(仮)僕と彼女が契約を結んで冒険する話。 作:Marchhatter
僕は叔母と待ち合わせ、ステーキハウスに赴き、血の滴るステーキを楽しむ。
シスコンである僕の視線は、美貌の叔母に釘付け状態。
叔母は、応募してきた目白嬢について好感を抱いているようだ。
日付上は本日3回目の更新です。わずかに残酷な場面があるので☆をつけています。
──────
ホテルに戻る。叔母はわざわざフロントに断って、僕とともに部屋に行く。
ごく普通のシングルの部屋だけど、角部屋でやや広めだ。
「それでね、これなんだけど。」
叔母が手に持ったアタッシェから、首輪を取り出す。
「いろんな機能があるのよ。
設定、ちゃんとしとかないと、勝手に発動してあなたの彼女さんが爆散するわ。」
何それ怖い。
また充電切れや衝撃が加わったときの挙動にも、懸念があるな。
クソ高いだけあって、特許申請中の繊維型充電池の技術を使い、軽量でありつつ充電が長く持つように設計されてる。それでも、1か月に1回程度は充電の必要がある。
また衝撃や損傷にも強いはず。開発中の特殊繊維が使用され、刃物等で切れるものではない。もっとも防御範囲が狭すぎて防刃防弾目的には使えないだろう。
しかし、これらの電池切れや衝撃を逃亡と捉えたら?
「充電切れたら、爆散?」
「さすがにそこまでじゃない。残量が少なくなってきたらマスターに通知が、スレイブに警告が行く。
それでも充電しなかったら、睡眠剤が撃ち込まれるわね。」
なるほど。
マニュアルは紙じゃなくて電子ファイルだ。これ、大画面PCとかがないと見にくい。
あと、非常にシンプルにしか書いてないな。
「それでね、機能だけど。
私に着けて、試してみてよ。」
「!?」
くすくす、と笑う叔母。しかし、冗談ではないようだ。
「いきなり普通の人の彼女さんでぶっつけ本番は、まずいわよ?
これ、兄さんにもらったんだけど、試す機会なんてなくて。
ほら、私なら大丈夫だから。」
指示されるままに、僕は叔母の白いうなじをみつめながら、背中側から首輪を巻く。
一見すると、優美で可憐な女性らしい首。
だけど叔母は一族のひとりであり、常人ではありえない勁さを身のうちに秘めている。
「これはおとなしい方の仕様だけど、ハード仕様のやつは脊椎に固定するらしいのよね。」
そうすると限定的だけど行動制御までできるらしいわ、とおぞましい情報を噂話のように口に上げながら。
操作用アプリをインストールし、まず、基本的な通信機能等を確かめる。
「こっちも、確かめてみて」
「それは、──」
「いざというときに、加減知らずに使ってしまうことになりかねないわよ?」
マニュアルは簡素なもので、細かい操作感や目安など何ひとつ書かれていない。
この首輪からして、高品質だけどPL法や説明責任なんて全く気にしてないしな。
叔母に強く勧められ、僕は懲罰用の機能をおそるおそる試す。
まず、これは──
チッ、と軽い音がして。
しかし、叔母のしなやかな体がびくっと震えた。
「!──んんっ、結構来るわね。」
僕が試したのは、電気ショック。
首に接触してる電極から放電する。
「威力、上げてみて。」
叔母は、スリッパを脱いでベッドにうつぶせに、掛布団を軽く抱くように横たわる。
「うっ!」
ぎゅうっと布団の束を抱えてはいたが、叔母の体が跳ねる。
「大丈夫!?」
1段階上げてみたが、それでもかなりの電撃だったようだ。
「はぁ、はぁ、はぁ、──キクわね。
これで中くらい?中より下?兄さん、鬼畜ね。
それじゃ、そうね。──もう一つ上で。」
僕たちの肉体は、確かに普通の人間より頑健だ。
だけど、ひょっとしてそれも織り込んで威力調整してるんじゃないか。
つまり、この5段階スケールの「3」の衝撃って、普通の人間なら失神するくらいの──。
「うぐっ!くっ!ああーっ!」
叔母が苦痛に声を漏らし、痙攣したので、僕はあわてて電撃を止めた。
抜けるように白い叔母の首元が、少し赤く染まっている。
「はぁ、はぁ、はぁ、景ちゃん、──お水、くださらない?」
喘ぐ声が、まるであのときの声みたいだった。
また、濡れたような目で、柔らかく体をねじり手を伸ばして水を要求する、叔母の肢体も僕の欲望を刺激する。
「ありがとう。
これ、私たちだから耐えられるけど。
普通の人なら、失神する人もいるんじゃないかしら。」
叔母は水のコップを受け取り、ごくごくと飲む。
「この際、ちゃんと検証しといた方がいい。
私も景ちゃんも、一人のときに試したりしたら、事故でどうにもならなくなるかもしれないし。」
そうだな。
あと、美里さん。その、声が──。
「あー、ごめんね。でも、ここは結構防音はいいのよ?しかも角部屋でしょう?」
だけど、その、声が。振動も。
ほら、ビジネスホテルに嬢を連れ込んでる男みたいに、思われないかな?
