※この作品はR-18です。

好感度を1上げる能力   作:ニンカタ

3 / 9
折り返し。もう少しかな?


〜50

 

 

 努力が報われる。それはどんな形であれ喜ばしい事だと思う。少なくとも自分はそうだ。

 一ヶ月。コツコツと積み上げてきたモノは自分を裏切らなかった。

 

 (葉鍵の友達宣言が来るまでは中々堪えたがな)

 

 葉鍵から別れを告げられた時は、間に合わなかったとかなりブルーな気分に陥ったが結果オーライ。何とか首の皮1枚繋がった。

 

 「それにしても友達かぁ…」

 

 生まれてこの方女友達等出来た事は無い。故に葉鍵は自分にとって初めての女友達といえる訳だが。

 

 「此処で止まるつもりはない」

 

 目指す先は変わらない。自分は葉鍵莉々菜を必ず落としてみせる。友達という一歩を進んだ哲己は、改めて自分自身に宣誓をするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そういや何で男嫌いなんだ?」

 

 と、格好付けてはみたがやることは特に変わらない。毎日葉鍵と顔を合わせ、少しでもいいから会話をする。自分の能力の都合上、挨拶だけでも上がらない事はないが。挨拶だけで自分への好感度が上がるのは、もしかしたら葉鍵に疑問を持たれる可能性がある。

 

 (自分はアイツ(獅子田)と挨拶しかしてないのに……何で?)

 

 考え過ぎかもしれない。しかし不安の種は少ない方が精神衛生上好ましい。幸い葉鍵も最低限の友情を自分に抱いてくれたのか、前よりも話す長さは増えた。これならば葉鍵の中で自分への好感度が上がっていっても、「私はアイツを悪く思ってない…?」と自分で勘違いしてくれるだろう。狡い手とは思うが自分が葉鍵へ抱く好意は本物である。なのでどんな手を使っても手にしたいのだ。彼女の心を。

 

 

 「男の、視線、嫌い」

 「ストレートな理由だな」

 「チラチラチラチラ気持ち悪いのよ!」

 「すいません…」

 「はぁ…謝るくらいなら、見ないでくれると助かるんだけど」

 「そこは何か…許しては……あっ無理?そうっすか…」

 

 大きな胸、くびれたウエスト、そしてムッチリとした尻。そこに容姿の良さまで追加されると最早男子の視線から逃れるのは不可能と言えよう。仕方ないよね。男の子は葉鍵みたいなスタイルの娘好きだもん。自分も好きだから分かるよ。

 

 しかしはいそうですかと納得出来ない葉鍵の主張も分からないではない。本当にジロジロと見られてるからな葉鍵。そら文句の1つや2つは出るだろう。でもそれを自分にぶつけるの止めてね?え?友達なら愚痴くらい聞け?…そう言われると断りづらいっすね…。

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。32/100→33/100】

 

 

 「そういや男友達ってアンタが初めてね」

 「俺も葉鍵が初めてだな」

 「そうなの?」

 「うん」

 『……………』

 

 奇妙な沈黙が続いた。予想はついていたが葉鍵も初めての異性友達らしい。初めて同士だな、とか言ったら「キモ」の一言で返されるのは明白だったので言わなかった。自分も葉鍵と話す内に言いそうな事が何となく分かってきた気がする。

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。33/100→34/100】

 

 

 「初めての異性友達祝いとかするか?」

 「いる?」

 「そらいらないよな。で?どうなんだ葉鍵とはさ」

 「悪くないとは思う」

 「それを葉鍵相手に出来るんだから凄いよなー」

 

 気難しい葉鍵と友好関係を持てた男子として少し自分は有名になったらしい。ぶっちゃけそれで有名になるほどに葉鍵の男嫌いの噂が広まっている事に驚いた。そんな有名なの?葉鍵の男嫌いって。

 

 「生徒ならまだしも、男の先生と接触する時も嫌そうな顔してたからな。そりゃ嫌いなんだな〜位は広まるだろ」

 「うーん筋金入り」

 

