「お客様、また随分と凝っていらっしゃいますねぇ。これじゃ毎日痛んで痛んで大変じゃあないですか?」
「別に……肉体の苦痛なんて、ただの電気信号が見せるまやかし。どうせ何もかも消えてなくなるんだから、ただ虚しいだぁ゛っっっっっ!?」
「うーん……ふむ、なるほどなるほど。分かってきましたよぉ、これはまた毎日毎日何時間も同じ姿勢をキープされてる方特有の痛め方ですねぇ。お客様、さてはどこぞの警備任務でも引き受けてらっしゃるんです?キヴォトスの学生さんは頑丈とはいえ、数時間おきにちゃーんとストレッチしておかないとダメですよー」
まだお若いとはいえ、エコノミー症候群なんかはやっぱり怖いですからねえ。知ってます?エコノミー症候群。私の知り合いなんてねえ……
仏頂面のミサキに気を利かせているのか、それともよっぽどの喋り好きなのだろうか。相槌が返ってこないことなど露ほども気に留めずにエステティシャン型ロボットがマシンガンばりの世間話を繰り広げている一方で、マッサージ台にうつ伏せで寝転がる少女──戒野ミサキは苦悶に満ちた声を上げ続ける。
それはまるで手負いの獣が呻くような、「辛い」「苦しい」という感情だけをダイレクトに出力した声。
もしもこの場に彼女と付き合いの長いスクワッドの面々が同席していたなら、さぞ目を丸くしたことだろう。あるいは、一体どんな恐ろしい拷問を受けているのかと戦々恐々としたかもしれない。
何故なら彼女らはミサキほど苦痛に耐性を持つ人物を他に知らず、そしてそんな彼女が恥も外聞もかなぐり捨てて呻吟する様など凡そ想像したことすらなかったからだ。
大人たちに罵声の雨と共に容赦のない暴力を振るわれようとも、地獄のような訓練の最中に鉛玉を浴びせられようとも顔色ひとつ変えなかったミサキ。仲間たちが空腹と疲労に呻く中で、「別にお腹空いてないから」と年少者に僅かなレーションを譲る余裕さえ見せたミサキ。
そんな冷静沈着の権化たる彼女が今や額に脂汗を浮かべ、僅かにでもその場から逃れようと這って進む芋虫の如く身を捩じらせている。それはまるで性質の悪い夢のようで、戒野ミサキを知る者にとっては到底在り得ない光景だった。
(そうだ……痛いのも苦しいのも、私は平気。別にそんなもの、放っておけばいつか収まる電気信号でしかない。なのに、これはどうして……!?)
だが、生まれて初めて経験する「大人の高級マッサージ」から齎されるその刺激は、なんというかミサキのよく知る暴力を振るわれる痛さとは何もかもが異なっていて。
つまるところ、その驚愕の感情こそがミサキをひどく混乱させたのだ。こんなもの知らない。こんなもの習ったことがない、と。
球状のルームランプでぼんやりと薄く照らされた室内に漂う、甘やかなアロマの芳香も。程よく暖められたマッサージ用オイルが素肌を伝う、背筋がぞわぞわとする感覚も。何日でもぶっ通しで眠れてしまいそうな、まるで身体が沈み込むような高級ベッドの寝心地も。
そしてそれらを全て吹き飛ばすような、肺の中の空気を全て絞り出されるような強い圧迫感と痛み、それが通り過ぎた後にやってくる、正に圧倒的と言うほかない解放感を彼女は知らなかった。
攻撃を受けた箇所が全快するなど、率直に言ってもはや意味が分からなかった。
そんな未知の感覚に悶える少女の隣で、同様の施術を現在進行形で受けているシャーレの「先生」はくつくつと喉を鳴らして笑っていた。
日常的に大量のデスクワークをこなす彼もまた腰に巨大な不発弾を抱える身の上であり、当然のようにミサキ以上の痛みに襲われていたものの、しかし整体自体は初めてでもない。通っているのはここでない格安店ではあったが、むしろ常連だった。
故に時折「あ゛ー……」と湯船にでも浸かっているような、非常に気の抜けたおっさん臭い声を上げる以外はさして大きなリアクションも見せず、ミサキと違って非常にリラックスした様子でマッサージを享受していた。
むしろ今の彼は自分自身の腰の痛みよりも、ミサキが見せるこの上なくレアな表情の方にこそ興味津々なようだった。先生は自らの生徒を分け隔てなく大切に思っているが、それはそれとして女の子が困っている姿も同じくらい大好きな、控えめに言って困ったひとなのだ。
そんな先生は意地の悪い笑顔を貼り付けたまま、「ミサキ」と揶揄うように名前を呼ぶ。
「ふふふ……そっちはまた随分と気持ちよさそうだねえ。気に入ってくれたのかな?」
「ぐっ、あ゛っ、このっ、よくもぉっ……!」
そもそも事の発端は、先生が付き合いのある医薬品の業者からこの高級マッサージ店の優待券を偶々貰ったことにある。期限切れが間近に迫ったそれをシャーレの当番だったミサキが書類の山から発掘し、仕事明けでハイになった先生に半ば押し切られる形で共に来店したのであった。
つまり、ミサキとしては先生こそが諸悪の根源であり、自分がこんな醜態を晒す羽目になった元凶なのだ。
あなたにだけは笑われたくないんだけど、という至極真っ当な憤りがそこにはあった。
名前を呼ばれたミサキは涙目のままあらん限りの敵意を込めて先生を睨み付けたものの、しかし彼はどこ吹く風とばかりに下手な口笛を吹いた。ふざけるなよ、とミサキは怒りを募らせる。
(……とはいえ、ねえ)
ミサキも随分と表情豊かになったなあ、と先生はふいに感慨深い気分になる。
初めて知る感覚に戸惑いを隠せない今の彼女の振る舞いは鉄面皮と呼ぶにはほど遠く、どこからどう見ても年相応のそれでしかない。酸いも甘いも噛み分けた大人の先生からすれば、そんな少女の可愛らしい癇癪など恐るるに足りなかったのだ。
なんなら無理矢理お風呂に入れたときの猫みたいなリアクションだなあとも思っていたけれど、そちらの本音は寸でのところで口に出さず吞み込む。
それを言ったが最後、たぶんタダではすまないだろうなという予感があった。先生は自身の命に関わる危険については妙に敏感なのだ。
「わははははは。聞こえないなあ〜……ねえ店員さん、どうぞ思いっきりやっちゃって下さいね。私としても彼女には日頃からお世話になってるので、ここらで一度存分にリフレッシュして欲しくてぇ」
「あらまあ。シャーレの先生にそこまで言わせるなんて、お客さんってば凄い方さんなんですねえ。もしかして……どこぞの学校のエリートさんだったりするのかしら」
「ちょ、何を勝手にい゛っ゛!?ぎっ゛!あ゛っ゛!がっ゛!」
よおし、それじゃあ張り切っちゃいますよお。
そんな間の抜けた声と共に店員ロボの目付きがガラリと変わり、マッサージのギアが更に上がった。
いよいよ物理的に燃えているのではないか、などと錯覚するほどにミサキの腰が熱くなる。何十発銃弾を撃ち込まれてもこうはなるまいという激痛に襲われ、彼女の思考は千々に裂けた。
(いや……もうかなり限界……っ!)
流石に勘弁してくれと枕に顔を埋めたままミサキはギブアップ宣言の如くベッドを叩いたが、しかし店員ロボは素知らぬ顔で施術を続ける。ミサキの懇願など聞こえていないとばかりに仕事を続行し、少女の全身を余す所なく揉みほぐしていく。
とはいえ、それは彼女が職務に対して無気力で無機質で、ミサキのこともどうでもいいからなどではなかった。それどころか、妙齢の女性型である彼女はどこか楽しげですらあったのだ。
もちろん先生直々に「痛がってもやめるな」というお墨付きを貰ったこともあるが、なにせ日頃からこの店に訪れるのはいずれも経済的に余裕があり日常的に似たようなサービスを享受する人物ばかり。
プロのマッサージ師として彼女がどれだけ本気で仕事に望もうとも「まあ悪くなかったよ」の一言で済ませる客ばかりで。つまるところミサキのように初々しさを隠そうともしない客は随分と久しぶりだった。
誇り高きプロとして、職人としてそんなお客様に巡り合った以上、彼女が望むのはただひとつ。
即ち、マッサージの世界の奥深さを垣間見て欲しい。一生涯記憶に残るかもしれない初めての思い出を、ほんの少しでも素敵なものにして差し上げたい。
そんな純粋な願いが、キヴォトスでも有数の高級店に在籍する店員ロボのプロ根性に火を点けたのだ。
覆水、盆に返らず。もはや走り出したその情熱を留める術などあろう筈もなく、結果としてミサキは数時間にも渡って全身をこれでもかと揉み解されてしまった。それはもう丹念に、全身のありとあらゆる凝りを綺麗さっぱり取り除かれたのだ。
グロッキー状態のミサキは途中からもはや声すら上げず、まるで借りてきた猫のようにされるがままだった。そして店を出てシャーレに戻ってからは、遂にぐったりとして一言も発さなくなってしまったのである。
疲れた、と丸まったその背中が何よりも雄弁に語っていた。
「ミサキ、寝るならソファーじゃなくてベッドでねー」
仕事人間の先生はデスクに腰を下ろすなり端末を立ち上げてメールをチェックしながらそう声を掛けたが、返ってきたのは鋭い舌打ちだけ。
けんもほろろだ、と元凶の彼は苦笑する。
さて。連邦生徒会調査部「シャーレ」の活動内容の一切は先生に一任されているが、多岐に渡る業務の中には当然ながらシャーレで使用される大量の銃弾や医薬品など備品の補充も含まれる。
つまるところ、シャーレの財布を握っているのは(実質的にはかの「セミナー」の会計であるという噂がまことしやかに囁かれているものの)顧問を務める先生であり、彼の胸先三寸次第で大口の取引が決まると言っても過言ではないのだ。加えてバックに付いているのはかの連邦生徒会であり、顧客としては超が付くほど優良と言っていい。
ゆえに、そんな存在が彗星の如く現れたとあっては、キヴォトス中の商社やメーカーとて黙ってはいられなかった。
絶対に契約を勝ち取れ。少しでも他社より友好的な関係を築けと、あの手この手でこぞって先生を饗そうとするのはもはや必然ですらあったのだ。
勿論、過剰な接待や金品の贈与は先生とて断る。断るのだけど、しかし下心ありきといえども好意自体はそう無下にも出来ないし、それにあまり袖にし続けていれば現場の営業マンたちがいずれその上司に「お前がシャーレの先生の不興を買ったのではないか」と絞られてしまうのは火を見るより明らかというもので。
大人として、組織の歯車のひとつとして、先生は必死に媚を売る彼らにどうにも憐れみを覚えずにはいられなかった。
大人の世界とは実に摩訶不思議なもので、こうして誘う側も誘われる側も特に乗り気でない会食が往々にして発生する。
「一緒に食事へ行く仲であること」とそれを周囲に示すことそのものが重要であり、楽しいかどうかはさしたる問題ではない──というのは、むしろトリニティの一部の生徒であれば馴染み深いところなのかもしれないが。
なんにせよ奇妙な慣習である。
閑話休題。
そういった大人の付き合いの中で、先生は取引のある業者からレストランやアミューズメントパーク、水族館にスポーツ観戦などの優待券を譲り受けることが偶にある。それもペアで。
シャーレの先生は沢山の生徒を毎日取っ替え引っ替えしているらしい……などというまことしやかに囁かれる噂が原因なのかはともかく、折角貰ったものを腐らせるのも勿体無い。先生は多忙を極めるスケジュールの合間を縫い、しばしばそれらを仲の良い生徒と一緒に消費していた。
同年代のみで形成された学校という社会に生きるキヴォトスの学生は、押し並べて外部である大人への不信感を抱きがちだ。
確かに自分の身を守るためにある程度の警戒心は必要だけれども、あまり過剰な敵愾心は不要な不和の種にもなってしまうだろう。
メンタルケアとまでは言わないが、優待券を使った外出はそんな生徒たちへの「偶にはこんな贅沢が出来るんだから、大人になるのもそう悪いもんじゃないよ」という彼なりのフォロー兼社会科見学ツアーだったのだ。
そのため(あくまで先生の主観では)親しい生徒のひとりであるミサキともそうして外出する機会は過去にも何度かあったものの、どうやら今回の高級マッサージは特にお気に召さなかったらしい。
先生は新着メールを優先度別にフォルダへ振り分けながら、ソファの上で横になっているミサキの様子をさり気なく伺う。ヘイローが点いているあたり、まだ寝るつもりはないらしかった。
(食事や行楽にはあまり興味がないみたいだったから、リラクゼーションの類ならもしかしてって思ったんだけどねえ。……ああ。そういえば熊のぬいぐるみをかなり大事にしてるって聞いたことがあるし、次はファンシーショップにでも連れて行ってみようかなあ)
ぞんざいに扱われても割と平気、もとい精神的にタフなのが先生の長所のひとつである。
彼は全く懲りずに次回のお出かけ計画を構想しつつ、しかし思案するように腕を組んだ。
とはいえ、だ。思い返せばミサキという少女は閉所や花粉が苦手であったりと、どうにも平均より神経質というか、やや感覚の過敏なところがある。生まれて初めてのマッサージは、恐らくそんな彼女にとってのキャパシティを容易く超えてしまったのだろう。少し考えれば分かることだった……かもしれない。
先生は苦笑いを浮かべ、小さく頬を掻く。
気疲れさせてしまったのはまず間違いなく自分の判断ミスであるし、大人というより人間としてその埋め合わせはすべきだろう。
(……それに、ミサキって怒るとおっかないしねえ。私としても長期戦は避けたいところだ)
ミサキは一見すると何事にも淡白なように見えるが、実際は割と根に持つタイプだ。消化に時間がかかると言い換えてもいい。
直接的な言及を以て蒸し返したりこそしないものの、彼女は怒りを態度で表す。煮え滾る憤りが収まるまでは、常にこちらを非難するような冷たい眼差しが注がれ続けるのだ。
うん、まあ、ぶっちゃけこれがかなりしんどい。キレて引っ叩いてくれた方がマシまである。
先生は別に生徒に冷たくされて喜ぶようなマゾヒストではないので、ミサキへの対応は正に喫緊の課題と言って差し支えないものだった。
そうと決まれば善は急げだ。
先生はアロナに詫びて簡単かつ提出期限の迫っているもののみ事務処理を代わってもらい、留守中に届いていた生徒からのメールやモモトークには目を通し次第手早く「ひとまず確認したよー」という旨のメッセージだけを返す。幸いにも緊急の要件はないようだし、これで最低半日程度は時間が確保出来ただろう。その間になんとしてもお姫様の機嫌を取るとしよう。
先生は高級マッサージのおかげで随分と軽くなった腰を上げ、ソファの上で胎児のように丸くなっているミサキの肩を優しく揺さぶった。
いつもより蕩けた赤色の眸が、どこか眠たげに先生を見上げる。
「ミサキ、ねえミサキ。折角体ほぐしてもらったんだし、寝るならちゃんとベッド行こう?ほら、私が運んであげるからさ」
「……別にこのままでいいよ、面倒だし」
「そう言わないでさ。ね、ね」
ほら、いま持ち上げるから。ちゃんと掴まっててね。
先生はそう告げると宝物を運ぶように繊細な手つきでミサキを軽々と抱き上げ、そのまま執務室を出て仮眠室へ向かう。
外は既に燃えるような夕暮れだった。朝と夜の狭間にありながら、しかし最も瞼に焼きつく茜色。淡くて青い春のただ中にいる愛すべき生徒たちは、今日もこの空の下で各々の思い出作りに邁進しているのだろうか。
どことなくセンチメンタルな気分になった先生はまず目に痛い西陽の差し込む窓を厚手のカーテンでしっかりと塞ぎ、室内を暗くする。以前生徒にプレゼントされたアロマディフューザーをセットして、枕は折角なので新しいものを出してベッドに横たえたミサキの頭の下へ。
肝心のベッドはワーカーホリック御用達の簡素なものなのだが、しかし幸いにも成人男性が足を伸ばすに足るサイズではある。身体を折り曲げなければ横になれないソファよりはずっとマシだろう、と先生は満足げに頷いた。
「これでよし、っと。ところでミサキ、起きたら何か食べたいものとかある?エンジェル24までちょっとひとっ走り行ってくるよ」
「……ないけど、急に何?」
「いやあ、なんだか疲れさせちゃったみたいだから。甘いものでも食べて機嫌直してもらおっかなーと」
「…………それ、普通本人に言う……?」
どうやら失言だったらしい。ミサキの眸がすっと冷たいものになり、静かに、しかし確実に空気がひりつく。
よくそんなので「先生」が務まるね。スクワッドのみんなにもそうなの?そのうち全方位から嫌われるんじゃないの。信じらんない。
子供扱いは彼女にとって特大の地雷である。盛大に渋面を浮かべたミサキにそう言われ、先生は内心でまずいと焦りつつも緩く首を傾げた。
ええ、そうかなあ。ヒヨリもアツコもサオリも、むしろ明け透けな態度の方が喜ばれるんだけど。
特異な環境で育った彼女らは偶にひどく浮世離れした、もっと言えば世間一般の人間には到底考えられないような思考回路を発揮することがある。
例えば道路がない国から来た人間には横断歩道の信号の意味が理解出来ないように、あるいは海や川のない地域の人間には釣った魚を生で食べてはいけないという知識が備わっていないように。異なる文化圏で育った相手と己の「常識」や「普通」を前提にしたコミュニケーションを行っていると、どうしようもなく互いの思惑がすれ違う瞬間があるのだ。
だから、アリウスのみんなにはなるべくストレートに考えたことを伝えてるんだよ。
まあヒヨリあたりはちょっと素直過ぎな気もするけど……生徒の我儘を聞くのも、大人の甲斐性だしね。
先生が邪気を感じさせない笑顔でそう言うと、ミサキはいよいよ頭を抱えざるを得なかった。大人の奥の手、話題逸らしが決まった瞬間である。
「はぁ……あーもう、みんなもう少し遠慮しなよ。というかもっと警戒しなよ。確かに先生には恩もあるけど、仮にも大人の前なんだからさあ……」
はあ、と再び大きな溜息が漏れる。
