※この作品はR-18です。

ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-   作:独楽 悠

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第16話_罠返し_03

覚醒した[霆蛇(テイダ)]は上方を見上げ、雷を操る風の戦士を目に留めた。

 

「!? お前…、なぜここまで来れた…」

 

次第に驚愕の面様へ変わっていく[霆蛇]の視界の端を、紅い何かがすり抜ける。

 

「ぎゃぁっ!!」

 

異変に気付くと同時に、躰の側面に熱さと痛みが走り、[霆蛇]は水中に咆哮を轟かせた。

片側の鰭を全て切断され、バランスの取れなくなった体躯が横倒しになる。

 

切断面が赤黒く焦げる様を見、太刀『紅蓮(ぐれん)』を駆った烈(ロードナイト)は葉月(エピドート)へ叫んだ。

 

「効きます!! こいつ、風属性っす!!」

 

その肉声を聞いた[霆蛇]は、巨体をもたつかせながら起こし、目の前に立つ炎の戦士へ目を剥いた。

 

「なっ…何故ここに火炎のお前が…!? お前は地上で、アズライトが相手をしている筈っ…」

 

もがき、避けようとする体躯の反対側へ回り込み、ロードナイトは逆側の鰭も全て薙ぎ払った。

 

「ぎっ…あ゛ぁぁぁ!!」

 

青い水中を大きな鰭が上へと漂い消え、辺りの水域を赤黒い靄と肉の焦げた煤が汚す。

全ての鰭を切り落とされ、苦しみ悶えながら[霆蛇]は渾身の落雷を見舞う。が、風属性が元々得意であるロードナイトには効果が薄い上に、彼を護る防御壁が完全に遮断する。そしてその防御壁の造り手であるエピドートは雷嵐をかざし、[霆蛇]の撃った落雷を集めて吸収する。

 

「はっ!!」

 

許容いっぱい帯電した雷嵐を足元へ突き、特大の落雷を引き起こす。

再び余所者の電撃を喰らい、力を維持できなくなった[水の異形]は沈黙し、水流が収まっていく。

 

「くそっ…闇と光が残るとは…獲物の分際で、私を嵌めるような真似を…!」

 

おたまじゃくしのような風体になった[霆蛇]は、血をまき散らしながら尾鰭だけでその場を撤退していく。

 

「…!! まさか、私の"属性"が割れたとでも言うのか…!? っ想定外だっ…くそっ!!」

 

[異形(手駒)]を無くし、推進力を失った重い体躯は、見る間にロードナイトに追いつかれる。

ぷるぷると左右に動く不細工な尾鰭へ、ロードナイトは紅い瞳を鋭く見開き、一閃する。

 

「ぎゃあ゛ぁぁぁっ!!」

 

そして、全ての機動力を失った黒い塊の前方へと追い越すと、唇から舌をはみ出させるその顔貌を射殺すように睨んだ。

 

「散々蒼矢(アズライト)をたぶらかしてくれたな…正直てめぇは倒すだけじゃ足りねぇくらいだぜ。…その汚ねぇ面、二度と見せんな」

 

そう言い捨てると、『紅蓮(ぐれん)』を[霆蛇]の正面から水平に薙ぎ、切り落とした尾の付け根まで横一文字に振るう。

 

「…ぁぱぁっ……! …」

 

身体を上下に割られ、ふたつの塊に分かれた[霆蛇]は無抵抗に漂い、水に溶けていった。

 

紅蓮を振るい収めると、ロードナイトはエピドートの元まで戻る。

 

「…!」

 

そして無言で頷き合い、急ぎ地上を目指した。

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