もしもマジアベーゼ様が悪堕ち性癖に目覚めていたら 作:詠符音黎
その中で元ロード団であったルベルブルーメとロコムジカは二人寄り添い戦っていた。
はたして彼女達は変わってしまった世界で戦い抜くことができるのだろうか……。
「みんなーっ! ロコの歌を聞いてくれてありがとーっ!」
ロコムジカ――阿古屋真珠はステージ場で観客達に言った。
彼女の言葉に歓声で湧く観客達。だが、その歓声は本心からのものではない。
ロコムジカの歌声は本来ならば人を集められるほどの力はない。しかし、そこに人が集まっているのは、ルベルブルーメ――姉母ネモが彼女の影を操る能力で観客を操っていたからであった。
「ったくロコの奴……」
舞台袖で少し不機嫌な顔をしながらも楽しそうにしているロコムジカの顔を見るルベルブルーメ。
彼女の力で観客を集めている事にロコムジカは気づいていない。自分の歌唱力で集められたと思っているのだ。
「人の気も知らないで……」
ルベルブルーメがそうするのはすべて彼女がロコムジカに好意を抱いているからであった。
彼女自身はその感情への自覚は薄いが、それは確かに恋心と呼べるものであった。
「はーっ! 今日のステージもロコは大活躍だったわねぇ!」
そんなルベルブルーメの元にロコムジカが満足げな顔で帰ってくる。その顔を見るとルベルブルーメは嬉しくなると共に少し不機嫌にもなった。
「……そうかよ。じゃあさっさと帰るぞ」
「あ、ちょっと待ちなさいよ! ライブの感想ぐらい言いなさいよ!」
少し歪だがロコムジカの夢を叶えてやっている、そんな現状がルベルブルーメは嫌いではなかった。
悪の幹部としての力を得てするのがこんな事なのかと思うこともよくあったが、それでもロコムジカの楽しそうな顔を見るとこれでもいいかと思った。
現状の関係のままで、形は変だが二人でずっと過ごせていけたらいい。
ルベルブルーメは、そう思っていた。
◇◆◇◆◇
「ぐっ……! ク、クソが……!」
ルベルブルーメはボロボロの姿で道路に片膝をついていた。彼女の側には両手両膝を着いて立てなくなっているロコムジカ。
そして彼女達のはるか前方空に、それらはいた。
「ふぅーん、元はご主人様と同じ悪の幹部だって聞いてたのに、結局この程度なんだぁ」
かつての魔法少女であり、現在は悪の下僕であるスレイブマゼンタ。
「そんな事は言ってはダメよマゼンタ。ご主人様の圧倒的な力を分けてもらった私達にかなう訳がないのだから」
「そやなぁ。いわゆる格が違う、って奴やねぇ」
そしてスレイブアズールに、スレイブサルファ。
二人を倒したのは彼女ら三人、トレススレイブであった。
「にしても元悪の幹部がうちらに歯向かってくるとか何考えとるん? 頭の回転が悪いんか?」
サルファが見下したように言う。それに、ルベルブルーメは睨み返して言う。
「う、うるせぇ……! お前達のやってることは気に食わねぇんだよ……! ただ単に破壊や殺しをするだけじゃねーか! これならまだロードエノルメの方がマシだったぜ……!」
「ふん、誰かと思えばご主人様に負けた負け犬の話? 彼女は弱いから負けた。支配者としての器がなかった。それだけの事よ」
冷笑するアズール。しかし、そんな彼女に対し、ロコムジカが顔を上げて言う。
「何が……支配者よ……! あんたらのボスは荒らすだけ荒らして支配もクソもないじゃない……! 一体何がしたいか分からないわ!」
「ご主人様のこと、バカにした?」
だが、そんなロコムジカの言葉に怒りを見せたのはマゼンタだった。
マゼンタは一瞬でロコムジカの眼の前に現れ言ったかと思うと、彼女を蹴り飛ばした。
「きゃあっ!?」
「ロコっ!? 貴様……!」
「偉大なるご主人様のことをバカにするなんて、許せないなぁ……あなた達は私達の温情で生かしてあげているのに……」
「……っ!」
おぞましい表情をしているマゼンタに気圧されるルベルブルーメ。だが、彼女は歯を食いしばり、ロコムジカをかばうようにマゼンタの前に立った。
「……く、来るなら、来い……! ロコはアタシが、守る……!」
「……へぇ」
自分も既に限界なのにマゼンタの前に立つルベルブルーメの姿に、マゼンタは妖しく笑う。
そして、言う。
「面白いねぇ、面白いねぇ……ねーアズール、サルファ! せっかくだしこの二人で遊ばない?」
「ん? ウチはべつにええけど……でもご主人様は魔法少女じゃないそいつらに興味ない言うとったで?」
