※この作品はR-18です。

ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-   作:独楽 悠

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第4話_水底の罠_03

「…通信が途絶えた」

 

その頃待機する地上では、やはり脳内会話が出来なくなったことに程なく気付いた葉月(エピドート)と陽(サルファー)が、顔色を一変させていた。

 

「っ…なんでだよ!? 今までこんなこと一度も無かったじゃねえかっ…!!」

 

サルファーの言う通り、セイバー間の脳内通信機能は、今まで幾度も繰り返してきた戦闘歴の中で、いかなる場面でも途切れることは無かった。

今回も、蒼矢(アズライト)の姿が視認できない状況ではあるものの、いなくなってからの経過時間を加味しても、水中を介してではそれほど遠いところにいるとは思えず、距離が理由だとは考えにくい。

 

体調を概ね戻したエピドートが、やはり核心に辿り着く。

 

「[侵略者]か[異形]に妨害されてる…そうとしか考えられない」

 

彼の読みに、サルファーも深く頷いた。

つまり、アズライトは既にどちらかと遭遇…最悪対峙している可能性もある。

 

「…行く」

 

そうぼそりと漏らすと、サルファーはエピドートの反応を待たずに池へとずんずん歩いていく。

 

「…! 待てサルファー」

「止めるな月(つき)兄!! 蒼(あお)兄がピンチになってるかもしれねぇってのに、こんなところで突っ立ってられるか!!」

「うん、わかってる。だからちょっと待ってくれ。…僕に考えがある」

 

頬を膨らませ、鼻をつまんで頭から飛び込もうとしていたサルファーは、エピドートの言に眉をひそめながら振り向いた。

水際で立ち止まる彼の周囲を突如、風の壁が覆う。

 

「僕の防御壁は、セイバー以外は何も通さない。水中でもきっと呼吸出来るだろうし、水に濡れることさえないだろう」

「…! すげぇっ…」

「僕は引き続き、監視で地上に残る」

「っ!!」

 

射し込んだ光明に気が昂りかけたサルファーだったが、ついで告げられたエピドートの言葉に、表情を固まらせた。

 

「どうにせよ、今の僕は水中では役に立たない。…君ひとりで行って来てくれ」

 

一転して不安げな面持ちになるサルファーへ、エピドートは優しく微笑んで見せた。

 

「風の壁は、必ず君を護る。…おそらく脳内会話は出来なくなる。でも落ち着いて、アズライトを連れ戻すことだけを考えて。君が使う光属性は、有効な相手も少ない一方で不得意も無い。属性だけを取れば、不利になることはないはずだ。自分の実力を信じて」

「……!」

「大丈夫。風を"僕"だと思って。…ずっと君に付き添っているから」

 

エピドートの声掛けに、サルファーの金色の瞳が大きく見開かれ、力と意志が宿っていく。

 

「アズライトを見つけたら、どんな状況であってもすぐに彼を防御壁へ取り込んで、即刻戻ること。無茶をしてはいけないよ。…いいね?」

「了解!」

 

そしてそういつも通り応答すると、サルファーはきびすを返し、エピドートへ振り向かないまま静かに水中へと身を落としていった。

エピドートはその後ろ姿を見送りながら、祈るような思いで両拳を強く握った。

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