※この作品はR-18です。

ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-   作:独楽 悠

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第15話_凍てつく刃_05

陽(サルファー)が身構えながら後方から二人の攻防を見守る中、しばらく拮抗した戦闘が続いていたが、蒼矢(アズライト)の動きがふと止まった。

 

「…!」

 

氷柱を片手に持ち、身体の正面で真横に掲げると、多量の氷気を大剣から生み出す。アズライトの身体が高濃度の氷の微粒子で霞み、その全身が青白く染まる。

ふたりが目を見張る中、氷の霧を纏ったアズライトは、毒霧に覆われた影斗(オニキス)へと間合いを越えて接近する。

 

「…! マジかよっ…!!」

 

毒の壁をものともせずに突っ込んできたアズライトの攻撃を受け流し、間髪入れずに二撃目を振るってきたところへ合わせ、地面へ向けて体当たりで押し返す。

先ほどより『凍氷』の威力が増しているのか、装具のみならず肘下まで一瞬にして凍りつき、戦闘スーツに貼りついた氷塊をすぐさま払う。

 

地へ落とされたアズライトは空中で回転しながら着地し、即座にオニキスへ向けて高速で上昇し、大剣の先を向けた。

 

「っ!!」

 

豪速でぶつかってきた氷柱(つらら)の切っ先を鉤爪を交差させて防いだものの、速度と装具の重量に圧し負け、オニキスの身体が大きく弾かれる。

あえなく無防備になる彼へ、追撃の氷の刃が大量に浴びせかけられた。

 

「ぐぁっ…!!」

 

全身を貫かれ、短く声をあげた後、オニキスは自由落下していく。

アズライトはその墜落地点へ向けて飛んだが、前方から光が照射され、視界を奪われてその挙動を止める。

 

咄嗟に目眩まし攻撃を見舞ったサルファーが、二人の間に入るように『閃光(せんこう)』を構えて立った。

受け身無しで文字通り地に堕ちたオニキスが、面を歪め、腕を震わせながら上体を起こす。

 

「…っ…、…ナイスタイミングだ。ちったぁ使えるじゃねぇか」

「軽口叩いてる場合かよぉっ…!! やばいよ、毒霧効かねぇじゃんか!!」

「みてぇだなぁ。…あの野郎、正気に戻ったら次戦(次)はぜってぇ前線やらすぞ」

 

アズライトの秘めたる地力を見せつけられ、オニキスは息を弾ませながらも悪態を吐(つ)いた。

 

…他4人より選出条件が鬼厳しいことを考えりゃ、ポテンシャル高いのも当然っちゃ当然だったよな…

…とはいえ、馬鹿みてぇに攻撃力高ぇだけかと思ったら、セルフ防御まで出来るなんざ想定外だったぞ…?

 

オニキスの全身に、比喩ではない冷や汗が流れる。

 

「――どけ。お前じゃ勝負にならねぇ」

 

ふらつきながら立ちあがり、オニキスは装具を呼び戻す。

 

「!? でもっ…!!」

「うるせぇ、離れてろ。…次が来るぞ」

 

サルファーの光線が空間に溶け、目が慣れたアズライトは、氷のように冷たい視線でオニキスを見下ろしていた。

再び攻撃姿勢をつくり、氷柱をオニキスへ向けて構える。

やっとの思いで地に立つオニキスは、自らに用意された絶望的な状況をすべからく受け止める。

 

…お前にゃほんと、いいようにあしらわれまくってんな…俺。出会ってからずっと、身も心も振り回されっぱなしだ。

…振られた上にこてんぱんにされて、どんだけ俺を凹ませりゃ気が済むんだよ…

 

オニキスは、全身から大量の毒を噴出する。

黒い毒霧は彼を中心に渦巻くように流れていき、広範囲に層厚く覆う。

 

「…!!」

 

その尋常ではない光景に、サルファーはすぐさまその場を離れ、はるか後方から息を飲む。

 

霧の隙間から見える冷酷にして秀麗な面差しを、オニキスは紫黒の眼で睨み返した。

 

「来いよ。刺し違えてでもお前を止めてやる」

 

…お前に引導渡されるなら、本望だ。

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