昨日の金曜日、水泳部に入部をしてくれた橘君。私としてはお手並み拝見とまではいかないけれど、泳ぎの技量はどれくらいかというものを見てみたい気持ちがあったのだ。実際、彼は平泳ぎやクロール、バタフライ、背泳ぎといった種目別関係なく他の部員と比較して2倍近いスピードで泳いだことに唖然としてしまった。彼は勉強の方では学年成績1位、クラス成績では3位、輝日東高校全体の全校成績では2位といった成績優秀者では知っていたけど。水泳部でも、とてつもない早い泳ぎを見せてくれた。彼の泳ぎを見ていた後輩の七咲が橘君に近寄ってきて「まるで化け物級の泳ぎでしたよ(笑)私の憧れは橘先輩です!」と言って心からの尊敬と憧れの気持ちを伝えていた。そして、部活の帰りに橘君と七咲の連絡先を交換したところまでがアブストラクト。
<今回の話・塚原響side>
今日は土曜日。水泳部としての活動はお休みで何をしても良いフリーな一日である。例えば、学校に行って図書館で本を読んでもよし、家で勉強をするのもよし、友達と遊びに行ったり、レストランでご飯を食べに行ってもよし、ショッピングをしてもよし。他人には色んな過ごし方がある。さて、私は何をして過ごそうかな。
休みの日とはいえ、あまり遅くまで寝てるのも勿体ない。そんな考えから私は
朝8時に起床。ご飯は食パンと生野菜セット(レタス、トマトの他に蒲鉾、スクランブルエッグ)を食べる。
朝9時。朝食後、風呂掃除やトイレ掃除を一通りやって、手を洗う。その後、リビングからスマホを持ってきて、はるか、七咲、橘君、両親からメールや電話がきていないか確認する。すると、橘君から一通の連絡が来ていた。
from.橘君
件名:昼食+ショッピングをしたい。一緒にどう?
塚原先輩。今日って時間空いてます?もし、時間が空いてるならば、昼に食事をして、ゆっくりとショッピングモールで一緒にショッピングをしたいんだけど、どうですか?
スケジュール確認ができたらまた連絡下さい。
橘純一
響「・・・・・。(あら、橘君から昼の食事とショッピングの誘いをするのって意外ね。私もはるかと共にショッピングをすることがあるし。その誘いに乗ろうかしら。)」
早速、私は今日のスケジュールを確認する。今日は特にこれと言った予定など入ってない。彼の誘いに乗る形でメールを返信する。
to.橘君
塚原よ。誘って頂いてありがとう。今日は特に予定入ってないから、ご一緒出来るわよ。それで、集合場所はどこにするの?あと時間もだけど。
塚原響
尊大なる彼からの誘いとあって、心に喜悦を禁じ得ない。取り敢えず、出かける支度をしなければ。今の時期は春だから春物のジーパンと白色のサマーニット系統の上着が適切かな。
着替えて再びスマホを確認。すると、橘君から連絡が。
from.橘君
それは良かった。集合場所は、僕達が住んでいる輝日東地区のマンションから近い輝日東公園にしましょうか。船橋駅とかでは人が多いので迷子になりやすいでしょうし。僕も楽しみにしてますよ、塚原先輩。集合時間はゆっくめの11時半にしましょうか。
橘純一
彼からのメール文を見て安心したと言うより、「私の事を解ってるな」と感じた。現実的に女子でも、はるかのように支度が早い人と、私のように遅い人の2通りに分かれるから、そういった気遣いが出来る橘君は、周りの男子とは全然違うなと思う。
〜2時間後〜
11時15分頃。輝日東地区某マンションの第1館内の2階にある私が住んでいる201号室から出る。勿論、しっかり鍵を締めて。
某マンションから歩くこと、10分くらいだろう。輝日東公園に着くと、手を振っている橘君を見つけた。
響「お待たせ。待ったかしら?」
