「オニキスー!!」
金色の瞳を歪ませながら、躊躇なく細剣の切っ先を
「アズライト、やめろー!! 正気に戻れ!!」
アズライトは膝をつく
宙に浮かぶ無数の刃の切っ先が、光速で迫るサルファーへ向けて鋭く光る。
が、次の瞬間アズライトの眼がわずかに揺れ、冷たく生気の無い瞳が鮮やかな藍色を取り戻していく。
そのまま目が閉じられ、傾いていく身体をオニキスはわずかに残った意識で受け止め、そのまま双方崩れ落ちる。
氷の霧も刃も、一瞬その場に時が止まったように動かなくなり、四方へ霧散した。
「…オニキスっ…アズライト!!」
『転異空間』の[脅威]は消え去った。
「……!!」
…[侵略者]を倒した…!!
そう悟ったサルファーは装具を収めてふたりの元へ飛び、オニキスからアズライトを受け取って地に寝かす。
「オニキス…!!」
身体の半分を氷の結晶に覆われていたオニキスは、そのまま横倒しになった。
「……しんど…」
「オニキス死ぬな!! ロードたちすぐ戻ってくるから!!」
「…あーぁ、…いっそ死にたかったわ…」
「馬鹿言ってんなって…! !? おいっ…!!」
小さく漏らした後、半目だった瞼を閉じて動かなくなるオニキスを、サルファーは必死に揺り動かした。
「!! 無事か!?」
彼の後方で水飛沫があがり、
「ロード!! オニキスが…っ!!」
振り返り、涙目になりながらがなるサルファーに、ロードナイトは顔色を変え、ふたりの元へひと跳びで着地する。
サルファーの傍らで、氷に覆われ傷だらけになりながら横たわるオニキスの姿を目にし、即座に『灼熱』へ切り替え、両手を氷へあてがった。水蒸気のあがる音が鳴り、身体に貼りついた氷塊は見る間に溶かされていく。
熱を送りながら、目の端でエピドートに抱き起こされるアズライトを確認する。
いまだ全身から青白い氷気を飛散させながらも、接するエピドートに霜が降りることは無く、目を閉じる穏やかな面持ちからも、無事であることは感じ取れた。
…元に戻ったみたいだな…
「…オニキス!!」
氷が溶かされ、エピドートが治癒を施し始めても、オニキスの目は開かない。
ロードナイトは冷えきった彼の身体へ手を当て、微量の熱を送りながら名前を呼び続けた。
「オニキスっ…、…
「
サルファーも一緒になって声を掛け続ける中、固まっていた指先がぴくりと動く。
「……るせぇ」
「…!!」
「…耳元でうるせぇんだよ、きょうだい。…こちとら身も心もズタボロなんだ…、…静かに寝かせろ」
か細く途切れとぎれながらも、いつもの調子で毒づく不良男の声に、ふたりは深く胸をなでおろし、エピドートはくすりと微笑った。
「それだけ軽口が叩ければ、大丈夫そうだ」
「…黙ってろ、じじい」