※この作品はR-18です。

ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-   作:独楽 悠

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第5話_心壊す痺れ_01(★)

★暴力表現(微)有

 

水中奥底では、仲間に待たれるセイバーアズライトと、侵略者[霆蛇(テイダ)]が対峙していた。

急所の特定が出来ていない蒼矢(アズライト)は、ひとまず[侵略者]の多くが急所を持つ体躯の中心を狙う。が、空間を満たす水が意思を持つように流れを生み出し、[霆蛇]へ辿り着く前に押し戻されてしまう。

 

…『索敵』をしている余裕は無い。おそらく水属性…なら、効果は等倍なはずだ。

 

アズライトは装具に属性の力を溜め、再び[霆蛇]へ接近する。青白い光を増す『水面』が進路を阻む水をかき分け、その先端が高速で巨体へとぶつかっていく。

 

「…っ!」

 

手応えはあったものの、深く抉ったつもりが傷ひとつ残っていない表皮を見、アズライトは面を固まらせた。

 

…硬い…!!

 

水中で黒光りする[霆蛇]の表皮は厚く、ゴムボールのような弾性を持ち、『水面』の刃を全く通さない。

アズライトは再び意識を集中し、柄を両手に構えて黒い壁へ当たっていく。全体重をかけて垂直に突き刺すが、表皮はぶよりと緩やかに凹んでからすぐに戻り、反動でアズライトの身体は大きく押し返された。

 

「っくぅ…!!」

 

まとわりつく水流にもまれ、体勢を整えることすらできない。まるで溺れているかのようにもがき、手足をばたつかせるアズライトを、[霆蛇]は涼しい顔で眺めていた。

 

「あまり醜態を晒さないでくれ…私が抱くお前への評価を落としたくはない」

「…!」

 

水中に響く撫ぜられるような声に、アズライトはなおも鋭い視線を向けた。

が、途端周囲を覆う水の流れが身体を渦巻いて巡り、首元へ集まっていく。

目に見えない水の束が細い首へ巻きつき、締めあげた。

 

「っ! あくっ…!!」

 

にわかに起きた水の暴走に、アズライトは振りほどこうと両手を掛けようとするが、何にも触れられないまま指先が自身の首を掻く。見えず、形さえも無いものに圧迫され、アズライトの表情が苦悶を表出していく。

見えない何かからの攻撃になす術なく悶える姿を見、[霆蛇]はにやりと嗤う。

 

「先ほど私は、お前を水中(ここ)へおびき寄せたと言っただろう。私の手の中にいるとも言ったぞ? …お前は私とまみえた時から既に、捕われている」

 

[霆蛇]の躯がゆっくりとアズライトへ近付き、巨大な顔貌が歪む藍色の眼と高さを合わせた。

 

「この水は、私の[異形(手駒)]。お前が潜ったあの地表から下全てが、私の縄張り(テリトリー)だ」

 

そう言うと、[霆蛇]は黒々しい丸い目を大きく見開いた。

刹那、辺りを満たす[水の異形]に無数の白い筋が走り、瞬く。

 

「あああぁっ!!」

 

ついで、アズライトの身体がびくりと反り、大きく開いた口腔から空気を吐き出した。

全身に電流が流れる感覚に、身体と表情が凍る。

 

……風属性…!?

 

[霆蛇]は自身を風、[異形]を水属性とし、[異形]を通して標的へ電流を送り攻撃する[侵略者]だった。

そして、雷を含む風属性は、アズライトが最も苦手とする属性だった。

属性読みが完全に裏目に出、アズライトは自身の窮地を前に思考が止まった。

 

痺れ、硬直する獲物を前に、[霆蛇]は厚い唇の口角を一層上げた。

 

「よい表情だ。…もっと私に魅せてくれ」

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