取引や契約で雁字搦めにして、自分は一切手を汚すことなく他人を意のままに操るという大人のやり方の恐ろしさはスクワッド全員が知るところだ。いくら先生が相手といえども、最低限の警戒心は持っていてほしい。このままだと先生の名を騙られただけで、知らない相手にすらホイホイ着いていきかねないんじゃないか。
サオリにリーダーと書いて保護者と読むポジションを託されてしまった以上は──面倒だと思いつつも放り捨てるという気は毛頭ないあたり、彼女は本人が自覚している以上に生真面目なのだが──そんなことを考えずにはいられないミサキだった。
「ふふ。気苦労が絶えない、って顔に書いてあるねえ。ほら、そういうわけだから別に遠慮しなくていいんだよ。ちなみに先生のおすすめは秋限定チョコミント味焦がしスイートポテト。さつまいもの濃厚な甘さとチョコミントの清涼感の出会いは正にビッグバン」
「えなにそれ本当に美味しいの……じゃなくて、何度聞かれても同じだよ。別に欲しいものなんてない。食事なんて所詮身体を維持するためのルーチンなんだから、栄養もロクにない砂糖の塊なんて……ああ、だったら代わりにあまりみんなを甘やかさないでもらえる?そんなにいつでもいいものを食べられるわけじゃないんだから、あまり舌が肥えられると困るんだよね」
「……なるほど。想像以上に取り付く島がないね?」
「当たり前でしょ。いつも言ってるよね、私を小さな子供みたいに扱うのはやめてって。同じことを何度も言わせないで」
迷惑だ、と顔に書いてあるミサキが大きく溜息を吐く。
眉間に皺が寄った表情はお世辞にも上機嫌のようには見えず、元々持っている近寄り難い雰囲気にも更なる磨きがかかっている。ここは一度時間をおき、ほとぼりが冷めてから謝罪するのが最適解に思えるだろう。
だが、先生は知っているのだ。少女とはいえ女性の心はいつだって複雑怪奇であり、ここで臆して放置した方が後々よほど面倒なことになると。触れたら「今はそっとしておいてもらえませんか」とか言う割に、本当にそっとしておくと「私が傷付いててもどうでもいいんですね」とかマジで言われかねないのだということを。
そういうところ、なんというか仕事と似てるなと思わなくもなかった。発生したその瞬間に対処すれば大した問題じゃないのに、なんだかんだと後回しにすると途端に難解になるタイプのタスクとか特にそう。ミサキもその辺立派な女の子だよなあ。
そんな本人に知られたらまず一週間はモモトークが完全既読無視されるようなことを考えながら、先生はベッド脇に備え付けられているリモコンをさっと操作してシャーレの正面玄関を施錠した。
すると軽快な電子音と共に、正常にロックされたことを知らせる通知がスマホに届く。急用の生徒がインターホンを鳴らせばスマホが再びそれを知らせてくれるだろう。
これで一部の生徒が無理やりこじ開けない限り、あるいは正面玄関以外からの不法侵入を試みない限り(この時点で幾人かの心当たりがあるのが悲しい話なのだけれども)この仮眠室に突然の闖入者がやって来ることはまずない。
ヴェリタスに依頼して誂えてもらった「いよいよ立ったまま寝られるレベルで眠気が限界に達してしまい、戸締りすら億劫になったとき用の限界ワンタッチ式セキュリティシステム」が思わぬ形で役に立った瞬間である。
ミサキはそれに気付いた様子もなく、面倒臭いなという感情を隠しもせずに先生を見上げていた。
「……で、まだ何か用?どうせ今日も忙しいんでしょ。さっさと仕事に戻った方がいいんじゃないの」
「んー、まあ忙しくないとは言わないけど。でも、そうだなあ。甘いもので許してくれないなら、もういっそ「別の方法」でミサキを甘やかしちゃおうかな〜と思ってさ」
「それは、ん、あっ……♡ちょっと……」
突然のことだった。
先生はにやりと笑い、ミサキの胸元に手を這わせる。服越しに──といっても、ミサキはブラジャーの拘束感をあまり好まないため、アリウスの支給品と自前のパーカー二枚重ねの下は薄手のインナーだけなのだけれども──仄かに感じられる柔らかな感触を楽しむように、大きな掌が少女の沈み込むような柔らかさの乳房を撫で擦ってゆく。
とはいえ、愛撫にもきちんと踏むべき段階がある。いきなり性感帯に触れたとて、それだけでよがって悦ぶ女などいはしないのだ。
その点において、布地の上で硬い男の手がそろそろと這い回る感触もまた、快感よりもこそばゆさの方が勝るものだった。というか圧勝だった。ミサキは咄嗟のことで少し驚いたものの、すぐに冷静さを取り戻すと信じられないとばかりに冷たい視線を先生へと向ける。
「……最悪。私のこと子供扱いする癖に、[[rb:そういうこと > ・・・・・・]]はしてくるとか」
「え、嫌だった?嫌ならやめるけど……」
「…………別に。勝手にすれば」
ミサキは男に触れられてもなお変わらず呆れたような顔をしていたが、それでも特に抵抗らしい抵抗を見せることはなかった。無言のまま、されるがままにパーカー2枚を脱ぎ捨て、あっという間に上半身はタンクトップタイプのインナーのみになる。
先生も詳しく聞いたことはないが、元々あまり上等な素材ではないのだろう。アツコのように肌に張り付くタイプではないのにも関わらず、ところどころがほつれた黒く薄い布地はミサキの華奢な身体の輪郭を露わにしており、よく見ればあばらが薄く浮き出ている。裾のよれも気になるし、本格的な冬が来る前にそれとなく替えを用意しておくのもいいかもしれない。
呼吸に合わせて上下する胸に手を重ね、脳内のお買い物メモを更新した先生は先ほどよりもいくらかダイレクトに伝わる乳房の柔らかな感触に「おっ」と呟いた。
なんだろう。はっきりとは言えないが掌を押し付けたときの、なんというか弾力のようなものが以前と少し違う。ような気がするのだ。
そのまま両手でこねくり回すように揉みしだいたり、谷間を作るように両方の胸を寄せたりしているとミサキから怒気を孕んだ声で「ちょっと」とストップがかかった。
ヤバ。
「あーいやごめんごめん。というかミサキ、なんか前よりもおっぱい大きくなってない?やっぱり揉むと大きくなるってマジなのかなあ」
「ん……っ♡……別に、どうでもいい。そんなの興味ないし計ってないから。むしろどう考えても邪魔なだけでしょ、こんな脂肪の塊。大きくなって何のメリットがあるんだか……」
「あー、確かにハス……グラマーな子は割と不便だって聞くね。あんまりおっきいと階段降りるときに足元が見えなくて怖いとか。まあでも、考えてみたら私は今のスラッとした体型のミサキが一番好きかも」
だからうん、大きくなったのは気のせいってことで。そうじゃないとこれ以上揉めないしね。
先生は既に固く膨れ上がっていたミサキの乳首を、親指と人差し指できゅっ♡と挟み、そのまますりすり♡と擦り合わせる。
圧し潰すのではなく、あくまでもつまみを軽く捻る程度の力加減。欲望の火をじっくりと煽るような愛撫は乳頭を中心にミサキの躰に甘い電流を走らせ、堪らず少女の喉奥から「んっ♡」と甘い声が漏れ出る。
未だ快感に慣れきっていないが故の、無意識の反応なのだろう。まるで秘所を守るかのように内股へ寄せられたミサキの膝を跨いで馬乗りになり、先生は少女の耳元へと口を寄せた。
「大丈夫だよ。ほら、力抜いて。今日はミサキの大好きな甘やかしえっち、たくさんしてあげるからね」
「っ……♡別に、好きじゃないし頼んでない……」
「うんうん。先生ちゃんと分かってるヨー」
「いやそれ絶っ対分かってない……!」
語気を荒げて食って掛かるミサキだが、言ってみればそれは一種の甘噛みのようなもので。先生が緩く肩を竦めてから耳たぶにそっとキスを落とすと、少女はびくりと震えたあと長々と息を吐いてから目を閉じて黙り込む。
何も見たくない、何も視界に映したくないと言わんばかりの態度は一見するとオスを固く拒絶しているようにも見えるが、しかし彼女は褥に入るときいつもこうだった。シて欲しいなど口が裂けても言わないし、ましてや興奮を煽るような甘い睦言など望むべくもない。だが、それでも途中で行為を中断すれば薄目を開けて物言わず非難するのだ。
一度緊急の呼び出しでミサキを放置してラブホテルの一室を慌てて飛び出したことがあったが、後日中々機嫌を直そうとしなかった彼女に骨が折れたことを先生はよく覚えている。
間違っても本人には言えないけど、そういうちょっとめんどくさいところも可愛いんだよなあ。
先生は自身の口角が思わず上がったことを自覚したものの、見られてないなら別にいいか、と思い直した。幸せなときに笑顔がこぼれるのは、何も間違ってなどいないのだから。
ミサキと先生がふたりきりで顔を合わせる度に「こういうこと」をするようになって──率直に言って肉体関係を結んでから、もう数か月が経つ。
はじめはただの成り行きだった。
ひどい土砂降りの中で追っ手を撒いて、ずぶ濡れの上に泥塗れになったミサキが背に腹は代えられないからとシャーレを訊ねて。そしてそのとき、偶々彼女はアツコたちと些細なきっかけから少しばかり言い争いになった直後で。
これは大人になると度々実感することだけれども、社会的な立場や契約はあくまで人間の本質ではなく、むしろそれに付随する責任と重圧こそが人格と呼ばれるものを形作る。背中に感じるその「おもみ」がこの残酷な世界で歯を食いしばって理不尽に抗う理由であり命綱となるのだと、先生は常日頃から考えている。
当初こそ勝手に押し付けられたと憤慨していたものの、その点においては実に佳い刺激になったのだろう。サオリからリーダーという責任ある立場を預けられたばかりのミサキは(先生からすれば)以前とは見違えるほど自分で何かを考えるようになっていたのだが、しかしその日シャーレに突然現れた彼女はまるで初対面の頃のように、あるいはそれ以上に無気力な人形めいていた。
何かがあったことは一目で分かった。
先生は驚いたが、しかし「どうしたの」と尋ねてもミサキは何も答えず、その場で立ち尽くして俯くばかりだ。
なんにせよ、このままでは風邪を引いてしまうだろう。先生は取り敢えずシャワーを浴びることを提案したが、物言わぬミサキはその場から一歩も動こうとしない。結局、先生が半ば強引に手を引いてシャワー室まで連れて行ったのだ。
……繋いだ掌は、ぞっとするほどに冷たかった。
なんとなく、今の彼女は誰かに死ねと言われたら本当に死んでしまうのではないか、と。
ミサキは今も彼女だけに見える断崖絶壁の上に立ち尽くしていて、ほんの僅かなきっかけでそこから転落してしまうのではないかと、そんな漠然とした危機感を抱いたことを先生は強く覚えている。
久方ぶりとなる温かいシャワーを浴びて、インスタントの安っぽくて甘やかなコーンスープを飲み干して。柔軟剤の香る清潔な着替えと柔らかくてフカフカなタオルに身を包まれてしまえば、いくらミサキといえど多少の気は緩んだのかもしれない。
「なんだか張り詰めていた糸が切れたみたい」と語る彼女の横顔は夢の中にいるように茫洋としていて、儚くて、まるでそこにいることそのものがタチの悪い嘘みたいだった。
「私の、私とリーダーがやってることってさ、いったいなんなんだろうね」
先生はその職業柄、ひどく落ち込んだり気分が沈んでいる女の子を励ますことがままある。責任感の強さゆえに罪悪感を抱き、視野狭窄に陥っている生徒を諭したことも一度や二度ではなかった。
けれど、今のミサキに「頑張ったんだね」や「休んでいいんだよ」とはとてもじゃないけど言えなくて。先生は温かい言葉をかける代わりに、ミサキの隣で彼女の手を握った。祈るみたいに、強く握り締めた。
「ふたりを守って、逃がして、生かして、それが結局何になるんだろう。こんな世界でみっともなく足掻いて、地べたを這いずり回ったところで……結局何にもならない。全て塵になって消える、虚しいだけの世界なのに……」
「……先に謝っておくね、ミサキ。私はそれに明確な答えをあげられないし、答えてあげられるほど無責任でもないんだ。もし私が何かを言って、ミサキがそれに縋ってしまったなら。その言葉だけが正しいと思い込んで、ミサキが自分の世界を閉じてしまったら、それはきっと、」
「──私たちを散々利用してきた大人と同じだから、でしょ。……うん。分かってるよ、そんなこと」
全部分かってるんだ。
ミサキは体育座りの姿勢で立てた膝に、真新しい傷の残る額を弱々しくぶつけた。
よせばいいのに、自家中毒になっていると分かってもなお、ネガティブな感情がぐるぐると渦を巻いて消えなかった。仲間たちと口論になってから言われた言葉が、言ってしまった言葉が耳朶の奥でいつまでも反響して止まない。自らの浅慮と不寛容を呪うほど心はもがくほど泥沼に沈むようで、ループする思考はもうずっと同じ場所から動けてさえいなかった。
感じることをやめてしまえたらどんなに楽だろう、と俯いたミサキは訥々と語る。
この世に生を受けたその瞬間から身体に備わっていた五感。そしてそれ以外の感覚器官が受容する情報も、制御を離れて揺れ動く情動の機微も、己の鼓動の音すらも。ミサキの身体なのに、決してミサキの思う通りにはならない。量産品の電子機器のように、ボタンひとつでオフになってくれはしない。
何度振り払おうとも、どこまでもどこまでも付き纏ってくる。絶えずノイズとなってミサキを苛むそんな感覚は、まるで耳元に張り付いて片時も離れない羽虫の大群のようだった。
そして戒野ミサキにとっての人生とは即ち、そうした煩わしさや鬱陶しさと無制限に向き合い続ける拷問に他ならないのだ。
「……疲れた」
余人は己の風貌や佇まいを指し、まるで感情を持たない人形のようだと嗤う。何も感じない木偶だと囁く。
…………けれど本当は、私はそんな木偶にすらなり損なった存在だから。
仮初の理想やきれいごとに惑わされない、そんな凪いだ水面のように揺るぎない存在でありたかった。ずっとそうなりたくて、でも手が届かなくて。どうせ本当に価値のあるものなんて一生手に入らないのなら、もう何も感じたくはなかったのに。
一方的に託されたものを、気が付けば必死に守ろうとしていた自分に腹が立って仕方なかった。
ただの口喧嘩とはいえ、ふたりに拒絶されて傷付いている自分が、ひどく惨めで滑稽だった。
「このひとならきっと何も言わずに耳を傾けてくれるだろう」なんて、そんな情けない打算を携えてシャーレを訪ねた自分のことが心底気持ち悪かった。
だから、だから、だから。
「もう、きえてしまいたい……」
つまるところ、その日のミサキはそんならしくない弱音をよりによって大人である先生の前で吐露してしまうほどに弱っていて。
そこには慟哭も涙もなかった。ただ、干からびた老人のような諦念と自己嫌悪がうず高く積もっていて。力なく項垂れる彼女を、先生はどうしても見過ごすことが出来なかった。
叶うならその心に触れて、思い切り抱き締めてやりたかった。まるで春に取り残された黒い雪のように、ふと目を離したらどこかに消えてしまいそうなほど頼りないミサキのために何かをしてやりたくて、先生はいよいよ居ても立っても居られなかったのだ。
元より、互いを憎からず想っていたふたりである。
欠けたものを埋め合わせるように、あるいは互いの温もりで暖を取るように。軽薄だけれど献身的な先生と、無機質なようで寂しがり屋のミサキは一見凸凹なようで根本的に相性が良かったのだ。だからたったひとつのきっかけさえあれば十分で、偶然に背中を押されたふたりは大人と子供の境界線をあっさりと超えてしまった。
皆の目があるところでは何事もなかったかのように振舞いながら、日常の合間に身体を重ね続ける。そんな爛れた習慣が日常の1ページ化すまで、そう時間はかからなかったのだ。
「ミサキ。口開けて」
「……ん」
それこそ、こうして男の指示に何の反感も抱かず従ってしまう程度には躰も調教されきってしまっていて。
初めてのときは碌に濡れもしなかった蜜壺が、ギラついたオスの眼差しに正面から射抜かれただけで微かな湿り気を帯びはじめている。繁殖欲の捌け口にされることを分かっていながら、いや、分かっているからこそ受け容れる準備を始めてしまう。
……そんなの、まるで私が先生とのえっちを期待してるみたいだ。
ミサキはそうした自身の現状について思うところがないでもなかったが、そんなモヤモヤも口内に侵入してきた舌肉のぬるりとした感覚によって吹き飛んでしまう。
小娘であるミサキのものよりずっと大きくて分厚い、大人の舌。それがまるで獲物を狩る蛇のように、性感帯として開発されつつある少女の舌の弱点を抑えつつ絡み付いた。舌同士が擦れ合うとき特有の、ぬるりとした感触がミサキの思考を静かに溶かす。
そしてさりげなく後頭部に回される、ごつごつとした逞しい掌の感触。それはミサキの上半身を抱き起こして支えるだけでなく、「目の前のオスにすべて委ねてしまいたい」というメスの本能を優しく刺激する。
甘くて優しい、大人の抱擁感を強く刻み込まれてしまうような深いキスの中で、ミサキは「最悪」と先生を詰った。
何度言っても子供扱いするくせに。バカで軽薄で、どれだけあからさまな好意と共に言い寄られても生徒との間には一線を引こうとするくせに。
それでも、先生ははじめて身体を重ねた夜からずっと、一度たりともミサキとのキスをおざなりに済ませたことはなかった。セックスフレンド以上の関係を望まないミサキに配慮して愛の言葉は決して囁かなかったけれど、しかしそれでも「女の子はみんなお姫様なんだよ」と言わんばかりに、あの手この手で蕩けるような口付けをミサキに教え込むのだ。
これから先、もし私が先生以外とのキスで満足出来なくなったらどうするつもりなんだろう。……責任とか、取ってくれるのかな。
とろんとぼやけた思考の片隅でそんなことをぼんやりと考えている少女の顎へと手を添えて、互いの顔の位置や角度をこまめに調整しつつ。まるで触れ合った粘膜と粘膜をひとつに溶接するかの如く、あるいは最も気持ちのいいキスを貪欲に探し求めているかのように、先生はミサキと唇と唇を重ね続けた。
