私は自分の魅力なんて考えた事など無い。と言うのも、親友でだっつんの恋敵であるはるるに比べれば、魅力と言うものの取り柄が無い。そもそも、私自身が思う魅力と言うのは、スポーツや趣味を自ら進んで興味を持ち、打ち込んでいく事だと考えているから。
私がやっているソフトボールなんて言うのは、「部活単位としてやるべき事柄」でしかない。つまり義務なのである。よって、好きでやっている訳ではなくて、部活でやるべき事だからやっているだけの事。だっつんからは、「ののかは自分の魅力に気付いていない。」とよく言われる。私がまだ気づいてない事を言われたって、ただただ困るだけだもん。
彼は、写真をカメラという媒体で介して撮影する事が趣味のようだ。撮影する写真の中には、学校周りの風景や、人物が主なポートレート関係と言った、広い範囲で楽しむことが出来る。これだけでも、私には十分な魅力。彼のような自分が誇れる趣味が欲しい。
今日は金曜日。時刻は12:30をまわっている。1時間の昼休みタイムだ。個々でお弁当を食べる人、学食へ食べに行ったりする人で分かれていく。私は、だっつんを昼飯を誘う為に隣の2年B組へ。
ののか「だっつーん!」
一也「おう、ののかか。相変わらず元気がいいな。ところで、俺に何の用だ?」
ののか「昼ご飯、一緒に食べようよ!」
一也「そうだな。今日は特に予定は無いし、一緒に食べられるぞ。」
ののか「やったー!じゃぁ、ここじゃ人目につくから、裏庭行こうよー。」
一也「確かに。人目がつくと色々厄介な問題とか出てくるからな。ささ、今のうちに裏庭へ行こうか。」
私とだっつんは、弁当を持って光河学園の裏庭へ向かって行った。裏庭は、人知れずこじんまりとした場所である為、普段から他人が来ることは無いとされている。そんな裏庭で昼飯がてら、魅力についてとことん話してみたいと思っている。
一也「ふぅ、ここが裏庭という所か。」
ののか「そう。私の行きつけの空間なんだ。ここなら人目がつくことなく、落ち着いて食べられるよ。」
一也「そうだね。てか、ここに来る人は、滅多にいないと思うけど?」
ののか「ハハハ……。^^;」
こうして、裏庭へ移動した私達。ここでゆっくりと腰を下ろして座り込み、弁当箱をオープンする。
ののか「いただきまーす!」
一也「いただきますだな。」
こうして、人が滅多に行かない裏庭という場所で、彼と一緒に食べると言うのは初めての事。それよりも、私が一番気になっている「魅力」について聞いてみないと。
ののか「ねぇ、だっつん。」
一也「ん?何だ?」
ののか「魅力って何だろう?」
一也「ちょっ、おまっ……。魅力自体を全然知らないのかよ……!?!?」
ののか「だってぇ、全く考えてこなかったんだもん。細かい事は良いから、魅力ってどんなものなのかを教えてよ……。( ;´・ω・`)」
一也「はぁ……。こうなったら、仕方がない。誰もが持っている魅力というものを俺が知っている限りの知識で教えるよ。」
少々溜息をつきながら、「魅力」というものについて教えてくれると言うので、ちゃんとインプット出来るように、耳を傾けよう。じゃないと、彼に失礼だね。
一也「コホン……。魅力と言うのは、その人その人が持つ、趣味から生まれるものだと俺は思ってるんだ。と言うのは、自分が自ら好んで打ち込むものが無いとダメだろ?」
ののか「確かにね。何かやってないと、人生がつまんなくなっちゃうもん。」
一也「そうだなぁ。例えばだけど、俺で言うなら、写真が趣味なのはお前も知ってるだろう?」
ののか「そうだね。だっつんが写真を撮る事を始めた時は、ビックリしたけど。」
一也「だろうな。そう言うと思った。俺が他人にあまり言えることでは無いんだけどさ、自分の強みとしている趣味から生かされていくものが魅力というものじゃないのか?正式には解らないけどな。」
魅力というものについて、淡々と答えてくれる彼。間違えやすいかもしれないけど、「お金持ち」や、「スペックの高い低い」、「性格の良さ」とかでは無く、自分が好きで打ち込む趣味(「将棋」、「イラスト」、「ランニング」、「水泳」など)なら何だっていい。それが彼なりに考える魅力だと言うのだ。
ののか「そうなんだね……。じゃぁ、私が今やってる「ソフトボール」と言うのも魅力のひとつなの?」
部活として当たり前にやっている「ソフトボール」。これも、十分な魅力だと言えるのかどうか、彼に聞いてみる必要がある。
一也「まぁ、論理的にはそうなんだけどさ。結局、当の本人が「魅力」として捉えてるかどうかにかかってくるという事だろうな。俺だって、写真を始めるにあたり、最初のうちはカメラという媒体でファインダー越しに撮影をする楽しみが一体、どういうものなのか解らなかった時期があったからさ。」
ののか「だっつんが、悩んでいた時期があったなんて意外だよ。成程ね。最後は、自分次第の価値観って訳なんだ……。」
一也「人間誰でも悩むことがあるっつーの。そうだね。義務として捉えるか、趣味として捉えるかによっては、世界観が違ってくるという事だね。」
ののか「へぇー。なんか、だっつんがいつの間にか賢くなってるー。(。・ˇ_ˇ・。)ムゥ…」
一也「いや、そんなことは無いから。物事を広く見れるかどうかの話だけ。」
私からすれば、そんな思考ができるだっつんが羨ましい。私はそんな事を一度でも考えた事がなかった。でも、だっつんの話を聞いて、「魅力」という性質を100%では無いけど、ちょびっとでも彼が言いたい事を理解が出来たかな。
腕時計を見てみれば、時間は13:10を指していた。あっ、ヤバい。もう時期戻って次の授業の支度をしないと、怒られそう……。だっつんも自分の腕時計を見て、そう思ったに違いない。考える事が一緒だ。
一也「ののか。食べ終わったか?」
ののか「うん、勿論!とっくに食べ終わってるよ。何か、話をしてるとあっという間に時間が過ぎちゃうね。」
一也「そうだな、あっという間だったな。お前は、「ソフトボール」部のエースだろ?エースだなんて、早々になれるものでは無い。実力と努力の賜物だ。それだけでも立派な魅力だよ。」
彼はそう言うと、私の頭をそっと撫でてくれた。エヘへ、だっつんに褒められちゃった。普段から頑張ってていい事があると言うのは、こういう事なんだね。そして、その過程で次第に「魅力」というものを確立していくものなんだね。初めて知ったよ。こんな私に教えてくれて、ありがとう。だっつん!
Fin.