 真逆先生相手にもあの態度を崩さないでいたとは。流石に強い言葉は言わないが、雰囲気で丸分かりらしい。

 

 「ま、折角そんな奴と仲良く出来たんだ。あんまりがっつき過ぎるなよ」

 「忠告どうも」

 

 試してはいないが、好感度が下がりそうな事をしたらどうなるかは未知数だ。コツコツ貯めた好感度が一時の気の迷いでパァ、というのは避けたい。近い関係になったのならばそれはそれで気を付けないとな。

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。34/100→35/100】

 

 

 

 「にしても何でアンタみたいなの友達にしたのかしらね~」

 「酷くない?」

 「だって顔が良いとかじゃないし、運動とかはまぁまぁで…そして頭は普通か。……本当に何で?」

 「俺に聞かれても困るんだよなぁ…ていうか友達の俺にそんな事言う?」

 「心配しないでも、アンタ以外の友達にはちゃんと気を遣ってるわよ」

 「尚更酷い気がする」

 

 自分だけへの態度。そこだけを切り抜けば聞こえは良いが、サラリと言われる言葉の刃に時折悲しくなりそうだ。まあそれでも許してしまうのは葉鍵が楽しそうに笑うからだろう。本当に美少女は得である。

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。35/100→36/100】

 

 

 「最近は暑くなってきたなぁ」

 「夏はあんま好きじゃないのよね~」

 「何で?」

 「夏、海、水着」

 「ああ…」

 

 全部語らずとも分かるだろうと葉鍵はそれ以上言わなかった。実際何となく察しはついたので別に語ってくれなくても言いが。葉鍵の水着か…見たいなぁ…。

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。36/100→37/100】

 

 「雨って結構好きなんだよな。何ていうか…このしっとりした感じがさ」

 「濡れると寒いから嫌い」

 「なら晴れてるのが好きか?」

 「それはそれで紫外線が…」

 「ワガママ過ぎない?」

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。37/100→38/100】

 

 「勉強って何であんなにダルいんだろうな~」

 「まあ分からなくはないわね」

 「だよな?」

 「だからってサボっていい理由にはならないけどね」

 「葉鍵って真面目だよな」

 「アンタが適当なんじゃない?」

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。38/100→39/100】

 

 「試験勉強とか手伝ってくれる?」

 「え〜…」

 「分かりやすい反応有難う」

 「うーん………少し考えさせて」

 

 お?断られると思ってたけど意外とイケそうか?

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。39/100→40/100】

 

 

 次の日。挨拶を終えると葉鍵はスマホを取り出すように命じた。素直にスマホを取り出しロックを外す。そしてあるアプリを立ち上げるように言われる。そのまま葉鍵の言う通りに行動すると、あら不思議。自分のスマホの中に葉鍵莉々菜の名前が。アイコン猫なんだ。

 

 直接手伝うのは嫌だ。しかし友達だから分からない事があったら聞いてくるくらいは許すとの事。それと…

 

 「まあ暇な時なら相手してやらなくもないわ」

 

 少しづつだが確実に。葉鍵の自分に対する態度が和らいでいるのを感じた日であった。

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。40/100→41/100】

 

 

 

 

 それからは学校だけでなく自宅でも葉鍵と話す機会が出来た。自分が女の子と会話しているのを親に信じられないような目で見られた時は、アンタは息子をどういう奴だと思っているのかと問い詰めたくなったがそこは触れないでおいた。

 

 「数式を見てると気持ち悪くなってきた」

 「通話切るわよ?」

 「すいません。教えて下さい」

 「素直に最初からそう言いなさいよ…」

 「葉鍵……素直って言葉知ってたのか!?」

 「切るわよ?」

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。41/100→42/100】

 

 「葉鍵…」

 「何?」

 「いや、やっぱ何でもない」

 「……そう」

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。42/100→43/100】

 

 「俺は一体何時まで勉強を続ければいいんだ」

 「今日は何処が分からないの?」

 「扱いが雑っすね」

 「今日は何処が分からないの?」

 「はい。素直に言います」

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。43/100→44/100】

 

