「…通信が途絶えた」
その頃待機する地上では、やはり脳内会話が出来なくなったことに程なく気付いた
「っ…なんでだよ!? 今までこんなこと一度も無かったじゃねえかっ…!!」
サルファーの言う通り、セイバー間の脳内通信機能は、今まで幾度も繰り返してきた戦闘歴の中で、いかなる場面でも途切れることは無かった。
今回も、
体調を概ね戻したエピドートが、やはり核心に辿り着く。
「[侵略者]か[異形]に妨害されてる…そうとしか考えられない」
彼の読みに、サルファーも深く頷いた。
つまり、アズライトは既にどちらかと遭遇…最悪対峙している可能性もある。
「…行く」
そうぼそりと漏らすと、サルファーはエピドートの反応を待たずに池へとずんずん歩いていく。
「…! 待てサルファー」
「止めるな
「うん、わかってる。だからちょっと待ってくれ。…僕に考えがある」
頬を膨らませ、鼻をつまんで頭から飛び込もうとしていたサルファーは、エピドートの言に眉をひそめながら振り向いた。
水際で立ち止まる彼の周囲を突如、風の壁が覆う。
「僕の防御壁は、セイバー以外は何も通さない。水中でもきっと呼吸出来るだろうし、水に濡れることさえないだろう」
「…! すげぇっ…」
「僕は引き続き、監視で地上に残る」
「っ!!」
射し込んだ光明に気が昂りかけたサルファーだったが、ついで告げられたエピドートの言葉に、表情を固まらせた。
「どうにせよ、今の僕は水中では役に立たない。…君ひとりで行って来てくれ」
一転して不安げな面持ちになるサルファーへ、エピドートは優しく微笑んで見せた。
「風の壁は、必ず君を護る。…おそらく脳内会話は出来なくなる。でも落ち着いて、アズライトを連れ戻すことだけを考えて。君が使う光属性は、有効な相手も少ない一方で不得意も無い。属性だけを取れば、不利になることはないはずだ。自分の実力を信じて」
「……!」
「大丈夫。風を"僕"だと思って。…ずっと君に付き添っているから」
エピドートの声掛けに、サルファーの金色の瞳が大きく見開かれ、力と意志が宿っていく。
「アズライトを見つけたら、どんな状況であってもすぐに彼を防御壁へ取り込んで、即刻戻ること。無茶をしてはいけないよ。…いいね?」
「了解!」
そしてそういつも通り応答すると、サルファーはきびすを返し、エピドートへ振り向かないまま静かに水中へと身を落としていった。
エピドートはその後ろ姿を見送りながら、祈るような思いで両拳を強く握った。