「ん……む、ぅ♡んっ……っふ、ぅ、ん……♡♡」
──ちゅう……♡♡ぴちゃ♡ぴちゃ♡ちゅぱっ……♡♡ちゅぅぅっ♡♡ぴちゃ♡ぴちゃ♡
男と女の荒い呼吸音と、唇が吸い付き、そして離れるときのリップ音が薄暗い仮眠室に大きく響く。
先生は(ちょっと面白いから)黙っているものの、前者はともかく後者の音はどちらか片方が強く唇を吸わない限りそこまで大きくは鳴らない類の音だ。そして先生の側にはそんなことをしたつもりはないため、必然的にミサキの方が音の出るほど男の唇を吸引していることになる。有り体に言って、がっついている証拠だった。
これって、なんだかミルクを飲む赤ん坊みたいだよなあ。
本人にそのつもりはないのだろうけど、ミサキには時折スクワッドの誰よりも幼く見える瞬間がある。妙に脇が甘いというか、まだ何色にも染まっていないという意味では誰よりも無垢というか。
そういうところを垣間見てしまう度に、先生は妙なツボを押されてしまう。他の生徒であれば庇護欲に繋がるところを、戒野ミサキという少女に対してだけは「この子の色んな顔が見てみたいな」と、まるでそこらにいる普通の男のようなことを考えてしまうのだ。
そして実際のところ、先生はミサキのことが異性として好きだった。ひと回り以上も歳の離れた相手にそれってどうなの、とは本人としても思わないでもなかったが、人を好きになるってあいにく理屈じゃないのだ。気付いたら好きだったとしか言いようがなかった。
だけど、今のミサキはそういう関係を望んでいないと分かっているから。彼女に必要なのはあくまで心を休める場所であって、己はそれに徹するべきだと自覚しているから。ようやく日の当たる場所へと一歩踏み出したばかりの彼女には、己のそれはまだ受け止めきれないと理解しているから。
先生は「好き」というそのたったひとことを胸の裡へと押し留めるのに、いつだって見た目以上に必死だった。
「……ぷはっ。……先生?なにか言った……?」
なんとはなしにそっと唇を離すと、唾液のアーチで繋がったままのミサキが緩く首を傾げる。
平静なように見える眸の奥には「やめるの?」という隠しきれない不満の色が覗いていて、無意識の発露なのか片手は先生の袖を掴んでいた。まるで人よりも甘え下手な、ただのどこにでもいる女の子のように。
先生はあどけない仕草を晒す少女のことが無性に愛おしくなり、その頬をそっと撫でる。
今の関係で満足しておくべきなのは、彼としても分かっていた。
でも(奇しくもミサキもまた似たような悩みを抱えていたのだけど)こうして生きている以上は、やっぱり見たもの触れたものから何かを感じることは止められなくて。ふとした瞬間に「あ、やっぱりこの子のこと好きだなー」と自分の気持ちを自覚してしまう。幸せで切なくて、胸の奥がぎゅっと縮まるような心地になってしまう。
これ以上はまずいと分かっているのに、身体を重ねる度により一層彼女のことが愛おしく思えてしまうのだ。
好きな子のセフレになるのって、幸せだけどめちゃくちゃしんどい。頼れる大人だと多大な期待と信頼を寄せてくれている生徒のみんなには申し訳ないけれど、結局のところ恋愛には大人も子供もないのだ。
もう一度だけ軽く触れ合うようなキスを落とした先生は小さく溜息を吐き、短く切り揃えた前髪を乱雑に掻き上げた。
なんというか、気持ちを伝える手段をまだあまり多く知らなかった子供の頃の方がよっぽど自分の感情に素直でいられたような気がする。人間って不思議だ、と今更のように思った。
「……なに。やめるの?」
「……いいや、まさか。ただ、やっぱりミサキはかわいいな〜って。今すぐ世界中に自慢したいくらい」
「はあ……ほんとそういうのいいから。先生に言われても別に嬉しくないし。どうせ性欲解消が目的の、その、セフレなんだし。ほら、さっさと済ませて」
「そう?私はミサキとのお喋りも、えっちと同じくらい好きなんだけどなあ……」
でもまあ、ミサキがそう言うなら。胸、直接触るね。
そう言って先生は薄いタンクトップを捲り上げ、鍛え上げられたというよりは無駄な肉の一切が削ぎ落されているという印象を受ける少女の腹部へそっと触れる。
昼間のマッサージ師のものとは根本的に異なる、いきものとして血の通った暖かくてゴツゴツとした手とその指先。男性特有の少しガサついた肌の感触は少女の持つすべすべの雪肌と擦れる度に妙な摩擦と違和感を生んでいたけれど、だからこそメスを妙に陶然とした心地にさせる。異性に直接身体を触れられている、とこの上なく強く実感させられてしまうのだ。
先生は掌全体で擦るようにお腹の辺りからゆっくりとミサキの瑞々しい肌を撫で上げていき、やがて柔らかな乳房に到達すると大きく広げた五指で包み込むようにそれを揉みしだいた。
先ほどまでの玩具で遊ぶような手つきとは違う、真摯な愛撫。女性にとってデリケートな部分だからこその絶妙な力加減で、先生はミサキの控えめだが確かにそこにある胸を労るように、円の軌跡を描くように揉みほぐす。
──むにゅっ♡ふに♡ふに♡むにゅ♡むにゅ♡
「ん……っ♡ふ、っ……♡♡ぁ、っ、ぅ……♡♡」
まるで肩まで温泉に浸かっているような、じんわりとした快感がミサキの中に蓄積されていく。規則正しい呼吸はどうしたって抑えきれない期待と興奮を帯びてゆき、己がメスにさせられているという羞恥で頬が熱を持つ。
けれど、それよりも気になってしまうのは何度も何度も乳首を掠めていく先生の指の硬い感触で。
(ああもう、さっきからわざとらしく何度も何度も……♡♡♡)
さほど徹底的に避けているわけでもないのだろう。時折普通に指先が直接触れて、甘い痺れが身体を駆け抜けることもある。だが、決して本気では触れないし弄らない。かりっ♡と男の爪の先が敏感な乳芽を引っ掻くだけの、まるで欲望の火を煽るような愛撫だ。
うずうず♡♡と腰のあたりに熱が溜まるのが分かった。ミサキとて生娘ではない。いや、それどころかセックスの味を覚えたてだからこそ、どうしたって「その先」を身体が期待してしまうのだ。
「あ……っ♡♡また、少しだけちくび触れ……っ♡♡っ、先生、それ、いい加減にやめ……あ、んっ!♡♡♡」
やめて、とミサキが告げる一歩手前で先生の親指が乳首を押し倒した。
半勃ちの乳首は先端こそ固くなっているものの根元はまだ柔らかく、ふにっ♡とお辞儀をするような格好でおっぱいへと倒れ込んでしまう。
そうして引き戻した指と一緒に立ち上がった乳首の先っぽを、更に先生はすりすり♡すりすり♡と親指の腹で撫で擦る。再び肉蕾を中心に甘やかな電流が走り、ミサキの意思とは無関係に嬌声が溢れた。
「ぅ、ぁぁ゛ッ……!♡♡♡」
ミサキは押し寄せる快楽の波から逃れようとして、半ば反射的にその細い肉体を捩らせる。が、体格で劣るオスに組み敷かれたままどこに逃げられる筈もなく。
寧ろ身じろぎを繰り返す躰の動きに合わせ、控えめな乳房もまたオスを誘うかのようにいやらしくゆったりと揺れる。そうして先生の硬い指と敏感な乳首が新しい擦れ方をしてしまい、その度にミサキはあられもない声を上げるのだから本末転倒もいいところだった。
少女の痴態を特等席で楽しむ先生はくすりと笑い、赤くなっている耳もとをくすぐるように囁く。
「ほら、ミサキ。分かるよね?乳首、もうだいぶ硬くなってるよ」
「うる、さ……っ♡♡あっ♡やめっ♡♡それっ♡それやめてっ♡♡♡引っ張るのやめてってば♡♡♡」
ミサキの乳首は(本人は他人のものなどそうまじまじと見たことがないので知らないが)平均よりもいくらか長くて太い。というか、率直に言ってデカいのだ。
想像して欲しい。野生に生きる肉食獣の如くしなかやかで美しい肉体において、桜色の蕾の自己主張だけが一際激しくて。性欲なんてありませんとばかりにすました顔をしたミサキの服の下に、こんな下品な乳首が隠れているというそのアンバランスでちぐはぐな淫猥さを。
もう何度目かになる邂逅になるにも関わらず、先生は内心でごくりと生唾を飲み込んだ。
(……アレだよね。ミサキみたいな子がエロい身体してるのが、正直一番グッと来るんだよなぁ)
一応、本当に一応先生としてはミサキの内面を好きになったつもりなのだが、それはそれとして彼女のカラダはあまりにも先生の好みドストライクだった。
小ぶりだが手のひらに収まるサイズの、つんと尖った感度の良いバスト。
ほっそりとしていて掴みやすい、バックで獣のように犯したくなる腰つき。
触れればひんやりと冷たく、背面騎乗位をさせればふりふりと揺れる姿が堪らないヒップ。
性感帯を弄る度に膣ヒダを蠕動させ、おちんぽをより深くまで迎え入れようとする濡れキツ敏感おまんこ。
そして何よりも抱けば抱くほど反応が良くなる、まるで水を吸うスポンジのように男を悦ばせるコツをモノにしてしまう若く瑞々しい肉体とそこに宿る性欲。
「ミニスカってかそれもう普通にパンツ見えてるじゃん」という感じの生徒たちに囲まれて耐性の付いた先生であってもなお虜にされてしまう、そういう魔性をミサキは秘めていたのだ。
もう何度目になるか分からない劣情を催した先生は桜色の突起の先端を指の先で押し倒したまま、ミサキの元より長い乳首を更に長く引き伸ばす。まるで乳輪から遠ざかるように、それでいて痛くないように乳首を圧し潰す指先を上へ上へとじりじり動かしていく。
唾液のアーチを繋げたままいやいやと首を振るミサキはしかし、何ひとつ具体的に抵抗しようとしなかった。アリウス仕込みの格闘術を行使すれば先生程度なら容易く制圧出来るはずの彼女の手も、皺が残るほど強くベッドのシーツを握り締めているだけだ。
「あっ♡♡せんせっ♡♡だめ♡♡それだめ♡♡♡んっ♡♡♡いやっ♡♡いやだっ♡♡♡ちくびっ♡♡のびるのいやなんだってばっ……♡♡♡」
先生はミサキのデカ乳首を押し倒したまま、今度は乳輪を中心にしてぐるぐると円を描くように引き回す。男の指の動きに合わせてミサキの控えめなおっぱいが左右上下に引っ張られ、却ってオスを興奮させるだけなら媚びた声が少女の喉奥から漏れ出してしまう。
美しいものが壊れていく姿に興奮する、なんて今時使い古された悪役の言い分だけど。それでも、未成熟で均整の取れた少女の肉体を思う存分弄び、変形させる悦びというのは中々どうして甘美なもので。
己の唇をちろりと舌で舐めた先生はミサキの雌蕾から指を放し、再び胸全体を揉みはじめる。
ただしそれは先ほどまでのどこか健全なマッサージじみた、満遍なく乳房を揉み解す動きとは明らかに異なるものだ。先生は血流を先端に集めるかのように大きく広げた掌で胸を上下から揉みしだき、そのまま中央までスライドさせた親指と人差し指でいっとう硬くなった乳首をきゅ〜……っ♡と甘く抓り上げた。
「〜〜〜……っ♡♡♡ぁ♡♡♡っ♡♡それ、ずるいっ……♡♡♡♡」
くにくに♡と指で挟んだまま乳首を捏ねくり回し、ぱっと離して再び掌で胸全体を掴む。そしてまた繰り返す。
決して痛くしないよう、絶妙な力加減によって行われるちくびいじめはまるで麻薬のようで。脳髄の奥まで蕩けるような電流が身体の芯を駆け抜けて、びくり、と少女の華奢な肩が震える。それを何度か重なれば、やがてミサキはひときわシーツを強く握り締めながら身体を跳ねさせた。
涙目になった眦。赤く染まった頬。そして半開きになった彼女の口元から絶頂の余韻を残す熱い吐息が零れるのを見届けて、先生は意地悪くにやりと笑う。
「あ、いま軽くイったでしょ?」
「な……っ♡♡♡ちが……っ!♡♡♡」
「そっかそっか。乳首だけでイけたんだ。ミサキのおっぱい、なんだかもう随分と敏感になったねえ」
よしよし、と先生はミサキの頭を撫でる。
再びの子供扱いという名の屈辱にミサキは明らかに不服そうだったが、オスの大きな手が同じ要領ですりすり♡と乳房全体を這い回れば堪らず甘い声を漏らした。これ繰り返したら条件付けで頭撫でただけで乳首勃ったりしないかなー……と先生は思ったが口には出さない。そういうのは黙ってやるから意味があるのだ。
「よし、じゃあ折角だし……今日は改めて、おっぱいの感度を重点的にチェックしてみよっか」
「ん……っ♡♡チェックって、そんなの別に……」
「まあまあ。ほら、自分の勉強の成果を実感するのって割と大事じゃない?小テストとかさ、ああいう感じ。そうだ、合格したらご褒美をあげるよ。ね、どう?」
生徒のやる気を引き出すのも、先生の仕事だからね。
先生は今更己の職務を思い出したかのように尤もらしい言い分を並べつつ、さり気なく指を軽く折り曲げる。そして次の瞬間、ミサキの乳首を指先でぴんっと軽く弾いた。
「ぃ゛……っ!?♡♡♡」
元々大きめだった乳芽はいまや完全に勃起しており、その豊かな弾力は触れ合った男の指先を逆に軽く押し返すほどだ。
目に鮮やかなピンク色の突起が「もっと苛めて下さい♡」と言わんばかりにぷっくり反り返っている姿はいっそ下品なほど煽情的だったが、しかし彼女は未だ発展途上。新雪を踏むように瑞々しい、色を知ったばかりの少女の身体にはメスとしての快楽を刻み込む余地などいくらでもある。
さて、このかわいらしい小ぶりな乳房をどうやって開発してあげようか。先生が思索を巡らせつつ何度も何度も指先で桃乳首を弾いていると、いよいよミサキは「ちょっと」と抗議の声を上げた。
「いい加減に、んっ♡♡♡してよ、っ、先生……!♡♡いくらなんでも、あっ♡♡♡♡そんな乱暴な……ぁ゛っ!?♡♡だからっ♡♡そうやってはじくのっ♡♡♡ゃなんだってばっ♡♡」
「うんうん。大丈夫だよ、安心して。私だって急にこんなことはしないさ。ミサキの身体が十分えっちになってきたから、今日からは次のステップに進む。それだけのことなんだよ」
そう、それだけのことなのだ。
あとは……まあ……目の前のメスを思う存分喘がせてやりたいというサディズムめいた獣欲が7割に、好いた女がいっそ自分以外のオスではイけなくなってしまえばいいという醜い独占欲が3割といったところか。いずれにせよ、これまでのセックスがいかに生温いものだったかを徹底的に知らしめる必要がある。そのためにはまだ準備が必要だろう。
ズボンに覆われた下半身からは、既に窒息しそうなほどの息苦しさを感じている。だが、極上の蜜壺を前にして肉欲に滾るオス肉をそこから解き放つにはまだ時期尚早なのだ。
さて、アレはどこに仕舞ったかな。確か、置き場所を変えてなければあの辺りにあったと思うんだけど。
先生は静かにベッドから立ち上がり、間も無く部屋の隅の戸棚の中から透明な円筒型の容器を見付けて手に取った。いわゆるローションである。
「はぁ、はぁ……っ♡♡♡……なに、それ……♡♡」
「うん、これはローションって言ってね。端的に言うと、とってもヌルヌルする液体だよ。おっと、もちろん人体には無害だから安心していいからね」
「え、はぁ……?♡」
だから、それを何に使うつもりなのって聞いてるんだけど。
ミサキの赤い眸に咎められ、先生は緩く肩を竦めた。この状況におけるローションの使い道なんて、それこそひとつしかないだろうに。まったく、そういうところはやはりまだまだ子供らしい。
先生は鼻歌を歌いながらローションの蓋を開け、透明で粘性の強いその液体を少女の胸の谷間に垂らす。
ひんやりとした未知の感触が火照った肌に触れ、ミサキは驚きと困惑から堪らずその目を見開いた。
「つめ、たっ……!?♡」
「あっ、ごめんねミサキ。そっか、先に手のひらで温めてあげればよかったのかな……いま馴染ませてあげるから、もうちょっとだけ我慢してね」
「ん、ぅ……♡♡いや、ちょっと……!♡♡♡なにこの、ネバネバした、感じ……っ♡♡♡あっ♡♡やだっ♡♡」
ミサキの胸の谷間に出来た、無色透明なローションの水溜り。先生は掌を使ってそれを薄く伸ばすように、人肌の温度に馴染ませるよう甲斐甲斐しい手付きで胸全体へと塗り込んでいく。
──にちゃり♡♡ぷちゅり♡♡♡ぐちゃ、ぬちゅっっ♡♡
サオリやアズサであれば、それをトラップに転用出来ないかとでも考えたのかもしれない。あるいは妙な雑誌を拾っては回し読みをしているアツコやヒヨリであれば、その用途について凡その検討がついたのかもしれない。
だが、ミサキが生まれて初めて見るほどに粘度の高いその液体は、触れる度に湿った水音を辺りに響かせ、先生が少女のつつましやかな乳房から手を離せば追い縋るように薄く光るアーチを宙に描いてしまう。その様子がまたひどく卑猥で、扇情的で、じっと見ていると否が応にも別の「なにか」を連想してしまって。顔から火が出てしまいそうだった。
下腹部に違和感を覚えたミサキが咄嗟に太腿を擦り合わせ、くちゅり♡とローションではない水音を立ててしまったことには気付いていないのだろうか。それとも、気付いた上で泳がせているのか。
一通りローションを塗り広げ終えた先生は、「もうそろそろいいかな?」とまるで日常の一コマめいた優しい笑顔のまま首を傾げる。
「これ、本当は髭剃りのために買ったやつなんだよねえ。実際のところ、バカ正直にシェービングクリーム使うよりもずっとコスパ良くてさ。でもエンジニア部のみんなが去年の誕生日にめちゃくちゃ凄い電動の髭剃り機を作ってくれてから必要なくなっちゃったなーって棚に仕舞ってたんだけど……うんうん、これも塞翁が馬ってやつかな」
「いや意味、分かんない、から……!♡♡♡ん、っ……♡♡はぁ……っ♡♡それよりっ、なんのためにこんなことしてるのか……説明して、ってば……っ、ぁぁ゛っ♡♡♡」
「あはは。それはもちろん、ミサキをもーっときもちよくするためだよ」
ほら見て、ミサキ。
ミサキのおっぱい、もうこんなにぬるぬるでテカテカになっちゃったんだよ。
それにさあ、この状態で触ってるとすっごいイヤらしい音がするよね。ぐちゅぐちゅ♡って。これってさ、「どこか」に似てると思わない?
