※この作品はR-18です。

フォトカノ 新見線ルート   作:橘JL

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第3話.先入観の怖さ&浅野茂美の過去

先週の水曜日に私と同じテニス部の仲間・良き理解者で、親友の浅野茂美が前田一也と接触。彼女からの話によると、それはそれは何とも言えない辛いものであった。

 

 

まず、彼の周りは全部敵だと言う事。ただでさえ、私と彼が付き合う事に反対する「反前田交際論」が根強くあるのと言うのに、少しでも皆に認めてもらう為、彼は、学業を頑張ろうとしている。そこまでしなくてもいいのになぁ。自分の身体を壊しちゃうよ?と思うのが最近の私。

 

 

今日は、週の真ん中の日である水曜日。1時間目や2時間目が終わり、1時間と15分の長い昼休み。前田君は、そんな昼休みにも関わらず、午後の3時間目の授業の教科に対する復習を黙々とやっていた。

 

 

そんな彼の評価は、クラスの皆からして、「お、おい!前田が猛勉強してるぞ!?!?ど、どうした!?何があった!?!?」という評判。昼食をとったにせよ、休みを取らず、ひたすら勉学に打ち込む彼の姿は、「必ず見返してやる」といった強い意志と、そのやる気から湧き上がってくる、静かなる怒りと言うものが、私にはヒシヒシと感じられる。きっと、私と不釣り合いだと言っている者達への怒りなのだろう。

 

 

そんな彼の姿を見ていると、やっぱり私は心が辛くなる。頑張ることはいい事なんだろうけど、人様の恋愛を大衆に認めてもらう為の努力って何か違和感を覚えちゃう。普通なら、趣味や価値観に惹かれて、好きになっていくのが恋愛というものなのに。

 

 

しかしながら、私に今出来ることは、前田君の為にそっとしておくという事。私は彼と喋りたいし楽しいことをいっぱいしたい気持ちは山々ある。けど、今の状況下で彼と関わるものなら、彼の方から今以上に距離を置かれてしまう可能性が高い。そうならない為にも、ここはグッと堪えて、遠くから見守るしかない。今のような状況があるからこそ、彼に対する評判が、少しずつ変わってきている。

 

 

そんな時、私の親友&理解者のしげみんこと、浅野茂美が話しかけてきた。

 

 

茂美「はる……。彼を見てると、なんとも複雑な気持ちになるわね……。」

 

 

遙佳「そうね……。彼にとって、私と喋ったり、そばにいる事だけでも、高い高い分厚い壁だと思っているはずよ……。彼は決して、劣等な成績じゃないのに……。」

 

 

茂美「私も同意見よ。彼の成績は中の下って聞いてるけど、別にそれで善し悪しが決まるわけじゃ無いのにね。」

 

 

遙佳「本当にそう思う。私は前田君を小さい頃から見てきて、面倒見が良くて、気が配れる男子なんだなと思ったもん。」

 

 

彼は決して、他人にバカにされるような持ち主では無いということ。運動が苦手でもそれに変わるような趣味を早くに見つけて始めている事。それだけでも、彼の事を羨ましいと心底から思うのに……。

 

 

先入観での一番の被害者は、なんと言っても、前田君。周りからしてみると、私は成績が良くて何でも出来る万能な女子に見える一方、彼は大して私に同等の学力がある訳でもなければ、スポーツができる訳でもないそこら辺の平凡な男子として見える。そんな大差のある男女が付き合えるわけが無い。仮に付き合ったとしても、長く続く事はなく、途中で瓦解するのが、オチだと思っている。よって、「先入観」という視点が出来上がるのだ。

 

 

遙佳「先入観って怖い……。他人の恋愛とかを妨害出来たりするんだもの。」

 

 

茂美「えぇ、そうね……。一度でもその先入観にハマってしまったら、その偏った見方から脱出するのは、中々出来るものじゃない。はるや、私も同じよ。決して、周りの空気に易々と同調をしてはいけないわ。」

 

 

遙佳「私としげみん以外が、学力・運動能力のステータスで比べると言う偏った思考に陥っているから、「反前田君交際理論」が出来上がるという訳ね……。」

 

 

茂美「そう。じゃなきゃ、前田君はこんなに苦労をしないでしょ。」

 

 

前も言ったかもしれないが、小さい頃に「もっと、女の子らしくなりなよ。そしたら、友達が沢山出来るから。」と言ってくれたのは彼。女の子らしくなった私になるべく、髪を伸ばしたり、勉強したり、スポーツに励んだりして、今に至ってるの。でも、その頑張りが仇となって、私の事を遠ざけに遠ざけている皮肉な状況になっている。また、その証拠として、彼が私の事を「新見さん」としか呼ばなくなっている事もその一つである。

 

 

