「できた、ついにできたぞ ! 」
北の都付近の岩山に作られた秘密の研究所、そこではドクターゲロが孫悟空を抹殺すべく新たな人造人間を制作していた。レッドリボン軍を影で支配していた彼は世界征服の野望を持っていたが少年だった頃の孫悟空に砕かれた。すべては孫悟空に対する復讐の為に…。
そんなドクターゲロだがついに孫悟空を倒せる程の力を持つ人造人間を作成することに成功した…ゲロは喜ぶ一方で問題点にも気が付いてしまった。
「この二人、人造人間17号と18号…確かに強いが性格面に難がある。それにこいつらは儂が拉致してきたそこらのチンピラ、もしや起動した瞬間に攻撃してくるかもしれん」
ゲロは作業台の周りを歩きながら考え込む。ゲロの推察は的中しており17号18号のゲロに対する怒りはすさまじく、起動した瞬間首と胴体は永遠にさようならとなってしまうに違いない。
「では体内に爆弾を仕込むか、もしくはコントロール装置を…」
思い立ったゲロは作業を開始しかけるが手がピタリと止まり額に一筋の汗が流れる。これで大丈夫なのか ? そう考えたのだ。
「いや待て、この二人を消し飛ばせるような爆弾など自棄になって使われでもしたら儂だけでなくこの研究所までもが被害を受けてしまう。それにコントロール装置を奪われたら意味が無い」
爆弾、装置、全ての方法が問題点だらけで思考が堂々巡りに陥ってしまう。気が付けば歩く速さが二倍ほどになり右足のつま先がデスクに触れてしまい機械の接合に使う機械が床に落ち重なり合ってしまう。
「む、いかんいかん。爆発でもしたら大変だ」
ゲロの手が床の機材に伸びたところで動きが止まる。自らの手をのぞき込むように見た後で今度は18号が入ったカプセルに視線が移る。
「もしやこの方法であれば…いけるか ? 」
ゲロは今度こそ機材を拾い上げ18号に対し更なる改造を施した。最初はゲロ自身を改造しようとも考えた、だが若い17号達と老いた自身の身体ではベースの強度そのものが違いすぎる。反乱されでもしたら勝ち目などないだろう。
「無駄な事はせん。だからこそ18号よ、貴様の怒りを利用させてもらうぞ。貴様は力では儂を上回るが頭脳では儂の足元にも及ばぬわ」
ゲロの手先は素早くそして確かだった。これからの作業の段取りを組むとすぐさま施術開始、カプセルで眠ったままの18号にある仕掛けを施したのである。すべては18号の行動を予測しながら…。
* * *
数日後
「ばあか、こうなるってわかってただろジジイめ」
ドクターゲロの研究所の床にはおびただしいまでの血だまりと首と胴体が分かれたゲロの死体があった。切断面は鮮やか且つ焼き切れておりエネルギーを纏った手刀で攻撃したのが見て取れる。
「見たところあたしの身体に細工したようでもないし、17号に何かした形跡も無い。本当に耄碌したのかこのジジイ ? 」
乱暴に金髪をかきあげる18号はゲロの頭部に向かって鼻を鳴らすと17号が眠るカプセルに向かって歩き出した。
「さあて、17号を起こしてやるとしますか。起きな17号」
18号は研究所内のコンピューター端末を操作し17号が眠るカプセルを起動させようとする。基本的にコンピューターに強く脳内を強化されている人造人間はゲロでなくとも研究所内のコンピューターは操作できるのだ。したがって他の人造人間を起動させる事も可能なのである。
「これでよし、あとはこのボタンを押せば…」
18号の指が伸びるのは操作関連の承認ボタン、これを押せば17号は起動できる。
だが18号は少し離れた場所にあるキャンセルボタンを押した。
「ん、なんだ…なんであたしキャンセルボタンなんか… ? 」
18号は再度自らが中断させてしまった起動プロセスを最初から進めていく。指の動きに澱みはない、間違いなく正しい順番で機械を動かしていく。
「よし、今度こそ」
18号の指は承認ボタンへ伸びていき、横にあるキャンセルボタンを押した。
「くそ ! なんでだよ、指が勝手に…」
18号はいつまで経っても17号を起動しようとしては自ら起動をキャンセルさせるという意味不明な行動を繰り返していた。そしてその行動は3回目となると次第に動きが鈍くなってきていた。
「じ、ジジイめ…いったいあたしに何しやがった…か、身体が、動かない…」
18号の身体はついに自分の意志では動かせなくなりコンピューターの前で棒立ちとなってしまう。背筋は伸び気を付けの姿勢を取り、動かせるのは表情だけとなったのだ。
