※この作品はR-18です。

ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-   作:独楽 悠

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第17話_決死_01

陽(サルファー)が見守る中、闇の影斗(オニキス)と氷の蒼矢(アズライト)がそれぞれに周囲へ霧を漂わせ、地上と上空から装具を構えながら互いを睨み合う。

双方微動だにせず、沈黙を守ったまま相手の出方をうかがっていた。

 

その実、オニキスの体力は限界を迎えていた。

度重なるアズライトからの氷撃で、戦闘スーツは全身が割け、隙間から見える肌は擦傷と凍傷に塗(まみ)れていた。

追撃を防げず、身体の自由が利かないまま落とされ、地に叩きつけられた節々に激痛が走っていた。

その上で、残る力の全てを使い、今までのセイバー人生で経験が無いほどの濃い毒霧を噴出した。

 

倒れそうな身体をこらえ、あがりそうな息を抑え、オニキスはアズライトを睨み上げる。

 

「!!」

 

アズライトが先に動く。

氷柱の切っ先をまっすぐオニキスへ向け、急降下する。

高速で迫る彼を、『暗虚』を前で交差させ、オニキスは迎え撃つ。

 

轟音と共に地表が剥がれる勢いで激突したふたりは、互いの霧を混ざり合わせながら装具で押し合う。

すぐさま暗虚の爪に霜が降り、手甲を伝い、両腕へと広がっていく。

 

「…っの野郎…!!」

 

オニキスは身体能力のみでじわじわと押し返し、鉤爪で氷柱の刀身を掴むと、剣先を逸らせてアズライトへ近寄っていく。

得物を捕らえられたアズライトはその手元を一瞥した後、オニキスへ視線を戻し、目を見開いた。

瞬間アズライトを纏う氷気が膨れ上がり、オニキスの毒霧を上空へ吹き飛ばしていく。

紫黒色の霧が空中へ散りぢりにかき消え、辺り一帯が凍てつく薄青の霧に満たされる。

 

「っ…まじでクソ強ぇな、お前…。…俺らにメイン張らせて、上手いこと隠しやがってたな…畜生が…っ…」

 

息を白くしながら、オニキスは悪態を吐(つ)く。

霜は氷の結晶へ変わり、腕を覆い、音をたてながら身体へと伝っていく。

 

「オニキス!! 駄目だ、離れろっ…!!!」

 

少しずつ凍り付いていくオニキスの姿に、サルファーは向かいたい気持ちを懸命に抑えながら、遠くから喚く。

 

サルファーの制止を無視するように、オニキスは凍らされながらも少しずつアズライトへ近付いていく。

 

「…お前の実力は、痛いほど解った。実際今、全身痛ぇしな。もう体の感覚ほぼねぇよ…」

 

アズライトは鼻先まで辿り着いた彼を、青白い面差しの中から冷たい瞳で見やっていた。

 

「もう、俺の負けでいいよ。いいから…、そろそろ終わりにしようぜ」

 

顔中に霜が降り、オニキスは青く染まった唇を震わせながら、いつもの調子で語りかける。

 

「なぁ、蒼矢…」

 

オニキスの瞳がうつろになり、足許がぐらついていく。

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