昨日は月曜日。昼休みに七咲が「先週の土曜日に橘先輩とデートをしたって本当ですか!?!?」といきなり爆弾発言を投下してくれた。何故そんなことを知ってるか七咲に尋ねると、「森島先輩から聞いたから」だそう。知られてしまった以上は仕方がないので、橘君と共に先週の土曜はデートをしていた事実を認めた。はるかの七咲が「どこに行ったのか?」と気になっていたから「船橋駅近くの大型ショッピングモールに行って昼食やアクセサリー店にあるネックレスを見に行った」と言ったら、七咲は滅茶苦茶地団駄を踏んで嫉妬。はるかも顔を膨らませる程度に嫉妬していた。橘君とデートをする価値というのはデラックス級の特別感だったんだ……。嫉妬されたまま終わる訳にはいかないので、橘君と皆で遊びに行かないかと私から提案したところまでがアブストラクト。
【今回の話・塚原響side】
今日は火曜日。昼休みははるかと一緒に食べて楽しいひと時を過ごし、午後の授業ではバリバリ勉強に勤しむ。輝日東高等学校は60分授業制でガリ勉や普通にやっている人からすればあっという間。反対にあまり手がつかない人からすれば、長く感じる。4時限目、5時限目、6時限目の各授業なんて眠くなる人が続出する傾向。
だけど、私はそこまで他人の事を気にしている余裕なんて無い。ひたすら効率の良い勉強をしないと自分の行きたい大学やレベルの高い大学には絶対に受からない。そういう信念のもと、私は日々の勉強に励んでいる。勿論、大好きな水泳部もだけど。
それから時間が進み、時計は午後4時半をまわっていた。この時間になれば、6時限目が終わって、ホームルームの時間。3年A組の担任である、金森先生からの連絡事項が伝えられる。
金森先生「5月の中ぐらいには、中間試験があるぞ。1ヶ月経つのはあっという間だから、無駄な時間を過ごさないように。そして、言わなくてもいいと思うが、中間試験や期末試験は大学入試に大きく響く。成績が芳しくない者は相当頑張らないと大学入試の時に厳しいぞ。私からは以上だ。では、また明日。」
金森先生の連絡事項が終わると、3年A組の生徒は各自解散していく。勿論、はるかもいない。これから部活へ励む者、あるいは直行で帰宅する者。さて、私は水泳部へ行かなくては。そう思っていたところに、橘君が3年A組にやってきた。
純一「失礼します、塚原先輩。一緒に部活へ行きましょう(笑)」
響「あら、橘君。来てくれたのね。///勿論、良いわよ。」
私と橘君は一緒に部活へ行く事に。今日は自由参加なので皆が集まることはない。月曜、水曜、金曜の週三日は強制参加だが、火曜と木曜は自由参加。練習をしたい人だけ集まればいい。
それぞれの更衣室へ行くまでに、他愛のない話から始まって、私の好きな話を振ってくれる橘君。私には解らないけれど、そんな彼と一緒にいれる事に心底ドキドキしているし、彼自身の事を意識せざるを得なくなるじゃない……。
トコトコトコ……
響「橘君って会話が上手いわね。もっと話をしたいという気持ちを引き出させてくれるし。」
純一「いやいや、自分自身の話をしようと思えばいくらでもできる。僕自身の方は楽しいかもしれない。けれど、隣にいる塚原先輩側に限らず、興味の無い相手からしたら辛ければつまんないと思うんだよ。校長先生の長ったらしい話のようにさ。」
響「確かに。(笑)橘君以外の男子と話したことはあるけど、やっぱり自分の事ばかりだったわね。あの時は本当につまんなかった。」
純一「こういった他愛の無い話って、秋葉原のメイド喫茶の店の女の子や、キャバクラで働いている女の子なんかも使ってる技なんだよ。お客様の好きな事をメモるくらいだからね。指名率NO.1のキャバ嬢になるために。」
響「へぇぇぇ……。そういう世界もあるのね。確かに、お客さんの好きな事を覚えてくれているとそれは嬉しいね。」
純一「だから、こういう男女間の会話も同じ事が言えるって訳。スマホでも相手の好きな事、ニーズ、何をやってる時が一番幸せかなどを予めメモっておく。」
響「橘君もメモったりしてるの?」
純一「そうだね、塚原先輩の好きな事や、熱中していること、ニーズなど全般をメモってるよ。スマホに。」