「あいつ…まさかあたしを起動させる前になにか細工を…『くくく…その通りだ18号』ッ ! ? 」
18号の言葉を遮るように、脳内に聞き覚えのあるドクターゲロの声が確かに聞こえた。
『貴様が儂を殺そうとするのはわかっていたからな、貴様の脳に細工をさせてもらったよ。儂の想定通りの行動だったな、おかげで儂は身体を失った、その穴埋めは貴様の身体でしてもらおう』
「お前…あたし達を拉致して改造しただけでなく今度は身体を奪うだって… ? 冗談はその顔だけにしなよ ! あたしの身体はあたしの物だ、あんたにくれてやる気はないよ ! 」
18号は姿勢を崩さず脳内に潜むゲロに対し反感の意志を示す。だが凄まじい筈の怒りは18号のその表情により説得力を皆無にしていた。突如目の前に多数のカメラが現れ18号の周囲に空間モニターが映し出される。
そこに映し出されたのは、満面の笑みを浮かべる18号であった。
「な、なんだよこれ…なんで私笑ってるんだ… ? 」」
『くく、仏頂面ではせっかくの美人が台無しだからな、貴様の表情を固定させてもらったぞ。しばらくは顔の筋肉がつるかもしれんがまあ問題ないだろう。ほれ、少しだけ身体を動かさせてやろう」
途端に18号に身体の自由が戻るが顔だけはまるで表情筋が固まってしまったかのようにびくともしない。18号はゲロにいいようにされているにも関わらずニコニコ笑っていることしかできないのだ。
「ちくしょう ! あたしに変な顔をさせて何がしたいんだよ ! 」
『何をだと ? 儂を殺した代償として貴様の身体を頂くのよ。年老いた身体ではなく若い貴様の身体だ。せっかくだから美しく着飾ってもいいかもしれぬがまずは孫悟空への復讐が先じゃがな。おっと、何かしようとしたな ? 油断も隙も無い奴だ』
18号は笑顔のままゲロの頭部を踏みつぶそうとするが直前でピタリと止まる。胴体をエネルギー波で消し炭にしようとするが貯めたエネルギーは発射できず次第に消えていく。自分の身体を自由に動かせない苛立ちが募る18号だがそれも笑顔のままでは表に出せない。
次第に18号の身体からはゲロに動きを制限されているような縛りが消えていきスムーズに動けるようになった。だがそれは同時にゲロによる18号の肉体侵攻が進んだという事でもあったのだ。18号は今度こそ17号のカプセルの起動ボタンを押した、だがその工程はいくつか省略されてはいたが。
『さて、ではそろそろこの身体を頂こうか。昔の茶地な読み物の知識ではあるがな、こういうのは男女で混じり合えばいいらしいからな。まだまだ人体には不明な部分は多いようだが』
「待て、おい、今度は何する気だ ! 17号に何する気だよ ! ? 」
18号はにこやかに叫びながら機械の操作を終え、待ちに待った17号が眠るカプセルが口を開く。深い眠りに就く17号はカプセルが開いても、18号が目の前にいても起きる気配は全く無い。今回起動された部分はあくまで生命維持装置とカプセルの開閉作業だけであり、17号の意識は目覚めることは無い。つまり、17号は今何をされても抵抗もままならない状態なのだ。
『17号よ、貴様の肉体は儂が18号の身体を使う為に利用させてもらうぞ』
「や、やめろ…17号、頼む、起きて、起きてくれ ! んぷッ ! ? 」
18号の瑞々しい唇は17号の唇へと重ねられ、17号の口腔内に18号の舌が忍び込む。18号の全身はゲロによって支配され、18号ができることは見る聞く話すしかできない。気が付けばカメラは自身の周囲を固めており、わざと空間モニターが18号の視線に入るように出現している。身体はどんな動きをしているか、どんな表情や目つきをしているか ? 全て18号に情報が集積されるのだ。自分の身体が弟の身体をなめつくすように利用するのを…。
(あたし…あたし、あんな顔をして…17号にキスして…)
興奮しながら鋭い目つきで熱い視線を向ける18号はキスをやめると名残惜しそうに唾液が互いの唇に糸で繋がる。再びニコニコしながら17号のズボンを下す。ズボンが足先まで落ちるとそこには元気な青年の男性器が天を向いていた。そんな弟の男性器を指で上からツンと押すと下を向くがすぐに元の位置に戻り、今度は下から上に指でピンッと弾くと上下に振動し元の場所へ。白く滑らかな18号の手は男性器を握りシコシコと解していき、逆に男性器はよりガチガチに固まり大きく肥大化した。精液も何もまだ付着していない18号の手は口元へ行き舌でペロリと舐めた。その姿は眠るイケメンをお持ち帰りしいただきますしようとする悪い女であろう。