わざわざ玄関に施錠までした上での、夕暮れの休憩室というシチュエーションだ。
誰に聞かれる心配もない筈なのに、先生はわざわざミサキの耳元へと口を寄せ、内緒話でもするようにぼそぼそと呟く。耳たぶに触れる先生の吐息の熱と感触はいかにもわざとらしく、だが間違いなくミサキの劣情の火を煽るものだから、敏感になり過ぎた耳が痛いほどだった。
それに、ミサキとて生娘ではない。目の前のオスがわざと自分に卑猥なことを言わせようとしているのはすぐに分かったし、それについては当然のように腹も立った。本気で突き飛ばしてやろうかとも思った。
だが、今のミサキの胸を占めているのはそうした怒りや羞恥の感情ではなく、もっと別の何かだ。背筋をそろそろと這い回るその感覚の正体がどうにも気に掛かり、ミサキは熱で浮いた思考を巡らせた。
(……なんだろう。頭の奥が熱くなって、ぼーっとするこの感じ。きもちいいときもこうなるけど、あくまで似てるだけのような、近いけど遠いような……)
世界のどこかには海の底で燃える火山がある、なんて取り留めのない話を思い出す。
屈辱なのに、恥ずかしいのに、身体の芯が熱くなるのはどうしてなんだろう。えっちなことを口にさせられる度に、自分の身体が日に日にオスにとって都合の良いように作り替えられていることを実感する度に、股の奥がもう待ちきれないとばかりに甘く疼くのはどうしてなんだろう。
ぐるぐると頭の中を回る疑問が渦を巻き、そしてぱちんと泡が弾ける。
──いや……もしかして……逆……?
(……恥ずかしいから、身体が熱くなる……?え、なんで……?)
……なにか、気付いてはいけないことに気付いてしまったような。そんな感覚があった。
いつの間にか、額に脂汗が浮かんでいる。どくどくどくどくと早鐘を打つ鼓動の音がいやに頭に響いて、思考が上手くまとまらない。それでもなお今の自分が冷静でない、という最低限の自覚があったミサキは「ゔぁにたす」と縋るように呟いたが、どうやら効果はいまひとつのようで。
おかしい。こんなの、絶対におかしい。ミサキは真っ赤な顔で涙を滲ませてなお、精一杯の去勢を張って先生を睨み付けた。
「……分かった。どうせコレに何か入ってるんでしょ。それしかありえない。そうじゃないなら、こんな、こんな……!」
「うん?それはどういう……あー、なに?もしかしてこれに媚薬でも含まれてるとか思ったの?」
思いもよらない言葉を浴びせられた先生は素で驚き、苦笑いを浮かべる。
えー、なにそれひどいなあ。
私って生徒に一服盛るようなタイプに見えるの?
「でも、そうだね。ローションの成分表をミサキが満足するまで確認してもらってもいいんだけど、折角だし。もっと手っ取り早い手段で身の潔白を証明するとしようかな」
くすくすと笑った先生は、ふいにミサキの胸へ顔を近付ける。そうしてオスへのいじめてアピールに余念のない勃起乳首を少し硬い唇で啄み、ちゅぅぅぅぅっ♡♡♡と音を立てて吸い上げたのだ。
「っ、ぁ゛、ィ 、〜〜〜〜〜〜〜ッッッ♡♡♡♡♡!!!!」
視界が、いや、ミサキの思考そのものが白んだ。
キャパオーバーの快楽を叩きつけられた少女の腰が、ひときわ高く跳ねた。すらりと伸びたスタイルのいい足が爪先までピンっと伸び、噴水のように吹き出したイキ潮がベッドの柵を飛び越えて休憩室の床を濡らす。普段は清楚にぴっちりと閉じているおまんこはすっかり発情してぱくぱく♡♡とその口を大きく開いており、露わになった膣道ではぬらぬらと光る赤ピンク色の肉壁一面がオス肉をねだって蠢いている様が見て取れた。
わあ、これはまた派手にイったねえ。
先生はごく当然のようにミサキの下半身を覆うスキニーパンツと下着を脱がせて(下着についてはもうだいぶ手遅れだったけれども)その痴態を観察し、うんうんと満足げに頷いた。
昼間のマッサージ師ではないが、ミサキのように敏感な娘が相手なら愛撫にも張り合いが出るというもので。湧き上がる快感をやり過ごす術すら未だ知らない瑞々しい肢体を前にしたことで、先生の中のオスのスイッチが完全にオンになってしまう。
先生は常日頃であれば決して生徒には向けない類の、いわば獲物を前に舌舐めずりをするけだもののような、酷薄で嗜虐的な微笑みを浮かべた。
それを見たミサキはびくりと身体を震わせたが、手遅れである。とうに分水嶺は超えていた。
「ほら、しっかりして。まださっきの問題に答えられてないよ。大丈夫、解けるようになるまで一緒に頑張ろうね、ミサキ」
先生は自然な動作で横たわるミサキの上体を起こし、彼女とベッドの柵の間にするりと座り込む。
先生個人としてはミサキの形のいい胸を拝みつつ愛撫出来る正面こそがベストなポジションではあったけれど、こうすれば男の太くて逞しい腕が背後から回される分だけ、当のミサキ自身がいま自分の胸がどのようにして弄ばれているのか確認しやすくなる。要は視覚を使った羞恥プレイだ。
ローション塗れのミサキのおっぱいを、今度は彼女の背後から揉みしだくのである。
「ぁ……っ♡♡♡ぅ、ゃ、それ……っ♡♡」
緩く曲がった先生の人差し指の先が、ミサキの乳首をピンッ♡と軽く弾く。
潤滑油がたっぷりと塗布された薄桃色の性感帯はその感度も向上しているようで、彼の少し硬い指先が完全に勃起した蕾の上をぬるり♡と滑って通り過ぎていく度に、甘い疼きが少女の中のメスを刺激する。ミサキの一文字に結ばれていた口が敢えなく緩み、意に反した甘い声まで漏れてしまう。
先ほど抱いたばかりの疑問と感覚は、未だ消えていない。
これ以上好きにさせるのはまずい、という朧げな予感があった。理性の灯火を守ろうとする彼女は懸命に口元を掌で抑えながら、ふるふると首を横へ振った。
「ふっ……ふっ……♡♡♡んっ、ふぅっ……♡♡♡♡ふっ、ふっ……♡♡♡ふぅっ……♡♡はひゅっ……♡♡ふ──っ……♡♡だ、め……♡♡♡先生、もう、やめ……っ♡♡♡♡」
どれほどか細くとも、弱々しくとも「やめて」という確かな意思を示す。それは確かに今のミサキに出来得る最大限の抵抗だったものの、しかし最善の選択が最高の結果を齎すとは限らない。
いつもの優しい先生ならともかく、既に思考の大部分を本能に塗り潰されたオスにとっては、少女のか弱い拒絶はいわば火に油を注がれたようなものだったのだ。
「だーめ♡」と低く笑った先生はすわ鋼かと疑うほど硬く反り立ったオス肉を娘の小ぶりな、けれど確かな女性らしい柔らかさを秘めた臀部にぐりぐり♡♡と押し付けた。
ミサキは驚愕に目を見開き、その背筋をぞくぞく♡と電流にも似た感覚が這い回る。
(う、わ……♡♡最悪、どれだけ興奮してるの……♡♡♡♡)
メスの本能に強く訴えかけるその存在感は、視界に収めてすらおらず、ましてやスラックス越しであるにも関わらず形や温度まで鮮明に伝わってしまうほど圧倒的で。今日に至るまで何度も何度もそのおちんぽからセックスの味をたっぷりと教え込まれているミサキは、逞しい剛直に貫かれる瞬間の何にも代え難い極上の快楽を、あるいは己の躰を強制的にメスに作り替えられてしまうその感覚を半ば反射的に思い出してしまう。
絶対に信用しないと決めたはずの大人に、腕力で勝るはずの相手に呆気なく組み伏せられて。
まるで媚びるようにぐちゃぐちゃに濡れそぼった自分の秘所を、何度待ってと懇願しても容赦のないピストンで突き上げられて。
カリ首で膣壁を削るように耕され、ベロキスレイプで互いの唾液のカクテルを作りながら充血してパンパンに腫れあがった亀頭を子宮口に叩き付けられる。
そして最後にはゴム越しであるにも関わらず火傷しそうなほどに熱いザーメンを吐き出されてしまうのだ、と。
(……ぁ、まずっ……♡♡♡)
あまりにも鮮明な想像、あるいはもう何度も肉体に刻み込まれた快楽のフラッシュバックはミサキの意識を縫い止め、身体は石のように硬直する。理性は拒めと叫んでいるのに、どうしても火照った身体が男の愛撫を受け入れてしまう。
図らずもその間隙を突く形となった先生は親指と人差し指の先を使い、まるでトングかピンセットのようにミサキの乳首を挟んだ。
──ちゅぱ♡ちゅぱ♡
桜色のメス突起が上下から軽く挟まれ、かと思えば次の瞬間には指が離れ、そして再び先生の指が摘む。満遍なく塗り込まれたローションは先生の指が触れる度に絡み付き、粘着質な水音を響かせながら敏感な乳頭と指先の間に薄く白濁した糸を引いている。
軽く押し潰されるだけでも乳首がじんじんと疼き、ますます身体が発情していくのに。目の前で繰り広げられているそんな淫靡な光景から目が離せないミサキは火傷しそうなほど熱い吐息を吐き出し、せめて少しでも快感を逃がそうと腰を浮かせた。
「ぃ゛……っ!♡♡♡そ、れぇ……っ♡♡そこ、おもちゃみたいにつまむのっっ♡♡♡やめ、て……っ♡♡♡♡びんかんっ、な、んだってばぁ……っ!♡♡♡♡」
「ごめんね。私もミサキに意地悪したくなんてないんだけど……それでも、問題を解けなかった生徒には「お仕置き」しないといけないからね」
それに、そろそろ頃合いだし。内心でそう呟く。
人の心が最も脆弱になるのは、辛うじて耐えたと思ったその次の瞬間に更なる困難が襲ってきたタイミングに他ならない。
裏を返せば今のミサキが平常心を保っていられるのは先生がその手に携えた彼女のリードを敢えて緩めているからであり、最適なタイミングでそれを引き締めてしまえば理性なぞ飴細工のように壊せるのだということをその身体に教える前準備に過ぎなかった。
必死に歯を食い縛り、荒い呼吸を繰り返しながらも怪しげな液体を用いたプレイになんて負けるかと意地で絶頂を拒んでいるミサキ。雪肌を赤く火照らせながら、華奢な身体をふるふると震わせながら悶えているミサキ。
先生はそんなかわいらしい少女の汗ばんだうなじに唇を落としながら、桜色の乳頭を弄ぶ指先へぎゅっ♡と力を込めた。
果たして、その効果は劇的だった。
既に軽く吐息を吹きかけられただけで甘イキしてしまうほど感覚の研ぎ澄まされたガチ勃起乳首が、上下から思い切り押し潰された。まるで圧搾されている果実のようにぐにゅり♡♡と変形したのだ。
通常、敏感な部分を力任せに扱ったとしても痛いだけだ。が、じっくりと愛撫を重ねて性感を高めた上でなら必ずしもその限りではない。
むしろそれまでに積み重ねた快感が弾け、我を忘れたようによがり狂ってしまうことすらあるだろう。
じっくりと育てるように乳首を弄ばれていたミサキもまた例に漏れず、その意識が暴力的なまでの快楽によって再び蹂躙される。
「~~~~~~ぉ゛、っ~~~……!?♡♡♡♡♡」
脳髄を快感の電気信号が灼き、がくがくがくがく♡♡♡♡とまるで電流を流された蛙のようにミサキが激しく痙攣する。
彼女は咄嗟に自分の背後から回されている先生の腕を跡が残るほど強く握り締めたが、しかしその程度の静止で大人のオスは止まらないし、止まってはくれない。
それどころか、乱暴にされたことを怒りもせず「もっと力いっぱい圧し潰してください♡♡♡」と言わんばかりにますます硬くなっている反省皆無のメス乳首を懲らしめるべく、その力をますます指先へと集中させる始末だ。
「ぃ゛っ〜〜〜〜〜……!♡♡♡ぎっッ♡♡♡ぃぎゅッ♡♡♡♡ぉ゛っ、っ、ぅぅぅ゛〜〜〜……!♡♡♡♡」
ぎりぎりぎり、と万力にでも挟まれたかのように桜色の蕾が無残に抓られ、潰され、引っ張られ、爪を立てられ、いつになく大口を開けたミサキが獣じみた嬌声を上げる。
痛いはずなのに、きもちいい。腹が立つはずなのに、嬉しい。
相入れないはずの感覚がひとつに融け合ったそれはともすれば理性に取り返しのつかないヒビが入ってしまうほど倒錯的で、人間ひとりの価値観を書き換えるには十分過ぎる熱量だった。
今のミサキであれば、敏感乳首をビンタされただけで訳も分からず腰をヘコつかせたまま嬉ションを漏らしてしまうかもしれない。目の前のオスの手によって、碌な同意もないままにそんな身体へと作り変えられてしまったのだ。
そして当然ながら、おっぱいのみならずその下半身もまた、未だ指一本たりとも触れられていないにも関わらずひどい有様だった。
「ハメ潰してください♡」、「無責任ザーメンコキ捨てて下さい♡」と言わんばかりに交尾をせがみ、はしたなく大口を開けてピンク色の膣壁を覗かせるおまんこからは白く濁ったドロドロの本気汁が堰を切ったように溢れ出し、洗ったばかりのシーツへ塊になって染み込んでいる。そのため辺りには鼻が馬鹿になるほど甘ったるい濃厚なメス臭が立ち込めており、まるでサカった獣が発情期をアピールでもしているかのような有様だ。
更にはダメ押しとばかりにふかふかの柔らかな桃尻が無意識のまま男の象徴へ布越しに擦り付けられており、心地良い重量感による尻コキを受けた先生は声に出さず悶絶する。極上のメスを前にした精子たちはあっという間に鈴口の手前まで上り詰め、肉竿全体が心臓の如く激しく脈打ち煮え滾っている。
つまるところ、先生のおちんぽはいよいよ我慢の限界だったのである。
(あ〜……そろそろ本気でヤバいかな。性液上り過ぎてちんこの感覚がなくなってきた……)
ハメたい。
犯したい。
目の前の女のトロトロほかほかおまんこに硬く張り詰めたちんぽをガンガン突き入れたい。
処女だった頃に比べると少しだけビラビラのはみ出た入り口に竿の先端をあてがい、ぐちょぐちょに濡れそぼったサーモンピンクの媚肉を掻き分け、耕し、カリ傘で抉るように愛液塗れの媚肉をほじくり返してやりたい。
パンパンに張った亀頭で子宮口をこじ開け、ずっしりと重たく熱い金玉の中身を全てメスの最奥へと吐き出してやりたい。
……が、それにはまだ早い。
例え下着の中が既に我慢汁でベトベトになっていたとしても、あと少し、あともう少しだけ辛抱が必要だ。先生は努めて己の下半身から意識を逸らすことにより、沸騰して今にも吹きこぼれてしまいそうな欲望に必死で蓋をする。
そしてそんなおちんぽのイライラを全てぶつけるかのように、先生はより一層目の前のメスの乳首いじめに熱を上げる。銃弾の雨に平然と耐え得る肉体を持とうとも、女である以上は小さなぽっちふたつでどこまでもよがり狂ってしまうのだと徹底的に叩き込む。
だからこそ、ミサキを呑み込む快楽の渦はいよいよもってその底すら見えそうになかったのだ。
「ああぁっ♡♡♡ぉ゛っ……♡♡♡♡……っ!♡♡はぁーッ……もうやだ……っ!♡♡♡やら゛あぁッ♡♡♡きもち、い゛っ……からぁ!♡あ゛、ぉ……っ!?♡♡やっ……あ゛ァ!♡♡ぁっ♡♡らめぇええ゛っ♡っ♡あァ♡く、るうぅ゛う゛ッ!♡♡♡♡♡」
あるいは弄ばれたのがおまんこであれば、ミサキとてただの生理現象だと割り切れたかもしれない。男性器を挿入する前に愛撫によって性感帯を刺激し、スムーズな抽挿を行えるよう潤滑液を分泌させるのは極めて合理的な行いだからだ。
だが、先生は自らが快楽を得るためではなく、ミサキを徹底的に追い詰めるためだけに乳首を虐めている。もしかするともう二度と元の形に戻らないのではないかとすら思ってしまうほどに容赦なく、その遊び慣れていない鮮やかな桜色の乳首を入念に弄んでいるのだ。
生徒のために命を張り、それを当然の義務だと言ってのける大人。
何度裏切られようとも手を差し伸べることを諦めず、かつて命を狙ったスクワッドからの頼みにも微塵も躊躇せず頷く、生まれて初めて出会った「信頼出来る」大人。
そんな彼がミサキの、女の子にとって大切な場所を、いつか生まれるかもしれない赤ん坊にミルクを与えるための場所を、まるでいつ壊れてもいい玩具のように乱暴に扱っている。
(…………なのに、なんで、わたしは)
その事実を正面から受け止めると、胸が張り裂けるほど悲しくて。恐ろしさに背筋がぞくぞくして。鼻先を強かに打ち据えたようにショックで。
そして、意味が分からないほど[[rb:きもちよかった > ・・・・・・・]]。
知らない。