響「私の事、しっかり見てくれて嬉しいかな……。///」
純一「塚原先輩のその言葉、励みになるよ。」
響「フフッ……。///そう言ってくれて嬉しい。ありがと。///私からしたら、橘君は謙虚でしかも、奢り高ぶらなければ向上心も滅茶苦茶高い。そして、会話にしても何にしても他人の事をよく見てる。それだけでも結構ポイントが高いの。」
純一「つまり、先輩の立場からして中々出来ることでは無い。という事かい?」
響「そう。それを難なく実践している橘君は私の尊大なる人である事は勿論、一緒にいても苦しいと感じたことは1ミリもないって訳よ。いや、むしろもっと一緒にいられたら良いのにと思ってしまうくらい。///」
純一「そうか。今以上にもっと精進しよう(笑)」
響「え!?!?もっと精進しちゃったら、超人クラスになっちゃうわよ??(笑)」
私と橘君の会話が盛り上がりを見せようとした時、A棟内の男子更衣室、女子更衣室前に到着。とりあえず、彼とはここで一旦分かれる。輝日東高等学校の制服から競泳水着に着替えなければならないから。
競泳水着に着替え終わり、更衣室を出て屋内のプールサイドへ。そこには七咲の姿が。彼女も練習をしに来ていた。
逢「あっ、私の憧れの橘先輩じゃないですかー!!///」
そう言うと、七咲は橘君のもとへ軽い足取りで近寄ってくる。
響「あら、七咲もすっかり橘君に夢中じゃない。(笑)」
逢「そうなんですよ。私は橘先輩の事いつだって夢中ですよ(笑)」
純一「・・・・・。何故、七咲さんの憧れが僕なんだ?」
逢「もう、橘先輩。///橘先輩は水泳部でも他の部員と比べても、ずば抜けて泳ぐの早いし、全校成績・学年成績・クラス成績全てにおいてトップクラスじゃないですか。憧れない方がおかしいですよ!///」
響「そうね。そんな優秀な人がいる状況で憧れない方がむしろ変。誰が聞いても憧れを持つのは自然のことね。さぁ、泳ぎに泳ぐわよ!」
純一・逢「おーっ!!」
私はクロール、七咲はバタフライ、橘君は背泳ぎで各自泳ぐ。特にタイムアタックをする訳でもない。好きなだけ泳げば良いので、満足したらあがっても良いのだ。それにしても、橘君は安定の2倍近い早さで何往復もする。私や七咲が頑張って早く泳いでも、彼には到底追いつかない。これでは七咲に「化け物級に泳ぐの早い」と言われても仕方ないわね。
〜3時間半後〜
結構泳いだのではないだろうか。窓ガラスに目を向ければ、あたりはすっかり暗い。壁に掛かっている時計を見ると、夜の8:00を指していたので、私はホイッスルを鳴らす。
ピピーーッ……!!
響「今日はこれくらいにしておこうかしら。」
逢「そうですね……。すごい疲れました……。(o´Д`)」
純一「確かに(汗)」
逢「橘先輩、絶対疲れてないですよね(笑)」
純一「いや、純粋に疲れてるよ。僕を何だと思ってるのかい?(^_^;)」
逢「化け物級の超人(笑)」
響「クスッ(笑)私もそう思う。橘君、私と七咲が早く泳いでも、追いつけない。どうやったらあんなに早く泳げるのよ……。」
純一「・・・・・。(そう言われても……。普通に泳いでただけなんだが……。)」
逢「……推察ですけど、橘先輩はそれくらい普通の事として思ってますよね?」
純一「そうだねぇ……。七咲さんは洞察力がすごいなぁ……。」
逢「だって……。橘先輩程では無いですけど、私の興味ある人が考えてる事を当てたいですもん。///」
響「・・・・・。(私も橘君の事、興味あるのに……。七咲と仲良く喋っちゃって……。)取り敢えず、プールを出ようかしらね。風邪ひくといけないし。」
純一「そうしよう。風邪ひかないうちに出よう。」
私と七咲、橘君はプールを出て更衣室で分かれる。各自輝日東高等学校の制服に着替えた後、更衣室外で落ち合う。
純一「皆揃ったことだし、帰りますか。」
響「そうね。帰りましょ……。(⑉・̆-・̆⑉)」
逢「橘先輩と一緒に帰れるのは光栄です❤」
普段クールな七咲がここまでデレるとは……。私にも気を遣ってくれれば良いのに……。私だって恋愛に興味が無い訳じゃないのよ?