「うーん、仕方ないなー!景ちゃんがそんなに言うのなら。
私のアタッシェケース、こっちによこして。粘着テープがあるはず。」
「?」
「あと、このがくがく動いちゃうのも、対策しなきゃいけないのよね。
そうなると、ベッドより椅子かしら。」
「??」
「ほら、手伝って。」
美里さんは、服を整えると、窓際にある椅子を部屋の中央付近に置き。
ホテルの備品である、浴衣の帯を僕に渡し。
腰かけて、お願いね、しっかりきつく結んで、と言った。
「美里さん、その、──」
急に心拍数が50くらい上がった気がした。ワインでふよふよになった脳に、血流ががんがんと流れ込んでる。
要は美里姉は、僕に向かって、自分を縛れと言ってるわけで、──
「あら、遠慮はいらないんだけど、レディの脚は、恥ずかしい?
じゃあ足首は私が結ぶから、胴と手首をお願い。
遠慮なく、ぎゅっとしちゃっていいわよ。」
美里さんは、自分の足首を、椅子の脚のそれぞれに結わえ付ける。帯は長いから、一本で両方の足首を、しっかり固定できるようだ。
膝もいけそうね、と言って膝下あたりも固定してる。
黒いストッキングに包まれた、滑らかに膨らんだ曲線をもつ彼女のふくらはぎ上部に。
紺と白の絣の帯が、しっかりと食い込む。
「これで、こっちはいいかしら。」
脚に力をいれて、動かないか確認している。
「じゃあ、手首と胴ね。
手首を結んで、そして帯の残りで、胴を巻いて。」
手を椅子の後ろに回し、手首を重ねてみせる。
僕はごくりと唾を飲んで、その僕に比べると華奢に思える彼女の手首に、帯を巻いた。
彼女の指示に従い、手首を縛めた帯を一度椅子の脚の木組みにひっかけて、ぎゅっと引く。
手首の帯が下に引かれたので、叔母は胸を張って、少し上に顔を向けたような感じの姿勢になり。
もちろん、小気味よく盛り上がってる胸が、強調される。
僕は彼女の背のほうにいるから、ばれてないよね。すごい勃ってるってこと。
「帯、足りるかしら。」
大丈夫。叔母の体が細いのもあって、胴というか腰にふたまき巻いて固定できるくらいはある。
これも叔母の言に従い、体の線が変形するくらい食い込ませ、端を固定した。
彼女は、体を動かそうとしてみて、固定度合いを確かめてる。
「じゃあ、実験に入ります。
さっきの感じだと、『3』が実用限界じゃないかしら。
『4』だと、人によっては心臓とまるわよ。」
『5』を試すのは、最後にしておきましょう、と美里姉は言う。
「はい、景ちゃん。実験開始よ!
時間は、1秒、5秒、10、30秒かしら。時計はそこね。」
メモを手元に置き、実験の手順を打ち合わせる。
意思連絡の方法とか。
最後に。
「それじゃ、粘着テープ、私の口に貼って?
大丈夫、これ、ベンチャー企業とうちの研究室で共同開発中の試作品なの。
すごく強力で人体をしっかり固定できるだけど、貼るときに一度酸素に触れさせることで、一定時間後に粘着力がなくなる。人体には無害だし。」
そんな変わった商品、これ以外になんの需要があるんだろう。
それに手足の固定も、浴衣の帯でなくこのテープでよかったんじゃないかな。あ、粘着性がなくなる時間の問題があって融通利きにくいからか?
