長かったのか、短かったのか。それは自分自身でも分からない。でも確実に言えるのは自分が彼女に掛けた時間は無駄では無かったし、充実したものだと思ってる。
最初は誰でも良かったのにな、不思議なものである。ウロウロウロウロ。そんな足取りで校舎を歩いていたのが遠い昔のようだ。
短くて、長い時間。矛盾した例えではあるが、これが自分と葉鍵莉々菜が過ごしていた時を表すのに適した言葉だ。
「うおおおおぉ!!!」
後で両親に「うるせぇ!!」って言われたけど。今日くらいは勝利の雄叫び?を上げてもいいだろう。念願叶う時であったのだから。
葉鍵莉々菜が自分の彼女になった。交際を始めた。お互いを異性として認識している事を認めた。色々と言い方はあるがつまりはカレカノ。自分が求めて手を伸ばし続けた恋人をやっと作る事が出来た。
「そういえば」
散々叱られた後で、自分は好感度数値の事について考える。あの時は喜びの方が大きかったため流していたが、
【好感度から愛情へと変わります】
ざっくりと言えばこうか。好感度から変わるものなんだな。まあ確かに好感度って曖昧な表記な感じもするしな。友達からの好感度と恋人からの好感度なら別の感じ?だろうし。にしても…
「愛情…かぁ…」
さっきも言ったが曖昧な印象を受ける好感度より、こうして自分を愛している数値を目の当たりにすると。何だか気恥ずかしく、それでいて嬉しい、という不可解な感情に苛まれる。幸せな感情だから悪くないし、寧ろ良いんだけど。それはそれってやつ。
「明日から、いや正確には放課後からなんだけど」
新たな形の葉鍵との日常が訪れる。期待半分、不安半分。浮足立った感情が抑えられない。…取り敢えず今は考えても仕方ない。明日の事は明日の自分へと任せる。今は寝よう。うん、そうしよう。
「何か変わんなかったな…」
期待と不安でドキドキしながら学校へと行き、何時も通り葉鍵へと声を掛けた。昨日の事があるのでどう反応されるのかなーとか緊張していたのだが…
「あ、おはよう。今日は早いわねアンタ」
「え、あ、うん」
恋人になる前の態度と特に変化は無かった。何でもない事を話して、今日は勉強はしないみたいだからレストランには行かないから。時間空けといて的な事も言われなくて。そしてあっという間に。
「放課後かぁ…」
あれ?俺と葉鍵って…恋人…だよな?沈みゆく夕日を眺めながら、昨日の出来事が夢だったのか…?とぼんやり黄昏れている俺だった。そうしていると足音が聞こえた。
「ごめん!少し遅れた!」
「ん?ああ…別に大丈夫だ」
恋人だと思ってたの俺だけ?みたいな感情はあるが、よくよく考えれば彼氏彼女の関係になったからって急に変わる訳ないよな。うん。これは自分が急きすぎたのだ。友達として積み上げてきたみたいに、今回も恋人として積み上げていく時間が必要なのだろう。焦らずに行こうぜ。
「じゃあ帰ろっか」
「へーい」
取り敢えず葉鍵は今までの態度で接してくるみたいだ。ならば自分も何時ものように振る舞おう。という訳で2人でてくてく帰路につく。その間他愛のない事を話して、時には何も話さず。そんな独特の距離感で歩を進めていく。
「あ、スマホが……」
「取り敢えず彼処のベンチに座ってるわ」
「ごめん、ちょっと待ってて」
葉鍵の鞄から音が鳴る。誰からかは分からないが電話みたいだ。歩いて通話というのも危ないし俺は近くの公園へと足を向け、其処にあったベンチに腰掛ける。公園の入口辺りで葉鍵が話をしている。恋人になったとはいえ、いやなったからこそか?距離感は大事だろう。束縛彼氏〜なんてなりたくないしな。…まあ気にはなるけど。
「〜〜〜〜!」
「ん?何だ?」
葉鍵はスマホから耳を放した後にグッと拳を握った。ガッツポーズ?何でまた。一体誰と会話して、どんな事話したんだ?うーむ、気になる。
「ねえ!この後予定ある!?」
「な、無いけど……」
「ならOKね!」
(何だ…?)
悩んでいる俺を余所に、葉鍵は此方まで走ってくる。そして開口一番に予定があるかと尋ねてきた。特に無いので正直に答えると葉鍵は嬉しそうな笑みを浮かべた。また何かに付き合わされるのだろうか?