純一「いえ、僕も少し前に来たところですよ。待っただなんてとんでもない。それじゃ、船橋駅近くのショッピングモールへ行きましょう。調べたんですけど、そのモール内にレストランが中華、洋食、和食、寿司屋と豊富なんですよ。」
響「あら、準備周到じゃない。これは期待しちゃうわね。(ง˶ ̇ᵕ ̇˶)ง」
純一「✧(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑✧おまかせください。」
輝日東公園から私と橘君は船橋駅に近くあるショッピングモールへ歩き出す。
トコトコトコトコ……。
響「橘君って、出会った時からずっと気が利いてて、優しいなと思うんだけど。///」
純一「そうですかね?気にしたことないんだけどな。」
響「もう、そんなことあるの。少なくとも私のクラスの男子達は橘君みたいに気を他人に回せない。だから橘君は私にとっても唯一無二の存在なの。」
純一「え?そうなん?」
響「そうなのよ。はるかも「もっとまともな男子が現れないの?」なんて言っているくらいだから。」
純一「そうか……。結局、自分が可愛いからな。自分にスポットライトを当ててる以上は、相手の事など解らない。何が好きで、何に熱中をしているのかとか。」
響「スポットライト……!!解りやすい例えじゃない。(笑)」
こういった他愛のない話をしながら歩くこと30分。ようやく船橋駅近くのショッピングモールに到着した。漠然とした大きさの規模に私はただただ、呆気に取られてしまう。
響「こ、ここがショッピングモール!?!?」
純一「そうだね。ここが船橋駅近くの大型ショッピングモールだよ。」
響「えぇぇ……。こんなに大きかっただなんて...。(゜Д゜)))」
純一「ささ、中へ入りましょう。まずは昼ご飯を食べないとですね。」
響「そうね。腹が減っては何も始まらないわね。」
私と橘君は、ショッピングモールの5階にあるレストランブースへ。
響「橘君は、和食&洋食のどっち派なの?」
純一「そうだねぇ、僕は洋食より和食の方が好きだなぁ。」
響「フフッ……///私も、実は和食派よ……///」
純一「おっ、それは奇遇だね。じゃぁ、とんかつ屋に行きましょうか。」
響「えぇ、そうね。とんかつは私も好きだし。」
私と彼は近くのとんかつ屋へ入店。時間は12:30をまわっていた。この時間帯は、多くの人が昼食をとっていて混雑をする時間だ。当然、店内の椅子に座って待たされる事になるんだけど。橘君がまさかの私と同じく和食派だったとは。
響「すごい混んでるわね……。」
純一「まぁ、時間がこの混雑を物語ってますからね。仕方ないよ。」
響「確かに。気長に待つしかないわね。」
待ち時間と言えば、たまに「おい!まだか!!遅いぞ!!」と言ったような暴言を吐く器が小さい人も存在したりする。私自身も気をつけなくちゃ。
〜待つこと15分〜
店員「お待たせしました。2名様、空いてるテーブル席へどうぞ。」
店員さんから奥のテーブル席へと案内された。
案内されたテーブル席に着席すると、橘君はすかさずお冷を彼自身の分と私の分まで、ついで持ってきてくれる。
響「橘君、ありがとう。」
純一「いえいえ、これくらいは普通の事ですよ、塚原先輩。別に凄い事じゃないよ。」
響「まーた、そんなことー。///私が言わなくてもさっと何気なくやって退けるというのは中々出来ないわ。」
純一「そうなんだな。さて、何にするか決めましょう。」
響「そうね、どんなメニューがあるのか見せてくれる?」
純一「了解だ。」
メニュー表を私に渡す橘君。どんなとんかつを食べようか迷う。ロースカツ定食、ヒレカツ定食、ヒレカツ丼、ロースカツ丼などメニューが豊富だから。
結局、私は「ロースカツ定食」、橘君は「ヒレカツ定食」にして注文をした。