「よせジジイ ! あたしにこんな事、許さないから ! 絶対に『許さないか ? だが満面の笑みを浮かべて17号とセックスしようとしているのは貴様だぞ』こ、これはあんたがやらせてるだけで…」
モニターにはゲロが言う通り、スカートや下着を下し弟の男性器に向かって自らの女性器を腰を振りながら突っ込もうとする18号の姿があった。
「や、やめ…」
18号の泣きそうになる声も空しく双子の姉弟の身体は凹凸がピッタリと嵌るように連結された。
「ん、んぐっ…あ、ああ ! 」
『よい鳴き声だな。まだ五感は貴様の物だからな、味わえ人生で初の性行為をな』
18号の顔は蕩けた鋭い目つきの女、寝ていて無防備な可愛い弟の童貞チンポを美味しく頂く変態お姉さんであった。18号の腰は最初から激しくピストン運動を行いズチュズチュと生々しくも卑猥な音を立てながら身体が熱を、湿り気を帯びていく。
「き、気持ちい… ! ? 」
『気持ちいいか、そうだろうな。貴様に最も相性の良い男は実の弟のようだからな。今にも抱きしめたいだろう ? 目の前にいる男を束縛したいだろう ? 自分の物にしたいだろう ? 』
18号の顔は幸せ絶頂で半分イっているように興奮しきっていた。
「ち、違う。これはあんたがあたしの顔を操作しているから…」
『ふむ。確かにそうかもしれぬな。では表情だけ戻してやろう』
ゲロの肉体操作は表情だけ解除され、顔面部分だけ18号の自由が戻る…わけがない。
「顔…かお ! 戻んない何で ! ? こんな事されて悔しいはずなのにッ ! 」
『ふはは、見たか18号。それが貴様の本性だ。マゾヒズムが貴様の本当の姿だ。儂に身体を支配され弟を無理矢理襲っているのに自らが責められることに性的欲求を感じるのが貴様の心に眠る本性よ ! 』
心の中で違うと叫んでも、声では違うと叫んでもモニターに映る様が全てを物語る。視覚を通じて刻まれる自分の無様な姿は18号を追い詰めるには十分だった。腕っぷしの強さはあっても性的な強さとメンタルが未熟な18号には心理攻撃によるダメージは絶大なものがあった。それが自分の目に見えるのであれば猶更である。
腰が肌に打ち付ける音が耳を通じて聞こえ心身ともに終わりが見えかける。18号の目には明らかな淀みが見えた。
『さあ無様に果てろ18号 ! 』
「い…やだ、いやなのにィ ! 」
17号の身体から放射された精液が18号の子宮に注がれた直後にお返しと言わんばかりに18号もまた絶頂を迎え眠り溜まっていた分の愛液が体外へ放出された。顔面の操作は確かに行っていたままだったが、たとえしていなかったとしても18号の表情は無様に口を開けて快感に溺れていたに違いない。
* * *
『はあ…はあ…17号のが…あたしに…』
「ふむ…程よい高揚感だ。体温も上昇しているが問題あるまい」
17号の男性器を自身の身体から引き抜いた18号は愛液を垂れ流したまま自らの手足の感触を確かめる。試しにエネルギーを微量に開放してみると、それでも老いた自分の身体など足元にも及ばない程に強い力が沸き上がっていたのだ。
『な、なんだ…急に視点が…』
「気が付いたか18号。今の貴様は自分の姿をまるで他人が見ている気分だろう ? それもそのはずだ。儂は貴様を、儂のサブボディとして起動前に細工をしておいた。儂が貴様に殺された瞬間に、儂の意識が貴様のボディに生まれるようにな。貴様は儂が考えていた通りの行動をした。笑いが止まらんかったぞ、本当に想定した通りだったからな」
18号は先ほどまでの笑顔でもなく無様でもなく尊大な表情でカメラに向かって語り掛けた。まだ18号の意識は体内にいる、カメラに話したのはその方が18号に見やすくするためだ。18号の身体を奪い取ったゲロの姿を。ゲロに奪い取られ思い通りに使われる18号の姿を。
「これで儂は貴様の身体の主導権を握った。ただの一プログラムに過ぎなかった儂とボディの所有権を持っていた貴様と立ち位置が入れ替わった。もはやこの身体は儂の物だ ! 」
『ふ…ふざけるな ! あたしの身体を返せ ! 』
「返すわけがなかろう、ふふふ、ふはは ! 素晴らしいぞ、このみなぎる力…見ていろ孫悟空、今度こそ貴様を倒し我が野望を果たしてみせるぞ ! 」
スカートをずり下したまま研究所の天井に向かって高らかに自らの悲願を口にする18号の瞳はギラギラと輝いていた。今の18号には女性の身体を好きにしようなどという下種な考えなどない、全ては自分のライバルでもあり自分のある意味生きがいとも言える孫悟空の抹殺を目的とする一人の女であった。
