★暴力表現(微)有
水中奥底では、仲間に待たれるセイバーアズライトと、侵略者[
急所の特定が出来ていない
…『索敵』をしている余裕は無い。おそらく水属性…なら、効果は等倍なはずだ。
アズライトは装具に属性の力を溜め、再び[霆蛇]へ接近する。青白い光を増す『水面』が進路を阻む水をかき分け、その先端が高速で巨体へとぶつかっていく。
「…っ!」
手応えはあったものの、深く抉ったつもりが傷ひとつ残っていない表皮を見、アズライトは面を固まらせた。
…硬い…!!
水中で黒光りする[霆蛇]の表皮は厚く、ゴムボールのような弾性を持ち、『水面』の刃を全く通さない。
アズライトは再び意識を集中し、柄を両手に構えて黒い壁へ当たっていく。全体重をかけて垂直に突き刺すが、表皮はぶよりと緩やかに凹んでからすぐに戻り、反動でアズライトの身体は大きく押し返された。
「っくぅ…!!」
まとわりつく水流にもまれ、体勢を整えることすらできない。まるで溺れているかのようにもがき、手足をばたつかせるアズライトを、[霆蛇]は涼しい顔で眺めていた。
「あまり醜態を晒さないでくれ…私が抱くお前への評価を落としたくはない」
「…!」
水中に響く撫ぜられるような声に、アズライトはなおも鋭い視線を向けた。
が、途端周囲を覆う水の流れが身体を渦巻いて巡り、首元へ集まっていく。
目に見えない水の束が細い首へ巻きつき、締めあげた。
「っ! あくっ…!!」
にわかに起きた水の暴走に、アズライトは振りほどこうと両手を掛けようとするが、何にも触れられないまま指先が自身の首を掻く。見えず、形さえも無いものに圧迫され、アズライトの表情が苦悶を表出していく。
見えない何かからの攻撃になす術なく悶える姿を見、[霆蛇]はにやりと嗤う。
「先ほど私は、お前を
[霆蛇]の躯がゆっくりとアズライトへ近付き、巨大な顔貌が歪む藍色の眼と高さを合わせた。
「この水は、私の[
そう言うと、[霆蛇]は黒々しい丸い目を大きく見開いた。
刹那、辺りを満たす[水の異形]に無数の白い筋が走り、瞬く。
「あああぁっ!!」
ついで、アズライトの身体がびくりと反り、大きく開いた口腔から空気を吐き出した。
全身に電流が流れる感覚に、身体と表情が凍る。
……風属性…!?
[霆蛇]は自身を風、[異形]を水属性とし、[異形]を通して標的へ電流を送り攻撃する[侵略者]だった。
そして、雷を含む風属性は、アズライトが最も苦手とする属性だった。
属性読みが完全に裏目に出、アズライトは自身の窮地を前に思考が止まった。
痺れ、硬直する獲物を前に、[霆蛇]は厚い唇の口角を一層上げた。
「よい表情だ。…もっと私に魅せてくれ」