こんな感情は断じて知らなかった。
脳が、熱狂と興奮でぐずぐずに蕩けていく。心を覆うプライドという名の鎧が剥がれていく。大粒の涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしたミサキは、もうとっくに冷静な判断など出来るような状態ではなかった。
だから、彼女は叫んだ。恥も外聞もかなぐり捨て、ただひたすらにそこから逃げ出したい/もっと堕ちたい一心で。
求められがるままに卑猥で下品な、それこそ普段のミサキであれば死んでも口にしないようなオスに媚びた台詞を精いっぱい口にしたのだ。
「ぉ……っ♡♡♡♡お゛まんこっ゛……!♡♡♡♡♡おまんこおまんこおまんこぉ゛……っっっ!!♡♡♡♡♡」
「うんうん。よく出来ました。じゃあ次は、どうしてミサキがそう思ったのか聞かせてくれるかな?」
「ああ゛ぁあっ!!!♡♡♡ひ、あ゛ッ♡♡♡ぬっ♡♡♡ぬるぬるのぉ゛っ♡♡♡ぐちゅぐちゅで、ぇっ♡♡♡♡せんせいがっ、い、い゛っ♡♡♡♡いじるたびにっ♡♡いやらしいおとがするからっっ♡♡♡ぉ、っ♡♡♡♡おっぱいがっ♡♡♡♡おまんこになったみたいでぇっっ♡♡♡♡」
「そっかそっか。んー……なら、乳首はおまんこで言うとどこに似てると思う?」
「くりぃ゛っ♡♡♡♡くりとりすぅぅっ♡♡♡♡がちがちにぼっきした、ぉ゛っっ♡♡♡♡くり、ぃっ゛、くりとりすっに゛っ♡♡♡♡にてっ、まらぃ゛っ、ぐぅぅぅっ!?♡♡♡♡」
「ふうん。じゃあ折角だし、ミサキが似てると思った乳首とクリを同時に触ってみよっか♡」
何気ない調子で放たれたその一言に、沸騰していたミサキの思考が一瞬にして凍り付く。
え。
なに。
どうじって、これいじょうきもちいいってこと?
そんなのって、わたしこわれちゃうんじゃないの?
待って、と叫ぶ暇もなかった。
先生の指が既に痛いほど勃起しているクリトリスに触れ、皮を剥き、ぐりっ♡♡♡と力いっぱいそれを摘んで扱き上げる。
女性の躰で最も神経の集中しているとされる肉の豆を何の遠慮もなく、まるで犬のリードのように雑に引っ張ったのだ。
「ぉ゛っ……ッッ????♡♡♡♡♡」
それは言ってみれば、ブレーカーの落ちる瞬間に似ていたのかもしれない。
簡素な休憩室に「ぃぎゅッ♡♡♡♡」とひどく間抜けな声が響いて、ミサキは朦朧とする意識の中で一拍遅れてからそれが自分の声だったと悟る。喘いだ、という自覚すらそこにはなかった。声も、四肢も、その五感でさえも、まるで他人のもののようだ。
ただ空っぽのぐちゃぐちゃおまんこだけが狂ったように痙攣し、まだ挿入されてもいない肉棒から必死に子種を搾り取ろうとしてきつく締まっている。まるで性器と脳味噌が直接繋がってしまったような、意識を塗り潰す快感だけがやけに鮮明だった。
いくら神秘をその身に宿すキヴォトスの学生といえど、性的快楽の耐性は凡そ人並みでしかない。
セックスの味を覚えたばかりの若いメスにとって、それはもはや暴力にも等しい衝撃だったのである。
そうして全身から脱力したまま暫くぼうっとしていると、ぼやけていた視界のピントが緩やかに合っていく。
気が付けばミサキの膣からは蛇口を捻ったかの如き勢いでイキ潮が吹き出しており、先ほどまでクリを摘んでいた先生の大きな手をびしょ濡れにしてしまっていた。
「おー……凄いねこれ、まるでお漏らしみたいだ。えっちなこと大声で叫ぶの、そんなに気持ちよかった?今度アツコたちにも聞いてもらおっか?」
「ぅ、ぁ……??♡♡♡♡」
どこか呆れたように、面白がるように笑う先生の顔をぼんやりと見上げていると、ふと、ミサキは自らの子宮の奥が強烈な疼きを訴えていることに気付く。まるでもうひとつの心臓がそこに宿ったかのように、どくどくどく、と激しく脈打っている錯覚さえ抱いてしまう。
何もかも不明瞭で輪郭のぼけた、まるで白昼夢に溺れているみたいな曖昧な時間の中で。
火照って敏感になっている太腿をつう、と愛蜜が滴り落ちる感覚だけがいやに生々しくて、ミサキはそれに導かれるように指先をのそりと持ち上げた。
「ん゛ッ♡♡ふ、う゛……♡お゛♡♡お゛ッ♡♡♡は、あ゛っ…………♡♡」
腹の上から、子宮のあたりにそっと触れる──足りない。
おまんこの入り口を、くちくち♡と粘り気のある水音を立てながら指の腹で撫でる──まだ足りない。
細くてしなやかな指をにゅぷり♡と膣奥に潜らせて、淫蜜で潤った敏感な雌膣をゆっくりかき混ぜる──全然足りない。足りない足りない足りない足りない足りない。
胸を掻き毟りたくなるような物足りなさに、思わずミサキの顔が歪む。
たっぷりと愛撫されたお陰で膣壺はこれ以上なく敏感になっていたけれど、だからこそ分かるのだ。自身の細指では、一番きもちがいい場所には決して届かないのだと。
一度覚えた快楽の味を、身体はそう簡単に忘れてはくれない。
自分の知る女としてこれ以上なく満たされる瞬間と現実のギャップ、あるいは絶頂に至りたくとも至れないそのフラストレーション。目と鼻の先に立ちはだかって揺るがないそれが、ただでさえ余裕のない彼女をますます追い立てた。
(ぁ゛〜〜っ……!♡♡♡♡だめ♡♡♡これじゃだめ!♡♡♡♡こんなのじゃぜんぜんいけない♡♡♡♡おくまでとどかない♡♡♡さいあくさいあくさいあくっ……!♡♡♡)
──くちゅくちゅくちゅくちゅ♡♡♡ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ♡♡♡♡
アリウスの尖兵として研鑽を重ね、常在戦場を体現する戒野ミサキはもうそこにはいない。
ただの1匹のメスになり果てた彼女はいつしか背後に控えるオスのことすら忘れ、「ふーッ♡ふーッ♡」と獣じみた息を吐きながらのオナニーにどっぷり没頭していたのだ。
ただひたすらに快楽に耽溺する彼女の片手は浅瀬を引っ掻くように、もう片手はひたすら奥をほじるように突き入れられ、ただ一心に快楽を求めて膣ヒダを指先で擦り続ける。
「はっ♡はっ♡はっ♡ぁ〜〜……♡っく、っふ、ぅ〜〜っ……!♡♡♡」
腰をカクカク♡と情けなくへこつかせながら本気汁を撒き散らし、どうしようもない物足りなさを誤魔化そうとした手の動きが更に激しくなっていく。潤んだ眸はとろん♡と蕩けており、そこに正気の光はない。比喩などではなく、本当に自慰行為を覚えたてのサルのようだった。
つまるところ、それは誰がどう見ても発情しきったメスによる本気オナニーでしかなくて、先生は苦笑いを浮かべて「あーあ」と呟いた。
「これはちょっと、意地悪し過ぎちゃったかも……」
まさかあのミサキが快楽に我を失って、人前でオナってしまうなんて。
眼福ではあるけれど、正気に戻ったらいよいよ半殺しにされちゃうかもなあ。どうしよっかなあ。どうしようもないかもなあ。
……だけど、本音を言えばそんなことはもうどうでもよかった。
例え後でミサキにボコボコにされることが確定していようとも、理性が限界を迎えようとしているのは先生も同じだ。
好きな子を思うがままに喘がせるのは確かに男冥利に尽きるものの、一方で青筋を立てて男の象徴はもはやズボンを突き破らんとばかりに硬くなり、その雄々しいシルエットを全力で主張している。
極上のメスを前に延々お預けを喰らい続けたちんぽの怒りは、いよいよ頂点に達しようとしていたのだ。
(うん、私も正直限界かな。SMとか、流石に元カノともしたことなかったんだけど……こうして実際にやってみると、責める側にも繊細さとか忍耐がいるんだなぁ)
先生の歴代の元カノたちはみなセックスに関しては割と淡白な方で、どちらかといえば互いの関係性を再確認するための儀式としての意味合いが強かった。
先生自身もあまり性欲の強い方ではなかったから特に不満はなかったが、こうしてミサキとセフレにならなければその奥深さに思いを馳せることもなかっただろう。
やっぱり、大人になっても勉強って大切だよなあ。
そんなやや間の抜けた感想を胸の裡で呟きながら、長い長い息を吐く。先生は自身の吐息の熱さに内心で少し驚き、それから淀みない手付きでベルトの金具を外した。
「ミサキ」
ゴム、口で付けられるよね。前に練習したし。
徐にベッドから床へと降り立った先生はそう言い放ち、狂ったようにオナニーを続けるミサキの眼前に自らの分身を差し出した。
べちん♡と少女の頬へ、文字通りに限界まで怒張した赤黒い肉棒が叩きつけられる。頬肉越しといえどもその存在感は圧倒的で、伝わる熱と硬さはさながら焼けた鉄杭のよう。
このおちんぽに処女を捧げてからもう何十回目かの対面であり、そしていつ見ても「それ」が自分のナカにすっぽり収まるとは到底信じられないミサキだったが、今日ばかりは仕方のないことだろう。なにせ文字通りに迫力の桁が違う。ある種の美術品が人の本能に直接訴えかけるように、その雄ちんぽには否応なく自分がメスであることを自覚させられてしまう力があった。
どこまでも力強く、いっそ愚直なまでに自身を求めるその迫力に、ミサキは思わず生唾を呑み込んだ。
(……っ♡♡♡先生のおちんちん、いつにも増してすごい……♡♡♡)
オナニーを止めたばかりのマン汁塗れの手で、そっと先生のおちんぽに触れる。
部屋が薄暗くて分かりにくいけれど、恐らくは竿全体が我慢汁でベトベトになっているのだろう。指先で触れれば「にちゃり♡」と粘着質な水音が響く。
加えて、ズボンの中という密閉空間でじっくり蒸れて熟成したらしい精子の臭いも大概だ。青くさいそれを嗅いでいると下腹部が甘く疼き、無我夢中のまますんすんと鼻を鳴らしてしまう。
……相変わらず、変なにおい。
赤い瞳をとろんと蕩けさせたミサキは「犬みたいだね」と笑う先生に指示されるがまま透明な避妊具を袋から取り出し、真っ赤に腫れ上がった亀頭へと宛がった。
「ん……♡♡ちゅっ……♡♡♡ん、ふっ……♡♡♡」
それは、見ようによっては誓いのキスに似ていたかもしれない。
ミサキはカチカチのオス肉の先端へコンドーム越しに口付けを落とし、そのまま赤く膨れ上がった亀頭全体をぷりぷりの唇で包み込む。そして喉奥まで使っておちんぽを丸ごと食べてしまうかの如く、そのままゆっくりと唇を竿の根元へと降ろしていった。
──にゅるぅぅぅっ……♡♡♡♡
「あむ……♡♡♡……んむっ♡♡♡♡ん、ぅ……♡♡♡♡」
「ぁ、ぐぅ、っ……!ちょ、ミサキの口の中っ、なんかいつもより熱くて、やば……っ!?」
「……♡♡♡」
ただでさえ体温が高い少女の口内に満ちる熱気や、唾液ローションのヌルヌル感に、おちんぽの凸凹に合わせて健気に吸い付くぷるぷるご奉仕リップの柔らかな感触。
世界でたったひとり、先生のためだけの専用生フェラホールが与えるそんな刺激は薄い樹脂の膜を通してもなお鮮明で、あまりにも強烈だった。たっぷりと焦らされたことで敏感になっている肉竿は堪らず歓喜に打ち震え、ぴゅるっ♡と軽く先走り汁を吐き出してしまうが、先生はその度に必死で歯を食い縛る。
そう、今ここでイってしまうのは簡単だが、ミサキが見ている。期待に濡れたメスの眼差しが、「これからめいっぱい私を抱いてくれるんだよね」という蟲惑的な視線が己に注がれているのだ。何度でも勃起する自信はあったが、男として情けない姿を見せる訳にはいかなかった。
だからこそ先生は気が遠くなるほどの快楽をやっとの思いで耐えきり、やがてゴムはメスの唾液塗れになりながらも確かに装着された。
男と女が繋がる用意が、ただ快楽を貪るためだけのセックスをはじめる準備がようやく整ったのである。
先生が促したのか、それともミサキが誘惑したのか。気が付けばふたりは最も動物的な体位である後輩位の姿勢をとっており、真っ赤な亀頭の先っぽが愛液をだらだら溢す肉厚おまんこにぴとりと触れていた。
大人と子供であるふたりにはやや体格差があり、バックからだとそのままではやや挿入しにくい。身に纏う一切の服を脱ぎ捨てた先生がミサキのほっそりとした腰を掴んで挿れやすいよう桃尻の高さを微調整すると、触れ合ったままの性器が僅かに擦れ、くちくちっ♡と粘ついた水音が夕暮れの休憩室にこだました。
「じゃあ……挿れるよ、ミサキ」
「ぅん……っ、?♡♡♡♡……ぉ゛〜〜〜、っ……??♡♡♡♡♡」
それは、ほとんど一瞬の出来事だった。膣道に侵入したばかりの筈の亀頭が、次の瞬間には最奥に位置する子宮口をこつん♡とノックしていたのだ。
訳も分からないまま押し寄せてきた絶頂の快楽に視界で火花が弾け、瞠目するミサキの口からは声にならない声が漏れる。
とはいえ、これは先生としても意図するところではなかった。
なにせ先生がしたのは、狭くて小さな膣口にその先端をほんの少し捩じ込んだだけ。たったそれだけの動作でご主人様たるオスをお出迎えしようと蠕動する膣ヒダによってまるでベルトコンベアのようにちんぽがにゅっぷり♡と根元まで呑み込まれ、雄々しく逸り返った肉棒はあっという間に少女のお腹にすっぽりと収まってしまったのである。
つまるところ半ば濡れた床の上で滑って転んだようなもので、これはかなり事故に近かったのだ。
先生は痙攣を続けるイキまんこが不意打ち気味にぎゅーっ♡♡♡と柔らかく締め付けてくるのを辛うじて耐え、暫くして射精欲がある程度凪いだタイミングでゆっくりと腰を引いていく。
カリ首が膣のヒダビダをぞりゅぅぅっっ♡と抉る感触を楽しみながら亀頭をほとんど外に出し、そして熱い息を吐きながらもう一度腰を深く押し出した。
──ずにゅぅぅぅぅっっ……ぱちゅっ♡♡♡ぱちゅっ♡♡ぱちゅっ♡♡♡
愛液に塗れてぬらぬらと光るおちんぽが根元まで挿入され、先生の腰とミサキの雪尻が触れ合う音がほとんど等間隔に響く。それは深く挿れて深く抜くだけの、至極単純でスローペースなピストンだった。
だが、そうしてゆっくりと出入りするからこそ、枕に顔を埋めているミサキの脳裏にはおちんぽの形がくっきりと焼き付く。
充血してパンパンに張った肉傘に、竿の段差や裏筋に浮かぶ血管の太さ。先生本人ですら把握していないであろうその細部に至るまで、絡み付いた膣肉で型を取るかの如く、余すところなくミサキは記憶してしまう。このちんぽの持ち主こそが自分を一番気持ち良くしてくれるオスであることを、おまんこに直接マーキングされてしまうのだ。
ミサキは仄かに朱が差した小ぶりな雪尻を持ち上げて這いつくばった姿勢のまま、枕のシーツを噛んで濁流の如く襲い来る快感に悶える。
タガの外れた彼女に艶声を抑えるなどという理性がある筈もなく、シミひとつない白い背中に珠のような汗を浮かべて思う存分喘ぐその様はひどく扇情的だ。惚れた女の痴態はオスの腰にドロドロとした熱を灯し、その腰遣いも徐々に遠慮のないものへなっていく。
「あ゛〜〜っ♡♡♡ぅぁ、あ、あっ♡♡♡んお゛っ♡♡♡♡お゛ぉ゛ッ♡♡♡いぐっ♡♡♡♡♡おまんこのおくっ♡♡♡ぐりぐりされへいぎゅっっっ♡♡♡♡♡」
「はあ……はあ……っ!ミサキ……!ミサキっ……!」
先生は根元まで捩じ込んだオス肉を更に深く押し込み、子宮の入り口と鈴口を念入りにディープキスさせる。恍惚にふるふると震えるミサキの尻肉の柔らかさを堪能するように掌で揉みしだきながら、緩やかにピストンのペースを上げていく。
ふたりの荒い息遣いと甘く悶えるメス声、そしてベッドのスプリングが軋む音が小さな休憩室に積もっていく。
みんなの頼れる大人である「先生」と、暫定とはいえスクワッドの仲間たちを託された現リーダーのミサキ。
ふたりは自らが背負う並々ならぬしがらみや責任を忘れ、今だけはただの動物として目の前の繁殖行為に、その快楽に没頭するのだ。
「ぅお……!?ぐ、ちょっ、いくらなんでも締め付け過ぎだって……!」
きつきつだけどふわふわで、ヌルヌルとしていて口の中よりもずっと温かい。入念な前戯で蕩けきったミサキの蜜壺の中は正に名器であり、天国としか例えようのない心地だった。