「〜♪」
(どこ行くんだろ)
前を歩く葉鍵を見ながら俺は考える。しかし心当たりはない。勉強ならレストランに行くから方向が違うし、服屋ともまた違いそうだ。
「こっち」
「ええ…?」
(マジで何処だ?)
葉鍵と何時も別れる道を過ぎ、手を引かれて後を追う。此方の方面は来たことが無いのでちんぷんかんぷんだ。そうして疑問に思いながらも後をついて行くと。葉鍵は足を止めた。
(立派な家だな)
洋風の一軒家。しかも玄関に行く前に鉄格子が付いているときた。うちとは大違いだなぁとか思っていると。
「此処、私の家ね」
「やっぱり?」
「うん。此処までの道覚えておいて」
手慣れた手つきで玄関まで行く葉鍵の行動にもしやとは思ったが、本当に葉鍵の家らしい。今までは友達だから教えてはくれなかったが、恋人になったから良いよ的な葉鍵の厚意だろうか?
「入って入って」
「お、お邪魔します…」
「ああ、大丈夫。両親今日居ないから」
「え」
いきなり両親への挨拶か…!?と急にきた親御面談に恐れ戦いていた自分の様子を察してか、葉鍵は両親が居ない事を自分に伝えた。いや、それはそれで大丈夫なのか?!俺一応男だし!葉鍵の…彼氏…だぞ!?
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、葉鍵は此処にトイレがあって、あっちに洗面所があってと。すらすらと自身の家の間取りを教えてくれる。そして…
「はい、いらっしゃい~」
人生始めての女子の部屋。しかも彼女の部屋だ。いきなりの展開に脳が理解を拒んでいる気さえしてくる。ボーっとしている俺の手を引くと、まだ心の準備が出来てない俺を葉鍵は自分の部屋へと引きずり込んだ。
勉強机。本棚が数個。他には猫のぬいぐるみ等が置いてある。部屋全体の色は茶色で。落ち着いた色で統一されている。ベッドは……高そう。自分の語彙力ではそれくらいしか言えなかった。あ、洋風のベッドでした。
「ここ、座って」
「はい」
今の自分は葉鍵の言う通りマシーンだ。言われた通りクッションが置かれた場所へと座る。…俺は一体此処で何をするんだ…?未だに葉鍵がしたいことを掴めないでいると。
「んおっ!?」
「〜〜♪はぁ〜〜……やっと2人きりになれたぁ…」
葉鍵は俺のお腹辺りに頭を埋めて抱き着いてきた。困惑する俺を構わず葉鍵は抱き締める腕の力を強める。
「は、葉鍵?」
「……莉々菜」
「え?」
「…此処にいる時は莉々菜って呼んで…じゃないとやだ」
(くおっ…!?)
ヤバい…こっちを見るときに見せた物欲しそうな瞳。それと先程までとは違う甘ったるい声色。普段のキツイ口調を知っているから余計に効く…!
「り、莉々菜…」
「!!〜〜〜♪」
…どうやら葉鍵……いや莉々菜はかなり甘えん坊のようだ。
【葉鍵莉々菜のあなたへの愛情度が上がりました。63/100→64/100】
あれから、莉々菜の両親が居ない時は彼女の部屋に呼ばれる事が増えた。莉々菜は学校では前のような態度は崩さない。なので呼び方もアンタとしかいわない。しかし2人きりになると…
「もっと撫でてよぉ……」
めっちゃ…!!!甘えてくる。そしてボディタッチが増える。莉々菜曰く、体を密着させると俺の存在を強く感じられるから好きとの事。…俺の彼女可愛くない?