「あら、興味がないからこそ私達で好き放題にしていいってことだと思うわ。生かすも殺すも私達次第。偉大なるご主人様は私達のそうした自主性を大切にしてくださっているから」
「そうだよーサルファ。私達がやりたい放題やるのがご主人様の望みでもある……だから私、この子達で遊びたくなっちゃった」
無邪気な残虐性を垣間見せるマゼンタの言葉に、ルベルブルーメは震える。だが、すぐに歯を食いしばって言う。
「だ、誰がお前らの遊び相手になんか――」
しかし、彼女が言い切る前に、彼女の傍らに雷が落ちる。サルファが落とした雷だ。
「勘違いせんでほしいなぁ。あんたらに拒否権あると思ってんの? やろうと思えばあんさんもそこで倒れてるのも、一瞬で殺せんのやで? ヒヒ……」
笑顔で言うサルファに、圧倒的な力量差を感じるルベルブルーメ。もはやマゼンタらに従うしか道はないと、彼女は悟った。
「分かった……従う。でも、お願いだ。どうか、どうかあいつには手を出さないでくれ……! 私はどうされたっていいから、あいつにだけは……!」
「あ、あんた! 何言って……!」
「お前は黙ってろ! お願いだ……! 私で、私で全部許してくれ……!」
両手を地面に付き、頭を下げて言うルベルブルーメ。驚愕するも動けないロコムジカ。その姿を見て、マゼンタは笑った。
「……いいよ。私達からは手を出さない。その分、存分に楽しませてもらうね。クスクス……」
そうして、ルベルブルーメは闇に飲まれ消えていく。
「ちょっとどこ行くのよ!? やめなさいよっ!! ルベル……ネモぉっ!!」
叫ぶロコムジカの声にルベルブルーメは反応することなく、トレススレイブと共に闇に消えていったのであった。
◇◆◇◆◇
「はぁ……はぁ……!」
ルベルブルーメは息を荒くしながら身を悶えさせていた。
今の彼女は腕を触手で拘束され吊り下げられていた。周囲は肉壁に囲まれており、ピンク色のモヤが漂っている。さらに彼女の下半身は白濁とした粘液に浸かっていた。
「どう? 私達の魔力を合わせ、そこにネロアリス様の力も借りて作った触手部屋に一週間閉じ込められている感想は?」
部屋に響くのはアズールの声だった。その声を聞き、ルベルブルーメはわずかに顔を上げる。
「こ、こんなの……大したこと……ない……」
だがその声に力はない。それは聞いている方にもすぐに分かり、アズールの笑い声が返ってくる。
「キヒヒヒ……空元気が過ぎるけれど、そういうの嫌いじゃないわ。でも、もっと快楽に素直になったほうが良いわよ? もう息を吸うだけでイっちゃいかねない体になってるのは分かってるんだから。そこに流れている媚毒ガスと催淫精液、普通の人間だったらすぐに発狂しちゃう代物なのよ? 変身した姿でも相当なハズ……私が自分で試したんだから間違いないわ」
「あんたなぁ……最後のは言わんでも良かったんちゃうん?」
サルファの呆れた声が響く。
そしてその直後、触手を通じて激しい電流がルベルブルーメの体に流れた。
「があああああああっ……!?」
「おっ、まだまだええ反応するやん。やっぱ快楽だけじゃなく苦痛も与えるの大事やなぁ。ヒッヒヒヒ……!」
「うっ……ううううううっ……!?」
同時に、ルベルブルーメが苦痛とは違った声を上げる。
「ん? 今の痛みでイったんかいな? あらあら随分とええ体になったもんやなぁ。羨ましいわぁ」
「そうねぇ。もう何をされてもイく体になっちゃってるわねぇ。分かるわよ、気持ちいいわよね。ええ、分かるわ……キヒヒ」
「ア、アタシは……」
二人の声に反応して、ルベルブルーメがかすかな声で言う。
「アタシは、負けない……アタシは、ロコの……真珠の、ために……」
おぼつかない瞳に、紅潮した顔。荒い息。だが、そんな中でもルベルブルーメは耐えていた。
ただロコムジカを、真珠を守りたい。その一心で。
「まあ、随分と頑張るのね……屈してしまえば快楽の世界は待っているというのに」
「はっ、ならどんどん痛めつければええんや。どれ、もういっちょ電撃でも……」
「ダメだよぉ二人とも」
と、そこでマゼンタの声が響いてきた。
「ひたすらに快楽や苦痛を与えるだけじゃ、多分彼女は折れないよ。もっと頭を使わないと」
「マゼンタからそんな言葉が出るなんてね。何か策はあるの?」
「うん。見てて」
すると、部屋を締めていた白濁液が抜かれていき、ルベルブルーメは拘束を解かれる。
肉床にべたりと力なく落ちるルベルブルーメ。彼女は立ち上がることもできない。