「自分なんかが、新見さんと恋人としての対等な付き合いをしても、何もメリット無い。それだったら、自分より他のカッコイイ男と付き合いな。」と言う考えが今の前田君なので、私が「そんな事ない。恋愛は、ステータスだけじゃないのよ。」と声を大にして言っても、彼の心の奥底まで響くかと言われたら、定かじゃないけど。

 

 

遙佳「同じクラスにいても、前田君を遠くでしか見ることが出来ないなんて……。辛過ぎ……。心が張り裂けそうよ……。。゚(゚´Д`゚)゚。」

 

 

スカートの左ポケットから、ハンカチを取り出し、顔を当てて泣き出す私。しげみんは、そんな私をよしよしと慰めてくれる。

 

 

茂美「私も同じよ。はる。かつて、一年前くらいに、好意を抱いていた人がいたんだけどね。その頃の私は、今のはると同じような状況だったの……。」

 

 

えっ……。しげみんにも、そんな過去があったの……??

 

 

遙佳「しげみん……。あなたもそんな経験をしてたの……??」

 

 

茂美「えっ、はるは知らなかったんだ……。まぁ、良いわ。この際、詳細を教えてあげる。」

 

 

遙佳「お願い、しげみん。」

 

 

茂美「今から一年前くらいの話。私は当時、滝川和孝という人に好意を抱いていた頃があったの。でも、その時の滝川君と言うのは、私より成績が低かった。だから彼は、当時のクラスの人にやっかみを受けて、自信を無くして私と交際をして本当に良いのかと葛藤していた時期があったという訳。そう、今の前田君のように。だから、私が前田君を見てると、かつての滝川君の事を思い出してくるの……。」

 

 

しげみんが過去の経歴を言い終わった、ちょうどその時。

 

 

キーンコーンカーン……。

 

 

遙佳「あっ、いけない!次の授業の支度をしなきゃ!」

 

 

茂美「続きは、また放課後に話してあげる。今日は、部活がない日だから。」

 

 

遙佳「そうね。お願いするわ、しげみん。」

 

 

茂美「うん!」

 

 

こうして、一時間と言う長い長い昼休みは幕を下ろした。続きは、また放課後という事で、お互い頑張ることに。しかし、頭の中では、前田君の事を忘れられない。今の状況下、何ともならない事をもどかしく思う私。この気持ち、どうしたらいいんだろう。

 

 

それから時間が経過し、夕日が光河学園全体に差し込む放課後の時間帯になった。この時間帯は、既にホームルームも終わっており、部活に行く者や、そうでは無い者で分かれる時間帯。

 

 

先程の昼休みに、しげみんの過去について話を受け、私は衝撃を受けた。この話をもっともっと知りたいと思ったので、私の方から彼女の机まで行き、彼女の座っている人の椅子を借りて、対面式に話をする。

 

 

遙佳「さっき、長い昼休みに、しげみんが過去に滝川君の話をしてくれたよね?あの続き、どうなったの?」

 

 

先程の昼休みでの話を彼女に振る私。

 

 

茂美「さっき昼休みに言い逃したけど、滝川和孝君とは、最終的に恋人として結ばれたよ。今も連絡を取り合って、時々遊びに行ったりしているの。」

 

 

遙佳「良いなぁ……。滝川君、凄い努力をしたのね……。人知れずに何倍もの努力を重ねて、成績もトップクラスになったんだ……。」

 

 

しげみんと滝川君が、正式に恋人関係になった事を羨む私。

 

 

茂美「彼と結ばれた今だからこそ、言える事なんだけど、前田君も以前の滝川君と同様の状況に置かれている今こそが、一番の頑張り時かもしれない。この頑張りが中間・期末試験の結果を通して、皆に認められれば、はるとの交際を受け入れてくれると思うの。」

 

 

今の前田君の状況が、しげみんの現在の彼氏である、以前の滝川君の状況と同じなんだ……。やっぱり前田君の事を彼女に相談して良かった……。こういう事(やっかみを受けて距離を置かれてしまう事)を経験したのが私だけじゃなくて、彼女も同様のケースを経験をした一人なんだと思えば、少しは気が楽になる。

 

 

ただ、しげみんがどのようにして、滝川君の距離感を詰めていったのかは知らない。本当なら、その事も詳しく掘り下げて教えて貰いたかったのだが。でも、そんな事をしたら、私自身の考えというものが無くなってしまう。

 

 

新見遙佳。私という、女子一個人としての大勝負の時期だ。何もしないで彼の事を傍観しているのか、難しいかもしれないのは重々承知の上で、少しでも可能性を信じて離れてしまった彼と少しずつ関係を埋めていく努力を惜しまずに進めていくのか。経験者のしげみんのバックアップのもとで、慎重に判断をしていこうと心に刻み込む私がいたのでありました。

 

 

Fin.

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