響「橘君って、ヒレカツ定食なの?」
純一「そうだよ。ヒレカツはロースカツに比べて、脂が少ない。肉類を食べても太らないような体型作りをしたいと思って。」
響「…それはストイックな考え方ね。水泳部に支障が出ないようにってことなの?」
純一「それも一理ある。だけど、もっと大事なことなんだ。」
響「え?大事なことって何?」
純一「それは、僕の目の前にいる塚原先輩に飽きられないようにするためってことかな。」
響「!?!?///」
彼のまさかまさかの爆弾発言を聞いて、顔を紅潮させてしまう私。
純一「あ゛。」
私が紅潮した姿を見て、額に汗が帯のように広がる橘君。
響「も、もう...!///私に飽きられないようにするためって、半分告白みたいなものじゃない……!」
純一「ハハハ……。すまん。^^;」
響「でも、よくそんな思考が思いつくわね...。///」
純一「水泳部の皆さんを見てると、塚原先輩を含めて、きれいな女子達が多い。その中に太っている男子なんていたら、嫌だろう?」
響「やだ、もう...///確かに、私からしても太っている男子が一人でもいたら嫌ね。それはすなわち、自分の身体の管理が出来てませんって言っているようなものだから。」
純一「そうだよね。そういうことって、僕達男子よりも、女子達の方が意外と見てる。僕の目の前にいる塚原先輩もだけどな。だから、細かい部分まで気をつけていかないとなと僕は考えたんだ。」
響「本当にそう。私達女子は男子達の行動を細かい部分までしっかり見てるの。橘君は向上心がある上に、女子が思ってることをひたむきに勉強・実践をしている事自体が凄いこと。」
そんな話をしていると、私が頼んだロースカツ定食と橘君が頼んだヒレカツ定食が運ばれてくる。お互いの料理が揃ったところで、いただきます。
輝日東高等学校全体の女子から憧れを受け、私にとってはいつまでも尊大なる橘君と昼食を共にするということだけでも特別なこと。超現実派思考の彼と私の考え方は近く、親近感を覚えてしまう。
〜35分後〜
響・純一「ごちそうさまでした。」
私と橘君は会計へ。2人合わせて2500円くらいの昼食だった。橘君が「昼食代は僕が持ちます。塚原先輩は先に出て待っててください。」との事で、私は店の外で待っていると。
純一「お待たせ。会計、終わったよ。」
響「橘君、ごちそうさま。何から何まで申し訳ない。」
純一「良いの良いの。(笑)塚原先輩と昼食をするのが楽しかったから、全額払う事くらい別にって感じだ。」
響「あら、嬉しい事を言ってくれるわね橘君。///それで、次はショッピングへ行くんでしょ?」
純一「そうだね、ショッピングへ行くよ。」
響「何を見てまわる予定かしら?」
純一「塚原先輩は、森島先輩とショッピングへ行く時って、主に何を買いに行くのかな?」
響「そうね、下着は勿論のこと、ネックレスだとか、ネイルを見に行ったりとかしているわね……。///」
純一「ふむ、なるほど。じゃぁ折角ですし、ネックレスを見に行きましょうか。」
響「え、良いの!?!?橘君自身で欲しいものがあったら、付き合うけど??」
純一「僕は欲しいものがあったら、別日に一人で買いに行っちゃう人なんですよ。なので、今回は塚原先輩が主役。だから、ネックレスを見に行きましょう。(笑)」
響「じ、じゃぁ橘君のお言葉に甘えさせてもらうわね……///」
こうして、私と橘君はネックレスを見にアクセサリー店へ歩を進めて行った。今回の主役は私という彼の言葉に心を射止められてしまう。橘君は私のニーズを解ってくれる器の大きい人なんだ……。そして、自ら責任を負ってくれる人なんだ……。としびれるような陶酔を味わってしまう私がいたのでした。もっと橘君と仲良くなって、距離を縮めたい……。
Fin.