と、そこに床から何かが生えてきた。それはペニスに似た蟲のようであった。その蟲は、床に倒れ荒く呼吸をしているルベルブルーメに近づくと、彼女の陰部に突如入り込んだのだ。
「ぎっ、ぎいいいいいっ!?」
途端、大声を上げるルベルブルーメ。そして、その手はすぐさま股間に張り付いた蟲へと向かう。
「な、なんだコレっ!? は、離れろ……!」
だが、いくら引っ張っても蟲は離れない。それどころか、強烈な快楽がルベルブルーメを襲う。
「うっ、ううううううううううううっ……!」
ルベルブルーメは無意識に蟲をシゴく。その姿はまさにオナニーだった。
「あっ、イく! イっちまう……!」
そして、ついに蟲を通しての絶頂が来るかと思ったそのときだった。
「……え!? イケ……ない……!?」
ルベルブルーメは快楽の奔流が押し止められているのを感じた。いくら蟲をシゴいても、それは最高には達しない。
「どうして……どうして……!」
「ふふ、当然だよぉ。だって、その蟲があえて絶頂を止めてるんだから」
いつの間にかルベルブルーメの前に現れていたマゼンタが見下ろしながら言う。
「その蟲は特別製でね……ペニスの快感は与えてくれるけど、あなたが本当の欲望に身を堕とさない限り、絶頂には至れないの」
「本当の……欲望……?」
「そう。それが何なのかは、自分で考えてみてね。それまで私、見ててあげるから。クスクスクス……」
そうしてマゼンタは少し距離を取り、部屋には不似合いなクラシックな椅子に座ってルベルブルーメを眺め始めた。
「私の……私の、欲望なんて……そ、そんなの……ううう……!」
なんとか欲望を吐き出そうと蟲をいじりまくるルベルブルーメ。だが、どれだけいじっても絶頂の寸前で押し止められ、苦しい思いをする。
「ぐっ、ぐるじい……! どうして……どうしてこんなにぐるじいんだ……う、ううっ……!」
無駄だと分かっても手を止められないルベルブルーメ。
「うぐううううううううううううっ……! おごおおおおおおおおおおおっ……!」
ひたすらに、ただひたすらにシゴく。だが、いくらシゴいても結果は同じ。
「辛い、辛いよおおおおおおっ……! どうじて、ごんなに私は……!」
なぜこんな思いをしなくてはならないのか。そう思ったとき、ふとある姿が頭に浮かんだ。
「真珠……」
それは、真珠の姿だった。
「そうだ、私は……真珠の、ために……真珠を、守る、ため、に……」
真珠の事を思い出すルベルブルーメ。だが、そのときだった。
「うっ、ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!?」
これまで以上の強烈な快楽の波が彼女を襲ったのだ。
「こ、これしゅごいいいいいいいいいいいいいいっ……! 真珠の事、考えただけで、こんなにいいいいいいいいいいいっ……!」
イきたくてもイけない。
「んぎいいいいいいいいいいいいいいいっ! ひぎいいいいいいいいいいいいいっ!」
だが、快楽は倍々に増加していく。
「おっ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ……! ま、真珠あああああああああっ……!」
それは、彼女を狂わせるのに十分であった。
「真珠を、真珠を犯したいいいいいいいいいっ……! あいつを、あいつと一緒になりたいいいいいいいいいいいいっ……!」
「ふふっ、いいよ」
そのとき、静かにマゼンタが笑って言った。そしてゲートが開かれた。今一人でルベルブルーメの帰りを待っている、真珠の部屋へのゲートが。
「ま、真珠ぁ……! へ、ヘヘヘヘヘ……!」
それを見たルベルブルーメは、壊れた笑みを浮かべながら、そのゲートの先へと向かっていった。
「……ネモ」
あれから一週間。真珠は誰もいない部屋に一人籠もっていた。
自分のせいでネモが犠牲になった。それが彼女を自責の念として苦しませていた。
「どうしてあんなことしたのよ……バカ……」
膝を抱え泣きそうな声で言う真珠。だが、そのときだった。彼女の前に闇のゲートが現れたのだ。
「えっ!?」
驚く真珠。だが、さらなる驚愕がすぐさま彼女を襲う。
「ネモ……!?」
そこから現れたのはルベルブルーメ――ネモだった。彼女の姿を見て真珠は瞳から涙をこぼす。
「あっ、あんた無事で――」
けれども、すぐさま違和感に気づく。まず、ルベルブルーメの股間に異様なものがくっついている。ペニスの形を模した蟲だ。
