようとする薫子。だが、氷はあっという間に彼女を氷結させ、氷漬けにする。
「か、薫子ちゃんっ!?」
動けない状態でありながらも薫子を心配する。だが、そんなはるかの視界も、だんだんと紫の氷が支配していく。
そうして氷漬けになる直前のはるかの耳に、アズールの囁きのような声が響くのだった。
「人間辞めるのって、気持ちいいわよ……」
トレスマジアはその日以降、町から姿を消した。
みち子が一番好き。