トコトコトコ……。
純一「塚原先輩??」
響「・・・・・。」
純一「塚原先輩っ!!」
響「ヒッ!!な、何かしら!?!?」
純一「ヒッ!じゃないですよ(汗)塚原先輩、俯いてるし元気ないよ。どうしたんだ??」
響「ちょっと考え事をしていただけよ……。」
純一「考え事ね……。もしかして、塚原先輩。僕が七咲さんと喋ってて妬いてしまった?」
響「そ、そんな事ないでしょ!!///」
純一「そんな事ないと言っても、赤面した顔が物語ってるんだが?」
響「橘君に見抜かれてしまった……。」
逢「ご、ごめんなさい。塚原先輩。そんなつもりじゃ無かったんですけど……。」
響「ううん、七咲が謝ることじゃない。私自身の問題だから気にしないで。」
逢「何か悪い事してしまった気分です……。」
そう言うと、七咲は顔を俯いてしまう。一気に気まずい空気へと変化してしまった。そんな状況を橘君は見逃すはずがない。
純一「七咲さん。ここは僕が引き受けるから、先に帰っていいよ。僕に任せて。」
逢「先輩……。///わ、解りました。塚原先輩の事をよろしくお願いします!」
そう言うと、七咲は橘君に手を振って足早に帰っていった。もしかしたら、私が橘君に告白をする前に七咲に取られてしまうかもしれない。私は嫉妬をしている感情を橘君にぶつける。
響「橘君……。」
純一「はい?」
響「私、こう見えても実は嫉妬してるの……。さっき七咲と仲良く喋っていたでしょ?」
純一「え?七咲さんと普通に喋っていただけだよ?」
響「橘君はその程度の感覚よね。」
純一「何が不安なんだい?」
響「七咲と喋っていた橘君を想像したの。このまま七咲と仲良くなってゆくゆくは結ばれてしまうのかなぁって。橘君って七咲をはじめ、上下の学年関係なく、女子達に人気じゃない。だから、尚更嫉妬をしてしまったの。」
純一「そうか……。僕は普通に七咲さんと喋っていた事が、塚原先輩にはそういう風に見えたんだね。それは悪かった。でも、僕は本当に仲良くなった後、恋人路線に直通をしたい人って限られてるんだよね。女子全員を恋人にしたいという一見幻想郷に見えて、クズのような思考は僕には持ち合わせていないよ。」
響「本当……?( ˘•ω•˘ )」
純一「あぁ、本当だよ。」
響「恋人路線に直通したい人って、誰のことかしら?」
純一「それは……。目の前で嫉妬をしてくれている塚原響先輩だな。」
響「え!?!?私!?!?∑(*´°ω°`*)」
純一「うん。塚原先輩としか恋人への路線へ直通をしたくない。むしろ、塚原先輩の親友である森島先輩や後輩の七咲さん、同級生の絢辻さんらから求愛をされても僕には大切な人がいるのでごめんなさいと断る自信はあるよ。」
響「そ、そうなんだ……。私が勝手に嫉妬という早とちりをしてしまっただけの事なんだ……。///」
純一「いやいや……。女子って誰でも好きな人が他の女子と仲良く喋っていたりしていると、大なり小なりどうしても嫉妬しちゃうよね。」
響「そうなのよ。///橘君なら解ってくれると思ってた。」
純一「ハハハ……。不安にさせてごめんな。塚原先輩。」
響「橘君のそういう謙虚や認められる姿勢が私は好きよ。まだ恋人関係ではないけど、橘君と一緒にいて苦痛だったり辛いと思った事は1ミリもない。」
純一「僕はそういう他の女子との対応についてまだまだ未熟だなと正直思ってるよ。」
響「えぇぇぇぇ……?私の中では橘君は優秀かつ尊大、完璧な人として思ってたわよ?」
純一「世の中、どんなにすごい人でも自分をすごいだろなんて言う人はまずいない。いたら、その人の成長はその程度ってことだからな。そういう人程、器も小さければ人間関係の変化への対応も出来ない。」
響「そうね。安定の超現実発言(笑)橘君のその考え、私は気に入ってるわよ。(笑)」
純一「良かった、塚原先輩が通常に戻ってくれて。」
響「フフッ///私だって嫉妬する時はするからね?もしかしたら押し倒して踏みつけちゃうかもしれないわよ?」
純一「ハハハ……。塚原先輩に踏まれないように気をつけよう……。(・∀・;)」
響「あら。橘君はそう言うけど、本当は性欲あるんじゃないの?(笑)踏んで欲しい時とかヤリたい時は言ってくれる?」
純一「その時があったら、お願いしようかね(汗)塚原先輩、積極的だねぇ。」
響「橘君にしかこんな事を言えないわよ。///」
純一「ハハハハハ……。(汗)」
この後、私と橘君は横に並びながら歩いて帰って行った。え?彼の家に寄らなかったのかって?流石に時間が遅かったし、寄らないで帰ったわよ。確かに橘君と喋ってると楽しいし、私が思ってることを察してくれる。七咲だろうと彼に対する想いは負ける気がしないわ。今度休日の時にでも彼の家へお邪魔しようかなと思った私でした。
Fin.