そう自問自答しながら、僕は彼女の口元に、切ったテープを寄せる。
美里さんは、目を閉じて上を向き、軽く首を振るようにして髪をさばき。
僕が、少し薄めの、軽くルージュを引いた彼女の唇を、テープでふさいだ。
まず、強度「1」からだ。
僕は彼女と視線を合わせる。彼女もうなずく。
ぱちっ。
「──!」
1秒、5秒、そして10秒、30秒。
このレベルだと軽くびくっとする感じかな。僕と彼女が事前に決めておいたサイン(しゃべれないから、瞬きでのモールス信号と頭を振るジェスチャーを取り決めておいた)で、苦痛の強さ等を測定する。
実験が、始まった。
──────
叔母は僕より5歳ほど上だと思うが、一族の特徴として、20歳から40歳くらいまではほとんど外見上の加齢はない。体力は、40くらいまで伸びていく(人によっては、身長が伸びることもあるらしい)。おそらく僕たちの種族は、普通の人たちと違って、肉体的な成人が20歳でなく40歳なんだと思う。
つまり、叔母は十分に若く美しい娘の外見をしていて。
それをぎちぎちに縛り上げ、通電させて、拷問するということは。
僕の変態的な嗜好に、ぴったりと合っているわけで、──。
「────────!」
おそらく、もし口をふさいでなかったら、すごい悲鳴があがってるはずだ。
僕たち一族は、苦痛にもある程度強い。僕は普通の人なみだけど、叔母はかなり我慢強いはず。
その彼女は、口を粘着テープで覆われ、こめかみにかすかに血管を浮かせ、弓のような優美な眉の間に谷を刻んで。
強度4で、30秒。
頭ががくがくと揺れ、背中に下げて手首を縛ってある手の指が苦痛をこらえて祈るように握りあわされ、その握力で爪が組んだ手の甲の皮膚を破り、血がにじんでいる。
首を限界まで反らし、完全に上を向いた状態で目を閉じている白皙の額には、苦渋の汗。
どうしよう。興奮して勃ちすぎて、叔母の視線の範囲に出るのが恥ずかしい。
さて。強度4が終わった。彼女が、こっちに流し目をくれる。僕は頷く。
右目、左目のまぶたが交互に閉じられる。まばたきを使ったモールス信号。
──
時計を見る。なるほど、テープの粘着力もそろそろなくなるからな。
レベル5は、相当きついはずだが──。
ばちっ。
叔母の体から、力感が消えた。ぐたっ、と力が抜ける。
「美里さんっ!?」
力なく前に垂れる首。僕はあわてて、叔母の顔を手で持ち上げて確認しようとする。
意識がもどってきたようだ、かすかに開いた目は、とろんとして焦点が甘い。だが僕を認め、少し微笑むように目元が変わる。
──
メッセージを受けて、胴に食い込む帯をほどき、後ろ手に縛った手首を解放する。
叔母はかなり体力を消耗してる気配がありぐったりしているので、足元にかがんで足首と膝下の縛めも僕がはずした。
最後に、口元のテープだ。軽くテープを引っ張ってみる。一瞬抵抗があったが、するり、とはずれた。
「あ、景ちゃん。恥ずかしい──。」
口元に、唾液がついていて、テープとの間に線ができる。
ぐったりしていた叔母はそれに気づくと顔を赤らめて、ポケットからうすい青の瀟洒なハンカチを取り出して、ぬぐっている。
ハンカチの面を変えて、額の汗もぬぐう。僕が水をいれたコップを差し出すと、ありがとう、といって一息に飲み干し、お代わりを要求した。
「あー、ごめん、景ちゃん。しばらく休ませて。」
叔母は立ち上がり、ベッドにいったん腰かけ直すが、くなくなとベッドに上体を折ってそのまま崩れ折れる。
その腰のなまめかしいラインから、僕は目をそらした。
──────
「信じられない。景ちゃん、これ、レベル2までで普通の人は十分よ。多分」
叔母は僕が付けた実験結果のメモを、ベッドに転がったままで解説する。
レベル1で、拷問としては十分成立。電圧が低いのか、ぴりぴりとかみつくような痛み。
レベル2、3と上げると電圧がおそらく上がっていく。上がると、ぴりぴりとした痛みではなく、びりびり、という感じになり、やがて、ぐりぐり、と何か強い力にひねりつぶされているような、重くおそろしい痛みに変わっていき、──。
「レベル4だと普通の人はまず失神。下手すると命に危険があるんじゃないかしら。あと、」
──レベル5は、私たちも命が危ないわね。
そう、いたずらっぽくウィンクしてみせる。いや、笑い事じゃないですよ。もし美里さんが失神から覚めなかったら、僕、救急車を呼んでどう説明すればいいんですか。
「でもまだ、ほかの機能あったわよね?」
「美里さん、今日は休んだほうがいいっす。」
実験で小一時間使ってる。もう10時を回ってる。それはさすがにまずい、と叔母も気づいた模様だ。
「このまま泊まっていきたいけど、無理よね。
景ちゃん、明日オフなんだよね?良かったら、明日うちに来る?」
──続きをしましょう?
それにほら、お金のこととかも相談しなきゃね。
ベッドから、濡れ濡れとした視線が注がれ。
僕はもちろん、頷いた。
──────
叔母がタクシーを拾って帰り。
残された僕は、シャワーを浴びる。
鼠径部近く、恥毛が生えるあたりの左右に、引き攣れるような痛みがある。
さっきみたいに、すごく興奮して勃ってしまって、それでがまんしてるとこういう風になる。そういうものだと思ってあまり気にして調べたことはないけど、なんなんだろう。精子が渋滞して腫れてるってことかな?(想像)
ともかく。
脳内の保存フォルダに入れておいた、さっきの叔母の姿を思い出す。
──通電の苦痛にのけ反って、乱れる髪。無粋な帯に、絞られた腰。
そして、突き出された形のよい胸。僕はあの下も知ってる、叔母が大学生のときに一度お風呂から出てきたところに鉢合わせしたから。僕は中学生だったので、もちろんその夜夢精した。
黒いテープで、悲鳴を閉ざされた口。首元には、血管が浮いていて、──。
我慢できない。
僕はシャワーを浴びながら、抜いた。しかたないじゃないか。
その夜は、ぐっすりと寝た。人間失格だと思うけど、叔母を後ろから抱きすくめて、犯す夢を見た。