※この作品はR-18です。

ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-   作:独楽 悠

16 / 51
第6話_鮮彩なる金色の瞳_02

攻撃姿勢へ変えた陽(サルファー)は、高速で[侵略者]へ接近していく。

風の防御壁は、動きに合わせて回転と速度を増し、寄り添うように彼を包む。

 

「らあああぁぁっ!!」

 

真正面から現れた新手に至近距離でようやく気付いた[霆蛇(テイダ)]は、何も行動が取れないまま光のセイバーの攻撃を受け止めた。

 

「!! むぐぉっ…」

 

渾身の力でもって穿たれた『閃光(せんこう)』は、[霆蛇]の上唇へ蒼矢(アズライト)の身体とほぼ水平に埋まっていく。速度と体重の乗った一撃は刀身根元まで入り、耳が切り刻まれるような咆哮と共に[霆蛇]の口が開いた。

サルファーは『閃光』を置き去りにして、アズライトを一気に引き抜く。ずるりと抜け出た身体を防御壁へ回収し、装具がかき消える前にはきびすを返し、光の速さで沈んできた方へと退却する。

 

「……っ!!」

 

無呼吸で一連の回収劇をやりきったサルファーは、震える眼でちらりと[侵略者]を振り返った。

[霆蛇]は追ってくる素振りは無く、傷ついた上唇を舌で舐め、憮然とした顔貌でこちらを睨みあげていた。

サルファーの周囲を[異形の水]が躍り、妨害を試みてくるが、葉月(エピドート)の壁はものともせず、セイバーたちを浮上させる。

[侵略者]の眼力に息を飲んだサルファーは即視線を外し、アズライトの身体を支えながら地上を目指す。

エピドートの元へ帰り着くまで、サルファーは目を閉じたまま動かないアズライトへ、必死に声を掛け続けた。

 

「アズライトっ…蒼(あお)兄っ、…蒼兄しっかりしろ…!!」

 

 

 

「……」

 

その場から動かず、離脱していくセイバーたちの後ろ姿を目で追うのみにとどまった[霆蛇]は、無言のままその姿を水中へ溶かしていく。

[霆蛇]の黒い巨体が、徐々に青の中に薄れて消えていく。

 

「…。」

 

消え入る直前、その唇が嫌らしく、口角を上げた。

 

 

 

「サルファー!! …アズライト!!」

 

やがて地上へ帰還してきたサルファーと、その腕に抱えられるアズライトを見、周囲を警戒していたエピドートが駆けつけてくる。

 

「…よく…無事で…っ…!」

「…辛くも成功!!」

 

興奮冷めやらぬ緊迫した表情の中からにやりと笑ってみせ、サルファーはアズライトを差し出した。

手渡したタイミングで、『転異空間』がその役目を終え、辺りが現実世界へと溶けて消え始める。[異界のもの]が空間を退去していったことを察し、エピドートは辺りへ視線をやった。

 

「! 退(ひ)いたのか…」

「エピドート(・・・・・)、消えちまう前に診てくれ!!」

「!? っあぁ、そうだね」

 

サルファーの言動に少し目を見張るエピドートだったが、ひとまずそれは置いておくとして、アズライトの身体を調べる。

意識が無く、ずぶ濡れになってはいるものの、呼吸と脈ははっきりしていて、外傷も見当たらなかった。

 

「…ここで出来ることは無さそうだ。あとは『現実世界(あっち)』で…意識が戻ったら、何か影響が残ってないか見てみるしかない」

「そっか…」

 

そう返し、安堵と悔しさの入り混じったような表情でうつむくサルファーを見、エピドートは感極まりそうになる己をしまい、ひとつ息をつき、その頭に優しく手を置いた。

 

「よくやった。…ひとりで本当によくやってくれた。ありがとう」

「…っ!」

 

見上げる澄んだ金色の眼は、エピドートの柔らかな微笑みを受け、少しずつ滲んでいく。

 

「大変な思いをさせてすまなかった。…もう君は、一人前だよ」

「……」

 

サルファーは無言でエピドートの胸へ頭を押し付け、肩を震わせた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。