 「アンタさぁ…分からないとこ多すぎない?」

 「一応は頑張ってるつもり何ですけどね…」

 「結果が出なければ意味が無いのよ。そういうのは」

 「スパルタン…」

 「何か面倒臭くなってきたわね…」

 「すいません!許してください!」

 「あー…そういうんじゃなくて……うーん…」

 「?」

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。44/100→45/100】

 

 「という訳で始めるわよ」

 

 レストランのテーブルの上には頼まれた料理と、沢山のノートが置かれていた。今日は珍しく葉鍵から誘われた。何の用だろうと首を傾げていたがどうやら電話越しに訓えるのが億劫になってきたとの事。だからこれからは直接教えてやると言われた。

 

 「え?この量こなすんですか?」

 「当たり前じゃない。これでもアンタに合わせたのよ?」

 

 鞄の中から追加でノートが補充された時は血の気が引いた。純粋にこれくらい出来るでしょ?という疑いなき眼がまた辛い。…やるしかないのか。

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。45/100→46/100】

 

 それから期末試験が終わるまで、葉鍵の勉強会は開かれ続けた。

 

 「うん。これは問題無さそうね」

 「本当っすか!?」

 「だから次ね」

 「」

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。46/100→47/100】

 

 「次は何でしょうか……」

 「うーん、軽く小テストやりましょうか」

 「ちなみに合格ラインは…?」

 「90以上」

 「」

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。47/100→48/100】

 

 

 

 

 

 

 「終わった…終わったよ…」

 「お前今回凄い鬼気迫ってたな」

 「あれだけ助けられて不甲斐ない点を取る訳には…」

 「あー最近葉鍵とよく居たなお前」

 

 葉鍵大先生の特訓の成果か。今までの自分では考えられないくらいに頭が冴えわたっていた。これならば恐らく…いや確実に!……良い点行っていると良いな…。

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。48/100→49/100】

 

 

 

 

 

 アイツは意外とやれば出来る奴だった。最初はこんな問題すら解けないのかと呆れたものだが、呑み込みは悪くなかった。だから少し、いやかなりギアを上げすぎたかもしれない。其処は少し反省している。…だって楽しかったから。アイツに教えるのが、いやもう少し素直になっても良いかな。アイツと過ごしている時間は好き。肩肘張らなくて良いし、私が少し言い過ぎたかなって言葉もアイツは軽く流してくれるし。だからアイツと一緒に居るのは……悪くない。…さっき好きとか書いた癖に何恥ずかしがってるんだか。獅子田哲己。獅子田君とか?…今更言えないか。散々と強い態度で接した癖に本当に今更。でも此処でくらいなら書いても良いよね?私はあなたと友達になれて良かったと思っているよ獅子田君。こんな面倒臭い私に付き合ってくれる男の人ってあなたくらいだと思う。だからまあ偶にチラって私の胸とかお尻を見るのは許してあげる。特別にね。他の男なら許さないんだから光栄に思って欲しい。…こういうのやっぱり良くないかなぁ。もし獅子田君が私と友達を止めようとか言われたら凄く……嫌だ。でもいきなり態度を変えるのもあからさま過ぎない?過去の自分の行動がこんなに今の自分を苦しめるとは思わなかったな。でもこのままの態度も良くないと思うし……あー分かんない!初めての男友達だからどう接すれば良いのか、今までの事謝ってやり直せば良いのかとか分からなくなってきた。初めて…初めてかぁ…そういえば獅子田君も私が初めての女友達とか言ってたかな。ふーん、初めて…私が初めての(ひと)なんだ………そういえば獅子田君ってまだ私の事好き……なのかな?いや友達として獅子田君とは接するつもりだけど!何かその?気になるじゃない!?友達だから!そう友達だからね!?ほら他の女の子とか好きなら手伝ってあげるのも……悪くない……だろうし…さ。うん。友達…友達かぁ………

 

 【葉鍵莉々菜の好感度が上がりました。49/100→50/100】

 




純愛催眠モノ。
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