【葉鍵莉々菜のあなたへの愛情度が上がりました。64/100→65/100】
「アンタさぁ…今日遅刻ギリギリだったけど…何かあったの?」
「寝坊です…」
「…はぁ…心配して損した」
学校での態度は本当に変わらない。
「あのさ…もし良かったら…だけど…私が電話とかで起こす…?」
「あー……」
「…………」
「…頼めるか?莉々菜」
「──!うん!!」
で、2人きりになるとこうなる。振れ幅凄くないですかね…
【葉鍵莉々菜のあなたへの愛情度が上がりました。65/100→66/100】
流石に此処まで性格が違うと二重人格を疑いたくなる。いや可愛いんだけどさ、あまりに違い過ぎるんだよね。という訳で本人に聞く。
「……見せたくないのよ、アンタ以外の前では…」
「つまり?」
「私があんな態度を見せるのは貴方だけ、だから光栄に思って。はい!この話は終わり!」
ツンデレ…という奴なのか…?いやそれとも違う?まあ要するに一種の照れ隠しみたいなものか。…ギャップ凄いな…。
【葉鍵莉々菜のあなたへの愛情度が上がりました。66/100→67/100】
さて。自分も男である。なのでそれなり…いや猛烈にそういう事には興味津々だ。しかし付き合って間もない関係で直ぐにそういう行為を求めるのはがっつき過ぎだろう。なので出来るだけ性処理はしてから莉々菜には会うようにしている。そうしないと最近の莉々菜からの好き好きアピールに俺の大事なところが反応しそうだから。
「あ……」
まあ処理したからって必ず勃たない訳では無いのが男の悲しい性でもある。ていうか今まで耐えた事を褒めて欲しい。莉々菜が抱き着くとそのたわわなものが直に当たる。「駄目だ駄目だ駄目だ」と呪文を頭の中で唱えながら煩悩が股間に行かないようにしてはいたが。今日が限界だったようだ。これは…どうなるんだ…?
「ゆ、許してあげる……こ、恋人…だから…」
(マジすか)
顔を真っ赤に染めて、恥じらいながらも莉々菜は男の性を許してくれた。この子本当に良い子過ぎない?
「で、でも!!まだ!……まだ、駄目だから………わ、私も勉強したいし……」
まだ。その言葉は莉々菜がそういう行為を拒否している訳では無いと示してくれる言葉だった。最後の方はめっちゃ小さな声だったため聞き取れなかった。しかし悪い事を言ったのでは無いだろう。
「……エッチ」
「ごめんなさい」
そんな姿がとても可愛いかったため。自分の愚息は硬さを増してしまった。その時に莉々菜の胸に先端が当たる形になってしまい、少々気不味い雰囲気が部屋に流れた。
「獅子田君じゃないと……許してないんだからね…」
それから莉々菜は自分のモノが当たっているのを知りながらも離れはしなかった。彼女の胸はとても柔らかかった事を報告します。後、帰った後にとても濃いのが出たのも報告します。
【葉鍵莉々菜のあなたへの愛情度が上がりました。67/100→68/100】
それからというもの。莉々菜と2人きりで過ごす日々に、少しの雰囲気の変化が訪れた。胡座をかいて座る俺の上に座る莉々菜。後ろから抱き締めてやると嬉しそうな声を出す。
「ふー…ふー…」
そしてそんな体勢を取れば、彼女のムッチリとしたお尻の感触がダイレクトに伝わるわけで。こらえ性のない自分の息子は直ぐに臨戦態勢へと移る。そうなれば気付かない筈もない。しかし莉々菜は少し荒い呼吸を吐くだけで、特に何かを言うことはなかった。
【葉鍵莉々菜のあなたへの愛情度が上がりました。68/100→69/100】
獅子田君も男の子だから、そういう衝動があるのは分かるよ。でもまだ勇気が出ないの。だってキ、キス…すら…してないし…。いやキスしたらOKとかでもないんだけど!!でも興味ある…いやいやいや!まだ付き合ったばかりだから!落ち着いて…落ち着いて私………駄目だ!全然頭から離れない!こ、ここは…
誰も居ない。まだ両親も帰っては来ていない。ならば今しかないだろう。葉鍵莉々菜は彼が使っていたクッションを抱き締め顔を埋める。そして何度も息を吸って吐く。…匂いがする。彼の匂いが。
「はぁ…♡…はぁ…んんっ…!はぁ…獅子田君…!獅子田君……んんっ…!」
指を入れる。疼く衝動を収める為に何度も何度も。時には激しく、時には抑えめに。彼の匂いを嗅ぐ度に自分の劣情が増していくのを感じる。やがてスパートを掛けるように指を動かすと…
「んん〜〜〜〜っ!!?」
ピクンと跳ねた後、体中に甘い痺れが駆け巡る。息は荒く、絶頂を迎えた葉鍵莉々菜はボヤっと天井を見上げるのだった。
(駄目……足りない……)
青い衝動が抑えられないのは男も女も変わらないのだ。
【葉鍵莉々菜のあなたへの愛情度が上がりました。69/100→70/100】
エッチな雰囲気になってきた気がする。