そして次に、ルベルブルーメの息が異様に荒く、そして彼女の瞳には正気の光が灯っていなかった。
「……ネ、ネモ……? 一体どう――」
「――あ、ああああああああああああああああああああああっ!」
真珠が言い切るその前に、ルベルブルーメは真珠を襲った。彼女を組み伏せ、服をビリビリに破いたのだ。
「きゃっ!? きゃああああああああああああああああっ!?」
「真珠真珠真珠真珠真珠真珠真珠真珠真珠真珠真珠真珠……!」
血走った目で名前を繰り返すルベルブルーメ。それを見てやっと真珠はルベルブルーメが正気じゃないことに気づいたのだ。
「ちょ、ちょっと!? 落ち着いて……!」
「うあああああああああああああああっ……! があああああああっ!」
制止しようとする真珠だったが、ルベルブルーメはそれに耳を貸す姿はなく、一切の容赦なく蟲ペニスを真珠の女性器に突っ込んだ。
「ああああああああああああああああああああああああっ!?」
前戯無しでの挿入により襲いかかる痛みと破瓜の衝撃。だが、それと同時に真珠は味わっていた。ありえないほどの快楽を。
「ひっ、ひいいいいいいっ!? な、何これえええええっ!?」
それは蟲の分泌する媚毒の力だった。前戯無しで挿入したとしてもなお快楽を感じさせるほどの強い毒を蟲は放っていたのだ。
「おっ、おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
「あああああああああああああああっ! ああああああああああああっ!」
ものすごい勢いで腰を振るルベルブルーメ。まさに獣と言えるその姿。
だが真珠は、それに不思議と充足感を覚えていた。
「しゅ、しゅごいのおおおおおおおっ! 訳わかんないけど、とにかくしゅごいのおおおおおおおおおおっ!」
「あああああああああ真珠っ! 真珠っ! 真珠ぁっ!」
ルベルブルーメに名前を呼ばれるたびに胸が高鳴る真珠。
それはもとから彼女がルベルブルーメに抱いていた好意が蟲の毒によって異常に増幅させられているからなのだが、彼女がそれに気づくわけもない。
「がああああっ! 真珠! イく! 私、イくぞ! 一緒に、一緒にイってくれ!」
「わ、分かったわ! 私、アンタと一緒にイくから! イくからああああああああっ!」
叫ぶ二人。そして、それは同時に訪れる。
「「あっ、ああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」」
二人で一緒に迎えた絶頂。それは、二人の脳みそを戻れないほどに壊していった。
「あああ……真珠……これからもずっと、ずっとこうしよう……一緒に、気持ちよくなろう……!」
「え、ええ……いいわよ……あんたがそうなっちゃったのなら、私もおかしくなってあげる……! 二人で一緒に、頭おかしくなっちゃいましょう……」
指を絡め合いながら、そっと舌を入れた口づけを交わす二人。こうして二人は、二度と戻れない快楽の闇へと堕ちていったのであった。
◇◆◇◆◇
「うわあああああああああエノルミータだああああああああっ!」
エノルミータは今日も街を襲う。
マジアベーゼの心を満たす魔法少女を燻り出すために。
トレススレイブの快楽のために。
だが、その日街を襲っていたのはそのどちらでもなかった。
「な、何あの怪獣はっ!?」
次々に街並を壊していたのは、言うなれば触手の生えたサイレンだった。
巨大なサイレンスピーカーの頭から、植物の触手が生え高身長な人のような姿で歩いている。
不快な轟音を轟かせ、その影で人々を覆っている。
細身なその姿であったが、妊婦が如く異様に腹が膨れているのも気持ち悪さを醸し出していた。
「ふふ、楽しそうだねぇ、あの二人」
その姿を空から楽しそうに見ている姿があった。マゼンタを始めとするトレススレイブだった。
「ええ、とても幸せそう」
「好きな相手と一緒になれたんや。本望やろ」
三人の視線は怪物の膨張した腹部に向かっていた。
その中に、二人はいた。
機械の配線と触手が入り混じった腹部の内部の壁に、双方が向かい合う形で裸のネモと真珠は埋まっていた。
「へへ……ネモぉ……」
「真珠ぁ……」
二人は幸せそうな、しかし常軌を逸した顔で笑い合う。
彼女らはお互いしか見えていない。彼女らにはそれだけで快楽が約束されていた。
その二人の感情が、想いの力が、彼女らを取り込んでいる怪物の力となっていた。
だが、そんなのはもう二人には関係ない。
今の彼女らは、永遠の幸せを手に入れたのだから……。