彼らの思考回路を見透かすように、再び足元からくぐもった声が伝わってくる。
「ようやく状況が飲み込めてきたようだな。しかし…解ったところでお前たちには手の施しようが無いだろう。アズライトを仕留めるのであれは別だが」
「……!」
「
そう言い残し、地面を震わせていた[霆蛇]の気配が、それきり水奥へ消えていく。
[侵略者]がくらまし、沈黙が降りた空間で、
「てめぇの都合通りいかなくなった途端お払い箱ってか。…糞ったれが」
「とはいえ、意識はいまだ[侵略者]の支配下にある。毒の効果ははっきりとはわからないけど、多分[
「…どうすんだ、[魚]は逃げちまったし、
「困ったね…なにしろ、
灼熱で造る防御壁は属性変更後も持続力があるが、装具は灼熱へ切り替えた瞬間に消え、再び火炎へ切り替えなければ呼び出せない。
『灼熱』は『凍氷』に対して優位性のある属性ではあるものの、リーチが長い大剣持ち相手に身ひとつで近接戦闘は、不可能に近い。
オニキスがやや睨みをきかせながら、沈黙したままのロードナイトへ振り向く。
「――さっき、装具にダメージ喰らわせたみたいだったな。ありゃ『灼熱』の効果があってのもんだよな?」
「…わかんねぇ。咄嗟に出ちまっただけだから…でも、あの時は確かに灼熱属性だった」
「あの得物だけでも封じられりゃ、かなりの戦力ダウンが見込める。偶然を必然にしろ」
「出来れば
「…了解」
ふたりからのわりと無茶な注文を受け、ロードナイトはやや自信無さ気に頷く。
再び向かってきた
「壁を張れ! 『灼熱』でいる内は、君自身にはアズライトの属性攻撃は効かないはずだ…上手く切り替えて、装具を無効化するんだ!」
脳内で響くエピドートの指示に、ロードナイトは言われた通り防御壁を張り、氷柱を振るわれた隙に彼の懐へ飛び込み、大剣を操る手首を握った。
氷気が灼熱の壁に遮られ、蒸発する音が耳にうるさく響く中、至近距離からその殺意を帯びる面差しへ訴えかける。
「アズライト…っ、蒼矢、目を覚ませ!!」
感情が昂って手のひらに力がこもり、掴まれるアズライトの手首が高温に焦がされる。
アズライトの眼が細められ、眉が歪む。
「…っ!! ごめっ…」
はたと気付いたロードナイトが青くなり、動揺して握る手を緩めたところをアズライトは素早く振りほどき、その鳩尾に蹴りを見舞った。
思い切り蹴飛ばされたものの、ロードナイトはなんとか受け身を取って体勢を立て直したが、顔面はいまだ蒼白のまま固まっていた。
放心状態になってしまっている彼の前にエピドートが暴風の壁を張り、アズライトを一旦退ける。
「ロード…!!」
「……駄目だ、…できねぇ…っ…!」
極度の緊張と興奮で、息をあげながら途切れとぎれに漏らす彼へ
「弱音吐いてんじゃねぇよ!! 他誰も相手に出来ねぇんだぞ!?」
「うるせぇわかってる!!」
怒鳴り返しながらも、ロードナイトは言いようもない恐怖に声を震わせる。
…今の俺の『灼熱』じゃ、上手く加減できる気がしねぇ…
…一歩間違ったら、『氷柱』も、『アズライト』もどうにかしかねない。
……俺のこの手で、蒼矢を…っ…!!