17号は生命維持装置を起動したままカプセルに戻された。元々17号と18号は生命維持装置が無くとも生きていける。内部に搭載されている機関は無限にエネルギーを生み出せるのだから。だがそれでも万が一がある。いずれ17号にも出番があるかもしれないとしての措置である。頭で喚く18号を無視し、ドクターゲロ改め18号は意気揚々と研究所を後にした。
「待っていろ孫悟空 ! 今から行くぞ ! この素晴らしい身体でな。ふはははは ! 」
『おい、あたしの身体で変な笑い声出すんじゃないよ ! 』
孫悟空の家の場所はわかっている、18号はパオズ山へと全力で飛んで行った。その様は長年会えなかった恋人に会いに行く重い女のようでもあった。
太陽が地平線の向こうに沈みかけるパオズ山では18号が呆然とした様子で膝をついていた。目の前にあるのは一つの墓…孫悟空の墓であった。墓前には保存のきく食べ物がどっさりと供えられており、今でも悟空の知人が墓参りに来るらしい。
「あんたみたいな別嬪さんが知りあいだなんて、悟空さも隅におけねえなあ」
そう答えるのは孫悟空の妻であるチチだった。美人であったチチも悟空の突然の死に相当なショックを受けてしまい老け込んでしまっていたようで、目元の皺も増えてしまっている。
「不治の病みたいでな、ウィルス性の心臓病で突然逝っちまった。せっかくナメック星から帰ってきてこれから家族水入らずで暮らせると思ったのに…」
チチの焦燥は想像できないものであり孫悟空の死から数年経過した今でも取り除けないのである。
「仙豆もドラゴンボールも病気には効かないみたいで、本当にもう会えないんだな…悟空さ…うぅ…」
18号の突然の来襲により悟空への悲しみがぶり返してしまったようでチチも涙をこらえることができず人前にも関わらず涙を流してしまう。
「………失礼した」
18号はそう答えるのが精いっぱいで、そのまま力なく空を飛び去って行った。その姿は来る時とは全く別であり生気の欠片も無い。
『笑ってしまうねぇ、まさかジジイの復讐相手がもうこの世にいないなんてさ』
「うるさい黙れ ! 」
『へえ、あんたにあたしが殺せるのかい ? もうあたしの身体はジジイの物なんだろ ? 自分の身体を痛めつけるのかい ? 」
「く…」
復讐相手がいなくなりこれからどうすればいいかわからなくなった18号は夕日が沈む瞬間までその場に浮かぶだけであり、夕日と18号の精神状態はシンクロしているようでもあった。
『復讐相手ねえ、いっそウィルスにでも復讐してみるかい ? なんてね、ははは ! 』
18号の肩がピクンと反応する。やがて全身から力が放出され始める。
「…それだ」
『は ? 』
「それじゃああッ ! 」
日が落ちて真っ暗になった荒野に一つの巨大な太陽が現れたかのように、18号は全身から今度こそ周辺の自然物を破壊しうるほどの力を走らせた。
「孫悟空を殺したウィルス性の心臓病 ! あれを殺す抗菌剤、それを作る ! 許さんぞ、孫悟空のいない世界征服など意味が無い ! あの世で見ているがいい孫悟空よ ! 」
『…ば、ばっかじゃないの ? 』
18号の脳内で18号はあきれ果てて言葉を失っていた。元から研究者であるドクターゲロにとってはこれが素なのかもしれない。
それから数年の後、ドクターゲロの後継者を名乗る金髪美女は執念とも言える研究の末にウィルス性の心臓病の特効薬を開発。多くの人間の命を救った。数日後にはパオズ山の墓前にこっそりと特効薬が入ったビンが供えられていたらしい。
ある研究者曰く、その女性は恋人を病で失いその復讐として特効薬を作ったと記者に話し、それが一時センセーショナルな話題となりお茶の間を騒がせた。その美女が否定しなかったのも要因の一つであったのもまた事実である。
* * *
数十年後
その美女は独身のまま命を落とし、北の都では彼女の壮大且つ美麗な石碑が建てられた。
『偉大なる研究者ラズリ、ここに眠る』
この世では偉人喪失による大きな悲しみに包まれていた。だがあの世では…。
「ふはははは ! 見つけたぞ孫悟空 ! 」
その美女が元気に一人のサイヤ人に向かい攻撃を仕掛け、それを迎え撃つサイヤ人の姿があったらしい。
悪人でもあり善人に結果的になったドクターゲロ、お楽しみ頂けましたでしょうか ? 最終的に17号と脳内18号がどうなったかは皆様のご想像にお任せいたしたいと存じます<(_ _)>