覚醒した[
「!? お前…、なぜここまで来れた…」
次第に驚愕の面様へ変わっていく[霆蛇]の視界の端を、紅い何かがすり抜ける。
「ぎゃぁっ!!」
異変に気付くと同時に、躰の側面に熱さと痛みが走り、[霆蛇]は水中に咆哮を轟かせた。
片側の鰭を全て切断され、バランスの取れなくなった体躯が横倒しになる。
切断面が赤黒く焦げる様を見、太刀『
「効きます!! こいつ、風属性っす!!」
その肉声を聞いた[霆蛇]は、巨体をもたつかせながら起こし、目の前に立つ炎の戦士へ目を剥いた。
「なっ…何故ここに火炎のお前が…!? お前は地上で、アズライトが相手をしている筈っ…」
もがき、避けようとする体躯の反対側へ回り込み、ロードナイトは逆側の鰭も全て薙ぎ払った。
「ぎっ…あ゛ぁぁぁ!!」
青い水中を大きな鰭が上へと漂い消え、辺りの水域を赤黒い靄と肉の焦げた煤が汚す。
全ての鰭を切り落とされ、苦しみ悶えながら[霆蛇]は渾身の落雷を見舞う。が、風属性が元々得意であるロードナイトには効果が薄い上に、彼を護る防御壁が完全に遮断する。そしてその防御壁の造り手であるエピドートは雷嵐をかざし、[霆蛇]の撃った落雷を集めて吸収する。
「はっ!!」
許容いっぱい帯電した雷嵐を足元へ突き、特大の落雷を引き起こす。
再び余所者の電撃を喰らい、力を維持できなくなった[水の異形]は沈黙し、水流が収まっていく。
「くそっ…闇と光が残るとは…獲物の分際で、私を嵌めるような真似を…!」
おたまじゃくしのような風体になった[霆蛇]は、血をまき散らしながら尾鰭だけでその場を撤退していく。
「…!! まさか、私の"属性"が割れたとでも言うのか…!? っ想定外だっ…くそっ!!」
[
ぷるぷると左右に動く不細工な尾鰭へ、ロードナイトは紅い瞳を鋭く見開き、一閃する。
「ぎゃあ゛ぁぁぁっ!!」
そして、全ての機動力を失った黒い塊の前方へと追い越すと、唇から舌をはみ出させるその顔貌を射殺すように睨んだ。
「散々
そう言い捨てると、『
「…ぁぱぁっ……! …」
身体を上下に割られ、ふたつの塊に分かれた[霆蛇]は無抵抗に漂い、水に溶けていった。
紅蓮を振るい収めると、ロードナイトはエピドートの元まで戻る。
「…!」
そして無言で頷き合い、急ぎ地上を目指した。