なにせ腰を振って雄ちんぽを出し入れする度に無数の膣ヒダが我先にと竿へびっしり絡み付き、先生の硬く逞しい肉竿をその弱点ごと余すところなくとろとろのおまんこブラシで擦り上げていくのだ。そこから齎される快感はゴム越しであろうと尋常なものではなく、それは(ミサキ本人にその自覚こそないものの)メスが番いと見定めたオスにだけ捧げるらぶらぶ膣奉仕に他ならなかった。
そして、そのあまりの気持ちよさに再び激しい射精感が上り詰めてきた先生は、咄嗟に手を触れていたミサキの尻たぶを本気で鷲掴んでしまう。
「ぃっ……!?♡♡♡」
「あ……ご、ごめんねミサキ!先生つい力入れちゃ、って……」
ミサキの喉から、引き攣ったような悲鳴が上がる。
それまでのソフトタッチとはまるで違う、紅葉の跡が残るほどの本気の握力によって桃尻が大きく歪み、突き立った爪が僅かに血を滲ませたのだ。いきなりそんな真似をされたら、誰がどう考えても痛いに決まっている。
先生はしまったと思ったものの、しかし枕に顔を埋めたままこちらを振り返るミサキの視線にどくんと鼓動が高鳴った。
だって、そこには間違いなく自覚と期待があった。
そのように振る舞えば自分がどうやって扱われるのかを正しく理解した上で、わざと情欲に濡れた眼差しを男へと注いでいるのだ。セックスの味を知っているメスにしか出来ない、あまりにもおちんぽに媚びた仕草だった。
「そっか。……うん、よく分かったよ、ミサキ」
どことなく面白くないような、もやもやとした戸惑いが先生の胸に過ぎる。
……大人として、あまり大きな声では言えないけれど。身勝手で我儘な感情だと理解はしていたけれど。
こんなにもいやらしい女の子が普段は自分の目の届かない場所で寝泊まりしていることに、ひどく不安と焦燥感を抱かずにはいられなかったのだ。
ふいに目の据わった先生は無言で腕を上げ、振り下ろす。ぱんっ、と乾いた音が響き、ミサキの小ぶりなお尻が引っ叩かれた衝撃でふるりと揺れた。
肌の露出を好まず、また日の光が届かない地下や暗所でばかり生活していたからか、ミサキの肌は雪のように白い。ミディアムヘアーの黒髪が映えるだけでなく、照れたり緊張したり興奮したりするとすぐに分かってしまう彼女のすべすべとした美肌に、大人の掌サイズの紅葉が鮮やかに咲いた。
先生はそれを見て心を痛めるでもなく更に手を振り上げ、何度も何度もミサキのお尻をビンタする。
──ばちん!ばちぃん!
「 ぉ゛っ♡♡♡♡♡ぉ゛、ぉぁぁぁ〜〜〜〜っっっっ……♡♡♡♡♡♡」
ぎゅぅぅぅぅぅっ♡♡♡♡♡と、いよいよ気でも狂ったかのような勢いでまんこが締まる。
喜悦のままオス肉を抱き締める膣壁は触れたら火傷しそうなほど熱くてきつくて、それでいてあまりにも先生のかたちにぴったりとハマっているものだから、まるで互いの性器が境界線ごとひとつに溶け合ってしまったかのようで。
眩暈がするほどの快楽と共に、先生の腰から下の感覚がひどく曖昧になる。
やばい、と思ったその瞬間にはもうほとんど手遅れで、痙攣と共におちんぽの先から何か熱い液体がじわっと漏れ出していた。
──びゅーっ♡びゅくるるるるるっ♡♡♡びゅるるるーっ♡♡びゅるる♡♡♡びゅるるる♡♡♡びゅるるるーっ♡♡♡
「うぅ、あぁっ……!やば、射精、止まらな……っ!」
「……〜〜っ!!♡♡♡♡♡♡」
不意打ちのようなタイミングで先生が射精すると、ミサキの身体もまた何度目かの絶頂に至る。すっかりイキやすくなった敏感まんこがびくびくびくっ♡♡♡と激しく痙攣し、まるでガラス越しに餌をちらつかされた動物のように、ゴムの向こうで吐き出された精子を少しでも搾り取ろうとしているのだ。
するとただでさえ敏感になっているおちんぽはますます激しく震え、先生は襲い来る快楽の波を前にいよいよ膝立ちの体勢すら保てなくなってしまう。
力強い射精を続けながら崩れるように前へ倒れ込み、下敷きにしたミサキの華奢な身体を無我夢中で抱き締める。びくびくと震えるおちんぽの先を本能のまま更に奥へ奥へと捩じ込みながら、先生は脂汗塗れになった互いの肌を密着させる寝バックの体位で精液を吐き出し続けた。
──びゅ……るっ♡♡びゅ……っ♡びゅ……っ♡♡びゅーっ……♡
そうして暫く身体を震わせていると、やがて永遠のようにも思われた射精が終わる。
だが、それぞれの肉体に焼き付いた絶頂の余韻はそう簡単に消えてなくならなかった。
ふたりはぴっとりと重ねた身体を互いにどけようともせず荒い呼吸を繰り返していたが、男の方は出すものを出せば多少は冷静にもなる。
流石に成人男性が少女にのしかかったままでは重いし邪魔だろう、と考えた先生が情けなくも震える腰をなんとか引こうとすると、咥え込んだオスちんぽを離すまいとするいじらしい蜜壺の締め付けによって、コンドームが膣道の途中で取れてしまう。
「あー、これは掻き出すしかないかあ……」
先生は剥き出しになった自分のちんぽを見下ろし、ぽつりと呟く。
イったばかりの敏感な女性器に追い打ちをかけるようで気が引けるけれど、こうなっては仕方ない。
先生は色々な液体でぐちょぐちょの膣の中に太く長い指を突っ込み、膣道の途中に留まっていたゴムの先っぽを摘まんで直接引っ張り出す。
すると注ぎ込まれたザーメンで丸々と膨らんだ透明な風船が飛び出し、その衝撃でミサキは再度軽イキした。
「ん、ぁっ……♡♡♡♡♡」
(うわ、すっごい出たんだな。ここまでの量だと、ちょっと自分でもびっくりする……)
思い返せば、ここ最近は忙しくて自己処理すら満足に出来ていなかった気がする。どうやら、いつの間にか随分と溜め込んでしまっていたらしい。
いやはや、自分もまだまだ捨てたものじゃないらしいなあ。
先生はオスとしてどこか感慨深さすら覚えながら摘まみ上げたそれをしげしげと眺め、それからふと自分の股間に視線を落とす。
先に断っておくが、男性の精力は決して無限大ではない。深く長い射精であればあるほど体から何かが抜け出していく感覚は強くなるし、再び臨戦態勢に移るまで多少のインターバル、いわゆる賢者タイムが必要となる。……はず、だったのだけれど。
「全然萎えない……」
しかし先生の剛直は生物としての理に反して未だ鉄のように硬く、天を衝くかの如く青筋を浮かべながら反り立っている。
腰の辺りに溜まり、渦を巻くようにぐつぐつと煮え立っている熱。即ち、意中のメスをめちゃくちゃに抱き潰してしまいたいという欲望の火が凪ぐ気配など微塵もなかった。
我ながら少し呆れてしまうな、と先生は小さく息を吐いた。
(なんというか……私って、そんなに性欲強い方じゃなかったと思うんだけどなあ)
そのまま視線を動かし、未だぴくりとも動かないミサキを見遣る。
うつ伏せになって横たわる彼女は放心した様子で大股を開き、秘部を惜しげもなく放り出している。
先ほどまでおちんぽをすっぽりと呑み込んでいた膣穴の奥からは白濁した本気愛液がだらだらと溢れており、男を誘う甘ったるいメスの臭いで鼻がバカになりそうだ。
先生は手持ち無沙汰に任せ、なんとなしにそれを指で掬って膣に戻してみた。
──くちゅり♡
「……♡♡♡♡♡」
微弱な快感の信号を受け取り、小ぶりなお尻が条件反射的に持ち上がる。
何度も何度も平手打ちされ、無惨にも真っ赤に腫れ上がった尻たぶが、その柔らかさを誇示するようにふるり♡と揺れたのだ。
…………本当に、言葉にしてしまうと最低なのだけれども。
先生がミサキを抱くときだけ性欲が旺盛になってしまうのなら、その理由として考えられるのは凡そ2パターンだ。
つまり、それが異常なのか。それともこれが「本来の」先生の性欲の強さなのか。
まるでその答えを証明をするかのように、先生はその瞬間、率直に言ってこの上なくムラっときてしまった。
この女の子をもっといじめたい。もっと気持ちよくしてあげたいと、本当にそれだけしか考えられなくなってしまったのである。
「む、ぐ……っ!?♡♡」
兵は拙速を尊ぶというが、常勝の指揮官である先生もその点においては同じである。追撃に出る、と決めてからの彼の行動は極めて迅速だった。
先生は無言のままその逞しい体躯で後ろからすっぽりとミサキに覆いかぶさり、躊躇なく彼女の小さな口の中へと指を捻じ込む。
そうして真っ赤な舌を摘まんで口外に引き出すと、あろうことかパンパンに膨れたコンドームの中身をそこにぶち撒けたのだ。
強烈な青臭さが、少女の鼻先を衝く。すっかり放心していたミサキは男の突然の暴挙に思わず目を見張ったが、先生はそんなことなどお構いなしに少女の耳元で囁いた。
「これ、口の中に入れて。ああ、まだ飲まないで、私が良いって言うまでうがいみたいに口の中でクチュクチュさせてね。……出来るよね?」
「っ~~……!♡♡♡♡♡」
少女の喉から、声にならない非難が漏れる。
ミサキは感覚が他人よりいくらか過敏なところがあって、舌、ひいては味覚もまたその例に漏れない。
幼少期に味のしないレーションや硬いパンばかり食べて育ってきた反動からなのか、刺激のある辛いものや臭いの強いものは基本的に苦手だし(かといって甘いものを渡せば子供扱いするなと臍を曲げるのだけど)、ましてや搾りたての精液なんてもってのほかだ。
そのため、いつもはうっかり口内に射精しようものなら即座にティッシュへ吐き出し、ひどく恨みがましい視線を向けてくるのだが……今のミサキは些か様子が違った。
赤らんで熱を持つ頬に、どことなく陶然とした顔つき。そして舌をめいっぱい伸ばしたまま主人の合図を待つ姿は、まるで餌を前にした飼い犬のようだ。
「もういいよ」と先生が告げれば、彼女はまだ熱を放つ特濃ザーメンの乗った舌をおずおずと引っ込めた。そうしてオスに命令されるがまま、徐に口うがいをはじめてしまう。
「ん、む……♡♡」
──くちゅ、くちゅ、くちゅ♡♡♡くちゅくちゅくちゅくちゅくちゅ……♡♡♡
人気のないシャーレに、ミサキの口内で精液が撹拌される淫靡な音が響く。
見えなくとも分かる。彼女は頬を軽く膨らませながら舌を動かして子種汁を上へ下へと移動させ、その小さな口の中に腥い性臭をじっくりたっぷりと染み込ませている。
つるつるとした、柔らかな頬裏の肉も。小ぶりでかわいらしい真っ赤な舌も。一度入り込めば歯ブラシでも中々掃除しにくいような歯の隙間にまで、粘っこくてドロドロとした白濁汁がたっぷりと塗りたくられている。
口内というれっきとした体の内側に、彼女は他人の体液でマーキングされていたのだ。
実のところ、これまで先生はそういった類のプレイにはあまり興味がなかった。なんとなく意味を感じられなかったというか、それ本当に気持ちいいの?とか、ぶっかけって正直後始末がめんどくさいだけじゃない?と首を傾げていたのだ。
だが、どうやらその対象が意中の女性なら話は別らしい。
無知なミサキに性知識を仕込むのもそうだが、オスとしての自分の味と臭いを刻み込むというその行為は、言葉では到底言い表せない類の背徳感や優越感に満ちていた。
まるで彼女が本当に自分のものになったような、それを世界中に誇示しているような。子供を教え導く立派な大人からは程遠い、一匹のオスとしての自分を引き摺り出されてしまうのだ。
ますます興奮する先生はミサキの耳を飾るピアスを弄びながら、今度は私が穴を開けてみたいなあ、と呟いた。
その一方で、ミサキもまた敏感になっている耳たぶを男の指先に弄ばれながら、自らの心を覆う仮面が引き剥がされそうになっているのを感じていた。
(ま、ずい……っ♡♡♡くさくてっ、ねばねばしててっ♡♡こんなの、ぜったいにたべていいものじゃない、のに……っ♡♡♡♡♡)
そも精液とは子供を作るためのものであり、食用ではない。
口に含む分には、青臭くて苦いだけで何の意味もない代物だ。ある意味では執拗なまでの勃起ちくびいじめや唐突にお尻を叩かれたのと同じで、本来の目的である性欲の解消において殆ど不要な工程であることは明白で。
しかも飲み干すことすら許されずに、こんなにまずくて汚いものを口の中に留め続けなきゃいけないなんて。
そんな最低の命令なんて無視してしまおうか、という考えが過ぎる。
だってこんなの、とてもじゃないが人間の扱いじゃない。まるで先生専用の便器だ。
それに……例えば、そう。もしも口の中からオスの濃くていやらしい臭いが取れなくなって、アツコとヒヨリにバレてしまったら。先生は一体どう説明するつもりなんだろう。どう責任を取るつもりなんだろう。
(ぁ……♡♡♡なんだろう、それって、すごく……♡♡♡♡)
半ば不可抗力のような形とはいえ、ミサキはつい「それ」を想像してしまう。
自分と先生の肉体関係が露見し、アツコやヒヨリ、サオリにまで蔑みの視線を向けられる瞬間を。大人の手でいいように喘がされ、浅ましくも快楽を貪るけだもののような自分の姿が白日の元に晒されるその瞬間を。
有り得ないと分かっているのに、思考に歯止めが効かない。途方のない、しかし実態を伴わない空虚な焦燥と恐怖に身を焼かれる一方で、熱病のような痺れが脳の奥から全身へ駆け巡る。
激しいピストンの直後で、僅かにピンク色の肉ビラが捲れ上がった割れ目。湿り気を帯びた秘口からはますます潤滑油が溢れ、きゅんきゅん♡と逞しいオスにときめく子宮が降りているのが感覚で分かってしまう。
もしもいま肉杭を挿入されようものなら、下がりきった膣奥をその先端であっさりとノックされ、赤ちゃんを作るためのお部屋の入り口で亀頭にねっとりご奉仕ディープキスをしながら孕ませ懇願アクメをしてしまうのだと。ミサキはメスの本能で理解ってしまう。
そんなミサキに覆い被さったまま勃起デカ乳首をカリカリ♡と引っ掻きつつ、先生は薄く笑う。
ああ、今のミサキは考えていることが全て顔に出ているから本当にやりやすい。
ならば先生として、男として彼女を導いてみせよう。彼女の中で渦巻いているその懸念に、せめてもの輪郭を与えてあげるとしようか。
先生は戸惑う少女の赤らんだ耳元に唇を寄せてから、「ミサキってさあ」と囁いた。
「筋金入りのマゾ、だよね」
心臓が、一際高く跳ねる。全身から脂汗が滲み出る。
ただでさえ快感に蕩けていた脳味噌が羞恥と動揺によって掻き乱されていたが、それでもミサキは最後に残った理性の欠片を必死で掻き集めた。
(……駄目。いくらなんでも、それだけは訂正、しないと……)
まだまだ世間に疎いミサキでも、先生が口にした言葉の意味くらいは分かる。
マゾ。マゾヒスト。被虐嗜好者。他人から雑に扱われて喜ぶ変態。
詳しくは知らないものの、概ねそんなところを意味する言葉だったはずだ。
私は違う、とミサキは必死で自身に言い聞かせる。
私はそんな人間じゃない。何も感じない、何にも動かされない存在になると決めたのだから、そんな言いがかりを認めることは出来ない。
例え先生がオスとしてどれだけ逞しく、また立派なおちんぽの持ち主であろうとも、それだけは絶対に撤回させないといけないのだ。
しかし、そんな威勢の良い言葉ばかりが意識の片隅で泡のように弾けては消える一方で(このときの彼女にはまず口内の精液を吐き出すという考えすら思い浮かばなかったのだけれど)、そのほとんどは声にすらならなかったのも事実だ。
まるで秘めた想いが露見してしまった乙女のように、彼女は真っ赤な顔でただ俯くだけだった。
先生はそんなミサキの葛藤を見透かしたように笑いかけ、慈しむように少女の烏の濡れ羽色の髪を撫でた。
「ああ、最初から一方的に決めつけちゃってごめんね。私としてはたぶんそうだろうなあと思ったんだけど、やっぱりミサキにも言いたいことはあるよね」
「ふぁ……ふぁふぁひは……!♡♡」
「あはは、ごめん何言ってるか分かんないや。……そうだ。今のままじゃミサキも喋りにくいみたいだしさ、いっそ言葉以外の方法で返事をするっていうのはどうかな?」
「……?」
「だからさ。──ミサキがマゾならそのザーメンを飲んで、違うって言いたいなら吐き出してよ」
ね、簡単でしょ?
先生はいつも通りの優しい口調でごく当たり前のようにそう言って、背後からミサキのつゆだくおまんこに手を伸ばす。
そしてぷにぷにしたその表面をぺちぺちと叩いたり、くぱくぱ♡とサーモンピンクの入り口を大きく開いたり閉じたりして弄ぶ。
まるでどちらを選んでも構わないと言わんばかりの態度に滲むのは、言外の確信。どうせ頷くでしょ、という余裕だ。
(こ、の……っ!♡)
先生の尊大な振る舞いに条件反射的に反骨心を抱いたミサキだったが、彼女のすらっとしたお腹の上に男の大きな手が触れるとその顔色がさっと変わる。
五指の指先で子宮のあたりをさわさわと撫で摩られてから、掌の底をぐっ……と沈み込ませるように優しく押される。するとつい先ほどまでずっぽりとオス肉を挿入されていた膣奥が中途半端に刺激されて、無性に切なくなってしまう。
(あ、それだめ♡それされると、お腹の奥がぎゅーってする……!♡♡)
声を出せないまま身体を震わせて悶えるミサキのシミひとつない真っ白な背中に、先生はそっとキスをする。
お尻からうなじへと這い上がるように、ちゅっ♡ちゅっ♡とわざとらしく音を立てながら唇を落としていく。
そうしてたっぷりと時間をかけて焦らしながら耳元まで到達した先生は、ふうっ♡と息を吹きかけてから耳たぶの内側に大きな舌を這わせ、れろれろ♡と耳穴の奥まで丁寧に舐め上げる。
湿った水音を耳から直接流し込まれる得も言われぬ快感に翻弄されるメスの身体を優しく、力強く逞しい腕で抱きしめる。
とどめとばかりに勃起したおちんぽを尻たぶに乗せ、水音を響かせながらゆっくりと擦り付けてしまえば、ミサキの理性はもうそれだけで陥落寸前だった。
「想像出来るよね、ミサキ。いまミサキがマゾだって認めてくれたら、このなっがー……いちんぽで、女の子の大切な場所をめちゃくちゃにいじめてあげるよ。一番奥に何度も何度も硬い先っぽを叩き付けて、パンパンに張ったカリの段差でちっちゃいおまんこの天井をほじるんだよ。えっちな穴がぽっかり開いて戻らなくなるくらい、何時間でもずーっとしようね」
「……ぅ、ぁ……♡♡♡」
「本当の自分を曝け出すのが怖いなら、安心して。そんなの全然大丈夫だよ。ミサキがどんなドスケベな糞雑魚のドマゾでも、先生はちゃんと受け入れるから。力では負けない大人のオスにオナホ扱いされるのが大好きなクールぶってるだけの変態でも、責任は取ってあげるからね」
だから、ミサキがいちばん気持ちいいと思うことを私に教えてほしいな。
先生は思わず気持ちが揺らぎそうになる甘言を巧みに用いながら、最後にそう言ってミサキの手に己の手を重ねた。まるで包み込むように少女の掌を上から握り、それから頬に唇を寄せた。
あれだけ楽しそうに少女を虐めていた男が、まるでお姫様に忠誠を誓う騎士のように恭しく、宝物を扱うように愛おしげに口づけを落としたのだ。
…………それが、なんだかひどく滑稽に見えて。
ふと、ミサキは思う。
ああ、このひとって結局全部私のためにやってるんだな、と。
私が悦ぶと考えたからこそあんな風に振る舞ったんだな、などと今更ながらに気付き、なんだかおかしくなってしまう。大きく逞しいその身体も、鉄のように硬く張り詰めた怒張も、途端にそう見せようとしてるだけのハリボテのように映ってしまう。
意地悪の根底にあるのが奉仕精神だなんて、大人のくせにまるであべこべだ。
大人の命令は絶対。疑問を抱くことなど許されない。そんな血の通わない冷徹な合理の世界で育ったミサキにはその矛盾がくすぐったくて、どうにも胸がちくちくする。
人を幸せにすることの出来る嘘があるなんて、ミサキはこの大人に出会うまで知りもしなかった。
(ばかなひと。本当に、見ていると腹が立つくらい……)
もう何度目になるのかすら分からない罵倒を、言葉にはせずそっと胸中で呟く。
思い返せばいつもそうだ。このひとに出会ってからというもの、ミサキの調子はどこまでも狂わされっぱなしだった。
ばかみたいに優しくて、ばかみたいに暖かくて、まるでそれが当たり前のような顔をしていて……そんな先生の隣にいると、ミサキの中の常識が音もなく崩れていく。ミサキのような日陰を生きてきた人間でも、まるで自分が普通の女の子であるかのような気分になってしまう。
そう願ってもいいのだと、そう在ってもいいのだと。願いなどという不確かで曖昧な希望/ねつを抱く自分自身の弱さをゆるしてしまいそうになるから。
その感傷はきっと、どんな銃弾よりも恐ろしい毒に違いなかった。
──ふと、肩の力が抜けるのが分かった。張り合うのもばからしくなったというか、心の鍵がひとりでに開いてしまったというか。
とにかく、ミサキは「もういいか」と思ってしまった。
どうせ感じることを止められないのなら、自分であることから逃げられないのなら。せめてこのひとの前でくらいは、それを包み隠さず打ち明けてもいいのかもしれない。そう考え直したのだ。
あるいは──それは戒野ミサキという女性が、生まれてはじめてその心と身体を本当の意味で異性に委ねた、そういう意味を持つ瞬間だったのかもしれなかった。
「じゃあ、最後にカウントダウンするよ。もしゼロになるまでにミサキが決めてくれなかったら、私も素直に諦めるからね。約束は絶対に守るから、安心し、」
「ん、くっ……♡♡♡ふ、ぅ……っ♡♡♡」
踏ん切りを付けさせようと誘導する先生の目の前で、ミサキは覚悟を決めると共に喉を鳴らして口内の異物を嚥下する。
……うん、やっぱり不味い。
どろどろとしていて、鼻がバカになるほどオス臭くて、やたらと喉に引っ掛かったから少しばかり苦戦したけれど。だからといって我慢出来ないほどじゃないし、それに先生のものだと思えば別に嫌というほどでもない。
驚いた様子で目を丸くした男の顔を見て、ミサキは「そら見たことか」と胸がすくような気持ちになった。
「……ん、ふぅ。ほら、全部飲んだよ先生。それで、次はどうしたらいい?なにをすればいい?して欲しいことがあるなら、さっさと命令して」
「……ふむ。じゃあ、次は前からにしよっか」
「分かった。先生のしたいようにして」
同意を得た先生はひとつ頷いてからミサキの薄い身体を持ち上げ、今度は仰向けになるようそっと横たえる。
それから、数秒の沈黙を経て。先生はどこか困ったように眉根を寄せながら微笑んで、「あのさ」と気まずそうに切り出した。
「もしかしてだけど、あんまり気乗りしてなかったりする?」
「……は?」
「いや〜〜だってさあ、なんかミサキってば急に落ち着いてるし。ほらその、今日は気分を変えていつもよりイケイケな感じでいくぞーって頑張ってはみたけど、結局盛り上がってたのは私だけだったのかなーなんて……いやほんと、気を遣って感じてるフリとかしなくていいからね。嫌だったら嫌ってちゃんと言っていいから、全然」
えっちはふたりでするものなんだし、ミサキのして欲しいことがあるならそれを教えてほしいな。
そう言って自信なさげに頬を掻く先生に、今度はミサキが目を丸くする番だった。
発言の意図を理解するまでに若干の時間を要したが、つまるところ先生は自信を喪失していた。突如として平静を取り戻したミサキを前にして「これまでの痴態は演技によるものだったんじゃないのか」と疑っているようなのだ。
……これ以上ないくらいじっくりと、敏感なところばかりを嬲られたのに。嫌だって言っても止めてくれなくて、何度も何度もイかされたのに。あんなに恥ずかしいことだって言わされたのに!
それ、今更気にすることなの。
眉間に皺を寄せたミサキは盛大に溜息を吐き、「自惚れないで」と先生の杞憂を切って捨てる。
「何回も言ってるけど、これはお互いの性欲を解消するためだけの関係だから。たとえどれだけ下手糞な愛撫でも、私はあなたのために妙な気を遣ったりなんて絶対にしない。それに、」
──そもそも、今のミサキは全く落ち着いてなどいない。
性欲で茹っていた思考がほんの少し冷静さを取り戻しただけであって、言ってみればそれは焼け石に水をかけたようなものなのだ。
赤く充血した乳首やクリは依然として硬くビンビンに勃起しているし、このまま服を着ようものなら肌着と擦れ合っただけでも軽く絶頂しかねない。
それに愛情のたっぷり籠ったキスの雨を受けた背中や耳も感覚が研ぎ澄まされて痛いほど感じやすくなっており、ほんの僅かな刺激であっても蜜壺がきゅうきゅう♡と締まること請け合いだろう。
……それどころか、その、なんというか。
先ほどまであれだけ己を翻弄していた男の弱々しい一面を垣間見たことで、ミサキの胸の奥からなんとも形容しがたい感情が湧き上がっていた。
交尾欲や劣情とはまた違う、暖かで穏やかな、それでいてどうしようもなく躰を火照らせる何か。どうにも直視し難いそれは脳の奥から染み出し、甘い痺れとなって全身を巡り、やがて「このひとの繁殖欲の受け皿になりたい♡」と子宮を切なくさせる。
まんこの一番奥で熱くてどろどろの白濁を思う存分吐き出して、このどうしようもない疼きを鎮めてもらうことしか考えられなくなってしまう。
「ん……♡♡」
赤い瞳を潤ませたミサキはそれまでぴったりと閉じていた両足を、M字開脚の形になるようゆっくりと広げていく。
収まりきらなくなって蜜壺からとろとろと溢れる発情メスジュースの量と粘り気はここにきて更に増しており、もはや排卵日のそれと見紛うほど。
左右の太ももを結ぶ白濁愛のアーチは夕陽を浴びて艶めかしく輝いており、その向こうにあるおまんこをミサキの白くて細い指が静かに押し広げた。
──くちゅっ♡♡♡くぱぁっ……♡♡♡
ぬらぬらと濡れた小陰唇も、すっかりオスの形を覚えてしまい僅かに開いている膣口も、そしてその奥に覗くおちんぽ欲しさに降りきった赤ちゃんの部屋の入り口すらも。ミサキは今度こそ、自分自身の意思でその全てを曝け出す。あなたになら見せてもいいのだと、行動で示してみせた。
そうして秘部に突き刺さるオスのぎらぎらとした視線を正面から受け止めて、羞じらうように目を逸らしながら彼女は呟いたのだ。
「……さっきまでのが嘘かどうかなんて、そんなの自分で確かめてみればいいだけでしょ」
「ッ……ミサキっ……!」
それは不器用で不愛想な少女からの、はじめてにして精一杯の[[rb:挑発 > 求愛]]」。
しとどに濡れたおまんこの[[rb:ピンク色 > ナカ]]を余すところなく見せつけ、「ここにカチカチのオス肉を捻じ込んでごしごし擦ったなら絶対にきもちいいよ♡」と彼女なりに必死で媚びているのだ。
ギャップ萌え、という概念があり、今のミサキはその権化だ。恐らくは同姓ですら生唾を呑むであろうその魔性に、現在進行形でガチ恋中のオスが耐え切れるはずもなく。
結果として理性の蒸発した彼は、ほとんど勢いのまま生ちんぽを挿入してしまった。
──にゅっっ、ぷうううぅぅぅぅっ……♡♡♡
「ぅ、わ……っ!なに、これっ……あつくて、きつくて……!?」
「〜〜ぉぉ、ぉ゛〜〜っ……♡♡♡♡♡」
まるで初めて異性と交わった童貞と処女のような瑞々しい悦びに全身を貫かれ、思わず視界が眩む。ふたりは互いの腰をぴったりと密着させたまま、咄嗟に互いの背中へと腕を回して硬く抱き締め合ったまま長く、熱い息を吐く。
脈打つ性器の熱さも、その形に感触も。相手の息遣いや存在感までも。
薄いゴム一枚を隔てないだけで、こんなにも鮮明で艶めかしいのか。こんなにも「繋がっている」という実感が得られるものなのか。
まるで世界にふたりだけのような、目の前の相手以外の何もかもが意識の外に流れ出していく感覚がそこにはあった。
「ん、む♡♡♡ちゅっ♡♡ちゅっ♡♡♡♡ちゅ♡♡♡んちゅ、んむ♡♡れろ……れろ……♡♡♡」
先生とミサキは相手の瞳の中に映る己の姿を探すようにじぃっと見詰めあい、それからどちらともなく唇を重ねる。
優しく表面を触れ合わせるだけのキスは次第に舌を深く絡めあうものへと変わり、やがて重たく粘ついた水音がふたりの頭蓋を満たしていく。
そしてその間もオスは本能のままより深くへちんぽをねじ込もうとメスのほっそりした腰を掴み、自らの股をぐりぐり♡と絶えず強く押し付けていた。濃厚ベロキスだけでは飽きたらず、ミサキの子宮口へも情け容赦のないディープキスをはじめたのだ。
深々とペニスを咥え込んだ割れ目の合間から、収まりきらなくなったメス汁がだらりと溢れて太腿へ伝って流れ落ちていく。
「ん〜〜っっっ……♡♡♡ぷは、せんせっ♡♡♡♡だめっ♡♡♡それだめっ♡♡♡あんっ♡♡んっ♡♡あっ♡♡あっ♡♡あっ♡♡」
はじめてを捧げ、心から身を委ね、更にはナマ挿入まで許した相手の遺伝子を求めるのはもはやメスの本能と言っていい。
鈴口からトロトロと溢れ出る先走りを全て飲み干そうと、柔らかくてコリコリしている赤ちゃん部屋の入り口が亀頭にむしゃぶりつく。竿の中を上っている精子に留まらず、金玉の中身まで貪欲に全て吸い上げようとするメスまんこのバキュームフェラが齎す快感に先生は堪らず呻き、少女の下品なまでにデカい勃起乳首を咄嗟に捻る。
「ぉ゛っ〜〜……!?♡♡♡」
束の間のあまあまいちゃらぶえっちに没頭していたミサキにとって、その刺激は正に青天の霹靂で。
オフになりかけていたマゾのスイッチが、強制的にオンにされる。オスの逞しい指で乳首を押し潰された途端にミサキのザコまんこがぎゅー……っ♡とわななき、生暖かいイキ潮がぷしぷしっ♡と溢れた。
先生はとろふわの花肉に激しく分身をシゴかれる快楽に意識を焼かれながらも乳首から決して指を離さず、まるで駄馬の手綱を握るようにぐいぐいと引っ張ったまま本気ピストンを開始した。
「ぁ゛っっ♡♡♡い゛っ、ぎっ♡♡♡♡ちくびっ、とりぇっ♡♡♡とれりゅっっ♡♡♡♡♡ぉっっぅ、んぉ、ぉ゛ほぉっ……っ♡♡♡♡」
「うるさいっ!こんなにいやらしく勃起してる方が悪いでしょ!罰としてもっと強くするからね!」
「そんなっ♡♡♡ひどいっっ♡♡♡♡あ゛っ♡♡お゛っ、ん゛んっ!!ひっ♡♡♡おあ゛ッ、ああ゛ぁ♡♡」
──ぱんぱんぱん♡♡♡ぱんぱんぱん♡♡♡ぱんぱんぱんぱんっっ♡♡♡
ひどい、などと言ってもそんなのは口だけだ。
マゾ膣には出来るだけたくさんカチカチに硬いオス肉にいじめてもらうため、耕しても耕してもすぐさま元の形に戻ろうとする習性がある。
ぱんぱんに張ったカリ傘でみっちり閉じたおまんこ肉を無理やり押し広げられ、蹂躙される悦びを、巻き戻し再生のように何度でも味わおうとするのだ。
だが、負け癖のついたメスを本当の意味で満足させられるような逞しいオスは、そもそもとしてそのようなせせこましい企みに付き合ったりなど絶対にしない。
もう2度と、元の清楚なおまんこになんて戻らせない。
膣口のビラビラが下品にめくれ上がり、色は黒ずみ、一目でご主人様専用の使用済み性処理穴だと分かるようになるまで許さない。
そう言わんばかりの激しさで、独占欲丸出しの先生はぐちゃぐちゃに濡れた膣の最奥を目掛けて力強く腰を打ち付けていく。
快楽に溺れたメスがほとんど白目を剥いているのもお構いなしに、先生はミサキをもっと気持ちよくさせるために、マゾ便器である彼女を満足させるために一心不乱でポルチオを殴り続けるのだ。
「こら、ミサキっ!私がイクまで気絶するのは禁止でしょ!言うことが聞けない悪い子はこう、だよっ!」
「ぁ゛ぁぁぁ゛……っ!!♡♡ っ、ぁっ♡♡♡っ、ぃ゛っ、ぃぎ……ッッ!!♡♡♡ぁっ♡ぁあっ!♡♡♡っ、ぁあんっ!♡ぉ゛っ♡ぉ゛っ♡お゛あ゛ぁっっっ!!!♡♡」
先生はふいに拳を振り上げ、ミサキのしなやかで無駄のないお腹を殴りつける。
無論、ミサキの身体は神秘を宿すキヴォトスの学生のそれだ。先生程度の徒手空拳で痣を残したり、痛みを感じたりはしない、が。先生の拳が当たったのは、ちょうど限界まで下がりきった子宮のある辺りだった。
つまるところ、ただでさえ容赦のないポルチオ責めをされている最中の、腹筋越しとはいえ別方向からの子宮責めだ。
膣奥の子宮口を無理矢理にでもこじ開けようとする膨れ上がった亀頭の迫力に怯え、後退しようとしていた子宮はその衝撃で竦み、逃げ場を失う。それにより子宮は敢え無くおちんぽで正面から押し潰され、波状攻撃のように押し寄せてくる快楽をやり過ごすことも出来ず、ミサキは何度も何度もその場で失神した。
断続的な絶頂へと導かれ続けた身体は、いよいよ受精のためだけに全神経を集中させる。全身の筋肉が、そしてドロドロホカホカの孕む気満々のよわよわまんこが収縮し、彼女のヘイローはまるで壊れかけの電灯のようにちかちかと明滅していた。
──ごちゅっっっ♡♡♡♡♡♡
溢れて止まらない愛液を掻き分け、絡み付いてくる膣ヒダを削り取る勢いで挿入されている先生のおちんぽの先端が、なにか一線を踏み越えた感覚があった。亀頭がいよいよ子宮の中にめり込んだのだ。
その瞬間、亀頭目掛けて腰の中心から熱いものが駆け上がり、再び下半身の感覚が朧げになった先生は咄嗟にミサキの白く細い喉へ手をかけた。
「ミ、サキ……っ!」
「ぁが、っ……!?♡♡♡♡ぐるぅ゛♡♡♡♡ぐるじっ♡♡♡ぅぐッ♡♡♡ん゛ぐっ♡♡ふぐっ♡♡♡♡ぉ゛っ、い゛ぎゅ♡♡♡ぅぅぅぅ゛ぅ゛っ♡♡♡♡ぉ゛ーっ♡♡♡♡いぐぅ゛ぅ゛ぅ゛っ♡♡♡♡♡」
繰り言にはなるが、先生程度の握力では痣や後遺症は残せない。だが、気道を塞がれてしまえば当然のように呼吸は困難になる。
それは通常であれば苦しいだけの行為であるものの、しかし今のミサキの身体は先生専用の雑魚マゾ精液トイレだ。苦しいからこそ、彼女は身を捩らせて悦ぶのだ。
喉が圧迫されるほど、ぐちゅぐちゅでトロトロのメス膣は限界を超えて締まり、先生のザーメンを受け入れるためだけの肉オナホと化していく。
まるでそれぞれが意思を持つかのように蠢く肉ヒダに全方位からおちんぽをシゴかれる快感は凄まじく、それは繊細な指遣いが織りなす極上の手コキのようでありながら、喉奥までぐっぽり♡と肉杭を咥え込むディープスロートのような快感でもあった。もはやただ挿れているだけでもイかされてしまうであろう名器の齎す快楽に、先生は歯を食い縛って耐える。
だが、体液を混ぜ合わせながらナマで擦れ合うおちんぽとまんこは揃って絶えずビクついており、どちらも限界が目前まで迫っているのは火を見るより明らかだった。
「っ、ふぅっ、ぐっ、はぁ……っ!ミサキ、ミサキ……っ!イクよ、もうイクからね、ミサキっ……!!」
「きて♡♡♡♡せんせっ♡♡♡ぐぇっ♡♡♡♡あ゛がっっ♡♡♡イグっ、まらアクメッ♡♡♡♡せいえきほしいっっ♡♡♡♡んお゛ぉっ♡♡♡♡くびしめられひゅぅっ♡♡♡♡ごぉ゛っ♡♡♡♡いぐッ、イぐぅッ!♡♡♡♡♡イッ♡♡♡♡ぐぅぅッ!♡♡♡♡♡」
先生は両手で少女の首を絞めながら、最後に残った気力を振り絞る。
まるで童貞のようにただひたすら大振りの、胸の奥から湧き上がる愛おしさごと全力で叩き付けるような力任せのピストンで、ミサキの最奥に自身の分身を捩じ込む。
世界でたったひとり、メスにつがいとして認められたオスだけが踏み入ることの出来る場所へとパンパンに膨れ上がった亀頭を無遠慮に突き入れ、今後どんなオスと結ばれたとしてもそこに最初に踏み入ったのは自分なのだと、己の存在を刻み込んでいく。
そして、先生とミサキはそこで同時に絶頂を迎えたのだ。
「もっだめっ♡♡♡せんせっ♡♡♡せんせっ♡♡♡♡ほんとにだめっ♡♡♡♡♡いくいくいくいくっっ♡♡♡♡あ゛♡♡♡♡あ゛っ♡♡♡♡ぅぉ゛♡♡♡♡♡いぐッ♡♡♡♡い゛っ♡♡♡♡ぉ゛ぉぉぉっ♡♡♡♡おっ♡♡♡ぁぉ゛♡♡♡ぉ゛っ♡♡♡ はひっ♡♡♡はぁっ♡♡♡♡ はぁっ♡♡♡♡あっ♡♡♡♡はぁっ♡♡♡♡お゛♡♡♡♡お゛♡♡♡♡んお゛っ♡♡♡♡イ゛ぐッ♡♡♡♡あっだめ♡♡♡イ゛っ♡♡♡♡♡ォ゛っっっっ♡♡♡♡~~~────────ッッッ♡♡♡♡♡♡♡」
「っ、ぁ、ッ……~~!!」
先生は甘い声で啼くミサキの首から手を離すと彼女の華奢な体に覆い被さり、一番奥におちんぽを捩じ抽れたまま腰をぶるりと震わせてザーメンを吐き出す。
びゅるるるるっ♡と堰を切ったように溢れる白濁は比喩抜きに先生の半生の中で最も濃く、熱く、そして凄まじい量のものだった。
まるで濁流のような子種が押し寄せるとあっという間に少女の小さな膣と子宮はいっぱいになり、卵子たちは成す術もなく溺れてしまう。
女の子の最も大切な場所をオスに蹂躙されるというメスとして、そして被虐嗜好者としてこれ以上ない快感にほとんど放心状態となったミサキだったが、それでも身体に備わった本能はどこまでも貪欲だった。
精液と愛液の激しく混じり合ったカクテルが逆流し、接合部から溢れさせながらもミサキは無意識のままその腰をくねらせ、緩くグラインドさせる。おちんぽに残った精液を最後の一滴まで搾り取ろうと、絡みたく膣ヒダが甘コキでおちんぽを刺激する。
そうしてメスに求められるまま先生は壊れた蛇口のように精液を吐き出し続ける亀頭をぐりぐり♡と執拗に膣奥へ押し付け、少しでもミサキのナカを自らの遺伝子で染め上げようとしていた。
「ふぅ、ふぅーっ……」
「はぁ、はぁ……っ♡」
そうして、とてもとても長い絶頂が終わって。
気が付けばミサキは先生の逞しい腕を枕にして、荒い息を吐きながら天井を見上げていた。全身から滴り落ちる脂汗や股の間から溢れるどちらのものとも分からない体液の感触が気になるものの、それらを拭う気力など今の彼女にはない。
先生の分厚い胸板が上下するのを横目に収めながら、ある程度呼吸の整ってきた彼女は大きな溜息を吐いた。
「……ああもう。本当に最悪」
「あー……その、謝って許されることじゃないと思うけど。ごめんね、ナカに出しちゃって。大人として、ちゃんと責任は取るから、」
「いや、そっちじゃない。……なんか余計なこと言ったし、言わされたから。自分に呆れてるし、先生にも怒ってる」
あれが大人のやり方なんだね。本当にずるい。
忌々しげにそう呟いて顔を顰めるミサキは既にいつも通りのテンションで、同じく性欲を発散して満身創痍の先生はちょっと困ったように笑う。
それってマゾ云々のこと?いやアレはほとんどミサキの自爆だった気がするんだけどなあ。
けれどそれを指摘するとまた泥沼なのは目に見えているので、先生は取り敢えず話題を変えることにした。
うーん……それにしても、だ。
普段は丈の大きなパーカーを着用しているため分かりにくいが、改めて観察すると触れれば折れてしまいそうなほどに細い身体だ。時には無茶なダイエットにすら手を染めることもある女の子たちからすれば憤慨ものだろうが、大人としては多少肉つきが良いくらいの方が安心出来るのだ。
「ちゃんと食べてる?あ、セクハラ気味なのは分かってるけど、ミサキの場合は事情が事情だから」と先生が訊ねると、ミサキは唐突な問いかけに怪訝な顔をしながらも頷いた。
「……まあ、一応は。私は別に食事なんてどうでもいいけど、アツコとヒヨリにまでひもじい思いをさせるわけにはいかないでしょ。先生から借りた栄養学の本とかも、実際割と重宝してるよ」
「そっか。ミサキはあの子たちのリーダーだもんねぇ。大変な生活の中で栄養のバランスにまで気を遣えてるなら、私から言うことはもう何もないかな。……でもさ、ほら。ミサキやアツコの食べるご飯じゃヒヨリが満足しなくない?あの子って、ああ見えて結構食べるじゃない」
「……まあ、それはそう。いくら狙撃手だからって、あんまり動けなくなると困るんだけどね」
臆病なようで鈍感で、繊細なようで図太い少女の顔が思い浮かんだのだろうか。
仲間の名前を口に出したミサキの口元がふ、とほんの僅かに柔らかなカーブを描く。虚ろな赤色の眸に、どこかやわらかな温もりが宿る。
それは、笑顔と呼ぶにはまだ少しばかりささやかなサインだったけれど。きっとミサキという少女とこの世界を結びつける、確かなよすがだ。
ああうん、この子はもう大丈夫なんだ。明日も明後日も、自分がいないような未来にだってきっと踏み出せる。
先生はそれがなんだか嬉しくって、ほとんど無意識のままミサキの柔らかい口元に指先を当ててしまった。
そのままぐいと指を押し上げてにっこり笑顔を作らせると、ミサキの目はすっと冷たいものに戻った。あっヤバい。そう悟ったときには既に遅く、ミサキの激レアな表情はもうどこにもなかった。
「……なに。やめて欲しいんだけど」
「んー、笑顔の練習だよ。必要じゃない?」
「必要ない」
「いやあ要るでしょ~。今どきバイトだってちゃんと面接するんだしさ」
生きていくにはなんだかんだお金が要るでしょ。ほら、スマイルスマイル。
先生がそう言ってもう片方の指で両唇を押し上げると、ミサキは鬱陶しげに顔を逸らす。それを追いかけるように更に指を近付けると、ミサキは舌打ちと共に先生の人差し指を掴んだ。
みしり、と骨の軋む音がして先生は顔を青褪めさせる。
「ちょっと、やめてってば」
「いたたたた。ごめんごめん、冗談だってば……!」
先生はすぐさま平謝りしたものの、ミサキの態度は既に氷点下だ。取りつく島もない。
大きく溜息を吐いたミサキが白くて清潔なシーツの上で息を吸い込めば、ふと、男女の交わった濃厚な残り香の中で異彩を放つ匂いが彼女の鼻先を掠めた。
それは働く大人の男性特有のワイシャツに沁みついた柔軟剤や少し値の張る整髪料、紙とインクにインスタントコーヒーの匂い。
夏の暑い日は少し汗くさくて、逆に冬の寒い日は室内でばかり過ごしているからかどことなく生活臭が強くなる。
他にもキヴォトス中を飛び回る彼が食べた物や行った場所、関わった生徒、そういう日々の名残なんかが渾然一体となって混ざり合ったような、まるでたくさんの人が行き交う街角の交差点めいた、モザイクアートにも似たひどく猥雑な体臭。
なんというか、そう。
「ああ、このひとは今日も生きてるんだな」って感じのする、不思議なにおい。
(……ああ。ばかなのは、よく考えたら私も一緒か)
この世界には苦痛だけが満ちていて、肉体を捨て去ることだけがそれから解放される唯一の手段なのに。
肉体を通して得られる感覚なんて、心底煩わしいだけのはずなのに。
笑いかけられて、揶揄われて、言葉を交わして、匂いを嗅いで、触れ合って、温もりを確かめて。このひとが確かに生きているんだと実感するたび──戒野ミサキは、こんなにも安堵してしまうのだから。
「……ミサキ?急に静かになったけど、どうかした?」
「別に」
心配そうな先生の問いに素っ気なく返し、ミサキは何気ない素振りでごろりと寝返りを打つ。
彼女は男の大きな胸板に顔を寄せて、すんと鼻を鳴らし目を細めた。
ただ、先生のにおいがするね、って。それだけ。
ミサキは自分にだけ聞こえるボリュームでそう呟き、胸中に滲んで広がる暖かな感情を誤魔化すように溜息を吐く。
夕陽はもうとっくに沈み、部屋の中には暗闇が満ちている。
その表情は、誰にも窺い知れなかった。
読了ありがとうございました。
もしよろしければ評価、コメント等お願い致します。